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フィリピン水害調査 - 中部地区自然災害科学資料センター

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フィリピン水害調査 - 中部地区自然災害科学資料センター
調査団の構成
フィリピン水害調査
●被災概要
¾ 2009年9月の台風オンドイは、マリキナ市の高級住宅街やマカ
ティ市などマニラ首都圏の外水・内水氾濫によって大きな被害を
与えた。
•
団長 辻本 哲郎 名古屋大学大学院工学研究科 教授
•
団員 鷲見 哲也 大同大学都市環境デザイン学科 准教授
¾ 被災者は、約22万人が避難し首都圏で死者173人であった。
•
団員 戸田 祐嗣 名古屋大学大学院工学研究科 准教授
¾ この水害では、人口、資産、経済活動が集中する大都市圏が被
災し、また、市街地の成り立ちと密接に関わる多様な人間活動、
土地利用がなされている地域の被災となった。
•
団員 柄谷 友香 名城大学都市環境学部 准教授
•
団員 井上 智夫 特定非営利活動法人日本水フォーラム
●調査目的
¾ 東海豪雨から10年を契機に、今後の都市型水害への対応の一
助とするため調査を行った。
•
団員 境 道男 社団法人中部建設協会 地域づくり技術研究所長
(順不同、敬称略)
月 日
3月21日
(日)
3月22日
(月)
訪問先及び調査箇所
Asian Development Bank
(アジア開発銀行)
調査箇所(2010.3.21~3.24 )
フィリピン大学
相手方等
PAGASA
持続的開発局
水災害管理上席専門家
竹谷公男氏
ロサリオ堰管理所職員
プロヴィデントビレッジ上流の状況(基準地点)
被災箇所調査、地域住民
フィリピン大学
TABIOS博士
Mangahan放水路周辺調査
被災箇所調査、地域住民
Philippine Atmospheric、Geophysical and
Astronomical Services Administration
(PAGASA:気象庁)
PRISCO博士(管理者)、SUSAN博士
(主任)
基準地点
ブロヴィデントビレッジ
ADB
3月23日
(火)
パッシグ川
MMDA
Metropolitan Manila Development Authority
(MMDA:マニラ首都圏局)
ロサリオ堰
DPWH
マンガハン放水路
Metropolitan Manila Development Authority
(MMDA)ロサリオ堰管理所
マリキナ川
訪問機関及び調査箇所
フェリーからパッシグ川を調査
マニラ国際空港
3月24日
(木)
Republic of Philippines
DEPARTMENT OF PUBLIC WORKS
AND HIGHWAYS(DPWH:公共事業道路省)
BONOANさん(Senior Undersecretary)
加本実(JICA専門家)
ラグナ湖
メトロマニラの治水対策
¾ 1990年からJICAにより策定(計画規模1/30)
マンガハン放水路
位置図
路
水
ン放
ガハ
マン
ロサリオ堰
ラグナ湖
2900 m3/s
2900m3/s
2600 m3/s
流量配分図
1200 m3/s
1200m3/s
600 m3/s
600m3/s
550 m3/s
ロサリオ堰
3
500 m /s
550m3/s 500m3/s
2400 m3/s
2400m3/s
マンガハン放水路
¾ 円借款事業によりマンガハン放水路、洪水予警システム、西マンガハンのプロ
ジェクトを実施
分派堰周辺の航空写真
洪水予警システム
西マンガハン プロジェクト
¾マンガハン西部は、マリキナ川、マンガハン放水路、ラグナ湖に囲まれた広い
低湿地
EFCOSシステム
湖岸堤と排水機場
情報伝達系統図
ロサリオ堰管理所(MMDA)
プロジェクトの看板
実績雨量と確率評価
実績水位
Max 1-hour
rainfall
(mm)
Max 3-hour
rainfall
(mm)
Max 6-hour
rainfall
(mm)
Max 24-hour
rainfall
(mm)
Boso-boso*
58, 9/26
10am
162, 9/26
286, 9/26
388
180, 9/26
293, 9/26
391
Mt. Oro*
91, 9/26
11am
202, 9/29
322, 9/26
366
73, 9/26
10am
179, 9/26
286, 9/26
358
229, 9/26
11am – 1pm
RP – more
than 50
year
382, 9/26
9am - 3pm
RP – about
350 years
540
8pm, 9/25 –
8pm, 9/26,
RP – more
than 500
years
Sto Nino
Nangka
30.00
90.0
80.0
70.0
60.0
50.0
32
40.0
30.0
1312 10
20.0
9 9
5
4
0 0 0 10.0
0.0
70
60
51 53
25.00
20.00
15.00
10.00
Rosario JS
Angono 100.0
31
13
11
5.00 0 2 2 7 1 1 0 0 0 0 0 0 0 3
0.00
Peak Water Level
(thru. Interview Survey)
17
18
19
20
21
22
23
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
0
Water lev el (M ASL)
77, 9/26
11am
Science
92, 9/26
Garden**(Quezo 11am – 12nn
Ret Pd – more
n City)
than 10
years
BasRR
Montalban
35.00
Aries*
Nangka*
Hydrographs & Hyetograph of the Pasig-MarikinaLaguna Lake river basins - TS Ketsana
R ainfall (m m )
Station
25-Sep
26-Sep
26-Sep
フィリピン大学TABIOS博士
フィリピン大学TABIOS博士
マンガハン西部の被害
プロヴィデントビレッジの被害
マリキナ川
基準地点
ブロヴィデントビレッジ
ンガ
不法占用により川幅が狭められている
ン放
ハ
パシ
マ
グ川
ロサリオ堰
水
路
家屋の状況
住民へのヒアリング
マンガハン西部の被害
ラグナ湖周辺の被害
路
水
放
an
ah
ng
Ma ナピンダム川
マリ
キ
ナ
川
¾ラグナ湖
流域面積は約3,800km2
湖面面積は900km2
(琵琶湖の1.4倍)
¾水位は12.6mから13.8mまで
上昇
ラグナ湖
ジャヴイア橋上に避難した住民
東海豪雨
ラグナ湖
Lake Level in Laguna de Bay
危険区域の宣言看板
CAINTAの浸水状況
警報サイレン
Year2009
ラグナ湖の水位変化
DPWH
Department of Public Works and Highways
公共事業道路省
¾112年前に創設され、メトロマニラの治水対策を進めてきた
¾2002年には完成したプロジェクトをMMDAに移管
ラグナ湖周辺の浸水状況
救助を求める住民
¾プロジェクトの企画・整備を行ったDPWHとの関係が明確にならないうちに
台風オンドイを向かえ、洪水管理上のオペレーションにおいて課題を残した
MMDA職員より排水機場管理
について説明を受ける
DPWH
BONOAN氏との意見交換
PAGASA
Philippine Atmospheric、Geophysical
MMDA
Metropolitan Manila Development Authority
and Astronomical Services Administration
マニラ首都圏庁
フィリピン気象庁
PAGASA、PRISCO博士(管
理者)、SUSAN博士(主任)と
の意見交換
¾MMDA、DPWH、EFCOSと情報共有により
主要河川の洪水予報の実施
¾台風オンドイにおいてEFCOSは機能しな
かった。
¾観測情報はwebで公開
¾LGU (Local Government unit )の役割や
住民への警戒・避難のための情報伝達の
仕組み等に不明確なところが多い。
¾PAGASAが発表する警告情報は、我が国
の気象に関する予警報レベルのもので、
警告レベル1~4に区分されている。
MMDA
¾2002年にパッシグ・マリキナ川等の施
設の運用・管理を行うため設置された
¾台風オンドイ襲来時には、ロサリオ堰の修
繕中のゲートを上昇操作
¾放水路沿川のサイレンによる警報や必要
な情報は発せられなかった
¾洪水予測は、上流の水位(リードタイム30
分)によっている
¾課題は、DPWHから移管された施設の老
朽化対策、不法占用地区の移動、避難地
の確保等
MMDAとの意見交換
パッシグ川の現状
資料:東洋建設(株)
老朽した水門
資料:東洋建設(株)
老朽した護岸
標準断面図
施工位置
資料:東洋建設(株)
資料:東洋建設(株)
メトロマニラ水害の課題
„
¾
¾
¾
¾
„
¾
¾
¾
„
¾
日本企業による護岸改修(発注機関:DPWH)
¾
組織間の連携
DPWH の施設がMMDAに移管されたが、MMDAにおける施設の運用・管理が
明確でない。
EFCOSにより情報共有が行われているが、台風オンドイにおいてはシステム
が機能しなかった。
DPWH、PAGASA、MMDA、LGUの役割分担と住民への警戒・避難のための
情報伝達の仕組み等が不明確である。
度重なる災害発生及び市民の生活環境等から災害に対応した暮らしとなってい
る。
住民の避難誘導
住民の居住地は、浸水リスクの高い低平地、河川沿い及び湖岸の危険区域で
あり洪水時には避難を余儀なくされる。
住民の避難は、自宅屋根、電線を伝っての避難、橋梁上、学校施設等であった。
サイレンによる警報をはじめとして必要な情報は発せられなかった。
河川等整備上の課題
MMDAの洪水時におけるオペレーション上の課題はあったが、結果的に放水
路に洪水が分派しラグナ湖に洪水を貯留し、パッシグ川下流部の被害軽減を
図った。
パッシグ川沿川の土地利用実態及び下流部の被害軽減のためには、上流域の
放水路及びラグナ湖の役割は大きい。
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