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1 弥陀ヶ原火山防災協議会 日時:平成 28 年 3 月 30 日(水)10:00
弥陀ヶ原火山防災協議会 日時:平成 28 年 3 月 30 日(水)10:00~ 場所:富山県民会館 304 号室 1 開会 (司会) それでは、ただ今から弥陀ヶ原火山防災協議会を開会いたします。初めに、石井知事か ら開会のごあいさつを申し上げます。 2 あいさつ (石井知事) 皆さん、おはようございます。本日、弥陀ヶ原火山防災協議会を開催しましたところ、 皆さまには大変ご多忙の中、ご出席賜りまして誠にありがとうございます。ご承知のとお り、一昨年の御嶽山の噴火災害を踏まえまして、火山噴火予知連絡会の検討会報告がござ いました。私どもの弥陀ヶ原は常時観測が必要な火山とされ、国において弥陀ヶ原に火山 観測機器が整備され、火山観測体制の強化が図られることになりました。具体的に申しま すと、GNSS が昨年 10 月に、また、遠望カメラが先般 3 月末に設置されたところで、今後、 総合観測点や広域帯地震計が設置されますと、常時観測を担う体制が整います。また、後 ほどお話があるのではないかと思いますが、4 月から富山地方気象台に 2 名の火山専任者 が配置されることになったと伺っております。 県としましても、昨年 1 月に県、市、町、火山専門家の方々で構成する任意組織として の弥陀ヶ原火山防災協議会を設置したところですが、ご承知のように、今回、活動火山対 策特別措置法の改正があり、この協議会も法律上、設置が義務付けられることになりまし た。この機会に協議会のメンバーもそれぞれの組織の代表の方になっていただき、また、 自治体も立山町に加えて富山市、上市町にも加わっていただくことになりました。後ほど お話があるのでしょうけれども、気象庁のお話ですと、弥陀ヶ原の火山活動は低調に推移 しており、火山性微動は観測されていないということですが、常日ごろから万が一を考え てしっかりと備えをしておくことが大変重要だと思っています。 この協議会では、弥陀ヶ原の防災対策についての情報共有を図りますとともに、過去の 噴火の状況等を参考にした噴火シナリオ、火山ハザードマップ、観光客や登山客の避難計 画の策定等についての検討を、共同で進めたいと考えております。ぜひ皆さまのご支援、 ご協力、それぞれの立場でのご尽力により、弥陀ヶ原ではこれまで以上に安全な防災体制 が整ったということになりますよう、よろしくお願い申し上げます。以上で開会のごあい さつといたします。 3 規約審議 (司会) 本日ご出席いただいている皆さまにつきましては、時間の関係から、お手元に配布して おります出席者名簿をもって紹介を省略させていただきます。 1 ここで、資料の確認をさせていただきます。まず、お手元の次第が 1 枚、その下に配席 図、出席者名簿、配布資料として資料 1~8、参考資料として活動火山対策特別措置法の条 文、それから本日の追加資料として、立山砂防事務所の弥陀ヶ原火山噴火による土砂災害 検討というカラーの A4 用紙 5 枚もの、A4 用紙 1 枚ものの消防課の火山対応型山岳救助資 機材キットの配備についての資料を配布しております。過不足等がありましたら、手を挙 げてお知らせください。 ないようでしたら、続きまして、本協議会規約の審議に移りたいと存じます。規約案に ついて事務局から説明いたします。 (事務局) 防災・危機管理課の田中です。お手元の資料 1 をご覧ください。規約案です。この規約 についてご説明させていただきます。 まず、第 1 条(目的)です。 「弥陀ヶ原火山防災協議会は、活動火山対策特別措置法の規 定に基づき、弥陀ヶ原において想定される火山現象の状況に応じた警戒避難体制の整備を 行うため、県、富山市、上市町、立山町が共同で設置する」ものです。 第 2 条(所掌事務)です。 (1)は弥陀ヶ原に係る噴火シナリオ、火山ハザードマップ、 噴火警戒レベル、具体的な避難計画等の一連の警戒避難体制の整備に関する事項です。 (2) は、富山県防災会議がこの火山防災協議会の意見を聞かなければならない事項もあるので、 県防災会議が意見聴取する際に必要な事項です。(3)は、富山市防災会議、立山町防災会 議、上市町防災会議が県の防災会議と同様に意見を聞く事項もあるので、その意見聴取に 関する事項です。(4)はその他必要な事項です。 第 3 条(協議会の組織)です。 「協議会は【別表 1】に掲げる者で構成する」ということ で、2 枚めくって【別表 1】をご覧ください。弥陀ヶ原火山防災協議会構成員の一覧です。 左側に法律の区分があり、第 1 号から各号について記載しています。 資料 1 にお戻りください。第 3 条第 2 項で、協議会には会長 1 名および副会長 3 名を置 くこととしています。会長は富山県知事をもって充て、会長は協議会を代表し、その会務 を総理します。副会長は会長が指名することとし、副会長は会長を補佐して協議会の業務 を掌理し、会長に事故があるときなどは会長の職務を代理することとしています。この場 合、副会長は 3 名いますので、会長があらかじめ指名した順序でその職務を代理すること になっています。 第 4 条(幹事会)です。協議会の下に幹事会を設置することとしています。幹事会につ いては【別表 2】をご覧ください。幹事会の構成員を掲げております。またご覧いただけ ればと思います。 資料 1 の 1 枚目にお戻りください。幹事会には幹事長を 1 名置き、幹事長は富山県危機 管理監をもって充てることとしております。幹事長は幹事会を代表し、会務を総理します。 なお、幹事長に事故があるときは、幹事長があらかじめ指名する構成員が職務を代理する こととしています。 1 枚おめくりください。第 5 条(会議の開催)です。協議会は会長が、幹事会は幹事長 が招集し、その議事を進行することとします。会議は原則として公開としますが、会議を 公開することにより公正かつ円滑な議事運営に支障が生じると認められる協議については、 2 非公開で行うものとします。会議は、構成員の過半数が出席しなければ開くことができず、 また、会議の議事は出席した構成員の過半数で決し、可否同数のときは会長の決するとこ ろによるものとします。構成員はやむを得ない事情により会議に出席できないときは、そ の代理者を出席させることができます。この場合、代理出席者は構成員とみなします。会 議へは必要があると認めるときは構成員以外の者に対して資料を提出させ、または会議へ の出席を依頼し、助言等を求めることができます。その他、会議の運営に関し必要な事項 は会長が別に定めることとしています。 第 6 条(協議結果の尊重義務)です。協議が整った事項については、協議会の構成員の 皆さんはその協議の結果を尊重しなければならないとしております。 第 7 条(事務局)です。事務局は富山県防災・危機管理課に置かれます。 第 8 条(その他)です。その他に協議会の運営上必要な事項は、会長が別に定めること としております。以上で説明を終わります。 (司会) ただ今、事務局から説明がありましたが、ご意見等はありませんか。ご意見がないよう でしたら、この内容で承認するということでよろしいでしょうか。 それではご承認いただいたということで、以後の進行は会長の石井知事にお願いいたし ます。 (会長:石井知事) それでは、私が議事進行役を務めさせていただきます。まず、議事に入ります前に、た だ今ご承認いただいた規約第 3 条第 6 項において、副会長は会長が指名することとなって おりますので、副会長として森富山市長、伊東上市町長、舟橋立山町長の 3 名を指名させ ていただきます。よろしくお願いします。また、職務の代理順ですが、何と言っても弥陀 ヶ原は立山町がよく見ておられるということで、職務の代理順は舟橋立山町長、伊東上市 町長、森富山市長の順といたしますので、よろしくお願いいたします。 それでは、これから議事に入らせていただきます。最初の議題ですが、先月、活火山法 に基づいて、弥陀ヶ原を対象として火山災害警戒地域の指定がなされました。今日は内閣 府の森本企画官においでいただいていますので、この火山災害警戒地域の指定についてご 説明をお願いします。 4 議事 (1)火山災害警戒地域の指定 (内閣府 森本 政策統括官(防災担当)付企画官) ただ今ご紹介いただきました内閣府防災担当の森本でございます。よろしくお願いいた します。お手元に資料 2 として、活火山法に関する資料を配布させていただいています。 冒頭にご説明いただきましたが、昨年度の御嶽山の噴火を受けまして、今年度に活火山法 が改正されました。12 月 10 日の施行で、改正の内容は、火山災害警戒地域を定め、その 地域においては火山防災協議会を設置していただくこと、それからその地域においては市 町村が避難計画を作り、かつ、特に危険と思われる集客施設等については個別に避難確保 3 計画も作ってもらえるよう、市町村の地域防災計画にその施設の名称を位置付けていただ く、そのようなことが規定されました。 この法律の施行は 12 月 10 日ですが、1 枚めくっていただきまして、その後、基本指針 を策定しています。これは火山防災対策に関する基本的な施策をどのように進めていくか ということで、基本的な考え方や警戒体制の考え方、その他、火山対策を進めるに当たり 必要な事項等について規定しているものです。 3 ページが、先ほど知事からもお話がございました火山災害警戒地域の指定についてで す。この地域を定めるに当たって、まず、対象とする火山は、常時観測火山のうち 49 火山 です。まもなく 50 火山になるとのことですが、周辺に住民や登山者等が存在していない硫 黄島については、特に行政で警戒対策を取る必要がないということですので、それを除い た 49 火山を対象に決定しています。 基本的にはハザードマップが出来上がっているところであれば、そこからエリアを特定 します。ただ、弥陀ヶ原についてはまだハザードマップができていないということですの で、火口域から 4km(大きな噴石が飛ぶエリアを想定)の区域となります。そして、その ような影響範囲に行政区域を含む都道府県、市町村として、全国 49 火山、23 都道県、140 市町村を指定させていただいています。4 ページがそのリストです。弥陀ヶ原につきまし ては富山県と富山市、上市町、立山町の 3 市町を指定しています。 せっかくですので、内閣府の取組みについて、PR も含めて追加で⑤、⑥、⑦と資料を載 せています。地域指定がされたことを受けて、本日、火山防災協議会をつくっていただい たのですが、これから噴火シナリオ、 避難計画の策定まで進んでいただくことになります。 内閣府でも、今、 「噴火時等の具体的で実践的な避難計画策定の手引」の改訂作業を進めて いるところです。これまでも市町村向けの避難計画の策定の手引はあったのですが、御嶽 山の噴火を受け、登山客、あるいは突発的に噴火したときの避難体制の構築を含めた避難 計画の手引の改訂を、一応、来年度中をめどに進めているところです。 めくっていただいて⑥ですが、それに先立って「集客施設における噴火時等の避難確保 計画作成の手引き」を 3 月 25 日に作らせていただきました。冒頭にも申し上げましたとお り、避難確保計画を作っていただかなければならないと市町村が定めた集客施設では個別 に計画を作っていただくので、これらも参考にしていただければと考えています。 7 ページをご覧ください。一般的な手引だけを作っても、火山が抱えている現象はそれ ぞれ違うので、来年度の予算の中で、火山を抱えている県や市町村と連携しながら、一緒 に避難計画やハザードマップなどを地域の要望に応じて共同して作っていくということを させていただきたいと思っています。予算の限りもありますので幾つか限定になりますが、 これから 3 年間で全国の火山で避難計画が作れるように、内閣府としても支援させていた だきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。説明は以上です。 (会長:石井知事) ありがとうございました。ただ今のご説明について、何かご質問やご意見があれば、ご 発言をお願いします。いかがですか。 せっかくですから、上市町の渡辺さん、何かご質問はありませんか。 4 (上市町 渡辺 総務課長) 上市町です。今回、火山災害警戒地域に町の一部が含まれたことから、この防災協議会 に加わることとなりました。今後は国や県、関係機関と連携しながら、防災対策に取り組 んでいきたいと思っております。よろしくお願いします。 (会長:石井知事) 富山市さん、何かありますか。 (富山市 大田 建設部参事) 富山市が指定された火山災害警戒地域は極めて小さいエリアではありますが、県や関係 自治体とも連携しながら対策を行っていきたいと考えております。以上です。 (会長:石井知事) ありがとうございます。まだ他にもあるかもしれませんが、また後ほど伺うことにしま して、続きまして弥陀ヶ原の火山活動状況と常時観測火山に向けた取組みについて、気象 庁からご説明をお願いします。 (2)弥陀ヶ原の火山活動状況と常時観測火山に向けた取組み (気象庁 小泉 火山対策官) 気象庁火山対策官の小泉と申します。よろしくお願いします。弥陀ヶ原の火山活動につ いては、先ほど知事からもご紹介がありましたが、現在、特に噴火の兆候等があるわけで はありません。ただ、2012 年 6 月以降の観測で、噴気の拡大・活発化等が見られています ので、注意して観測、監視していきたいと思っています。 常時観測に向けての取組みについてです。これも先ほど知事から一部ご紹介がありまし たが、資料 4 にありますように、最終的に 4 種類の観測機器を設置する計画です。GNSS、 火口カメラについてはご紹介のとおり完了し、残りの広帯域地震計と総合観測点はまだ工 事が進んでいる状況です。これが完了し次第、なるべく早く常時観測を始めたいと思って います。 それから、資料はないのですが、今回のいろいろな火山関連の制度強化に関連して、気 象庁では組織体制の強化が行われます。その中でメインとなるのは本庁、札幌、仙台、福 岡に火山監視・警報センターを設置して予報官のポストを新設すること、また、本庁火山 課、各管区の地震火山課に火山活動評価解析官等を置いて体制を強化することです。 併せて地方の強化ということで、地方気象台等に火山防災官を拡充し、火山防災調整係 長を設置します。これに関連して富山地方気象台に火山防災官と火山防災調整係長が新た に設置されることになります。この役目ですが、まさにこの火山防災協議会を通じて、平 素から地元自治体との情報共有や支援を強化するとともに、地元の一般の方に対する火山 に関する普及、啓発を行うなど、地元、地域に密着した火山防災業務をこれからさらに強 化していきたいと考えています。気象庁からは以上です。 5 (会長:石井知事) ありがとうございました。ただ今のご説明について、何かご質問やご意見等がございま したら、ご発言をお願いします。 (富山大学大学院理工学研究部 渡邊 教授) 富山大学の渡邊です。「活動概況」のところで教えていただきたいのですが、「地震や微 動の発生状況」で「火山性地震の発生回数は少なく」とあるのですけれども、 「火山性」と 付けている意味を教えていただけますか。 (気象庁 小泉 火山対策官) まだ観測体制が整備途上ですので、広域のネットワークで見ているということであれば、 必ずしもこれが本当に火山性かどうかということは専門的にはなかなか厳しいところがあ るかもしれません。そういった中で、火山近傍で起きているということで「火山性」と付 けておりますが、資料にあります地震のどれが火山性で、どれが火山性でないということ については、確かに専門的にはなかなか難しいかと思っています。いずれにしても、近付 いて観測してみないと分からないところはありますが、少なくとも噴気等も含めて目立っ た活動はないということで、とりあえず活動は低調であると考えています。 (富山大学大学院理工学研究部 渡邊 教授) 火山性というと、普通はマグマの移動であるとか、爆発と関係するというイメージを持 ってしまうので、そこは慎重にされた方がいいと思うのですが。 (気象庁 小泉 火山対策官) ご指摘ありがとうございます。 (会長:石井知事) ありがとうございます。他に何か。どうぞ。 (立山山荘協同組合 佐伯 理事長) 立山山荘協同組合の佐伯です。昨年来、立山で気象庁がいろいろと観測機器を設置され ているということですが、今の説明によると、広帯域地震計と総合観測点の整備がこれか らということなのですけれども、その整備スケジュールはどうなっているのでしょうか。 お分かりになればお願いします。 併せて、49 の常時観測火山がありますが、この整備が終わりましたら 49 の常時観測火 山に指定されるのでしょうか。 (会長:石井知事) お願いします。 6 (気象庁 小泉 火山対策官) 一応、年度内ということで鋭意努力、なるべく早くとしか申し上げられないのですが、 今年度はあと 2 日ということで、事実上、なかなか厳しいかなというところです。ただ、 そうは言っても、年度が明けてからだらだらとするつもりはございません。なるべく早く 工事を完了したいと思っています。 その整備が完了しましたら、データを確認するなど一定の期間が必要だと思いますが、 なるべく早く弥陀ヶ原についても常時観測火山に指定することになります。 (会長:石井知事) よろしいですか。 (立山山荘協同組合 佐伯 理事長) ありがとうございます。 (会長:石井知事) 他にご質問もあるかもしれませんが、また後ほど伺うこととしまして、続きまして、昨 年 1 月に任意の火山防災協議会を設置して防災対策の取組みを進めてきておりますので、 これまでの火山防災対策の取組みについて、事務局からご説明をお願いします。 (3)これまでの火山防災対策の取組み (事務局) お手元の資料 5 をご覧ください。これまでの火山防災対策の取組みについてご説明いた します。 まず、県の取組みとして、①弥陀ヶ原火山防災協議会を設置しました。これは知事のあ いさつにもありましたとおり、任意の協議会を昨年 1 月に設置しているところです。 ②弥陀ヶ原噴火履歴研究委託。弥陀ヶ原火山について、本日ご出席いただいております 富山大学の石﨑准教授にご協力いただき、過去の噴火データの収集・分析を行い、火山防 災対策に活用するということで、火山灰の分布調査や噴火年代の決定などをお願いしてお ります。後ほどご説明がございます。 ③火山防災情報の伝達拠点整備。無線 LAN のアクセスポイントを観光客や登山者の安 全対策として、 弥陀ヶ原において屋外 Wi-Fi4 基を室堂ターミナル周辺に整備しております。 これは 10 月に整備済みです。 ④学校登山用のヘルメット整備。立山に登山される学生が多いということで、学校に対 して安全上の観点からヘルメット 600 個を立山自然保護センターで貸与することとしまし た。実績は、89 団体に延べ 5400 個余りを約 2 カ月の間に貸し出しております。 ⑤富山県警では、火山災害時の救助活動態勢強化や、災害対策アドバイザーを委嘱して います。本日、県警本部長もご出席ですので、資料説明があります。 続きまして、国の取組みについてです。①火山観測施設の設置ということで、これは今 ほど気象庁からご説明があったとおりです。 ②弥陀ヶ原火山噴火による土砂災害検討、これは国土交通省の取組みですが、立山砂防 7 事務所から、後ほど資料説明があります。 また、富山大学では、県の委託調査に加え、立山地獄谷における火山活動モニタリング が実施されているところです。 最後に立山町では、室堂周辺の山小屋 15 施設に対してヘルメット 240 個、ガスマスク 220 個を配備しています。 この他に、ここには書いていないのですが、富山市消防局においては火山対応型山岳救 助資機材キットが配備されています。以上でございます。 (会長:石井知事) ありがとうございました。今の説明に関連して、まず、県警本部長からお願いします。 (富山県警察 伊藤 本部長) 県警における火山災害対策の取組みについてご説明します。資料 6 をご覧ください。1 番が装備資機材の整備です。先ほどお話がございましたが、この表のとおり整備しており、 県費を 130 万円ほど付けていただいています。内容は記載のとおりですが、県費で整備し たものは室堂警備派出所に置いてあります。避難者用ろ過式吸収用保護具というのはガス マスクです。また、ヘルメットも用意しています。数は少ないのですが、先ほどご説明が あったように山小屋にも整備していますので、発災時には融通し合いながら活用していき たいと思っております。国費で整備したものは機動隊の庁舎に置いてありまして、災害が あったときには機動隊員がこれを持って上がるという形になります。また、国費整備です から、他県で何かあったときにもこれを活用するということで、そういう意味からも機動 隊の庁舎で保管しているものです。 2 番は火山専門家を「富山県警察災害対策アドバイザー」に委嘱したということで、本 日ご出席の富山大学の渡邊教授を委嘱したところです。火山災害の特徴やメカニズムにつ いてご指導を頂いています。 3 番の研修会は、渡邊教授を講師にお招きして機動隊員や山岳警備隊員等 90 名が受講し たところです。 4 番としては、立山の地獄谷で行われた立山室堂地区安全対策連絡協議会が主催する訓 練に参加し、消防等関係機関との役割分担、連携体制を確認したところです。以上です。 (会長:石井知事) ありがとうございました。これに関連して、国交省の立山砂防事務所から何かございま すか。 (国土交通省北陸地方整備局立山砂防事務所 石井 調査課長) 立山砂防事務所の取組みについて補足説明させていただきます 立山砂防事務所では、弥陀ヶ原火山噴火による土砂災害検討を実施しており、今年度は 既存資料の収集・整理と今後の調査計画を検討しました。 既存資料の整理として、弥陀ヶ原火山の噴火履歴ですが、過去、水蒸気噴火が多く起こ っています。マグマ噴火となると 4 万年ほど前にさかのぼります。 8 また、弥陀ヶ原火山では、地獄谷、ミクリガ池周辺において噴気孔や陥没地形が明瞭に 地形から判読できており、この辺りが噴火の実績が多い場所となっています。 来年度は既存資料の整理により土砂移動の発生実績が想定される箇所を重点的に調査し ます。立山砂防事務所では、噴火に伴う土砂移動の発生場所の現地確認と流出の恐れのあ る土砂量の把握を目的に、現地において噴火の痕跡や噴火によって流出・堆積した土砂を 調査する予定です。 最終的には、土砂の流出がどの程度下流に影響するのかをシミュレーションして、影響 範囲を検討していきたいと思っています。立山砂防事務所からは以上です。 (会長:石井知事) ありがとうございます。これまでの説明について、何かご質問やご意見がありましたら お願いします。 (陸上自衛隊第 14 普通科連隊 加々尾 連隊長) 14 連隊長の加々尾です。富士山の噴火の際に一番考慮しないといけないところは、融雪 期の雪のある中での土砂災害です。 普段、爆発したときよりも土砂災害のスピードが速く、 範囲が非常に大きくなりますので、弥陀ヶ原火山に関してもぜひ、そのデータについての 検討も併せて実施していただければと思います。非常に影響力が大きくなるため、最悪の 事態というのは恐らく融雪期の噴火になると思いますから、そこをぜひ加えていただきた いと思っているところです。 私は御嶽山噴火も経験していて、御嶽山噴火のときには噴火後に川に土砂が結構積もっ て、目立たないのですけれども、それを除去するというところを地元の方たちが一番心配 されました。その後、台風が 3 回来まして、御嶽の捜索だけではなくて、泥が流れたとい う土砂災害、これを被災していない地元の方たちが非常に気にされて、国交省の重機に結 構残っていただいて、自衛隊も重機を配置して安心していただいたといったこともありま した。恐らく今回もそのようなケースになると思います。土砂がどう流れるかを調べるの も重要なので、併せて、このデータをしっかり検証していただければと思います。大学の 先生たちもおられますので、いろいろなデータを教えていただければ、最悪のときに備え られると思いますので、よろしくお願いいたします。 (会長:石井知事) 今の点は、国土交通省と私ども県、立山町などの関係者で、大学の先生方などの支援を 頂いて対応していきたいと思います。立山町長、他に何かありませんか。 (立山町 舟橋 町長) 立山町では、資料 5 にありますとおり、平成 27 年度予算でヘルメット、ガスマスク等を 配備したのですが、山小屋関係者の皆さんには玄関先に置いていただくようお願いしまし た。今ほど自衛隊からも話がありましたとおり、御嶽山の映像は衝撃的でした。ミクリガ 池方面、地獄谷方面には幾つか山小屋がありますが、全て木造です。そうすると、噴石が そのまま屋根を貫くのではないかと大変心配しておりましたが、先般、内閣府の「活火山 9 における退避壕(シェルター)等の充実に向けた手引き」において、防弾チョッキにも使 われるアラミド繊維が有効だと出ておりました。あれを屋根の裏にでも貼ってはどうかと 思っており、山小屋関係者の方々にも使ってもいいと言っていただいているのですが、何 分お金も掛かるでしょうから、私ども町も負担しますが、アラミド繊維を付けたいという 山小屋がありましたら、できれば国で助成措置をしていただければどうかと思い、昨年 11 月、防災担当大臣の河野太郎氏に要望書を提出してきたところです。 (会長:石井知事) ありがとうございます。山小屋関係者の方々の防災対策は確かに費用が掛かると思いま すので、支援制度については、いいものであればわれわれもお話をしていきたいと思いま す。他に何かございませんか。 県としては、新年度予算で災害時の一時避難場所となります山小屋の補強手法等の調査 を実施することにしておりますが、この点については後ほど説明させていただきます。 それでは、県が富山大学に委託して今年度に実施した噴火履歴研究調査報告について、 富山大学の石﨑准教授にご説明をお願いします。 (4)火山噴火履歴調査研究報告 (富山大学大学院理工学研究部 石﨑 准教授) 富山大学の石﨑です。本日は、平成 27 年度に富山県から委託されました弥陀ヶ原火山の 完新世噴火履歴についての研究の結果を紹介いたします。 まず、研究内容と成果についてですが、2 年計画で調査を行っています。本年度は完新 世テフラの柱状図作成と年代測定を行いました。これらは、噴火史の概要を明らかにする ことを目的としています。専門用語について簡単に説明します。完新世とは最近 1 万年の ことです。テフラ層とは、噴火で生じた噴煙から堆積した火山灰、火山弾の地層です。そ ういったものの積み重なりを表したものが柱状図です。その柱状図を作成し、年代を測定 するという研究を行いました。 本年度の成果を簡単に紹介しますと、完新世活動史の概要がほぼつかめました。新しい 知見としては、6~7 世紀以降に形成された 3 層のテフラ層を発見し、比較的最近にも噴火 が起きていたことが明らかになりました。この最近の噴火ですが、地獄谷内部にある大安 地獄周辺で発生した可能性が高いです。これが本年度の成果になります。 来年度も引き続き完新世テフラ層の分布調査を行い、各噴火の規模や火口位置を明らか にするための研究を行う予定です。 次に、弥陀ヶ原火山の完新世噴火が発生した場所について説明します。これは室堂周辺 の航空写真です。赤線で囲ったものが、約 4 万年前に噴出した玉殿溶岩と呼ばれる溶岩で す。この玉殿溶岩の噴出は約 4 万年前に起きましたが、この噴火をもって弥陀ヶ原火山の マグマ噴火は終了していると考えられています。 それ以降の噴火は、玉殿溶岩の分布域で起きています。これらの噴火によって形成され た最も大きい火口が地獄谷と呼ばれる窪地です。その他にミクリガ池、ミドリガ池、血の 池地獄、これらの窪地も全て最近 1 万年間の水蒸気噴火で形成された爆裂火口です。従っ て、玉殿溶岩の分布域で水蒸気噴火が繰り返し起き、爆裂火口がたくさんできたというこ 10 とになります。 この水蒸気噴火でできた爆裂火口の分布図を示します。赤線で囲ったものが火口ですが、 室堂周辺から地獄谷にかけては、大小 20 個以上の爆裂火口が水蒸気噴火によって形成され ています。火口は、見て分かりますように、北西-南東方向に配列し、複数の火口列を形 成しているのが特徴です。各火口列が 1 回の噴火で形成されたものなのか、それとも何回 も噴火を起こし、見かけ上列になっているのかは、現時点では分かっていません。 次に、完新世噴火で形成された最も大規模な爆裂火口である地獄谷について紹介します。 地獄谷は完新世噴火で形成された最大規模の爆裂火口ですが、これは二つの火口が合体し た窪地になっています。窪地の中央には数年前まで噴火活動が活発だった鍛冶屋地獄があ ります。この鍛冶屋地獄が丘になっていて、その北側と西側に大きい火口が一つずつあり、 それが合体して大きい火口になっています。 地獄谷の北側の火口の中には湖沼堆積物と呼ばれる、湖の底に堆積した堆積物が分布し ているので、かつて湖があったことは間違いありません。この湖沼堆積物の年代を調べた 研究があり、その研究結果によると、7 世紀ぐらいまでは湖が存在していたことが分かっ ています。 その他に、皆さんご存じのように地獄谷の中では噴気活動が活発で、黄色の丸で囲った ものが代表的な噴気帯です。今日の話では大安地獄と呼ばれるソーメン滝の直上付近にあ る噴気帯がキーワードになります。 今年度の調査地点です。黒丸が現地でテフラ層の積み重なりを観察した地点です。全部 で 23 地点あり、地獄谷を取り囲むような形で、いろいろな地点で観察を行いました。現地 ではテフラ層(降り積もった火山灰の地層)の積み重なり方を調査しました。また、テフ ラ層の形成年代、つまり噴火の発生した年代を明らかにするために、テフラ層の上下の泥 炭層の年代測定も併せて行いました。 調査でどのように噴火史を読み解いていくのかを示したイメージ図です。一番左が現在 の状況です。火山の麓で調査を行いますと、このような地層の積み重なりが観察できます。 弥陀ヶ原火山の場合は、噴火の休止期間には泥炭層が堆積します。噴火が起きるとテフラ 層が堆積し、そして休止期間にまた泥炭層が堆積して、噴火のときにテフラ層、休止期間 に泥炭層という積み重なりができていきます。このような泥炭層とテフラ層の積み重なり を現地調査で柱状図を作って示しています。 積み重なりは分かりますが、それぞれのテフラ層を形成した年代(噴火の年代)を明ら かにするために、放射性炭素年代測定も併せて行っています。年代ですが、上のテフラ層 の中には植物遺骸が入っていて、その放射性炭素年代を測定することによって、テフラ層 が堆積した年代(噴火の年代)を決定することができます。 下のテフラ層には植物遺骸は存在しません。このような場合は有機物をたくさん含んで いる泥炭層を使います。テフラ層のちょうど直上と直下の泥炭層を採取して、その放射性 炭素年代を測定します。この場合は 2950 年前と 3050 年前という年代が得られたので、こ のテフラ層は約 3000 年前に堆積したことが分かるわけです。このような現地調査と年代測 定を組み合わせることによって、過去の噴火履歴を解明することができます。 ただ、ここで問題になることが 1 点あります。私が明らかにしたいのは弥陀ヶ原火山の 噴火史ですが、地層として残る火山灰には近傍の火山から堆積した火山灰もありますし、 11 実は非常に遠方から飛んでくる火山灰もあります。このような遠方の火山灰を例えば弥陀 ヶ原火山の火山灰と誤認すると、噴火の回数が増えてしまいます。そのため、調査地点近 傍の火山から噴火した火山灰なのか、それとも遠方の火山灰なのかを見極めることも重要 になってきます。ちなみに、 遠方から飛んできた火山灰の地層を広域テフラ層といいます。 このような理由により、広域テフラ層と近くの火山の火山灰を見極めるという作業が重要 になってきます。 県内で見られる広域テフラの代表的なものが、鬼界アカホヤテフラと呼ばれる火山灰層 です。これは 7300 年前の鬼界カルデラの噴火で噴出した火山灰で、西日本を広く覆ってい ます。この火山灰が弥陀ヶ原のどのようなところで見られるかというと、地表の直下に黒々 とした泥炭層があります。その泥炭層の下部に白くて薄い火山灰層があります。これが鬼 界アカホヤテフラです。この鬼界アカホヤテフラを採取して顕微鏡で見ると、バブル型の 火山灰からなっていることが分かります。また、その化学組成を分析すると、県内で確認 されている各広域テフラ層はそれぞれ固有の化学組成を持っているので、縦軸に K2O、横 軸に TiO2 を取った図にプロットすると、鬼界アカホヤテフラだと確実に同定できます。 次に、現地でどのように火山灰が積み重なっているのかを説明します。代表的な露頭が、 地獄谷の中にある噴気帯の大安地獄周辺に見られます。地層の積み重なりの中の黒々とし た層が噴火の休止期間に堆積した泥炭層です。その泥炭層の間にグレーの地層、白っぽい 地層、オレンジの地層などが入っています。これが全て水蒸気噴火で噴出したテフラ層で す。このテフラ層にはそれぞれ名前が付けられています。 このような場所で一つ一つ柱状図を作成し、弥陀ヶ原火山のテフラ層を全部整理したの が下の図です。まず、既知のテフラ層は、今回の調査で 4 層を再確認できました。一番下 位が第 1 テフラ層、泥炭を挟んで第 2 テフラ層、泥炭を挟んで 7300 年前の鬼界アカホヤテ フラ、その上に泥炭を挟んで第 3 テフラ層、さらに泥炭を挟んで第 4 テフラ層という順番 で重なっています。この 4 層が、これまでの研究でも明らかになっている既知のテフラ層 です。 今回の研究で明らかになった重要な成果が、第 4 テフラ層の上に泥炭層があるのですが、 その上に 3 層のテフラ層を発見したことです。ここでは下位から A テフラ層、B テフラ層、 C テフラ層と仮に名付けています。それぞれのテフラ層は水蒸気噴火で堆積したと思われ る粘土質の火山灰層です。このことから、 (第 4 テフラ層を形成した噴火の後も)少なくと も 3 回の噴火が起きたことが分かります。A テフラ層の直下の泥炭から年代を測定したと ころ、1400~1500 年前でした。従って、最近 1400~1500 年の間に 3 回の水蒸気噴火が起き たことが、このようなテフラ層の存在からも確認できるということです。 完新世テフラ層の放射性炭素年代をまとめた表です。現在のところ、19 個の年代値が得 られています。今回の委託研究で新たに追加した年代値が、ピンク色で示した 6 個です。 一番上の⑲の年代値が A テフラ層直下の泥炭から出た年代値です。正確な年代値は 1380 ~1523 年前です。従って、それ以降に A テフラ層から C テフラ層までの 3 層の火山灰層を つくる噴火があったということになります。 いま示した年代値を整理して、弥陀ヶ原火山完新世噴火の年代を整理した図が下です。 既知のテフラ層である第 1 テフラ層から第 4 テフラ層の噴火年代は、第 1 テフラ層が約 1 万年前、第 2 テフラ層が約 8000 年前、第 3 テフラ層が約 5000 年前、弟 4 テフラ層が約 2500 12 年前となります。 今回、新たに見いだされた 3 層のテフラ層ですが、大体 1500 年前以降に堆積したことに なります。この 3 層のテフラ層ですが、実は古文書との対応関係がかなり良いのです。中 野氏、伊藤氏による古文書整理の研究があるのですが、古文書には 704 年と 1936 年の 2 回 の噴火記録が残っています。この 2 回の噴火がこの 3 層のテフラ層をつくった噴火に対応 している可能性が高いと言えます。 もう一つ、ミクリガ池のコア試料というものがあります。ミクリガ池の底には泥がどん どんたまっていきます。その泥の中に噴火の痕跡と思われる層が幾つか観察できるわけで す。このミクリガ池のコア試料の解析結果では、7 世紀末、11 世紀、19 世紀中葉の 3 回の 噴火があった可能性が指摘されています。そのため、この三つの時期に 3 層のテフラ層を 形成する噴火が起きた可能性も考えられるということになります。 今回発見された 3 層のテフラ層がどのように分布しているのかを解説します。地図上に 天狗平、それから室堂ターミナルがありますが、青色の丸で示したのが A~C テフラ層の 確認地点です。非常に狭い分布範囲しか持っていないことが分かります。3 層のテフラ層 は、地獄谷の西域から天狗平にかけて薄く堆積しています。それぞれのテフラ層の層厚が 非常に薄いので、これらのテフラ層をつくった噴火は規模が非常に小さいものであったと 言えると思います。 このテフラ層の分布域のうち、大安地獄と呼ばれる噴気帯があります。この大安地獄と いう噴気帯の周辺の地形図を見ると、テフラ層の分布域である大安地獄には地形的に非常 に新しい火口がたくさん見られます。地形的に非常に明瞭な火口です。この部分を拡大し てみると、大安地獄といわれる火口、新大安地獄といわれる火口が観察できます。このよ うに地獄谷の西域には多くの新鮮な火口地形が存在しています。これらの火口のどれかが A~C テフラ層の給源火口(噴出源となる火口)であった可能性が考えられます。 大安地獄と新大安地獄について非常に興味深い現象が見られているので、それについて 説明します。大安地獄と新大安地獄について、上が 1997 年 9 月に撮った航空写真で、下が 今年度の調査で撮影した写真です。 大安地獄はブルーの湖水を満たした火口になっていて、 どちらの写真にも写っています。一方、現在、新大安地獄は下の写真のように熱水・噴気 活動が非常に活発で、蒸気がもくもくと上がっているような火口なのですが、1997 年の写 真には写っていません。ただし、現在の新大安地獄の輪郭をたどるように白色帯が見られ ます。 そのため、新大安地獄が以前はどうなっていたのかというと、恐らくもともとは火口が 存在したと思われますが、その火口が土砂に埋積されていたと写真から解釈できると思い ます。つまり、1997~2015 年の間に土砂に埋積されていた火口がもう一度窪地になるよう な現象が起きたと言えるかと思います。従って、ここが非常に活動の活発な地域だと思わ れるので、今後、大安地獄や新大安地獄についての継続的なモニタリングが必要になる可 能性が高いと考えます。 最後に来年度の研究方針ですが、来年度は今回認定できた計 7 層の火山灰の等層厚線図 を作成していきます。等層厚線図とは一体何なのかというと、テフラ層というのは基本的 に噴煙から落下した火山灰が堆積するので、給源火口付近には非常に厚く堆積します。そ して、給源火口から離れるに従ってどんどん薄くなっていくので、現地調査でテフラ層の 13 厚さを調べることによって、そのテフラ層を形成した火口がどこにあるのかということが 分かります。また、この厚さの分布を調べることによって、噴火で堆積したテフラ層の体 積を求めることができます。テフラ層の体積は噴火の規模を示すので、来年度は等層厚線 図を基に給源火口となった火口の位置、それから各テフラの体積、つまり噴火規模の 2 点 を明らかにする調査を行っていきます。説明は以上です。 (会長:石井知事) どうもありがとうございました。時間も押してきましたが、ただ今のご説明について何 かご質問やご意見があれば、ご発言をお願いします。せっかくの機会ですから、東京工業 大学の野上教授、何かございますか。 (東京工業大学火山流体研究センター 野上 教授) 東京工業大の野上です。これはとても大事な研究だと思いますから、来年度もやってい ただければと思います。先ほど石﨑先生が見せてくださった図を見ていると、噴出物の分 布域が 500m ぐらい、マックスでちょうど 1km ぐらいしかないので、恐らく御嶽山の噴火 よりは小規模だったのかなと思いました。 (富山大学大学院理工学研究部 石﨑 准教授) 御嶽山の噴火規模から見れば、かなり小規模だと思います。噴出したものも、現時点で の調査では火山弾などは全く観察できません。基本的に火山灰のみからなるため、噴火規 模としては非常に小規模な水蒸気噴火だと思います。規模の大きい水蒸気噴火になると、 テフラ層というのは基本的に噴出火口から東方に分布するのですが、今回見出された 3 層 のテフラ層は北西から南西方向に分布しているので、偏西風の影響を受ける高さまでは噴 煙は届いていないと思います。 (東京工業大学火山流体研究センター 野上 教授) 多分、局所的に風の影響を受けているということですか。 (富山大学大学院理工学研究部 石﨑 准教授) そうですね。地上風の影響を受ける程度の噴火だと思います。 (東京工業大学火山流体研究センター 野上 教授) 僕もここ数年、調査を続けているのですが、気象庁はあまり活発ではないとおっしゃっ ていますけれども、僕の見解は全く逆なのです。今、石﨑先生から大安地獄の話がありま したが、雷鳥荘下の紺屋地獄付近が非常に活発化していることは明白なので、やはり今後 もきちんと調査を継続するということと、それだけではなくて、モニターをかなり細かく していかないといけないというのが僕の認識です。地震が少ないから大丈夫だというのは ちょっと危ないので、その辺の認識は変えていただきたいと思います。以上です。 14 (会長:石井知事) ありがとうございます。今、気象庁がおっしゃっているよりは危険性といいますか、少 し活発化しているというお話がありましたけれども、今のご指摘について気象庁からどう ですか。 (気象庁 小泉 火山対策官) 全く安全だと言ったつもりはなくて、2012 年以降、噴気の拡大・活発化等もあるという ことで、今まさに観測施設を強化しておりますので、先生がおっしゃったところも含めて 見ていきたいと思っています。 (会長:石井知事) ありがとうございます。それでは、だいぶ時間が押してきましたが、最後の議題である 今後の予定等について、事務局からご説明をお願いします。 (5)今後の予定等 (事務局) ホチキス留めの資料 8 をご覧ください。火山防災協議会の今後の予定についてご説明さ せていただきます。まず、本日 3 月 30 日に法定の火山防災協議会を設置いたしました。 平成 28 年度の取組みですが、火山噴火履歴研究調査をはじめ、以下三つの調査がありま す。次のページをご覧ください。1 番が弥陀ヶ原火山噴火履歴研究で、これは今ほど石﨑 先生からご説明がありました。野上先生からも継続した調査・研究をすべきというお話も ありましたので、2 カ年目の事業として、今年度の調査結果を踏まえ、火山灰の分布範囲 等の調査を引き続き実施することとしております。内容はこの調査に基づいて噴石被災域 を明確化するということです。 2 番は火山噴石対策調査事業で、これは新規事業です。先ほど知事からも説明がありま したが、一時避難場所となる山小屋の補強手法等を調査します。内容としては、立山町長 からもご説明があったように、内閣府で作成された手引にアラミド繊維等のご紹介もあっ たので、弥陀ヶ原周辺の山小屋について現地調査を行い、補強手法等を取りまとめます。 3 番は火山防災啓発事業です。弥陀ヶ原について、活火山であることに留意する必要が あることや、火山ガスに注意する必要があることの周知を目的として、登山者や観光客を 対象にチラシの作成・配布等を行います。具体の内容としては、火山ガス情報を得るため の Wi-Fi のエリアや火山ガスの通行注意地区、ヘルメット配備の山小屋などについて多言 語で記載したチラシを配布したいと思っております。 1 枚目にお戻りください。県以外にも、今ほど気象庁からお話がありましたが、常時観 測機器の設置を完了してモニターを開始することになります。また、国土交通省も土砂災 害の検討実施のための調査を行います。このようにいろいろな取組みがあるので、平成 28 年度の調査結果やモニターの常時観測データ等を踏まえ、また火山防災協議会を開催した いと思っております。 なお、括弧書きしてありますが、本日承認いただきました規約のメンバー、火山防災協 議会の幹事会は 41 名おります。これで会議をやるとなかなか大変ということもありますの 15 で、防災対策のテーマごとにワーキンググループを設置して、協議・検討を行いたいと思 っております。テーマはあくまで例として挙げさせていただいております。 平成 29 年度以降は、平成 28 年度の取組みも含めて、火山ハザードマップ等の作成等に ついて協議・検討を行うこととしております。以上です。 (会長:石井知事) ありがとうございます。ただ今のご説明について、何かご質問やご意見はございますか。 (陸上自衛隊第 14 普通科連隊 加々尾 連隊長) ぜひ 1 点付け加えていただきたいのが、御嶽山と浅間山の際の教訓事項として、登山者 への情報の提供の中で、実は登山者が何名入っているかということが分からなかったので す。浅間山の警戒レベルが上がったときも、テレビで皆さんご承知だと思うのですが、わ ざわざテレビに向かって「今から危険を承知で入ります」と言うハイカー、登山者が結構 いました。自己責任と言ってしまえばそれまでなのですが、何かあったときはそのような 方たちを助けないといけないので、なかなか難しいとは思うのですが、その情報をしっか り取れるようなシステムをできる限り構築できるような方法を、この中に併せて入れてい ただければ幸いだと思います。よろしくお願いいたします。 (会長:石井知事) 今の点について、事務局はどうですか。 (事務局) 今お話しいただいたことについては、幹事会の中にはいろいろな関係機関のメンバーが 入っておりますので、またテーマを踏まえて、テーマごとに関係機関の皆さまの間で協議 するという方向で進めていきたいと思います。 (会長:石井知事) 他に何かご意見やご質問はございますか。せっかくの機会ですから、関西電力さん、何 かございますか。 (関西電力㈱北陸支社 大久保 支社長) 関西電力の大久保です。先ほど気象庁の資料の中に、弥陀ヶ原付近は火山ガスにも注意 してくださいという文言がありました。環境省でも火山ガスへの対策に取り組まれている と聞いているのですが、その取組み状況がどうなっているのかを教えていただきたいと思 います。 (会長:石井知事) いかがでしょうか。 16 (環境省長野自然環境事務所 阿蘇品 所長) 環境省です。環境省の方では、火山活動というよりも、どちらかというと弥陀ヶ原周辺 を訪れる登山者の火山ガスに対する安全周知ということで、火山ガス保安施設等を整備し、 特に亜硫酸ガスの濃度の上昇に対して利用者を安全に誘導するということで、今年、火山 ガス保安施設を整備しました。まだ運用開始にはなっておりませんが、平成 28 年度に試験 運用を行い、システムの狂いはないか等を調査して、平成 29 年度から本格的な運用を図る という計画で、現在、進めている状況です。以上でございます。 (会長:石井知事) 他にいかがでしょうか。NTT 西日本さん、いかがですか。 (西日本電信電話㈱富山支店 山本 支店長) NTT 西日本です。昨年、室堂地域の Free Wi-Fi の整備にご協力させていただきましたが、 今日の各ご説明を拝聴して、やはり防災時の情報伝達の重要性をあらためて感じたところ です。また、防災時に情報を生かすためにも、やはり平時からの情報収集というか、観測 データであったり、あるいは一般の入山者に対する情報であったり、本当に貴重な情報が こういう形で運用されているということを幅広く知っていただいて、いざというときに生 きる情報伝達をしていく必要があるだろうと感じました。今後もご協力させていただきた いと思いますので、よろしくお願いします。 (会長:石井知事) ありがとうございます。今日はせっかく長野県からもいらっしゃっていますので、何か ご発言はございますか。 (長野県危機管理防災課 竹内 課長) 部長が所用のため、代理で出席させていただいております長野県危機管理防災課長の竹 内でございます。長野県は、本日参加させていただいております弥陀ヶ原火山防災協議会 を含め、七つの火山防災協議会に参加しております。来年度、長野県では火山防災幹とい う職を設置して組織強化を図るとともに、ハザードマップを作成する予算を確保するなど、 積極的に火山防災対策を進めることとしております。また、いずれの火山においても隣県 と接地するところから、関係する方々との連携が非常に重要と考えているところです。こ の弥陀ヶ原にあっても、富山県をはじめ、関係市町村、関係機関の皆さまと密接に連携し て、登山者、観光客等の安心・安全の確保に努めていきたいと思いますので、よろしくお 願いいたします。 (会長:石井知事) ありがとうございました。他に何かご発言はございますか。よろしいですか。 それでは、大体お話も尽きたようですので、これで終わりたいと思います。今日は法定 の委員会を立ち上げ、弥陀ヶ原の火山防災対策について、これまでの取組みや今後のスケ ジュール等についてご議論いただきました。また、それぞれの調査結果について、先ほど 17 もいろいろやりとりがありましたが、ご尽力いただいて大変ありがとうございました。皆 さまには貴重なご意見、ご提言を賜りまして、誠にありがとうございました。 今後もこの協議会において、火山防災対策についてしっかり協議・検討を進め、登山者 や観光客など、 いろいろな皆さまの安全・安心の確保に万全を期していきたいと思います。 皆さまにおかれましては、今後ともご協力、ご指導のほどよろしくお願いいたします。今 日はこれで終わらせていただきます。 5 閉会 (司会) これをもちまして、弥陀ヶ原火山防災協議会を閉会いたします。本日はありがとうござ いました。 18