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世界及び我が国の経済社会の展望

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世界及び我が国の経済社会の展望
食料・農業・農村基本問題調査会
委員要求資料1
世界及び我が国の経済社会の展望
平成9年6月
世界及び我が国の経済社会の展望の概要(目次)
I 世界の経済社会
1 人口
○ 開発途上国を中心として大幅に増加
2 経済
○ 全体として、拡大基調の中でアジア地域が顕著な拡大
3 環境
○ 各地域で土壌劣化や砂漠化が進行
○ 地下水の汚染
○ 地球温暖化、オゾン層の破壊、酸性雨等の問題も顕在化
4 食料需給
○ 短期的な不安定性の増大
○ 人口増加や所得の向上により需要が大幅に増加
○ 供給面は不透明な要因が多いが環境問題等の生産拡大の制約要因が顕在す
ることにより中長期的にはひっ迫する可能性
○ 現在も8億4千万人いる栄養不足人口の減少が課題
5 エネルギー
○ エネルギー需給は中長期的には不透明で、ひっ迫する可能性
II 我が国の経済社会
1 人口
○ 総人口は、当面微増で推移し、2007年を境に緩やかな減少へ
○ 高齢化、少子化の一層の進行
○ 農村部は一貫して減少
2 一般経済情勢
○ 経済成長は鈍化傾向
○ 経常収支は黒字縮小又は赤字へ
3 労働
○ 労働力は当面微増で推移したのち減少に向かい、需給はタイト化
○ 若年労働力の需給が特にひっ迫に向かう一方、女性、高齢者の比率が上昇
4 土地
○ 全体としての需給は緩和の方向
5 国民の価値観
○ 心の豊かさ、余暇・自由時間、自然との触れあいの重視
○ 安全・安心に対する関心の高まり
○ 環境問題への関心と理解の深まり
6 グローバル化の進展
7 経済社会システムの改革
I 世界の経済社会
1 人口
○ 世界の人口は、アジア、アフリカの開発途上国を中心に引き続き大幅に増加し、
2010年には69億人、2025年には80億人になると見込まれている。
○ 世界人口の予測(中位推計)
1995年
(単位:億人)
2010年
2025年
1995年=100
2010年
2025年
世界全体
57
69
80
121
141
先進地域
12
12
12
103
104
開発途上地域
45
57
68
126
151
アフリカ
7
11
15
146
202
アジア
34
42
48
121
139
(資料)国連「World Population Prospects : the 1996 Revision」
2 経済
○ 世界の経済は、拡大基調で推移し、特に、低労働コスト、豊富な資源等を活かし
て工業化、産業高度化を進めるアジア地域の拡大が顕著になると見込まれる。
3 環境
○ 世界の各地域で不適切なかんがい管理、肥料の多投入、過放牧、森林の過伐
等により土壌劣化や砂漠化がさらに進行すると見込まれる。
○ 砂漠化している面積
合計
500万ha/年以上
うちかんがい農地
天水農地
100∼130万ha/年
350∼400万ha/年
この他、放牧地でも多くの面積が砂漠化
(資料)UNEP「Status of Desertification and Implementation of the United Nations Plan of Action to Combat
Desertification」(1991年)
○ 先進諸国においては硝酸塩による地下水の汚染が問題になっている。
○ 硝酸塩による地下水の汚染状況
イギリス
中・南部の農業地帯で、広範囲に50ppm
(EUの飲用水質基準)以上
フランス
北・西部の農業地帯で、100万人以上が40∼50ppmの飲用水を飲用
旧西ドイツ
5%の飲料用地下水源で50ppm以上
デンマーク
8%の飲料用地下水源で50ppm以上
ベルギー
主要農業地帯で20∼50ppm
(資料)旧EC委員会資料
○ 長期的には、二酸化炭素等の温室効果ガスの濃度上昇等による地球温暖化や
オゾン層の破壊、酸性雨等の地球環境問題が顕在化し、農業生産への影響も懸念さ
れる。
○ 地球温暖化の予測
現在の経済活動が継続した場合、2100年には
平均気温
約2℃上昇
海面水位
約50㎝上昇
(資料)気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第2次報告(1995年)
4 食料需給
○ 世界の食料需給は、輸出国が特定の国に偏る等の農産物貿易がそもそも持つ
特殊性に加え、生産構造、貿易構造がより不安定な方向に変化することから、今後は
短期的な不安定性が増大すると見込まれる。
○ 世界の食料需要は、人口増加や所得の向上により、開発途上国を中心に大幅
に増加すると見込まれる。
○ 畜産物1kg生産に要する飼料穀物の量(トウモロコシ換算)
鶏卵
鶏肉
豚肉
牛肉
3kg
4kg
7kg
11kg
○ 一方、世界の農業生産については、農用地の面的拡大の制約や環境問題の顕
在化等、今後その拡大を図る上での種々の制約要因が明らかになっていることから、
世界の食料需給は、中長期的にはひっ迫する可能性がある。
○ 単収の伸び(年率)
1960年代3.0% → 1970年代2.0% → 最近10年間1.7%
○ 農林水産省「世界食料需給モデル」による予測(1995年)
環境問題等の制約や、かんがい等農業基盤整備の停滞等から生産の伸びが鈍化する場合、穀
物等の国際価格は2010年には2倍程度まで上昇。
○ 昨年11月の世界食料サミットにおいて、2015年までに現在の栄養不足人口(8億
4千万人)を半減することを目指して各国が協調行動をとることが宣言されたが、その
実現のためには、相当程度の努力が必要である。
○ 栄養不足人口(1990/92年)
(単位:億人)
世界全体
8.4
うち東アジア
2.7
南アジア
2.6
サハラ以南アフリカ
2.2
近東・北アフリカ
0.4
中南米・カリブ
0.6
(資料)FAO「第6回世界食料調査」
5 エネルギー
○ 世界経済の発展、人口の増加等からエネルギー需要は増加が続く。当面は需給
は安定的に推移するが、中長期的には不透明で、ひっ迫する可能性がある。
○ 地域別エネルギー需要の伸び率の見通し
(単位:%)
世界
東アジア
南アジア
中国
1991∼2000年
1.7
5.3
4.1
4.0
2000∼2010年
2.4
4.6
5.4
4.1
(資料)IEA「World Energy Outlook 1994」
II 我が国の経済社会
1 人口
(1) 総人口
○ 我が国の人口は、当面微増で推移し、2007年を境に緩やかな減少に向かうと
見込まれる。
(2) 年齢構成
○ 高齢化、少子化が一層進行すると見込まれる。
(3) 地域別
○ 都市圏の人口は当面引き続き増加し、2010年頃を境に減少に向かうと見込ま
れる。一方、農村部は引き続き一貫して減少すると見込まれる。
(4) 世帯数
○ 世帯数は増加し、特に核家族世帯、単独世帯、高齢世帯が増加すると見込ま
れる。
○ 核家族世帯、単独世帯、高齢世帯割合の予測
(単位:%)
1995年
2010年
核家族世帯
59.6
62.3
単独世帯
25.2
28.4
高齢世帯
19.8
29.5
(資料)厚生省人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計」(平成7年)
2 一般経済情勢
(1) 経済成長率
○ 貯蓄率の低下、資本蓄積の減少等により経済成長(実質GDP成長率)は鈍化
傾向で推移すると見込まれる。
○ 実質経済成長率の見通し
1996∼2000年度
構造改革のための経済社会計画(平成7年12
月)
2001∼
2010
2011∼
2025
1.9%
1.1%
3.0%(構造改革が進
展した場合)
1.75%(構造改革が進
展しない場合)
経済企画庁「財政・社会保障問題についての参
考資料」(平成8年12月)(現行ケース)
2.8%
(2) 経常収支
○ 海外生産比率の上昇、製品輸入の増加等から貿易収支の黒字が縮小するとと
もに、経常収支については黒字が大幅に縮小するか赤字となると見込まれる。
(3) 物価
○ 物価は、消費者物価、卸売物価ともに総じて安定的に推移すると見込まれる。
○ 物価の見通し
1996∼2000年
2001
∼
2005
2006
∼
2010
2011
∼
2015
2016
∼
2020
2021
∼
2025
構造改革
のための
経済社会
計画
(平成7年
12月)
消費
者物
価
0.75%(構造改革が進
展した場合)
0.5% (構造改革が進
展しない場合)
卸売
物価
▲0.25%(構造改革が
進展した場合)
▲0.75%(構造改革が
進展しない場合)
㈱三和総合研究所
卸売
物価
▲0.9%
▲
1.3%
▲
1.3%
▲
1.1%
▲
0.9%
▲
1.3%
「2025年の日本経
済」
㈱大和総研
「大和投資資料」
(平成9年2月号)
消費
者物
価
1.31%
3.47%
3.06%
卸売
物価
0.00%
1.72%
1.65%
3 労働
(1) 労働力人口
○ 総人口の動向、少子高齢化の進行を反映して、21世紀初頭以降、労働力人口
が減少して需給はタイトになり、特に、若年労働力の需給はひっ迫に向かうと見込まれ
る。その中で、女性、高齢者の比率が上昇すると見込まれる。
○ 労働力供給構造の変化、産業別労働力需要構成の変化等によるミスマッチの増
大により、失業率は現状並みに比較的高めに推移すると見込まれる。
○ 完全失業率の見通し
1994
年
構造改革のための経済社会計画(年度)
2000年
2010
年
2.75%(構造改革が進展した場合)
3.75%(構造改革が進展しない場合)
労働省雇用政策研究会報告(暦年)
2.9%
2.7%
2.8%
(2) 労働時間
○ 週休2日制や有給休暇取得が進展することにより、年間総労働時間は緩やか
に減少すると見込まれる。
○ 年間総労働時間及び年間休日日数の見通し
年間総労働時間
1995年
2020年
1,909時間
1,765時間
年間休日日数
125日
143日
(資料)(社)日本経済研究センター「2020年の日本経済」、労働省「毎月勤労統計調査」
(3) 雇用慣行
○ 終身雇用、年功序列といった固定的な雇用慣行が弱まると見込まれる。
4 土地
○ 高齢化・少子化、経済の成熟化・ボーダーレス化、国民の土地資産意識の変化
等から、土地市場にも変化が生じ、中長期的には土地の需給は緩和傾向になると見
込まれる。
5 国民の価値観
○ 心の豊かさ、余暇・自由時間、自然との触れあいなど生活の真の豊かさやゆとり
を重視する傾向がさらに強まるとともに、安全・安心に対する関心が高まると見込まれ
る。
○ 環境問題への関心と理解が深まり、持続可能な社会の形成を求める傾向が強ま
ると見込まれる。
6 グローバル化
○ 我が国経済・社会のグローバル化が一層進展すると見込まれる。
7 経済社会システムの改革
○ 行政改革、財政構造改革、経済構造改革等の経済社会システムの改革が進展
する。
○ その中で、規制緩和、地方分権、官民活動分担、行政情報の開示も進展する。
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