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図 3 問題の意図 図 1 出口アンケートの質問内容 図 2 クイズラリーの
環境イベントにおけるクイズラリー方式の環境学習効果に関する研究 ∼アースデイ・イン・川越における実証実験∼ 1.研究の目的 環境問題を解決していくうえで、 環境問題とは何か、 私たちは何をすれば良いのかを学ぶために、環境問題 に対する人々の意識を向上させる環境学習が必要であ る。昨年、アースデイ・イン・川越においてクイズラリ ー方式による環境学習情報提供の効果分析を行ったが、 エコ・クイズラリー(以下クイズラリーと称する)に 参加した人と、参加していない人の比較、分析を行わ なかった。 そこで、本研究ではアースデイ・イン・川越を事例 に、参加者と非参加者の比較を行うことによってクイ ズラリーの効果を分析するとともに、環境内容の提示 方法による効果の違いについて分析することを目的と する。 質問内容 面白かったブースを複数回答 はじめて知った答えを複数回答 簡単だった問題を複数回答 去年もクイズラリーに参加したか(Yes or No) 2-2 出口アンケート調査 クイズラリーに参加した人、参加はしていないが環 境に関する展示を見た人の環境問題についての関心度 の違いなどを分析するため、来場者に出口におけるア あなたはクイズラリーに参加されましたか? [1] 参加した [2] 参加していないが環境に関する展示は見た [3] 参加していないし環境に関する展示も見なかった 上の問題で[1]、[2]と答えた方へ 環境問題へ関心を持つことができましたか? [1] 関心を持ったので、これから自分で出来ることは実 践してみようと思う。 [2] 関心は持ったが、なかなか行動には移せないと思う。 [3] 関心を持つことができなかった。 図 1 出口アンケートの質問内容 勇樹 指導教員 中口 毅博 3.クイズラリーの実施方法 3-1 クイズラリーの手順 アースデイ・イン・川越のようなイベントにおいて 環境情報の伝達は、主に企業や団体による展示ブース によるところが大きい。その展示ブースに、より多く の人が訪れるようにと昨年度から始められたのが、子 供を対象としたクイズラリーである。今年度のアース デイにおいても、各ブースの参加者増大をねらいクイ ズラリーを行うことにした。図 2 に具体的な手順を示 した。 クイズ用紙の配布 (テーマは 3 種類) 1 ゴミ・リサイクル 2 温暖化・エネルギー 3 水・みどり 各ブースをまわって答えを探す (各ブースでスタンプを押してもらう) スタンプ確認 他 の テ ー マ をや り た い 表 1 評価の視点と質問内容 評価の視点 関心度 新規情報獲得度 容易度 参加回数 直井 ンケート調査を実施した。実施方法はイベントから帰 る人にアンケート用紙の記入をお願いする形で行った。 質問内容を図 1 に示す。 全部押されていない 2.研究方法 2-1 クイズラリー参加者への口頭アンケート調査 アースデイ・イン・川越においてクイズラリーを実 施し、その参加者に口頭アンケートを行った。その口 頭アンケートで得られた各団体の展示物やクイズにつ いての関心度・新規情報獲得度・容易度から各団体の 環境情報が参加者にどの程度伝達されたかを調査する。 また、昨年もクイズラリーに参加したかを調査し、ク イズラリーに継続して参加することの有効性について 分析する。質問内容を表 1 に示す。 R00055 採点 解説と得点に応じたエコマネーを景品 として渡す(クイズ用紙にアンケートを 記入し回収) 図 2 クイズラリーのフローチャート 3-2 クイズラリーの内容 クイズラリーは「ゴミ・リサイクル」 、 「温暖化・エ ネルギー」 、 「水・みどり」の 3 つのテーマごとにコー スが分かれている。各問題にそれぞれ意図があり、段 階を踏んでクイズラリーの参加者が学習できるように 考えて構成した。問題の意図の内容は図 3 の通りであ る。 ①今起きている環境問題とその原因 【 問題例】ゴミが増えて困ることは何かな? ② その解決のためにどん な努力が必要か? 【 問題例】デ ポジットってなん で行うの? ③私 たちに何ができるか? 【問題例】ゴミを出さない生活ってどうす ればいいの? 図 3 問題の意図 4.クイズラリー参加者へのアンケート調査結果 4-1 出口アンケートの結果 出口アンケートの結果からクイズラリーに「参加し た人」と「参加していないが環境に関する展示は見た」 という人の関心度の差を図 4 に示した。図 4 より「関 心を持ったので実践してみたい」という調査項目につ いては、参加した人の割合が展示のみ見た人より多い 結果となった。すなわち、クイズラリーに参加する事 によって思考を行動に移させる意欲を持たせる効果が あると考えられる。 参加した 参加していないが環境展 示は見た 18% 3% 2% 5% 70% 82% 関心を持ったので実践してみたい 関心は持ったが行動に移せない 関心を持てない 無回答 図 4 出口アンケート結果 4-2 クイズラリーの参加者数 参加者が最も多いのは「水・みどり」 、次いで「ゴ ミ・リサイクル」 、 「温暖化・エネルギー」の順である (図 5 参照) 。 生活に密着したテーマに人気があると考 えられる。また、問題用紙の色がかわいいからという 理由でコースを選んでいる人もいた。子供にとって 「色」は重要な選択肢の一つになる。 31 86 ゴ ミ ・リ サ イ ク ル 11 29 67 温 暖 化 ・エネル ギ ー 148 水 ・み ど り 0 50 100 は じめ て 2回目 無回答 14 18 43 150 200 250 人 図 5 クイズラリーの参加人数 4-3 クイズラリー経験者と未経験者の比較 クイズラリーの温暖化・エネルギーコースのアンケ ート結果を1人当たりの票数にして図 6 に示した。 1 人 当 たりの 票 数 は じめ て 2 2回目 1 .5 1 0 .5 0 関心度 新規情報獲得度 容易度 図 6 クイズラリー経験者と未経験者の比較 (温暖化・エネルギーコース) 「はじめて」の人と「2 回目」の人の差が大きいのは 「容易度」である。 「容易度」において「2 回目」の人 のほうが問題を簡単だと思う人が多いということであ り、昨年度、クイズラリーを経験した差が出ていると 考えられる。また、 「関心度」 、 「新規情報獲得度」では 「2 回目」が「はじめて」を上回った。 4-4 学習内容の提示方法による効果の違い 学習内容の提示方法を各ブースの内容から判断して 分類し(表 2 参照)、その分類ごとに、 「関心度」につい て集計し、図7に示した。全体的にみると、 「パネル展 示」より「実物展示」 、 「実物展示」より「ゲーム」の ほうが、値が大きくなっている。そのため、 「パネル展 示」よりは「実物展示」 、さらには「ゲーム」のほうが 子供たちの頭の中に残りやすいと考えられる。なお、 「温暖化・エネルギー」コースには提示方法において 「ゲーム」の項目はないために値が0となっている。 表 2 提示方法の種類 パネル展示 写真や説明をパネルに貼って展示 実物展示 パネルだけでなく実物を用いた展示 紙芝居など子供が楽しめる展示 ゲーム 票数/設問数×人 数 0.5 パネル 実物 ゲーム 0.4 0.3 0.2 0.1 0 ゴミ・リサイ クル 温暖化・エネルギー 水・みどり 図 7 提示方法からの効果分析 5.結論 本研究では環境学習プログラムの手段として、クイ ズラリー方式を提案した上で、環境学習効果と学習方 法について分析した。その結果以下のことが明らかと なった。 出口アンケート結果からクイズラリーが環境に関 する行動に移す意欲を持たせるという環境学習効果が あることがわかった。学習方法においては、提示方法 により関心度に差が出てくることが明らかになった。 特に、ゲーム形式の展示が子供たちに最も関心を持た れた。したがって、環境学習は対象者が能動的に学習 できる体験型の学習方法が、効果が高くなることが明 らかになった。また、 「はじめて」の人と「2回目」の 人のアンケート結果の分析結果からクイズラリーを継 続して行う有効性が確認された。 今後、クイズラリー参加後の行動の変化については 未調査であるため、この手法から実際に行動につなが っているか、クイズラリー後の行動の変化についての 調査することが課題である。