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り、胃がん細胞(Kato-III)、大腸がん細胞(DLD-1)、ヒト前骨髄性

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り、胃がん細胞(Kato-III)、大腸がん細胞(DLD-1)、ヒト前骨髄性
「すいおう」の機能性と藤島地域における推進のまとめ
1. 「すいおう」とは
~栄養価と高機能性について~
すいおうは、九州沖縄農業研究センター(本所:熊本県)において、平成16年度に育成された甘
藷(サツマイモ)の一種で、同センターの山川
理農学博士が中心となり、1,000 種を超える日本国内
外のサツマイモの品種の中から6年の研究歳月を掛けて選抜した品種である。
この研究開発により、葉のつき方や大きさ、年に3回以上の収穫が可能になったうえ、鉄、カルシ
ウム、βカロテン、ビタミンE、ビタミンKなどが、他の葉菜と比較して豊富に含まれていることが
解っている。
「すいおう」は、試験管内・培養細胞レベルで、強い抗酸化作用、抗腫瘍作用、抗高血圧作用、抗糖
尿病作用、抗エイズ作用などを示すカフェ酸誘導体を含み、特に強い活性を示す「3,4,5 -トリカフェオ
イルキナ酸」を含有している。(Koji.ishiguro et al,Acta Hort,637,339-345(2004)より引用改変)
トリカフェオイルキナ酸は、南米の特殊な植物などにしか存在が確認されていない希少なものであ
り、胃がん細胞(Kato-III)、大腸がん細胞(DLD-1)、ヒト前骨髄性白血病細胞(HL-60)の増殖をア
ポトーシス誘導により抑制することが、国立研究開発法人
農業・食品産業技術総合研究機
構の研究で明らかになっている。
さらに、すいおうはルテインの含有率も高いことが解っている。ルテインは年齢とともに減少し、
体内での合成はできない成分である。体内に吸収されると、そのほとんどが目の網膜と水晶体に蓄積
され、活性酸素の発生原因となる紫外線や可視光線のうち青白色の部分だけを吸収し、眼球内の組織
の保護に役立っている。
また、強い抗酸化力を持ち、水晶体や網膜の酸化を抑えることから、目の病気、視力低下、眼精疲
労、様々なトラブル予防に欠かせない成分である。
これまで、サツマイモの葉は、戦後の食糧難に食されていたことなどから、印象が良くなかったこ
ともあったが、すいおうの食味は、クセがなく、炒めものやあえ物、天ぷらなど様々な料理が楽しめ、
葉柄の部分はシャキシャキとしており、葉は湯がくとモロヘイヤに似た食感を持っている食べやすい
野菜である。
2. すいおう推進の概要
平成16年度に開始されたエコタウンプロジェクトにおいて、藤島地域の振興作物をなり得る好適
作物の導入を模索していたところ、日本農業新聞に掲載されていた『すいおう』に注目し、平成17
年度に九州農業研究センターから100本の苗の分譲を受け、栽培が開始されている。
当初2名の農家により試験栽培がおこなわれ、平成27年度の苗供給本数は 650 本で、個人20名、
法人3団体が栽培している。また平成28年度の苗供給本数は、個人 71 名、3 団体が 1400 本を栽培
しており、団体では、鶴岡市食生活改善推進協議会のメンバー80名が家庭でのプランター栽培等に
取り組んでいる。
これまで、地元産直や中央市場への生葉出荷や、すいおうパウダーによるスイーツや麺類の開発、
いも部分を利用した焼酎の生産を手掛けてきたが、現在はパウダーの加工原料としての出荷や個人消
費が主となっている。
平成27年度は、すいおうを利用した料理教室の開催や、地域活性化事業のうち地産地消の取り組
みとして「ふじしま夏まつり」や「つるおか食の祭典」において、東洋大学社会学部や地元女性団体、
食の都親善大使の太田政宏シェフがすいおうを使用した料理やスイーツ等を提供したほか、庄内農業
高等学校が、すいおうの栽培から加工までを授業の一環として取り入れ、すいおうパウダー入りのシ
フォンケーキを産直楽々において販売している。
このほか、小中学校等の給食において、すいおうパウダーを練り込んだ麺類を年一回提供している。
平成 28 年度は、これらの取り組みを継続して行うとともに、同年 9 月 4 日に、財団法人自治振興セ
ンターの助成を受け、すいおうの開発者である農学博士
山川
理氏、女子栄養大学教授で栄養学博
士の根岸由紀子氏らをお招きし、「つるおか食の創造シンポジウム~地域におけるすいおうの発展を
考える」を開催することになっている。
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