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平成 28 年第4回定例会 第2日

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平成 28 年第4回定例会 第2日
平成 28 年第4回定例会
第2日(11/30)
大田区議会会議録
速報版
午前10時開議
○勝亦副議長 議長にかわり、副議長が議長の職務を行います。
ただいまより本日の会議を開きます。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
○勝亦副議長 これより昨日に引き続き質問を行います。
まず、38番山崎勝広議員。
〔38番山崎勝広議員登壇〕(拍手)
○38番(山崎勝広議員) 皆様、おはようございます。大田区議会民進党を代表して質問をさせていただきま
す。
大方の予想を覆す歴史的な選挙となったアメリカ大統領選挙。過激な発言で注目されてきたトランプ氏、その
勝利の背景にあったのは既成政治への不信感のあらわれ、そして、年々広がる格差の拡大と固定化の問題であっ
たと言われております。トップ1%が富のおよそ3割を占め、トップ10%が7割を占めている今のアメリカ社
会。そこまでではないにしても、格差問題は日本においても他人事ではありません。4月にユニセフが公表した
報告書では、17歳までの子どものいる世帯において日本は、所得が下から10%の最貧高層の所得が中央値の
39.8%にとどまり、41か国の中で8番目に格差が大きいとの結果が出ております。相対的貧困率において、日本
の子どもは6人に1人が貧困層に当たり、ひとり親の家庭の子どもは2人に1人という状態になっていることは
皆様もよくご存じのことと思います。
最もひどい、このひとり親家庭の貧困問題について伺ってまいります。
なぜひとり親家庭の貧困率が高いのか。ひとり親家庭の親は、福祉に依存をし、怠けて働いていないのか。い
や、そうではありません。日本のひとり親家庭、特にシングルマザーの就労率は81%、世界でも4番目に高くな
っております。ひとり親家庭の貧困とは、一生懸命働いていても、その収入が低い結果、世帯収入が低いこと、
そして、そこに十分な社会保障が届いていないこと、養育費ももらえていないことにあります。今年はその解消
につながる国の大きな動きがありました。一つは、安倍政権が一億総活躍プランの本丸と位置づける「働き方改
革」の論議が本格的に始まったことであります。その主要テーマである同一価値労働同一賃金が実現されれば、
ひとり親家庭の貧困を解決するための重要な鍵となるでありましょう。また4月から、36年ぶりに所得の低いひ
とり親家庭に支給される児童扶養手当が増額をされました。対象年齢の引き上げなどさらなる改善が必要だと思
いますが、この意義は大きいと思います。大田区においても、ひとり親家庭に対し、子育て・生活支援や就業支
援など様々な支援を行っております。現在、今年度中の完成を目指し、「子どもの貧困対策に関する計画」策定
作業も行われております。
伺います。これに伴い実施をされたひとり親家庭調査を踏まえて、ひとり親家庭のどのような状況が見えまし
たでしょうか、お聞かせください。
さて、ひとり親家庭支援の一つとして、未婚のひとり親に対する「みなし寡婦控除」適用の動きが全国で広が
っております。対象となる事業については、保育料に限っている自治体から、子育て、健康・福祉、住宅と幅広
く適用事業を定めている自治体まで様々でありますが、年間の給与収入200万円のモデルケースで、寡婦控除を
適用するか否かによって年間20万円近くの差があったと聞きます。
未婚のひとり親に対する「みなし寡婦(夫)控除」適用、大田区での実施について区議会では、これまで積極
的な意見、慎重な意見がそれぞれ出ております。自治体においての広がりを受け、国においても公営住宅の入居
や家賃の収入算定の際にみなし適用するなどの動きも出てまいりました。ただ、抜本的な税制改正については、
数年にわたり、検討は行われているようでありますが、結論には至っておりません。基本的には、国が行うべき
制度であると思います。家族のあり方にもかかわる事柄であるという主張にも理解をしています。しかしなが
ら、年収200万円世帯にとって20万円の負担増といえば1割であります。最も経済的に厳しい世帯に対してみな
し適用による負担軽減効果が高いという、この現実を踏まえながら、区においての実施を検討すべきだと考えま
すが、いかがでしょうか、お答えください。
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平成 28 年第4回定例会
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次の質問に移ります。政府の「働き方改革実現会議」、その主要なテーマの一つには高齢者の就労の促進も掲
げられております。大田区では、今年度から子育て・介護分野への元気な高齢者の就労を支援する「元気高齢者
就労サポート事業」が始まりました。働きたい高齢者と人材不足に悩む施設の橋渡しをいきいきしごとステーシ
ョンが中心になって進めるこの事業、既に介護分野では、応募者に対し、9月に特別養護老人ホームでの仕事体
験セミナー、10月には合同就職面接会が開かれております。介護や保育の現場では資格を持つ介護職や保育士だ
けでなく、清掃や食事の配膳補助、送迎といった支援要員も不足をしており、働きたい高齢者が活躍できる余地
が大きいと聞きます。直接的な身体介護を行うわけでもないので、負担が少なく働くことも可能です。
伺います。23区初と銘打った本事業はとてもよい試みだと思っておりますが、介護分野においての応募者、施
設のそれぞれの反応はいかがでしょうか。就職にはつながっていますでしょうか。状況をお聞かせください。
「元気高齢者就労サポート事業」は、保育分野でも希望者を募っており、これから講義や保育園の見学と体
験、就職支援セミナーや合同面接会が開かれます。保育園の忙しい時間といえば、家庭においても家事や食事の
忙しい時間ということから、園が保育士補助の人材募集をしても、現状、思うように人が集まらないと聞いてお
ります。そこを退職して時間に余裕があるシニアの皆様に埋めていただく。豊富な人生経験や社会経験、子育て
をしてきた実績などを持つ方々の活躍が現役保育士の負担軽減につながればよいなと思っております。
ところで、この夏の参議院選では、保育士や介護士の待遇改善がテーマとなり、与野党ともに公約として保育
士給与についての引き上げを打ち出しました。一方、給与だけでなく、体力的にも精神的にも過酷な保育の現
場、その労働環境の抜本的な見直しを求める声も深刻なものがございます。「元気高齢者就労サポート事業」は
とてもよい試みだと思いますが、区として、保育現場の雇用管理改善や労務環境改善につながるさらなる施策の
拡充に努めていただきたいと思いますが、所見をお聞かせください。
次に、民泊について伺います。
今年の新語・流行語大賞にもノミネートされた「民泊」、大田区もそのノミネートに大きく貢献しておりま
す。大田区国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業に関する条例施行から間もなく10か月、区内民泊事業の認
定物件は計26件、80居室となりました。民泊をめぐっては、厚生労働省が4月、旅館業法で定められた簡易宿所
の面積基準を緩和、条件を満たせば1泊以上から観光客を宿泊させることが可能となり、最短宿泊日数6泊7日
の区の民泊事業の申請件数に影響が出るのではないかと懸念もされましたが、爆発的ではないにしろ、大田区の
特区民泊認定物件は着実にその数を増やしております。一方、Airbnbのサイトに登録されている区内物件
も増え続け、サイトをのぞきますと現在300件を超えておりました。今年、Airbnbを利用した国内インバ
ウンドゲスト数は300万人を突破したそうであります。違法状態の民泊は全国でもますます拡大をし、それにあ
わせて民泊をめぐるトラブルが数多く報道されております。
伺います。区は、特区民泊を実施する事業者に対し、外国人旅行者の受け入れ環境整備と住民への安全・安心
を両立するために、近隣住民への周知、説明をはじめとした様々なルールを規定しております。一方、旅館業法
の許可や特区認定をとらずに宿泊業を行っている方には、生活衛生課において指導が行われているとのことであ
りますが、旅館業の無許可営業疑い施設に関連しての区民からの相談の状況、施設に対する調査、指導状況につ
いてご説明をお願いいたします。
トラブルの増加を受けて、今後、無許可民泊施設の調査や指導強化を行う考えはございますでしょうか、お聞
かせください。
さて、昨日の塩野目議員の代表質問、また、第3回定例会の黒川議員からの「特区民泊の滞在実績からどのよ
うな傾向がわかったのか」という質問に対して、区長から、「訪日外国人の観光やビジネス」といった滞在目的
以外に「海外在住の日本人の里帰り」や「ビジネスマンの出張」、「就職活動の学生の長期滞在」といった利用
があったと紹介がありました。特区民泊は無許可民泊では掲載ができない予約サイトからも予約獲得を狙うこと
ができます。認定物件が増えていることからも、最短宿泊日数6泊7日の条件下でも、事業者として収益性も確
保できているのでありましょう。
このような中でありますが、先月31日、特区民泊の最低宿泊日数を6泊7日以上から2泊3日以上に短縮する
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政令改正が施行されました。これを受け、大阪府の松井知事と大阪市の吉村市長は、特区民泊の最短宿泊日数を
6泊7日から2泊3日に緩和する条例改正案を開会中の府市両議会に提案をし、来年1月1日から施行したいと
の考えを示しています。大田区の動向も注目をされておりますが、現段階において、大田区は最短宿泊日数の緩
和についてどのような考えをお持ちなのか、お聞かせください。
次に、感染症対策について伺ってまいります。
競技会会場見直し問題に揺れております2020年東京オリンピック・パラリンピックでありますが、開催に向け
て取り組むべき課題は、ただいま伺いました民泊を含めた外国人旅行者の受け入れ態勢、空港の機能強化やアク
セス改善をはじめとした輸送体制の整備など会場問題以外にも山積をしております。中でも、セキュリティー、
安全・安心対策は最重要な課題の一つであります。熱戦が繰り広げられましたリオデジャネイロオリンピック
も、開催前にはジカ熱やテロの問題が浮上。ブラジル経済の低迷と相まって、一時はその開催すら危ぶまれまし
た。国は、感染症対策について、エボラ出血熱、MERS等の諸外国の感染症発生動向を踏まえつつ、検疫体制
の整備を進めています。平成26年度には感染症法が改正をされ、情報収集体制の強化も図られました。また、風
疹については、2020年度までの排除に向けて抗体検査補助事業が実施をされ、大田区においてももちろん助成対
象者となる方には無料で風疹の抗体検査、予防接種が受けられます。
伺います。平成26年度から5か年計画のおおた健康プラン(第二次)の柱の一つが健康危機管理です。中でも
感染症の予防対策及び感染拡大防止の強化を図り、区民の健康被害や社会的、経済的な影響を最小限度にとどめ
るよう努めることは、その大目標に掲げられております。2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて、
その玄関口である東京国際空港を抱える大田区が進める感染症対策、その特徴をご説明ください。
インフルエンザが例年より早く流行期に入りましたが、今年は麻疹、はしかの流行が大きな問題となりまし
た。幕張メッセのコンサートを訪れた男性の麻疹感染が発覚、その後も立川でのイベント、そして関西国際空港
での集団感染と、日本の各地で麻疹発生が報告をされました。麻疹は空気感染をいたします。感染力が極めて強
く、免疫を持っていない人が感染すると90%以上が発症するそうです。麻疹はこれまで1度もかかったことがな
く、ワクチンを1度も接種したことがない人が最も感染しやすくなります。
伺います。大田区では、麻疹は予防接種で防げる病気であり、定期予防接種の対象となる方は早目に予防接種
を受けることを推奨しています。ところが、麻疹の流行に伴ってMRワクチンが不足をし、各地の医療機関や自
治体窓口などに問い合わせが相次いでいるとの話を聞きました。多少遅れても問題がないと専門家は冷静な対応
を呼びかけているようでありますが、MRワクチン不足の区内における現況と区の対応についてお聞かせくださ
い。
今回、空港において麻疹が集団発生しました。麻疹は国内では排除状態となっていたため、その後の発症は成
人の輸入感染が中心となっているそうです。多くの海外渡航者が行き来する空港は、最も感染リスクの高い場所
の一つとなることを改めて認識させられています。平成22年の国際化以降、羽田空港では東京空港検疫所支所の
規模拡大が図られておりますが、区が平時から検疫所、国、都、関係自治体、利用機関との連携強化に努めてい
ただくよう要望しておきます。
五輪に向けての取り組みでもう1点伺います。
2020年オリンピック・パラリンピックに向け、電線を地中に埋めて電柱をなくす無電柱化を進める国の動きが
加速をしております。また、「無電柱革命」を公約に掲げた小池百合子都知事もまた、並々ならぬ意欲で公約の
実現に向けての取り組みを進めておられます。これまで景観問題の観点から取り上げられることの多かった無電
柱化でありますが、知事は「防災・安全な通行の確保」の視点を軸にこれを取り上げております。道路上に設置
された電柱は、地震や津波などで倒壊した場合、住宅を損壊させるだけでなく、緊急車両や生活物資の輸送路を
塞ぐなど大きな影響を与えます。都は、東京オリンピックに向けて23区の都道のかなりの部分の電柱をなくすプ
ランを既に策定し、市区町村道についても防災重点区域等で都の補助金を拡充しております。しかし、国、自治
体、事業者で負担する無電柱化の費用は1キロ当たり3億5000万円から4億円、架空設備の10倍以上のコストが
かかり、事業を進める上での最大の課題となっております。また、幅員が狭い道路や歩道のない道路では、電線
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類地中化に必要な電線共同溝の整備条件がなかなか整いません。
一方、先進諸国の大都市では無電柱化がかなり進んでおります。パリやロンドン、香港は100%、台北やシン
ガポールは90%以上、ニューヨークも83%の率に達しております。これに対し、国内都市では最も無電化が進ん
でいる東京23区でさえ、わずか7%であります。
伺います。大田区内でも国道や都道においてはかなり無電柱化が進んでおりますが、道路拡幅事業や市街地再
開発事業等の当該地域を除く歩道幅員の狭い区道はほぼ手つかずの状態です。松原区長は無電柱化に積極的に取
り組む「無電柱化を推進する市区町村長の会」のメンバーでいらっしゃいます。景観、観光振興の観点からも国
に対して無電柱化を強力に進めるよう働きかけるとともに、ぜひ区内区道においての無電柱化を効果的かつ効率
的に推進するよう取り組みを進めていただきたいと思います。所見をお聞かせください。
無電柱化の課題として、1度損傷を受けると復旧時間が架空設備の電線に比べて長く、コストも高くなること
も上げられています。こうしたことも踏まえながら、区内の無電柱化が進むことを期待しております。
最後に、骨粗しょう症検診について伺います。
骨粗しょう症は圧倒的に女性に多い病気です。50歳前後から骨量が急激に減少し、60代では2人に1人、70歳
以上になると10人に7人が骨粗しょう症と言われております。骨粗しょう症は自覚症状が乏しいため、知らない
うちに骨折のリスクが高まり、骨折で歩行困難、要介護状態になってしまう場合が少なくありません。高齢者が
転倒・骨折をきっかけに長期入院し、そのまま寝たきりになったり、認知症の症状が悪化するという事例を私も
数多く見ております。
転倒・骨折は、関連する関節系疾患とあわせると、介護が必要になった原因の3位に挙げられています。1位
が脳血管障害、2位が高齢による衰弱なのですが、これらはいわば避けられない病でありますが、転倒について
は未然に予防できるものです。日本における骨粗しょう症患者の人数は推定1280万人と言われておりますが、そ
のうち治療を受けている患者は、女性で17%から34%、男性で4%から8%だそうです。治療を必要としている
人が治療を受けていないという大きな治療ギャップが骨粗しょう症では存在をしております。この治療ギャップ
を埋めるためには、検診による早期診断、早期治療が重要であると考えます。最近では、若い女性の骨粗しょう
症も問題になっております。その原因は、遺伝的な体質のほか、偏食や極端なダイエット、喫煙や過度の飲酒、
運動習慣などが挙げられております。
伺います。骨粗しょう症対策、その第一次予防はどうやって骨粗しょう症にならないのかという観点で、二次
予防は骨粗しょう症となった患者をどうやって早期に発見していくのかという観点です。大田区が一次予防を重
視し、対策を講じていることは理解をしておりますが、私は、骨粗しょう症を早期に発見し、早期治療の努力も
すべきであり、大田区において健康増進法に基づく骨粗しょう症検診も実施することを求めます。所見をお聞か
せください。
以上で質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○勝亦副議長 理事者の答弁を求めます。
○松原区長 山崎議員の代表質問に順次お答えをさせていただきたいと思います。
ひとり親家庭の現状に関するご質問でございますが、先に実施したひとり親家庭調査において、9割弱の保護
者の方が「就労している」と回答しており、仕事と子育てを両立されているご家庭が多いことがうかがえます。
また、サービスが十分に把握し切れていないことや、悩みを抱えたときに相談できる相手がいないなど、孤立し
た家庭が比較的多いことなどが読み取れました。区は、地域の皆様とともに、幅広い視点からひとり親家庭にと
どまらず、全ての子どもとその家庭を包み、見守る地域社会の実現に取り組んでまいります。
次に、非婚のひとり親に対し、みなし寡婦控除の適用実施を検討すべきではないかとのご質問ですが、みなし
寡婦控除を適用する自治体が近年増えてきており、特別区におきましても17区が保育料や公営住宅使用料などの
算定において、みなし寡婦控除の適用を開始しております。また、国の動向といたしましては、公営住宅法施行
令が一部改正され、来年4月より、非婚のひとり親に対し、公営住宅の入居者の収入算定を行う上で、寡婦控除
対象者と同様の控除を行うこととし、区におきましても、法令の定めに従い、対応することになります。区はこ
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れまでも、ひとり親をはじめ、子育てをする上で、経済的困窮など困難な状況に陥りやすい家庭に対し、様々な
支援を実施してまいりました。全ての子どもが生まれ育った環境に左右されず、健やかに育つことができるよ
う、今後も引き続き様々な施策展開に取り組んでまいります。
次に、「元気高齢者就労サポート事業」の介護分野においての応募者、施設の反応及び就職状況についてのご
質問ですが、区として、福祉施設の補助的な仕事について、高齢者の就労等を支援することは福祉人材の担い手
を確保するために重要な施策の一つであります。本事業において、9月に開催した体験セミナーを受講された方
が介護施設に就職し、既に活躍している方もおられます。参加者からは、資格の有無にかかわらず活躍できる場
がある、食事や車椅子の体験により業務を理解できたとの声をいただいております。一方、施設側からも、社会
参加の意識の高い受講者が、セミナー体験を経て、より実践に近い状況で就労するため、活躍が期待できると評
価されております。今後も関係機関と連携し、高齢者が身近な地域で活躍する就労支援等を着実に推進してまい
ります。
次に、保育現場の労務環境の改善についてのご質問ですが、児童の安全と質の高い保育を確保する上で、保育
士に対する処遇改善と職場環境の整備は大変重要であると考えております。現在、私立保育園に勤務する保育士
に対しては、人事院勧告に伴う給与改定分の反映や、賃金改善を目的とした「キャリアアップ補助」、さらに
「宿舎借り上げ家賃助成」の実施などにより、処遇改善を図っているところでございます。また、今年度から私
立保育園に対して、児童名簿と連動した保育日誌など保育業務を軽減するシステム導入経費の補助を設けてお
り、保育士の職務環境の改善を図っております。このほか、区では、障害児を受け入れるための経費などに対し
独自の助成を実施しております。引き続き、処遇改善と並行して保育士の配置促進や職場環境の整備に取り組ん
でまいります。
次に、旅館業無許可営業の疑いがある施設に対する区民からの相談の状況、施設に対する調査・指導状況につ
いてのお尋ねでございますが、区民からは、騒音やごみの捨て方、火災への不安や様々な相談があります。相談
があれば調査を行い、対象物件の場所やオーナーが特定できたものについては指導を行っています。今年1月か
ら12件の指導を行い、そのうち10件については営業を止めていただきました。
次に、今後、無許可民泊施設の調査や指導強化を行う考えがありますかとのお尋ねですが、違法な民泊につき
ましては、様々な問題点も指摘されております。指導を強化していく必要があると考えております。指導強化に
向け、新たな法的整備等、国の動向を注視しながら適切に対応してまいります。
次に、特区民泊の最低宿泊日数を緩和するかどうかというご質問でございますが、特区民泊は国家戦略特別区
域法において、施設を利用させる期間を条例にて定めることが示されております。大田区では、地域のホテルや
旅館との役割分担、都内における滞在需要等を総合的に考慮して、特区民泊の宿泊・利用日数を6泊7日以上と
条例で定めております。一方、国は本年10月31日付で宿泊・利用日数を現行の6泊7日以上から2泊3日以上に
緩和する政令改正を行いました。大田区では今年1月の事業開始以降、特区民泊の認定物件数、滞在状況ともに
着実に実績を伸ばしております。また、特区民泊は事業開始からまだ1年を経過していないこともあり、当面は
安心・安全な本事業の普及に継続して取り組んでいくことがまずは重要であります。区といたしましては、今後
とも国や東京都との連携をしっかりととりながら、特区民泊が地域の活性化につながるよう取り組んでまいりま
す。
次に、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けての大田区の感染症対策でございますが、大田区は
管内に国際空港を抱える都内唯一の自治体であり、都内に四つしかない感染症指定医療機関の一つが存在しま
す。一昨年のエボラ出血熱、昨年のMERS、今年のジカ熱と、海外で問題となる感染症は毎年のように報告さ
れております。また、健康監視の対象者、疑似症患者の届け出を東京国際空港から日常的に受けております。こ
れらに対応すべく、大田区では今年度、感染症対策を一元的に行う部署であります「感染症対策課」を新たに設
置しております。今後も関係各団体との連携をとりながら、感染症発生時の拡大防止に努めてまいります。
次に、MRワクチンの不足につきましては、8月の麻疹発生の報道後、区内医療機関でも入手が困難な状況が
続いておりましたが、現在は改善されつつあります。MRワクチンの定期接種期間は、入手困難な状況が続くと
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定期接種期間が過ぎてしまうおそれがあります。区では、今年度、定期接種期間を過ぎてしまった方のためにM
Rワクチンの接種漏れ事業を開始しております。引き続き、ワクチンの需給状況を把握するとともに、接種漏れ
事業に関して区民及び関係団体周知を徹底してまいります。
次に、区内区道においての無電柱化の取り組みの所見についてのご質問でございますが、都市防災機能の強
化、安全で快適な歩行者空間の確保、良好な都市景観を創出する無電柱化事業は重要な施策と考えております。
現在、区では無電柱化事業について、都市計画道路等で歩道幅員が確保できる路線で、電線類の地中化を実施し
ていく方針です。一方、歩道幅員が2.5メートルに満たない生活道路については、電線共同溝方式で行う場合、
地上機器の設置場所等について課題がございます。都市計画道路等の幅員が確保できる路線や広幅員の歩道があ
るオリンピック・パラリンピック関連路線等、可能な路線について無電柱化を進めてまいります。
次に、骨粗しょう症の早期発見のため、検診を実施することについてのご質問でございますが、骨粗しょう症
は、ならないように早くから予防していく一次予防が重要であります。3歳児健康診査受診時の母親で39歳以下
の方を対象に実施した骨密度測定では、5割の方が治療対象でないものの、生活習慣の見直しが必要と判定され
ました。そのため、おおた健康プラン(第二次)では、若い世代から予防を働きかけることが急務と考え、骨粗
しょう症予防教室等の健康教育や3歳児健康診査時に、母親の希望者に対して骨密度測定を実施し、その結果を
骨粗しょう症予防の動機づけとして、生活習慣改善のために必要な運動や栄養についての普及啓発を行っており
ます。今後も骨粗しょう症の一次予防を充実するとともに、また転倒予防をはじめとする一般介護予防事業の普
及啓発に努めてまいります。早期発見、早期治療を目的とする二次予防に当たる検診は、次期プラン策定の際に
検討をしてまいりたいと思います。
私からは以上でございます。
○勝亦副議長 次に、28番末安広明議員。
〔28番末安広明議員登壇〕(拍手)
○28番(末安広明議員) 大田区議会公明党の末安広明でございます。
初めに、公共施設の整備方針についてお伺いをいたします。
行政では様々な計画が立てられ、各事業をそれに基づき進められております。企業のように売り上げや利益な
どといった具体的な経営の判断指標が確立されているものとは異なり、行政が進める各事業において、それが目
的に向かって正しく進んでいるのかをどのような数値目標によって判断していくか、その設定自体がなかなか難
しいことでもあります。しかし、何らかの目標数値を設定し、都度その状況を確認しながら、場合によっては軌
道修正を図るなどの対応をとることは大変重要であります。今後、大きな事業規模のプロジェクトが数々進んで
いくことが予定をされております。その一つが老朽化した公共施設を今後どのように整備していくかというもの
です。
そこに向けて本年3月、「公共施設適正配置方針」を定めたことは大変評価すべきものであります。この方針
では、今後45年間で6047億円、年平均134億円の更新費用がかかる試算となっており、改築に当たっては複合化
や多機能化、集約化に加え、長寿命化改修など新たな手法も用いて取り組む姿勢が示されております。実施され
たプロジェクトを見ても、六郷地域力推進センターにおける単体施設での複合化、羽田地域におけるエリア全体
を面的に捉えた複合化・集約化などは、今後の整備方針において一つの方向性につながるものと感じます。ま
た、それによって様々な面で行政サービスが大きく向上されたことも成果と言えます。
その一方で、この方針には施設総量を総延べ床面積で定義し、おおむね1割程度の削減を目指すとあります。
試算されている更新費用6047億円の1割ということであれば、約600億円に及びます。年間で見れば約13億円の
削減効果となります。非常に大きな数字であります。様々なニーズを捉え、機能拡充を図りつつ施設整備を行
い、それと同時に総量を抑制していくことは至難のわざとも言えます。
そこでお伺いいたします。具体的な数値による削減目標を1割と設定したことは高く評価しております。まず
は、その数値をどのように導き出したのかをお知らせください。
また、六郷地域力推進センターや羽田地域をはじめ、その他の実例も踏まえ、この総量抑制という視点から見
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た際に、結果はどうであったのか、所見をお聞かせください。
公共施設を面積で見た場合、学校施設が約48%を占めております。本区における人口ビジョンでは、年少人口
は若干の変動こそあれ、同程度に推移していくこと、また、防災面や地域の中心拠点として、よりその機能を充
実させていくことが求められており、学校での総量抑制は大変厳しいと感じます。であるならば、残り半分の施
設において1割の総量抑制を達成しなければなりません。また、社会環境や人口構成の変化への対応、東京2020
オリンピック・パラリンピック等に向けた新たなニーズへの対応といった課題もございます。そうした中で、こ
の目標を達成していくためには、相当な覚悟を持って臨まなければなりません。
そこでお伺いいたします。現状、区として想定している総量抑制に向けた具体的な手法として、どのような対
策が検討されていますか。
また、全てを一律に見ることは不可能であり、地域別や建物の用途、カテゴリー別などある程度の区分をしな
がら体系的に行う必要性があるのではないでしょうか、ご見解をお示しください。
一方で、面積による総量抑制という観点だけでその達成を推しはかるのではなく、トータルコストの圧縮で推
しはかるといった全く別の角度からのアプローチも検討できるのではないでしょうか。言うまでもなく、本区は
23区内に位置する日本全体から見れば大きな可能性を持つ地域でございます。いかにその土地の価値を最大限に
引き出すことができるかを考えることも重要です。主要駅に位置する土地であれば、高層化などによって延べ床
面積を大きく増加させ、そこに最適な店舗や事務所、住宅といった民間施設を融合させ、賃料を得るような手法
で、たとえ面積は増えたとしても、トータルのコストを結果的に圧縮していくことも検討できるのではないでし
ょうか。またネーミングライツなどの新たな手法でコストに充当するといったことも検討できるかもしれませ
ん。
これらは一例ではありますが、あくまで1割という総量抑制の具体的な数値目標を全体で共有し、それをいか
に実現させていくかを真剣に議論していく中に様々なアイデアが生まれてくると考えます。新たな手法によるコ
ストの圧縮などについてどのように考えておられますか、所見をお聞かせください。
ここまでるる述べさせていただきましたが、こうしたことを踏まえ、総量抑制に向けた具体的な方針を策定
し、全体をコントロールしていくことが求められていると感じます。
そこでお伺いいたします。総量抑制に向けた具体的なアクションプランの策定を提案したいと思いますが、い
かがでしょうか。
こうした目標を施設整備にかかわる全ての部署が共有をし、また区民の皆様にもご理解をいただき、将来にわ
たり財政を安定させながらも、しっかりと区民ニーズに応えていくとの両面の目的を達成するよう施設整備を進
めていただきたいと強く要望をいたします。
もう1点、公共施設の整備の観点から意見を述べさせていただきます。
現在、田園調布エリアにおきまして新たに整備される(仮称)せせらぎ公園文化施設や田園調布富士見会館を
はじめとしたエリアを面的に捉えた施設整備計画が進んでおります。これらは東急多摩川駅に隣接をしておりま
す。周辺は、多摩川台公園やせせらぎ公園という広大な公園に囲まれており、多摩川やその緑地にも近いとい
う、都心で、駅近で、このような広大な自然や緑を感じられる場所は大変希少な立地と言えます。また、東急東
横線、目黒線、多摩川線が交差し、新空港線ができた暁には、さらに交通アクセスの要所となる場所です。駅近
くの土地には新たな病院も建設される予定で、その横には東急バスのロータリーも位置し、商店街もございま
す。
こうしたことから、より広い視野に立って考えれば、多摩川駅周辺エリアはとても大きなポテンシャルを秘め
ていると言えます。今回計画している公共施設の配置方針だけの視野にとどめるのではなく、このエリア全体の
価値を最大限に引き出すために何ができるのかについてもしっかりと企てていただきたいと思います。例えば、
多摩川台公園の上には古墳展示室がございますが、残念ながら生きた施設になっているとは言えません。田園調
布という場所柄、文化的な価値をより高めるような施設、一例で申し上げれば、図書館や屋外型のイベントスペ
ース、公園全体を活用した屋外型の美術館やカフェなど取り組み方次第ではもっとその価値を高められると感じ
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ます。それらを行政単体で整備するのではなく、大いに民間の力を活用すべきと考えます。現在、国では民間事
業者がカフェや売店などの施設をより設置しやすくするような都市公園法を改正する議論なども行われておりま
す。
そこで、ぜひ可能性を最大限に広げるためにも、民間事業者によるコンペの開催などを実施することを提案さ
せていただきます。また、現在測定されている(仮称)おおた都市づくりビジョンにおいても、この場所が大き
なポテンシャルを秘めた場所であることを明確に位置づけていただくよう要望いたします。
公共施設は、一つの計画がその地域の価値を大きく左右し、財政負担の面からも長きにわたり影響を及ぼして
まいります。長期的視点に立ち、世代間のバランスも見据えた本当に区民の満足につながる公共施設整備が実施
されることを期待しまして、次の質問に移らせていただきます。
次に、高齢者の見守り・支え合いの仕組みづくりについて、アメリカで視察してきた事例をもとにお伺いをし
たいと思います。
このたび、セーラム市の親善訪問調査団の一員としてアメリカのボストンを訪問させていただきました。調査
項目としてボストンの郊外にあるウェルズリーという地域で展開されている地域活動の視察を提案し、伺わせて
いただくことができました。
アメリカでは、民間企業がビジネスとして高齢者施設を建設し、各種サービスを提供しており、自由競争を積
極的に行うことが主流となっています。その一方で、住み慣れた地域、自宅で安心して暮らし続けるために、高
齢者自身が主体となって様々なサービスを展開するビレッジ運動という社会運動が2002年よりスタートし、今で
は全米に広がっております。なぜそのような活動に至ったのか、どのような活動をしているのか、それを現地で
実際にお話を伺って、今後の本区におけるあるべき見守り、支え合いの仕組みづくりのヒントにしたいとの思い
がございました。
ビレッジ運動とは、在宅高齢者の孤立を防ぎ、自立生活を促す新たな社会運動とされております。きっかけ
は、ボストンのビーコンヒルという地域に住む高齢女性が「施設に入るのではなく、自宅にずっと住み続ける方
法はないか」と考え、隣人らと協力して在宅高齢者に家事、買い物、通院などの支援をする団体を設立したこと
がきっかけであるそうです。現在は全米に約200か所設立され、そのほかにも約150の団体が設立の準備に入って
いるそうであります。また行政からの支援は一切受けず、年会費と寄付のみで運営し、主にボランティアがその
活動を支えているとのことでした。
今回訪問したのは、その一つであるウェルズリー・ネイバーズという団体でありました。立ち上げ当初からの
中心メンバーである高齢の女性3名が応対してくれました。ビーコンヒルの活動を知り、彼女たちは自分たちの
地域でも立ち上げたいと、2年間の準備期間を経て、2011年に発足したとのことでありました。会員数は145
名、平均年齢は77.5歳、年会費は個人会員で410ドル、家族会員であれば540ドルの費用を払って、その他は寄付
で賄っているとのことです。会員のうち50名がボランティアスタッフとして運営を支えているとのことでありま
した。近郊の大学なども、会場の提供やプログラムの運営に協力をしてくれるそうです。
具体的な活動内容としては、主に三つの柱があり、一つ目は、社会的・文化的アクティビティーの提供とし
て、ウオーキングやパーティー、ヨガ、ハイキング、発表会などを実施しており、二つ目は、生活支援サービス
の提供として、病院や買い物の送迎、コンピューターの操作や接続、水回りの修理や電球交換などが実施され、
三つ目には、病院や介護施設といった様々な施設、機関の紹介サービスを実施しているとのことでした。
私が最も聞きたかった点は、なぜこうした活動が行政ではなく、会費を払い、ボランティアが中心となって運
営できるのかという点でした。残念ながら、期待していたような手法的な答えではありませんでした。それはあ
くまで自分たちが住み慣れた地域で生活を続けたい、そして、豊かなシニアライフを楽しみたい、そのために必
要なことは何かを考え、皆でアイデアを出し合って形にするところからスタートしているという、ごく当たり前
の答えでした。そしてボランティアも、将来自分がお世話になるかもしれないとの意識で、今自分ができること
で協力しているそうで、それが生きがい、やりがいにもつながっているとのことでした。
高齢者の方が住み慣れた地域に住み続けたいという思いは、日本とアメリカの高齢者に違いはありませんが、
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それを実現するために自分たちで行動を起こしていることに驚きを禁じ得ませんでした。また1年ごとの更新制
で、毎年、自分の意思で会費を払うことで、会員数が明確な評価になるため、改善や工夫を繰り返し、よりよい
仕組みが築かれているとも感じました。毎年実施されるアンケートでは、常に同じ質問が投げかけられるそうで
あります。それは「あなたは何で貢献できますか」というもので、まさに支え合いの仕組みを的確に、端的に表
現している部分だと思いました。
今後、我が国においても人類が経験したことのない超超高齢化社会を迎えることとなります。団塊の世代が75
歳を超えて後期高齢者となる2025年問題とも言われるタイミングは、すぐそこに迫っております。何でも福祉と
称して、全てを行政が賄うことは決して現実的ではございません。持続可能な仕組みを早急に築かねばなりませ
ん。
今回の視察を通して、この急速な高齢化を乗り越えるためには、まず大きな発想の転換をすることが必要なの
ではないか、そこがスタートになるのではないかと感じました。あるビレッジ運動の活動に、ひとり暮らしの高
齢者同士がペアを組み、双方が携帯電話のメールでグッドモーニングだけをやりとりする取り組みがあるそうで
す。ほとんどお金のかからない、また非常に簡単でつながりを実感できる見守り活動だと思いました。しかし、
それを行政が取り組みましょうと言ったら、果たして広がっていくでしょうか。あくまで住民同士が主体的に何
ができるかを考えたからこそ生まれた取り組みの好例だと思います。そして、このビレッジ運動が全米で広がっ
ていることは、そこにアメリカの文化的な背景があるにせよ、自分たちにとって必要だから、いいものだからと
いうことを一人ひとりが感じ、共有したからこそ広がったのだと感じました。
前段が長くなりましたが、本区において見た場合、行政が中心となって考えたプログラムを住民にいかに実施
してもらうかという発想で展開されている取り組みが多く、ともすると区民にとっては受け身となり、参加者も
限られがちとなる傾向があるように感じます。しかし、そのような中で、本区においても区民による主体的な活
動が芽生え始めております。その活動は「高齢者見守り・支え合いネットワーク活動事例集」として、本年を含
め過去5回、冊子としてまとめられております。各地域において多様なプログラムが展開をされております。ア
メリカでの活動に例えるならば、社会的・文化的アクティビティーの提供という点では、その活動メニューの蓄
積は本区でも大いになされていると実感をいたします。これらの活動から私なりに感じることは、これまで本区
として区民による多様な活動を幅広く受け入れ、一人でも多くの方を孤立化させず、地域でつながりを持てる環
境づくりを目指してきたという方向性がうかがえます。
そこでお伺いをいたします。これまでの本区における様々な団体の活動事例から、その目的に照らして、成果
をどのように評価していますか。また課題についてどのようにお考えですか、お聞かせください。
また事例集には、既にアメリカで見たような生活支援サービスまでを含めた活動をボランティアが主体的に実
施しているところがございます。
そこでお伺いいたします。見守り・支え合いの活動を展開させる上で、これまでのように幅広く裾野を広げて
いくとのコンセプトから、地域で見守りや生活支援サービスの提供を行うような活動について、積極的に評価や
支援をしていくような視点に切りかえることも必要ではないかと感じます。また、生涯現役に向けた社会参加推
進事業として「高齢者生活支援サービス等実施団体助成事業」がございます。自主的な見守り・支え合いの取り
組みの立ち上げ時には、このような助成事業が重要となります。平成26年度から平成28年度までの3年間の予定
で助成事業が実施をされておりますが、本年が最後となっております。この助成事業の方向性についてもご見解
をお聞かせください。
私が申し上げたいのは、決してアメリカ型の何でも自前でやる仕組みをつくるべきだということではございま
せん。あくまでその入り口が大切だということであります。区民が地域で住み続けるために必要な取り組みにつ
いて考え、挑戦したいという思いに立ち、いざ立ち上げる際には、それを行政が支援するというバランスが重要
であるということであります。
あるさわやかサポートで、このような話を聞かせていただきました。高齢者の皆様の中には、お手伝いやボラ
ンティアに参加したいという思いを持っている方は案外たくさんいらっしゃるそうであります。しかし、自分か
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ら立ち上げる、またリーダーとしてやることへの抵抗感を持つ方が多いそうであります。リーダーが、そしてそ
れを支えたいと思った方が取り組みやすい環境をいかに整備するかが問われていると感じます。
見守り・支え合い活動に成果が出始めた今、モデル的な取り組みを掘り下げ、評価をし、コンセプトやあり方
を整理すべき時期ではないでしょうか。自分たちの地域にあったらいいな、これなら自分たちでやれるかもしれ
ないなと共感できるコンセプトを大田区版のビレッジ運動としてモデル化していくことを提案したいと思います
が、所見をお聞かせください。
孤立無援化が進む社会と言われる昨今、難しい挑戦であることは承知の上で、発想を転換し、住み慣れた地域
で豊かに安心して住み続けるために、支え合いの体制を自分たちでつくり上げていくことこそ、やりがい、生き
がいにつながるとの意識を区民の皆様と共有していくことが大切であると感じます。
今回、視察で訪問した団体の創立ビジョンを最後にご紹介させていただきます。それは、シンプルであります
が、「外からの人を友達に! 家族に!」であります。本区においても、区民が主体となり、家族のようなコミ
ュニティをつくる思いで支え合いの活動が展開され、大田区版のビレッジ運動のような活動として大きく広がっ
ていくことを期待しまして、質問を終了させていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○勝亦副議長 理事者の答弁を求めます。
○川野企画経営部長 私からは、公共施設整備に関する質問に順次お答え申し上げます。
最初に、施設総量の考え方及び計画や整備の経過に関するご質問でございますが、「公共施設適正配置方針」
では、施設の長寿命化や複合化、多機能化などの手法を取り入れて施設の機能更新を行うことで、改築経費、維
持経費、運営経費等の縮減を図ることとしてございます。加えまして、施設総量の点では、延べ床面積を1割削
減することで、将来負担することとなるトータルコストの削減を図ることとしてございます。
次に、これまでの施設計画や整備における総量抑制という視点から見た結果につきましては、新たな行政需要
がある地域については、施設を単独で整備するのではなく、容積等に余裕がある場合などについて機能を複合化
することにより施設整備を進めてまいりました。例えば、お話にもございましたが、福祉・子育て支援機能との
複合化による地域力推進拠点の六郷地域力推進センターや、容積率を有効活用しながら周辺公共施設との複合化
による地域力推進拠点の一体整備を進める(仮称)羽田一丁目及び羽田四丁目複合施設など、地域の将来のまち
づくりを見据えながら、区民サービスの維持向上の実現に向けて、公共施設の適正配置を進めているところでご
ざいます。また、区の未利用地を活用し、民間事業者が国の補助事業等を活用いたしまして保育園の整備を行う
高畑保育園などの例もございます。今後も、総量抑制という観点も踏まえながら、民間事業者とも連携した区の
未利用地や跡地の有効活動についても検討してまいります。
次に、総量削減に向けた対策についてのご質問でございますが、具体的には、施設の複合化・多機能化を進め
るとともに、施設によりましては、単独の機能ではなく、時間帯を分けて複数の機能で活用すること、いわゆる
タイムシェアを含めた運用なども取り入れながら施設の有効活用を図ってまいります。また、複合化や民間施設
の活用などにより余剰となった区有地を民間事業者に貸し付けるなどの手法にも取り組んでまいります。施設の
整備・配置につきましては、人口構成の変化や公共交通等の交通利便性への配慮、また地域特性等を踏まえた複
合化や多機能化などの手法を活用するなど柔軟に対応してまいります。
続きまして、公共施設の更新に要するコスト圧縮の新たな手法についてのご質問でございますが、大田区公共
施設整備計画(後期)のファシリティマネジメント基本方針を踏まえ、計画的な修繕による予防保全、ライフサ
イクルコストの削減に努めるとともに、適切な改築による施設整備に加え、構造軀体の健全性に応じまして、長
寿命化の手法を取り入れるなどコストの縮減を図ってまいります。また、学校や区民施設などの改築に当たりま
しては、行政需要を的確に把握いたしまして、容積に余裕がある場合は、効果的な複合化・多機能化を進めてま
いります。さらに、区が単独で整備・維持・運営するよりも民間事業者と連携することで利便性の一層の向上や
多様な活用の可能性がある場合には、財源の確保を含めた様々な角度から民間事業者との連携・協働による施設
整備を検討してまいります。
最後に、施設総量抑制に向けたアクションプランの策定についてのご質問でございますが、施設の総量抑制を
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目指していくためには、「大田区公共施設適正配置方針」を踏まえ、「おおた未来プラン(後期)」や「大田区
公共施設整備計画(後期)」、また、その他の各種計画との整合性を図りながら公共施設の整備に取り組んでい
く必要があると考えてございます。今後、総量抑制の観点を踏まえ、公共施設の機能更新等については、計画が
具体化された事業より、現在策定中の「(仮称)大田区実施計画」の中でお示ししてまいります。私からは以上
でございます。
○中原福祉部長 私からは、高齢者福祉に関連し、三つの質問にお答えいたします。
様々な団体による高齢者の見守り・支え合い活動の成果に対する評価及び課題についてのご質問をいただきま
した。「高齢者見守り・支え合いネットワーク活動事例集」には、版を重ねるたびに自治会・町会をはじめとし
た掲載の活動団体が増加しております。このことから、各団体による見守り・支え合い活動が広がっており、地
域包括ケア体制の構築に寄与していると考えております。一方、こうした一連の活動をいかに継続していただく
か、また、他の地域への波及をいかに図っていくかが課題と捉えております。区は現在、地域包括支援センター
を核とした高齢者見守りネットワークの構築を推進しております。今後はこれらの団体と地域包括支援センター
との連携を一層密に図り、事例を参考に活動の立ち上げや取り組みの強化を支援してまいります。
次に、高齢者生活支援サービス等実施団体助成事業の今後の方向性についてのご質問ですが、この事業は、
「生涯現役に向けた社会参加推進事業」の一環として、高齢者による高齢者に対する訪問や通所、見守りに関す
るサービスを行う自主的な活動団体を対象に助成しております。これまで3年間の実績は、決定した13団体のう
ち、訪問と見守りサービスの活動が各1団体、残り11団体は地域の通いの場となる通所型のサービスの活動でご
ざいます。この高齢者の見守りや生活支援サービスを提供する活動は、地域の支え合いづくりにおいて重要な役
割を担っていると認識しております。今後の方向につきましては、介護予防や社会参加をさらに充実するため、
地域の中に高齢者の見守りや生活支援に資する居場所を数多くつくるなど、引き続き時代の変化やニーズに合わ
せた幅広い支援策を検討してまいります。
最後になりますが、見守り・支え合い活動のコンセプトをモデル化することのご提案でございますが、区で
は、地域包括支援センターが核となって地域包括ケア体制の構築に取り組んでまいります。地域包括ケア体制の
構築のためには、地域住民、地域の商店や事業者など高齢者を含む全ての方が相互に助け合い、支え合うことが
重要です。議員お話しのビレッジ運動は、相互扶助を通じて施設入所よりも住み慣れた自宅での生活の継続を目
指す理念として共感できる点があります。区としても、地域包括支援センターが中心となって各個人や団体に対
し、活動のきっかけとなるようすぐれた事例を参考に情報提供をしております。また、元気シニア・プロジェク
トのモデル地区におけるコミュニティ会議等において、これまでの地域の互助活動との連携も図るなど自主的な
活動に対する支援を進め、さらに地域包括ケア体制の構築を推進してまいります。
○勝亦副議長 次に、27番田島和雄議員。
〔27番田島和雄議員登壇〕(拍手)
○27番(田島和雄議員) 大田区議会公明党の田島和雄でございます。理事者の皆様におかれましては、明快な
る答弁をお願い申し上げます。
初めに、災害時の放送や通信の手段についてお伺いいたします。
本区においては、250基の防災行政無線放送塔が整備されていると伺っております。この放送塔は、平常時、
選挙公報や光化学スモッグ注意報などの情報を流したり、夕方に音楽が流れることから区民にとって身近な設備
であると言えますが、本来は、地震などの災害が発生したときに必要な情報を広報するために設置されているこ
とは言うまでもありません。
そこで、防災行政無線放送塔が設置された近隣で停電が発生するなどによって電源を失った場合の非常電源の
確保がどのようになっているのか、管理状況も含めお示しください。
また、大田区公衆無線LAN「OTA CITY FREE Wi-Fi」についても伺います。
本区においては、平成27年12月1日から区内主要駅や区役所本庁舎をはじめ区の主要施設建物内に無線LAN
のアクセスポイントが整備されました。区の説明によれば、大田区の観光情報を発信し、訪日外国人旅行者への
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区内誘導や区内来訪及び区民の利便性の向上を図るためと、災害発生時に近隣住民、旅行者、帰宅困難者への災
害情報を発信するために整備されたものと承知しております。様々な情報を得るために観光客にとって公衆無線
LANの設備はありがたく、また、平常時だけでなく災害発生時も役立つとあれば、この整備事業は今後も進め
ていかなければならないものと考えます。ただ、災害発生時に役立つものであるためには、災害発生時の環境に
耐え得る設備でなければなりません。福岡県では、本年4月から「福岡防災フリーWi-Fi」を整備しまし
た。これは災害時に帰宅困難者の一時滞在場所や指定避難所となる公共施設に整備され、非常用電源を備えるな
ど災害に強い機器を使用しております。
先ほど触れました災害発生時に近隣住民、旅行者、帰宅困難者への災害情報を発信するためとの設置目的の一
つに照らし、公衆無線LANの設備が停電時にも稼働できる非常電源を有しているか、お知らせください。
また、災害発生時、「OTA CITY FREE Wi-Fi」のポータルサイトはどのような運用がなさ
れるか、あわせてお知らせください。
本区のホームページの防災・防犯のページを見ますと、必要な情報がわかりやすく簡単に得られるような形に
なっていないのが現状です。特に、避難所地図の英語のページでは、帰宅困難者の言語表記が英語表記ではなく
日本語のままとなっており、外国人旅行客などはどこに逃げればいいのかわかりません。残念ながら、どういう
ときに、どんな場所に、誰のためにというコンセプトが不明瞭になっています。渋谷区では、平成27年6月に防
災専用のポータルサイトを開設しました。防災に関する心構えや知識を提供するだけでなく、ひとたび災害が起
きれば、避難所がどこにあるのか、地図で帰宅困難者と区民とに分けて表示され、避難所が満員かどうかもわか
るようになっています。鉄道、バスの運行情報も表示されるほか、家族安否確認、道路通行状況、ライフライン
などの関連リンクが張られています。それらは全て一目でわかるようなデザインでまとめられています。このポ
ータルサイトは、渋谷区が整備する「SHIBUYA CITY Wi-Fi」でもアクセスできるようになっ
ています。
お伺いいたします。本区のホームページは、大規模災害発生時は災害モードに切りかわるとのことですが、ど
のような表示になるのかお示しください。
また、本区として、帰宅困難者も含め災害に関する情報を必要なときにわかりやすく提供する防災ポータルサ
イトの整備・充実を求めますが、見解をお示しください。
また、「OTA CITY FREE Wi-Fi」においても、そうしたポータルサイトに容易にアクセス
でき、外国人、日本人、来訪者、居住者の区別なく全ての方に必要な防災・災害情報を提供できるようにすべき
であると考えますが、あわせて見解をお示しください。
本区では、全ての区立小中学校を学校防災活動拠点として整備する事業を進めております。事業の目的に「逃
げる『避難所』から『災害へ立ち向かう場所』へと、情報収集・伝達や地域活動の支援機能を拡充させた地域の
防災拠点へと転換する」とあります。この目的を踏まえるならば、既に整備されている携帯型や半固定型の防災
行政無線、ラジオ、特設電話のほか、多様な通信手段を確保することが今後の課題ではないでしょうか。そのた
めには、学校にも災害時に使用できる無線LANなどの整備が必要ではないかと考えます。現在、本区では、区
立小中学校におけるICT教育の充実を進めております。区立中学校には既に1校当たり生徒用40台、教員用3
台のタブレットPCを配備し、今年度は、中学校全校にLAN環境を整備したと伺っております。
そこで、ICT授業のために整備している資源を災害時に活用することができないか方策を検討するため、防
災の所管と教育委員会が協議する場を持つことを提案いたしますが、見解をお示しください。
災害に強い大田区を目指すため、通信手段の多様化にぜひ取り組んでいただきたいと要望いたします。
次に、青少年の居場所づくりについてお伺いいたします。
子ども・若者育成支援推進法第9条に基づき、本区が本年4月に策定した「青少年健全育成のための大田区行
動計画(第六次)」は、本年度、平成28年度から5年間を計画期間としています。同計画では、基本目標「青少
年の健やかな成長と社会的自立を支援します」のうち、個別目標「社会参加と共生を促進します」の新規項目の
一つに「中高生の居場所づくり」を掲げています。
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一方、本区においては、就学後の放課後児童の安全・安心な居場所として、学校施設を活用した「学童保育事
業」と「放課後子ども教室事業」を一体的に実施する「放課後ひろば事業」を進めています。これまでの児童館
のあり方、活用を再構築する必要性が出てまいりました。児童館事業の再構築の柱の一つが中高生の居場所づく
りとなっています。本年2月9日に子ども・若者育成支援推進本部が決定した「子供・若者育成支援推進大綱」
でも、「地域における中学生・高校生の活動拠点の一つである児童館の積極的な活用等により、遊戯やレクリエ
ーションを含む、様々な体験・交流活動のための十分な機会を提供する」と記されています。
そこでお伺いいたします。現在も子ども交流センターなどで中高生タイムという時間帯を設け、中高生に開放
するタイムシェアを実施しているところですが、児童館における今後の中高生の居場所づくり事業の計画につい
てお示しください。
本区では、地域力推進部が、六郷地域力推進センターでの六郷地域中高生コミュニティ事業を実施する事業者
に助成金を支給する地域力応援基金助成事業、ジャンプアップ助成を募集しました。そして、青少年委員の活動
や「ヤングフェス―Oh!!盛祭―」なども支援しています。また、福祉部が実施する「子どもの学習支援事
業」も、学習支援の場が子どもの居場所となっています。大田区の地域力推進部、福祉部、子ども家庭部などが
連携し、地域力を生かし、青少年を地域で育んでいこう、支えていこうという取り組みに敬意を表します。そう
した取り組みに加え、将来を考えて揺れ動く世代に対して、自分自身の将来の可能性に気づくことができる施策
も必要ではないかと考えます。
先日、私は渋谷区代官山町にある代官山ティーンズ・クリエイティブ、DTCという施設を視察いたしまし
た。DTCは、高校生、中学生、小学生を中心とした25歳以下の若者向けの居場所です。そこには、防音完備、
壁は鏡張りでダンスやバンド演奏ができる部屋やキッチンがついている集会室、自習や創作活動ができるサロ
ン、CDやアナログレコードを多数そろえているミュージックライブラリーもありました。平日の夕方は、ミー
ト・ザ・クリエイターズというイベントを開催しています。参加費は無料、事前の申し込みも不要、時間内であ
れば、いつ来て、いつ帰っても自由というルールで、日がわりで招く様々な分野の専門家と交流しながら、興味
のある分野を体験したり、会話をすることができます。これは、多様な価値観に触れることで、将来の職業を選
択するきっかけとなることが狙いであるとのことでした。実際、ダンスで活躍する若者もあらわれているそうで
す。一方、ミート・ザ・おやつとの名称でDTC版のこども食堂も実施しています。それは、大人が調理して料
理を出すような、よくあるこども食堂のスタイルではなく、集会室のキッチンを使用し、月2回、ミート・ザ・
クリエイターズの講師を務める料理家と若者が一緒におやつをつくり、みんなで食べる形をとっています。
DTCの施設長に、「なぜ中高生に居場所をつくらなければならないのでしょうか。今までなかったではない
ですか」との意地悪な質問をぶつけてみました。施設長は、「思春期は多感で扱いが難しい世代であり、大人た
ちもどうしていいかわからず、これまで手をつけてこなかったのではないでしょうか。若者支援の事業は、民間
ビジネスで進めていくことは難しい。若者たちがファミリーレストランやファストフードでお金を払って時間を
潰すくらいなら、無料のこうした施設を利用してほしい」と話されていました。
このDTCは、当初、渋谷区の外郭団体が運営していたものを昨年6月から民間に業務委託し、リニューアル
オープンしたとのことです。予算の制限がありながらも、民間の力を活用することによって現在の様々な取り組
みが始まりました。この施設は、専門家を呼ぶなど本格的なものではありますが、本区においても、例えば区内
や近隣の高等学校、専門学校、大学に通学する生徒、学生、留学生に児童館などの区の施設を提供し、区内の小
中高校生を中心とした若者との交流の場を設けるなどの施策もとれるのではないでしょうか。学校、家庭、塾、
部活という限られた空間で生活する中高生たちが、近い世代、少し近い世代、人種・文化も違う外国人との交流
は大きな刺激となるはずです。運営側の生徒、学生、留学生の社会参加も図ることができ、社会貢献、地域貢献
の体験を得ることができます。
地域に根差した施設である児童館を、ダンスやバンドなど若者の今の興味を満たすハード面での居場所を提供
することにとどまるのではなく、将来に向けた気づきが得られる場、多様な価値観に触れられる場としても活用
すべきと考えますが、見解をお示しください。
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現在の若者の問題は、原因を若者自身の自立意識の低さからくるものとする見方もありますが、現実の若者の
実態はもっと複雑です。先ほど述べましたとおり、本区における若者支援の体制は、複数の部署がかかわってい
ます。社会全体で支えていくこと、福祉的な観点から支えていくことも必要であることから、本区におかれまし
ては、全庁横断的に、さらに連携を密にした総合的・長期的視野に立って、今後とも粘り強く若者の支援策を進
めていかれることを要望いたします。
次に、骨髄移植などのドナーへの支援についてお伺いいたします。
「私は、全ての病院がなくなることを願っています」とは、かのナイチンゲールの言葉ですが、その願いもか
なわず、現在も、重い病や難病に苦しんでいる患者が多くおられます。
日本では、毎年新たに約1万人以上の方が白血病などの血液の疾患を発症していると言われております。血液
をつくる細胞である造血幹細胞に何らかの原因で異常が起こり発症する血液疾患の治療法には、放射線照射や抗
がん剤投与のほか、造血幹細胞移植があります。病気に侵された造血幹細胞を健康なものに置きかえて正常な造
血機能を回復させる造血幹細胞移植には、骨髄移植、末梢血幹細胞移植、臍帯血移植の3種類があります。
この造血幹細胞移植は、抗がん剤投与よりも強力な治療で、造血機能の回復、免疫や代謝異常の改善が期待さ
れますが、放射線や抗がん剤による治療と決定的に異なるのは、患者と医療機関だけでは成立せず、健康な造血
幹細胞の提供者、ドナーがあって初めて成立する治療法であることです。ちなみに、ドナーという言葉の由来
は、古代インド語であるサンスクリット語のダーナで、施すことや与えることという意味ですが、それが西洋に
伝わるとドナーに、日本に伝わると旦那という言葉に変わりました。
この造血幹細胞移植を行うには、ドナーと患者双方の白血球の型「HLA型」が合わなければなりません。し
かし、HLA型が合う確率は、兄弟姉妹の間でも4分の1、血がつながっていない非血縁者間になると数百から
数万分の1と極めて低くなります。そこで、より多くの患者を救うためにHLA型が適合するドナーを見つけ、
コーディネートする機関として財団法人骨髄移植推進財団、後の公益財団法人日本骨髄バンクが発足しました。
非血縁者間骨髄移植が平成5年1月に初めて行われて以来、本年10月19日に2万例目の移植が行われました。骨
髄バンクに登録されているドナーの登録者数は、現在、約46万人と着実に増え、移植を必要とする患者の何と9
割にドナーが見つかるまでになりました。
しかし、問題は、患者の9割にドナーが見つかるにもかかわらず、実際に移植できているのは6割程度にとど
まっていることです。せっかくドナーが見つかり、骨髄バンクが移植に向けたコーディネートを開始しても、ド
ナーに関して、都合がつかない、健康上の理由などにより移植できないことが相当数存在しています。
ドナーの都合がつかない原因の一つに、ドナー側の入院や通院の負担が挙げられます。安全な移植を期すため
に、健康診断や幹細胞の採取などで7日から10日程度の通院と入院が必要となります。これらの通院や入院の費
用は無料ですが、仕事を休んだ場合の補償、休業補償は支給されません。いくら善意、任意のもとでのドナーと
はいえ、これはかなり負担が大きいと言えます。有給休暇をとればいいではないかという声もありますが、派遣
やアルバイト、パートで働く方にとってはハードルが高くなります。
提供ドナーには20歳から55歳までと年齢制限が設けられており、ちょうど働き盛りの方が当てはまります。年
代別で見るとピークは40歳代で、このまま高齢化が進むと年齢制限によりドナー登録から自動的に外れるほか、
40歳代から生活習慣病などの健康リスクが高まり、提供前の検査ではじかれる確率が高まることからも、若い世
代のドナーをいかに増やしていくかが課題です。最近は、ドナー休暇やボランティア休暇などの制度を整備する
企業も出てきてはいますが、まだまだ少数にとどまっています。一方、20歳から55歳までの対象人口1000人当た
りにおける登録者数は、沖縄県が34.8人で最多であるのに対し、全国平均は8.24人と約4倍の開きがあり、まだ
まだドナー登録を推進できる余地があるようです。
そこで、自治体の助成があればドナー登録や実際の提供を増やせるのではないかと、新潟県加茂市がドナーに
対する助成制度を全国で初めて平成23年4月に導入しました。平成24年6月には、全国青年市長会が「骨髄移植
ドナー登録者への休業補償制度」の推進を決議したこともあり、提供ドナーへの助成を行っている自治体は、本
年11月15日現在、191まで増えました。これは全市区町村の約10.9%に当たり、大きなうねりとなっています。
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大田区議会会議録
速報版
そこで伺います。ドナー支援制度を導入している他市区町村の支給状況、実績をお示しください。
また、骨髄移植のドナーを増やすことと実際の移植に結びつけることという二つの観点から、さらに啓発活動
を強化するとともに、こうした助成制度を本区としても導入すべきと考えますが、見解をお示しください。
次に、造血幹細胞移植の一つとして挙げられる臍帯血移植についてお伺いいたします。
臍帯血移植については、平成25年第3回定例会において、我が会派の清波議員が質問いたしました。その中
で、大森赤十字病院を臍帯血が採取できる病院にすること、妊婦への情報提供と相談窓口の明確化を本区に求め
ました。
先日、私のもとにもご婦人からご相談をいただきました。ご主人が血液の病気となり、治療方法として臍帯血
移植を希望しましたが、医師より臍帯血移植はできないと言われました。その理由として、臍帯血を採取する病
院が都内に少なく、大田区に一番近いところでも渋谷区の日赤医療センターで、ご主人が入院している大田区の
病院に臍帯血を運搬することも困難であるからだそうです。臍帯血移植は、骨髄移植や末梢血幹細胞移植よりも
ドナーへの負担が軽いというメリットがあります。一人でも多くの患者さんを救うためにも、臍帯血が採取でき
る病院に大森赤十字病院を指定するよう、さらに協力に国や臍帯血バンクに働きかけていただきたいと私からも
改めて強く要望いたします。
伺います。臍帯血移植に関して、その後の経過と状況をお示しください。
平成26年1月に施行された「移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関する法律」の第5条には、地方
公共団体の責務が定められております。尊い命を救う力になれればとの尊い善意で支えられている造血幹細胞移
植の推進に本区が大きな力を発揮していただくことを強く求めます。
以上、区内外の方がさらに安心して訪れ、暮らすことができる大田区、また、若者がさらに希望を持てる大田
区、そして、重い病を患う方がさらに希望を持てる大田区となることを念願し、質問を終わります。ありがとう
ございました。(拍手)
○勝亦副議長 理事者の答弁を求めます。
○齋藤危機管理室長 私からは、防災に関するご質問についてお答えをいたします。
まず、防災行政無線放送塔の非常電源の確保及び管理状況についてのご質問でございます。防災行政無線放送
塔には基盤等の機器類が内蔵されているボックスが設置されておりまして、その中にバックアップ電源となるバ
ッテリーが内蔵されております。これにより、停電後、2日程度の対応が可能となっております。このため災害
時に停電が起きた場合でも、この間、放送塔は通常どおり機能いたします。管理につきましては、災害時にも正
常に設備が機能するよう、年2回の保守点検を行っております。今後とも、防災行政無線が災害時における情報
伝達手段の一つとして機能できるよう、万全を期してまいります。
次に、災害時におけるホームページ及び区民への情報提供についてのご質問でございます。区のホームページ
は、災害発生の規模に応じて情報発信の表示を変えております。災害が発生した場合、ホームページのトップペ
ージ画面上段に「緊急情報」や「緊急情報に対する区の対応」が表示されます。これが大規模災害になります
と、トップページ画面全体を「大田区緊急災害情報」画面に切りかえまして、被害状況や避難勧告・避難指示等
の災害情報のみを事態の推移に合わせて逐一発信いたします。この画面は、自動翻訳対応となっているため、日
本語のほか、英語、中国語、韓国語、タガログ語、タイ語でも読むことができます。区は、災害時においてもホ
ームページを最大限に活用し、このポータルサイト上での情報提供を基本にしたいと考えております。これに一
元化することによりまして、複数のポータルサイトが存在することで生じる利用者の混乱を避け、また、新たな
ポータルサイトを設定する際に生じる職員の作業量の増加や情報の提供漏れを防ぎ、迅速で確実な情報提供につ
なげてまいります。しかし、防災ページ上の情報の表示方法や構成等、さらに研究していかなければならないこ
とも事実と認識しております。「大田区緊急災害情報」画面につきましても、在住、在勤、買い物や観光目的な
ど大田区にいる全ての方が区別なく災害情報を得られるよう、トップページの構成や必要となる情報の整理等、
広聴広報課とも連携をとりながら検討・整備を進めてまいりたいと考えております。
次に、ICT授業のために整備している資源の活用についての御質問でございますが、現在、学校避難所は、
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平成24年度から5年計画で、学校防災活動拠点としての機能を付加するよう活動資機材の配備を行っておりま
す。その中で、情報機器につきましても同様にPHSイエデンワ等を整備しているところでございますが、より
確実に情報手段を確保するために、小中学校の既存の情報インフラを災害時に活用することは大変重要なことと
考えております。災害時には、避難所を担当する区の職員が情報連絡する際のツールとして有効活用できるよ
う、教育委員会事務局と協議を行いながら、学校に整備されております情報機器や情報インフラの災害時活用を
進めてまいりたいと考えております。私からは以上でございます。
○河野観光・国際都市部長 私からは、2点お答えいたします。
公衆無線LAN「OTA CITY FREE Wi-Fi」の停電時の稼働とポータルサイトの運用につい
てですけれども、アクセスポイントを設置している建物で非常用電源を有している場合は、停電時でも稼働する
ことは可能ですけれども、非常用電源が設置されていない場合は、停電時の稼働はできません。「OTA CI
TY FREE Wi-Fi」のポータルサイトでも、災害が発生した場合には「災害発生中につきインターネ
ット接続解放中」に切りかえ、メールアドレスの登録をしなくてもインターネット接続を行うことができます。
この際の接続画面は、大田区公式観光サイトの「緊急時の対応」が表示され、訪日外国人の安全対策を図ってお
ります。
次に、「OTA CITY FREE Wi-Fi」に関して、災害発生時におけるポータルサイトのアクセ
スについてですけれども、議員お話しのとおり、災害発生時は外国人、日本人、来訪者、居住者の区別なく、全
ての方に必要な防災・災害情報を提供することが重要です。「OTA CITY FREE Wi-Fi」は、
現在、災害が発生した場合には、大田区公式観光サイト内の「緊急時の対応」に接続し、地震時の対応として、
外出中の場面ごとの対処方法や命を守る3動作及び帰宅困難者の一時滞在施設の住所等を表示して周知しており
ます。災害発生時はこうした情報に加え、区が発信する災害情報を提供できるよう、Wi-Fiポータルサイト
から区ホームページへ接続し、提供する情報内容の充実に努めてまいりたいと思います。私からは以上です。
○渡邉保健所長 「ドナー支援制度」を導入しております他自治体の実績についてでございますが、本年度より
23区内で5区が開始しております。11月現在の支給件数は、世田谷区では個人が4件、事業所が1件、渋谷区と
豊島区では個人が各1件、品川区では個人が1件、事業所が1件、杉並区では個人が6件、事業所が1件となっ
ております。また、平成26年度より実施しております入間市では年間平均二、三件の支給となっており、毎年支
給実績がある状況でございます。ドナー登録の推進につきましては、ポスターの掲示や区報・ホームページ等に
よる区独自の情報発信とともに、日本骨髄バンクが実施している周知活動にもかかわり、効果的な啓発活動に取
り組み、強化してまいります。また、骨髄または末梢血幹細胞の提供者となったドナーと、その方が勤務する事
業所に対して助成金を支給する「ドナー支援制度」につきましては、患者との適合者となった方の移植率向上に
向けて導入している自治体が増え、その必要性が高まっていると区でも認識しております。
臍帯血移植に関する状況についてでございますが、臍帯血を採取するためには、「移植に用いる造血幹細胞の
適切な提供の推進に関する法律」において大変細かな条件が定められており、なかなか病院数が増えない状況で
す。現在、関東甲信越ブロック管内で24施設、都内では9病院で採取できる状況です。区といたしましても、今
年度より実施しております妊婦への支援を目的とした「きずなメール」におきまして、情報発信するタイミング
なども検討して、活用してまいります。これからも様々な機会を通じ、「誰もが健康に暮らせるまちづくり」に
努めてまいります。
○後藤こども家庭部長 私からは、中高生の居場所づくりに関するご質問にお答えいたします。
初めに、児童館における今後の中高生事業についてのご質問ですが、区の児童館は、児童福祉法上の小規模児
童館に位置づけられております。子どもの利用は主に中学生までとなっております。児童館につきましては、学
童保育が放課後ひろば事業として、区立小学校で実施されることに伴い、今後は、地域の子育て支援の拠点施設
として乳幼児親子の居場所機能を強化するとともに、平日夕方や土曜日の時間帯に中学生を対象とした事業をこ
れまで以上に充実してまいります。なお、高校生を含めた居場所とするには、情操や健康増進の育成機能を備え
た一定規模の施設とすることが必要となるため、子ども交流センターや羽田一丁目複合施設などにおいて中高生
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事業として展開していく予定です。
次に、多様な価値観に触れる場としての児童館の活用についてですが、議員お話しのとおり、中高生が多様な
価値観に触れることは、卒業後の進路や将来に向けたキャリア形成を意識する上でも非常に重要であると考えて
おります。そのため、中高生の放課後の居場所は、一定の場所ではなく、多様な場で他者との様々なかかわりが
必要であると考えております。児童館を活用した中高生事業では、場の提供にとどまらず、関係部局との連携や
地域の人材の協力をいただきながら、相談・活動・交流の三つの支援を通じて、中高生の健全な成長を支援して
まいります。以上でございます。
○勝亦副議長 次に、43番荻野 稔議員。
〔43番荻野 稔議員登壇〕(拍手)
○43番(荻野 稔議員) 東京維新の会大田の荻野 稔です。
羽田空港機能強化についてまずお伺いいたします。
都心上空を飛ぶ新ルート案について、私のもとにも不安の声が寄せられています。大田区内の多くの方にとっ
て、本格的な飛行経路の直下となることが初めてであることも要因の一つと言え、この点は、区職員、区議会、
住民の皆様も同じ認識をお持ちではないかと思います。
これまでと違い、市街地の上空を飛行するのですから、落下物などがあれば住宅街への被害等、区民の不安を
より強化し、羽田空港や、せっかく大田区が注力をしてきた周辺への開発に対し、負の印象を与えかねません。
今回、都心上空を飛ぶルートが国から提案された背景には、増加する国際線の需要があります。国土交通省の
「首都圏空港の航空需要予測」の中で、国内線は全ての予測で首都圏空港では2020年までは増加し、その後、微
減もしくは横ばいとなっているのに対し、国際線は2010年を起点に考えると、一番低く見積もった下位予測でも
2030年には倍以上に増えると予測されており、羽田空港でも国内線第2ターミナルに国際線を乗り入れる計画も
出されるなど実際に対応も協議されております。
都心上空を飛ぶルートは、現状が到着にB、D滑走路、出発にA、C滑走路を使用し、1時間当たり80回とな
っているのに対し、B、A滑走路を出発、A、C滑走路を到着に使用することで飛行機の交錯をなくし、効率的
な運用を図るものです。現状では、飛行機が完全に着陸した後に出発便が出発、この間、約30秒かかりますが、
新ルートでは着陸便が通り過ぎることですぐに出発ができ、その約30秒を短縮、その積み重ねで1時間10便増を
可能とします。
都心上空を飛ぶ新ルートは、国際線の需要が集中する3時から7時の間、南風時に限っての採用となります。
北風時はまた別のルートとなっておりますが、将来的な国際線の需要の増加に今回提案の3万9000回の増便で果
たして対応が可能でしょうか。現状の案でとどまらず、今後、国際線の需要増により都心上空ルートの実施時間
を国が拡大していくことを心配する区民も多くいるのではないでしょうか。
区は、平成22年10月に羽田空港D滑走路供用開始に伴い、国と協議をし、以後の羽田空港滑走路運用について
文書を取り交わしており、今後、大田区に関連する部分について変更する場合、国は区と協議するとしていま
す。
今回の羽田空港機能強化について区はどのように国と協議をしてきましたか。協議の状況や今後の区民への周
知や広報について区の考えをお示しください。
続きまして、高齢者支援についてお聞きします。
大田区では、平成8年からひとり暮らし高齢者の登録を行っております。65歳以上で、同一敷地内または隣地
に3親等以内の血族または配偶者が居住していない方を対象に、ふだんからの見守り等を目的として登録を行っ
ており、登録をした方は災害時要援護者名簿にも登録をされます。また、70歳以上の登録者に対しては、区内の
理容店等を1000円の自己負担で利用できる補助券なども配付しております。登録に際しては、区内にお住まいの
方で新たに65歳になる対象者に郵送でご案内、そこで未登録だった方には70歳の時点で民生委員の方による訪問
によって登録を促します。平成23年より前は65歳での訪問でした。
さて、先日、地域の方よりご相談を受け、確認したところ、登録を辞退した70歳以上の方には、本人または周
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囲の方から問い合わせが行われない限り、その後の登録へのアプローチがなくなってしまっていました。確かに
70歳の方には元気な方も多く、登録の必要はないとお断りする方もいるでしょう。しかし、加齢とともにさらに
体力も衰えていく中で、70歳以降の方にも見守りや支援が必要であることは明らかです。登録の勧奨を止めるべ
きではありません。
大田区は、この間、70歳で登録を辞退した方へのその後の勧奨に消極的だったと言えます。毎年10月に、新た
に70歳になる方、大田区に転入した70歳以上の単身世帯の方、同居者の死亡や転出等により単身世帯となった満
70歳以上の方への区は一斉調査を行っておりますが、先ほどのとおり、登録を以前辞退した70歳以上の方へのア
プローチはなく、現状に置きかえると数に変化はあると思いますが、平成22年の国勢調査での対象者は約3万
4690世帯、現状、大田区のひとり暮らし高齢者に登録をされている方は約1万5000人となり、数の上で開きもあ
ります。多くのひとり暮らし高齢者が災害時要支援名簿にも登録をされていない状態を看過してもよいのでしょ
うか。
質問します。区におかれましては、未登録者への断絶を防ぐためにも、70歳を超えた後のアプローチの継続、
ご家族、周囲や地域の方への啓発、並びに区のほかの事業との協働など、現状、負担が集中している民生委員以
外の方の力も借りながら、ひとり暮らし高齢者への支援を進めていくべきと考えますが、見解をお示しくださ
い。
以上2点の質問となります。ご回答よろしくお願いいたします。(拍手)
○勝亦副議長 理事者の答弁を求めます。
○中原福祉部長 私からは、ひとり暮らし高齢者の登録を辞退した70歳以上の未登録者についてのご質問にお答
えいたします。
登録対象の方が一旦登録を辞退した後、加齢の進行や心身の状況変化により見守り支援が必要になることも十
分に考えられます。区は、これまでも登録を辞退された方を含め新規登録の受け付けを随時行うとともに、熱中
症の予防啓発等の機会を捉えて、地域包括支援センターや民生委員が戸別訪問を行い、注意喚起のほか、ひとり
暮らし高齢者や見守りキーホルダーの登録勧奨にも努めてまいりました。あわせて区内の商店や事業者など32を
数える高齢者見守り推進事業者が、窓口や訪問先で高齢者の異変を察知した際、地域包括支援センターに情報提
供するなどの取り組みも行っております。今後も、こうした高齢者の見守り・支え合いネットワークの構築を目
指す取り組みについて、高齢者はもちろんのこと、高齢者のご家族も含め、事業の意義などを広く周知するとと
もに、他の事業との連携も図りながら、70歳以上の未登録者への登録勧奨も引き続き進めてまいります。私から
は以上でございます。
○川上空港まちづくり本部長 私からは、羽田空港の機能強化に関するご質問にお答えいたします。
左旋回やゴーアラウンド、深夜早朝時間帯における離発着など、区民生活への影響が生じており、国による機
能強化提案は、区としても大変重要な問題であると認識しております。区では、6月16日に機能強化提案につい
て国土交通大臣に申し入れを行い、回答を得ております。当区からの申し入れ内容は、国が7月28日に公表した
「環境影響配慮方策」にも反映されており、これらのことについては、その都度、議員の皆様にご報告いたしま
すとともに、ホームページでもお知らせしてまいりました。一方で、羽田空港の運用等に関しては、大田区に影
響する部分について国と文書で確認しており、その変更に際しては、国は区と協議することとされております。
引き続き、これまでの経緯や地域における現実の騒音影響も念頭に置き、適切に協議を進めてまいります。本件
については、区民の皆様への周知、広報についても重要であると承知しております。国に対しては、より一層の
安全対策、騒音対策とともに、今後も丁寧な情報提供を進めるよう要請するとともに、区としましても、区報や
ホームページ等を活用し、周知、広報に取り組んでまいります。私からは以上でございます。
○勝亦副議長 次に、47番奈須利江議員。
〔47番奈須利江議員登壇〕(拍手)
○47番(奈須利江議員) フェアな民主主義、奈須利江です。
2年海外で暮らしていた友人が、この夏、それまで住んでいた大田区に戻り、まちに外国人が急激に増えたこ
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とに驚いていました。
厚生労働省が公表した平成27年10月末現在の日本全体の外国人労働者数は90万7896人、前年に比べ12万269
人、15.3%の増加で、平成19年に届け出が義務化されて以来、過去最高の数値を更新しているそうです。しか
も、そのうちの約30%は東京都ですから、増えたなという実感は数字にもあらわれています。しかも、このデー
タは、事業者から提出のあった届け出件数を集計したもので、「外国人労働者全数とは必ずしも一致しない」と
書かれているように、実際の外国人労働者数はもっと多いと思われます。増えた理由について厚生労働省は、留
学生の受け入れが進んでいることに伴う留学生の「資格外活動」の増加―留学生は、1週間に28時間以内で
風営法対象外の職種なら何でも就労できます―や「専門的技術的分野の在留資格の外国人労働者が増えてい
る」ことを挙げ、政府が進めている高度外国人材の受け入れが着実に増えている政策的な結果であるとまとめて
います。しかも、高度外国人材と言いますが、実際、政府は、国家戦略特区などにより入国審査要件、在留資格
要件を緩和していて、かつては高度な技能を要する職種に限られていた外国人の就労分野は広がり続けていま
す。しかし、高度外国人材の対象を恣意的に変化させることで当面の人手不足を乗り切ろうとする動きには危機
感を覚えるという専門家の指摘もあります。
骨太方針2016に、永住権取得までの在留期間を世界最短とする「日本版高度外国人材グリーンカード」の導入
が盛り込まれました。平成25年9月の国家戦略特区のワーキンググループの議事録には「日本に在留する永住権
をとるためには、今なら10年ぐらい必要。専修学校の留学経験者は日本に渡ってきてそれから日本人学校、専修
学校で四、五年、終わってそれから5年くらいすると永住権の条件を満たしてくるが、その間の5年を埋める制
度を希望している」といった発言があります。仮にこの希望を満たす形で在留資格要件を緩和するなら、日本版
グリーンカードの創設で日本に留学する外国人は永住権を取得できることになり、さらに外国人労働者が増える
可能性が高まっている状況です。
数で見れば、日本の外国人旅行者数が2015年で1974万人、それに対して外国人労働者数は90万人ですから、旅
行者のほうが圧倒的に多いように見えますが、旅行者は1年中日本に滞在しているわけではありません。観光庁
の出している外国人旅行者平均滞在日数6日から7日の数字で評価してみると、まちを歩く外国人のうちの旅行
者数は、1日に換算すると32万人から37万人程度ではないでしょうか。この数字からも、私たちが日ごろ接する
多くの外国人が、旅行者ではなく、住み働く外国人であることが見えてきます。
イギリスのEU離脱も、アメリカのトランプ氏の当選も、厳しくなる国民生活の矛先が移民や外国人に向けら
れた結果であると評価している専門家もいることを考えれば、今後、私たちが考え取り組むべきは、訪れ、また
帰っていく外国人旅行者だけでなく、働き暮らす外国人労働者の問題であることは明らかです。
区長は、自ら手を挙げ国家戦略特区を進めるなど、規制緩和による外国人労働者の受け入れにも積極的です
が、外国の方を労働力として受け入れることは、その生活や人生を受け入れることです。厚生労働白書の平成24
年度版は、産業資本主義が地縁、血縁を希薄化し、社会保障が地縁、血縁を代替する形で資本主義社会や国民国
家を支えてきたと指摘しています。今、国は、その希薄化した地縁の中で地域包括ケアなど社会保障を支えよう
としているわけですが、外国人の方を受け入れるということは、さらに異なる文化や習慣や経済を持つ方たちと
コミュニティをどうつくり上げるかという新たな問題を抱えることであり、言語、住居、教育、医療、子育て、
介護、生活保護、年金といった責任を、社会保障の責任主体である大田区がどのように果たすかという問題で
す。
そこで伺います。来日し、大田区に住み働く外国の方々に対し、大田区として、どのような問題意識を持って
いますか。また、大田区として、東京都として、国としてなすべきことをどう捉え、何が課題であると考えてい
ますか。
外国人旅行者のための施設だと印象づけられてきた特区民泊ですが、やはり外国人労働者の住まいとしても使
われそうです。
昨年8月27日、日本経済新聞が外国人の家事代行解禁で、パソナなど人材派遣事業者が外国人労働者を雇うと
ともに、労働者の勤め先での住み込みを禁じ、企業側が住居を確保する規定を盛り込んでいると報道していたの
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で、特区民泊がこの外国人労働者の住まいになるのではないかと心配していました。東京都のホームページの解
禁になった外国人家政婦の宿舎の説明には、「1戸の住宅を複数の外国人家政婦が宿舎として使う場合の費用負
担」や「1人当たりの占有面積が社会通念上相当とされる程度の面積になるよう配慮しなさい」といった、住宅
費を取り過ぎないよう、宿舎に詰め込み過ぎないよう懸念する記述も見られ、心配していたとおりになっていま
した。
外国人労働者は、母国に送金するために、家族のもとを離れ日本にまで来て働きます。いくら貨幣価値の差が
あって母国よりたくさん稼げても、日本は物価が高いので送金分残らなければ、働きに来る意味がありません。
日本人と同等額以上の報酬額とありますから、最低賃金程度を支払えばよいということでしょう。高い家賃の東
京でも、特区民泊を使えば、日本で働いて住んで送金が可能になるというわけです。
特区民泊は、低賃金労働力の確保ありきで、1人当たり居住面積や衛生基準など人権を守ってきた規制を取り
払い、低価格の賃貸住宅をつくってしまったことになります。政府が簡易宿所をさらに劣悪な環境にした特区版
ドヤをつくったと言えないでしょうか。
規制緩和せず、十分な居住面積の確保された住宅を外国人労働者に提供すれば、空き家対策にもなるはずです
が、詰め込むのですからそう効果は期待できません。給与や年金の低下などに伴い、特区民泊が低所得者の住ま
い化されるのではないかと心配です。
内閣府は、ご丁寧に「特区民泊があたかも外国人に制限されているような誤解が広がっているが、日本人でも
外国人でも利用できるものなのに活用促進に支障が出ないか懸念している」と言っていますが、「簡易宿所より
大人数の詰め込みで安く住める特区民泊」を日本人の住まいとして使ってほしいということでしょうか。誤解を
与えたとするなら条例名「国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業に関する条例」に外国人と入れた大田区に
もその責任があると思います。
この特区民泊で困っている区民の声をあちこちで聞くようになりました。ごみ出しで困っている、何人もが出
入りするがどのような人がいるのかわからない、事業者から十分な説明を得られず、大田区は、「トラブルは民
民で解決して、何かあったら警察を呼べ、苦情を事業者に言え」など不誠実なので、さらに不安が募るようで
す。
問題の一つは、区内の第一種住居専用地域以外のほとんどの用途地域で設置可能なことです。例えば第一種住
居地域は、3000平米までのホテルの建設が可能です。しかし、果たして特区民泊を「フロントがあり、消防や衛
生の基準を守り、1人当たりの居住空間も確保された旅館業法を守る宿泊施設」と同等に扱ってよいのでしょう
か。第一種住居地域といえば、住居の環境を保護するための地域です。不特定多数の人の出入りがあるにもかか
わらず、フロントもなく、防犯、防災、衛生規制も緩和されている施設で地域の住環境を保護できるでしょう
か。
大田区は、近隣住民への周知や説明、ごみの適切な処理、苦情対応窓口の設置、緊急時対応等、利用者だけで
なく、周辺住民にとっても安全・安心な滞在施設となるよう、各ルールを設けていると答弁してきましたが、私
に聞こえてくる住民の評価は不安と不満ばかりです。しかも、特区民泊がドラマやマスコミなどで身近になった
ことで、違法民泊への抑止力となるどころか違法民泊を誘導するのではないかとも心配しています。
そこで伺います。特区民泊を利用する外国人について、大田区は旅行者とみなしていますが、現実には賃貸借
契約で、区内に滞在する旅行者とも住民とも位置づけられない外国の方たちが地域でともに生活する場面が増え
ることになっています。設けたガイドラインでは大田区民の安全・安心さえ守られているとは言えないのが現状
です。これは、特区民泊事業者への大田区の指導が足りないからでしょうか。民泊事業者が指導に従わないから
でしょうか。そもそもつくったガイドラインに不備があり、ガイドラインを改正すれば状況は改善されるのでし
ょうか。防災や環境、地域コミュニティを維持して守ることについて、現状のガイドラインで対応することは可
能でしょうか。大田区としての改善策について伺います。
区長は、問題は違法民泊にあるという姿勢のようですが、特区民泊の問題の本質に目を向けるべきです。
それでは、どうしてこうした住民生活を大きく脅かすような仕組みができてしまったのでしょうか。この間、
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地方分権、地方分権と言われてきましたが、今や政治は政府主導、内閣主導の中央集権で進んでいます。区民か
ら不安の声が高まっている特区民泊は、国会で議決された国家戦略特区法に基づく仕組みです。これを全国の中
でも大田区だけやると決めたのは大田区長です。大田区がこの規制改革項目を活用する事業を公表し、2015年10
月の第4回東京圏国家戦略特別区域会議で区域計画を決定、その1週間後の第16回国家戦略特区諮問会議を経て
この事業が全国初のケースとして認定されています。大田区議会で条例案が可決したのが2015年12月7日ですか
ら、この認定までの間、大田区議会は関与していません。法は、滞在日数の下限を条例で7日から10日の間で定
めることを自治体に求めていましたが、大田区で特区民泊することを決めたのは大田区長なのです。大田区長
は、全国の中で大田区だけ旅館業法の一部を無法状態にするという非常に大きな独断をしたわけですが、その責
任と重みを認識しているのでしょうか。
こうした国主導の制度変更に大田区長だけが加担する形になっているのは国家戦略特区だけではありません。
羽田空港の現飛行ルートは、一朝一夕にでき上がったものではなく、戦前戦後を通じた長い歴史的な経緯の中
で、区民と行政と大田議会とが国や東京都と、あるときは一致協力し、またあるときは対峙し、つくり上げてき
たものです。大田区も国も、飛行ルートは国が決めることだと言いますが、それでは、これまで国が独断で決め
てきたかといえば、そうではなかったことは大田区の歴史が証明しています。国が区民と区議会と大田区との対
話や歴史的経緯を尊重してきたから沖合移転事業は始まり、海から入って海へ出るルートで飛んでいるのです。
ところが、松原大田区長は、今回の飛行ルート変更について、任意団体の長である23区長会会長の発言を重く
受け止めると言います。区長は、信託を受けている大田区民より23区長会の会長の意思を尊重するのでしょう
か。
区長は、政治家であると同時に、行政の長でもあります。行政はその継続性を守らなければなりません。区長
がかわるたびに歴史的経緯を軽んじれば、独裁が始まります。選挙で選ばれたからといって何をしてもいいわけ
ではないのです。仮に変える必要があるなら、そこには歴史的経緯と議会制民主主義に基づく適正な手続きが必
要です。
そこで伺います。教室型説明会もせず、騒音・落下物・大気汚染などについて心配な住民の声も聞かず進む羽
田空港飛行ルート変更、区長がやると決めて大田区だけが旅館業法の適用除外となってしまっている特区民泊の
規制緩和など、住民の声ではなく、大田区長の独断で進む事例が目につくようになっています。区民への情報公
開や説明責任、区民との合意形成、万が一の責任の所在についてどのように考えているのか、この場で区民に説
明してください。
地方自治は民主主義の学校と言いますが、特区民泊も羽田空港飛行ルート変更も大田区民の声を聞かず、国主
導、区長の独断で進められ、主権者は不在で自治が行われていないのです。
特区民泊は国家戦略特区法に基づいた仕組みです。日本国憲法第95条は、一の地方自治体に適用する法律は住
民投票しなければ無効であるとしています。しかし、国家戦略特区法は、手を挙げれば全国の自治体が適用可能
なので、憲法第95条の住民投票は不要であるとして住民投票していません。ところが、評価し、全国展開する段
階では、法改正の手続きをとっています。全国に法を適用するには法改正が必要であるなら、全国の自治体への
適用が可能というのは矛盾しているのではないでしょうか。このことについて国家戦略特区担当の参事官にも、
内閣府の参事官にも確認しましたが、明確な説明はいただけませんでした。大田区長として独断で決めるのでは
なく、住民投票して住民の声に耳を傾けるべきではないでしょうか。お答えください。(拍手)
○勝亦副議長 理事者の答弁を求めます。
○川野企画経営部長 私からは、国家戦略特区並びに情報公開等に関するご質問に順次お答え申し上げます。
最初に、国家戦略特区の事業を行うには、憲法95条に基づく住民投票を行い、住民の声に耳を傾けるべきとの
ご質問でございますが、憲法95条には「一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところによ
り、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することがで
きない。」と定められております。この「一の地方公共団体のみに適用される特別法」でございますが、平成25
年11月20日の衆議院内閣委員会におきまして、「一または二以上の特定の地方公共団体についてのみ適用があ
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り、その特定の普通地方公共団体について他の同種の地方公共団体に対する一般的な取り扱いと異なった取り扱
いを規定する法律のこと」という趣旨の答弁が国務大臣から示されてございます。その上で、「国家戦略特別特
区法は、一定の要件を備えた区域について、政令により国家戦略特別区域として指定するものであり、具体的な
地方公共団体を法律で特定するものではなく、憲法95条に規定する場合には該当しない」との答弁も示されてい
るところでございます。
次に、大田区における情報公開、説明責任等のご質問でございますが、飛行機の航空経路の認定等につきまし
ては、国家としての航空政策の一環でございまして、しかるべき手順を踏みながら国の責任において判断される
べきものと考えてございます。なお、区も重要な課題であると認識しておりまして、区民に対して丁寧な説明を
するよう国に要請してきてございます。また、民泊につきましては、国家戦略特区の政令に基づき申請を行い、
内閣総理大臣が認定したもので、民泊の条例制定に関しましては、区議会のご議決もいただくなどのプロセスを
経て施行させていただいたものでございます。情報公開や説明責任につきましては、区では、区民の暮らしに身
近な様々な情報を保有しております。区は、区政を担うに当たりまして、こうした区政に関する情報を発信し、
説明する責任を有してございます。また、区民の皆様にホームページ、区報などを通じまして情報提供を適切に
行っていくことが重要だと考えてございます。また、自治体に求められる説明責任の重要度は地方分権が進む中
でますます高まるものと考えており、今後とも説明責任を果たしていくために透明性の高い行政運営に努め、情
報公開を進めてまいります。責任の所在等につきましては、問題の発生状況によって刑事責任、民事責任、行政
責任など別々に認定されるものでございまして、その事柄によってその所在も変わるものと考えてございます。
私からは以上でございます。
○河野観光・国際都市部長 外国人の方々が増えることに対する問題意識と課題の認識についてですけれども、
引き続き区内に住む外国人区民の増加が見込まれる中で、言葉や国籍、民族などの違いを踏まえ、お互いの価値
観や文化を尊重し、認め合うことにより地域力が発揮され、外国人にとっても住みやすく、働きやすいまちにな
ると考えております。区は、身近な行政として、こうした外国人の方々に対し、行政サービスや情報などを提供
するとともに、地域コミュニティの一員として受け入れ、地域での交流をより充実していく必要があると認識し
ております。東京都でも、全ての外国人が安心して生活し、活躍できる環境づくりなどを課題としております。
また、国でも国籍や民族などの異なる人々が互いの文化的差異を認め合い、地域社会の一員としてともに生きて
いく多文化共生の必要性を示しています。区としましては、このような都や国の動向も注視しつつ、その考え方
や対応を把握して、連携して取り組んでいく必要があると考えております。以上です。
○杉坂健康政策部長 私からは、特区民泊のガイドラインの改善策についてお答えを申し上げます。
大田区の特区民泊は全国で初めての制度でございますので、今後様々な検証を行うとともに、いわゆる民泊新
法などの国の動きも注視しながら、よりよい制度運用をしてまいりたいと考えているところでございます。以上
でございます。
○勝亦副議長 会議が長くなりましたので、しばらく休憩といたします。
午後0時5分休憩
午後1時開議
○大森議長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質問を続けます。11番鈴木隆之議員。
〔11番鈴木隆之議員登壇〕(拍手)
○11番(鈴木隆之議員) 自由民主党大田区民連合の鈴木隆之でございます。本日は、子どもの貧困、そして高
齢者がいつまでも元気で暮らせる地域づくり等の福祉問題をはじめ、奨学金の観点から見た教育環境の整備な
ど、いくつかの質問をさせていただきます。
私は今年度、健康福祉委員会に所属をしており、本来ならば所管と違った角度から区政を分析、捉えるべきと
は思いますが、早急に取り組まなくてはならない課題、そして今動くべき状況を鑑み、あえてこれらの分野にお
いての質問をさせていただきます。
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まず、子どもの貧困対策における施策の方向性に関して伺います。
今年度、本区において子どもの生活実態調査が行われました。そこから見てとれる現状の課題、そして、本区
の強みを生かした具体的解決策の検討など、今まさに取り組むべき課題であります。
平成24年時点における子どもの相対的貧困率は16.3%と実に6人に1人に上り、国は、その対策を総合的に推
進することを目的に「子どもの貧困対策の推進に関する法律」とあわせて、平成26年8月には大綱を制定し、当
面取り組むべき重点施策を示しました。
国は、本年8月1日、関係施策の実施状況や対策の効果を検証、評価するための「子供の貧困に関する指標」
について、大綱に掲載された当時の数値と直近値を比較し、その実態や取り組みをまとめた「平成27年度子ども
の貧困の状況および子どもの貧困対策の実施の状況」を公表しました。生活保護世帯の高校等進学率は2ポイン
ト増の92.8%、高校等中退率は0.8ポイント減の4.5%と、いずれも改善傾向が見られるとしたほか、生活困窮世
帯の子どもを対象とした学習支援事業を実施する自治体の数も、平成26年度、50自治体から平成27年度には300
自治体の6倍増になるなどの成果も示されております。さらに、貧困状態にある子どもたちの実態をより把握
し、草の根で支援を行っているNPO法人などの地域活動を後押しするため、「未来応援ネットワーク事業」を
立ち上げ、本年10月25日には86団体、総額約3億1500万円の支援を行うと発表しました。これらの中には、例え
ば十分な学習環境に恵まれない小中高生を対象にしたボランティアサポーターが行う学習支援事業28団体や、衣
食住など生活支援を行う事業18団体、そして居場所の提供・相談支援を行う事業17団体など様々な事業がありま
す。今後も一人ひとりに寄り添ったきめ細かな支援の一層の充実を期待するところであります。
一方、大田区においては、子どもたちとそのご家庭の生活実態を正確に把握し、地域共通の課題として子ども
の貧困対策に取り組むことを目的に、子どもの生活実態調査やひとり親家庭の生活実態に関するアンケート調査
などを実施しました。調査結果の概要では、子どもたちが抱える課題は、保護者の日常生活に関する課題に始ま
り、自立に必要な進学機会の獲得や適正な生活習慣、成長に必要な栄養の確保、安らげる居場所づくりなど様々
な課題が整理をされました。こうした課題は、政府が支援を決定した内容である「未来応援ネットワーク事業」
と通ずるものであり、まさに、今特に必要とする支援の類型であると考えます。区は調査結果から得た課題を踏
まえ、今後どのような施策展開を柱に据える考えか、見解をお伺いいたします。
次に、子どもの貧困対策における自立に必要な進学機会の獲得のための施策の一つである区の奨学金貸付制度
について伺います。
大学の入学料・授業料は、文部科学省資料によると、国公立、私立ともに年々増加傾向にあり、平成27年時点
と区の奨学金貸付条例制定当時である昭和50年とを比較すると入学料は約2.5倍、授業料は約4倍となっており
ます。一方で、平均給与は国税庁の民間給与実態統計調査によると、10年前と比較して20万円程度下がっている
現状に鑑みると、学生を抱える家庭は矛盾した経済事情にあることが理解できます。
区では、区内居住期間や所得、学業成績などの要件を満たす学生・生徒を対象に無利子での奨学金貸付事業を
実施し、これまで貸付額の拡充や学業成績の基準緩和など時代時代に応じて制度の改正を重ねてまいりました。
リーマンショックの影響などから貸与実績の多い平成22年度と昨年度を比較してみましたが、高等学校等の対象
人口は、各年1月で15歳から17歳、1万4384人から1万5610人と8.5%の増であるにもかかわらず、貸し付け実
績は235件から135件と4割程度もの減少となっております。また、27年度の全国私立学校教員組合連合の調査で
は、経済的理由で私立高校を中退した生徒は1校当たり0.16人で過去最低水準となるなど、高等学校等修学資金
制度など高等教育の経済的負担軽減措置による支援拡充の影響もあり、高等学校等は全体的に利用者ニーズの減
少が見られるものと考えます。一方、大学等での対象人口は、各年1月で18歳から21歳、2万2708人から2万
3894人と5.2%の増である中で、貸し付け実績は399件から350件と1割程度の減少にとどまる状況です。進学率
を見ても、高校は98%程度で動きはありませんが、大学、短大の進学率は0.7ポイント増の55%と若干ですが増
加傾向にあり、近年の社会情勢では、大学等を対象に事業ニーズが濃いものとなっております。
こうした状況において奨学金制度を実施している19区のうち、大学等を対象としているのは4区しかありませ
ん。また、大学等の貸し付け規模も、港区50件程度、墨田区10件程度、足立区60件程度である中で、大田区は
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1000件という2桁違う支援規模となっています。さらに、支援の充足率を見ても、大学在学中の4年間で最大
211万2000円の奨学金を受けることが可能となっており、経済的負担の多くを充足できる水準であるほか、進路
の選択もまた多様化している現状に鑑みれば、貸与枠も含め他区に比較しても充実した内容であると考えます。
本制度は、昭和49年から現在に至るまで、幾度もの制度の拡充を図りながら多くの学生を支援してきました
が、今後もこうした支援を永続的に展開していくためには、貸付制度の利点を生かして、奨学金の原資となる返
還金を適切に管理し、次世代の支援につないでいくことが重要と考えます。区の奨学金貸付制度の評価と今後も
適切に運営していくための視点について区の見解を伺います。
続きまして、奨学金貸付の猶予制度の拡充についてお伺いをいたします。
少子高齢化の中で、今後の福祉政策は大変に厳しい局面を迎える認識を持つべきことは、私はかねてから申し
上げてまいりました。都区の調整税である市町村民税法人分は、消費税率8%への引き上げに合わせて一部が国
税化され、また、消費税率10%段階においては国税化のさらなる拡充も予定されるなど、特別区を取り巻く財政
環境は厳しい状況が予想されます。
こうした中でも、区は、高齢者対策や子育て支援対策、首都直下地震等に備えた防災・減災対策に加え、公共
施設の改修・改築事業、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けた開催都市としての万全な体制づくり
など喫緊の課題は山積しており、必要となる財源の確保策として、区税をはじめ貸付金や使用料等の適正な債務
管理も重要であります。
区の奨学金貸し付けの償還未収入金額を見ますと、平成27年度末で約4億2200万円となっており、ピーク時の
平成22年度と比較し、約2割減少しております。これは早いタイミングでの督促状及び催告状の送付などの地道
な努力をはじめ、口座振替や月賦払いを導入し、返還しやすい環境整備を進めてきたことや、数年間、滞納を続
け、1度も返還がないといったケースには弁護士委託による債権管理も実施してきたことの成果であると考えま
す。今後とも、支払い能力が十分にある方に対しては毅然とした対応が望まれるものであります。
一方で、様々な理由でやむを得ず、返還が困難になってしまった方々には、調査をしっかり行った上で、十分
な配慮をしていくことも重要なことと考えます。日本学生支援機構の調査では、奨学金の返還義務を知った時期
として、「貸与手続きを行う前」と回答した方は、滞納がない方の90.3%に比べ、滞納がある人は49.5%となっ
ており、申し込み手続き時点での返還義務の認識が十分ではないことが指摘されております。また、返還期限猶
予制度を知っていた時期として、「返還が始まる前」と回答した方は、滞納がない方の34.1%に比べ、滞納があ
る人は4.8%となっており、大きな差が見られる状況です。その点、区の奨学金貸付制度では、対象は就学者本
人であり、卒業後に社会で活躍した後に実際の返還が始まることから、返還開始の際に、お知らせ通知を送付
し、その後、さらに在学中である場合や病気などの理由で返還が難しい場合には、猶予できる場合があることを
周知し、その利用者は26年度86件、27年度126件となっております。
さらに、日本学生支援機構の調査では、延滞が始まった理由も含まれておりますが、「忙しかった」や「返還
を忘れていた」など本人の過失による滞納理由を回答した方が10%以上いる一方で、「家計の収入が減った」が
69.4%、「家計の支出が増えた」が41.9%という状況になっております。特に収入の減少では、例えば自己都合
でない急な失業や、出産・育児休業なども想定されますが、こうした事象に対しては、多くのポテンシャルを秘
める若者や女性一人ひとりの力に加え、何らかの支援を行うことが必要と考えます。若者への支援拡充、女性活
躍の推進を柱の一つに掲げる政府の「ニッポン一億総活躍プラン」の精神にもかなうものですし、かつ安心感の
醸成や将来の見通しの明確化などの観点から、区が目指す子ども貧困対策における包摂される地域社会の実現に
も資するものと考えます。
そこで伺いますが、奨学金貸付制度の実施に当たり、現状の在学や疾病のほか、自己都合以外の失業といった
急な事態や出産・育児休業などにも期限を付して返還猶予制度の拡充を検討すべきと考えますが、見解を伺いま
す。
文部科学大臣は、「子供の貧困対策に関する大綱」が策定された直後の記者会見で、「学生への経済的支援の
在り方に関する検討会」について触れ、将来的には給付型奨学金の創設に向けての検討を進めていくべきとの提
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言も踏まえ、奨学金の有利子から無利子への流れを加速させるための無利子奨学金の充実や、より柔軟な所得連
動返還型奨学金制度の導入に向けた対応の加速など、大学等奨学金事業の一層の充実を図りたいとの見解を示し
ました。
本年10月、給付型奨学金に関するプロジェクトチームがまとめた中間報告案では、必要となる財源の確保の課
題はありますが、高校在学中の成績が5段階評定で平均4以上の生徒を条件に、1か月当たり3万円給付する案
を軸として、平成29年度の導入を目指す方針が示されました。
都においては、平成32年度までの教育施策の方針となる教育施策大綱骨子の中で、子どもの貧困問題が深刻化
する現状を踏まえた対策を反映し、高校生を対象に給付型の奨学金を創設するとしているとしております。こう
した給付型の議論は、恒久的な施策とする場合、税制措置なども含め、恒久的かつ安定的財源が必要となること
や、将来的には国民全体に社会的便益をもたらす制度と考えられるため、国や広域自治体である東京都の施策と
してなじむものと考えます。
一方、区では、平成26年度から区民の寄付金を財源にした給付型奨学金を創設し、その内容は、経済的困窮に
ありながら優秀な学生に対し、入学金相当額として上限額30万円、毎年度40人程度に給付し、他の奨学金制度と
の併給も可能とする就学支援金となっております。本事業に係る寄付金7000万円は、末吉育英基金として積み立
て、平成26年度から5か年程度の事業期間を見込み、これまで既に69人の方への支援の財源として活用してまい
りました。他区の事例を見ても、寄付を財源とするものや規模が小規模などものなど、現時点における基礎自治
体としての施策となっております。
大田区の奨学金貸付制度は、他区と比較しても評価できるものであり、先ほども触れましたが、財源が限られ
る中で、多くの行政課題に対応しなければならない現状に鑑みますと、私は、奨学金貸付制度の利点を生かして
永続的に制度を維持・発展させ、より多くの学生を効果的に支援することこそ求められていることと考えます。
このことを認識の軸としながら、あえて地域課題における人材確保・育成の観点から提案を行いますが、特別養
護老人ホームや認知症高齢者グループホームなどの地域密着型サービスの拡充を進める大田区では、介護人材の
確保・育成は地域的要請が特に強いものと考えます。
奨学金貸付制度を維持しながら、区内サービス事業所の介護職に一定期間従事した場合に免除する制度となれ
ば、区の財源を活用することも議論の余地があるものと考えますが、現時点における区の認識を伺います。
最後に、大田区シニアステーション事業に関してお聞きします。
社会保障費は年々増加し、2000年には78兆円だったものが2011年には108兆円、対GPD比で見れば15.5%か
ら22.3%へ増加しています。2012年の内閣府が発表した将来推計では、団塊の世代が後期高齢者の仲間入りをす
る2025年になると、年金、医療、介護を含む福祉費の総計148兆円になることが予想されています。今後、社会
保障費を維持することが大きな課題でありますが、その中で、高齢者が元気に健康で長寿に過ごしてもらうこと
に期待が寄せられております。現在、介護保険制度改正を受け、2025年に向けて超高齢化社会の対策として地域
包括ケアシステムという新たな社会構造の構築が求められています。
大田区の高齢化の状況は、28年4月、高齢者人口は16万人を超え、高齢化率22.6%、65歳以上の要介護認定を
受けていない元気な高齢者は約8割であります。高齢期の特徴は、加齢に伴い、心身機能の低下が見られ、スト
レスからの脆弱性が高まり、健康障害を引き起こしやすくなるフレイルと呼ばれている状況が見えます。このフ
レイルの予防が健康余命の延伸につながり、健康でいきいきと暮らせることの実現となります。今年度4月に、
新たに地域包括支援センター田園調布を新設し、老人いこいの家を活用した大田シニアステーション事業をモデ
ル実施しました。この事業は、高齢者の元気維持、介護予防から切れ目のない支援を提供することを目的として
いますが、8か月が経過をし、制度や仕組みを見直すことによる事業の効果をお尋ねします。
以上大きく5項目に分けてお伺いをいたしました。それぞれの部局の皆さんが区民本位で大変なご努力の中、
執行されているそれぞれの事業が、さらに精度を高め、充実したものとなるよう願い、以上で質問を終わりま
す。(拍手)
○大森議長 理事者の答弁を求めます。
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○中原福祉部長 私からは、福祉施策に関連しました二つの質問についてお答えいたします。
まず、子どもの貧困対策に係る今後の施策展開についての考え方についてのご質問でございます。子どもの貧
困対策を進める上では、必要なものが満たされない状況が子どもたちにどのような影響を及ぼすのか、多角的に
捉えるとともに、子どもや保護者が抱えるニーズを踏まえ、きめ細かい支援を行うことが重要と認識しておりま
す。このたび実施した生活実態調査などの結果を見ますと、家庭内の人間関係や相談相手、就業状況など保護者
の抱える課題、また、自立に必要な学力や医療・栄養、居場所といった子どもたちが抱える課題など、家庭の努
力だけでは解決が難しい課題も見えてきました。こうした課題に対して対応する施策の柱ですが、まず、子ども
の基礎的な学力を保障する学習環境や生きる力を育む経験の機会の提供といった「経験・学力」、そして子ども
と保護者の心身の健康を支える「生活・健康」、そして子どもと保護者が安らげる居場所や社会とのつながりを
持てる場の提供といった「居場所・包摂」、これら三つの支援が特に重要な施策展開の柱になるものと考えてご
ざいます。今後、議会や区民の皆様のご意見を伺いながら、今年度中に計画を取りまとめ、区民、地域活動団
体、企業・事業者などと積極的な連携のもとで、全ての子どもたちを社会的に包み込むような支援の実践を目指
してまいります。
次に、シニアステーション事業についてのご質問です。当事業は、高齢者の支援を切れ目なく行えるよう、地
域包括支援センターと高齢者の活動の場を一体的に運営する区で初めての取り組みです。各シニアステーション
では、ライブ映像や専門職の指導による介護予防事業の充実を図っております。例えば、毎週体操の参加者調査
では、「身体の改善状況を実感した」の項目について、「かなり改善」「対象改善」で100%に近い回答が得ら
れました。また、自治会・町会、ボランティア、特別支援学校との連携といった多世代の交流では、カフェや男
性向きの講座など社会参加を推進する多彩な事業を実施しております。このような取り組みを通じ、新規利用者
が増え、昨年同期の老人いこいの家の利用状況と比較して、利用者数が約25%増加しております。また、切れ目
のない支援として、活動の場に通う利用者で認知症の兆候が見えた方に地域包括支援センターでの支援を開始す
るといった一体的な運用による効果も出ております。さらに、元気シニア・プロジェクトでは、モデル地区とし
て、地域ぐるみの介護予防を目指し、積極的に事業を推進しております。区としましては、今後とも、地域の実
情に即した事業等の展開を図り、制度や仕組みの見直しによる事業の効果を生み出しながら、地域包括ケア体制
の構築に努めてまいります。私からは以上でございます。
○西山福祉支援担当部長 私からは、奨学金貸付制度に関する3点のご質問につきまして回答させていただきま
す。
まず、奨学金貸付制度の評価と運営の視点についてのご質問ですが、学生生活に必要となる費用は、授業料の
ほか、入学金や学用品費など様々なものがあり、学生が安心して通学できるよう支援していくことは大切なこと
と認識しております。区の奨学金貸付事業は、有用な人材を育成する趣旨を踏まえ、対象範囲や貸し付け規模、
貸し付け水準のほか、返還期間の長期設定や連帯保証人の住所要件の緩和、通信制学校の対象化など、より使い
やすい制度になるようこれまで見直しを重ねてきており、他区に比較しても優位な制度と自負しております。本
事業の今後の運営につきましては、より多くの学生を支援するため、制度の原資となる返還金を適切に管理する
ことが肝要と考えております。このため、返還開始時における意識づけの強化や返還方法などの周知のほか、借
受人の個々の状況に応じた対応も含め、適切な債権管理を行い、次世代につながる支援に努めてまいります。
続きまして、奨学金貸付の猶予制度についてのご質問ですが、猶予制度の効果的な運用につきましては、貸し
付け時点で予期できない個々の事情への柔軟な対応と合わせて、計画的な返済による適正な債権管理にも資する
ものと考えております。このため、区では、進学や心身の故障、災害・盗難により奨学金の返還が困難と認めら
れる場合に、猶予できる措置を設け、貸し付け開始の際に配付する「奨学生手帳」をはじめ、返還開始の際のお
知らせなども活用し、周知を図っております。区の奨学金利用者が、将来にわたり返済困難に陥る不安がなく、
安心して働き、社会で活躍できるよう、議員お話の内容も含め、実効性のある猶予制度の構築に向けて、さらな
る検討を進めてまいります。
最後となりますが、人材確保・育成の観点から奨学金の免除制度についてのご質問ですが、将来の地域社会の
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経済や文化の発展を支える有用な人材の確保・育成という観点から、高等教育の受益は、学生本人はもちろんの
こと、社会全体に広く及ぶものと認識しております。アメリカやイギリスなどの諸外国では、一定の条件を満た
す場合、奨学金貸し付けを実質的に減免する制度があることは承知しております。一方、我が国では、教職や研
究職に一定期間以上従事した場合に、奨学金の返還を免除する制度が実施されておりましたが、人材確保策とし
ての意義が薄れていることや、特定の職のみを対象とすることへの不公平感などにより、平成16年度に廃止され
た経緯もございます。今後ますます少子高齢化が進む中、介護サービスを担う人材の確保・育成は急務であり、
区では、福祉フェスや事業者団体とハローワーク大森と連携して実施している「おおた介護のお仕事定例就職面
接会」など様々な施策を展開しております。議員お話しの奨学金貸付制度を活用したさらなる施策の拡充につき
ましては、国や東京都の動向を注視し、検討すべき課題であると認識しております。私からは以上でございま
す。
○大森議長 次に、16番高山雄一議員。
〔16番高山雄一議員登壇〕(拍手)
○16番(高山雄一議員) 自由民主党大田区民連合の高山雄一です。質問通告に従い、質問させていただきま
す。
まずは、データヘルス計画に基づく保健事業について質問いたします。
大田区の国民健康保険は現在、人口約71万人に対し、被保険者数は約16万人で、人口の約23%を占めていま
す。このうち、65歳以上の加入者は約35%を占め、年々増加傾向にあります。急速な高齢化、医療の高度化の進
展による医療費の増大により、国民健康保険の財政は厳しい状況が続いています。この課題を解決するために、
国は全ての健康保険組合、市町村国保に対し、レセプト等のデータの分析、それに基づく加入者の健康保持増進
のための事業計画として、データヘルス計画の作成、公表、事業実施、評価などの取り組みを求めました。本区
においても、医療費の適正化を着実に進め、被保険者の健康を保持増進するために、平成28年3月に「大田区国
民健康保険データヘルス計画」を策定して、取り組みを進めています。データを活用して科学的にアプローチす
ることで事業の実効性を高めていくのがこのデータヘルス計画の狙いのため、特定健康診査の受診率を高めるこ
とが必要となってきます。しかしながら、平成27年度の特定健康診査受診率はデータヘルス計画で設定した40%
に届かず、37.05%でありました。また、審査結果をもとにした積極的支援、動機づけ支援などの特定保健指導
の実施率も、19%の目標に対して12.9%でありました。審査結果を活用して、その後の積極的支援や動機づけ支
援などの特定保健指導につなげるためには、この数値を高めることが重要となってきます。厚生労働省が平成26
年6月に発表したデータによると、積極的支援の保健指導を受けた人のうち、約4割が保健指導レベルが改善
し、動機づけ支援の保健指導を受けた人のうち、約3割が特定保健指導の対象外になっていることからも、保健
指導の重要性が確認できます。
そこで伺います。特定健康診査の受診率、特定保健指導の実施率を高めるため、区としては今後どのように取
り組んでいくのかをお答えください。
また、データヘルス計画によると、大田区の国保被保険者1人当たりの年間の医療費は32万8155円と特別区で
一番高いと記載されています。中でも特徴的なのが、5万点以上の高額レセプトの医療費は、件数では全体の
0.6%にすぎませんが、金額では医療費全体の29%を占めているということであります。
そこで伺います。このことからも高額レセプトの医療費を下げることも重要だと考えますが、区としての今後
の取り組みをお答えください。
今後ますます高齢化が進むことが予測される中で、国民健康保険の適正化に向け、区としてデータヘルス計画
に基づく保険事業をどのように進めていくつもりなのか、お答えください。
次に、清掃事業について質問いたします。
大田区では、平成23年3月に策定した「大田区一般廃棄物処理基本計画」に基づいて、ごみ減量に向けて様々
な施策を実施してきました。その結果、区内の家庭や小規模事業所などから排出された区収集ごみ量は、平成22
年度に14万2500トンであったのが、27年度には13万4500トンとなり、5年間で約5.6%減量することができまし
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大田区議会会議録
速報版
た。また、収集体制についても見直しを図り、ごみ処理経費を5年間で約13%、約10.6億円を削減いたしまし
た。これらの取り組みは大いに評価できるものであります。しかしながら、今後もますます人口の増加が見込ま
れ、ごみ減量の達成度がわかりにくくなってしまうため、今後は区民1人1日当たりの区収集ごみ量を削減して
いくことを目標とし、平成26年度の1人1日当たりの収集ごみ量524グラムに対し、30年度には512グラム、37年
度には471グラム、平成12年度比36%減を目標といたしました。目標達成のためには、発生抑制・再利用に取り
組むことが重要ですが、可燃ごみに15.4%含まれている紙類やペットボトルなどの資源物を適正に資源として分
別することもごみ量を減らすためには重要となってきます。そして、不燃ごみや粗大ごみに含まれる資源物をリ
サイクルすることも必要になってきます。つまり、リデュース、リユース、リサイクルの3Rのさらなる推進が
目標の達成につながる鍵となってきます。また、小型家電などに含まれる貴金属・レアメタルなどがリサイクル
されずに埋め立てられている状況を踏まえ、廃棄物の適正処理と資源の有効活用を図るために、平成25年10月か
ら実施している携帯電話や携帯ゲーム機、デジタルカメラなどの10品目の小型家電を対象とした小型家電リサイ
クル事業のさらなる充実が求められます。
そこで伺います。区としては、ごみの減量に直結する3Rの推進、小型家電リサイクル事業などを今後どのよ
うにして充実、拡大していくつもりなのかをお答えください。
今後、東京オリンピック・パラリンピックを控え、まちの美観の確保も重要な課題であると考えます。こうし
た中、集積所に出されるごみのうち、不適正な出し方がされたものについては収集されずにルール違反のシール
が張られ、その場に取り残されているものを見かけることがあります。その中には、有料ごみ処理券が張られて
いない事業系ごみや、明らかに可燃ごみや不燃ごみと異なる自動車のバッテリーや廃タイヤ、消火器などの不法
投棄ごみも見受けられます。これはまちの美観を損なうだけでなく、ルールに基づいて適正に有料ごみ処理券を
張っている者から見れば不公平感もありますし、歳入確保の観点からも見過ごすわけにはいきません。
そこで伺います。区は今後、事業の執行体制の見直しの中で集積所の改善業務についても強化されることと思
いますが、まちの美観の確保、また貴重な歳入確保の観点から、有料ごみ処理券が張られずに出された事業系ご
みや不法投棄ごみなどの不適正な排出のごみについて、防犯カメラの活用なども含め、どのように体制を強化し
ていく考えなのかをお聞かせください。
次に、ごみの持ち込みについてお伺いいたします。これまで日曜日限定であった粗大ごみの自己持ち込みが、
今年度から月曜日から土曜日も午後なら自己持ち込みが可能になりました。私も以前、日曜日限定のころであり
ますが、粗大ごみを持ち込んだことがありますが、電話をして希望日を調整いたしますが、その日は予約がいっ
ぱいで、翌週の持ち込みとなってしまいました。今は毎日受け付けているので、以前ほど込み合うこともないで
しょうし、とても便利になったと思います。ただ、この自己持ち込みの制度ですが、現在は粗大ごみしか受け付
けておりません。引っ越しなどの際には、事前に片づけたつもりでも、どうしても引っ越し当日には大量のごみ
が出てしまいます。何度か引っ越しで出たごみと思われるごみが集積所に置き去りとなって、ルール違反のシー
ルが張られているのを目にしたことがあります。私が以前住んでいた自治体では、可燃ごみも持ち込むことが可
能で、1キロいくらという感じで引き取ってもらうことができ、大変便利で何度か利用いたしました。
そこで伺います。引っ越しなどの臨時に出る可燃ごみについても粗大ごみと同様に自己持ち込みができないも
のでしょうか、区の考えをお答えください。
続きまして、自転車走行環境の整備、特にコミュニティサイクル事業について質問いたします。
今年度、私は区議会親善訪問調査団の一員としてヨーロッパへ視察に行かせていただきました。主に産業・教
育の実情を調査研究し、区政に反映させることを目的として行かせていただきましたが、交通施策についても勉
強させていただきました。
今回訪問したドイツ・ブレーメン、ハンガリー・ブタペスト、イギリス・ロンドンでは、どこも自転車施策は
進んでおり、自転車専用レーンやコミュニティサイクルが充実していました。特に2012年にオリンピックを開催
したロンドンでは、環境に優しい持続可能なオリンピックを目指し、自転車専用レーンの整備とともに、2010年
にサイクルポート315か所、自転車約5000台でコミュニティサイクル事業を開始し、エコオリンピックをテーマ
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に大成功で幕を閉じました。現在では、ロンドンでは山手線内側面積に近い範囲の中に700か所のサイクルポー
ト、自転車約1万台にまで規模を拡大しています。
東京都でも、2020年のオリンピック・パラリンピックに向けてコミュニティサイクルの普及支援に取り組んで
おり、大田区でも、27年度に「大田区におけるコミュニティサイクル実施に関する基礎調査報告書」をまとめ、
28年度予算では2393万円を計上し、平成29年3月中の試行運用開始に向けて準備を進めています。コミュニティ
サイクルとは、一つのサイクルポートを中心に往復利用を行う、借りた場所に返さなければいけない従来のレン
タサイクルと異なり、設置してあるサイクルポートであれば、借りた場所でなくても、どこで返してもいいとい
うものであります。区では今年度、6か所のサイクルポートに100台の電動アシスト付自転車を設置して試行運
用を開始する予定としております。コミュニティサイクルの果たす役割、期待される効果としては、回遊性の向
上、公共交通の補完、観光振興、健康増進、そして放置自転車の削減などが挙げられます。このように大変大き
な効果が期待できるコミュニティサイクル事業でありますので、試行運用だけで終わらせるのではなく、ぜひと
も本格実施へとつなげていただきたいと考えています。
既にコミュニティサイクル事業を実施している他区の状況を調べてみると、11月1日現在、千代田区がサイク
ルポート55か所で自転車600台、中央区が34か所で200台、港区が55か所で710台、江東区が40か所で500台、本年
10月にスタートした新宿区が17か所で200台となっています。また、5区が連携して互いのポートに相互乗り入
れできる自転車シェアリング広域実験を実施し、利用実績も順調に増えるなど大きな成果を上げているようであ
ります。東京オリンピック・パラリンピックの開催に向けて、各区が連携することは非常に重要であると考えま
す。大田区も広域相互利用の自転車シェアリングへの参加を目指すとのことであり、早期実現を期待するところ
でありますが、他区と比較すると、かなり現在では規模が小さいのが気になるところであります。ちなみに、千
代田区では、初年度となる2014年度は初期投資費用などで約2億円の予算を組んで事業を開始したそうでありま
す。
コミュニティサイクル事業を多くの方に不便なくご利用いただくためには、試行運用期間といえども、一定程
度の規模で実施する必要があると考えます。コミュニティサイクルの利用促進のためには、まず利用しやすいこ
とが必須条件となるからです。基礎調査報告書によると、ポートの数が多ければ多いほど利用の回数は増える傾
向にあり、初期段階では500メートル間隔程度でのポート配置が理想だとしています。そうすれば、1台につき
1日3回程度の利用が見込まれると想定しています。ただ、その場合、区内に174か所のサイクルポートと1316
台の電動アシスト付自転車が必要となってまいります。いきなりこの数を整備するということは厳しいと考えま
すが、利用者を増やすためには、ぜひとも規模を拡大していただきたいと思います。
そこで伺います。今年度、サイクルポート6か所、電動アシスト付自転車100台で試行運用を開始するコミュ
ニティサイクル事業でありますが、今後利便性を高めて本格実施へとつなげていくためには来年度以降、大幅な
事業の拡大が必要だと考えます。区としては、このことについてどのように考えているのかをお答えください。
次に、サイクルポートについて伺います。コミュニティサイクルの利用促進に向けては、ポートの設置数はも
ちろんですが、設置場所も非常に重要であると考えます。駅前や人が多く集まる施設などの目立つ場所にあれ
ば、利用頻度が増すことが期待できますし、大田区でもコミュニティサイクルを始めたのだといういい宣伝効果
にもなると考えます。視察で訪問したヨーロッパの3都市では、サイクルポートは、どこも歩道や、場所によっ
ては車道の真ん中の中央分離帯の部分など非常に目立つ場所に数多く設置してありました。区では、今年度は大
森臨海エリアの6か所からスタートするとのことでありますが、利便性の高い駅周辺や区内の主な観光拠点、ま
た交通不便地域や多くの人が訪れる施設などにも今後はぜひ数多く設置していただきたいと考えます。
そこでお伺いいたします。来年度以降、サイクルポートを増やしていくことと認識していますが、どのような
地域、どのような場所に設置をしていくつもりなのか、区の考えをお答えください。
また、コミュニティサイクル事業の推進に向けては、利用者の安全確保の考えから、自転車走行環境の整備な
ど様々な課題もあると考えます。今後、区として取り組むべき課題と対策についてお答えください。
このコミュニティサイクル事業は、鹿児島市では「かごりん」、また、千代田区では「ちよくる」などの愛称
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で親しまれています。たまちゃんバスの愛称で多くの区民に親しまれているコミュニティバスのように、この大
田区コミュニティサイクル事業にも、ぜひとも区民に親しまれるような愛称をつけていただき、多くの区民に使
用していただくことを期待して、次の質問へ移ります。
最後に、教育費について質問いたします。
ヨーロッパ視察で訪問したドイツ・ブレーメン市は、皆さんもご存じのとおり、平成23年度から中学生が海外
派遣で毎年訪問している都市でもあります。今回の訪問では、中学生が毎年訪問している障害者就労施設のマー
ティンスホーフや市庁舎・州議会、そして滞在中の中学生のプログラムのコーディネートやホームステイ先の手
配などを引き受けてくれているCASA語学学校などを訪問し、施設を見学させてもらったり、語学学校の校長
先生やホームステイ先のホストファミリーから直接中学生のブレーメンでの様子を聞かせてもらったりと、大変
有意義に意見交換をさせてもらいました。
障害者就労施設はハンディキャップのある560人とサポート役として90人の健常者が作業しており、ハンディ
キャップの具合に合わせた様々な仕事をこなしています。ブレーメンにはベンツの工場もあることから、ベンツ
の部品を組み立てる作業なども多く請け負っております。ここで働く障害のある人たちも、自分たちがベンツの
一部をつくっているのだという誇りを持って、みんな非常にいい顔で仕事をしておりました。障害を持つ人たち
の働き方として、とても参考になる施設でありました。中学生たちは、この施設を見学するだけでなく、短い時
間ではありますが、一緒に作業をさせていただいてもいます。また、CASA語学学校の校長先生やホストファ
ミリーとの懇談会では、日本から持っていった今年度の中学生海外派遣をまとめたDVDを一緒に見ましたが、
とても懐かしそうに見てくださいました。みんな毎年、大田区の中学生が来るのを心待ちにしているとのことで
ありました。28人の中学生は2人1組となって14か所に分かれてホームステイしているので、14軒ものホームス
テイ先を探すのに毎年苦労しているのではないかと質問したところ、CASAには180件のホストファミリーが
ホームステイ先として登録しているので14軒は全然問題ない、来年以降もまたぜひ来てほしいと力強く話してく
ださいました。
我々訪問団からも、障害者就労施設や市庁舎・州議会をはじめ、ものづくり体験や、様々な毎年充実したプロ
グラムを組んでいただいているCASA語学学校とホームステイでお世話になっているホストファミリーの方々
に対して、感謝の気持ちを伝えさせていただきました。
この中学生の海外派遣事業は、毎年、中学2年生を対象として各学校2名ずつ、アメリカ合衆国セーラム市
と、このドイツ・ブレーメン市に分かれて、夏休みを利用して28名ずつがそれぞれの都市にホームステイという
形で実施をしています。海外での生活体験を通して、外国の生活や文化の理解を深めるとともに、外国語の習熟
を図り、人間性豊かな生徒を育成することを目的に実施しておりますが、実際に中学2年生の夏休みの12日間を
期待と不安をもって、そして十分に言葉も伝わらない中、ホームステイという形で海外で過ごした経験は何物に
もかえがたい財産となっていることでありましょう。きっと将来様々なシーンで、この経験が生きてくるのでは
ないでしょうか。できることなら、もっと多くの中学生たちにも経験させてあげたいと強く感じました。
出発直前に乗り換え空港であるミュンヘンで銃乱射事件があり、今年度、ミュンヘンでのスケジュールが一部
変更になったとのことではありましたが、単発的な事件であり、それ以降、私たちが訪問している間にも特に危
険を感じる出来事はありませんでした。もちろん子どもたちの安全が第一ではありますが、来年度以降も、この
中学生海外派遣事業を継続、さらに充実していただきたいと考えます。セーラム、ブレーメン以外にも候補地が
あるのであれば、訪問先を2か所に限定するのではなく、さらに拡大することも含めて検討してみてはいかがか
と考えます。
そこでお伺いいたします。来年度以降の中学生海外派遣事業について、区としての考えをお答えください。
以上で私からの質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○大森議長 理事者の答弁を求めます。
○木田区民部長 国民健康保険の特定健康診査の受診率、特定保健指導の実施率の向上対策についてのご質問で
すが、特定健康診査の受診率の向上対策としましては、生活習慣病のリスクが高くなる40歳からの方と、過去に
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1度は受診しましたが、その後、受診していない方への受診勧奨が効果的であるため、従前より受診期間の延長
や対象者の類型に応じたはがきによる受診勧奨を実施してきたところでございます。今年度は、過去5年間、1
度も健診を受けたことのない方に対して電話による勧奨を実施しましたが、その際、特定健診を受診しない理由
についての聞き取り調査も行いました。過去5年間、1度も特定健診を受診していない方は、その多くが既に医
療機関を受診している、勤務先で健康診断を受けている、また、自分で人間ドックなどの健診を受けているな
ど、自分自身で自分の健康に気をつけている方でございました。そのため、このような方に対しては、受診結果
を区に提供していただき、国保加入者の健康診断受診率の正確な把握をする必要があると思っております。特定
保健指導につきましては、現在、特定健診を受診後、保健指導が始まるまで約4か月間かかっております。特定
保健指導の実施率の向上対策としましては、保健指導が始まるまでの期間の短縮や、保健指導を受けていない方
に対する勧奨、医療が必要な方については医療機関への受診勧奨などが重要と考えております。国保加入者の皆
様の特定健診・特定保健指導に対する受け止め方が実施状況に影響すると考えておりますので、引き続き医療機
関との連携を図りながら、生活習慣病予防に対する周知啓発を実施しまして、受診率・実施率向上に努めてまい
ります。
続きまして、国保の高額医療費についての質問でございます。1件50万円以上の高額な医療費が発生している
疾病のうち、1人当たりの医療費と患者数で見ますと、上位を占めるものの中には、腎不全、脳内出血、心疾
患、脳梗塞、虚血性疾患など生活習慣病関連の疾病が多く入っております。また、生活習慣病患者1人当たりの
医療費では人工透析が年間約550万円と飛び抜けて高くなっております。高額医療費は医療費全体の約3割を占
めていることから、生活習慣病対策が高額医療費の取り組みの重要な柱であると考えております。平成27年度に
策定しました国保データヘルス計画に基づきまして、今年度から、生活習慣病に起因する糖尿病性腎症の重症化
予防事業を実施しております。今年度はモデル事業としまして、人工透析を必要とする状況にならないよう、糖
尿病の方20名を対象にかかりつけ医と連携をとりながら6か月間の保健指導を行っております。保健指導の対象
となった方につきましては、病状の進み具合の評価を行い、かかりつけ医の指導を受けながら、ご自分の健康維
持・管理につなげていただきたいと考えております。今後は、モデル事業の検証を行った上で、関係医療機関の
皆様のご意見を伺い、高額医療費への取り組みとして、糖尿病性腎症重症化予防事業を進めてまいりたいと考え
ております。
続きまして、国民健康保険の医療費の適正化についてのご質問でございます。単年度の比較ではございます
が、生活習慣病患者のうち特定健診受診者と未受診者の1人当たりの医療費は、特定健診を受診した方のほうが
未受診者に比べて低くなっております。区としては、今後も特定健診を国保の保健事業の基盤としながら、国保
加入者全体の生活習慣病の発症リスクを下げるための働きかけと生活習慣病の発症リスクが高い方に特化した働
きかけを並行して実施してまいります。その中でも、医療費の抑制効果の大きい糖尿病性腎症の重症化予防事業
やジェネリック医薬品の普及率向上にはさらに取り組んでまいりたいと考えております。今年度から、検診結果
で異常値でありながら放置している方と生活習慣病の治療を中断している方を対象に医療機関への受診勧奨を行
っております。今後は、同じ系統の疾病で複数の医療機関を受診されている「重複受診」の方、また、一つの医
療機関を一定回数以上受診されている「頻回受診」の方、また、同じ系統の医薬品を複数の医療機関で処方され
ている「重複服薬」の方に対しまして保健指導を行い、行動変容を促すことを考えております。高齢化の進展な
どによる医療費の増加傾向は今後も続くと考えております。しかし、関係医療機関の皆様のご理解、ご協力をい
ただきながら、保険者として保有しているデータを活用し、分析を行って、課題を抽出し、対策を進め、国保加
入者の皆様の健康保持・推進を図ることで、医療費の伸びの抑制を図ってまいりたいと考えております。私から
は以上です。
○荒井都市基盤整備部長 私からは、コミュニティサイクルに関する3点についてお答えします。
まず、コミュニティサイクル事業の規模拡大についてのご質問ですが、23区で最大面積の当区において、試行
運用では全域で一斉に導入することが難しいため、段階的に導入する方向で検討を行ってまいりました。また、
当初の3年間は試行実施として運営するため、今年度は試行実施の初期導入段階として、大森臨海エリアを中心
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にサイクルポート6か所、自転車100台の整備とさせていただきましたが、今後は区全域に事業エリアを拡大
し、試行実施の効果検証を行ってまいりたいと考えております。なお、都心5区が実施している広域実験には、
当区といたしましても早期に参加する方針ですが、参加に向けては他区との事業規模のバランスについても考慮
する必要があるため、ポートの数、自転車台数ともに規模の整理を図ってまいりたいと考えております。
続きまして、サイクルポートの設置場所についてのご質問ですが、サイクルポートの設置場所は事業者が選定
し、区と協議の上決定することとなっております。今後、公募型プロポーザル方式で選定した事業者の提案を踏
まえ決定することとなりますが、区が設置を希望する場所を事前に想定することが事業者提案の参考となると考
え、募集要項に大まかな希望エリアをお示しさせていただきました。具体的には、JR大森駅周辺、東京モノレ
ール流通センター駅周辺、京急蒲田駅周辺、東急池上線池上駅周辺、大森ふるさとの浜辺公園周辺、京急平和島
駅周辺の6か所で、区有地の提供についても視野に入れております。なお、来年度以降の設置場所につきまして
は、現時点では未定でございますが、議員お話しのとおり、利便性の高い駅周辺や観光拠点を中心に規模の拡大
を図ってまいりたいと考えております。
続きまして、利用者の安全確保に向け区が取り組むべき課題と対策についてのご質問ですが、課題といたしま
しては、自転車利用者の安全利用促進、自転車走行空間の環境整備、放置自転車誘発防止対策、また押し歩き運
動推進ゾーンの周知などが挙げられます。コミュニティサイクル事業の実施に際しましては、利用者への様々な
周知や啓発が必要となります。特に、東京オリンピック・パラリンピックの開催に向けては、外国人利用者の増
加が見込まれるため、多言語対応により日本の交通ルールやマナーの周知を図る必要もございます。区は事業者
と連携、協力し、安全利用に向けた周知・啓発活動を積極的に行ってまいります。また、コミュニティサイクル
事業の推進とあわせて自転車が安全に走れる環境の整備が重要となります。区では、昨年度策定した「大田区自
転車ネットワーク整備実施計画」に基づき、自転車走行空間の整備を進めてまいります。私からは以上です。
○市野環境清掃部長 私からは、清掃事業に関する3問のご質問にお答えをいたします。
まず、3Rの推進・小型家電リサイクル事業などの充実・拡大に関するご質問でございますが、区では、「区
民、事業者、区が連携して目指す循環型社会の実現」を基本理念として掲げる「大田区一般廃棄物処理基本計
画」を昨年度策定し、発生抑制、再使用の2Rをより重視したリデュース、リユース、リサイクル、3Rの推
進、適正処理の推進、協働の推進を清掃事業の基本方針として取り組んでいるところでございます。こうした中
で、本年5月に開催されましたG7富山環境大臣会合におきまして、資源が効率的、持続的に使われる社会の実
現を目指す「富山物質循環フレームワーク」が採択されるなど、世界的にも重要な課題となってございます。区
では、こうした動きも踏まえ、昨年開始した発泡スチロールの資源化に加えまして、本年4月には不燃ごみに含
まれる水銀含有物の適正回収及び小型家電製品など有用金属の資源化に向けたモデル事業を開始いたしました。
今後も、モデル事業の検証を踏まえ、不燃ごみの資源化事業の充実、拡大を図るなど、循環型社会の実現に向け
て積極的に取り組んでまいります。
続きまして、不適正に排出されたごみへの対策についてのご質問でございますが、清掃事業の実施に当たりま
しては、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向け、「国際都市おおた」にふさわしいまちの美観の確
保が重要と考えてございます。区は現在、来年4月からの可燃ごみ収集業務の円滑な委託開始に向けまして、事
業体制の見直しを含め準備を進めております。今後の段階的な可燃ごみ収集業務の委託拡大とあわせて、有料ご
み処理券の未貼付ごみなど不適正ごみの排出者に対する指導の充実を図ってまいりたいと考えてございます。ま
た、集積所へのたび重なる不法投棄や資源の持ち去りなど悪質なケースへの対応といたしまして、管轄警察署と
連携を図り、議員お話しの防犯カメラの活用も視野に入れながら検討を進めてまいりたいと考えてございます。
これらの取り組みを通じて歳入の適正化に努めるとともに、区民の安全・安心を確保してまいります。
続きまして、臨時に出る可燃ごみの粗大ごみ中継所への自己持ち込みに関するご質問でございますが、区では
今年度から区民の利便性の確保及び効率的な収集体制の構築を目的といたしまして、粗大ごみ中継所への平日持
ち込みを開始いたしました。持ち込み件数につきましては、10月末時点で昨年度と比べ14.8%増となった一方、
粗大ごみ収集車両の台数につきましては14%減少し、当初の目的に照らし、順調に推移しているものと認識をし
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てございます。こうした中、引っ越しなどで出る可燃ごみについては、現在、各清掃事務所で臨時ごみとして事
前予約により対応してございますが、予約時期によっては対応が困難な場合もございます。こうしたことから、
可燃ごみの自己持ち込みにつきましては、収集体制のさらなる効率化につながることに加え、可燃ごみの処分に
困った方が集積所へ不適正排出することを防止するなどの効果が期待できるものと考えてございます。今後、持
ち込み場所の周辺環境に与える影響などの課題を整理し、区民の利便性の向上に向け、鋭意検討してまいりま
す。私からは以上でございます。
○水井教育総務部長 私からは、中学生の海外派遣の拡充を視野に入れた今後の事業の進め方についてのご質問
にお答えいたします。
本事業は、海外でのホームステイを通して、外国の生活や文化の理解、並びに外国語の習熟等を図り、国際社
会において信頼と尊敬を得られる人間性豊かな生徒の育成を目指し、派遣後、その成果を各学校の国際理解教育
など諸活動の進展に資することを目的として実施しております。海外派遣に当たっては、最大の効果を得るため
に、引率教員が中心となって外部講師を招くなど事前、事後に十分な研修を派遣生に対して行っております。10
回にわたる事前研修では、訪問先の文化や生活習慣、語学研修、本区のものづくりや日本の文化等について学ば
せています。また、現地で最終日に開催されるフェアウェルパーティーで披露する出し物の練習、訪問先で披露
する合唱の準備等も行っています。帰国後も7回の事後研修を行い、報告書の作成や報告会に向けた発表の準備
に取り組みます。このように事前・事後研修の業務量が膨大であることや、現在、団長以下5名で臨んでいる引
率教員の増員が難しいこと等、派遣生の増員や派遣先の拡大には課題がございますので、事業の充実について
は、派遣正やその保護者へのアンケート結果などを参考に、派遣先で実施するプログラムの見直しや新規プログ
ラムの開拓などにより図ってまいりたいと存じます。また、国際理解教育などの充実につきましては、この海外
派遣事業のほか、英語の授業の充実や英語カフェ、イングリッシュ・キャンプなど国内における事業の充実で対
応してまいりたいと存じます。私からは以上でございます。
○大森議長 次に、13番深川幹祐議員。
〔13番深川幹祐議員登壇〕(拍手)
○13番(深川幹祐議員) 自由民主党大田区民連合の深川幹祐でございます。
まず初めに、昭和49年から始まった大田区立中学校生徒海外派遣についてお話をさせていただきたいと思いま
す。
今年で32回目を迎えました。一昨年の定例会でお願いした結果、ホームページを含めて、この海外派遣で行っ
たことのある方々のその後の状況についてのアンケートを実施していただいております。まだ返信が多く集まっ
ているわけではありませんが、積極的に募集を引き続きしていただきたいと思います。
今回のセーラム訪問でうれしいことがありました。私の地元の同級生は、中学生のときにこの海外派遣でセー
ラムに派遣生として行った後も、人生の節目節目でそのときのホストファミリーの皆さんとの交流を深めるため
にセーラムを何度も訪問しているとのことでした。そのホストファミリーの方と最近連絡が途絶えてしまってい
るとのことで、我々議員団派遣の際に、健在であるかの確認をぜひしていただきたいと依頼を受けました。早
速、歓迎会のときにピーターさんに確認をしたところ、歓迎会に出席をされている方のお一人とのことでした。
そのことから、その友人に話を伝え、その日のうちに友人に連絡をさせ、ホストファミリーの息子さんたちとフ
ェイスブックでつながるなど新たな交流がスタートするきっかけとなりました。こういった動きは歓迎すべきこ
とだと思います。
昭和59年にセーラム市ピーボディー・エセックス博物館と大田区立郷土博物館が姉妹館協定を結んで、平成3
年に姉妹都市協定を締結いたしました。そこから公の交流としては、大田区からセーラムに行ったのが22回、セ
ーラムから大田区に来たのが12回、大田区からの生徒派遣は32回、セーラムから学生が来たのが10回と合計76回
となっております。市民・学生交流はとても頻繁に行われており、とてもうれしい限りですが、商業交流が積極
的に行われていたとは言えず、今般のセーラム市親善訪問調査団でドリスコール市長やセーラムクラブの方々と
の意見交換の中で、より一層の商業交流を進めるべきであると提案したところ、ぜひ進めましょうと賛成の意を
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大田区議会会議録
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示していただきました。
セーラムには、アメリカ最古と言われるキャンディー屋さんやチョコレートの製造販売をしているところなど
がありますが、それ以外の名産品などを大田区内で輸入販売することや、反対に、日本からであれば、今年度、
大田区産業振興協会で選定を開始したお土産100選のうち、日もちをするものや工業製品をセーラムで販売して
もらうなど取引を深化させるべきであると考えます。また、工業製品の輸出入の検討も始めるべきと考えます。
より一層の交流を深化させるためには職員の派遣等も含めて検討すべきです。いかがお考えでしょうか、お答え
いただきたいと思います。
この商流をつくることは、単に物のやりとりをするということだけではなく、その派生した連携につながり、
ひいては商流開発のための視察や観光に結びつくと思っております。日本からセーラムに積極的に販売活動を行
うとすれば、それに伴い、セーラムへの訪問者が増えることになり、観光振興にもつながります。
続いて、観光振興について検討したいと思います。
先ほどお話ししたように、セーラムから日本、そして大田区に何度も来ていただいている方々が多くいらっし
ゃいます。その際、現在であれば、観光・国際都市部で受け入れ体制を整え、関係各所に連絡をし、調整をして
いただいております。これは大変ありがたいことですが、これを汎用化しないといけないと思っております。例
えば、大田区内の旅行会社と連携し、今まで区役所でつくったプランを共有化して、セーラムの方々だけでな
く、国内観光客や外国人観光客に向けたプランを国内外旅行会社へプレゼンするなど観光客を増やすべきと考え
ます。こういった取り組みを進めるべきと考えますが、いかがでしょうか。
また、視察でのもう一つのテーマはボストン総領事館との連携でありました。議員団で初めてボストン総領事
館を訪問させていただきました。訪問に先立ち、外務省本省において今年8月にボストン総領事に就任された道
井総領事と面会をさせていただき、今回の視察への協力と今後の生徒海外派遣への協力を依頼いたしました。と
りわけJFK空港の視察については、外務省北米局、国土交通省の格別のお計らいをいただきましたことに、こ
の場を借りて御礼を申し上げたいと思います。道井総領事からは、大田区が長年にわたりセーラム市との交流を
していたことについて感謝の意を表明していただきました。また、ドイツコースでは、ハンブルク総領事館への
生徒受け入れをしていただいていることから、アメリカコースでもボストン総領事館での受け入れをしていただ
きたいとお願いをさせていただきました。今年の子どもたちのセーラム市での活動などの成果について、そして
来年の取り組みについてお尋ねをいたします。
また、来年のアメリカコースにボストン総領事館訪問を加えるべく検討すべきと考えますが、いかがでしょう
か。
続いて、ドイツコースについて伺います。
今年で6年目を迎えました。私も公務出張、私費を含めて何度も訪問をしております。このドイツ・ブレーメ
ンについても商流について長らく検討と意見交換を進めてまいりました。10年以上前より開催しております池上
本門寺朝市ですが、つい先日の11月27日から大田区の子どもたちがお世話になっている障害者施設マーティンス
ホースと池商連コラボのエコバッグの販売を開始いたしました。一つ500円ですが、多くの地域の方々や朝市に
来てくださった区の職員の方々にも購入をしていただきました。また、ブレーメンつながりで連携させていただ
いておりますモトスミ・ブレーメン通り商店街、伊藤理事長夫妻も買いに来てくださり、意見交換をさせていた
だきました。元住吉のブレーメン通り商店街では、モトスミブレーメンビアというものをつくるなど、相互に販
売を連携してさせていただくことなどを計画をさせていただいております。またその際には、皆様にお話をさせ
ていただければと思っております。隣町であります川崎市との市民連携もしっかりと進めてまいりたいと思って
おります。
また、このマーティンスホースでは、大田区の中学生が障害者の方々から指導を受け、協働して製品製作をし
ているところです。そして、池上地区商店会連合会では、ブレーメンの音楽隊のエコバッグの政策を依頼し、先
般、直接引き取ってまいりました。今後の展開として、例えば篤志家の方々に協力をしていただき、中学生がア
メリカ、ドイツで活動する際に使うエコバックを毎年オリジナルなものを制作し、使用してもらいながらこの障
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平成 28 年第4回定例会
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害者施設との連携商品の宣伝を行うことや、区内企業や商店街、障害者施設などでこのエコバッグを使ってもら
うなど、展開を検討してまいりたいと思います。また、大田区のくすのき園では、頒布でつくったバッグなど和
のテイストがするものがつくられております。ドイツもアメリカと同じように商流をつくり、絆を強固にする必
要があると思います。そういった意味で、関係各部が連携をし、各団体に働きかけをすべきと考えますが、いか
がでしょうか。
続いて、区政全般にかかわる問題について伺います。
職員に対する普通救命講習受講機会の拡充についてであります。平成27年の予算で大幅に拡充していただき、
その後も継続をしていただいております。公務員は公僕としても、また1人の人間としても人の命を救うことが
できるスキルを身につけることはとても重要であると思っております。私自身も大森消防団員として17年間活動
を続け、応急手当指導員として数百回の指導をしております。つい先日の11月27日のボーイスカウトの子どもた
ちや指導者に対する上級救命講習でも指導をいたしました。自分が助ける知識を与えることは相手のためだけで
はなく、いつ何時、自分自身を助けてもらうことができるかということであります。昨年度からの実施状況と今
後の展開についてお尋ねをいたします。
次に、部長級研修について伺います。
平成26年の予算で部長級研修が新規予算として計上されました。その際、問題点を指摘し、再考を促したとこ
ろ、この年度の予算75万円は全額不用額となりました。しかし、その翌年、部長級研修が再度登場しました。そ
もそも区役所における部長は、特別職の区長、副区長を除いた極官であります。その選ばれた極官を今さら研修
する必要があるのでしょうか。例えば、羽田空港の跡地について庁内挙げて取り組む課題として前部長に内容を
周知することは考えられます。しかし、今年の予算ではそういったものでない研修となっていると聞いておりま
す。現状についての説明と今後の方向性についての回答を求めます。
次に、任用と給与処遇の不整合についてお尋ねいたします。
本年4月の総務財政委員会での報告によりますと、主任主事でありながら係長給料の支給を受ける職員が295
人いるとのことであります。また、技能系職員においては、技能1級の職員でありながら2階級上の3級職の給
与を受けている職員が4名いるとされております。なぜこのような不整合が生じるのか、見解を求めるととも
に、同時に改善を求めます。
続いて、職員の勤務成績について伺います。
勤務成績が複数年にわたって振るわない職員がおります。現在はそのまま昇給なしなどの対応にとどまってお
りますが、もう一歩踏み込んだ対応をすべきと考えます。例えば、将棋のプロの順位戦であれば、C1クラスか
らC2クラスへの降級には、降級点という最下位成績を2回とると降級、その降級点システムは、リーグ参加者
の5人に1人の割合で成績下位者に降級点がつきます。こういったものも参考にしながら制度設計をすることも
考えるべきと考えます。また、統括課長級の7級職にいるにもかかわらず、何年にもわたり庶務担当課長などの
要職につかない職員、部長級の8級職にもかかわらず、7級職の統括課長のような仕事と同視できる職務内容、
もっと言えば6級職の課長と同様の職務内容を務め続けている職員も散見されます。このように適正昇任をさせ
ないと職員の士気にかかわる問題であると思います。入庁2年目、3年目の職員に比べて8級職の部長であれば
3倍以上の給与をもらうことがあるわけですので、しっかりとした対応を求めます。
次に、特別区長会は課長級と統括課長を統合した上で、課長級6年以上で部長級に昇任できるように管理職の
認証資格基準緩和を行う方針であるとの報道がなされました。現行では、課長級から統括課長に昇任するまでに
6年以上、統括課長から2年以上と合計8年を要し、実質的には10年程度が一般的となっておりました。このこ
とから、長期合格者の部長登用が可能になるなど、長期合格者といった職員経験豊富な人材の有効登用が進むこ
とが期待され、大いに期待するものであります。また、課長級と統括課長級の給料表を統合する方向性の中で、
まだ検討課題があると思います。こうした制度改正の際には、しっかりと現行制度の見直しをしていただき、統
括課長の仕事をしていない職員には、新制度の中でしっかりとした処置が必要に思います。この新制度に向けた
方向性について見解をお示しください。
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平成 28 年第4回定例会
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今年も来年4月採用予定者を一部前倒しで採用をいたしました。昨年度も数人の前倒し採用を行っており、こ
のところ、常態化しているように思われます。この採用は、非常事態であるとはいえ、単に採用することはでき
ず、やむにやまれぬ事情があると区が判断をし、特別区人事委員会に承認を取り、初めて実施するものと考えま
す。しかし、この非常事態を毎年行うことは厳に慎むべきであります。また、こういった非常事態をとったにも
かかわらず、議長をはじめ区議会にも報告がなされず、単に人事異動の内示として発表すべきものではないと申
し上げたいと思います。
また、この非常事態によって職員という常に連携しなくてはならない公務員の連携を分断することになる危険
性を帯びるわけであります。そういった意味でも、こういった計画的ではない、もっと言うならば無計画な状態
を来年も行わないようにしっかりと見直しをして、採用計画を行うべきと考えます。このようなことを常態化す
べきでないということから、歯止めをかける検討をすべきと考えますが、いかがでしょうか。
次に、係長のなり手不足について伺います。
この問題は、一般質問や予算決算特別委員会の場で何度も触れたテーマであります。地方公務員人事制度にお
いて、近時の最大のテーマと言うべき問題であります。
先日の都政新報において23区の状況についてまとめられておりました。従前のとおり、本人申込制が11区、指
名推薦制と本人申込制を併用している区が8区、指名制を採用している区が4区となっております。これを見れ
ば、大田区のとっている指名推薦制と本人申込制の併用は少数派となります。つまり、他の区は係長のなり手不
足が問題となっている今も本人たちへの受験勧奨を続け、受験意欲を持たせ、自分の意思で係長採用試験を受
け、係長になっているのであります。そういった受験勧奨を人事課が総力を挙げて取り組むべきと何度も訴えて
おりますが、残念ながら、その取り組みをしないのが現状であります。なぜ取り組みをしないのか、明確な回答
を求めます。
また、試験科目に指名制を採用している区のように試験なしもあれば、択一のみ、論文のみ、択一と論文とい
ったように多種多様になっております。つまり、各区の独自性といえばそれまでですが、なぜこのように違うか
といえば、各区によって問題点、課題が違うわけであると思われます。
23区の共通の課題である係長のなり手不足でありますが、管理職のなり手が不足している深刻な区もありま
す。大田区では、10年前に比べて人口が増えたなどの要因がありますが、課長以上の管理職は127名から再任用
26名を含んで174名と大幅に増加しております。また、先日の決算特別委員会で問題にしましたが、副参事心得
という普通ではあり得ない人事を行っているわけであります。しかし、相対的には管理職は必要数を賄っている
と思います。そういった意味で、23区で人事委員会を構成し、様々なプログラムを検討しておりますが、現状の
まま進むことが果たして正しいのかと検討すべきときに来たと思っております。
そして、昨日上程された第145号議案の職員の給与に関する条例の一部を改正する条例のうち、級別改定率は
係長級である4級、5級の引き上げを強め、6級職の管理職についてはさらに引き上げを強めるというものでし
た。そういった意味で、この内容について反対をするものではありませんが、本区において喫緊の課題として
は、係長のなり手不足であることを考慮すると、6級以上の昇給幅を4級、5級に振り分けるほうが問題解決に
大きく進む一つの要因であると考えます。次回の改定の際には、より一層の係長級の手当を充実することを区と
し人事委員会に要望することを求めておきたいと思います。
最後に、職級再編について特別区長会での検討について伺います。
係長級昇任選考を見直し、現行の主事・主任主事である1・2・3級を新1・2級とし、係長・課長補佐であ
る4・5級を新3・4級とする中間報告が出されました。ここでは係長級での昇任に関して現行制度を廃止し、
現在の主任主事試験を係長補佐試験と位置づけることにより、主任主事の立場を明確にしつつ、係長級への自動
昇任を認め得ることとなっております。これも先ほどるる申し上げたような理由から容認し得ない内容であると
申し上げたいと思います。
承認意欲を醸成する制度を目指すとありますが、係長試験を廃止し、承認意欲がない者を係長などにすること
により、過度な精神的な負担を強い、あまつさえ体調を害する職員を増やす遠因と考えます。このようなことか
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ら、このような考えにくみせず、しっかりと係長任用配置に配慮するなどの検討をすべきと考えますが、いかが
でしょうか。
最後に一言申し上げます。今回の私の質問においても、そして先ほどの高山議員、公明党末安議員の質問も、
今年度の海外派遣についての報告と分析、そして提案がなされました。私自身の質問でも、何度もこのような交
流をしてきたかも質問の中で触れております。この議場での発言が区民に対する説明責任の一つであると考えて
いるわけであります。そして、この国の内外を問わず、多くの議員が視察の報告などがこの議場でなされたこと
は、この出席の議員が多く知っていることであります。また、ハンブルク総領事館訪問の実現やスイス・ヴォー
州との連携強化が相互訪問の実現に結びついたわけであります。また、来年にはブレーメンの柔道家の皆さんが
10人以上、大田区をはじめ各都市を回り、柔道の本山講道館をはじめとするところで稽古をするようなこととい
うふうな企画もされているわけであります。昨日の共産党による政治と金の問題に絡む区議会議員の海外親善訪
問調査などという誤った方向に誘導しようとする発言は容認することができません。
戦争法案などというありもしない扇動的なレッテルを張り、感情的な印象操作をしていることも再三批判を浴
びているように、議員としての職責、議場における発言の重さをよく自問していただかなくてはならないと申し
上げざるを得ません。
区議会議員の海外視察は議会の決定に基づくものであり、あたかも不正があるような発言は厳に慎むべきであ
ります。例えば特定政党と密接な関係にあると言われる区職労専従事務員による数千万円にも及ぶ巨額横領事件
のようなものであれば、確かに政治と金の問題と言われても反論の余地はありませんが、議員の視察は全く性質
の異なるものであり、重ねて共産党菅谷議員の発言に抗議をいたします。
以上で質問を終わります。(拍手)
○大森議長 理事者の答弁を求めます。
○玉川総務部長 私からは、人事関係のご質問に順次お答えしたいと思います。
まず、普通救命講習に関するご質問でございます。平成27年度から、さらに多くの職員が救命・救急スキルを
修得できるよう、必要な予算を増額計上いたしました。昨年度の実績といたしましては、定員増とともに研修実
施回数を30回とし、受講機会を増やしたことで修了者は782名に上り、前年度比で2倍強の職員が受講してござ
います。特に業務上、区民に接する機会の多い所属につきましては、昨年度からの3年間で全職員の修得を計画
しております。今年度については、この対象者以外の希望者にも枠を設けながら実施回数30回、修了予定者数を
800名程度としまして、順次進めているところでございます。今後も引き続き、研修の機会を提供することを通
じて、救命・救急における職員のさらなる対応力向上を図ってまいります。
続きまして、部長級職員向けの研修の必要性についてのご質問でございます。各分野の執行責任者として、社
会状況の急速な変化に迅速・的確に対応し、区政ビジョンを着実に実現するための部長級職員の責務は一層重く
なってきております。とりわけ経営の視点での高度な判断が求められる職層として、今日的なテーマを認識し、
社会変容に鋭敏な感覚と発想を養うほか、組織経営能力の向上を図るための研修は必要であると考えてございま
す。今年度は、民間の経営感覚や戦略的マネジメント等を学び、自治体経営に活かすことを目的に、民間が実施
する取締役クラス向けの公開講座へ派遣しております。今後も実施状況を踏まえまして、より一層、効果的な研
修プログラムにつきまして検討してまいります。
続いて、任用と給与処遇の不整合についての質問でございます。本年4月の改正地方公務員法の施行に合わせ
て、等級及び職制上の段階ごとの職員数を公表しております。議員お話しのとおり、任用上は主任主事、3級職
でありながら、係長職に適用の4級の給与級が適用される職員が一定数在職しております。これは、平成19年度
まで「特別昇格(級格付)」という制度を23区全体で運用してきた結果によるものでございます。この仕組み
は、職員の知識・経験を評価し、意欲醸成を図ることを目的に、任用制度の補完、または任用制度にかわるもの
として運用してまいりました。しかし、職務・職責に応じた給与処遇を徹底する視点から、行政系は平成19年度
に、また、技能系は平成23年度をもって廃止いたしました。これら級格付け者は高年齢層に該当いたしますの
で、今後、定年退職等により毎年減少していく見込みであります。また現在、職務・職責の給与への反映を徹底
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する視点から、行政系人事制度の見直しについて23区全体で検討を進めているところでございます。
続きまして、管理職の任用資格基準についてのご質問でございます。本年度、特別区長会などにおいて、その
見直しの検討が進められてまいりました。一部報道のとおり、統括課長と課長を統合した上で、課長級6年以上
で部長級に任用を可能とする方向で整理されております。今後、行政系人事制度総体の見直し検討を詰めていく
中で、23区全体で処遇面も含めた制度設計が進められる予定となっております。区としましては、これらの制度
改正を見据えながら、引き続き、管理職の育成や適切な任用管理に努めていく考えでございます。
続きまして、Ⅰ類事務職の11月1日付け前倒し採用についてのご質問でございます。年度途中における病気休
職等による欠員に対応するため、Ⅰ類事務職の内定者の中から前倒し採用を行いました。昨年度に続くもので、
各職種の欠過員状況や人的需要への対応等を総合的に勘案して実施したもので、過去においても必要に応じて行
っているものでございます。本来であれば、来年度4月1日付けで新規採用されるべき内定者でございますが、
円滑な職場運営を進めなければならない状況の中で必要な対応を行ったものでございます。また、この採用は、
当該内定者が大学等を既に卒業しており、かつ、本人が希望する場合に限定するなど、配慮の上、行っておりま
す。来年4月には、4月1日付け新規採用者とともに新任研修を一緒に受講する予定になっており、同期入区の
職員としての連帯感や結束力を育んでいけるように考えているところでございます。
続きまして、係長のなり手不足についてのご質問でございます。今年度、人事課における取り組みといたしま
しては、まず、年度当初に昇任選考の有資格者名簿を各所属長に送付し、個別面談の機会を捉え、受験勧奨や動
機付けが可能となる支援を行いました。さらに、昇任選考の要綱発表時に合わせて、主任主事8年目以上を対象
としたステップアップセミナーを開催しました。加えて、キャリアデザイン研修を開催するなどの新たな受験勧
奨に取り組んだところでございます。人事課といたしましてしては、係長職としての能力・実績・経験等を有す
る職員の状況につきまして、所属長ヒアリングを実施するなど、所属との連携を密にしながら引き続き取り組ん
でまいります。
最後に、職級の再編、統合についてのご質問です。行政系人事制度の見直しにつきましては23区全体で検討を
進めており、本年10月に中間報告として取りまとめられたところでございます。その中では、主任主事のあり方
の見直しとともに、係長のなり手不足への対応といたしまして、係長職昇任までの適正な育成期間の確保、係長
を補佐する体制の強化などについて言及されております。係長職昇任については、昇任選考ではなく、各区にお
ける能力実証による方向となっております。区といたしましては、これまでの昇任選考の経過や職員の意識等を
踏まえ、係長職としての能力と実績を有する職員を適切に任用できる制度設計に取り組んでまいります。私から
は以上でございます。
○河野観光・国際都市部長 私からは、区内旅行事業者と連携した観光客向けの区のプランに関するご質問です
が、限られた時間での滞在有意義に過ごしていただくために、区では、来訪者の目的・希望等に配慮し、区内観
光スポットをご案内しております。姉妹都市であるセーラム市をはじめ、これまでの交流を通じて多くの皆様に
訪れていただいた際には、ボランティアガイドによる池上本門寺案内、市とゆかりのある郷土博物館をはじめと
した文化施設や町工場の見学、区内小中学校の生徒との交流など関係各所と連携して行っております。また、国
際交流団体である大田セーラムクラブが主体となって企画した茶道や着物着付け、屋形船など、他では味わえな
い体験もしていただいております。
議員お話しのように、こうした区がお勧めするコースを旅行会社に紹介し、国の内外を問わず、観光情報とし
て拡散されることで、訪日観光客が区内の観光スポットを目的の一つに選んでいただけるような取り組みは観光
振興を推進していく上で重要な取り組みであります。観光によるシティセールス推進の情報発信とともに戦略的
な取り組みを検討し、大田区を訪れる観光客の増加と、区に滞在する時間を有意義に楽しんでいただけるような
機会の提供を積極的に進めてまいります。
○近藤産業経済部長 私からは、姉妹都市セーラム市との商業交流に関するご質問にお答えさせていただきま
す。議員お話しのように、商業交流を進めるためには、本区の「おみやげ百選」、あるいはクラムチャウダー、
キャンディーといった相互の特産品や、ハロウィンなどの文化・慣習について、両都市市民・産業人などの認知
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が不可欠と考えてございます。海外諸都市とのお土産交換の場などでも、大田区からは区内工業技術製品でござ
います「パピヨン2」、あるいは「精密独楽」などをお渡しし、好評を得ているところでございます。セーラム
市とのいわば商流の形成に当たりましては、こうした製品や技術などの相互認知の活動からお互いの行き来が活
発になるものと考えております。
したがいまして、まずは職員のみならず、産業界の方々の関心が向けられるよう、相互の地域資源や産業情報
の把握を行い、適切な発信を行うことが大切というふうに考えております。私からは以上でございます。
○中原福祉部長 私からは、障がい者施設でつくった製品を中学生の海外派遣時に宣伝したり、あるいは企業や
商店街等で使用してもらうための取り組みをしてはどうかのご質問にお答えいたします。
就労継続支援施設においては様々な製品を作成しています。具体的には各種縫製品、それから木工品、陶芸品
等があります。これらについては各種イベント等で販売し、障がいのある方の工賃として支給されております。
議員のお話にあるように、障がいのある方がつくった製品が海を渡り海外で使われることがあれば、障がいのあ
る方にとって、働くことへのさらなる喜びにつながり、就労意欲の向上等にも寄与すると考えられます。
その一方で、製品の品ぞろえや安定的な供給等に課題もございます。区としては現在、各施設において自主製
品の質の向上、新製品開発及び障がい者施設が連携した製品作成等の取り組みを進めております。また、そうし
た製品をより多くの方に知っていただくための販路開拓や製品紹介の専用ホームページ等の準備を進めておりま
す。こうした取り組みを着実に進めつつ、地域の企業や商店街等の連携も含めて検討してまいります。私からは
以上でございます。
○水井教育総務部長 私からは、中学生の海外派遣における子どもたちの活動の成果と来年度に向けた取り組み
についてのご質問にお答えいたします。
今年度の報告書や報告会での派遣生の感想を見ると、アメリカコースでは、「セーラムに滞在して感じたこと
は、人と人とのつながりの強さと温かさです。皆とても温厚で、外に出れば多くの人と挨拶や会話をする温かい
雰囲気がとてもよかったです」といったものや、「ハーバード大学で海洋生物学の研究をしているボブ教授の講
義を受けることができ、大田とのかかわりがあるモース博士の偉業について学び、一生に一度あるかないかの貴
重な体験ができました」といったもの、「大田セーラム会の方と英語で会話したのが実践的でとても練習になり
ました、『相手にわかりやすく理解してもらうためには、どのように話せばいいか』などを考えるようになりま
した」などがございました。
また、ドイツコースでは、「マルティンスホフという施設では、障がい者の方たちが健常者と変わりなく、ま
た何の分け隔てなく元気に働いていることが印象に残りました」といった意見や、「自転車専用道路やトラムの
ように二酸化炭素を排出しないエコな乗り物が整備され、環境への配慮に意識の高さを感じました」といった意
見、「世界で活躍する日本人が安心・安全に暮らせるよう、ハンブルク総領事館で働いている日本の方がいるこ
とを知り、とても頼もしかったです」といった感想がございました。
これらの感想からも、多感な中学生の時期に海外を訪れ、外国の生活や文化の理解、並びに外国語の習熟等を
図る本事業の目的を達成していると認識しております。次年度以降についても、よりよいプログラムとなるよう
内容の充実を図ってまいります。
次に、来年度の海外派遣でボストン総領事館の訪問を検討すべきとのご提案ですが、派遣生が総領事館に公式
訪問をすることは、生徒として大田区立学校を代表しているという自覚と誇りを高める貴重な経験になると考え
ております。また、国際都市おおたの次世代を担う中学生が海外で活躍する総領事館の方からお話を伺うこと
は、国際社会を生きる人材の育成につながる機会にもなると考えております。次年度に向けてプログラムを見直
す際に、ボストン総領事館を訪問先の一つとして検討してまいりたいと存じます。
また、最後に、オリジナルエコバッグを派遣生が現地で使用し、障がい者施設の宣伝を行うことについてのご
質問でございますが、具体的なお話があった場合には検討させていただきたいと考えております。私からは以上
でございます。
○大森議長 次に、29番大竹辰治議員。
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平成 28 年第4回定例会
第2日(11/30)
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〔29番大竹辰治議員登壇〕(拍手)
○29番(大竹辰治議員) 日本共産党の大竹です。
大田区民センターについて質問します。
今月15日の各常任委員会に、突然「新蒲田保育園及び地域包括支援センター等の複合化について」が報告され
ました。報告では、新蒲田保育園は建物や設備の老朽化、耐震性の観点から、道塚倉庫敷地に仮設園を設置・運
営しつつ、大田区民センター解体後の跡地の一部に、地域包括支援センター等の高齢者支援施設、集会室、中学
生の居場所等の地域活動を支援する機能を複合化し、(仮称)新蒲田保育園複合施設として整備する。スケジュ
ールでは、大田区民センターを2018年度から2019年度で解体し、2017年度から2019年度で基本・実施設計、2019
年度から2020年度で改築工事を行う計画です。また、区民センターについては閉館することになっています。
各常任委員会での説明もばらばらで、複合施設にゆうゆうくらぶが併設されるのか、現在の数の集会室が確保
されるのかが不明です。まず、今回なぜ大田区民センターの閉館なんでしょうか。大田区民センターは音楽ホー
ルがある施設でもあり、46年間地域に親しまれてきた施設です。音楽ホールでは、地元町会の音楽会や民謡大会
等で利用率が平均52%で、特に土日の利用率が高く、日曜日の午後91.8%、午前89.8%です。集会室では成人教
室の利用もあり、区民センター全体7施設で年間利用者数約42万4000人のうち、大田区民センターの利用者数は
13万8779人で、3分の1にもなっています。その他、リハーサルホールのダンス教室等、多くの区民が利用して
います。
2年前に音楽ホール舞台音響設備の改修も行いました。(仮称)新蒲田保育園複合施設の残りの敷地の計画に
ついては、今後、蒲田西地域のまちづくりを総合的に検討して決めるとしています。しかし、今年3月発表され
た大田区公共施設適正配置方針では、区民センターについて、「人口動向や地域特性、将来需要等を考慮し、施
設のあり方を検討する」となっており、大規模ホール等について、「区の中心拠点である大森地域、蒲田地域に
集積しており、他の自治体の同種の施設配置状況を参考にしながら、適切な機能分担を検討する」として、大田
区民センターの音楽ホールは既に廃止の方向で検討されているとしか考えられません。
適正配置方針を実現するための五つの柱に、「適正な維持管理、長寿命化による財政負担の平準化及びライフ
サイクルコストの削減」があります。党区議団も先の定例会でも提案した、複合箇所で実施しているアセットマ
ネジメント計画に倣い、「既にあるものは活かす」とこれまでは減価償却の考え方を、築40年から50年で建て替
え等を実施から、施設の長寿命化の設定を鉄筋コンクリート造りでは70年、木造は40年から50年、軽量鉄骨は25
年から50年とし、見直すことも必要ではないでしょうか。適正配置方針でも、長寿命化も進めることになってい
ますので、音楽ホールがある大田区民センターもまだ46年なので、70年を目標にして大改装して、存続を求めま
す。お答えください。
今後、2017年度から2019年度で基本・実施設計で複合施設の具体的な内容が決まっていきますので、大田区民
センターの存続も含め、具体的な内容について区民と一緒につくり上げるべきです。そのためにも、今回の計画
は撤回し、利用者や区民の声を十分反映させる審議会を設置すべきです。お答えください。
今回の大田区民センターでも、大田区公共施設適正配置方針に基づくものです。この間、公共施設白書をつく
り、適正配置方針がつくられ、今年3月に発表されました。適正配置方針の必要性として、「このまま現状の施
設を維持した場合、区民1人当たりの負担が1.3万円から1.9万円と年間0.6万円の負担が増えることになりま
す。もしくは、公共施設整備計画の前期実績額と後期計画額平均値を維持した場合、現状の公共施設を維持でき
ず、区保有施設の延べ床面積を124万平方メートルから87.8万平方メートルまで、29%削減しなければなりませ
ん」と述べています。
そして、適正化の目標の実現のための五つの具体的な方策の中に、「適切な維持管理、長寿命化による財政負
担の平準化及びライフサイクルコストの削減」として、「③未利用地、跡地の有効活用や売却による新たな財源
確保」となっていますが、ただでさえ区民施設は足りません。よって、売却するような土地もありませんし、区
民の大切な財産を売却とはとんでもありません。このような売却方針は撤回すべきです。お答えください。
また、適正配置方針の将来コストの試算では、「公共施設の更新に要するコストは、今後45年間で約6047億
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平成 28 年第4回定例会
第2日(11/30)
大田区議会会議録
速報版
円、年平均134億円であり、大田区公共施設整備計画の前期実績と後期計画額の平均の1.4倍のコストがかかると
述べており、今後45年間で1.4倍、39億円増となることを試算しています。そして、数値目標として、「施設の
複合化・多機能化・統合などにより、今後45年間で施設総量(総延べ床面積)をおおむね1割程度削減を目標と
しています」としています。
既に決算が出ている区の財政状況から見ますと、公共施設整備計画の前期実績と後期計画期間である2009年度
から2015年度までの7年間で、区債現在高は600億円から345億円に255億円減りました。一方で、積立金現在高
は1107億円から1193億円へ86億円の増となっており、区債現在高の減と積立金現在高の合計341億円となってお
り、年平均48億円となります。適正配置方針で試算している39億円増を十分賄うものとなっていますし、区債等
を活用すれば1割の削減はしなくとも十分財源があります。
大田区民センターでの項でも紹介した福岡市のアセットマネジメント計画で、長寿命化のための推進する部で
68名のうち60名が建築、電気、機械の技術職で、市有建築物等の整備及び維持管理に係る技術指導及び技術支援
をしており、先の第3回定例会で党区議団が大田区でも実施の提案に「区では既に公共施設の整備に係る専門の
職員を配置し、業務に当たっています」と答弁されましたが、メンテナンス・長寿命化に対応する現在の区の体
制は不十分と言わざるを得ません。また、羽田空港跡地の計画、新空港線「蒲蒲線」等の大規模開発で多額の税
金投入の計画がめじろ押しです。まず、老朽化した公共施設の改築こそ優先させるべきです。さらに、公共施設
の建て替えや大規模改修に、世代間の公平の観点から区債の十分な活用を検討することを求めます。
公の施設は、地方自治法第244条で「普通地方公共団体は、住民の福祉を増進する目的をもってその利用に供
するための施設を設けるものとする」となっており、公共施設の削減計画は許せません。また、施設管理は直営
こそ必要です。
公共施設適正配置方針による公共施設の削減計画は撤回し、住民福祉の増進の立場で、今でも足りない保育
園、特養ホーム、区営住宅など増設し、区民に必要な公共施設は逆に増やすべきです。お答えください。以上で
質問を終わります。(拍手)
○大森議長 理事者の答弁を求めます。
○川野企画経営部長 私からは、公共施設に関する質問に順次お答え申し上げます。
最初に、利用者や区民の声を十分に反映した計画とのご質問でございますが、(仮称)新蒲田保育園複合施設
の基本的な機能につきましては、施設利用者の声や地域のニーズなどを踏まえ検討を行い、保育園のほか地域包
括支援センター等の高齢者支援施設、集会室及び中学生の居場所等の地域活動を支援する機能などをお示しした
ところでございます。具体的な施設の機能、規模等の検討に当たりましては、これまでの施設整備と同様、地域
の皆様や施設をご利用される方々の声をお聞きしながら、関係部局と連携し進めてまいります。
なお、新蒲田保育園につきましては、大田区民センターの解体から(仮称)新蒲田保育園複合施設竣工までの
間、仮設園舎を道塚倉庫跡地に建設しての運営を予定してございます。このため、先行して保育園の保護者説明
会を開催する予定で現在準備を進めているところでございます。
次に、大田区公共施設適正配置方針の具体的方策に関するご質問でございますが、効果的・効率的な施設マネ
ジメントにより区民サービスの維持・向上を実現するという公共施設の適正化の目標を達成するため、大田区公
共施設適正配置方針の柱の一つといたしまして、「適切な維持管理・長寿命化による財政負担の平準化及びライ
フサイクルコストの削減」を定めております。その具体的方策として、「未利用地、跡地の有効活用や売却によ
る新たな財源確保」なども掲げております。ただ単に売却を目的としているものではなく、公共性の高い民間団
体等が運営する福祉や保育施設などに対し、土地や建物の貸し付けなどを行うなど、区民の皆様の財産を有効に
活用する取り組みを視野に入れております。引き続き、未利用地、跡地の活用等につきましては、個々の案件に
応じて適切に対応してまいります。
最後に、施設の適正配置に関するご質問でございますが、大田区公共施設適正配置方針は、ただ単に、施設の
削減を目的として策定したものではなく、行政需要に応じて施設を増やしていくということではなく、改築が必
要な施設において、容積等で活用の可能性がある場合は、新たに必要となる行政需要を含めて、施設の集約・複
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平成 28 年第4回定例会
第2日(11/30)
大田区議会会議録
速報版
合化や多機能化を進めることにより施設の総量抑制を図ってまいります。
また、計画的な修繕、適切な維持管理、大規模改修による長寿命化などを進め、施設そのものの延命化を図る
など、効果的・効率的な施設マネジメントにより区民サービスの維持・向上の実現を目的としております。
施設の整備に当たりましては、行政需要を的確に捉え、地域ごとの将来のまちづくりを見据えながら、大田区
公共施設適正配置方針を踏まえ取り組んでまいります。私からは以上でございます。
○鴨志田地域力推進部長 私からは、大田区民センター施設の存続に関するご質問にお答えいたします。昭和45
年に建築されましたこの施設には、音楽ホールや区民大学、大田区文化祭などで活用します教室を備えた大田区
民センターのほか、新蒲田保育園、新蒲田福祉センター、新蒲田児童館などが併設をされております。築46年が
経過する中で建物の老朽化が進んでおりまして、空調設備や換気設備も含めた施設の改修が困難な状況となって
おります。引続き使用するためには、耐震補強、外壁改修やバリアフリーに加え、ほぼ全ての設備関係の更新が
必要となり、長寿命化改修による費用対効果は低いと考えられます。そのため、大田区民センターを大規模改修
しての存続は考えておりません。私からは以上です。
○大森議長 次に、44番三沢清太郎議員。
〔44番三沢清太郎議員登壇〕(拍手)
○44番(三沢清太郎議員) 東京維新の会大田の三沢清太郎です。私からは、二つのテーマについて質問をさせ
ていただきます。よろしくお願いいたします。
まず最初、質問通告と順番が異なってしまうんですけれども、最初に、災害時における生活物資の確保に関す
る協定について質問をさせていただきます。
最近も鳥取県や福島県沖でマグニチュード7前後の大変大きな地震が日本列島を襲い、いつ東京に大きな地震
が来ても不思議でない状況が続いております。本区では様々な備えを進めておりますが、いざ発災した直後は、
公助よりも自助や共助のほうが役に立ったという例は枚挙にいとまがありません。
その共助の一つとして、最近本区内でおもしろい取り組みをした事例がございます。それは、自治会と地元量
販店が取り交わした「災害時における生活物資の確保に関する協定」です。この取り組みは、自治会に所属して
いる自治会員であれば、発災直後に手元にお金がない事態になっても自治会を通してツケで生活物資を買い物で
きるというものです。量販店に対する買掛金の担保は自治会員から集めた自治会費です。この仕組みによって自
治会員は発災時の不安の一つを取り除くことができますし、量販店は地域住民に頼りにされる存在になるので、
親しみが湧き、平時の購買増も見込めるようになります。行政では日ごろから各家庭での備蓄を推奨するととも
に、防災拠点等に当座をしのぐための備蓄品の整備を進めておりますが、私はこのような民民による生活物資確
保手段は、ほかの地域であっても有益でないかと考えております。
そこで質問をいたします。まず、このような取り組みがあることをご存じでしたでしょうか。ご存じでした
ら、このような地域に対する共助の取り組みについて、区としてどのようにして後押しする考えがあるのか、あ
れば方策を教えていただけますでしょうか。
私は、大田区の町会・自治会は日ごろから防災・減災のために様々なすばらしい取り組みをしており、よい取
り組みはどんどん事例紹介を行い、お互いに切磋琢磨するべきだと考えております。ぜひ本件につきましても前
向きな対応を期待いたしまして、次の質問に移りたいと思います。
次に、学校給食のあり方について質問をいたします。
小学校生活の楽しかったことの一つに学校給食を挙げる方は多いと思います。私も学校給食の時間が待ち遠し
かった一人でした。特に牛乳は大好物で、いつも飲めない友人の分をもらっては4本くらい一挙に飲んでいまし
た。そのおかげかどうかはわかりませんが、両親は背が低いにもかかわらず、180センチを超す身長に恵まれま
した。また、小学校4年生のとき、学校帰りにライトバンに引かれる交通事故に遭い、左足にタイヤが乗り上げ
て肉がえぐれるということがあったのですが、骨に異常がなかったのは牛乳のおかげだと信じており、牛乳には
とても感謝をしている次第です。
そんな私にとって欠かすことのできない牛乳ですが、一方で、牛乳を摂取し続けることが子どもの成長にとっ
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平成 28 年第4回定例会
第2日(11/30)
大田区議会会議録
速報版
て本当に有益なのか、予防医学的観点から日本全国で議論が巻き起こっているのはご存じのことかと思います。
アメリカでは2011年から、英国では2006年から、学校給食での普通牛乳の提供を禁止しています。デンマークで
は、普通牛乳に脂肪税を課税しています。このような世界的情勢の中、日本ではカルシウムをはじめとする栄養
素を満たすために必要であるとの観点から、普通牛乳を出し続けています。栄養バランスが行き届いた食事を出
す家庭ばかりではないでしょうから、学校給食で普通牛乳を出すことに私は異論ありません。米食を中心とした
和食に牛乳は合わないというご意見を多くいただくこともありますが、全国学校給食連合会が定めた「学校給食
七つの目標」の1番目に「適切な栄養の摂取による健康の保持増進を図ること」とありますから、組み合わせに
よる好き嫌いよりも、適切な栄養摂取に重きを置いていることも理解いたします。
そのような状況の中で、最近は牛乳を廃止するのではなく、栄養バランスに不足を生じさせない範囲内で牛乳
のかわりの飲料を出すケースが増えてきております。例えば京都市は、1か月に1回だけ和食推進の日を設け、
京野菜や地元のおみそ、漬け物、おばんざいなどを取り入れて、京都のすぐれた伝統的な食生活についての理解
を深める食育を行っております。この和食推進の日には牛乳は提供されません。また、23区では、文京区が本年
11月24日、和食の日に牛乳をお茶にかえた完全和食を実現しました。完全和食は文京区内にある全ての公立小中
学校合わせて30校で実施され、メニューは各校の栄養士によって創意工夫がなされた各校オリジナルの和食が振
る舞われたと聞いております。文京区の取り組みは、まずは1度だけのお試しであり小さな一歩かもしれません
が、ほかの特別区でも実現できるかもしれないことを考えれば、大変大きな一歩だと考えております。
そこで質問をいたします。牛乳は栄養補給のために学校給食に欠かせない食品であることを前提に、京都府の
ように月に1回とか、文京区のようにまずはお試しで、牛乳にかわりお茶を提供することをご検討いただくこと
はできますでしょうか。一足飛びに検討するというのも難しいかもしれませんので、まずは和食検討準備委員会
や郷土食検討準備委員会のようなものを立ち上げて、他区市町村の先行事例を研究いただければと思うのです
が、理事者のご見解はいかがでしょうか。
大田区は、古くは大森貝塚に代表される縄文時代に始まり、弥生時代の久が原遺跡、奈良の古道、鎌倉海道、
東海道といったように、今日まで人々の生活の息づかいが色濃い土地柄です。郷土の食べ物は、ニンジン、キュ
ウリ、シジミ、アサリ、ハマグリ、スズキ、ハゼ、アナジャコ、テナガエビ、アユなどなど、環境改善のおかげ
で様々な大田区の自然の恵みをいただく機会が増えてまいりました。今は生産こそしておりませんが、海苔も大
田区とは切っても切れない食品だと思います。大田区の伝統的な和食について理解を深める食育は、子どもたち
の郷土愛を醸成し、地域力を高め、次世代の大田区を担う大きな力になることでしょう。ぜひ少しでも前向きな
ご答弁を期待いたしまして、私からの質問を終わります。ご清聴いただきまして、ありがとうございました。
(拍手)
○大森議長 理事者の答弁を求めます。
○齋藤危機管理室長 私からは、「地域に対する共助の取り組みの推進方策」に関するご質問についてお答えを
いたします。
議員お話しの「災害時における生活物資の確保に関する協定」を地元量販店と締結している自治会があること
は、一つの事例として承知をおります。こうした協力や連携につきましては、地域の防災力を高める上で大変重
要な取り組みであると考えます。現在、区のホームページでは「地域の防災活動事例集」において自治会・町会
が事業所などとの協力関係を築けるような実施要領等について紹介をしております。また、自治会・町会の先進
的な取り組みにつきましては、昨年度から、3月に開催する防災講習会におきまして取り組み事例などを発表し
ていただいておりまして、今年度においても同様の実施を予定しているところでございます。
今後は、こうした取り組み事例につきましてもホームページで紹介するなど検討しまして、地域の防災力の向
上に向けて、より幅広く普及推進してまいりたいと考えております。私からは以上でございます。
○水井教育総務部長 学校給食において、牛乳にかわりお茶を提供するため、他自治体の先行事例を研究すべき
とのご質問にお答えいたします。
学校給食は、近年では食育のための生きた教材という役割もございますが、その最も重要な役割は、成長期の
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平成 28 年第4回定例会
第2日(11/30)
大田区議会会議録
速報版
子どもに栄養バランスのとれた昼食を提供することでございます。学校給食実施基準では、給食1人1回当たり
のカルシウム量を年齢に応じて300ミリグラムから450ミリグラムとしており、例えば同じ量を「シラス」から摂
取する場合、値段は牛乳の約3倍にもなり、コスト面からも牛乳は欠かせないものでございます。また、文部科
学省通知では、「学校給食のない日はカルシム不足が顕著であり、カルシウム摂取に効果的である牛乳等につい
ての使用に配慮すること」としております。一部には食事に十分手をかけられないご家庭も存在しており、必要
なカルシウム量をしっかりととらせるために毎日の牛乳は欠かせないものと考えております。給食において、ご
飯と牛乳が一緒に提供されるようになってから40年近くを経過していますが、食習慣への悪い影響は出ていない
と考えております。
教育委員会では、これまで小正月の小豆がゆ、中秋のお月見のころのお団子、冬至のカボチャ等の四季折々の
日本の伝統的な献立を出すことにより和食についての食育を推進してまいりました。教育委員会としては、今後
とも他の自治体の事例も参考にしながら、この取り組みを継続することで子どもたちの和食への理解が深まるよ
う配慮してまいります。私からは以上でございます。
○大森議長 三沢議員、再質問ですか。演壇にて再質問を許可いたします。
〔44番三沢清太郎議員登壇〕
○44番(三沢清太郎議員) ご答弁いただきまして、ありがとうございます。私は、今回の学校給食にかかわる
質問をさせていただくに当たり、文京区の取り組み経緯を知るべく、学校給食問題に情熱を注がれておられた文
教区議会議員にお会いしてもろもろの話を聞かせていただきました。この区議会議員が最も参考にしているの
が、長野県上田市にある真田中学校で実践しております完全米飯化、お米での給食とのことでした。ぜひ本区に
おかれましても、他自治体の事例も参考にしていただいて、大田区の子どもたちの健全な成長に資する学校給食
をご提供いただきたいと思います。本区としての見解はいかがでしょうか。よろしくお願いします。
○水井教育総務部長 教育委員会の見解といたしましては、先ほど申し上げたとおりでございます。
○大森議長 会議が長くなりましたので、おおむね20分程度休憩といたします。
午後3時15分休憩
午後3時35分開議
○大森議長 休憩前に引き続き会議を開きます。
この際、会議時間を延長しておきます。
質問を続けます。50番馬橋靖世議員。
〔50番馬橋靖世議員登壇〕(拍手)
○50番(馬橋靖世議員) 大田無所属の会、馬橋靖世でございます。第4回定例会の一般質問に際しまして、保
育サービスについて伺ってまいりたいと思います。
大田区内保育施設の平成29年4月入園申し込みが10月3日からスタートし、ちょうど現在も受け付けが行われ
ています。私にも2歳になった娘がいますけれども、子育て世代の議員として、大田区の保育における諸課題に
ついて質問をしてまいります。よろしくお願いいたします。
さて、大田区の保育サービスの状況を振り返りますと、当局はこれまで、保育施設の大規模な拡充をはじめ
様々な対策を行ってきており、高く評価するものでありますが、増え続ける保育ニーズに追い付いていないのが
現状だと捉えています。また、平成27年度から、子ども・子育て支援新制度のスタートに伴い、これまでの保育
園入所要件であった「保育に欠ける事由」が「保育を必要とする事由」に変わっており、事由の認定について
も、「フルタイムのほか、パートタイム、夜間、居宅内労働など、基本的に全ての労働を含む」と大きく緩和さ
れました。これにより、保育サービスを希望するほとんどの方が対象になり得ると想定され、新制度の周知が進
むに伴って、今後ますますのニーズ拡大が想定をされています。
さらには、単純なキャパの問題だけではなく、前回定例会において、岡本議員が指摘をした保育所における
「3歳の壁」についてなど新たな課題も浮き彫りになってきました。この問題について本日は触れませんが、小
規模保育所などを出て3歳以降に行き場を失う危機的な状況を回避するため、議員からは送迎バスのご提案をさ
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平成 28 年第4回定例会
第2日(11/30)
大田区議会会議録
速報版
れており、大変すばらしいアイデアだと感じました。
こうした状況の中、もう1点、これまで大田区内で浮き彫りになっている課題が、保育サービス受け入れの可
否について、区内の地域間において難易度に違いが生じている問題についてであります。
そこでまず伺います。約60平方キロメートルという広大な土地を有する大田区ですが、各地域庁舎単位など、
地域間での需要と供給のバランスについてのデータを集計しておりますでしょうか。区民の目につく数値とし
て、大田区では、今年度からホームページ上で各認可園の保育点数の入園ボーダーラインを公表し始めました。
これにより保護者の方々は、自身のご家庭の保育点数を計算し、その点数で入れそうな施設を第1希望にするな
ど、これまでより踏み込んだ申請が可能になると考えられますが、一方で、比較的入園しやすそうな園に集中す
る可能性も出てきました。SNSをはじめ、ITを活用した情報交換が活発な現代で、この情報公開がどのよう
な結果をもたらすのか注視していきたいと思いますが、そもそも地域間に格差が生じていること自体が保護者の
不満につながっているとも考えられます。
例えば、平成28年度、0歳児クラスで、ある園では17点で全員入園が決まり、ある園では23点の第1希望でも
入れなかった児童が出ました。1歳児クラスでも19点の第6希望まで全員入れた園もあれば、25点の第1希望で
も入れなかった園もありました。2歳児については5点で入れた園があったのに対し、24点の第1希望でもだめ
な園がありました。
そこで伺います。区では、この地域間で起きている課題についてどのように捉えていますでしょうか。広い大
田区において、地価の違いや用地取得の難しさの違いなど、簡単に解決ができる問題ではないと認識しています
が、先に述べましたように保育需要は拡大が予想されています。大田区人口ビジョンの中の年少人口推計では、
平成32年をピークに一旦減少に転じるものとなっていますが、転入も含めた大田区全体の人口増加などを考慮す
ると、当面の間は保育需要の増加が続くのではないかと考えます。再三、各議員からも質問がありますが、これ
らの状況を踏まえた、大田区としての総合的な待機児童対策をお聞かせください。
単純に施設を増やせ増やせでは、根本的な課題解決には結びつかないと考えています。また、閑静な住宅街に
突如として保育施設建設が決まると住民との間でトラブルになるという別の課題も発生をしています。私個人と
しては子どもの声は不快には感じませんが、人によっては個別の生活スタイルなどから「騒音」と捉えることも
やむを得ないのかなと理解はできます。先ほど述べましたように、園によって、地域によって、もしくは年齢に
よっては比較的ゆとりのある施設もあり、従来の定員増に向けた取り組みと並行して「既存の施設のさらなる活
用」について、研究と検討を進めていくべきだと考えています。
そこで伺います。大田区として待機児対策に向けた「既存の施設の活用」について、どのように捉えておりま
すでしょうか。
ここで、私からも一つ、ご紹介とご提案をさせていただきたいと思います。2012年からサービスを始めて話題
になりました千葉県流山市の「送迎保育ステーション事業」についてであります。流山市では、「母になるなら
流山市」をキャッチフレーズにして子育て世代の誘致に力を入れており、ファミリー世代のとりわけ30代を中心
とした人口増加を成功させてきております。
少し大田区と流山市のデータを比較してみたいと思います。まず面積は、大田区59.46平方キロメートルに対
し流山市35.28平方メートルと、大田区が約1.7倍程度となっています。人口は、大田区約71.6万人に対し流山市
は約16.4万人と、大田区が約4.4倍から5倍程度、これに対して0歳から4歳の幼年人口は、大田区2万8062人
に対し流山市9564人と約3倍弱しか違わず、子育て世代家庭の割合が多いことがうかがえます。また、保育施設
の数は大田区108か所に対して流山市は34と少ないことから、在宅での子育て世帯が多いこともうかがえます
が、その分、保育を希望する家庭にとっては希望する駅近の保育園に入れないと困るという課題もあり、こうし
た理由で、駅から離れた保育園についてはこれまで定員に空きがあり、十分な活用がなされていない状況だった
というふうに聞いています。
そこで、流山市では新規増設とあわせて、既存施設の活用政策として「駅前送迎保育ステーション」を始めま
した。この「駅前送迎保育ステーション」事業ですが、ぜひ、お時間があれば、流山市さんのウエブなどをご覧
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平成 28 年第4回定例会
第2日(11/30)
大田区議会会議録
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いただきたいと思いますが、かいつまんでご紹介をさせていただきたいと思います。
流山市内に点在する認可保育園30園に通う児童を送迎する目的で、JRつくばエクスプレスの「流山おおたか
の森駅」前と「南流山駅」の2か所に設置されているものであります。一時預かり施設を併設しているため、
朝、保育園に送迎を希望する保護者がステーションまで送ってきて預け、そこでバスに乗り込み、各保育園に安
全に送り届け、そして保育が終わるタイミングでまたバスが迎えに行き、ステーションに送り届け、保護者が迎
えにくるまでステーションで過ごし、保護者と一緒に帰宅をするというものであります。これにより、自宅や駅
から離れた保育園に子どもを預けていても、保護者は通勤途中に駅前で子どもを預け、帰宅途中に駅前で子ども
を迎えにいけるというスムーズな流れが実現しています。
ちなみに利用者負担は、月決めだと2000円、1回だと100円ととても廉価で使いやすい設定になっています。
ただ、その分、市は今年度事業予算として約7600万円を計上していますが、国の「広域的保育所利用事業」助成
制度をうまく活用しており、必要最小限に抑える努力をしています。
大田区と流山市の地図を並べてみるとおもしろく、区市の西側の端には多摩川と江戸川がお互い流れ、南北を
東急線と東武線が走り、それにクロスするようにJR京浜東北線とJRつくばエクスプレスが都心方面へと通っ
ています。今回の課題における地理的な状況はとても似通った部分があるように感じます。
一方、大田区の状況を考えますと、駅前の小規模保育施設などはアクセスもよく便利ですが、比較的駅から離
れた施設にはまだゆとりがあるところもあります。また、先ほどの各園の入園ボーダーラインでも示しました
が、大田区では地域によって、両親フルタイムで働いていて、兄弟が先に入園していても、弟、妹が同じ園に入
れないという状況も発生しています。兄弟が別々のそれも離れた園に通うことになってしまった保護者にとって
は、1か所のステーションに預けることで送迎が済むメリットは非常に大きいと考えます。
また、流山市保育課のご担当者にもお話を聞いてきましたが、今後の展望として、送迎バスがあるという前提
で、駅から離れた場所にも保育園建設を進めていくということで、大田区としても、また保育事業者としても、
ロケーション選択の幅が大きく広がる可能性が考えられ、今後の設立促進に大きく寄与することが考えられま
す。同様の事業は、以前、保育コンシェルジュをご紹介した横浜市をはじめ、全国18自治体に広がりを見せ始め
ています。
そこで伺います。他自治体の例のように、「送迎保育ステーション事業」は大田区にとっても大変有効に思い
ますが、区のご見解はいかがでしょうか。
一つ懸念しなければいけないのは、面積の違いについてであります。先ほど挙げたように、大田区は流山市の
倍近い広さがあります。流山市の送迎保育ステーション事業では、一番最初の園から最後の園に送り届けるまで
の時間で最長1時間としており、朝の渋滞などを考慮すると、恐らく大田区全体ではなかなか実現できないと思
います。ですので、大田区版に改良して検討する上では、やはり地域ごとの運用が望ましいと思います。例え
ば、地域庁舎単位など、おおむね1時間以内で回り切れるよう工夫して配置する必要があります。また、流山で
は34園中30園が認可保育園で、この30園でのみ現在は送迎を行っていますが、大田区版で考える上では認可外保
育施設とも連携を考える必要があります。ちなみに、先ほどご紹介した国の助成制度では認可外保育施設への送
迎も対象となっており、これも考慮する検討材料になるかと思います。考え始めれば様々課題はありますが、考
え始めなければ何も生まれないわけであります。
最後に、この設置のロケーションについてでありますが、大田区版の送迎保育ステーションについて、例えば
バスが近くまで入れる商店街の空き店舗を活用するなどできれば、不要な住民トラブルを避け、地域の活性化に
も寄与し、費用の節減もできるのではないかと思います。帰宅時にその足で親子連れが商店街で買い物をしてく
れる光景を想像すると、区内商店会員の一人としても大変うれしい気持ちになります。
こうした様々なアイデアが生まれ、区内の活性化に寄与する件も一つの副産物ではないかと思います。また、
現在活躍中の大田区保育サービスアドバイザーさんたちが、保育園申し込みの前後に相談業務を行う上で、限定
的な地域希望を少しでも広げることで支援の幅が広がるのではとも考えます。送迎保育ステーション事業がもた
らす様々な変化を踏まえた上で、今後の研究・検討はあり得るかどうか、区の展望をお聞かせください。以上で
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平成 28 年第4回定例会
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質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○大森議長 理事者の答弁を求めます。
○後藤こども家庭部長 それでは、保育に関するご質問に順次お答えいたします。
初めに、地域間での保育需要と供給のバランスについてのご質問ですが、区では特別出張所単位の保育申請数
と保育サービス定員について集計しております。本年4月の保育入所の申請数でありますが、特別出張所として
多かった上位の地区といたしましては、雪谷地区が534件、馬込地区が420件、蒲田西地区が395件、大森西地区
が394件、六郷地区が387件、池上地区が320件となっております。また、特別出張所別の保育サービス定員につ
きましては、六合地区が1166名、蒲田西地区が1092名、池上地区が1062名、糀谷地区が1001名、馬込地区が954
名、蒲田東地区が901名となっております。一方、本年4月の待機児童229人の中で、保護者の就労がフルタイム
など22点以上の方が64人いらっしゃいます。このうち出張所別では、多い順に、雪谷地区が8人、馬込地区が7
人、嶺町地区と池上地区が6人、千束地区と鵜の木地区が5人となっており、選考指数の高い待機児童が調布地
区に多い状況となっております。
次に、保育入所に関する地域間格差についてのご質問ですが、申し込みができる保育園の空き定員や、希望す
る保育園に対する申請数、保護者の就労状況等の違いがあり、保育園、年齢クラスごとに入りやすさに差が生じ
ております。
議員にご紹介いただいたホームページで公開している本年4月の保育所入所時における選考結果指数からも、
個々の園や年齢クラスによって異なりますが、調布地域にある保育園に申し込む保護者の選考結果指数が高い傾
向にあることがわかります。区といたしましては、保護者の就労がフルタイムでも保育園を利用できない状況を
早期に解消する必要があると考えております。まずは、地域の保育ニーズに対応した保育サービス定員の量的確
保に向けた基盤整備に全力を挙げて取り組んでまいります。
次に、総合的な待機児童対策についてのご質問でありますが、昨年度区がまとめた「大田区人口ビジョン」に
おいても、当面区の出生数には大きな変動はないとなっておりますが、一方で、国を挙げて、1億総活躍社会の
実現に向けた取り組みを進めている中、女性の社会進出が一層増加することが見込まれ、今後も保育ニーズは上
昇するものと考えております。平成28年4月時点の区の就学前人口に対する保育所整備率は40.21%となってお
りますが、この整備率については当面高めていく必要があると考えております。今回、東京都の補正予算で組ま
れた事業も活用しながら、引き続き現在の待機児童の状況をはじめ、育児休業中の保護者や妊娠届け出の地域分
布などの分析のほか、保育所用地の確保が困難である調布地区を重点地域と定め、マッチング手法なども活用し
た地域特性に応じた保育サービス基盤の整備に努めてまいります。
次に、待機児童対策に向けた既存施設の活用についてのご質問ですが、直近の認可保育園における0歳から2
歳の低年齢児の空き定員は10名程度と少なく、また、3歳児以降の空き定員についても、開設間もない新規施設
のものが多く、次年度以降は持ち上がりの関係で減少していく予定です。なお、既存の認可保育園の3歳以降の
空き定員については、今後小規模保育所の卒園後の受け入れ施設として活用を見込んでおります。今回施設の廃
止議案を上程しております「千束こどもの家」も「3歳の壁」対策として活用していく予定です。このほか区民
住宅や高齢者住宅など、公共施設を活用したグループ保育室が現在7施設ございます。今後も既存保育園の空き
定員や児童館などの公共施設を活用した待機児童解消に向けた取り組みを進めてまいります。
次に、送迎ステーション事業についてのご質問ですが、議員にご紹介いただいた流山市における送迎ステーシ
ョン事業は、待機児童対策として既存の保育園を有効活用した取り組みとして実施されております。1歳以上の
児童も対象としていると聞いております。先ほども申し上げましたが、現在区には活用できる低年齢児の空きが
ないこと、また送迎ステーション内や移動バス内における保育体制に対する課題が想定されます。特に低年齢児
の移動バス内における保育のあり方は慎重に研究する必要があると考えております。
最後に、送迎ステーションに対する区の展望についてでありますが、送迎ステーションの設置場所として、ご
紹介いただいたように、流山市では駅に接続するビルに設けられており、ご提案の空き店舗も利便性の高い駅近
くの物件であれば有効であると考えております。なお、設置に当たっては、保育施設として、それぞれの部屋か
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ら公道まで2方向を使って避難路を確保することや、建築基準法における新耐震基準を満たすことなど、ハード
面での要件が課せられます。このほか送迎の際の安全な駐停車スペースの確保や移動ルートとなる交通環境など
への対応が必要となります。
なお、国の平成29年度概算要求の中で、小規模保育所の3歳児以降の子どもの受け入れを重点的に行うための
サテライト型小規模保育事業所の設置に関する支援が盛り込まれております。送迎ステーションによる保育につ
いては、現在区が抱える3歳児以降の連携施設の課題に対して、国のサテライト型小規模保育所の仕組みも含
め、実現可能で有効な手段となれるかについて今後研究してまいります。以上であります。
○大森議長 次に、41番岡 高志議員。
〔41番岡 高志議員登壇〕(拍手)
○41番(岡 高志議員) 区議会民進党、岡でございます。
先ほど来、海外視察のご報告ありましたけれども、私も先月、アメリカ、セーラムの親善姉妹都市を訪問させ
ていただきました。大変貴重な機会だったと思っておりまして、このような機会を与えていただきました議員の
皆様、そして区民の皆様に感謝申し上げます。どうもありがとうございます。
セーラム市では、セーラムアカデミーというハイスクールを現地の方とともに見学させていただいて、大変学
びやすい環境がそこにあるなというふうに感じました。当然全ての教室に電子黒板が設置されているのと、ハイ
スクールで、先生ごとにクラスルームが形成されている。例えば社会のマイケル先生であれば、地図帳がどんと
壁に張ってあって、いろんな社会関係のパネルなんかも飾ってあって、子どもたちは先生の教室ですからやって
くる、先生に握手して、きょうも頑張ろうみたいなことを言いながら実際に学びに入る体制ができる。そうした
意味で、大田区でもよりよく学べる環境をしっかり必要な資金を投入してつくっていただきたいなと思った次第
です。
また、カフェテリア、食堂も案内してもらって、そこにブレークファースト・イズ・フリーと書いてあるんで
すね。朝ご飯、無料ですよと。だから、朝、食べてこられないような子ども、やっぱりお腹がすいていると勉強
ができない。我々もお腹がすいているとなかなか働けないと思うですけれども、そういった意味で、ブレークフ
ァースト・イズ・フリーというのは大切なのかなと。
大田区でも、朝ご飯を食べていない子は学力が十分ではないよという調査もあるように、やっぱり朝ご飯は大
切なんだなということで、大田区の給食の調理員の方が朝も来ていらっしゃるわけだから、朝ご飯を出してもら
ってもいいのではないかなと。あと、お米です。お米は財政投入してもらってもいいし、もしくはみんなの募金
とかを募って、今子どもの貧困対策が必要だということですので、分かち合いの精神、それはブレークファース
ト・イズ・フリーなのかなと思った次第でございます。詳細な海外視察の報告は、また来週の報告会でと思って
おります。
さて、本題に入ります。第1は、広報広聴についてであります。
姉妹都市のセーラム市のウエブサイトを見てみると、SeeCIickFixのプラグインがあるんです。皆
さんもウエブサイトでSeeClickFixをご覧になっていただくと、一番下に動画がありまして、とても
わかりやすく説明されているんです。市の道路が傷んでいるときに、スマホで写真を撮って情報をアップロード
すると役所がわかる。役所はそれに応じて対応していく仕組みです。住民にとって役所に伝えやすいというだけ
ではなくて、役所の中でも連絡していく、工事担当業者含めて連絡していくというのが大変スムーズであって、
業務改革につながる取り組みだと思いました。
そこのウエブサイトのコピーに、BetterCommunications、StrongerCommu
nitiesと書いてあって、つまり、よりよい広聴広報、広聴広報の改善をすることによって強い地域力が獲
得できるということだと思います。これはぜひ大田区もやっていただくのかなと思っています。
以前、この場で公明党の広川議員もおっしゃっていましたけれども、千葉市のちばレポのようなアプリを導入
してはどうかと。私も大変賛成、賛同するところであります。また、FixMyStreet、こうしたアプリ
を安価に導入している日本の自治体もございます。財政負担も少なくて広聴機能の強化が図れますので、ちばレ
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ポ、SeeClickFix、FixMyStreet、そうしたアプリを活用した区民からの要望受け付けを
してはいかがでしょうか。
続きまして、職員定数基本計画について伺います。
平成29年度から33年度の大田区職員定数基本計画が示されていまして、従来、職員定数は減少一途でありまし
たが、行政需要の増加を踏まえて、各年度の職員定数は、今年度の職員定数4135人を目安に適正管理することと
なっています。計画中には様々に行政需要の増加項目が示されていますが、さらに職員配置が必要な事業もある
と思います。
今年話題になった不祥事案件で、兵庫県芦屋市の社会福祉法人夢工房、ここが1億円以上運営費を不正流用し
たことが発覚しました。同法人は、補助金増加につながる常勤施設長給与を親族に架空計上したり、一般職員で
はあり得ないような大学の学費を理事長の娘や息子のために計上していたりと、社会福祉法人にあるまじき不正
行為を行っていました。兵庫県に本部を置く社会福祉法人ではありますが、お隣、品川、横浜などでも保育園を
運営しておりまして人ごとではありません。社会福祉法人として、保育園などの公共サービスを自治体からのア
ウトソーシングで運営している中で、そのような不正が起こるのは納税者として耐えられない事態であります。
大田区でも、アウトソーシング先の事業者に対して、公金の適正な執行管理の面から指導・監督を強化しなけ
ればいけないと思います。平成25年度に都から社会福祉法人の許認可、指導検査などの事務が移管されていま
す。また、私立認可保育所や小規模保育所も合わせて100件、そして多くの介護サービス事業者と、事業者指導
の対象は大きく広がっています。税金や介護保険に収入の多くを依存する事業者を指導監督するための職員配置
こそ今後重要になってくると考えます。企画経営部ではどのように分析されているのかお伺いいたします。
次、ポリファーマシー対策について伺います。
ポリファーマシーというのは、日本語に直すと多剤併用と訳されています。5種類以上の薬を併用することで
薬間の相互作用による有害事象が生じやすいと言われます。高齢者の場合、様々な生理機能の低下により薬の代
謝機能が低下していて有害事象につながっていきます。さらに、そうした有害事象を新たな問題と誤解して、そ
の症状に対してさらに薬を処方する処方カスケードと言われますけれども、これが引き起こされる。そして、高
齢者ですから薬の対応によって認知症にもつながる、そうした調査研究もございます。ポリファーマシーは、薬
剤費の膨張による医療費負担の増大という経済的な側面だけでなく、患者の健康に重大な影響を与えるととも
に、家族介護者への負担にもつながります。
そうした意味で、大田区においてもポリファーマシー対策を適切に行っていかなければいけない。そこで、ポ
リファーマシー対策、誰が担うべきかというと、やっぱり薬を患者に手渡す最前線にある薬剤師さんがいらっし
ゃいますので、薬剤師が介入して処方箋の疑義照会をしっかり行うことで、ポリファーマシーの弊害は減少させ
ることができます。区民が薬剤師を信頼してポリファーマシー対策ができる環境醸成が必要だと考えておりま
す。
今年度の国の診療報酬改定では、ポリファーマシーで適切に減薬、薬を減らしていった場合に点数が付く、診
療報酬が加算されていくことになっております。そうした意味で、国の政策的な支援は、十分ではないかもしれ
ないけれども、整ってきております。ここにおいて、大田区はポリファーマシーの弊害を減少させるための区民
啓発を、大田区の医師、薬剤師と連携して行うべきだと考えますがいかがでしょうか、所管部の見解をお伺いい
たします。
以上で私からの質問を終わります。どうもありがとうございます。(拍手)
○大森議長 理事者の答弁を求めます。
○川野企画経営部長 私からは、広報広聴並びに職員定数基本計画に関するご質問に順次お答え申し上げます。
最初に、スマートフォンを活用した広聴機能に関するご質問でございますが、千葉市の「ちばレポ」や、23区
では練馬区で「ねりまちレポーター」、それから海外で開発されたFixMyStreetなど、一部の自治体
で専用スマートフォンアプリを活用し、住民と行政をつなぐ新しいコミュニケーションツールを採用しているこ
とは承知しているところでございます。大田区におきましては、平成27年度、電話、窓口、メール、区長への手
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紙、「わたしの提案」等を通じまして「区民の声」を1万2479件受け付けてございます。その中で、インターネ
ットを介したご意見・ご要望、お問い合わせ等の総数は、1割強の1371件ございました。
総務省の平成28年版情報通信白書によりますと、ICTと言われます情報通信技術サービスの利用動向といた
しまして、情報通信機器の普及が全体的に飽和状況となる中で、スマートフォン保有は年々増加しているとの報
告がございます。区におきましても、今後スマートフォンを介した「区民の声」は増加していくことが予想され
ます。
こうした中で、「区民の声」をより効果的・効率的に受け付けるためのスマートフォンアプリを活用した仕組
みづくりとしては、迅速性、情報共有、区民協働等の観点を踏まえた対応をする必要があると考えてございま
す。区では現在こうしたことから、広報紙「おおた区報」をスマートフォンで閲覧するためのアプリ「マチイ
ロ」と申しますが、こちらを来年1月から活用する予定でございます。まずは、このアプリの利用状況等を検証
してまいりたいと考えてございます。
あわせて、議員お話しの仕組みにつきましては、類似の仕組みを導入しております他の自治体の動向等につい
ても注視し、今後の広聴機能強化に向けた可能性についての研究してまいります。
続きまして、事業者を指導監督するための体制の強化に関するご質問でございますが、大田区では、大田区職
員定数基本計画におきまして、職員定数縮減に向けた内部努力を継続することにより、行政需要の増加に対して
も適切に対応できる職員定数を算定することを計画目標に掲げております。計画の達成に向けて、限られた行政
資源を柔軟に活用し、区民サービスのさらなる向上を実現するためには、行政サービスの適切かつ計画的なアウ
トソーシングを行うことは有効な手法の一つであると考えております。
その際、議員お話しのとおり、外部化した事業のサービス水準を維持向上させるための事業者への指導監督を
行うことは区の重要な責務でございます。これらの事業者に対する指導監督を行う組織につきましては、包括外
部監査におけるご指摘等も踏まえ、体制強化を含め、現在検討を重ねているところでございます。また、外部化
される業務の範囲が増大することに伴い、これらの事業者への指導監督に係る業務量も増大傾向にございます。
これらの業務量につきましても、各部局から所要人員計画書の提出を受けるとともに、企画経営部によるヒアリ
ングを通じて精査を行い、適切な定数算定を進めてまいります。私からは以上でございます。
○渡邉保健所長 私からは、ポリファーマシーに関するお答えをいたします。薬剤の多剤併用による弊害を減少
させるための区民啓発についての医師・薬剤師との連携についてでございますが、薬剤の多剤服用により健康を
損なわないようにするための有効な対策の一つとして、「かかりつけ薬剤師」の定着促進がございます。かかり
つけ薬剤師が、服薬管理への支援ツールである「お薬手帳」を活用しながら、患者本人とコミュニケーションを
図ることで、患者に対する服薬への指導や意識啓発が容易となります。また、薬剤師から処方した医師への問い
合わせも日常的に行っております。
区としましても、かかりつけ薬剤師の定着促進に向けて、薬剤師会とともに「かかりつけ薬局定着推進事業」
を実施し、区民が服薬について気軽に相談ができ、かかりつけの薬剤師の必要性についてPR活動ができるよう
に支援しております。
また、薬剤の多剤併用による弊害を減少させるためには、患者本人が弊害について理解を深めることが大変重
要であると認識しております。区民への啓発に向けた取り組みを、既存の会議体でございますが、区内の病院を
中心に構成されております「入院医療協議会」や医師会・歯科医師会・薬剤師会・介護関係者などで構成されて
おります「在宅医療連携推進協議会」におきまして、情報の共有や検討ができるように連携してまいります。こ
れからも区民の健康を守るために医師や薬剤師と連携しながらこの問題に取り組んでまいります。以上です。
○大森議長 次に、48番湯本良太郎議員。
〔48番湯本良太郎議員登壇〕(拍手)
○48番(湯本良太郎議員) 闘う改革の会の湯本でございます。
明日から12月、平成28年も残すところあと一月となりました。大きな話題となったニュースを振り返ってみる
と、本年1月1日よりマイナンバー制度がスタートし、またマイナス金利政策の導入、TPP協定の正式合意、
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「保育園落ちた日本死ね」問題、電力の完全自由化、最大震度7の地震による熊本地方の被災、伊勢志摩サミッ
トの開催、またオバマ大統領の広島訪問、「18歳選挙権」の施行、ポケモンGOの日本上陸や小池百合子新都知
事の誕生、4年後に東京オリンピック・パラリンピック開催を控える中、ブラジルリオデジャネイロでのオリン
ピック開催、イチローのメジャーリーグ通算3000本安打達成や国民的アイドル「SMAP」の解散、豊洲市場の
盛り土問題、大田区が応援をしているアースフレンズ東京Zが所属する男子プロバスケットボール「Bリーグ」
の開幕、大隅氏のノーベル生理学・医学賞の受賞、アメリカ大統領選挙にてトランプ氏の勝利など、様々な出来
事が起こりました。誰にもこれから起こる出来事を正確に予測ができないのは周知の事実でありますし、今年の
念頭に立てた見込みと正反対の結果がもたらされたことも今年は多かったように思います。
グローバル化が進み、様々な出来事が我々にどのような影響を与えるのか、先を読むのがより困難な昨今であ
りますから、区民福祉の向上を目指す大田区としては、縦割り行政の組織論や慣例主義にとらわれ過ぎないよう
に、柔軟さとバランス感覚を持って地方自治法第2条14に記されている最少の経費で最大の効果を上げ、住民の
福祉の増進になお一層努めていただくことをあえて冒頭に求め、質問に移らせていただきます。
大田区では小学校における放課後児童の居場所づくり事業として「放課後子ども教室」と「学童保育」を一体
として実施する「放課後ひろば」を全小学校施設内に順次開設をするべく事業展開を図っております。この子ど
も教室の基本的視点として、放課後の安全・安心な居場所を碓保する、多様な体験・活動を通じ自主性や社会性
を育む、地域社会の中で健やかに成長できる環境づくりを推進するの3点を掲げております。対して、学童保育
は、保護者が就労等の理由で昼間家庭にいない児童を対象としており、事業の性質や行政的な役割が異なること
を前提としております。
実際に、放課後ひろばの利用をする際のサービスの違いは何かを比較すると、土曜日の実施の有無、学校休業
日の開始時刻30分の差、11月から2月の利用終了時刻30分の差、利用延長の有無、昼食が学校でとれるか否か、
おやつの提供などがあります。費用負担の有無によってはサービスが異なることは理解をいたしますが、学校休
業日の開始時刻30分の差や11月から2月の利用終了時刻30分の差、昼食が学校でとれるか否か、土曜日の実施の
有無などは、費用負担の有無との因果関係は薄いようにも感じ取れるわけであります。
大前提として、「放課後子ども教室」と「学童保育」を一体として実施する「放課後ひろば」を全小学校施設
に実施をする動きに対して高く評価しておりますが、同じ小学校という施設の中にあって受けられるサービスが
異なることに違和感を覚える保護者の声も少なくありません。
ケーススタディをいくつか挙げると、春、夏、冬休みなどの学校休業日に放課後ひろばを利用するとき、学童
保育として利用する場合は8時半から利用できるが、放課後子ども教室として利用すると9時からでなければ利
用できません。区内小学校の投稿時間はおおむね8時25分から8時30分であります。この30分の差は何だろう
か、この差を埋めることはそんなに困難なことなのかなどと感じる方の声が寄せられております。次に、昼食の
時間になると放課後子ども教室を利用する子どもは、校外に一旦出て昼食をとらなければなりませんが、学童を
利用すると校内でお弁当などの昼食がとれます。もう1例挙げると、11月から2月、日照時間が短くなる季節で
は、放課後子ども教室を利用する子どもは16時30分に下校しなくてはなりませんが、学童を利用する子どもは17
時まで、延長を利用すると18時まで、保護者の迎えなしで下校ができます。土曜日の利用については学童のみが
利用できますが、放課後子ども教室の利用はできません。
「放課後ひろば」は、事業がスタートして間がない試行錯誤の取り組み段階であるとは思いますが、同じ小学
校に通う同窓であり、同施設を同時刻帯に利用する状況下で、受けられるサービスの差に対する違和感につい
て、大田区の考えをお伺いいたします。
利用者の視点から、保育と放課後の居場所の違いにこだわることが違和感と捉えられることがあっては、まさ
に行政の縦割り組織の弊害との指摘を受けかねません。教育委員会も、こども家庭部も、区民からすれば同じ大
田区役所であります。綿密な連携を図り、区民ファーストの視点での行政展開を望むところでありますが、今後
の目指すべきはどのような姿であると考えているのかお伺いをいたします。
事業の性質上、部署の違いや、保育と学校教育の場は異なるというロジックと、リアルな現場の声との間で大
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変ご苦労されていると推察いたします。今を支える現役世代とこれからを支える子どもたちのために、皆様の奮
闘に期待をさせていただきます。
次に、千束こどもの家についてお伺いいたします。
千束こどもの家は今年度で廃止となる旨、今年の10月21日に利用者の皆さんへ説明会が開かれました。説明会
においては、利用者の皆さんからは、突然の発表への戸惑いや子どもの今後の生活環境の変化に対する不安、そ
して性急過ぎる廃止の決定に対する怒りと不満の意見が出ておりました。行政需要を見極めて公共施設適正配置
を進めていくことに異論はございませんが、その変化により我慢を強いられる方々への配慮を忘れてはいけない
と考えます。
千束こどもの家の廃止については、移行期間を設けることで利用者の理解がより進んだと推察できます。環境
の変化を不利益と感じる家庭も生じるので、計画的な子育て環境の整備が求められると考えます。千束こどもの
家も含め、今後の環境整備の進め方について大田区の考えをお伺いいたします。
次に、不法投棄に対する処理費用の考え方についてお伺いいたします。
日本の清潔で美しい住環境に驚き、賞賛の声を寄せる海外からの来訪者が多いのは皆さんご存じのとおりであ
ります。東京オリンピック・パラリンピックまで4年を切りましたが、東京の表玄関を標榜する大田区として、
おもてなしの心を持って来訪者を招くためにも、清潔で美しい大田区をより美しくし、さらにはその環境の美し
さを保たなければならないと考えるところでございます。
かねてより、複数会派の方々からごみの不法投棄を問題視する指摘がなされてまいりました。大田区として
も、多言語で不法投棄への警鐘を鳴らす看板の設置や、巡回パトロールの強化などに力を注ぎ対応をとり、一定
の成果を上げてはいるものの、不法投棄に頭を悩ます区民がなかなか減らないのも事実であります。
不法投棄の量について調べると、道路や公園等で家電ごみの量は、平成26年度が12.5トン、平成27年度は20.0
トンと増加をしております。その他の粗大ごみの処分量は、地域基盤各課では、道路、公園清掃の一環として不
法投棄のごみを撤去しているため、必ずしも不法投棄処理分ではございませんが、平成26年度が462.5トン、平
成27年度は346トンとなっております。その処分に要したコストについては、家電ごみは、平成26年度が約112万
円、平成27年度は188万円、その他のごみは、平成26年度が約1244万円、平成27年度で1340万円と、双方ともに
処分費用は増加している状況であります。地域住民からは、なぜルールを守らないもののために我々の税金を使
わなくてはならないのかという憤りの声を非常に多く耳にいたしますし、私も全く同感であります。
不法投棄は、投棄する者からすると投棄を行いやすい場所というのがあるようで、特定の場所にて不法投棄を
何度となく繰り返される傾向があり、大田区としてもその地点の情報はある程度把握をしているとのことであり
ます。であるならば、その地点へ、不法投棄の処分費用を削減すべく、不法投棄を抑止するために予算を使う、
つまり問題が起こったら対処するために使っていた予算を、問題が起らないようにするための予算として使うと
いう発想の転換も検討すべきだと思いますが、大田区の考えをお伺いいたします。
一例ではありますが、不法投棄を防止すべく防犯カメラ設置を行い大きな成果を上げた事例があるようであり
ます。従来の不法投棄への対応に加え、新たな対応への研究や検討も行っていくべきと考えますが、あわせてお
考えをお伺いいたします。
次に、大田区総合体育館の利用についてお伺いをいたします。
大田区総合体育館、2017年の全館貸し切り利用の予定を見ると、土曜日、日曜日にこれから利用したいと考え
申し込みを入れようとしても、空きのある日はほとんどありません。みるスポーツを実践する場として大田区総
合体育館を活用することに賛成はするものの、するスポーツ、つまり区民一般の利用がほぼできないという現状
にも着目しなければならないと考えます。そもそも区民の税金で建てられた体育館がなぜ区民が利用できないの
かという区民感情に対しても応えていく必要性を強く感じるところでもあります。
大田区総合体育館の建設中は、今まで大田区体育館を利用していた方々が他施設を利用せざる得ないため、み
んながお互いに融通し合いながらスポーツに親しむ活動をし、大田区総合体育館が完成をすれば、以前よりも活
発にスポーツに親しめると完成を心待ちにされていました。ですから、話が違うとの感情をお持ちになっていた
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方々も少なくはありません。「みるスポーツ」と「するスポーツ」のバランスについて、大田区の今後の考えを
お伺いいたします。
大田区総合体育館の平成27年度、28年度の全館貸し切り利用者集計と平成29年度全館貸し切り予定によると、
最も多くの土曜日、日曜日の全館貸し切り利用をされている団体は、大田区が応援をしているアースフレンド東
京Zであり、年間24試合プラス10日の準備の全館貸し切り利用がされております。多いときには4000人を超える
観客が訪れる興業もある中で、平成27年度の観客動員数平均値は約641名、最大値が約2600名、最小値は368名で
あります。平成28年度の観客動員数平均値は約951名、最大観客数は約2600名、最少数は約562名であります。ア
ースフレンド東京Zと学生対象の催しを除き、平成27年度土日利用の観客動員数で1000名を下回った催しは1
件、平成28年度は11月18日までは2件でありました。みるスポーツを重要視するのであれば、観客動員数は重要
視せざるを得ません。
今年の日本のプロ野球、セントラルリーグは広島カープが優勝しましたが、広島県民のカープ愛は、弱いとき
も強いときも変わらないほど県民がカープを応援し、支えてきたという報道を目にしましたが、大田区が区とし
て応援してこの関心度の低さはいささか寂しいものがありますし、この状況が続けば特段の支援の継続に疑問を
持つ声が出かねないと心配いたしております。
せっかく縁あって大田区で産声を上げたプロバスケットチームであります。ですから、大田区の今後の支援の
あり方も検討していただくように要望をさせていただき、私の一般質問を終了させていただきます。(拍手)
○大森議長 理事者の答弁を求めます。
○茂呂スポーツ・文化担当部長 私からは、「みるスポーツ」と「するスポーツ」のバランスについてのご質問
にお答えします。
現在、大田区総合体育館は、するスポーツとともに、みるスポーツも楽しめる都内有数の規模の体育館であり
ます。土曜、日曜は国際試合や全国大会が開催され、トップアスリートのプレーが間近で観戦することができ、
スポーツへの関心を高め、スポーツを始める動機付けになっております。土曜、日曜には、みるスポーツのほ
か、区民スポーツ大会など区の主催事業等を開催していることもあり、一般利用は少ない状況になっておりま
す。
みるスポーツとするスポーツのバランスの考え方については、大田区総合体育館の建設目的等を踏まえ、オリ
ンピック・パラリンピックにおける事前キャンプ等の誘致の今後の状況、総合体育館の利用勝手、需要の程度等
を調査研究し、区民感情に配慮しながら考え方をまとめてまいりたいと考えております。私からは以上でござい
ます。
○後藤こども家庭部長 私からは、計画的な子育て環境の整備についてお答えいたします。区では、平成27年度
から全ての小学生の放課後の安全・安心な居場所として、区立小学校施設を活用した「放課後ひろば」の整備を
進めております。これまで児童館などで実施しておりました学童保育は、放課後ひろば事業に移行していくこと
から、各施設の学童保育の募集につきましては年度ごとに決定してまいります。
お話しの千束こどもの家につきましては、近隣施設での学童保育の受け入れ体制が整ったことから施設を廃止
し、喫緊の課題である小規模保育所の3歳児以降の連携施設として活用していく予定でございます。
今後、「大田区公共施設適正配置方針」を踏まえ、児童館事業の再構築を進めてまいりますが、事業の見直し
に当たりましては、利用者への丁寧な説明に努めるとともに、廃止までの移行期間に十分配慮しながら進めてま
いります。私からは以上です。
○荒井都市基盤整備部長 私からは、不法投棄についてお答えします。まず、不法投棄が起こらないように予算
を使うべきとのご質問ですが、不法投棄の大半は一般の家庭ごみであるため、本来決められた集収場所に曜日ご
とにごみを出していただければ、不法投棄は少なくなるものと考えております。何度も不法投棄が繰り返し行わ
れる特定の場所については、これまでの警告看板やバリケードの設置、巡回パトロールの強化に加え、近隣住民
の了解のもとに、街路灯の照度アップなどごみの投棄がしにくい対策を行ってまいります。
続きまして、新たな対応への研究や検討も行っていくべきとのご質問についてお答えします。悪質な犯罪性の
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あるごみの投棄への対応としましては、関係部署や所轄警察と連携を図り対応してまいりたいと考えておりま
す。議員お話しの新たな取り組みにつきましても、対抗措置などを含めて研究してまいります。
○水井教育総務部長 私からは、放課後子ども教室と学童保育のサービスの違いについてのご質問にお答えいた
します。学童保育は、保護者が就労等により昼間家庭にいない児童に遊びと生活の場を与えて、その健全な育成
を図ることを目的としています。一方、放課後子ども教室は、区立小学校において放課後等に学校施設を活用
し、児童の安全・安心な居場所を確保するとともに、多様な体験・活動を通じ、児童の自主性や社会性を育み、
さらには児童が地域社会の中で健やかに成長できる環境づくりを推進するものです。放課後子ども教室は、保護
者の就労を前提としていないことから、ご家族一緒に朝食や昼食をとり、また暗くなる前に帰って家族の団らん
を大切にしていただきたいと考えております。休日についても同様でございます。このような考えにより、現在
の放課後子ども教室の開設時間等を設定させていただいているところでございます。
次に、放課後ひろば事業の今後の目指すべき姿についてでございますけれども、学童保育は、保護者が就労等
により昼間家庭にいない児童に遊びと生活の場を与えること、放課後子ども教室の目的は、保護者の就労を前提
とせず、安全・安心な居場所と健やかに成長できる環境をつくることと目的が違います。この違う目的の二つの
事業を提供していくことが子どもの成長にとって大切なことと考えておりますが、同じ場所で展開していること
も事実でございますので、共通して取り組めるものについては一体的に運用するなど運営面の工夫も考えてまい
りたいと存じます。私からは以上でございます。
○大森議長 次に、37番荒尾大介議員。
〔37番荒尾大介議員登壇〕(拍手)
○37番(荒尾大介議員) 日本共産党大田区議団の荒尾大介です。
まず、高齢者の尊厳と権利を守る介護施策について質問します。
区内の介護保険第1号被保険者数は今年6月末時点で16万3077人、前年同月の16万349人と比較して2728人増
加、うち75歳以上の被保険者数が2481人増加、介護サービス受給者数も6月末現在、施設サービス受給者が3100
人、居宅介護サービス受給者が2万1432人、地域密着型サービス受給者が4476人と、区内での高齢化による介護
保険サービス需要の増加がますます進行している実情が明らかになっています。今年に入ってから、地域密着型
サービスの事業所が大幅に増え、サービス受給者数も前年度比222%増と施設基盤の整備が進められています。
一方で、特別養護老人ホームの入所希望者数は9月現在で1275人、昨年度同月は1454人でした。待機者が減少
したのは、昨年の介護保険制度改悪で特養ホームの入居条件が原則要介護3以上へと狭められ、要介護1、2が
入所対象から外されたことにあります。参議院での付帯決議で「軽度の要介護者に対しては、個々の事情を勘案
し、必要に応じて特別養護老人ホームへの入所が認められるよう、適切な措置を講ずること」を政府に求めてい
ますが、特例入所を認めるかどうかは区市町村の判断に任され意見を述べるとされています。区は入所対象者の
具体的な状況把握に努めて意見表明をする必要があり、軽度の要介護者の入所についてしっかりと責任を負うこ
とが求められます。
そこでお尋ねします。要介護1と2の特養ホーム入所希望者に対して、申し込みを制限することなく、参議院
の付帯決議を守り、区の裁量を発揮して高齢者の命と健康を守るために状況把握を強化し、特養ホーム入所を認
めるよう実効性のある措置を講じることを求めます。お答えください。
介護保険法が施行された当初は、これまで家族介護に依存してきた日本の介護が、制度導入によって「介護の
社会化」が進むとされてきました。しかし、法の中には「介護の社会化」の目的条項はなく、実際の法制度でも
介護保険の給付水準が在宅のひとり暮らしの要介護者に24時間介護を保障するものとなっていないため、家族介
護が前提となっています。現在家族と同居している高齢者は特養ホームにはほぼ入所できません。しかし、家族
と同居していても、様々な事情によって特養ホームに入所を希望する人がいるという事実もあります。
93歳の義理の母をご夫婦で在宅介護している人は、特養に申し込んでも入所できず、再雇用を諦めて夫婦で介
護に専念、ショートステイ等を利用してもままならず、お泊りデイを利用中に骨折をしたとのことでした。この
お泊りデイ施設は夜間職員1人のみ、手すりもなく、段差があるなど、バリアフリー構造になっていなかったと
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いうことでした。施設側の対応が誠実さを欠き、矢のような催促で「お詫びと補償について」という文書がご夫
婦のもとに届けられましたが、この件で両者が弁護士を立てて現在係争をしています。ご夫婦は「特養に入って
いれば、義理の母も、バリアフリーで設備が整っていて、人員も確保された場所で介護を受けられて、自分たち
も安心して仕事ができただろう」と悔しい胸の内を語っています。
介護保険制度がスタートして16年、介護を取り巻く現状が困難さを増す中、高齢者本人とその家族を守る体制
をつくることがいよいよ急務となっています。ある方からも「今、高齢の母と2人で暮らしているが、自分は日
中仕事をして、母はヘルパーさんやデイサービスを利用している。母は常時介護が必要な状態だが、自分も仕事
をやめるわけにもいかないし、何とか特養ホームとか施設に入所できれば」と切実な訴えがありました。長引く
不況で雇用情勢が悪化している中、家族の介護力が低下をしていることは以前から指摘されています。核家族化
の進展から高齢者の夫婦のみ、単身世帯も増加しています。そのような中で、たび重なる介護サービスの切り捨
て、保険料の値上げが大きな負担となっており、高齢者の実情に見合った介護施策が今まさに求められていま
す。
今年に入り、馬込、萩中、大森西の3か所に小規模を含む特養ホームが開設されました。そのほか現在建設中
の矢口の小規模特養ホームと千鳥に建設計画がありますが、まだまだ施設整備が入所待機者数に追いついていま
せん。東京都が特養ホームの整備を進めるために公表している特別養護老人ホーム・促進係数で、大田区は2012
年度1.3、竣工施設の定員数を住民基本台帳による65歳以上の高齢者人口で除くことで算出される整備率は
1.05%、今年度の係数は1.5、整備率1.02%未満となっています。整備率はわずかに改善し、促進係数が増加し
たのは、ほかの区市町村でも施設整備が進められているためで、促進係数が23区の中で係数1.3と一番低い値の
足立、葛飾、1.4の千代田、中央と比較しても大田は整備が遅れており、急がなければいけません。
介護が必要な高齢者とその家族が安心して日々の生活が送られるよう、待機者数に見合った特養ホームの増設
を求めます。施設建設のために、西糀谷一丁目の気象庁職員宿舎跡地などの国有地の積極活用を区として取り組
むこと、以前実施されていた用地費補助の復活を区として東京都に求めることもあわせて要望します。お答えく
ださい。
次に、新しい介護予防・日常生活支援総合事業、新総合事業について質問をします。これまでの一般質問でも
新総合事業について質問をしましたが、今回も質問させていただきます。
今年の4月から大田区での新総合事業がスタートして8か月になりました。嶺町、田園調布でシニアステーシ
ョシ事業が試験的にスタートし、様々な問題を抱えながらも、現場の職員の皆さんが利用者の介護予防、健康増
進に奮闘しています。先日、共産党区議団は東嶺町のシニアステーションを視察しました。老人いこいの家のと
きに使用していた畳部屋は現在使われておらず、浴室もなくなり、2人しか入れないミストシャワー室になって
いました。シャワーについては操作盤が小さく、高齢者の方にとっては利用しづらいものでした。実際に私のと
ころにも、「シャワーが使いにくい。操作がわかりづらく、年寄り向きでない」との苦情が寄せられました。利
用者の中には、操作盤でなく説明書きの壁に張ってある張り紙を押している人がいたということです。
シニアステーションに通うには自分で歩いていかなければならず、元気な方でしたらまだしも、何割の高齢者
が通うことができるのでしょうか。新総合事業の狙いは「生活支援」と「介護予防」から要支援者の保険サービ
スを外すことです。これによって保険給付で行ってきた生活支援サービスと、区市町村の責任で行ってきた2次
介護予防事業を地域住民同士の助け合い、互助に置き換え、それが「自立意欲向上」、「高齢者の介護予防」に
つながるとしていますが、果たしてそうでしょうか。町会・自治会役員や民生委員が容易に確保できない地或も
あり、担い手が不足する中で「地域の助け合い」を進めることは、地域にさらなる負担を強いるものとなりま
す。
これまで要支援者の訪問、通所サービスは、ヘルパーや介護福祉士など専門職により提供されており、日常生
活を送る上での「命綱」となっています。専門職でないボランティアや地域住民に肩がわりできるものではあり
ません。これまでの有資格の専門職によるサービスを区はどう評価し、どう考えているのでしょうか。
私自身、介護の現場でヘルパーや介護福祉士の方々が専門性を発揮して、サービス利用者のADL(日常生活
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動作)を向上させ、日々の生活を豊かに発展させたというケースも見てきました。このようなことが、ボランテ
ィアの方々にできるのでしょうか。現場のケアマネジャーの方からも「ボランティアがサービスを担うことはリ
スクが高過ぎる」と警鐘が鳴らされています。新総合事業は、要支援者と事業対象者を対象とした「介護予防・
生活支援サービス事業」と全ての第1号被保険者を対象とした「一般介護予防事業」から構成され、「介護予
防・生活支援サービス事業」は訪問型、通所型、そのほかの生活支援の各サービスと介護予防ケアマネジメント
の各事業となっています。
訪問型は、現行相当の訪問介護(みなし事業)と、人員配置やサービス単価の基準を緩和する生活援助等のサ
ービスA、現在区が「絆サービス」として実施している住民主体のサービスB、短期集中予防のサービスC、移
動支援のサービスDの4種類があります。みなし事業は予防給付と同じ内容で基準単価も同等ですが、経過措置
であるために、2018年3月で終了します。これにかわるものとして、区独自の基準緩和サービスを検討中とのこ
とですが、ヘルパーや介護福祉士の資格を持たない人を大量に活用するもので、保険給付で実施されてきたサー
ビスを補完するものではなく、代替にもなりません。費用削減を狙い、サービスの質の低下を招く危険性のもの
であり、認めるわけにはいきません。
介護保険は、加入者である被保険者が保険料を払い、要介護認定を受けたときにサービスを受給するという仕
組みが制度の根幹になっています。その根幹が崩されようとしています。それは、制度そのものの崩壊を意味し
ます。新総合事業で要支援者の訪問通所サービスを基準緩和サービスに置き換えることはやめ、予防給付と同等
のサービスを2018年4月以降も継続することを求めます。お答えください。
今、国でサービス利用料3割負担や、保険料負担の拡大が検討されています。これ以上高齢者の負担が増えな
いよう、国に対し保険料引き上げや介護報酬削減、そのほかサービス削減をしないよう、区として国に要求する
ことを求めます。お答えください。
次に、区独自の給付型奨学金創設について質問します。
今月18日の夜、国会前で学生の皆さんが中心となって給付型奨学金を求める緊急アクションを起こしました。
今回の行動は首都圏の大学生を中心に結成された「Rights to Study(本物の奨学金のための学生
アクション)」が呼びかけ、200人もの学生が国会前に集結し、学生ローンではない本物の奨学金制度の実施と
学費値下げを求めました。
世界を見てみると、奨学金は給付型というのがトレンドとなっています。奨学金そもそもの定義は、学業成績
等が優秀な学生の就学促進が目的の返済義務のない給付型のことを指し、貸付型は奨学金でなく学生ローンで
す。その中には利息付きのものもあり、返済額が増えるものもあります。大学の授業料が無料で生活費を給付す
る奨学金があるのは、スウェーデン、フィンランド、ハンガリー、フランス、ポーランド、ドイツ、デンマーク
など、授業料が有料で給付型奨学金があるのは、アメリカ、カナダ、オランダ、ベルギー、スペイン、韓国など
で、日本は授業料有料、給付型奨学金なし、貸付型が主流という、学生にとって、過酷な状況だということが明
らかになっています。
また、大学教育支出の対GDP比を見ても、日本はOECD(経済開発協力機構)加盟国の中で公費支出割合
が最低で、他国と比較しても学費そのものが高いということがデータで示されています。大学を卒業した後、平
均約300万円の「借金」を背負って社会に出て、それが後々負担となり、返済に追われて生活に困窮する人が増
え、結果として自己破産の道を選ばざるを得なくなる。若い世代だけでなく、親世代も連帯保証人として負担を
背負うケースもあり、社会問題化しています。学生を応援するための奨学金が、結果として若者を苦しめるもの
になっているという現状を改善し、この矛盾を打破しなければ日本に未来はありません。
大田区でも「大田区奨学金貸付制度」、「末吉育英基金」という二つの奨学金制度を設けています。「大田区
奨学金貸付制度」はその名のとおり貸付型の奨学金で、高校、専門学校、大学に進学または在学している人が対
象、毎月の貸し付けと入学準備金が無利子で貸し付けられるものです。「末吉育英基金」は奨学金貸付制度を利
用している人を対象に、専門学校、大学に4月から入学する人に30万円を給付するものです。今年の第1回定例
会で菅谷郁恵議員の質問でも触れられましたが、この「末吉育英基金」は末吉氏の遺産7000万円の寄付により
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2014年10月から5年間の期限付きで開始されました。この基金はあと3年で終了予定となっていますが、これを
終わらせることは、これから進学を目指す子どもたち、若い世代の希望を摘んでしまうことになります。若者の
学びの大きな支えになっていることを区は重く受け止め、基金は継続すべきです。
政府は、これまで給付型奨学金創設に消極的姿勢を取り続けてきました。しかし、給付型奨学金を求める多く
の国民の声に押され、安倍首相も来年度予算編成で実現すると明言しました。東京都でも10月27日の総合教育会
議で、小池都知事が都独自の給付型奨学金創設に言及するなど、国、都レベルでの給付型奨学金創設をめぐる動
きが活発になっています。大田区もしっかりとこの流れをつかみ、給付型奨学金創設を検討するべきではないで
しょうか。
憲法第26条「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有
する」とあるように、教育は憲法に保障されている権利です。国や都の動向いかんにかかわらず、返す必要のな
い区独自の給付型奨学金を創設することと、末吉育英基金が終了しても末吉氏の遺志を酌んで区が継続すること
を求めます。また、入学金だけでなく授業料も給付対象にし、生活費も加えた、より充実した奨学金制度を実施
することを求めます。以上で質問を終わります。(拍手)
○大森議長 理事者の答弁を求めます。
○中原福祉部長 私からは、介護に関する質問につきまして、順次お答えいたします。
まず、特別養護老人ホームへの入所についてのご質問ですが、平成27年度の制度改正に伴い、特別養護老人ホ
ームの新規入所は、原則、要介護3以上の方が対象となりました。ただし、要介護1、2の方については、やむ
を得ない事情等により、特別養護老人ホーム以外での生活が著しく困難であると認められる場合は特例的に入所
が認められます。これは、特別養護老人ホームは、居宅での生活が困難な中重度の要介護者を支える施設として
の機能に重点化するべきとの考えに基づくものでございます。
一方、区では、従来から、特別養護老人ホームへの入所は優先入所制度によって行っております。この制度
は、要介護1、2の方を含め、申し込みをされた全ての方の入所の必要性について評価を行って、必要性の高い
方から優先的に入所していただく方式です。評価の方法は、要介護度のほか、介護者、住宅、身体、認知症の状
況等によってきめ細かく点数化し、その結果をもとに、まず区による第1次評価を実施いたします。次に、希望
する特別養護老人ホームごとに、地域の民生委員や専門職の参加による入所検討委員会を開催し、第2次評価を
実施し、入所の優先順位を決定しております。
したがいまして、現在区では、国における重点化の考え方に沿った上で、要介護1、2の方を含めて、申込者
一人ひとりの状況把握に努め、特別養護老人ホームへの入所の必要性を適正に評価し、決定する制度として実施
しております。
次に、特別養護老人ホームの整備についてのご質問ですが、自宅での生活が困難になった高齢者が、それぞれ
のニーズに応じた必要な介護サービスを受けられる特別養護老人ホームを整備することは、重要な課題と認識し
ております。区では、第6期介護保険事業計画におきまして、3施設195床の特別養護老人ホームを今年度開設
いたしました。現在矢口三丁目に30床の整備を進めており、さらに、千鳥二丁目においても84床の整備計画に着
手いたしました。この二つの施設は、民間事業者が国有地を活用した事例であり、区は事業者の支援を通じて施
設整備を進めております。現在、西糀谷一丁目をはじめとした国有地につきましては、国が社会福祉法人等を対
象とする取得等要望を募集しており、区は、国の処分の動向について引き続き注視してまいります。
東京都に対する要望につきましては、特別区長会として、用地取得の困難さを踏まえた補助制度と支援策につ
いて既に要望しております。今後とも在宅サービスと施設サービスのバランスを十分に勘案し、特別養護老人ホ
ームを含めた介護基盤の整備に取り組んでまいります。
続きまして、介護予防・日常生活支援総合事業の新たな基準のサービスについてのご質問でございます。介護
給付法施行規則附則第31条では、介護予防訪問介護・通所介護の指定事業者を総合事業の指定事業者とみなし、
有効期間は平成30年3月までと明確に規定しております。現在区は、新たな基準の訪問型・通所型サービスの詳
細についてサービス提供の関係者団体等と協議を重ね、平成30年4月以降についても指定事業者による専門性を
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有するサービスを提供できるように準備を進めております。区は、高齢者の総合相談窓口である地域包括支援セ
ンターによる最適なケアマネジメントにより、利用者にとってこれまで以上に真に必要なサービスを安心して受
けることができるよう適切に対処してまいります。
私からは最後でございますが、国が検討している介護保険制度改革についてのご質問でございます。現在、厚
生労働省の社会保障審議会介護保険部会において、3年に1度の介護保険制度の見直しに向け議論が行われてお
ります。審議の内容は、高齢化で介護費用が増大し続ける中、介護保険制度の持続可能性を高めていくために、
介護保険のサービス給付と負担のあり方が焦点になっております。見直しの内容といたしましては、利用者負担
については、サービスに対する利用者の負担割合や高額介護サービス費の上限金額などです。給付内容について
は、福祉用具住宅改修や軽度者への支援のあり方などです。また、保険料の費用負担につきましては、計算方法
の変更などが挙げられております。現在審議は詰めの段階に入っており、来年早々には法案が提出される見込み
のため、国の動向を注視しております。私からは以上でございます。
○西山福祉支援担当部長 私からは、給付型奨学金に関するご質問にお答えいたします。現在、区が実施してお
ります給付型奨学金制度は、故人となられた区民の方からの尊いご寄付と遺志をもとに創設したものです。本奨
学金は、入学金等の一時的な経費に充てるため、経済的事情のある優秀な学生に対する給付として大きな支援と
なるものと認識しております。
現在、国では給付型奨学金の創設に向けた検討が進められております。その議論の中では、意欲のある学生が
高等教育の受益に授かることは広く国民全体に社会的便益をもたらすものであり、奨学金制度を恒久的に実施す
る場合には、国民的な理解を得つつ、安定財源が必要であり、税制措置等も含めた財源確保策について検討する
必要があるとされております。実際の進学には、国が想定する給付型奨学金のみならず、家計の負担やアルバイ
トによる収入、各大学や民間団体等が行う奨学金などの支援制度を併用することにより、進学及び就学の費用を
用意することが必要となります。
区の奨学金貸付制度は、学生生活に必要となる様々な費用を支弁するものであり、他区と比較いたしましても
現在区の制度は充実した制度となっております。区といたしましては、限りある財源の中、より多くの学生への
支援を行うためには、現行の貸付型奨学金制度が適当であると考えております。私からは以上でございます。
○大森議長 次に、46番犬伏秀一議員。
〔46番犬伏秀一議員登壇〕(拍手)
○46番(犬伏秀一議員) 石原慎太郎元東京都知事、平沼赳夫元経済産業大臣らが結党した真正保守政党「旧た
ちあがれ日本」の理念を継承した「たちあがれ日本」の犬伏秀一でございます。
さて、区政については様々な課題がある中、特に長期の展望を見据えながら進めていくべきものに「まちづく
り」と「人づくり」があると考えております。いずれも1年、2年のスパンでは解決できないからであります。
単年度で完結する多くの事業に比較して、まちづくりと人づくりには、長い長い時間が必要とされるからであ
ります。まちづくりでは、12月に竣工する糀谷駅前地区再開発事業。私は地権者として、平成8年以来、まちづ
くり協議会、研究会、再開発準備組合、再開発組合とこの事業にかかわってまいりました。しかしながら、竣工
を待たずして、残念ながら、地元信用金庫への債務弁済のため権利を売却し、現在では関係がなくなってしまい
ました。しかしながら、20年の長きにわたり、ともに事業計画にかかわった再開発組合役員、関係者の皆さん、
大田区の職員の皆さん、さらには、竣工を夢見ながら鬼籍に入られた役員さんに敬意と感謝の念を捧げたいと思
います。
当初は引き続きまちづくりも質問する予定でしたが、時間の兼ね合いで第2の長期課題たる「人づくり」、す
なわち教育問題につき質問させていただきます。
国家百年の計、もしくは国家百年の大計という言葉があります。長期計画のことですが、実はそもそもの意味
は、「教育は国家百年の計」として使用されていたようであります。まさに100年後の日本のために、今、教育
を考えなければならないのであります。
そこで、教育についていくつかの視点から質問をしてまいります。
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我が国においても、18歳投票権が実施されました。国や生活する自治体の政治に若いうちからかかわること
は、主権者として極めて重要であり、2歳若返りは結構なことだと思います。反面、社会経験に乏しい18歳、19
歳の新有権者がAKB総選挙よろしく、人気投票のような投票行動になる懸念があります。また、一部反日左翼
思想にかぶれた教員のマインドコントロールも大変心配なのであります。
そこで、投票権18歳を受けて、大田区立小中学校においても主体的な主権者教育を行うべきであると考えま
す。現在、小中学校における主権者教育は、システムとしての三権分立を教えているだけではないでしょうか。
そして、社会科見学で国会議事堂に行き、「主権者教育」もどきを教えているのが実態のような気がするので
す。三権分立の中の政治をシステムとして教えるのではなく、主権者としてみずからの代弁者を選ぶ「選挙」の
重要性を教えるべきであります。
国のお金が足りない、社会保障費が伸び続ける、消費税が上がる、全て政治の責任に転嫁するような有権者、
主権者をつくり上げてはならないのであります。政治の愚策、失敗は、実は根源的には全て主権者たる国民、有
権者の責任であることを学ばせなければなりません。これには、教えるべき教員も考え直さなければならないの
であります。
例えば、この場にいらっしゃる理事者の皆さん、さらには公立学校の教職員、果たして「真に主権者」として
投票行動をしているでしょうか。ぜひ理事者の皆さんも自問自答していただきたいと思います。皆さんが投票し
た、区市議会議員、都道府県議会議員、衆参両院議員の名前を思い出してください。思い出せない方は論外であ
ります。大田区以外にお住まいの方は、お住まいの区市議会議員の定数を思い出してください。定員が何名か思
い出せない、それはだめです。そして、あなたが投票した各候補者が何を訴え、その結果、皆さんがなぜ投票し
たのか、さらには、当選したそれぞれの議員は各議会においてどんな活動をしているのか思い出してください。
これが主権者たる国民の「最低の義務」だと思います。人気投票や、美人、美男コンテストのような投票行動は
厳に慎まなければなりません。
そこで、大田区における主権者教育の現状と今後についてお伺いいたします。
「主権者教育」においては、教える側の教員の素養も極めて重要であります。一部思想に凝り固まったシーラ
カンスのような左翼教員による政治教育は絶対に排除しなければなりません。その上で、教員みずからが主権者
としての権利の行使、選挙に参加することはもちろん、マスコミ報道や、女性だから、盆踊りに来ていたなどの
理由で投票することのないよう、教育委員会として、教育委員会職員を含め、教育現場を指導すべきと考えるが
いかがでありましょうか。
教員には行き過ぎた偏向報道を見抜く目、すなわちメディアリテラシーを養うことを求め、児童・生徒に対し
ても、報道が必ずしも正しいとは言えない現状を学ばせるべきであると考えますが、いかがでしょうか。
次に、「中学校別評定割合」についてお伺いいたします。
これは都内全ての区市町村が、単独学級と中等学校を除く578中学校第3学年の各教科の2学期の5段階評価
の分布を各学校ごとに一覧にし、東京都に提出したものであります。東京都は学校名を開示しておりますが、大
田区は「要らぬ差別を生む」として開示せず、平成21年からは、東京都に対しても学校名をアルファベットにし
て報告しています。この評価割合は、当然のことながら、都立高校の入学試験内申点の基本となるものなので
す。
そこで、私は平成19年度以降、この学校別評定割合に学校名を付して公開し、学校間格差の是正を訴えてまい
りました。先日、久し振りに平成27年度の大田区中学校別評定割合を見て驚愕いたしました。学校間格差は平成
19年当時より拡大してしまったからであります。
例えば国語、5をとる生徒の割合が30.7%の区立中学校と、何と0%の中学校があるのです。数学では25.9%
の生徒が5をとる中学校がある反面、1.9%しか5をとれない区立中学校があるのです。主要3科目である英語
では、最高が27.8%の生徒が5をとる学校と、2.3%しかとれない学校がこの大田区にあるのです。国語科0%
の中学校は、社会科も0%、数学1.9%、理科5.6%、英語2.5%と主要5教科全てにおいて区内最低レベルの成
績でした。同じ大田区立の中学校において、10倍の格差があることが読んで取れるのです。
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平成19年からこの問題に警鐘を鳴らしてまいりましたが、当時より学校間格差を拡大している現実を目の当た
りにして、この間の学校間格差是正を教育委員会としてちゃんとやっていたのか甚だ疑問であります。学校間格
差是正につき、ここ8年間の取り組みをお示しください。
平成21年度までは各中学校名を公開していたため、上位校と下位校には、私見ではありますが、明らかに地域
間格差を見ることができました。学校の成績格差が生徒の居住地によるとすれば、その原因は何なのかを検証す
べきと考えます。8年前、大田区教育委員会は、学校名の公開は「言われなき差別」を助長すると答弁していま
したが、この5段階評定は、いやが応でも都立高校の入試に直結するのです。5が0%の中学校に在籍している
生徒は、都立上位校への進学は夢また夢であることは明らかであります。きれいごとを言っていないで、成績下
位校の原因を精査し、それが地域間格差、つまり保護者の所得格差であるとすれば、低所得者を保護者に持つ生
徒の成績向上を図るべきが公教育の責務であると改めて断じておきますが、どう考えますでしょうか。
区立中学校生徒の成績格差のベースは、実は小学校にあることは中学校教員の多くが認めるところでありま
す。小学校の国語、算数で落ちこぼれると、授業そのものに興味が湧かなくなり成績全体も落ち込んでしまいま
す。大学生が中学校の数学を解けない、漢字が書けない、正しい敬語が話せないなど、全て義務教育を担ったも
の、つまり我々基礎自治体の公教育の責任であると言っても過言ではないでしょう。
つまり、中学校の学校間格差を検証する場合には、その中学校区における小学校の成績分布まで確認する必要
があるのです。その意味では、中学校区における小中連携は極めて重要であり、低所得者を親に持つ小学校児童
を中心に基礎学力の向上を図るべきが、中学校における成績の偏在化を防ぐ第一歩と考えますが、いかがかであ
りましょうか。
厚生労働省の調査によれば、生活保護家庭の3割が3世代にわたり生活保護になるという結果が出ておりま
す。また、就労可能世代の生活保護者の就労が大変難しいことは、大田区のケースワーカー全てが感じているこ
とではないでしょうか。つまり、自立意欲の教育が重要であることを物語っています。3世代の負の連鎖を早い
うちに止めなければ、その児童・生徒の生涯を残念なものにしてしまうことになりかねません。祖父や親が様々
な原因で生活保護になった結果、その孫、子どもまでに生活保護が伝搬するとすれば、これは3世代の最終世代
で食い止めなければなりません。最後のセーフテイーネットとしての生活保護を否定するつもりはありません
が、自立すること、挑戦すること、諦めないこと、他人のせいにしないこと、言いわけをしないことなど、人生
の生き方、考え方を小学校のうちから忍耐強く教育することが、落ちこぼれをなくし、フリーターなどという言
葉をなくす原点であると思います。
このような「生き方教育」ができる教員が求められますが、受験戦争に勝ち残り、教員採用試験で高得点を取
っただけで「先生」になる現制度の中、どう「生き方教育」のできる教員のスキルを高めていくかお伺いをいた
します。
いじめでの自殺、不登校などが報道されるたびに、教育委員会や学校側の対応のひどさが報道されますが、懲
りずにまた別の自治体で「おわび」の映像が流れます。私は、一番の原因は「教育行政の責任者の不在」である
と考えています。区政の責任者は区長です。都政は都知事、警察は本部長。では、大田区教育委員会は。
実は、教育委員会は合議制の組織で、制度上の教育委員長や教育長は存在しますが、責任者ではありません。
わかりやすいのは、区立小中学校の卒業式のお祝いの言葉です。大田区からのお祝いの言葉の最後は、「大田区
長松原忠義 大田区教育委員会」と結ばれます。つまり、教育委員会は会としての責任しかとらない、言い換え
れば、大変失礼ながら、人としては誰も責任を取らない組織なのです。そんな制度の中、事務職の皆さんは「た
またま異動で教育行政」に数年間かかわる、指導課長以下指導主事の皆さんは、学校現場から教育行政に数年間
かかわるだけであります。数年たったら転勤、異動されてしまいます。それで終わりです。
しかし、その相手である児童・生徒は、区立小中学校が人生のスタートなのであります。80年、90年続く長い
人生の成否が、その基本が、大田区での公教育にあるのです。どうか教育を一時期の仕事ととらえず、人の人生
を生涯左右する極めて重要かつ崇高な使命であることを自覚して取り組んでいただきたいことを、強く強く強く
要望して、私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
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平成 28 年第4回定例会
第2日(11/30)
大田区議会会議録
速報版
○大森議長 理事者の答弁を求めます。
○水井教育総務部長 それでは、ご質問に順次お答えしてまいります。
まず初めに、現状の主権者教育と今後の取り組みについてでございますが、公職選挙法等の一部を改正する法
律により、選挙権年齢が18歳以上に引き下げられたことなどにより、子どものうちから主権者として選挙権を行
使することの意味や大切さなどについて教える主権者教育は、ますます重要となってきていると考えておりま
す。現在、小学校の社会科では、国民生活には地方公共団体や国の政治の働きが反映していることを学習してい
ます。中学校社会科では、民主政治の仕組みのあらましや政党の役割、選挙の意義などの学習を展開していま
す。各校の独自の取り組みとしては、区で作成している副読本を利用して、区民の願いが区政にどのように活か
されているかなど、日常の生活に関連した具体的な事例をもとに理解を深めています。
また、生徒会長の選出に当たっては、選挙管理委員会から実際に選挙に使われる投票箱や記載台を借り受け、
実際の選挙さながらに投票を行うことで、候補者となった生徒は代表としてどのようなことを考えるべきか、ま
た投票する生徒はどのような視点で代表を選んだらよいかを体験的に考える機会としている学校もあります。今
後もこうした学習を通して、主権者としての意識の向上に向けた教育を進めてまいります。
次に、主権者教育を行う教職員等の素養についてのご質問ですが、児童・生徒に主権者教育を行う教職員が、
まずは主権者として子どもたちに手本を示していくことは重要なことでございます。大田区教育委員会では、学
校における適切な主権者教育を実施する際の留意事項について具体的に提示するとともに、教員から構成される
社会科の教育研究会において、各単元の指導についての研究などを行っています。これらの研究の中で、教員や
教育委員会職員の理解も深まっていると感じております。今後も教員が適正な教育活動を行えるよう、校長会で
の講話や教員研修等の場も活用して教員の素養の向上を図ってまいります。
次に、教員や児童・生徒のメディアリテラシーを養うことについてのご質問ですが、高度情報化社会の中で、
情報を主体的に選択して活用していくこと、すなわちメディアリテラシーを養うことは、ますます重要になって
いると考えております。
現在、小学校第5学年社会科で、情報が国民生活に大きな影響を及ぼしていることや情報の有効な活用につい
て学習します。また、中学校の技術分野で情報モラルについて考える学習、社会科公民的分野で収集した情報を
多面的・多角的に考察し公正に判断する能力の育成と、民主政治の推進と公正な世論の形成や国民の政治参加と
の関連について考える学習を行っています。メディアリテラシーについても、教員は関連する科目の各単元の指
導案作成の中で理解を深めています。これらにより、引き続きメディアリテラシーの教育を推進してまいりま
す。
次に、中学校の学力向上についてのご質問ですが、基礎学力は進学や就職の選択肢を広げ、子どもの未来を開
く基本であります。そのことから、学力向上をおおた教育振興プラン2014の柱の一つに据え、重点的に施策を展
開し、確かな学力の定着に努力してまいりました。教育委員会では、平成24年度から全ての児童・生徒の学力の
向上を目的として、子ども一人ひとりに学習カルテを作成し、カウンセリングを実施しております。また、小学
校第3学年から中学校第3学年までを対象に、算数または数学及び中学校英語について、習熟度別少人数指導と
放課後及び土曜日の補習教室を平成19年度から開始しました。補習教室については、学力に課題のある子どもの
多い学校に指導時間を重点的に配分するなどの配慮を行って学力向上に積極的に取り組んでいるところでござい
ます。
文部科学省は、学力と世帯所得には相関関係があるとの研究結果を公表しており、学力低位層への指導を強化
することが生活困難層の世帯の子どもへの支援につながると考えております。また、関連する施策といたしまし
て、福祉部が生活困窮状態にある世帯の中学生を対象に行っている「子どもの学習支援事業」もございます。な
お、学力が定着しない原因として、一部には、保護者が家庭学習に無関心な場合や生活上の課題を抱えている場
合などもございます。今後は、学校での学習指導や生活指導をしっかりと行うとともに、課題を抱える家庭には
スクールソシャルワーカーを派遣するなど、子どもの生活全般に目を配った支援を強化することで学力向上に取
り組んでまいります。
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平成 28 年第4回定例会
第2日(11/30)
大田区議会会議録
速報版
次に、中学校の学力向上と小中連携についてのご質問ですが、本区では、平成23年度から小中一貫教育を進め
ております。今年度より、新たに大田区学習効果測定の結果分析に基づき、各中学校区の小中学校で共通の課題
を抽出し、「小中一貫重点観点」及び「重点指導事項」を設定して指導に取り組むことといたしました。今後
は、同一中学校区の小中学校が連携して学習上の課題を共有し、小学校においては着実な学力の定着の積み上げ
を目指し、また、中学校においては、学習の遅れを取り戻す支援を行うことで学力の向上に努めてまいります。
最後に、自立の意欲を忍耐強く教育できる教員の育成についてのご質問ですが、子どもの「生きる力」は学校
教育の目指すところであり、学校現場では子どもたちに様々な体験の機会を提供することなどを通じて、生きる
力の育成に努めているところです。子どもにとって教師は最大の教育環境とも言え、その教師がみずから「生き
る力」を身に付け、子どものお手本となることは大変重要なことであると考えております。教師の「生きる力」
は、みずから積極的に人とかかわり、困難な場面を乗り越える経験の中で身に付いていくものであると考えてお
りますが、ベテラン教員による日々の指導や研修を通じても、その育成に努めてまいります。以上でございま
す。
○大森議長 以上で質疑を終結いたします。
会議が長くなりましたので、おおむね20分程度休憩といたします。
午後5時19分休憩
午後5時35分開議
○大森議長 休憩前に引き続き会議を開きます。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
○大森議長 これより本日の日程に入ります。
日程第1を議題とします。
〔佐藤事務局長朗読〕
日程第1
第143号議案 大田区長等の給料等に関する条例の一部を改正する条例 ほか4件(委員会報告審査)
○大森議長 総務財政委員長の報告を求めます。
〔7番松原茂登樹議員登壇〕(拍手)
○7番(松原茂登樹議員) ただいま上程されました第143号議案 大田区長等の給料等に関する条例の一部を
改正する条例ほか4件につきまして、所管総務財政委員会における審査経過並びに結果のご報告を申し上げま
す。
初めに、主な質疑について申し上げます。
今回の給与条例の一部改正によって、大田区全体としてどの程度負担が増えるのか伺いたいとの質疑に対し、
人件費への影響については、職員1人当たりの平均年間給与は5万1000円増と見込んでおり、これをベースに職
員数を掛けると、全体で年間2億5000万円余の増額を見込んでいるとの答弁がなされました。
また、特別区人事委員会の勧告では「公民較差0.15%」との説明があったが、その勧告内容は、他の自治体の
勧告と比較してどのような内容だったのか伺いたいとの質疑に対し、昨年度は、政令指定都市20市のうち、大阪
市以外の19市が引き上げ勧告だった。今年度は、20市のうち、引き上げは10市、据え置きは熊本市を含めて8
市、引き下げが2市となっており、昨年度と比較すると自治体によって公民較差の状況にばらつきが生じている
との答弁がなされました。
また、東京都人事委員会の勧告は給料引き上げなしであるが、特別区人事委員会の勧告と違いが生じた理由に
ついて伺いたいとの質疑に対し、東京都と特別区で違いが生じた要因としては、東京都の民間給与実態調査には
多摩地域が含まれること、都区では職員の職級構成や年齢構成が若干異なること、区職員は住居手当の引き下げ
改定の経過措置期間中であることなどの影響が考えられるとの答弁がなされました。
また、特別給の支給引き上げ分は、民間の状況等を考慮し、勤勉手当に割り振るとの説明があったが、詳しく
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平成 28 年第4回定例会
第2日(11/30)
大田区議会会議録
速報版
伺いたいとの質疑に対し、民間では、業績の上昇を給与本体ではなく賞与に連動して引き上げる傾向が見られ
る。また、民間の賞与においては、社員の成績に連動して分配する比率が高いという支給状況等を踏まえて、職
員についても、職員の勤務成績に対応する勤勉手当に割り振るという考え方に基づいているとの答弁がなされま
した。
以上の後、討論を行いましたところ、第143号議案から第147号議案に至る5件の議案につきまして、反対・賛
成の態度がそれぞれ表明されました。
その際、反対の立場から、格差と貧困が拡大し区民の暮らしがよくなっていない中で、特別職などの給料・報
酬を引き上げることは区民目線から見て理解は得られず、反対する。
中小零細企業が密集している大田区の景況感は、東京都中心部の特別区と比べて決してよくない。増税、各種
保険料の値上げ、年金減額や受給年齢の先延ばしなど、区民の生活環境が厳しい状況であるにもかかわらず、公
務員の給料だけが昨年に引き続き上がることには納得できず、反対する。
民でできることは民でという思想のもと、監理団体のあり方から正していくなど、給与を上げる前にやるべき
ことがあると考え、反対するとの意見が述べられました。
一方、賛成の立場から、特別区人事委員会における精緻な調査と勧告に基づく条例改正と認められ、賛成す
る。今回の民間給与実態調査によれば、企業規模50人以上でかつ事業所規模50人以上の事業所というくくりでは
あるが、民間企業の給与が上昇している。今後は景気の好循環をさらに加速させ、今回調査対象となっていない
50人以下の民間企業へも確実に波及するよう大田区も努力することを要望する。
区民の暮らしをよくしていくためには賃金の引き上げが不可欠である。民間と公務員の対立ではなく、ともに
賃金を引き上げ、全体の底上げを行っていくことが必要であり、賛成する。大田区で働く非常勤職員についても
賃上げにつながるよう大田区の努力を求める。
今回の条例改正は、公民較差是正のため、特別区人事委員会勧告を経た適切なプロセスで実施されたものであ
り、賛成する。職員の成果主義の観点から、今回の改正により勤勉手当の比率が増えていくことは歓迎するとの
意見・要望が述べられました。
以上の後、採決を行いましたところ、第143号議案から第147号議案に至る5件の議案につきましては、賛成者
多数で原案どおり決定いたしました。
以上、所管総務財政委員会における審査経過並びに結果のご報告とさせていただきます。(拍手)
○大森議長 これより討論に入ります。
本案については、福井亮二議員、荻野 稔議員、奈須利江議員より通告がありますので、順次これを許しま
す。
まず、36番福井亮二議員。
〔36番福井亮二議員登壇〕(拍手)
○36番(福井亮二議員) 日本共産党大田区議団は、第145号議案 職員の給与に関する条例の一部を改正する
条例に賛成し、第143号議案 大田区長等の給料等に関する条例の一部を改正する条例、第144号議案 大田区監
査委員の給与等に関する条例の一部を改正する条例、第146号議案 大田区教育委員会教育長の給与等に関する
条例の一部を改正する条例、第147号議案 大田区議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の
一部を改正する条例に反対します。
以下、意見を述べます。
第145号議案についてですが、今回の引き上げは3年連続の引き上げとなりますが、それ以前は15年間連続の
引き下げが行われていました。質疑の中で、今回の引き上げを行っても、引き下げ分と比べて約7割しか回復し
ていないことがわかりました。アベノミクスが格差と貧困を一層拡大し、大田区の景況では、製造業、小売業と
もに、今期、来期は最低のGランクです。区民の納税者の平均で、2015年度411万6000円、給与所得は391万4000
円、ともに昨年と比べ微増となっています。しかし、消費税増税分には追いつかず、全体的には実質賃金はマイ
ナスの状況です。
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平成 28 年第4回定例会
第2日(11/30)
大田区議会会議録
速報版
公務員給与の引き上げによって全体の平均が引き上がります。区民の暮らしをよくしていくには賃金の引き上
げが不可欠です。民間と公務員の対立ではなく、ともに賃金を引き上げ、全体の底上げを行っていくことが必要
です。また、再任用職員には、職員に準じて改定が行われます。大田区で働く非常勤職員についても、賃上げに
つながるよう大田区が努力するよう求めます。
第143号議案、第144号議案、第146号議案、第147号議案について、この間、格差と貧困が拡大し、区民の暮ら
しはよくなっていません。このような中で特別職などの給料、報酬を引き上げることは、区民目線から見ても理
解は得られません。今後、区議会議員については議会のあり方、議員報酬、費用弁償など区民目線での議論を進
め、議会改革を求めていきます。以上です。(拍手)
○大森議長 次に、43番荻野 稔議員。
〔43番荻野 稔議員登壇〕(拍手)
○43番(荻野 稔議員) 東京維新の会大田は、ただいま上程されました第143号議案 大田区長等の給料に関
する条例の一部を改正する条例、第144号議案 大田区監査委員の給与等に関する条例の一部を改正する条例、
第145号議案 職員の給与に関する条例の一部を改正する条例、第146号議案 大田区教育委員会教育長の給与等
に関する条例の一部を改正する条例及び第147号議案 大田区議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関
する条例の一部を改正する条例、全ての議案に反対いたします。
続けて意見を述べます。
人事院勧告における民間給与の平均を算出するための対象となる事業所は、企業規模50人以上かつ事業所規模
50人以上の事業所と定めており、特別区域では、全体で約1万弱の事業所の中から抽出をした約1000事業所の実
態調査をしています。ここと公務員の皆様の基準との比較となります。
私としては、まず、この事業所規模が区内事業所の実態に合致しているのかと疑問があります。大企業も多く
含むことが予想される特別区内の事業所の実態が、区内の町工場など苦しい環境を強いられている中小企業の多
いこの大田区の事業所の実態に即していると言えるでしょうか。この基準が本当に区民の理解を得られるのか疑
問があります。区内事業所の実態をもっと考慮した改定とすべきです。
一方で、公務員の皆様の給与はここ数年、2013年まで数年に及び毎年減額が続いておりましたので、減額が続
く以前の水準と比べても、決して公務員の皆様が給与をもらい過ぎているとは言いがたく、区民の皆様のために
しっかりと職務を行っていただく以上、その責務に見合った待遇も必要です。待遇の行き過ぎたカットや人員削
減はかえってひずみを生み、結果的に区民サービスの低下にもつながりますので、減額ベースで考えればよいと
いう話でもないとも理解しております。
私が今回強く反対しているのは、この3年連続での増額改定です。今回で3年連続の増額改定となり、年額で
公務員の職員の皆様の平均年間給与は約5万1000円増、区長が約16万7000円、議長は約12万5000円、委員長は約
7万6000円、議員は約7万1000円増額となります。区民感情を考えても、なかなかご納得はいただくことは難し
いのではないかと思います。以上の理由から反対をいたします。
特別職についても見解を述べます。昨年も、総務財政委員会で大田区特別職報酬等審議会の答申をもとに、大
田区の特別職の報酬については、他区と比較しても区長は7位、教育長は15位、議員は8位と決して低いわけで
はなく、答申でも、各役職についてはおおむね均衡する水準と出されていることから上げる必要性は薄いと指摘
をさせていただきました。今年度の答申でも、昨年と23区内での順位はあまり変わらないとも聞いております。
今すぐに大田区の特別職の報酬・給与を上げる必要性はあるのかと疑問があります。
そもそも議員等特別職の報酬をその性質上、区職員の皆様と同様に議論すべきなのかも意見が分かれるところ
だと思いますが、今回のように、毎年のように給与・報酬が増額していくことには反対をせざるを得ません。
今年の夏に就任した小池百合子都知事は、早速、知事給与の半減を提案、実行。都議会でも、給与の削減につ
いて議論となり、与党会派の方より報酬2割減が提案されるとの報道も出ました。都議会と区議会では範囲も待
遇も違うため同列に議論するべきではないというご意見もあると思います。政策を実行し、区民生活向上に資す
ることで待遇の分、還元していけばいいとのご意見もあると思いますが、区民の皆様からご納得いただけるよう
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平成 28 年第4回定例会
第2日(11/30)
大田区議会会議録
速報版
に、削れる部分、無駄と思われる支出についてはしっかりと削るとともに、情報公開を行い、透明性を確保しな
ければなりません。
今後も区民ファーストの大田区議会であるよう、東京維新の会大田としても、議会、職員の皆様とともに区民
生活向上のために議論を重ねていきたいと最後に表明をさせていただき、反対の討論とさせていただきます。
(拍手)
○大森議長 次に、47番奈須利江議員。
〔47番奈須利江議員登壇〕(拍手)
○47番(奈須利江議員) フェアな民主主義、奈須利江です。
第143号議案 大田区長等の給料等に関する条例の一部を改正する条例、第144号議案 大田区監査委員の給与
等に関する条例の一部を改正する条例、第146号議案 大田区教育委員会教育長の給与等に関する条例の一部を
改正する条例、第147号議案 大田区議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正す
る条例に反対、第145号議案 職員の給与に関する条例の一部を改正する条例につきまして、賛成の立場から討
論いたします。
これらは、大田区長、区議会議員などと大田区職員の報酬、給与を昨年に引き続き3年連続、公民較差分引き
上げるための議案です。大田区職員の給与を上げると聞けば、そしてまた、区長、区議会議員などの給与や報酬
を上げると聞けば、多くの区民はあまりいい気持ちがしないのではないでしょうか。
今回の給与引き上げの根拠としている平成28年度特別区人事委員会が出した「職員の給与に関する報告及び勧
告」には、給与勧告制度は公務員の労働基本権制約の代償措置として、社会一般の情勢に適応した適正な給与を
確保する機能を有するものであると書かれています。職員の給与水準を民間の給与水準と均衡される、それなの
にどうして多くの区民が、職員の給与を引き上げる、区長や議員などの給与を引き上げると聞いたらいい気持ち
がしないのでしょうか。
特別区人事委員会は、人事院、東京都人事委員会などと共同して、「職種別特別区内の給与実態調査」を行っ
ています。この対象事業所は、特別区内の企業規模50人以上かつ事業所規模50人以上の9477事業所から、層化無
作為抽出法によって抽出した1081事業所を対象に行っていて、実地調査を行った757事業所、4452人の結果に基
づいて、公民較差584円、0.51%を解消するための給与引き上げ案です。(「0.1だよ」と呼ぶ者あり)0.1、済
みません。
一つは、この対象事業所が企業規模50人以上かつ事業所規模50人規模という、規模が大きい企業になっている
ところにあります。大企業と中小企業との給与格差は歴然としています。大田区のものづくりは、この中小企業
が支えていますから、大田区民の実態とはほど遠いところで、大田区の職員や区長、区議会議員など特別職の報
酬などが議論されていることになります。これでは区民の理解を得ることはできないでしょう。
しかし、それだけではありません。労働者に占めるパート、アルバイト、派遣社員、契約社員、嘱託など、非
正規雇用の割合が高くなってきているのです。平成27年の非正規雇用の割合は37.5%、約4割が非正規です。こ
の間、一貫してこの割合が増えてきています。非正規雇用の平均賃金は、正規雇用の労働者に比べ3割から4割
程度低くなっていますが、人事委員会は、労働者の62.5%を占める正規雇用の労働者の中でも規模の大きな事業
所の給与と均衡させているのです。ですから、規模の小さな事業所の労働者や非正規雇用の労働者から見れば、
公務員や区長や議員は優遇されているという気持ちになるのも当然です。
しかも、以前であれば、非正規雇用と言えば、学生のアルバイトや夫が、働いていて妻が空いている時間に働
いていくなど、みずから望んで時間を有効活用して働くイメージでしたが、非正規雇用の労働者は規制緩和によ
り、そのまま一生正規雇用になれない人をつくることが合法になってしまいました。社会のほとんどの人が正規
雇用だった時代から大きく雇用形態が変わってきているのに、いまだに非正規雇用を除いた一部の正規雇用の中
の規模の大きな事業所で働く人の給与を基準に、均衡とはほど遠いことが行われているのです。区民がいい気持
ちがしないのは当然です。
昨年に引き続き、こうした視点から、対象事業所の基準についての問題意識を議案質疑しましたが、地方公務
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員法第14条(情勢適応の原則)「給与、勤務時間その他の勤務条件が社会一般の情勢に適応するように、随時、
適当な措置を講じなければならない」と、第24条「職員の給与は、生計費並びに国及び他の地方公共団体の職員
並びに民間事業の従事者の給与その他の事情を考慮して定められなければならない」という法文に基づいた表面
的な答弁で、問題意識は少しもありませんでした。
しかし、今後規制緩和で外国人労働者が増えれば派遣社員として受け入れが増える、自民党の税制大綱の外形
標準課税が導入されれば日本の雇用の6割から7割を支える中小企業の従業者の派遣が進むなど、派遣社員とい
う正規雇用が増える可能性が大きくなってきています。日本の労働環境が大きく変わろうとしているのです。そ
うなると、民間給与実態調査の結果も今後大きく減ってくることが予想できます。
私は、労働者のあるべき権利の形として、職員給与を引き上げるべきであると考えています。しかし、こうし
た背景を知った上で、外国人労働者受け入れや外形標準課税の導入という国の施策に声を上げるべきです。一般
職の報酬を引き上げ、特に区長、副区長、教育長、議長、副議長、委員長、議員は、政策立案にかかわり意思決
定の権限を持つ立場にあります。一般職の法人住民税国税化に強い反対を表明できるのですから、できるはずで
す。労働環境の悪化がすぐそこまで来ていながら、それを阻止するどころか、加速させようとしている立場にあ
る、改善しようと動けていないものが報酬引き上げに甘んじてよいのでしょうか。区長をはじめ、特別職の引き
上げは許されません。
月額で見ればわずかに見える引き上げですが、年収で比較すれば、区長16万7022円、副区長13万7819円、教育
長11万8947円、議長12万5694円、副議長10万8758円、委員長7万6676円、副委員長7万3544円、議員7万1340円
にもなります。この間、企業は人件費を減らし、株主配当を増やしてきました。また、公共分野を民営化するこ
とで新たな参入分野を広げ、官民の賃金較差を利益に変えてきました。結果として、一部の人たちを除き多くの
私たちの賃金は大きく減ってきています。そうした意味では、職員給与を民間に合わせるのではなく、法の趣旨
を踏まえれば、公共分野の民営化で民間給与を下げることを許していないと解釈すべきです。官民問わず、私た
ちの給与はどうあるべきか、労働分配をどう改善すべきかという視点に立ち、公共分野の民営化や民間委託を見
直し、労働者のあるべき姿となるよう主張し、職員給与条例に賛成、それ以外の特別職報酬等に反対の討論とい
たします。(拍手)
○大森議長 以上をもって討論を終結いたします。
これより採決に入ります。
まず、本案中、第143号議案 大田区長等の給料等に関する条例の一部を改正する条例、第144号議案 大田区
監査委員の給与等に関する条例の一部を改正する条例、第146号議案 大田区教育委員会教育長の給与等に関す
る条例の一部を改正する条例及び第147号議案 大田区議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条
例の一部を改正する条例の4件を一括して起立により採決いたします。
本案に対する委員長の報告はいずれも原案可決であります。本案は委員長報告のとおり決定することに賛成の
方はご起立願います。
〔賛成者起立〕
○大森議長 起立多数であります。よって本案はいずれも委員長報告のとおり決定いたしました。
次に、第145号議案 職員の給与に関する条例の一部を改正する条例を起立により採決いたします。
本案に対する委員長の報告は原案可決であります。本案は委員長報告のとおり決定することに賛成の方はご起
立願います。
〔賛成者起立〕
○大森議長 起立多数であります。よって本案は委員長報告のとおり決定いたしました。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
○大森議長 日程第2を議題とします。
〔佐藤事務局長朗読〕
日程第2
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平成 28 年第4回定例会
第2日(11/30)
大田区議会会議録
速報版
第121号議案 平成28年度大田区一般会計補正予算(第3次) ほか12件
○大森議長 理事者の説明を求めます。
○遠藤副区長 ただいま上程されました各議案についてご説明申し上げます。
第121号議案は、平成28年度大田区一般会計補正予算(第3次)で、今回の補正は、歳入歳出予算の総額に歳
入歳出それぞれ2億5787万8000円を増額し、補正後の歳入歳出予算の総額は、それぞれ2613億3222万5000円とな
ります。歳入で増額する内容は、国庫支出金、繰入金でございます。歳出で増額する内容は、総務費、福祉費で
ございます。このほか、債務負担行為の補正として、追加2件をお願いしております。
第122号議案は、大田区行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する条例の一部を改
正する条例で、個人番号を利用する事務及び当該事務において利用する特定個人情報を加えるため改正するもの
でございます。
第123号議案は、職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例で、雇用保険法の改正に伴い、高年齢求
職者給付金の支給対象者の範囲を改めるほか、規定を整備するため改正するものでございます。
第124号議案は、大田区議会議員及び大田区長の選挙における選挙運動の公費負担に関する条例の一部を改正
する条例で、公職選挙法施行令の改正に伴い、大田区議会議員及び大田区長の選挙における選挙運動用自動車の
使用に係る公費負担の限度額等を改定するため改正するものでございます。
第129号議案は、町区域の変更についてで、本区に編入された大田区東海六丁目3番及び城南島六丁目1番の
地先公有水面埋立地を東海六丁目の町区域に編入するため、地方自治法第260条第1項の規定に基づき提出する
ものでございます。
第130号議案は、蒲田駅西口駅前広場整備工事その2請負契約についてで、契約の相手方は佐々木・醍醐建設
工事共同企業体、契約金額は3億9204万円でございます。
報告第28号は、民事訴訟の提起に係る専決処分の報告についてで、建物明渡し等を求める訴えの提起について
報告するものでございます。
報告第29号は、訴え提起前の和解に係る専決処分の報告についてで、使用料等の支払いを求める訴え提起前の
和解について報告するものでございます。
報告第30号は、区の義務に属する損害賠償額決定に係る専決処分の報告についてで、ごみ収集作業車による物
損事故ほか1件について報告するものでございます。
報告第31号は、大田区立東六郷小学校校舎改築電気設備工事請負契約の専決処分の報告についてで、契約金額
を当初の2億628万円から2億665万8000円に変更いたしました。
報告第32号は、大田区立志茂田小学校及び大田区立志茂田中学校ほか2施設改築その他機械設備工事(Ⅰ期)
請負契約の専決処分の報告についてで、契約金額を当初の6億3612万円から6億3731万8800円に変更いたしまし
た。
報告第33号は、大田区立東六郷小学校校舎改築機械設備工事請負契約の専決処分の報告についてで、契約金額
を当初の3億4560万円から3億4539万4800円に変更いたしました。
報告第34号は、大田区民ホール音響設備改修工事請負契約の専決処分の報告についてで、契約金額を当初の2
億8080万円から2億8067万400円に変更いたしました。
以上、よろしくご審議の上、ご決定賜りますようお願い申し上げます。
○大森議長 これより質疑に入ります。
本案については、奈須利江議員より通告がありますので、これを許します。
〔47番奈須利江議員登壇〕
○47番(奈須利江議員) フェアな民主主義、奈須利江です。
第121号議案 平成28年度大田区一般会計補正予算(第3次)について質疑いたします。
今回の補正予算には、平和島ユースセンター整備に係る基本設計・実施設計費用約8500万円のうちの今年度分
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平成 28 年第4回定例会
第2日(11/30)
大田区議会会議録
速報版
2550万円と、平成29年度債務負担分5967万4000円が計上されています。平和島ユースセンターについては、今年
の4月に基本調査結果概要について報告されています。今回の設計は、この結果に基づき行われると聞いていま
す。この基本調査は、建設可能な面積を確認した上で設置し得る機能や、基本コンセプトに沿った施設整備の方
向性を検討するものです。調査の結果、30年以上の建物の長寿命化が可能であるという結果が出ているという報
告があります。また、建築可能面積が公園敷地面積7万4000平米余の2%で、増築可能面積は265平米余です
が、さらに建築面積の増が可能であるか検討していきたいとしています。
しかし、そのままでは一体どの程度の大きさの建物をいくらくらいで建設するのかがわかりません。しかも、
畳大部屋をホテル形式の部屋にして多様なニーズに対応する、国内外のアスリートも利用可能な宿泊型スポーツ
施設とする、産業振興や観光にも活用できる施設とするといった様々なコンセプトが記され、そうした施設にす
るという方向性で考えていくとして、オリンピック・パラリンピックの1年前には竣工できる、開設できるとい
う予定で動いていくと報告しています。
そこで2点について伺います。
第1点目、平和島ユースセンターの総額改修費は一体いくらぐらいという予算を想定して設計発注するかお示
しください。示すことができないなら、その理由は何でしょうか。
第2点目、施設改修は2020年のオリンピックを大きく意識していますが、改修で30年以上の長寿命化が可能と
しています。オリンピック終了後の活用方針はどこに示されているのでしょうか。
また、補正予算には、特養たまがわの空調、給湯等一括更新工事設計費用の減額補正1790万円が計上されてい
ます。大田区は特別養護老人ホームの民営化を検討し、既に先行実施として特養羽田、特養池上、特養大森の民
営化を行いました。先行実施とあるようにこれで終わったわけではなく、今後、莫大な費用をかけ、空調、給湯
設備の更新をする区立特養たまがわ含め、残りの区立特養についても民営化が行われる可能性があります。例え
ば区立特養たまがわを今回の工事直後に民営化するのか、それとも老朽化したまま民営化するのかでは、民営化
における譲渡資産についての条件が変わってきます。条件によって有利な民営化とそうでもない民営化が存在し
たり、区民の財産や税金が民間事業者へ利益供与な形で譲渡されたり、使われたりする可能性もあります。これ
は現在行われている区立保育園民営化の際にも同様の問題が起こり得ます。
そこで伺います。こうした民営化を視野に入れている施設の整備、更新、譲渡の考え方について、方針が整理
されていますか。整理されていないなら、その理由についてお示しください。
第130号議案 蒲田駅西口駅前広場整備工事その2請負契約について質疑します。
この入札契約は、入札のたびに事業者が辞退し、3社から2社、そして最終的には1社で競争なく決まってい
ます。
そこで伺います。事業者の辞退により結果として競争性のない入札になりましたが、こうした入札における辞
退について大田区はどう考えますか。また、防止策などについて考えていますか。
一方、この契約は、蒲田周辺再編プロジェクトに位置付けられていますが、計画は長期間にわたり、この事業
は初動期整備と位置付けられています。10年から20年後の中長期計画と照らし合わせ、整合性のとれた無駄のな
い計画に基づいた計画になっているのかどうかお答えください。
報告第30号から報告第34号について質疑いたします。
これまでも専決処分の問題については繰り返し質疑させていただいています。地方自治法は議会の権限に属す
る軽易な事項で、その議決により特に指定したものは、普通地方公共団体の長においてこれを専決処分にするこ
とができるとしています。大田区議会は、この法に基づき、大田区議会の議決に付すべき契約、財産又は公の施
設に関する条例を制定し、その第4条において区長の専決処分の項を設けています。この条例により、予定価格
1億5000万円以上の工事、または製造の請負契約を締結した場合には、区長が必要と認めれば5%以内の契約金
額の増額または減額を認めています。この第180条に基づく専決処分は、条例において既に議会の承認を得てい
るという解釈であるため、議会への報告はしなければなりませんが、議会において承認を得る必要がありませ
ん。それでは、契約変更にかかわる専決処分は5%以内の増減額であれば何をしても構わないのでしょうか。
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平成 28 年第4回定例会
第2日(11/30)
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平成23年の第4回定例会において、この専決処分への質疑に対し、当時の副区長は、議員のご指摘のように、
乱用の戒めということにつきましては、こうした規定が置かれたことを十分に認識して対応していかなければい
けないと思っているところでございますという答弁をいただいています。
報告第30号から報告第34号のうちの報告第31号、大田区立東六郷小学校校舎改築電気設備工事請負契約、報告
第32号、大田区立志茂田小学校及び大田区立志茂田中学校ほか2施設改築その他機械設備工事(Ⅰ期)請負契
約、報告第33号、大田区立東六郷小学校校舎改築機械設備工事請負契約、報告第34号、大田区民ホール音響設備
改修工事請負契約の4件の専決処分の報告は、第180条の専決処分です。報告第31号は校内LANの設置に37万
8000円、報告第32号は配膳室に空調機の設置119万8800円、報告第33号は給排水等配管経路変更でマイナス20万
5200円、報告第34号は必要な性能が満たされる他機種に変更したことによるマイナス12万9600円の専決処分が行
われています。
そこで伺います。今回の報告第31号から報告第34号の専決処分は、現場、事業所管課、工事所管課、どこから
の申し出により行われたものでしょうか。また、事前の設計の努力で対応できるものだったのでしょうか。努力
の余地はなかったのでしょうか。大田区の言う乱用の戒めという視点から、これらの専決処分について、今後の
対処も含め、大田区の姿勢をお示しください。
報告第30号 区の義務に属する損害賠償額決定に係る専決処分の報告について質疑します。
この専決処分の報告は、落雷による外壁の剥離で、駐車していた車両への損害賠償金41万3555円です。この事
故にかかわる大田区の今後の防止策についてお答えください。特に外壁は落雷だけで剥離するものか、だとすれ
ば落雷で剥離しない防止策はあるのか。そもそも外壁が老朽化していたところに落雷の衝撃で車両を破損させた
のではないかという点からもお答えください。以上です。
○大森議長 理事者の答弁を求めます。
○遠藤副区長 奈須議員から第121議案について、発言通告書により事前に通告されております3点について、
まずお答えをいたします。
まず、1点目の「平和島ユースセンターの総額改修費をいくらと想定して設計発注するのか」につきまして
は、「平和島ユースセンターの整備・活用に関する基本構想・基本計画(案)」において、施設の機能・規模を
確認し、本計画(案)に基づき、設計費用として対応したものでございます。
2点目の「オリンピック終了後の活用方針はどこに示されているか」につきましては、「基本構想・基本計画
(案)の概要」を11月15日の地域産業委員会で報告いたしましてホームページにも掲載しております。その中
で、「基本理念」としてお示しをしているところでございます。
3点目の「民営化を視野に入れている施設の整備・更新・譲渡の考え方についての方針が整理されているか、
整理されていないならその理由」についての質問でございます。民営化の導入の検討に当たりましては、「大田
区アウトソーシング指針」に基づき、「事業の必要性」、「実施主体の妥当性」、「民間によるサービスの供給
量」などを検証することとしております。議員お話しの特別養護老人ホームにつきましては、「大田区立特別養
護老人ホーム等民営化基本方針」において、区立保育園につきましては、「区立保育園民営化計画」の中で、民
営化の方針について整理しております。なお、民営化を検討すべきとされた施設における整備・更新・譲渡など
の考え方につきましては、施設によって特性や状況が異なり、画一的な対応が困難なことから、所管部と企画経
営部をはじめとした関係部局が協議の上、個々に整理を行っております。
次に、第130号議案について、発言通告書により事前に通告されております2点についてお答えいたします。
まず、1点目の「入札における辞退についての区の考え、防止策」につきましては、国の「公共工事の入札及
び契約の適正化を図るための措置に関する指針」におきまして、入札契約手続きにおける発注者・受注者間の対
等性の確保に関して、発注者は、入札辞退の自由の確保等受注者との対等な関係の確立に努めることとなってご
ざいます。区はこの指針に基づきまして、大田区競争入札取扱要領で同様に対応しているものでございます。今
後も国の指針に沿いまして、適正に入札契約手続きを実施してまいります。
また、防止策につきましては、公共工事の円滑な施工確保の観点から、予定価格の適切な設定及び施工時期の
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平成 28 年第4回定例会
第2日(11/30)
大田区議会会議録
速報版
平準化等に引き続き取り組んでまいります。
2点目の「今回の工事の整合性に関する質問」でございますけれども、今回の工事は、蒲田駅周辺再編プロジ
ェクトの初動期整備に位置付けられておりまして、蒲田駅西口広場の南側円形段差の撤去や広場北側歩道の植栽
を再配置するなど、歩行者環境の改善と活用しやすいオープンスペースを整備するものです。その後の中長期整
備では、新空港線整備、駅ビル建て替えなどと連携し、課題としている交通広場機能の向上を目指した整備を進
めることとしてございます。今回の初動期整備工事の終了後は、蒲由駅周辺再編プロジェクトにある考え方に基
づき、効果的かつ計画的に進めてまいります。
次に、報告第31号から報告第34号について、発言通告書により事前に通告されております3点についてお答え
いたします。
まず、1点目の「現場、事業所管課、工事所管課どこからの申し出により行われたものか」についてでござい
ますが、報告第31号、報告第32号につきましては、事業の所管課、報告第33号、報告第34号につきましては現場
の工事施工者からの申し出によるものです。
2点目の「事前の設計の努力で対応できるものだったのか、努力の余地はなかったのか」につきましては、報
告第31号につきましては、区立小中学校においてICT活用を推進するために、平成27年度に「大田区ICT活
用推進の当面の方針」を策定いたしました。この方針は、東六郷小学校改築のためだけのものではなく、区立小
中学校全体のICT環境を整備するための方針でございます。東六郷小学校改築工事においては、設計変更によ
り、校内LAN環境を低コストで実現可能なことから、設計終了後の配管設置工事となったものでございます。
報告第32号につきましては、国の「大量調理施設の衛生管理マニュアル」及び区の「学校給食施設標準仕様
書」の改正を踏まえ、調理後の食品の衛生状態をより徹底するため、設計終了後の空調機設置工事となったもの
でございます。
報告第33号については、工事着手後、設計図に基づいて施工図を作成いたしました。その際、ミリ単位での配
管経路等の見直しを行い、より経済的な施工を実施したものでございます。
報告第34号につきましては、工事着手後に工事施工者に義務付けられております音響測定の結果を踏まえ、必
要な性能が満たせる他機種への変更を行ったものでございます。
いずれも、設計段階では対応が困難な状況の変化によるものであり、事前の設計の努力で対応が可能であるも
のは、今後も当初の設計に反映してまいります。
3点目の「大田区の言う乱用の戒めという視点から、これらの専決処分について今後の対処も含めた大田区の
姿勢」についてのご質問ですが、専決処分に当たりましては、当初議決をいただいた契約目的を損なうことな
く、必要やむを得ない理由による場合に行われるべきものであると考えております。今回の4件の専決処分につ
きましては、地方自治法第180条に基づく委任の範囲内で、長の権限と責任において、その必要性を判断して行
ったものでございます。今後につきましても、専決処分の規定が置かれた趣旨を十分に認識して適正に対応して
まいります。
次に、報告第30号について、発言通告書により事前に通告されております3点についてお答えいたします。
まず、1点目の「落雷だけで外壁が剥離するものか」につきましては、事故当日の天候は落雷や強風といった
悪天候でございました。現場の状況から、外壁部材の落下原因は落雷によるものと推定してございます。
2点目の「落雷で剥離しない防止策はあるか」につきましては、コンクリート内の鉄筋を通じて地面に電気を
逃がすためのアースが設置されておりますが、どの建物でも落雷による物理的衝撃での剥離の可能性はあるもの
でございます。
3点目の「外壁が老朽化していたところに落雷の衝撃で外壁が剥離して車両を損傷させたのではないか」とい
うご質問でございますが、該当する校舎全体の外壁を調査しましたが、老朽化によるモルタルの浮きは確認され
てございません。なお、剥離した外壁部分につきましては、既に補修対応済みでございます。以上でございま
す。
○大森議長 以上をもって質疑を終結いたします。
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平成 28 年第4回定例会
第2日(11/30)
大田区議会会議録
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本案については、報告第28号から報告第34号に至る7件を除き、いずれも所管総務財政委員会に付託します。
なお、本案中第123号議案 職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例につきましては、地方公務員
法第5条第2項の規定に基づき、あらかじめ特別区人事委員会の意見を聞いておきました。皆様のお手元に配付
してあります写しのとおりですので、ご報告いたします。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
○大森議長 日程第3を議題とします。
〔佐藤事務局長朗読〕
日程第3
第125号議案 大田区廃棄物の減量及び適正処理に関する条例の一部を改正する条例 ほか6件
○大森議長 理事者の説明を求めます。
○遠藤副区長 ただいま上程されました議案についてご説明申し上げます。
第125号議案は、大田区廃棄物の減量及び適正処理に関する条例の一部を改正する条例で、廃棄物処理手数料
及び動物死体処理手数料を改定するため改正するものでございます。
第131号議案は、大田区区民活動支援施設大森の指定管理者の指定についてで、大田区区民活動支援施設大森
について、平成29年4月1日から平成32年3月31日まで、特定非営利活動法人大森コラボレーションを指定管理
者に指定するものでございます。
第132号議案は、大田区立洗足区民センターの指定管理者の指定についてで、大田区立洗足区民センターにつ
いて、平成29年4月1日から平成34年3月31日まで、アクティオ株式会社を指定管理者に指定するものでござい
ます。
第133号議案は、大田区総合体育館の指定管理者の指定についてで、大田区総合体育館について、平成29年4
月1日から平成32年3月31日まで、住友不動産エスフォルタ・NTTファシリティーズグループを指定管理者に
指定するものでございます。
第134号議案は、大田区産業プラザの指定管理者の指定についてで、大田区産業プラザについて、平成29年4
月1日から平成34年3月31日まで、公益財団法人大田区産業振興協会を指定管理者に指定するものでございま
す。
第135号議案は、大田区大森南四丁目工場アパートの指定管理者の指定についてで、大田区大森南四丁目工場
アパートについて、平成29年4月1日から平成34年3月31日まで、野村不動産パートナーズ株式会社を指定管理
者に指定するものでございます。
第136号議案は、国際都市おおた宣言で、国際都市おおた宣言を制定するに当たり、地方自治法第96条第2項
の規定により議会の議決すべき事件を定める条例第2条第2号の規定に基づき提出するものでございます。
以上、よろしくご審議の上、ご決定賜りますようお願い申し上げます。
○大森議長 これより質疑に入ります。
本案については、奈須利江議員より通告がありますので、これを許します。
〔47番奈須利江議員登壇〕
○47番(奈須利江議員) フェアな民主主義、奈須利江です。
第125号議案 大田区廃棄物の減量及び適正処理に関する条例の一部を改正する条例について質疑します。
今回改定されるのは、シールを張って出す「事業系ごみ」と「合わせ産廃」、「大量に出す家庭ごみ」、「動
物の死体処理」についての料金の改定のための条例です。これら事業系一般廃棄物は、許可事業者に対し複数区
の混載を認めています。各区単価の異なる収集運搬費用を23区共同で手数料算出する23区の努力が反映されない
仕組みであると前回の改定時に質疑したところ、各区が厳しい財政状況のもとで効率的な事業の展開に取り組ん
でいて、トータルとして手数料に反映されているものと考えていると答弁しています。
そこで伺います。その結果が今回の値上げですが、各区はどのように努力したか、その結果がどのようにして
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平成 28 年第4回定例会
第2日(11/30)
大田区議会会議録
速報版
今回の手数料値上げにつながったのかお示しください。
一方で、清掃事務の移管直後は、区長会、助役会、部長会など清掃事務にかかわる23区間の議論は、都度、清
掃事業所管部に資料を添えて報告されていました。
そこで伺います。この間の区長会や副区長会、部長・課長会での議論はなかったのでしょうか。あったとする
なら、なぜ経過報告なしに、いきなり条例改正案の提出となっているのでしょうか。
また、共同処理における23区間の合意形成や意思決定の過程まで含めた大田区の区民への透明性の確保と説明
責任の姿勢についてお答えください。
第131号議案 大田区区民活動支援施設大森の指定管理者の指定について、第132号議案 大田区立洗足区民セ
ンターの指定管理者の指定について、第133号議案 大田区総合体育館の指定管理者の指定について、第134号議
案 大田区産業プラザの指定管理者の指定について、第135号議案 大田区大森南四丁目工場アパートの指定管
理者の指定について質疑します。
第4回定例会は、指定管理者の指定が行われることが多い議会です。これらの議案も、今回提出される指定管
理者指定議案9議案のうちの5議案です。平成16年の導入から12年が経過した指定管理者制度ですが、指定管理
者制度そのものへの評価は行われているのでしょうか。行われているとするなら、どのような指標に基づいて行
われたのか、その内容、結果について公表されているのかお答えください。
また、今回指定管理者が更新になっている各施設において、どの事業者に指定するかだけでない指定管理者制
度を採用するのか、直営に戻すのかといった根本的な評価・検討は行われたのでしょうか。個々の施設ごとに、
特に公共性の担保、営利・非営利事業主体で行うことの意義、民間事業者でなければできない理由、民間事業者
であることによる区民のメリットについて、評価・検討が行われたか、報告できるかについてお答えください。
第136号議案 国際都市おおた宣言について質疑します。
この議案は、国際都市おおた宣言をするための議案です。
そこで伺います。区長の公約である国際都市を有識者に定義させたことの区長の意図は何でしょうか。また、
大田区は各種の宣言などを議決事項としています。議決事項である「国際都市おおた宣言」を行うことと行わな
いことの違いについて、行った場合の実効力、予算措置などの視点からお答えください。
○大森議長 理事者の答弁を求めます。
○遠藤副区長 まず、奈須議員から第125号議案について、発言通告書に事前に通告されております2点につい
てお答えをいたします。
まず、1点目の「23区がどのように努力し、その結果どうして手数料値上げにつながったのか」という経過に
つきまして、透明性と説明責任の姿勢についてを含めましてご答弁させていただきます。
まず、各区において、リデュース、リユース、リサイクルの3Rの推進によるごみの減量や、それに応じた収
集運搬体制の見直しにより経費削減に23区は努めてきたところでございます。一方、人件費にかかわる公共工事
設計労務単価の上昇による影響に加えまして、平成26年度の消費税の税率改定や、計画耐用年数の経過による清
掃工場の建て替え工事等に伴う搬入先変更の影響などにより、重量当たりのごみ処理費用が上昇している状況に
ございます。こうした状況を踏まえまして、区におきましても、引き続きごみの減量とごみ処理費用の一層の削
減を目指し、効率的な収集運搬体制の構築に努めているところでございます。
2点目の「共同処理における意思決定の過程まで含めた区民への説明責任」でございますけれども、本改正案
につきましては、区として「大田区廃棄物の減量及び適正処理に関する条例」で定める廃棄物処理手数料及び動
物死体手数料に係る様々な状況の変化を踏まえまして、今般改正する必要があると判断したものでございます。
本定例会に議案としてお諮りしておりますそのことも、意思決定の過程の一つと考えてございます。また、区民
の皆様への説明につきましても、議決をいただいた後に、区報やホームページをはじめ、様々な多様な媒体を活
用いたしまして、丁寧に説明をしてまいります。
次に、第131号から第135号議案について、発言通告書により事前に通告されております2点についてお答えい
たします。
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平成 28 年第4回定例会
第2日(11/30)
大田区議会会議録
速報版
まず、1点目の「指定管理者制度そのものへの評価は行われているか、行われている場合は指標は何か。また
内容・結果を公表しているか」についてでございますが、区では、平成26年度から平成27年度にかけまして、指
定管理者制度を導入している全施設について、最適な運営方法の評価・検証を行ったところでございます。検証
に当たりましては、「各施設の使命・存在意義」、「求められる成果」、「指定管理者制度導入前後の比較」な
どを判断基準といたしまして評価・分析をしてございます。結果等の公表はしておりませんが、運営方法を指定
管理者制度に限定せず、設置目的や求められる成果を踏まえた上で、常に最適な運営手法を検証するよう、昨年
8月に両副区長名で通知いたしまして、全庁での取り組みを徹底してきたところでございます。
また、平成27年度包括外部監査では、指定管理者制度を対象とし、「公の施設について指定管理者制度で運営
することが適切か否か検討されているか」という視点からも、第三者による検証を行ってまいりました。
2点目の「今回、指定管理者が更新になっている各施設において、指定管理者制度を採用するのか、直営に戻
すのかといった根本的な評価・検討は行われたのか」、また、施設ごとに「公共性の担保」、「営利・非営利事
業主体で行うことの意義」、「民間事業者である理由・メリット等」について評価・検討が行われたか、また報
告できるか」についてでございますけれども、今回、上程しております各施設におきましては、先ほど申し上げ
ました最適な運営方法の検討の中で、直営か指定管理者制度かといった運営形態、運営主体が民間事業者やNP
O団体であることの意義やメリット等について評価・検証を行っております。加えて、各施設に求められる成果
を踏まえた公共性の担保について評価・検証しております。
以上の検証を踏まえ、求められる成果を達成するために、最もふさわしい運営形態として指定管理者制度の継
続が妥当であると判断したものでございます。なお、報告につきましては必要に応じ対応してまいります。
次に、第136号議案について、発言通告書により事前に通告されております2点についてお答えいたします。
まず、1点目の「区長の公約である国際都市を有識者に定義させたことの区長の意図」につきましてございま
すが、大田区基本構想及び未来プラン10年(後期)の「未来へ躍動する国際都市おおた」実現に向けて、様々な
分野で活躍している区民、有識者の方々に検討していただきまして、幅広い視野で大田区らしい国際都市像の定
義を確立させていくことが、区民の代表でございます議会の皆様をはじめ、多くの区民の皆様へご理解いただけ
るものとの考えから、また、区民の皆様にわかりやすく示していくという意図から、区民・有識者会議を設置
し、同会議の提言をもとに定義を決定したところでございます。
2点目の「議決事項である『国際都市おおた宣言』を行うことと行わないことの違いについて、行った場合の
実効力、予算措置などの視点」のご質問でございますが、議会で議決することによりまして、執行機関と議会と
の双方の意思をさらに深めまして、共有化いたしまして、ともに大田区の国際化を進めていくことを区民にPR
していくことが大変重要でございます。
国際社会の進展に伴う国際都市施策のさらなる推進のためにも、宣言を行うことにより、その実効力と財政力
の強化が図られるものと考えております。また、国内外に向けても、「国際都市おおた」の魅力や存在感を効果
的に発信できるものと思ってございます。
そして、この宣言をきっかけとして、姉妹・友好都市などとのつながりや青少年交流及び地域で安心して暮ら
せる多文化共生社会などの事業において、必要な予算措置を通じて実効ある取り組みとするため着実に推進して
まいれるというふうに考えてございます。以上でございます。
○大森議長 奈須議員、再質疑ですか。演壇にて再質疑を許可します。
〔47番奈須利江議員登壇〕
○47番(奈須利江議員) 細かい部分につきましては各所管課に伺おうと思ったのですが、1点だけお伺いをい
たします。
指定管理者の部分なんですが、第131号から第135号までのところについて、評価をしたのかということに対し
て、評価したけれども結果を公表していないと。やっても公表しないのであれば、私たち議会はそれをやったか
どうか確認できないわけなんですけれども、このことについては求めれば公表されるんでしょうか。このことに
ついてお伺いをいたします。
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平成 28 年第4回定例会
第2日(11/30)
大田区議会会議録
速報版
○大森議長 理事者の答弁を求めます。
○川野企画経営部長 ただいまご質問いただいた件につきましてご答弁申し上げます。先ほど遠藤副区長から申
し上げましたとおり、報告につきましては必要に応じて対応をさせていただきます。以上でございます。
○大森議長 以上をもって質疑を終結いたします。
本案については、いずれも所管地域産業委員会に付託します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
○大森議長 日程第4を議題とします。
〔佐藤事務局長朗読〕
日程第4
第137号議案 大田区立はぎなか園の指定管理者の指定について
○大森議長 理事者の説明を求めます。
○遠藤副区長 ただいま上程されました議案についてご説明を申し上げます。
第137号議案は、大田区立はぎなか園の指定管理者の指定についてで、大田区立はぎなか園について、平成29
年4月1日から平成34年3月31日まで、社会福祉法人知恵の光会を指定管理者に指定するものでございます。
以上、よろしくご審議の上、ご決定賜りますようお願い申し上げます
○大森議長 本案については質疑の通告がありませんので、所管健康福祉委員会に付託します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
○大森議長 日程第5を議題とします。
〔佐藤事務局長朗読〕
日程第5
第126号議案 大田区民住宅条例の一部を改正する条例 ほか5件
○大森議長 理事者の説明を求めます。
○遠藤副区長 ただいま上程されました各議案についてご説明申し上げます。
第126号議案は、大田区民住宅条例の一部を改正する条例で、借上型区民住宅のプラムハイツ西糀谷を廃止す
るため改正するものでございます。
第138号議案は、特別区道路線の認定についてで、大田区羽田空港一丁目1番の一部から大田区羽田空港一丁
目1番の一部までの路線ほか1路線を特別区道路線として認定するものでございます。
第139号議案は、特別区道路線の変更についてで、大田区羽田空港一丁目1番先から大田区羽田一丁目16番先
までの特別区道路線を変更するものでございます。
第140号議案は、大田区営住宅の指定管理者の指定についてで、大田区営大森東一丁目住宅ほか31施設につい
て、平成29年4月1日から平成34年3月31日まで、日本管財株式会社を指定管理者に指定するものでございま
す。
第141号議案は、大田区民住宅の指定管裡者の指定についてで、大田区立プラムハイツ大森西ほか7施設につ
いて、平成29年4月1日から平成34年3月31日まで、日本管財株式会社を指定管理者に指定するものでございま
す。
第142号議案は、大田区立公園水泳場の指定管理者の指定についてで、大田区立平和島公園水泳場については
株式会社オーエンスを指定管理者に、大田区立東調布公園水泳場についてはフクシ・ハリマ水泳場管理JVを指
定管理者に、大田区立萩中公園水泳場については株式会社協栄を指定管理者に、平成29年4月1日から平成34年
3月31日まで、それぞれ指定するものでございます。
以上、よろしくご審議の上、ご決定賜りますようお願い申し上げます。
○大森議長 これより質疑に入ります。
-74-
平成 28 年第4回定例会
第2日(11/30)
大田区議会会議録
速報版
本案については、奈須利江議員より通告がありますので、これを許します。
〔47番奈須利江議員登壇〕
○47番(奈須利江議員) フェアな民主主義、奈須利江です。
第126号議案 大田区民住宅条例の一部を改正する条例について質疑します。
この議案は、区民住宅の中でも土地と建物が民間所有の借上型住宅プラムハイツ西糀谷を廃止するための議案
です。今回、この借上型住宅は、プラムハイツ西糀谷をはじめ期間終了で順次廃止していきますが、直営の区民
住宅は残るため区民住宅事業は存続します。
そこで伺います。大田区の住宅政策における、低所得者層の住宅ニーズが根強く残っている中、この区民住宅
事業を存続させる意義・理由について、住宅政策の中でどのように位置づけているのかお答えください。
第138号議案 特別区道路線の認定について、第139号議案 特別区道路線の変更について質疑します。
これらの議案は、国という一地権者が現在所有している羽田空港跡地を大田区がURに行わせる区画整理事業
において、敷地内の道路を区道に認定するための議案です。
そこで伺います。区道になるか、都道か、国道かはどうやって決めるのでしょうか。また、今回道路の指定は
施工終了後ではなく、始まる前に区道認定しています。認定が先が、施工が先かの違いはどこにあるのかお答え
ください。
○大森議長 理事者の答弁を求めます。
○遠藤副区長 奈須議員から第126号議案について、発言通告書により事前に通告されております「区民住宅事
業を存続させる意義・理由について、住宅政策の中でどのように位置付けているのか」の点についてお答えいた
します。
区民住宅は、中堅所得者層に対して優良な賃貸住宅を供給することによりまして、区民生活の安定と良好な地
域社会の形成に資することを目的として平成9年2月にスタートいたしました。近年賃貸マンションの市場で
は、制度発足当時と比べまして空き物件が増加するとともに、家賃も低下傾向にありまして、区民住宅に対する
ニーズはこの間低下してまいりました。このため、借上型区民住宅につきましては、今後、契約期間満了時に順
次オーナーへ返還してまいります。一方、区が建設いたしました区民住宅については、今後の行政需要を踏まえ
ながら、そのあり方や活用を検討してまいります。
次に、第138号議案及び第139号議案について、事前に通告されております2点についてお答えいたします。
まず、1点目の「区道、都道、国道など、道路管理の分けるのはどのように決まるのか」についてでございま
すが、道路法におきまして、それぞれの道路の認定基準が示されてございます。国道は、全国的な幹線道路網を
構成し、都道府県庁の所在地などの重要都市間を結ぶ道路、また都道は、区界をまたぎ主要地間の幹線道路網と
なる道路、そして区道は、区界をまたがない地域・住民の生活に直結した道路になります。したがいまして、こ
のたび羽田空港跡地第1ゾーンで整備する道路は、その性格上、区道として認定することになります。
2点目の「施工が終わってからではなく、始まる前に区道認定する理由」でございますけれども、独立行政法
人都市再生機構(UR)を施行者とした羽田空港跡地第1ゾーンにおける土地区画整理事業が、本年10月5日に
国土交通省から事業認可を取得しました。
この土地区画整理事業の一環として、都市計画道路に電線共同溝を整備していきます。この電線共同溝の整備
計画を策定するに当たり、区として道路管理者の位置付けを明確にする必要がございます。また、その上で、道
路管理者である区と交通管理者と交通規制等の協議を進めていきます。これらのため、施工前に道路法の規定に
よる路線認定等の手続きをするものでございます。以上でございます。
○大森議長 以上をもって質疑を終結いたします。
本案については、いずれも所管都市整備委員会に付託します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
○大森議長 日程第6を議題とします。
〔佐藤事務局長朗読〕
-75-
平成 28 年第4回定例会
第2日(11/30)
大田区議会会議録
速報版
日程第6
第127号議案 大田区こどもの家条例の一部を改正する条例 ほか1件
○大森議長 理事者の説明を求めます。
○遠藤副区長 ただいま上程されました各議案についてご説明申し上げます。
第127号議案は、大田区こどもの家条例の一部を改正する条例で、千束こどもの家を廃止するため改正するも
のでございます。
第128号議案は、大田区立学校施設の活用に関する条例の一部を改正する条例で、放課後子ども教室の実施に
伴い、使用時間を見直すほか、規定を整備するため改正するものでございます。
以上、よろしくご審議の上、ご決定賜りますようお願い申し上げます。
○大森議長 本案については質疑の通告がありませんので、いずれも所管こども文教委員会に付託します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
○大森議長 次に、請願・陳情の付託について申し上げます。
今回受理しました請願・陳情は、お手元に配付の付託表のとおり、それぞれ所管常任委員会及び議会運営委員
会に付託します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
○大森議長 以上をもって本日の日程全部を終了いたしました。
お諮りいたします。明12月1より12月7日までは委員会審査のため休会とし、来る12月8日午後1時に会議を
開きたいと思います。これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大森議長 ご異議なしと認め、そのように決定いたしました。
ただいまご着席の方々には改めて通知はいたしませんので、そのようにご了承願います。
本日はこれをもって散会いたします。
午後6時50分散会
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