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100万回生きたねこ(生命尊重)

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100万回生きたねこ(生命尊重)
第1学年
道徳の時間学習指導案
授
1
主題名
いのちを大切に
2
資料名
100 万回生きたねこ(佐野洋子
3
主題設定の理由
業
者
生命尊重3-(1)
作・絵
講談社)
(1)主題について
1年生にとって「生きる」という概念は抽象的過ぎて,普段は考えも及ばないと思う。今生き
ていることが当たり前のことで,生きることの意味,ありがたさ,大切さなどについて考える機
会はほとんどないと言える。
しかしながら,「命は大切なもの」だと子どもたちは理解している。そこで,生きているから
できることや生きることの支えになっている人の存在について,絵本「100 万回生きたねこ」を
通して考えさせたい。この絵本は,幅広い年齢層に読み親しまれており,その捉えられ方もさま
ざまである。生活経験がまだ乏しい1年生ではあるが,一人一人が自分なりの考えをもち,考え
の交流を図ることで「生きることの意味」や「命の大切さ」について考えを深めることができる
と考えた。そうすることで,より良い人間関係を築くことができると思う。そこで,1年生なり
に「生きる」ということについて捉えさせたいと思い,この主題を設定した。
(2)児童について(省略)
(3)指導にあたって
本時では,絵本「100万回生きたねこ」を資料として活用する。読書好きな子どもが多く,時
間を見付けては,たくさんの本に親しんでいる子どもたちである。そのため,今回取り上げる絵
本の登場人物の言動に対して,子どもたちは「なるほど。」と共感したり「どうしてだろう。」
と疑問を感じたりできると考える。難解な話ではないが,内容を捉えやすくするために,前半部
分と後半部分に分けて読んで聞かせるようにする。
導入では,「生きること」について考えることを伝え,全員のこれまでの「生きること」の捉
え方を共有する。「生きていてよかった」と思ったことをできるだけ多く取り上げたい。
展開では,資料を用いて 100 万回生きたねこの変容を捉える活動を通して,生きているからい
ろいろなことができることに気付かせたい。また,生きることの支えになった存在についても考
えさせたい。その後,ねこと自分たちの似ているところを見付けさせ,生きているからできるこ
とについて考えを出させる活動を行う。子どもたちが考えを述べる際の拠り所となるのは自分の
考えや生活体験,そして友達の意見である。教師は効果的に問い返しをして,子どもたちの発言
に深まりをもたせるようにしていく。
終末には,子どもたちが生き生きと活動している写真を提示し,自分たちが一生懸命に活動し,
生きて輝いていることに気付かせることで,生きる喜びを感じ取らせたい。
-1-
4
他の教育活動などとの関連
道徳の時間(6月)
主題名:いのちを大切に
資 料:イラスト資料
(
「わたしたちの道徳」P.92,93)
日常的活動
・帰りの会
「キラキラタイム」
・当番活動
・給食
学級活動
・係や当番活動を工夫しよう
生活科
・いきものとなかよし
学校行事
・学習発表会
本
5
時
資料分析「資料:100万回生きたねこ(佐野洋子
〔主 な 場 面〕
作)」
〔道徳的価値〕
100万回死んで,100万回生
きたねこがいた。100万人の飼
い主はねこが死んで泣いたが,
ねこは1回も泣かなかった。
〔主 な 発 問〕
100万回生きたねこは,どんなねこです
か。
ねこは,のらねこになった。ど
んなめすねこも,ねこのおよめ
さんになりたがった。
たった一匹,ねこに見向きも
しない白ねこがいた。ねこは,
白ねことよりそうようになり,自分
よりも白ねこや子ねこたちを大
切に思うようになった。
生
命
尊
重
3
ねこはどう変わりましたか。
-
ねこはどうしてもっと生きたいと思
うようになったのでしょう。
(1)
白ねこは年老いて,ねこのと
なりで死んだ。ねこは初めて泣
いた。100万回泣いた。
ねこが泣きやむと,白ねこの
となりで静かに動かなくなった。
そして,二度と生き返ることはな
かった。
-1-
〈100万回生きた猫〉あらすじ
死んでは生き返ってを繰り返し、100万回もの生を受けた猫がいました。猫にはいつも飼
い主がいました・・・その数100万人。
皆、猫が死ぬとワンワンと嘆き悲しみましたが、猫自身は一度も泣いたことがありません
でした。
ところが、この猫に見向きもしないものがいました。それは美しい白い猫でした。猫は腹
を立てました。そして毎日毎日、白猫に「俺はすごいんだぜ、なんてったって100万回も生
きたんだから」と自慢話をしに行きました。
白猫は気のない相づちを打つばかりでした。今日も猫は「俺はすごいんだぜ」と言いか
けて、途中でやめました。
そして「そばにいてもいいかい?」と尋ねました。白猫は「ええ」とだけ言いました。
2匹は常に寄り添うようになり、一緒にいることがなによりも大切に感じるようになりました。
それからかわいい子猫がたくさん生まれ、猫はもう得意の台詞、「俺はすごいんだぜ」
を言わなくなりました。いつのまにか自分よりも、白猫や子猫たちのことを大切に思うように
なっていました。
やがて子猫達は巣立って行き、白猫は少しお婆さんになりました。猫は、白猫と一緒に
いつまでも生きていたいと思いました。
ある日、白猫は猫の隣で、静かに動かなくなっていました。
猫は白猫の亡骸を抱いて、生まれて初めて泣きました。
100万回泣きました。そしてぴたりと泣きやみました。
猫は、白猫の隣で静かに動かなくなっていました。
それから猫は、もう決して生き返りませんでした。
-2-
6 授業の実際
(1)ねらい ねこの変容を捉える活動を通して,生きることを喜び,命を大切にしようとする態度を育
てる。
(2)学習過程
段階
(時間)
出会う
(5分)
学習活動と児童の反応
(○は主な発問)
1
教師の支援と評価【資料】
「生きること」について考えることを ・これまでの生活経験から,生きていてよかっ
知らせる。
(一斉)
たと思えたことを発表させる。
深める 2 資料「100 万回生きたねこ」を読み, ・資料の前半部分を読んで聞かせる。
(30 分)
話し合う。
・難解な言葉については,適宜説明を加える。
(一斉)
○ 100 万回生きたねこはどんなねこです
・ねこのイメージを捉えやすくするために,挿
か。
絵を提示する。
・ 自分のことだけが好きなねこ。
・子どもの発言を共感的な姿勢で受け止め,発
・ 飼い主のことが好きじゃないねこ。
表意欲を高める。
・ 命を大切にしていないねこ。
○ねこはどう変わりましたか。
・資料の後半部分を読んで聞かせる。
・ 最初は自分が好きだったけど,今は ・最初のねこと今のねこを対比して捉えられる
相手のことを思えるようになった。
ような板書構成をする。
・ 白ねこや子どもを大切にするように
なった。
○ねこはどうしてもっと生きたいと思うよ ・ねこの変容に,白ねこや家族が大きな影響を
うになったのでしょう。
与えたことを押さえる。
・ 白ねこと出会ったから。
・ 家族ができたから。
3
今のねこと自分が似ているところを見 ・さまざまな意見が出されると予想されるが,
付け,発表し合う。
(ペア→一斉) お互いの考えを肯定的に受け止めるように助
言する。
ねこの変容を捉える活動を通して,生き
ることを喜び,命を大切にしようとする気
持ちになっているか。 【発言・行動観察】
ふり返る 4 ふり返りをする。
(10 分)
・ 自分たちの生活
・ 本時の学習
(一斉) ・自分たちが一生懸命活動していることに気付
くことができるように,児童が生き生きと活
動している写真を提示する。
・感想を述べる時間を設け,「生きること」につ
いて考えの変容や深まりが見られた発言を大
いに賞揚する。
(3)授業の視点
・ 絵本資料の提示の仕方は,児童の道徳的価値に対する意識を引き出すために有効だったか。
・ 「深める」段階の展開の仕方や「ふり返る」段階における活動は,児童一人一人の道徳的価値の
自覚を深めるために有効であったか。
-1-
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