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(作成:平成23年3月道路建設課PDFファイル:5.95MB)(PDF

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(作成:平成23年3月道路建設課PDFファイル:5.95MB)(PDF
宮崎県中長期道路整備計画
∼未来を築く新しい「ゆたかさ」への挑戦∼
平成23年3月
宮 崎 県
目
1
次
計画策定の趣旨 ······················································· 1
1-1
1-2
1-3
1-4
1-5
策定の趣旨 ······················································ 1
計画の位置づけ ·················································· 2
計画の期間 ······················································ 2
計画の構成 ······················································ 2
計画の策定方法 ·················································· 2
2
これまでの道づくりの成果 ············································· 4
3
宮崎県の道路に関する上位計画 ········································· 6
3-1
3-2
4
宮崎県の道路の現状と課題 ············································ 11
4-1
4-2
4-3
5
力強い「経済」の浮揚を支援する道づくり ························· 27
定住自立を図る「地域」の発展を支援する道づくり ················· 28
安全・安心な「くらし」の確保を支援する道づくり ················· 30
宮崎県の道づくりの目標 ·············································· 32
8-1
8-2
8-3
9
道づくりの基本目標 ············································· 25
道づくりの基本方針 ············································· 25
宮崎県の道づくり施策 ················································ 26
7-1
7-2
7-3
8
アンケート調査 ················································· 21
有識者の声 ····················································· 24
宮崎県の道づくりの将来ビジョン ······································ 25
6-1
6-2
7
宮崎県を取り巻く社会環境からみた課題 ··························· 11
宮崎県の道路交通特性からみた課題 ······························· 17
道路整備を取り巻く環境の変化からみた課題 ······················· 19
道路に対する県民のニーズ ············································ 21
5-1
5-2
6
宮崎県総合計画 ·················································· 6
国の社会資本整備等に係る方向性 ·································· 7
力強い「経済」の浮揚を支援する道づくりの目標 ··················· 32
定住自立を図る「地域」の発展を支援する道づくりの目標 ··········· 36
安全・安心な「くらし」の確保を支援する道づくりの目標 ··········· 42
宮崎県の道路整備の姿 ················································ 50
1
計画策定の趣旨
1-1
策定の趣旨
本県では、平成15年に「道路整備の将来像【宮崎県中長期道路整備計画】」を策
定し、『地域の連携・交流による“日本の原点 時代の原点 創造みやざき”』を基
本目標に掲げ、「競争力のある【産業】を支援する道づくり」「自立を図る【地域】
を支援する道づくり」「安心な【くらし】を支援する道づくり」の3つの基本方針に
基づき、道路整備を進めてまいりました。
しかしながら、国県道の改良が非常に遅れていることや、高速道路のミッシングリ
ンクの問題、特に中山間地域では、異常気象時の通行規制区間が数多く存在し、災害
時の救急・救命活動に支障をきたすなど本県の道路整備における課題が数多く残され
ています。
この間、国においては、厳しい経済状況に対応し、社会資本整備を重点的、効果的か
つ効率的に実施するため、道路、治水、公園などの9つの分野別計画を一本化した新た
な社会資本重点整備計画が平成21年3月に策定され、社会資本整備の方向性が示され
ました。
また、本県においても、平成23年3月に将来の本県のあるべき姿を見据えた、今
後の県政運営の指針として、県政の最も根幹的な計画である「宮崎県総合計画」を策
定したところであります。
このように、道路整備を取り巻く様々な環境の変化と新たな課題に対応していくた
めに、宮崎県の道路整備の指針として宮崎県中長期道路整備計画の見直しを行うこと
としました。
1
1-2
計画の位置づけ
宮崎県中長期道路整備計画は次の位置づけを持つ計画です。
○国の「新たな中期計画(平成20年12月)」及び「道路の中期計画(九州版)
(平成21年7月)」を踏まえ、地域の現状に則した計画とします。
○「宮崎県総合計画(平成23年3月)」の部門別計画であることから、宮崎県全
体の長期的・総合的な施策・事業等の一翼を担う計画とします。
○この計画は、宮崎県の地域特性や道路交通の現状、道路に対するニーズさらには、
道路整備を取り巻く環境の変化などを踏まえ、宮崎県が取り組むべき道路の全体
的な計画とします。
1-3
計画の期間
社会情勢の変化に柔軟に対応するとともに、国の中期計画や社会資本整備重点計画
との整合も踏まえ、また、宮崎県総合計画にも整合させ、平成23年度を初年度とす
る中期5年、長期10年の計画とします。
1-4
計画の構成
○道路に関わる現状や県民のニーズなどを基にした課題や宮崎県総合計画及び国の
中期計画など、上位計画を踏まえ、道路整備の中長期的な将来像や理念、その実
現に向けての基本姿勢を示します。
○道路整備の効果を明らかにするため、基本方針に基づく目標水準を設定します。
1-5
計画の策定方法
○アンケートによりいただいた県民の皆さまなどからのニーズや、有識者で構成す
る「宮崎県中長期道路整備計画懇談会」及び関係機関で構成する「宮崎県幹線道
路協議会」での意見・提言を反映した計画とします。
2
◆計画策定の流れ
3
2
これまでの道づくりの成果
これまでの道づくりの成果として、平成15年度に策定された【宮崎県中長期道路整
備計画】に示された道路整備の目標値(平成 35 年度)に対する平成22年度末時点での
達成度を以下に示します。
▼平成15年度
H15 中長期
計画基本方針
宮崎県中長期道路整備計画における整備目標の達成状況
達成状況
アウトカム指標
H22
目標(H35)
人口
74%
87%
面積
47%
58%
50%
50%
概ね 100%
人口
88%
93%
90%以上
面積
56%
63%
14 箇所
13 箇所
概ね解消
⑤5 年に一度の大雨で孤立して
しまう地区が一部でもある市町村
の割合
68%
66%
35%
⑥緊急輸送道路の整備率
77%
82%
90%
⑦主要都市におけるバリアフリー率
45%
64%
概ね 100%
⑧市街化区域内幹線道路電線類
地中化率
28%
35%
概ね 90%
方針-1
競争力のある
「産業」を支
援する道づく
り
①高速道路 IC への 60 分
カバー割合
方針-2
自立を図る
「地域」を支
援する道づく
り
③第 3 次救急医療施設への
60 分カバー人口の割合
方針-3
安心な「くら
し」を支援す
る道づくり
計画策定時
(H14)
②高速道路 IC と 10 分以内で連結
された空港と重要港湾の割合
④主要渋滞ポイント数
概ね 100%
*⑥、⑦、⑧の H22 基礎データは、平成 20 年度末とします
●目標を達成、もしくは達成しつつある指標については、「①高速道路 IC への 60 分
カバー割合」が 13 ポイント向上しており、「③第3次救急医療施設への 60 分カバ
ー割合」も目標値の 90%を達成しています。
●一方、「②高速道路 IC と 10 分以内で連結された空港と重要港湾の割合」や「⑤5
年に一度の大雨で孤立してしまう地区が一部でもある市町村の割合」については、
ほとんど向上していない状況にあることから、これらの問題を解決することが引き
続き課題であると言えます。
4
▼平成15年度
宮崎県中長期道路整備計画における整備目標の達成状況
①高速道路 IC への 60 分カバー割合
②高速道路 IC と 10 分以内で連結された
空港と重要港湾の割合
③第3次救急医療施設の 60 分カバー割合
⑤5年に一度の大雨で孤立してしまう地区が
一部でもある市町村の割合
5
3
宮崎県の道路に関する上位計画
3-1 宮崎県総合計画(平成23年3月策定)
宮崎県は、昭和34年に「宮崎県経済振興計画」を策定して以来、それぞれの時期
における社会経済情勢を踏まえながら、長期的・総合的な展望に基づき施策・事業を
推進してきました。
平成23年度からスタートする新たな県総合計画では、20年後の平成42年
(2030年)に本県が目指す将来像を描くとともに、長期的に見た場合の重要課題に対応
していくための「長期戦略」や「分野別施策」の基本的な方向性が示されております。
新たな総合計画の概要
宮崎県総合計画
時代の潮流
未来みやざき創造プラン
将来推計と予測
・本格的な少子高齢化・
人口減少時代の到来
・世界・アジア経済の変化
・資源・環境問題への対応
・情報通信技術(ICT)の発展・普及
・地方分権の進展
・国・地方を通じた厳しい財政状況
長期ビジョン
本県の特性
・地理的特性(東アジアとの近接性、3都市圏・
8地域ブロック、道路・鉄道整備の遅れ)
・自然環境(温暖な気候、恵まれた日照環境、
豊富な森林・水資源等)
・生活環境(低い物価・地価・県民所得、
ゆとりある住環境等)
・産業(高い食料・木材供給能力、
豊富なエネルギー資源等)
人口減少・少子高齢化による
人口構造の変化に伴う
・就業者数
・県内総生産
・県民所得
・社会保障費・財政への影響
20年後を展望
基本目標
未来を築く新しい「ゆたかさ」への挑戦
目指す将来像
人
地域や人のゆたかな絆の中
で、みんなが持てる力を発揮
し、生き生きと活動する社会
くらし
安全・安心で心
ゆたかに暮らせ
る社会
産業
時代のニーズに応える
産業が地域に展開し、
安心して働ける社会
県づくりの基本姿勢
1
2
3
4
5 地域の資源を生かした魅力づくり
6 アジアの中のみやざき・九州の確立
7 効率的・効果的な行財政運営
経済拡大を前提とした社会・価値観からの転換
県内分権の推進と住民主体の地域経営
未来の郷土を担う人材の育成
長期的視点に立った社会基盤の整備
基本目標・将来像実現のため長期的視点から重点的・優先的に取り組む戦略
長期戦略
4つの長期的視点
人
口
少子高齢化
グローバル化 資源・環境問題
生かすべき特性・可能性
解決すべき課題
戦略1 脱少子化・若者活躍戦略
戦略5 フードビジネス展開戦略
戦略2 将来世代育成戦略
戦略6 「地域発」産業創出戦略
戦略3 健康長寿社会づくり戦略
戦略7 海外展開戦略
戦略4 環境・新エネルギー先進地づくり戦略
戦略8 持続可能な地域づくり戦略
分野別施策
基本目標・将来像実現のため分野別に体系化した施策の基本的方向性
人づくり
○安心して子どもを生み、
育てられる社会
○未来を担う人材が育つ社会
○生涯を通じ活躍し挑戦でき
る社会
○多様な主体が参加し、一人
ひとりが尊重される社会
くらしづくり
産業づくり
○生き生きと暮らせる
健康・福祉の社会
○自然と共生した環境に
やさしい社会
○安心して生活できる社会
○安全な暮らしが確保
される社会
○多様な連携により新たな産業
が展開される社会
○魅力ある農林水産業が展開
される社会
○創造性のある工業・商業・
サービス業が営まれる社会
○活発な観光・交流による
活力ある社会
○経済・交流を支える基盤が
整った社会
分野別施策の柱及び施策の基本的方向性
アクションプラン
部門別計画
(5年~10年)
長期ビジョン・知事マニフェスト
実現のための4年間の実行計画
6
知事
マニフェスト
3-2
国の社会資本整備等に係る方向性
○社会資本整備重点計画(国土交通省 平成21年3月策定)
・本計画は、社会資本整備重点計画法(平成15年法律第20号)が制定され、それまで
の道路、治水、公園などの9つの事業分野別計画を一本化し、社会資本整備を重点
的、効果的かつ効率的に実施するために策定されました。
・本計画は、社会資本整備について、どのような視点に立ち、どのような分野に重点
をおいて事業を行おうとするのか、投資の方向性を明確に示すものです。
・平成21年3月に、現下の厳しい経済情勢等への対応として、地域の自立・活性化
と成長力の強化に向け、「活力」という項目を冒頭に位置づけ、維持管理や更新な
どを推進する「ストック型社会への対応」という視点が新たに追加されました。
・当計画で示されている社会資本整備の重点目標及び社会資本整備の進め方の改革に
ついて、以下に示します。
◆社会資本整備の重点目標
<活力>
①交通ネットワークの充実による国際競争力の強化
②地域内外の交流強化による地域の自立・活性化
③にぎわいの創出や都市交通の快適性向上による地域の自立・活性化
<安全>
④大規模な地震等の災害に強い国土づくり
⑤水害等の災害に強い国土づくり
⑥交通安全対策の強化
<暮らし・環境>
⑦少子・高齢化社会に対応したバリアフリー化・子育て環境の整備によるユニ
バーサル社会の形成
⑧良好な景観・自然環境の形成等による生活空間の改善
⑨地球温暖化の防止
⑩循環型社会の形成
<ストック型社会への対応>
⑪戦略的な維持管理や更新の推進
⑫ソフト対策の推進
◆社会資本整備の進め方の改革
①社会資本の戦略的な維持管理・更新の推進と有効活用
②社会資本整備事業の効率性の向上
③公共調達の改革と新しい建設生産システムの構築
④社会資本整備への多様な主体の参画と透明性・公正性の確保
⑤価値の高い社会資本整備に向けた技術開発の推進
⑥民間能力・資金の活用
⑦国と地方の適切な役割分担による社会資本の整備
7
○ 九州ブロックの社会資本の重点整備方針
(国土交通省九州地方整備局、九州運輸局、大阪航空局 平成21年8月策定)
・本方針は「社会資本整備重点計画」における社会資本を、各地方の特性に応じて重
点的、効率的かつ効果的に整備し、適切に維持管理・更新していくため、地方ブロ
ックの社会資本整備の具体的な方針として策定することと位置付けられたものです。
・九州地方は、「都市と自然、東アジアが身近な21世紀のフロントランナー」を将
来の姿として、「九州はひとつ」という理念のもと、地域の自立的かつ一体的発展
に向け、(1)東アジアとの交流・連携を先導する地域、(2)自立的に発展する個
性が輝く地域、(3)安全・安心なゆとりある暮らしを実現する地域、(4)自然と
共生した美しく誇りが持てる地域の実現を目指しています。
・当計画で示されている九州ブロックにおける社会資本整備の重点戦略及び目標につ
いて以下に示します。
8
○新たな中期計画(国土交通省 平成20年12月策定)
・本計画は、「今後の選択と集中の基本的な方向性」を示すと共に、計画期間中の道
路整備・管理における「徹底したコスト縮減」等を目指しています。
・他の社会資本整備との連携を図り、社会資本全体の中での位置づけを明らかにする
ため、「社会資本整備重点計画」と一体化することとし、「活力」、「安全」、
「暮らし・環境」、「既存ストックの効率的活用」を今後取り組む具体的な施策の
柱として位置づけています。
・当計画に示されている、選択と集中の基本的な考え方及び今後取り組む具体的な施
策について以下に示します。
◆選択と集中の基本的な考え方
①地域の実情を踏まえた計画策定と厳格な事業評価
②政策課題・投資の重点化
③徹底したコスト縮減・無駄の徹底した排除
◆今後取り組む具体的な施策
<活力>
①基幹ネットワークの整備
・高規格幹線道路をはじめとした基幹ネットワークのうち、主要都市間を連絡
する規格の高い道路、拠点的な空港・港湾へのアクセス道路などを重点的に
整備 等
②生活幹線道路ネットワークの形成
・通勤や通院などの日常の暮らしを支える生活圏の中心部への道路網や救急活
動に不可欠な道路網の整備 等
③慢性的な渋滞への対策
・環状道路やバイパスの整備、交差点の立体化、開かずの踏切の解消 等
<安全>
①交通安全の向上
・事故発生割合の高い区間における重点的な対策、通学路における歩行空間の
整備、自転車利用環境の整備 等
②防災・減災対策
・緊急輸送道路の通行を確保するための橋脚の補強等の耐震対策の推進
・豪雨・豪雪時等においても公共施設や病院などを相互に結ぶ生活幹線道路の
安全通行の確保 等
<暮らし・環境>
①生活環境の向上:既設歩道のバリアフリー対策や電柱や電線類の無電柱化 等
②道路環境対策:低騒音舗装、遮音壁の設置 等
③地球温暖化対策:ITSの推進、自転車利用環境の整備 等
<既存ストックの効率的活用>
①安全・安心で計画的な道路管理
・定期点検に基づく「早期発見・早期補修の予防保全」の計画的実施
・地域性を踏まえた効率的な維持管理によるコスト縮減
②既存高速道路ネットワークの有効活用・機能強化
・ETCを活用しつつ、効果的な料金施策やスマートインターチェンジの増設 等
9
○道路の中期計画(九州版)(九州幹線道路協議会 平成21年7月策定)
・本計画は、九州における地域の現状と課題を踏まえ、限られた予算を効果的に投資
し、今後の道路整備・管理を計画的・効率的に進める上で基本となる方針及び、将
来望まれる九州の姿を実現するための代表的な道路整備の具体例を示すものです。
・当計画においては、「目標設定による計画的・効率的な事業展開」、「事業評価の
厳格な適用」、「地域住民とのコミュニケーションの推進」、「コスト縮減および
無駄の徹底した排除」を九州地方の道路整備・管理についての基本的な考え方とし
て位置づけています。
・当計画に示されている具体的な施策を以下に示します。
①東アジアの中で自立的に発展する国際・広域交流基盤づくり
・物流効率化や広域交流を支援する高規格幹線道路をはじめとする基幹ネットワ
ークの構築
・基幹ネットワークの利便性向上のためのインターチェンジの整備やインターチ
ェンジへのアクセス道路の整備
②災害対策等の総合力発揮による安全で安心な暮らしの実現
・増加する災害リスクに対して、災害に強い道路整備、まちづくりの推進
・災害発生時においても被害を軽減するための減災対策、緊急活動や迅速な復旧
を支える道路整備や体制づくりの推進
・交通事故発生の割合の高い区間における重点的・効果的な対策の実施
・歩行者と自動車が適切に分離された安全な生活幹線道路の整備
・市街地や通学路等における自転車歩行者道の整備や、自転車利用環境の整備、
あんしん歩行エリアにおける面的な交通事故対策
③美しい環境先進圏の形成に向けた社会基盤づくり
・道路整備・管理における地域の自然や景観への配慮
・環境負荷の少ない循環型社会の構築に向けた沿道環境の改善や地球温暖化等へ
の配慮
④基幹、拠点都市圏の広域的な機能高度化
・都市内道路ネットワークの形成や連続立体交差事業、交差点改良等による渋滞
解消
・モビリティマネジメント等のソフト対策を道路整備に加え推進
・地域社会の形成に向け、駅、官公庁施設、病院等を相互に連絡する道路整備
・通学路等における幅の広い歩道の設置や既設歩道のバリアフリー対策
⑤多自然居住地域のゆとりある生活基盤づくり
・通勤や通院、救急医療活動など日常の暮らしを支え、地域の生命線となる生活
幹線道路ネットワークの整備
・離島・半島、中山間地域の生活を支援する道路整備
⑥多様な活動主体を基軸とした良好な社会資本の形成
・道路の維持管理を、適正な時期に適正な措置がなされるように計画的に実施
・地域性や交通状況を踏まえた効率的な維持管理の実施によるコスト縮減
・多様な主体による道守活動等の取り組みへの支援
・「日本風景街道」の推進による「個性を活かした多様な地域」の形成の推進
・豊かさや賑わいが感じられる道路空間の実現に向け、地域の住民と行政が協働
した取り組み
10
4
宮崎県の道路の現状と課題
宮崎県における現状を把握し、道路における課題を整理しました。
4-1 宮崎県を取り巻く社会環境からみた課題
(1)過疎化・高齢化社会の進行
<現状>
・宮崎県の人口は平成7年の117.6万人をピークに平成17年は115.3万人
に減少しており、全国、九州平均よりも早く人口減少に転じています。
・高齢化率は平成17年で23.5%と全国平均の20.1%を大きく上回り、高齢
化の進行が著しい状況にあります。
・特に、中山間地域では人口減少とともに高齢化の進行が顕著であり、定住人口の減
少と高齢化に伴う地域活力の低下が懸念されています。
▲
▲ 人口増減率(H17/H12)
高齢化率(H17)
資料:総務省「平成 12 年、17 年国勢調査」
*H17 国勢調査時の市町村(44 市町村)を、現在の市町村(26 市町村)にあてはめて作成しています。
<課題>
○医療、教育、福祉などの社会サービス拠点を結ぶ地域内道路ネットワークの形成な
ど、中山間地域の活力と連携を強化する道づくりが必要です。
○高齢化が進行している地域では、人口減少とあいまって公共交通の存続が困難とな
っている地域があり、自立した生活を営む上で自動車への依存度が高いことから、
安全・安心な道路の確保が必要です。
11
(2)市町村合併
<現状>
・高度化・多様化する住民のニーズに的確に対応し、効率的・効果的に行財政運営を
行っていくため、市町村合併が進められました。
・本県では、平成11年度末に44あった市町村数が、平成22年度末では、26と
なり、合併市町村の行政区域は、2~3倍と大きく広がりました。そのため、拠点
地域との遠距離化による行政サービス等の低下が懸念されています。
▲ 宮崎県における市町村合併の状況
資料:宮崎県
<課題>
○合併後の市町村において、行政区域の拡大に伴い、行政サービスの地域間の格差が
懸念されることから、合併後の市町村の福祉や教育、まちづくりなどを支援する道
づくりが必要です。
12
(3)産業
① 農林水産業
<現状>
90.0%
92.0%
94.0%
96.0%
98.0%
100.0%
・きゅうり、乾しいたけ、ブロイラー、
肉用牛、豚飼養、すぎ素材生産量、 宮 崎 県
自動車 99.5%
海運 0.5%
近海かつお一本釣りなどの本県の農
林水産品は、全国の1~3位を占め 九州平均
自動車 95.8%
海運 4.2%
ています。
・本県では、農水産品の輸送は自動車 全国平均
自動車 96.7%
海運 3.3%
に大きく依存(自動車利用が全体の
▲農水産品の機関別輸送割合
99.5%)しており、県外への自動車
資料:国土交通省「平成 20 年 貨物地域流動調査」
輸送の約3割は本州方面へ運ばれて
います。
・また、九州内では隣接県の鹿児島県への輸送は多いものの、熊本県や大分県への輸
送は少ない状況です。
鹿児島
46.6%
福岡
8.3%
本州(愛知、大阪など)
資料:H20
年貨物地域流動調査
31.4%
大分
7.7%
熊本, 4.6%
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
愛媛, 1.5%
70%
80%
90%
100%
▲ 自動車で輸送される宮崎県の農水産品の輸送先
資料:国土交通省「平成 20 年貨物地域流動調査」
② 工業
<現状>
・全国的に、新規立地工場の約8割が高速道
路ICの10km以内に立地するなど、高
速道路IC付近に多くの企業が立地する傾
向にあります。
・本県の自動車関連の企業立地件数は、高速
道路ネットワークがほぼ完成している北部
九州の立地件数を大きく下回っています。
10km以上.
254件. 21.0%
1,208件
(H20年)
5~10km以内.
281件. 23.3%
0~5km以内.
673件. 55.7%
▲高速道路 IC からの距離別立地件数
資料:経済産業省「平成 20 年
工場立地動向調査」
<課題>
○本県においては、県内外輸送の割合が自動車交通に大きく依存していること、また、
多くの企業が高速道路のIC付近に立地する傾向となっていることなどから、効率的
な輸送を支援する高速道路ネットワークづくりが必要です。
13
③ 観光
<現状>
・本県には高千穂峡、西都原古墳群、えびの高原、堀切峠、青島、日南海岸、綾、飫
肥などの優れた観光資源が県内各地に存在するものの、観光客数は伸び悩んでいる
状況にあります。
・県外観光客の交通手段は自動車が約6割となっていますが、観光動向調査によると
県外観光客の約23%が交通の便が悪いことや約12%が道路状況の悪い点を指摘
するとともに、宮崎県の観光に期待することとして、約32%が交通網の充実を期
待しています。
船舶
1.2%
(千人/年)
13,000
12,000 12,713
12,370 12,532 12,386 12,050 12,028 12,008 12,163 12,345 12,177
11,000
10,000
9,000
7,518 7,506 7,311 7,334 7,507 7,751 7,777 7,693
8,000 7,352 7,309
7,000
6,000 5,361 5,061 5,014 4,880 4,739 4,694
4,501 4,412 4,568 4,484
5,000
4,000
3,000
H11
H12
H13
H14
H15
観光客総数
H16
県外客
H17
H18
10.0%
20.0%
交通の便が悪い
自然破壊と俗化
レクリエーション施設 …
H20
県外観光客の入込交通手段
資料:宮崎県「平成 20 年
宮崎県観光動向調査結果」
0.0% 10.0% 20.0% 30.0% 40.0%
30.0%
交通網の充実
31.8%
すばらしい自然を残す
11.8%
駐車場不足
自家用車
63.7%
宮崎県の観光に期待すること
23.4%
道路状況が悪い
バス
14.8%
▲
宮崎県観光動向調査」
宮崎県の印象(悪い印象)
0.0%
4,484千人
(H20年)
県内客
▲ 宮崎県の観光客数の推移
資料:宮崎県「平成 20 年
H19
航空機
14.7%
鉄道
5.6%
22.0%
新観光地の開発
8.2%
2.9%
郷土料理・土産品の …
2.9%
宿泊施設の整備
12.8%
5.5%
1.6%
▲県外観光客の宮崎の印象・期待すること(上位5項目)
資料:宮崎県「平成 20 年
宮崎県観光動向調査」
<課題>
○観光客数の底上げを図るためには、県内観光資源間を結ぶ周遊型観光の展開を支援
する道づくりや隣接県からの交通アクセスの向上を図る広域交通網の整備が必要で
す。
14
(4)自然災害
<現状>
・台風常襲地域である本県では台風や豪雨に
より大きな被害が発生しており、宮崎県の
土砂災害発生件数は全国でも上位に位置し
ています。
・異常気象時通行規制区間の指定数は九州で
最も多く、右図の破線円で示すように、中
山間地域に多数存在しています。
▲
国道327号椎葉村松尾地区の土砂崩れによ
る通行止め(平成 21 年 4 月)
▲
異常気象時通行規制区間
資料:宮崎県
・宮崎県では、日向灘沖を震源としたマグニチュード7クラスの地震がほぼ十数年か
ら数十年に一度の割合で発生しているほか、えびの市、小林市付近でもマグニチュ
ード6クラスの地震が発生しています。
・また、東海地震、東南海・南海地震等の大規模地震発生の切迫性が指摘されており、
宮崎市、延岡市、日南市、日向市、新富町、門川町の4市2町が東南海・南海地震
に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法第3条の規定に基づき、東南海・南
海地震防災対策推進地域としての指定を受けています。
資料:宮崎県「宮崎県建築物耐震促進計画」
<課題>
○土砂災害の発生を未然に防ぐとともに、災害発生の危険性の高い箇所を回避する災
害に強い道づくりが必要です。
○災害が発生した場合においても、迅速な復旧や橋梁の耐震化など、移動ルートやラ
イフラインの確保、県民の日常生活や企業活動、救急医療体制への影響が最小限に
とどめられる安全・安心な道づくりが必要です。
15
(5)救急医療体制
<現状>
・高度の検査・手術を要する重篤救急患
者の救命医療を行う第三次救急医療施
設は宮崎市、延岡市にしかなく、さら
に入院治療を必要とする重症救急患者
を受け入れる第二次救急医療施設の多
くも都市部に集中しています。
<課題>
○限られた医療体制の中で質の高い医療
サービスをより効率的に受けられるな
ど、すべての県民が安心できる医療供
給体制の構築を支援する道づくりが必
要です。
▲
二次医療圏と高次医療施設の分布
資料:宮崎県「宮崎県医療計画(平成 20 年 3 月)」
(6)自然環境・景観
<現状>
・宮崎県には、九州山地や霧島山系に代表される雄大で緑豊かな自然環境が数多く存
在し、景観性にも優れています。
・また、この他にも日向灘や日豊海岸、大淀川に代表される海岸や水辺の景観、中山
間地域における個性豊かな農山村の景観、宮崎市の橘通り・高千穂通りなどに代表
される市街地の景観など、良好な景観が数多く存在します。
・道路事業を進めることにより、少なからず自然環境・生態系や周辺の景観に影響を
与えることは避けられない状況にあります。
<課題>
・緑豊かな自然環境への影響を回避もしくは最小限な範囲にとどめることや、地域の
特性に応じた良好な景観形成に配慮した道づくりが必要です。
16
4-2 宮崎県の道路交通特性からみた課題
(1)道路整備状況
<現状>
・高速道路の供用率は50%、国・県道の改良率は65%と九州で最も低い整備水準
となっています。
80%
60%
60%
72%
69%
70%
73%
▲
国県道の改良率
65%
沖縄
鹿児島
高速道路の供用率(H22 年 12 月現在)
宮崎
鹿児島
宮崎
大分
熊本
長崎
0%
佐賀
20%
0%
福岡
40%
20%
九州
40%
全国
74%
77%
60%
50%
▲
75%
大分
72%
熊本
72%
長崎
74%
佐賀
68%
79%
福岡
70%
80%
九州
79%
全国
80%
92%
100%
100%
(注)H20.4.1 現在で、車道幅員 5.5m以上の改良率
資料:宮崎県
資料:宮崎県「道路施設現況調書(H20.4.1現在)」
国土交通省「道路統計年報2009」
<課題>
○活力ある地域づくりを進める上で、早期の高速道路ネットワークの整備が喫緊の課
題であるとともに、都市部や中山間地域を結ぶ国県道の整備が必要です。
(2)道路交通の状況
<現状>
・宮崎県の自動車交通需要は宮崎、都城、延岡地域に集中し、特に宮崎地域への一
極集中が顕著です。
・隣接県との結びつきをみると、鹿児島県とは交流が盛んですが、大分県、熊本県
とは交流が少ない状況にあります。
・交通需要が集中する宮崎市などの都市部を中心に交通渋滞が発生しており、宮崎
県内には主要渋滞対策ポイントが19箇所指定されています。
(単位:百台/日)
▲
▲ 宮崎県の地域間交通需要(H17)
宮崎都市圏の主要渋滞箇所
資料:宮崎県交通渋滞対策協議会
「新たな渋滞対策計画(平成 17 年 7 月)
」
資料:国土交通省「平成 17 年道路交通センサス」
17
<課題>
○産業や観光振興を支援する広域交通ネットワークの整備が必要です。
○交通需要が集中している都市部の円滑な交通移動が図られるような道路整備、交通
体系の構築が必要です。
(3)交通安全対策の状況
<現状>
・交通事故は宮崎市、延岡市、都城市等の都市部で多発しています。
・平成18年度から20年度にかけては、事故件数、死亡者数とも減少傾向にありま
したが、平成21年度で再び増加に転じました。
・高齢者の事故件数は増加傾向にあり、高齢者の事故による死亡者数は、全死亡者数
の約半数を占めています。
60.0%
240
200
)
死
160 亡
者
数
120
人
/
80
年
(
(
12,000
10,806
11,000
交
10,090
通 10,000
8,835 10,612
事
7,977
7,818
9,820
7,424
9,384
故
8,000
発
生
117
件 6,000
91 82
87 87 78 96 80
数
73
4,000
48
人
/
年 2,000
件数
死者
0
)
40
高
齢
者
が
関
与
し
て
い
る
割
合
0
43.8%
40.0%
26.4%
30.0%
20.0%
資料:宮崎県警「平成 21 年
27.3%
16.3%
14.6%
13.5% 13.8%
13.1%
31.6%
30.3%
28.3%
10.0%
件数
負傷者
死者
0.0%
H17
▲
宮崎県の交通事故件数の推移
52.1%
45.8%
H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21
▲
56.3%
51.3%
50.0%
H18
H19
H20
H21
高齢者関連の事故、死者・負傷者の割合の推移
資料:宮崎県警「平成 21 年
宮崎県の交通事故」
宮崎県の交通事故」
・宮崎県の歩道整備率は41%であり、九州内の平均値42%を下回っています。
・このうち、通学路における歩道整備率は68%であり、緊急に歩道整備が必要な道
路延長は約230km存在します。
80%
73%
60%
40%
42%
44%
45%
41%
38%
37%
41%
未整備率
32%
L=230km
整備率
68%
L=490km
41%
20%
県管理道路の通学路延長
L=720km
0%
九州
福岡
佐賀
長崎
熊本
大分
0%
宮崎 鹿児島 沖縄
20%
▲
▲ 歩道の整備率
資料:国土交通省「道路統計年報2009」
40%
60%
80%
100%
通学路内における歩道整備率
資料:宮崎県「交通安全施設現況調査(H22.4.1現在)」
宮崎県「特定交通安全施設等整備事業を実施すべき
道路の指定(H21.3)
」
<課題>
○高齢者の交通事故の発生割合は増加傾向にあることから、お年寄りや児童・生徒を
交通事故の危険から守るため、安全・安心な歩行環境の確保が必要です。
18
4-3 道路整備を取り巻く環境の変化からみた課題
(1)計画的な維持管理
<現状>
・平成22年度の宮崎県の道路予算は、平成13年度と比較すると約6割となってい
ますが、予算の減少に関わらず維持費はほぼ横ばいの約60~70億円を要してい
ます。
・今後、橋梁などの道路施設の老朽化がますます進むことから、道路維持費のさらな
る負担が懸念されます。
当初予算(億円)
800
700
684
*維持費は、維持調査費、道路維持費、舗装補修費、沿道修景費、橋梁維持費の合計
*棒グラフの最上部の数値は、各年度の道路予算(道路、橋梁等の整備費と維持費の合計)
630
616
600
550
481
500
428
400
385
391
410
393
300
200
0
72
60
56
61
71
64
64
64
64
H13
H14
H15
H16
H17
H18
H19
▲宮崎県の道路予算の推移
H20
H21
H22
64
維持費
100
資料:宮崎県「県土整備行政概要」
北方高千穂線(綱の瀬橋)
▲ 建設後 50 年を経過する橋梁の推移
資料:宮崎県「宮崎県汗人(アセット)マネジメント」
門川港線(尻無川橋)
上部工床版の腐食状況
▲
老朽化橋梁の状況
<課題>
○高度経済成長期を中心に整備された多くの社会資本について、今後老朽化していく
ことが予想されるため、世代を超えて長持ちさせ大事に使う「ストック型社会」へ
の転換を図り、計画的な維持管理・更新が必要です。
19
(2)県民との協働による道づくり
<現状>
・道路整備に対する県民の信頼度を向
上させるため、道路整備の各段階に
おいて透明性・公正性が確保された
プロセスを経ることが重要となって
きています。
・本県では、行政、住民、利用者、
NPO などが一体となって、日南海岸
や日豊海岸において、「風景街道(シ
ーニック・バイウェイ)*」の取り組
みが行われています。
■シーニックバイウェイへの取り組み
■日南海岸きらめきライン
<宮崎市・日南市・串間市>
地域の人々の連携協力により、
南国ムード溢れる景観、豊かな
自然、歴史、文化資源や暮らし
などの地域の魅力を体験するプ
ロジェクトや各種イベントや情
報発信を「おもてなし」の心で
取り組み、日南海岸地域の本物
の魅力を引き出していく。
*風景街道(シーニックバイウェイ):道路そのものを観光資源として活用するという新しい
視点での取り組み
<課題>
○道路整備の早い段階からの情報公開や住民参加を図るなど県民との協働による道づ
くりが必要です。
○地域住民による道路の清掃や植栽活動なども含め、人の集う道路空間を活用した地
域力の向上に資する道づくりが必要です。
(3)より使いやすい道路のあり方
<現状>
・道路に関する情報発信機能として、案内標識や「道の駅」での道路交通情報・地域
情報の発信、県庁ホームページや携帯電話等により通行規制情報等が提供されてい
ます。
<課題>
○道路利用者の利便性のさらなる向上のため、ICT技術を活用した道路交通情報や
道路案内標識の一層の充実が必要です。
20
5
道路に対する県民のニーズ
5-1 アンケート調査
宮崎県に求められる道路のあり方を把握するため、アンケート調査を実施しました。
●調査内容
道路の「整備」「維持管理」「利活用」に関して、重要と考えられる内容を選択
式(企業に対しては記述式)により調査。
●調査対象
県民、市町村長、企業・団体
●調査方法
・県 民 ア ン ケ ー ト:県内居住者のうち住民基本台帳より無作為に抽出した3,500
名 に 郵 送 、 ま た 各 市 町 村 等 の 窓 口 に 1,000 部 配 置 し 、 約
1,500名の方の回答を回収。
・市町村アンケート:県内の全28市町村に対し、郵送により配布・回収を行い、
全ての市町村から回答を回収。(対象はH21.8時点の市町
村)
・企 業 ア ン ケ ー ト :県内の216事業所・団体に郵送配布し、75事業所・団体
から回答を回収。
●調査時期
・県民アンケート、市町村アンケート:平成21年8月
・企業アンケート:平成21年10月
■アンケート結果
(1)道路の整備
・県民、市町村、企業のいずれも、高速道路の整備に関するニーズが突出しています。
・県民、市町村では、道路防災対策、交通事故対策などの安心な暮らしを支える道路
整備や通勤、通学等で利用する日常生活で利用する道路整備に関するニーズが高く、
宮崎県中長期道路整備計画の当初計画(平成15年)策定時に実施した県民アンケ
ートとほぼ同様の傾向を示しています。
市町村アンケート上位5項目
県民アンケート上位5項目
回答者数
1,530人
0.0% 20.0% 40.0% 60.0% 80.0%
71.8%
高速道路の整備
見通しの悪い交差点や区間
などの交通安全対策
回答市町村数
28市町村
0.0%
82.1%
高速道路の整備
道路防災対策や危険箇所を回
避する道路の整備
39.5%
道路防災対策や危険箇所を
回避する道路の整備
37.6%
通勤、通学等の日常生活で利
用する道路の整備
通勤、通学等の日常生活で
利用する道路の整備
36.1%
見通しの悪い交差点や区間な
どの交通安全対策
合併した市町村内を広域的
に結ぶ道路の整備
50.0%
中山間地と主要都市間を結ぶ
道路の整備
29.7%
21
71.4%
57.1%
42.9%
32.1%
100.0%
・企業では、農林水産物の生産地と集荷
場・市場、高速道路と空港・港湾を連
絡する道路の整備といった物流効率化
を支援する道路の整備や、観光地周
辺・観光地間の道路整備、景観に配慮
した道路整備等の観光を支援する道路
の整備に関するニーズが高くなってい
ます。
企業アンケート
回答企業数
75社
0.0%
20.0%
高速道路、地域高規格道
路の整備
40.0%
60.0%
44.5%
物流・観光を支援する道路
の整備
19.3%
都市部の整備
17.6%
道路の線形改良・拡幅等
10.9%
中山間地域の道路整備
7.6%
(2)道路の維持管理
・道路の適切な維持管理や緊急時の対応に関するニーズが高くなっています。
・道路の維持管理に関する県民アンケートの自由意見をみると、「路面の凸凹や悪化
した舗装への対応」、「道路排水への対応」といった日頃の維持管理に対するニーズ
が高いとともに、「度重なる補修工事等への対応」といった維持管理の効率化に対
するニーズも高くなっています。
県民、市町村アンケート(選択枝回答)
県民アンケート(維持管理に関する自由意見内訳)
0.0% 20.0% 40.0% 60.0% 80.0%
適切な維持管理による道路
の長寿命化の促進
40.1%
行政による道路巡回や異常
時の緊急対応の強化
39.3%
沿線住民の参加による道路
の清掃や植栽の管理
回答者数
0.0%
166人
30.0%
23.5%
路面の凸凹や穴の維持補修対策
60.7%
7.1%
20.6%
道路の排水対策
19.9%
道路の除草・清掃等
18.7%
度重なる道路の補修工事等
17.5%
32.1%
道路の白線の磨耗、道路端の段差対策
県民アンケート
15.0%
7.2%
市町村アンケート
・企業では、台風・大雨等の異常時の緊
急対応や早期復旧等に関するニーズが
最も高くなっています。
・また、景観保全や交通安全確保のため
の街路樹等の管理や、適切な維持管理
による道路の長寿命化のニーズも高く
なっています。
企業アンケート
回答企業数
75社
0.0%
40.0%
39.1%
異常時の緊急対応の強化
景観や交通安全確保のため
の街路樹等の管理
適切な維持管理による道路
の長寿命化の促進
損傷した路面の改修
路上工事の縮減や規制時間
短縮
22
20.0%
21.7%
13.0%
10.9%
8.7%
60.0%
(3)道路の利活用
・道路の利活用では、道路整備への住民等の意見の取り込み、高速道路・有料道路の
利用促進、道の駅等の整備や機能強化、公共交通機関や自転車等の利用を促進する
ための取り組みに関するニーズが高くなっています。
県民、市町村アンケート
0.0%
20.0%
40.0%
60.0%
80.0%
44.7%
道路整備の計画段階から住民等の意見を取り
入れる取組み
67.9%
41.2%
32.1%
高速道路や有料道路の料金引き下げ等による
利用促進
23.0%
道路利用者の休憩や地域活動の拠点となる
「道の駅」等の整備や機能強化
46.4%
公共交通機関や自転車等の利用を促すための
取組み
21.4%
14.3%
信号機の改良や混雑状況を随時提供する情報
通信技術等の活用
20.8%
17.9%
県民アンケート
市町村アンケート
・企業では、わかりやすい案内板・標識の設置、高速道路等の料金引き下げによる利
用促進、道路空間の交流イベント等の活用に関するニーズが高くなっています。
企業アンケート
0.0%
10.0%
17.5%
わかりやすい案内板・標識等の設置
高速道路等の料金引き下げによる利用
促進
15.0%
道路空間の交流イベントや駐輪駐車場
への活用
12.5%
地域活動の拠点となる「道の駅」等の
整備や機能強化
10.0%
道路整備の計画段階から住民意見を取
り入れる取り組み
10.0%
信号機の改良や混雑状況を提供する情
報通信技術の活用
公共交通機関や自転車の利用促進
7.5%
5.0%
23
20.0%
5-2
有識者の声
宮崎県中長期道路整備計画の検討に当たり、有識者で構成する「宮崎県中長期道路
整備計画懇談会」や関係機関で構成する「宮崎県幹線道路協議会」を開催しました。
当懇談会や協議会では、県内各地の現状や道路の将来像などについて意見が交わさ
れました。
(1)宮崎県中長期道路整備計画懇談会
第1回:平成21年9月7日開催
第2回:平成21年11月12日開催
第3回:平成22年9月2日開催
第4回:平成23年2月10日開催
①雇用、企業誘致、観光などを支援する高速道路等の整備は重要
②中山間地域においては、過疎化や高齢化が進んでいることから、「命の道」など地
域に役立つ道路の整備が喫緊の課題
③道路ネットワークとして、農林道や市町村道を有効に活用することが必要
④道路整備の計画段階から住民の意見を取り入れる工夫が必要
⑤災害に強い道路の整備が不可欠
⑥道の駅を防災拠点とする利活用する取り組みはできないか
⑦異常気象時の規制や農林道等も含めた迂回路表示など、情報提供の充実が必要
⑧口蹄疫など異常事態発生時の道路ネットワークの検討が必要
⑨物流車両の大型化に対応できる道路整備、補修が必要
⑩本計画期間内に完了しない整備予定箇所について、その位置づけを示すべきでは
⑪シーニックバイウェイに例えられる、観光資源として道路を活かす施策が必要
⑫渋滞緩和、解消する高速道路やバイパス整備は環境対策の面からも重要
⑬美しい沿道景観を形成するため、無電柱化の取り組みが必要
⑭高速道路のPAのあり方や情報発信基地としての有効活用が必要
⑮自動車中心の道路整備だけではなく、自転車、歩行者の視点も重要
⑯道路環境の保全について、行政の直接的な取り組みや民間との協働の重要性を示す
べき
⑰長期計画期間の中では、道路をとりまく環境などの状況の変化が考えられる
(2)宮崎県幹線道路協議会
第1回:平成21年10月29日開催
第2回:平成21年12月18日開催
第3回:平成22年11月12日開催
①救急医療施設の配置に対して道路整備がどう支援できるか検討が必要
②高速道路整備に加え、周辺道路が一体となった整備が必要
③周辺観光資源を活かした道の駅の利活用が必要
④道路整備の効果、特に高速道路の必要性をわかりやすく示すべき
⑤物流については、港湾やJRの有効活用の観点も重要
⑥道路の維持管理の重要性について、施策や目標の明示が必要
24
6
宮崎県の道づくりの将来ビジョン
前章までに整理した、道路を取り巻く様々な環境の変化や新たな課題、県民のニー
ズなどを踏まえ、「地域の活力向上と活性化」、「地域の自立と発展」、「安全で快
適な暮らし」の実現に寄与することが、宮崎県の道路が果たすべき役割として重要で
あると考えられることから、本章では、この役割を果たすために必要な道づくりの基
本的方向性である「道づくりの基本目標」と、これらの実現に向けた「道づくりの基
本方針」を定めます。
6-1 道づくりの基本目標
宮崎県の道路が果たすべき役割を達成するため、以下の3つの道づくりの基本目標
を定めます。
<道づくりの基本目標>
○生活圏・経済圏の拡大に対応した「県内1時間構想」の実現
○各地域の交流・連携を支援する「広域交通ネットワーク」の構築
○安全・安心・快適に生活できる「地域交通ネットワーク」の構築
6-2 道づくりの基本方針
先に掲げた「道づくりの基本目標」の実現に向けた道づくりの取り組み方針として、
以下の3つの柱を定め、この基本方針のもとに今後の道づくりを進めていきます。
<道づくりの基本方針>
◆基本方針1:力強い「経済」の浮揚を支援する道づくり
・力強い「経済」の浮揚に向けて、農林水産物等の輸送効率化、企業立地、港湾の有
効活用や周遊型観光振興を支援する道づくりを進めます。
◆基本方針2:定住自立を図る「地域」の発展を支援する道づくり
・定住自立を図る「地域」の発展に向けて、中山間地域等における地域間交流、都市
部における円滑な移動の確保、救急医療施設へのアクセス向上を支える道づくりを
進めます。
・個性ある地域づくりや広域的な連携活動に資する道づくりを通して、地域の活力向
上を促進します。
◆基本方針3:安全・安心な「くらし」の確保を支援する道づくり
・安全・安心な「くらし」の確保に向けて、災害時の集落の孤立化防止、交通事故の
軽減に資する道づくりを進めるとともに、快適な都市空間や景観の形成を支える道
づくりに努めます。
・ストック型社会に対応した道路の計画的な維持管理を進めます。
25
7
宮崎県の道づくり施策
本章では、前章で設定した3つの基本方針に対応する11の道路整備の施策内容を示
します。
なお、「道づくりの施策」を展開していく際には、「効率的、効果的な道路整備」、
「道路事業における透明性や公正性の確保」に配慮します。
<効率的、効果的な道路整備>
・限られた予算の中で、より効果の高い施策や事業へ投資を重点化することで、計画
的・効率的な道づくりを進めます。
・計画段階から維持・管理段階に至る全ての段階での総合的なコスト縮減に取り組み
ます。
・国・県・市町村が連携し、国道や県道に加え、農林道や市町村道などを有効に活用
した道路ネットワークづくりを図ります。
<道路事業における透明性や公正性の確保>
・地域住民や道路利用者に対し、事業の必要性や効果等をわかりやすく説明しながら
道づくりを進めます。
・県民のニーズを的確に把握し、施策等への反映に努めます。
26
7-1 力強い「経済」の浮揚を支援する道づくり
【施策の体系】
基本方針1
力 強 い 「 経
済」の浮揚を
支援する道づ
くり
①九州の一体的発展に向けた広域的
活動の連携を支援する道づくり
②産業活動を支援する道づくり
・農林水産物のための県内外の物
流効率化を支援する道づくり
・企業立地による産業活性化を支
援する道づくり
・重要港湾、JR貨物駅と連携し
た物流機能の充実を支援する道
づくり
・周遊型観光振興を支援するとと
もに、隣県との広域的連携を支
援する道づくり
●高速道路、地域高規格道路の整備
●農林水産物の生産拠点と高速道路I
C等を連絡する道路の整備
●工業団地と高速道路IC等を連絡す
る道路の整備
●重要港湾やJR貨物駅と高速道路I
C等を連絡する道路の整備
●主要観光地と高速道路IC等を連絡
する道路の整備
①九州の一体的発展に向けた広域的活動の連携を支援する道づくり
・宮崎県内産業の活性化や物流の効率化、周遊型の観光振興などを支援するために、
九州の一体的発展に向けた交流・連携をサポートする高速道路・地域高規格道路
の整備を促進します。
<代表的な事業>
○高速道路・地域高規格道路の整備
・東九州自動車道(県境~延岡 JCT・IC、日向 IC~高鍋 IC、清武 JCT~日南 IC)
・九州横断自動車道延岡線(国道 218 号北方延岡道路「蔵田~北方 IC」、国道
218 号高千穂日之影道路)
・都城志布志道路 等
②産業活動を支援する道づくり
・高速道路・地域高規格道路等の高速道路ネットワークの拡充にあわせ、農林水産
物や製造品の県内外への物流効率化と物流拠点へのアクセス性の向上、新規の企
業立地による産業活性化、周遊型の観光振興を支援するため、生産拠点、重要港
湾・JR貨物駅、主要観光地などから高速道路ICを連絡する道路整備を進めま
す。
<代表的な事業>
○農林水産物の生産拠点と高速道路IC等を連絡する道路整備
・都農インター線 等
○工業団地と高速道路IC等を連絡する道路整備
・清武南インター線 等
○重要港湾と高速道路IC等を連絡する道路整備
・国道 327 号 日向バイパス、益安平山線(平山工区) 等
○主要観光地と高速道路ICを連絡する道路整備
・国道 219 号 広瀬バイパス 等
27
7-2 定住自立を図る「地域」の発展を支援する道づくり
【施策の体系】
基本方針2
定住自立を図
る「地域」の
発展を支援す
る道づくり
①地域間交流を促進する道づくり
●都市間及び中山間地域と都市間を連
絡する道路整備
●中山間地域における生活・産業を支
援する道路整備
●合併市町村内における中心地域と周
辺地域を連絡する道路整備
②救急医療施設へのアクセス向上を
支援する道づくり
●救急医療施設等へのアクセス道路の
整備
③都市及び都市近郊における円滑な
移動を支援する道づくり
●渋滞緩和を図るバイパスや環状道路
の整備、交差点改良
●路上工事の縮減、渋滞情報等の提供
●都市部の渋滞緩和や公共交通の円滑
な移動を図るためのモビリティマネ
ジメント*の展開
④個性を活かした魅力あるまちづく
りを支援する道づくり
●道路空間を活かした地域活性化や交
流の場としての利用促進
●地域資源の有効活用による魅力ある
地域づくりを目的とした取り組みへ
の支援
●快適で利便性を向上させるための
「道の駅」などの情報発信拠点の整備
*モビリティマネジメント:1人1人のモビリティ(移動)が、社会的にも個人的にも望ましい
方向(過度な自動車利用から公共交通等を適切に利用する等)に変
化することを促す、コミュニケーションを中心とした交通政策
①地域間交流を促進する道づくり
・都市間の連携及び中山間地域と都市間との連携を強化し、広域的な活力ある地域
づくりを支援する道路の整備を進めます。
・中山間地域における集落の活性化や日常生活の維持・充実、産業の振興を支援す
る道路の整備を進めます。
・合併市町村内の日常生活圏の拡大により、旧市町村の区域を越えた行政需要の高
まりや高度化・多様化する住民のニーズに的確に対応できる市町村の充実強化を
支援する道路の整備を進めます。
・中山間地域などの狭隘道路の整備においては、限られた予算を効果的に使い、地
域の状況に応じた最低限の通行機能を早期に確保するため、1.5車線的道路整備に
も取り組みます。
・国道や県道の整備に加え、農林道や市町村道などの既存の道路を活用した道路ネ
ットワークの構築を図るため、各管理者と連携し事業展開を図ります。
<代表的な事業>
○中山間地域等における生活、産業を支援する道路整備
・国道 388 号 日平工区、国道 265 号 上米良工区 等
・国道 388 号 舟方工区、国道 327 号 石原工区 等
28
②救急医療施設へのアクセス向上を支援する道づくり
・救急医療施設(3次、2次)へのアクセス向上(時間短縮、搬送時の患者への負
担軽減)を支える道路整備を進めます。
<代表的な事業>
○救急医療施設へのアクセス道路の整備
・国道 388 号 舟方工区、国道 327 号 佐土の谷工区
等
③都市及び都市近郊における円滑な移動を支援する道づくり
・渋滞緩和を図るバイパスや環状道路の整備、渋滞対策ポイントの解消を進めます。
・都市内の円滑な移動を支援するソフト的な対応として、道路規制情報の周知等に
よる渋滞情報の提供に努めます。
・都市部における渋滞対策と公共交通の円滑な移動を図るために、過度の自動車利
用の抑制と公共交通の利用促進などを目標とした「宮崎都市圏総合交通戦略」の
年次計画に基づき、住民の自発的な交通行動の見直しを促すモビリティ・マネジ
メントを実施するとともに、アンケート調査を通して、現況公共交通の問題点の
抽出を行い、その対策などを行います。
<代表的な事業>
○渋滞緩和を図るバイパスや環状道路の整備、情報提供等
・国道 10 号門川日向拡幅、新富バイパス、宮崎西環状線(松橋、古城工区)
・国道、県道等での渋滞情報の提供 等
等
④個性を活かした魅力あるまちづくりを支援する道づくり
・「橘通り」や「県庁楠並木通り」におけるストリート音楽祭、朝市、宮崎神宮大祭、
マラソン大会など、道路はさまざまなイベント空間として活用されています。今
後とも道路空間を地域活性化や交流の場としての活用促進を図るため、特色ある
道づくりを推進します。
・地域資源の有効活用による魅力ある地域づくりを目的とした日南海岸や日豊海岸
での「風景街道(シーニック・バイウェイ)」への取り組みを支援します。
・ 道路利用者の休息の場であり、地域資源や道路の情報発信の場となっている「道
の駅」を、さらに快適で利便性を向上させるための整備を図ることにより、地域
の活性化を推進します。
・ 地域の魅力を発信・提供し地域全体の活性化を図るため、地域主体で運営する新
たな地域型 SA・PA の設置を促進し、地域との連携・交流拠点となる道づくりを
支援します。
29
7-3 安全・安心な「くらし」の確保を支援する道づくり
【施策の体系】
基本方針3
安全・安心な
「くらし」の
確保を支援す
る道づくり
①災害時、異常事態発生時における
住民生活への影響を軽減する道づ
くり
●異常気象時における集落の孤立化を
防止する道路整備
●口蹄疫など異常事態発生時における
住民生活や産業活動への影響を最小
減に留める道路ネットワークづくり
●災害発生時の迅速な応急対応に資す
る緊急輸送道路 * の安全性の向上と
早期復旧に向けた体制づくり
②お年寄りや子供を含む全ての人の
安全・安心を確保できる道づくり
●安全・安心な歩行者、自転車通行環
境の整備
●歩道のバリアフリー化の推進
③環境の保全に寄与する道づくり
●低炭素社会の実現に寄与する渋滞対
策やモビリティマネジメントなどの
施策の推進
●都市部における幹線道路の緑化や電
線類の地中化の推進
④効果的な道路交通情報などの提供
●利用者にとってわかりやすい道路案
内標識の設置
●災害発生時や口蹄疫などの異常事態
発生時における効果的な交通情報の
提供
⑤安全・快適な道路環境を将来にわ
たって守るための計画的・効率的
な維持管理の推進
●維持管理費の縮減
●予防保全型の計画的な管理
●県民との協働による道路環境の保全
活動の推進
* 緊 急 輸 送 道 路 : 災 害 時 に お け る 救 急 救 命 活 動 を 支 え る 道 路 で す 。 県 内 40 路 線 ( 延 長
1,567km)が指定されています。
①災害時、異常事態発生時における住民生活への影響を軽減する道づくり
・災害危険箇所を回避する道路改良や災害を未然に防ぐ道路防災対策(斜面崩壊、
落石対策等)により、異常気象時等における集落の孤立化を防止する道路整備を
進めます。
・災害発生や口蹄疫発生などの異常事態発生に伴う通行止めや通行規制による住民
生活や産業活動への影響を最小限に留めるため、国・県道のみならず、市町村道
や農林道を含めた道路ネットワークのあり方や、リダンダンシー(代替機能)の
確保を念頭においた新たな道路ネットワークづくりについて検討します。
・災害発生時などの緊急時においても、迅速な応急活動に資するための緊急輸送道
路*における安全性の向上(道路改良、橋梁等の耐震補強など)を図るとともに、
早期復旧に努めます。
<代表的な事業>
○異常気象時等における集落の孤立化を防止する道路整備
・国道 219 号、265 号、327 号、388 号、日之影宇目線、緒方高千穂線 等
○緊急輸送道路における安全性の向上(道路改良、橋梁等の耐震補強など)
・国道 219 号横野バイパス、国道 327 号 石原工区、中野原美々津線(中野原
工区)、東郷西都線(戸崎工区) 等
30
②お年寄りや子供を含む全ての人の安全・安心を確保できる道づくり
・交通量の多い市街地や通学路における事故防止のため、歩行者・自転車通行環境
の整備を図ります。
・全ての人が移動しやすい空間づくりの観点から、歩道のバリアフリー化を図ると
ともに、ユニバーサルデザインに配慮した整備を進めます。
<代表的な事業>
○市街地や通学路における歩道等の整備
・国道 221 号、宮崎須木線における歩道等の整備
○歩道のバリアフリー化の推進
・JR駅、バスターミナル等の交通結節点周辺の歩道のバリアフリー化
③環境の保全に寄与する道づくり
・地球環境の保全の観点から、低炭素社会の構築に寄与する道づくりとして、都市
部における渋滞対策、宮崎都市圏総合戦略に基づいたモビリティ・マネジメント
の推進、自転車利用環境の創出・改善などの施策の展開を図ります。
・美しい沿道景観の形成、快適な歩行者空間の提供、大規模地震発生時の延焼防
止・ライフラインの確保の観点から、都市部における幹線道路の緑化や無電柱化
(電線共同溝などによる地中配線、軒下配線・裏配線など)を図ります。
④効果的な道路交通情報などの提供
・既存の道路案内標識の改善や分かりやすい道路標識を設置するなど、県外観光客
や地域に不慣れな方の利便性向上に努めます。
・既存の SA・PA を活用した、観光資源や特産物などの地域情報の提供や観光地への
わかりやすい誘導手段などについて検討します。
・携帯電話やパソコン等により、異常気象時の交通規制情報をわかりやすく提供す
ることに努めます。
・口蹄疫発生などの異常事態発生時において、国や県が管理する道路を始め、市町
村道や農林道を含めた、それぞれの管理者と交通規制に関する効果的な情報提供
のあり方について検討します。
⑤安全・快適な道路環境を将来にわたって守るための
計画的・効率的な維持管理の推進
・道路に求められる一定のサービス水準を確保しつつ、維持管理手法の高度化や一
層の効率化を図ることにより、維持管理費の縮減を図ります。
・定期的な点検・診断を実施することにより、状態が悪くなる前に対応する予防保
全型の管理へ転換し、長寿命化やライフサイクルコストの最小化を図っていくた
め、「宮崎県汗人(アセット)マネジメント」に基づく計画的・効率的な維持管理
に取り組みます。
・限られた予算の中で、良好な沿道修景を維持・推進するため、現在、国道 220 号
で試行している植栽等の管理手法を検証し、他の地域への拡大を検討します。ま
た、それぞれの道路管理者で行われている植栽等の管理について、さらに面的・
連続的な沿道修景が図られるよう国・県・市町村と連携を強化します。
・ボランティア団体等による道守活動やNPOを始めとするシーニックバイウェイ
推進協議会等との協働による道路環境の保全活動を推進します。
31
8
宮崎県の道づくりの目標
前章で示した宮崎県の道づくり施策を計画的に進めるために、県民の日常生活や地域
経済などに及ぼす効果を整理するとともに、道路整備の成果目標として、アウトカム指
標及びアウトプット指標を設定します。
8-1
力強い「経済」の浮揚を支援する道づくりの目標
①九州の一体的発展に向けた広域的活動の連携を支援する道づくり
・宮崎県から九州各地の所要時間の短縮により、広域的な人・モノの動きや、観光を
主体とした交流・連携が活発となり、宮崎県全体の活力の向上に寄与する目的で、
東九州自動車道や九州横断自動車道延岡線等の高速道路や地域高規格道路などを整
備します。
◆成果目標
①-1 高速道路、地
域高規格道路の整
備率
宮崎県内の高速道路が約 100km 整備され、整備率が 31 ポイント向上し
ます。また、地域高規格道路が約 26km 整備され、整備率が 33 ポイント向
上します。
成果目標
高速道路の整備率
地域高規格道路の整備率
①-2 延岡市と九州
内主要都市との所
要時間
現況
(H23.3)
50%
49%
中期
(H28.3)
79%
59%
長期
(H33.3)
81%
82%
延岡市と大分市間が 39 分短縮するなど、九州内の主要都市との所要時間
が短縮します。
現況
中期
長期
成果目標
(H23.3) (H28.3) (H33.3)
福岡市
238 分
231 分
215 分
大分市
123 分
84 分
84 分
延岡市と九州
内主要都市と
熊本市
153 分
146 分
130 分
の所要時間
宮崎市
115 分
92 分
92 分
鹿児島市
225 分
202 分
194 分
②産業活動を支援する道づくり
・県内産品の付加価値や企業立地のポテンシャルが向上し、地域産業の活性化に寄与
する目的で、農林水産物や製造品の物流効率化を促進する道づくりを行います。
・より魅力的な宮崎がPRでき、観光客の増加に寄与する目的で、周遊型観光エリア
の拡大に資する道づくりを行います。
◆成果目標
②-1 主要な農林水
産物集荷場の高速
道路 IC30 分カバー
率
宮崎県内の主要な農林水産物集荷場等(72 箇所)のうち、約 9 割(65
箇所)が高速道路ICから 30 分で到達可能となります。
現況
中期
長期
(H23.3) (H28.3) (H33.3)
成果目標
主要な農林水産物集荷 箇 所 数
場(72 箇所)の高速道
カバー率
路 IC30 分カバー率
32
42 箇所
64 箇所
65 箇所
58%
89%
90%
②-2 主要な工業団
地の高速道路 IC30
分カバー率
宮崎県内の主要な工業団地(21 箇所)のうち、ほとんど(20 箇所)が
高速道路ICから 30 分で到達可能となります。
現況
中期
長期
(H23.3) (H28.3) (H33.3)
成果目標
主要な工業団地(21 箇 箇 所 数
所)の高速道路 IC30 分
カバー率
カバー率
②-3 主要な観光地
の高速道路 IC30 分
カバー率
14 箇所
20 箇所
20 箇所
67%
95%
95%
宮崎県内の主要な観光地(54 箇所)のうち、約 8 割(43 箇所)が高速
道路ICから 30 分で到達可能となります。
成果目標
現況
(H23.3)
中期
(H28.3)
長期
(H33.3)
26 箇所
41 箇所
43 箇所
48%
76%
80%
主要観光地(54 箇所) 箇 所 数
の高速道路 IC30 分
カバー率
カバー率
◆効果事例
●東九州自動車道の整備に伴う、地域の活力向上
・ソーラーフロンティア㈱(昭和シェルソーラ
ー㈱)は、田野町、清武町に続き、国富町に
も進出しています。
高鍋 IC
・東九州自動車道の供用後、国富町の製造品出
荷額は大きく増加し、地域の活力向上に寄与
しています。
4.0
→H22.7 供用
H12.3.26宮崎西~清武間
3.0
→H13.3 供用
S61=1
H13.3.31西都~宮崎西間
2.0
→H12.3 供用
1.0
昭61
昭62
昭63
平1
平2
平3
平4
平5
平6
平7
平8
平9
平10
平11
平12
平13
平14
平15
平16
平17
平18
平19
平20
0.0
▲
製造品出荷額の推移(国富町)
資料:経済産業省「工業統計調査」
●国道 325 号田原バイパスの整備により熊本県との連携が強化
・県内有数の観光地であり、神話の里として知られる高千穂町と熊本県阿蘇地域を結ぶ観光ルー
トが形成され、観光客が増加しています。
◆観光回遊ルートの形成
高千穂町
阿蘇地域
年間観光客
約 1,7 36 万 人
( H 21 )
阿蘇地域
H5~H21
約776万人増加!
回遊ルート
R325
年間観光客
約 15 2万 人
( H 21 )
高千穂町
H5~H21
約54万人増加!
■地域ポテンシャルの大幅な向上!
資料:宮崎県観光動向調査
熊本県観光統計表
33
延岡市と九州内主要都市との所要時間
延岡市~福岡市
現況
238 分
中期
231 分
-7 分
長期
215 分 -23 分
延岡市~大分市
現況
123 分
中期
84 分 -39 分
長期
84 分 -39 分
延岡市~熊本市
現況
153 分
中期
146 分
-7 分
長期
130 分 -23 分
延岡市~鹿児島市
現況
225 分
中期
202 分 -23 分
長期
194 分 -31 分
延岡市~宮崎市
現況
115 分
中期
92 分 -23 分
長期
92 分 -23 分
*東九州自動車道と九州横断自動車道延岡線の結節点である延岡市と九州内の主要都市間の所要時
間が短縮します。現況(H23.3)、中期(H28.3)、長期(H33.3)までの整備完了後の所要時間(黒
字)と短縮時間(赤字)を示しています。
34
高速道路 IC30 分カバー圏
記号
▲
主要な農林水産物出荷場等
主要な観光地
施設名
番号
1 国見ヶ丘
2 高千穂峡
3 天岩戸神社
4 日之影温泉
5 鹿川渓谷
6 ETOランド速日の峰
7 浜木綿村
8 須美江家族旅行村
9 ひでじーのビール村
10 延岡城址
11 愛宕山
12 夕日の里・五ヶ瀬ワイナリー
13 五ヶ瀬ハイランドスキー場
14 中小屋天文台昴ドーム
15 椎葉民俗芸能博物館・鶴富屋敷
16 恋人の丘
17 西の正倉院・百済の館
18 牧水記念館・若山牧水生家・牧水公園・若山牧水記念文学館
19 馬ヶ背・日向岬グリーンパーク
20 美々津町並保存地区
21 西米良温泉館「ゆた~と」・歴史民族資料館菊水記念館
22 西都原考古博物館・西都原古代生活体験館・西都原古墳群
23 木城えほんの郷
24 都農ワイナリー
25 宮崎県農業科学公園(ルピナスパーク)
26 綾の照葉大吊橋
27 酒泉の杜・綾ワイナリー・杜の麦酒工房
28 綾城
29 平和台公園
30 宮崎リゾート温泉「たまゆらの湯」
31 シーガイア
32 みやざき臨海公園
33 青島パームビーチホテル・こどものくに・青島・青島神社
34 堀切峠
35 グリーンパークえびの
36 えびの高原
37 北きりしまコスモドーム
38 生駒高原
39 コスモス牧場
40 陰陽石
41 たちばな天文台
42 高千穂牧場
43 関之尾滝(甌穴群)
44 霧島ファクトリーガーデン
45 都城歴史資料館
46 ホテル北郷フェニックス
47 飫肥城址
48 サンメッセ日南
49 鵜戸神宮
50 港の駅めいつ
51 南郷プリンスホテル
52 幸島の野生猿
53 串間温泉「いこいの里」
54 岬馬生息地・都井岬ビジターセンター・都井岬観光ホテル
主要な工業団地
主要な観光地
高速道路
一般国道
主要地方道
一般県道
H22 現況
中期
長期
記号
資料:宮崎県「宮崎県観光図」
■
記号 番号
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
◆ 11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
主要な工業団地
団地名
クレアパーク延岡工業団地
差木野工業用地
竹名工業団地
細島 4 区工業団地
塩付工業団地
宮崎テクノリサーチパーク
石崎工業団地
宮原工業団地
倉岡ニュータウン業務用地
宮崎ハイテク工業団地
宮崎港分譲地
宮崎学園都市ハイテクパーク
田野町西工業団地
石山工業団地
第 2 高城工業団地
高木工業団地
宮崎フリーウェイ工業団地
平川工業団地
日高嶋工業団地
吉野方工業団地
上ノ城工業団地
資料:宮崎県
「宮崎県主要工業団地のご案内」
主要な農林水産物集荷場等
番号
施設名
1 生活総合センターコア花ヶ島
2 多目的恒温恒湿貯蔵施設
3 茶流通センター
4 JA物流みやざき 広域集配送センター
5 経済連液卵加工センター
6 食肉処理施設(㈱ミヤチク都農工場)
7 食肉高度加工施設(㈱ミヤチク都農工場)
8 食肉処理施設(㈱ミヤチク高崎工場)
9 畜産副産物有効利用施設(㈱ミヤチク高崎工場)
10 食肉処理加工施設(㈱ミヤチク宮崎加工センター)
11 食肉高度加工施設(㈱都城くみあい食品)
12 鶏肉高度加工施設(宮崎くみあいチキンフーズ㈱ 宮崎市)
13 鶏肉処理施設(宮崎くみあいチキンフーズ㈱ 日向市)
14 鶏肉処理施設(宮崎くみあいチキンフーズ㈱ 高鍋町)
15 鶏肉処理施設(宮崎くみあいチキンフーズ㈱ 都城市)
16 鶏卵集出荷施設(児湯養鶏農協)
17 JA 宮崎経済連霧島集乳事業所
18 野菜集送センター(児湯農協)
19 野菜集送センター(都城農協)
20 野菜広域流通加工施設(㈱霧島農産)
21 野菜広域流通加工施設(㈱宮崎農産 木城町)
22 野菜広域流通加工施設(㈱宮崎農産 西都市)
23 果樹集出荷施設(尾鈴農協)
24 果樹集出荷施設(はまゆう農協 南郷町)
25 果樹集出荷施設(はまゆう農協 日南市)
26 食肉処理施設(都城市)
27 果樹加工施設(西郷村)
28 果汁工場(宮崎県農協果汁㈱)
29 動物油脂調整保管施設(南九州畜産残渣処理協同組合)
30 JA 尾鈴新選果場
31 宮崎市中央卸売場市場
32 都城市公設[地]
33 日向青果[地](株)
34 (株)延岡綜合[地]
35 [地]㈲日興青果卸売市場
36 [地](株)日南青果卸売市場
37 (株)串間青果[地]
38 (株)小林青果[地]
39 (株)えびの[地]
40 [地](株)一ッ瀬青果市場
41 (株)児湯青果[地]
42 [地]都農青果卸売市場
43 [地](株)延岡魚市場
44 (株)日向魚市場[地]
45 [地](株)小林魚市場
46 (協)延岡生花[地]
47 (協)宮崎花市場[地]
48 北浦漁協[地]
49 島浦町漁協[地]
50 延岡市漁協[地]
51 門川漁協[地]
52 庵川漁協[地]
53 日向市漁協[地]
54 日向市漁協[地]幸脇支所
55 川南町漁協[地]
56 日南市漁協[地]
57 日南市漁協[地]大堂津市場
58 南郷漁協[地]
59 串間市東漁協[地]
60 串間市漁協[地]
61 延岡市漁協名鯛名支所[小]
62 延岡市漁協名赤水支所[小]
63 都農漁協[小]
64 串間市東漁協[小]
65 高千穂林産物流通センター
66 東郷林産物流通センター
67 宮崎林産物流通センター
68 小林林産物流通センター
69 五ヶ瀬林産物流通センター
70 日向林産物流通センター
71 都城林産物流通センター
72 日南林産物流通センター
資料:宮崎県「宮崎県農畜産物等の生産と流通対策」
宮崎県森林組合連合会
*各高速道路 IC に 30 分で到達できるエリアが、現況(H23.3)→中期(H28.3)→長期(H33.3)と拡大
し、IC30 分到達圏に入る宮崎県内の主な農林水産物出荷場等、工業団地、観光地が増加します。
35
8-2
定住自立を図る「地域」の発展を支援する道づくりの目標
①地域間交流を促進する道づくり
・中山間地域の魅力ある定住環境の創出するため、中山間地域の住民の通勤・通学・
買い物などの日常生活や公共交通、医療・福祉サービスなどの利便性が向上する道
づくりを行います。
・地域の一体的な発展、活性化のため、中山間地域の豊かな自然・歴史・文化などの
地域資源を活かした交流が拡大するような道づくりを行います。
◆成果目標
宮崎県内の拠点都市(宮崎市、延岡市、都城市)から隣接地域の中心
①-1 拠点都市~隣接
都市までのアクセス時間が短縮されます。
地域の中心都市まで
現況
中期
長期
のアクセス時間
成果目標
(H23.3) (H28.3) (H33.3)
日向市
91 分
71 分
71 分
西都市
32 分
32 分
32 分
小林市
59 分
59 分
59 分
宮崎市
えびの市
70 分
70 分
70 分
日南市
57 分
37 分
37 分
串間市
88 分
69 分
69 分
日向市
32 分
32 分
32 分
延岡市
高千穂町
59 分
51 分
47 分
小林市
42 分
42 分
42 分
えびの市
52 分
52 分
52 分
都城市
日南市
71 分
61 分
61 分
串間市
59 分
59 分
47 分
◆効果事例
●国道 388 号和田越バイパス整備に伴い、地域間交流が促
進されるとともに、走行性が向上
・和田越バイパスの整備により、美郷町役場~北郷支所
(旧北郷村役場)の所要時間が短縮し、走行性が向上
しました。
・バイパスの完成で、自宅から高校への通学が可能とな
りました。
<整備前>
<整備後>
資料:宮崎県「和田超バイパス事後調査」
36
拠点都市~隣接地域の中心都市までのアクセス時間
凡
例
拠点都市
隣接地域の中心都市
拠点都市~隣接地域
の中心都市アクセス
延岡市~高千穂町
現況
59 分
中期
51 分
長期
47 分
延岡市~日向市
現況
32 分
中期
32 分
長期
32 分
宮崎市~日向市
現況
91 分
中期
71 分
長期
71 分
宮崎市~西都市
現況
32 分
中期
32 分
長期
32 分
宮崎市~えびの市
現況
70 分
中期
70 分
長期
70 分
都城市~えびの市
現況
52 分
中期
52 分
長期
52 分
宮崎市~小林市
現況
59 分
中期
59 分
長期
59 分
都城市~小林市
現況
42 分
中期
42 分
長期
42 分
宮崎市~日南市
現況
57 分
中期
37 分
長期
37 分
都城市~日南市
現況
71 分
中期
61 分
長期
61 分
都城市~串間市
現況
59 分
中期
59 分
長期
47 分
宮崎市~串間市
現況
88 分
中期
69 分
長期
69 分
*宮崎県の拠点都市(宮崎市、都城市、延岡市)から隣接する主な都市へのアクセス時間が短縮します。
現況(H23.3)
、中期(H28.3)、長期(H33.3)を示します。
37
②救急医療施設へのアクセス向上を支援する道づくり
・重篤患者の救命率向上のため、中山間地域から第三次医療施設や第二次医療施設へ
の搬送時間の短縮や搬送時の患者への負担軽減に寄与する道づくりを行います。
◆成果目標
②-1 第三次救急医療施
第三次救急医療施設(宮崎大学医学部付属病院、県立宮崎病院、県立
設 60 分カバー率
延岡病院)に 60 分で到達できる県内の人口が2ポイント向上します。
また、現況で、第三次救急医療施設に 60 分で到達不可能な地域(人口)
のうち、25ポイントが 60 分到達可能な地域となります。
現況
中期
長期
成果目標
(H23.3) (H28.3) (H33.3)
第三次救急医療施設 60 分カバ
ー率*
93%
94%
95%
第三次救急医療施設 60 分到達
不可能地域減少率
0%
20%
25%
*道路整備に加え、宮崎県が検討しているドクターヘリの導入が実現
されれば、さらなるカバー率の増加が期待できます。
◆効果事例
●国道 218 号北方延岡道路の整備に伴い、高度医療施設までの移動時間が短縮し、走行性が向上し
ました。
・日之影町から県立延岡病院までの移動時間が約 10 分短縮され、救急車も安全に走行できたこと
から重篤患者を救命することができました。
38
第三次救急医療施設
60 分カバー圏
H22 現況
高速道路
一般国道
主要地方道
一般県道
中期
長期
*第三次救急医療施設(宮崎大学医学部付属病院、県立宮崎病院、県立延岡病院)に 60 分で到達
可能な地域が、現況(H23.3)→中期(H28.3)→長期(H33.3)と拡大します。
39
③都市及び都市近郊における円滑な移動を支援する道づくり
・快適な通勤・通学環境が提供されるとともに、路線バスの定時性が向上し、都市部
における渋滞緩和に寄与する道づくりを行います。
◆成果目標
③-1 主要渋滞対策ポ
平成 17 年度に設定した県内の主要な渋滞対策ポイント(19 箇所)に
イントでの渋滞緩 ついて、緩和箇所が、現在(平成 23 年 3 月)の 13 箇所から 17 箇所に
和箇所数
増加します。
現況
中期
長期
(H23.3) (H28.3) (H33.3)
成果目標
主要渋滞対策ポイント
(19 箇所)で渋滞が緩
和される箇所の割合
箇所
13 箇所
16 箇所
17 箇所
割合
68%
84%
89%
*渋滞ポイントについては、今後の交通状況や人口変動等により見直す
場合があります。
◆効果事例
●国道 269 号天満・加納バイパス整備に伴い、交通渋滞が緩和され、都市中心部へのアクセスが向上
・国道 269 号天満バイパス・加納バイパスが整備され、国道 220 号や国道 269 号 旧道区間の交通渋滞
が緩和されるとともに、清武町から宮崎市中心部までの所要時間が短縮されました。
<主要交差点の渋滞の緩和>
宮崎大橋
高松橋
天満橋
橘橋
大淀大橋
<清武町から宮崎中心部
への所要時間の短縮>
40
④個性を活かした魅力あるまちづくりを支援する道づくり
・地域間連携の促進や魅力ある地域づくりに貢献し、地域の活性化に寄与するため、
道を介した地域活動・交流活動を支援する道づくりを行います。
・地域外との交流活性化よる地域産業の振興のため、道の駅などの交流拠点における
観光資源、特産物、イベントといった地域の情報発信に寄与する道づくりを行いま
す。
◆効果イメージ
●イベント空間としての道路の活用
◆みやざき国際ストリート音楽祭
(国道 220 号 橘通り)
◆楠並木朝市
(県庁前楠並木通り)
・宮崎国際ストリート音楽祭実行委員会
(市民を中心とした実行委員会)が主
催となってます。
・市民参加型の音楽祭を実施することで、
中心市街地イメージアップを図ると同
時に、宮崎の音楽文化の発展向上に寄
与しています。
・いっちゃが宮崎・楠並木朝市実行委員会
(宮崎市商店街振興組合連合会)が主催
となり、毎月第1、第3日曜日に開催さ
れています。
・宮崎ならではの県産品を扱うお店が多数
並び、多彩なイベントも開催されてお
り、多くの人で賑わっています。
41
8-3
安全・安心な「くらし」の確保を支援する道づくりの目標
①災害時、異常事態発生時における住民生活への影響を軽減する道づくり
・災害発生時でも安定した輸送ルートが確保されることにより、緊急物資等の確実な
輸送や迅速な復旧対応が可能となり、集落の孤立化の防止や住民の日常生活への不
安の軽減に寄与します。
・迂回に要する時間やそれに伴う経済的損失を減少させることが可能となり、災害時
における産業活動の確保に寄与します。
◆成果目標
①-1 緊急輸送道路の
改良率
緊急輸送道路(1,364km)について約 39km 整備し、改良率が 3 ポイ
ント向上します。
成果目標
緊急輸送道路
の改良率
改良済延長
改良率
現況
中期
長期
1,114km
1,131km
1,153km
82%
83%
85%
*緊急輸送道路:災害時における救急救命活動を支える道路として物流拠
点や市町村役場等を連絡する道路を緊急輸送道路として
指定しています。
*基礎データは、現況 H21.3、中期 H26.3、長期 H31.3 とします。
①-2 異常気象時通行
規制区間の整備率
異常気象時通行規制区間(942km)について、約 71km 整備し、整備
率が 8 ポイント向上します。
現況
(H23.3)
中期
(H28.3)
整備済
延長
277km
308km
348km
整備率
29%
33%
37%
2,512km
2,543km
2,583km
79%
80%
81%
成果目標
異常気象時通行規制区間
の整備率
対策済
異常気象時通行規制区間外 延長
及び異常気象時通行規制区
間の整備率
整備率
長期
(H33.3)
*異常気象時通行規制区間:国や県では、大雨による異常気象時の規制基準、
連続雨量 200 ㎜(一部 170 ㎜)を超えた場合、
通行止めとする路線及び区間を予め定めていま
す。
*異常気象時通行規制区間外及び異常気象時通行規制区間の整備率:
国県道全線(3,177km)に対し、異常気象時通行
規制区間外(2,235km)に規制区間(942km)内
の整備済み区間を加算した延長の割合です。
42
緊急輸送道路の改良計画図
凡
例
整備済み区間
中期整備済み区間
長期整備済み区間
長期事業中区間
未改良区間
*救急救命活動を支える緊急輸送道路について、整備済み区間、整備計画(中期計画、長期計画、長期
事業中)区間、未改良(長期時点で未着手)区間毎に、色別して示しています。
43
異常気象時通行規制区間の整備計画図
凡
例
整備済み区間
中期整備済み区間
長期整備済み区間
長期事業中区間
未改良区間
*国や県が定める異常気象時通行規制区間について、整備済み区間、整備計画(中期計画、長期計画、
長期事業中)区間、未改良(長期時点で未着手)区間毎に、色別して示しています。
44
◆効果事例
●国道 448 号小崎バイパスにおける、異常気象時通行規
制の解消
・国道 448 号串間市小崎において、平成 17 年度台風通過
後、道路下の斜面が崩壊し、全面通行止めを余儀なく
されました。復旧方法として、当該崩壊箇所を回避す
るトンネル工を主としたバイパス整備を計画し、平成
20 年度に完成しました。小崎バイパスの完成により、
当地区の異常気象時通行規制が解消されました。
②お年寄りや子どもを含む全ての人の安全・安心を確保する道づくり
・安全・安心な歩行空間が確保されることにより、交通事故の防止など、全ての人が
暮らしやすい生活環境の創出に寄与します。
◆成果目標
②-1 通学路内歩道整備
県内の通学路(720km)のうち、県が管理する道路の歩道を約 34km
率
整備し、整備率が 4 ポイント向上します。
現況
成果目標
整備済延長
中期
長期
487km
506km
521km
68%
70%
72%
通学路内歩道整備率
整備率
*基礎データは、現況 H22.3、中期 H27.3、長期 H32.3 とします。
*延長は、全て道路延長であり、歩道が両側に必要な区間は、両側が完成
してはじめて整備済みとします。
45
③環境の保全に寄与する道づくり
・渋滞緩和(渋滞長の縮小、混雑時間の短縮)により、CO2 排出量の削減が図られるこ
とで、快適な居住環境の創出や地球環境の保全に寄与します。
・幹線道路の緑化や無電柱化などの推進により、大規模地震発生時の延焼防止やライ
フラインを確保することで、安全・安心な生活環境の創出や良好な沿道景観の創出
に寄与します。
◆成果目標
③-1 渋滞長の縮小
平成 17 年度に設定した県内の主要な渋滞対策ポイント(19 箇所)
で発生している渋滞長が約 6km 縮小します。
現況
成果目標
③-2 混雑時間の短縮
長期
(H33.3)
渋滞対策ポイントの渋
8,800m
4,900m
3,100m
滞長
渋滞対策ポイントの渋
-3,900m
-5,700m
滞長の縮小
*現況は、H16~H22 に調査した渋滞長とします。
県内拠点都市(宮崎市、都城市、延岡市)の国県道において、混雑
度が 1.0 より大きい区間(44 区間)を走行する時間の合計が 18 分短
縮します。
現況
成果目標
③-3 市街地の幹線道路に
おける無電柱化率
中期
(H28.3)
中期
(H28.3)
長期
(H33.3)
混雑時間
351 分
336 分
333 分
混雑時間
-
-15 分
-18 分
の短縮
*現況は、平成 17 年道路交通センサスで調査した値とします。
*混雑度:調査区間の交通容量(道路のある地点を単位時間内に通過
できる車の数)に対する交通量の比を示します。混雑度が
1.0 より大きい区間では、交通容量に対して、実際の交通
量が上回っていることから、混雑が発生している区間とな
ります。
*道路交通センサス:全国の道路と道路交通の実態を把握し、道路の
計画や、建設、管理などについての基礎資料を
得ることを目的として、全国的に実施している
統計調査です(概ね5年に1回の割合で実施)。
県内の市街地内における県管理の国県道の無電柱化を 1.9km 行い、
無電柱化率が 1.1 ポイント向上します。
現況
中期
長期
成果目標
(H23.3) (H28.3) (H33.3)
無電柱化
延長
市街地 幹線道路
の無電柱化率
無電柱化
率
5.2km
6.1km
7.1km
3.1%
3.6%
4.2%
*市街地内の幹線道路:市街化区域または、人口 10 万人以上の都市の
用途地域内の一般国道及び県道です。
46
◆効果事例
●国道 269 号(都城市今町)の歩道整備に伴う歩行者の安全性向上
・自転車歩行者道が整備されたことで、通学児童等の安全性が大きく向上しました。
<整備前>
<整備後>
●県道宮崎須木線(松橋工区)の無電柱化に伴う安全・快適な通行環境の確保
・歩道の無電柱化に伴い、歩行者、自転車の安全で快適な通行環境が確保されると同時に、お年寄
りや子ども、視覚障害者等に優しい歩行環境が創出されました。
・良好な景観形成が図られるとともに、大規模地震発生時などにおけるライフラインの確保など、
都市防災機能の向上が図られます。
<整備前>
<整備後>
47
④効果的な道路交通情報などの提供
・わかりやすい道路標識の整備や観光情報の提供により、自動車を利用した移動の利
便性向上が図られ、周遊型観光などの振興に寄与します。
・適切な道路交通情報の提供により、混雑している道路への自動車流入を抑制するな
ど渋滞の緩和に寄与します。
・災害など、異常事態発生時の迅速な情報提供により、産業活動や日常生活の確保に
寄与します。
◆効果イメージ
●道の駅での効果的な情報提供
・道路情報および近隣の「道の駅」情報に加え、事故・
渋滞情報、道の駅周辺の観光施設情報、災害情報な
どを提供しています。
・情報は、観光案内図などの他に、情報端末や大型画
面で提供しています。
「道の駅」酒谷(日南市)
●宮崎県ホームページでの道路交通情報の提供
●リアルタイム画像提供
●地域別の交通規制情報の提供
48
⑤安全・快適な道路環境を将来にわたって守るための計画的・効率的な維持管理の推進
・通常時における維持管理の効率化やアセットマネジメント、橋梁長寿命化修繕計画
の取り組みに基づく予防保全型の維持管理の推進により、維持管理と修繕・補修・
架け替えに係る費用の縮減と必要予算の平準化に寄与します。
・地震等の災害に強い道づくりの一助となり、安全・安心な暮らしの創出に寄与しま
す。
・
「道守みやざき会議」などに代表される活動を通じ、道を介したコミュニティの形成
や地域づくりの輪が広がり、地域の活性化に寄与します。
◆成果目標
⑤-1「橋梁長寿命化修
繕計画」に基づき補修
を実施する橋梁数
橋梁長寿命化修繕計画に基づき、約 700 の橋梁を補修します。
現況
中期
長期
成果目標
(H23.3) (H28.3) (H33.3)
「橋梁長寿命化修繕計画」に基
33 橋
518 橋
723 橋
づき補修を実施する橋梁数
*橋梁長寿命化修繕計画(H22.9):今後、老朽化する道路橋の増大化に対応す
るため、橋梁の長寿命化並びに橋梁の修繕
及び架け替えにかかる費用の縮減を図るこ
とを目的として策定しています。平成 21
年度までの点検結果では、県管理の全橋
(2,025 橋)のうち維持補修の対象となる
橋梁が 723 橋ありますが、今後の点検によ
り補修対象橋梁数が変更となる場合があり
ます。
◆効果イメージ
●宮崎汗人(アセット)マネジメント導入による計画的な道路の維持管理
・これまでの「損傷が発生してから対応
予防保全のイメージ
する対症療法型の管理」から「定期的
な点検・診断を実施し、状態が悪くな
る前に対応する計画的な予防保全型」
へ転換し、橋梁の長寿命化やライフサ
イクルコストの最小化を図っていく
ため、宮崎県汗人(アセット)マネジ
メントの導入による計画的な維持管
理を進めています。
・今後 50 年間で、予防保全型対策の導
入により、対症療法的対策と比較して
約7割の費用縮減効果があります。
資料:国土交通省
(宮崎県橋梁長寿命化修繕計画より)
●道守みやざき会議などにおける道守活動
・
「道守みやざき会議」は、宮崎地域での道守活動の連携を図るため、県内各地のボランティア団体代
表者等に呼びかけ、平成 16 年 6 月 28 日に設立されました。
・会議には、道路の清掃、植栽の管理、交通情報案内などの活動をしている県内の団体が集まり、各々
の活動の紹介やその活動を継続する上での悩み、今後の活動に向けてのアドバイスなど様々な意見
を交換しています。
49
9
宮崎県の道路整備の姿
県内の主な道路整備について、宮崎県の目標を示します。なお、本整備計画図は現時点
における目標であり、予算や用地取得の状況により整備進捗が変動することから、確定し
たものではありません。
高速道路・地域高規格道路・一般国道の整備計画図
凡
例
整備済み区間
中期整備済み区間
長期整備済み区間
長期事業中区間
未改良区間
*上図に示す路線は、高速道路、地域高規格道路、一般国道のみ表記しており、その他の道路は省略
しています。
整備済み(平成 23 年 3 月時点で改良済み)区間、中期(H28.3)整備済み区間、長期(H33.3)整備
済み区間、長期事業中区間、未改良(長期時点で未着手)区間毎に、色別して示しています。
50
表紙
宮崎県県土整備部道路建設課
〒880-8501 宮崎市橘通東2丁目10番1号
TEL.0985-26-7180/FAX.0985-21-1655
http://www.pref.miyazaki.lg.jp/soshiki/kendo/dorokensetsu.html
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