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平成28年長野県警察の運営重点と対策(PDF:680KB)
平成28年 長野県警察の運営重点と対策 長 野 県 警 察 平成28年 長野県警察の運営重点と対策 長 野県の 治安情 勢は、 平成 13年 に刑法 犯認知 件数が 戦後最 多とな る3万 4,764件を 記 録した以後、県民を始め関係機関・団体等との協働により諸対策を推進した結果、平成26 年に は1万 3,206件 となり 、更に 平成27年も 減少傾 向を維 持して いるこ とから 、治安 回 復に一定の成果がみられるところである。 しかしながら、依然として特殊詐欺被害が後を絶たず、ストーカー事案、配偶者からの 暴力事案、児童虐待事案及び高齢者虐待事案等の人身安全関連事犯が多発しているほか、 サイバー空間における犯罪の手口が一層巧妙化するなど、新たな治安の脅威が深刻化して いる。 また、平成28年には「第67回全国植樹祭」、「G7交通大臣会合」開催に伴う大規模警 備を控えて、国際テロの脅威に直面しているほか、甚大な被害をもたらす自然災害の発生 が懸念されるなど、県民の安全と安心を確保するためには、喫緊の課題が山積している。 こうした中、県警察では、活動の根幹をなす「長野県警察運営指針」を 県民の期待と信頼に応える力強い警察 ∼安全で安心な長野県をめざして∼ と定め、同指針を効果的かつ的確に実現するため、具体的に取り組んでいくべき「平成28 年運営重点」として、 ① 総合的な犯罪抑止対策の推進 ② 犯罪検挙力の強化 ③ 交通死亡事故抑止対策の推進 ④ テロ・大規模災害等危機管理対策の推進 ⑤ 地域社会の安全力を高める地域警察活動の推進 ⑥ 県民の立場に立った積極的な対応と警察基盤の強化 を掲げた。 そして、「平成28年運営重点」の達成に向け、社会情勢の変化に迅速かつ的確に対応す るための施策、特に県民の意見や要望が大きい施策のほか、組織的かつ重点的に取り組む べき事項を明確化するとともに、職員一人一人がその実現にまい進するため、「平成28年 長野県警察の運営重点と対策」を定めた。 なお、これら運営重点と対策については、県民に広く公表し、実施期間内であっても随 時、必要な見直しや追加、補充を行うとともに、進捗状況等について検証を行い、より効 果的な対策として推進していくこととし、県民の安全と安心を確保するとともに、犯罪の 起きにくい社会の実現を目指すこととする。 平成27年12月 平成28年 長野県警察の運営重点と対策【骨子】 ◇ 1 2 3 4 5 6 平成28年 運営重点 ◇ 総合的な犯罪抑止対策の推進 犯罪検挙力の強化 交通死亡事故抑止対策の推進 テロ・大規模災害等危機管理対策の推進 地域社会の安全力を高める地域警察活動の推進 県民の立場に立った積極的な対応と警察基盤の強化 1 総合的な犯罪抑止対策の推進 人身の安全を確保するための取組の推進 ○ ○ ○ 人身安全関連事案に対する迅速かつ組織的な対応 適正な行方不明者発見活動の推進 子供と女性を性犯罪等から守るための取組の推進 県民生活に密着した犯罪抑止総合対策の推進 ○ ○ ○ 高齢者等を対象とする特殊詐欺防止対策の推進 地域の犯罪情勢の的確な把握と分析に基づく抑止対策の推進 犯罪の起きにくい社会づくりの推進 少年の非行防止・保護総合対策の推進 ○ ○ ○ 非行少年を生まない社会づくりの一層の推進 児童ポルノ・児童買春事犯を重点とした福祉犯の取締りの強化 少年を取り巻く有害環境浄化対策の推進 良好な生活環境を守るための諸対策の推進 ○ ○ ○ 県民の生活を脅かす生活経済事犯対策の推進 風俗環境浄化に向けた違法営業に対する厳正な取締り及び行政処分等の推進 厳格な銃砲刀剣類行政の管理及び運用と危険物関係法令違反等の取締りの推進 総合的なサイバー犯罪対策の推進 ○ ○ ○ サイバー空間の脅威に対する対処能力の向上 インターネット上の違法・有害情報の排除総合対策の推進 サイバー犯罪の抑止に向けた官民一体となった取組の推進 2 犯罪検挙力の強化 緻密かつ適正な捜査の推進 ○ ○ ○ 精強な刑事警察の構築 適正捜査の推進 犯罪情勢・県民意識を踏まえた捜査の推進 重要犯罪等の徹底検挙 〇 ○ 重要犯罪等の捜査強化と徹底検挙 適正な死体取扱業務の推進 特殊詐欺等重要・広域知能犯罪の徹底検挙 重要窃盗犯等の徹底検挙 組織犯罪対策の推進 ○ ○ ○ 暴力団の壊滅・弱体化に向けた総合対策の推進 薬物・銃器対策の徹底 犯罪のグローバル化・犯罪インフラ対策及び犯罪収益対策の推進 科学捜査の推進 3 交通死亡事故抑止対策の推進 交通事故防止対策の推進 ○ ○ ○ 高齢者交通事故防止対策の推進 交通安全教育等の推進 交通事故分析の成果を活用した交通事故抑止対策の推進 悪質・危険運転者対策及び適正かつ緻密な交通事故事件捜査の徹底 ○ ○ ○ 交通事故抑止に資する交通街頭活動の強化 飲酒運転等悪質・危険・迷惑違反取締りの強化 適正かつ緻密な交通事故事件捜査と適切な被害者支援の推進 安全安心で快適な交通環境の整備 ○ 〇 ○ 交通安全施設等整備事業の重点的、効果的かつ効率的な推進 交通実態の変化等に即した交通規制と道路交通環境の更なる改善 生活道路等及び通学路における交通安全対策の推進 効果的な運転免許行政の推進 ○ ○ ○ 改正道路交通法の円滑な施行に向けた諸対策の推進 悪質・危険運転者に係る的確な行政処分等の推進 申請者等の立場に応じた的確な運転者施策の推進 4 テロ・大規模災害等危機管理対策の推進 テロ等の未然防止対策の推進 ○ ○ ○ テロ関連情報の収集・分析 テロ等の未然防止に向けた事業者等との緊密な連携 施設管理者と連携した警戒警備の徹底 大規模災害等危機管理体制の再構築 ○ ○ 総合的な危機管理体制の構築 実戦的訓練等の推進 5 地域社会の安全力を高める地域警察活動の推進 街頭活動の強化と犯罪の予防・検挙の推進 ○ ○ 管内実態に即した街頭活動等の推進 職務執行力の強化 住民の意見・要望の把握と問題解決活動の推進 〇 ○ 交番・駐在所の生活安全センターとしての機能強化と管内実態把握 積極的な情報発信活動の推進 迅速・的確な初動警察活動の推進 ○ ○ 通信指令機能の強化 パトカー、航空機の効果的運用 6 県民の立場に立った積極的な対応と警察基盤の強化 県民の意見・要望に応える警察活動の推進 ○ 県民の意見・要望の把握と誠実な対応 ○ 広聴事案への適正な対応 ○ 被害者支援の推進 県民に期待・信頼される警察活動の推進 ○ ○ ○ 誇りと使命感の醸成と適正な職務執行の推進 積極的な広報活動と情報公開の推進 適正な会計経理の保持 活力に満ちた精強な警察基盤の強化 ○ ○ ○ 組織基盤の強化 優秀な人材の確保と教養・訓練の推進 魅力ある明るい職場環境づくりの継続的な推進 平成28年 長野県警察の運営重点と対策 ◇ 平成28年 運営重点 ◇ 1 総合的な犯罪抑止対策の推進 2 犯罪検挙力の強化 3 交通死亡事故抑止対策の推進 4 テロ・大規模災害等危機管理対策の推進 5 地域社会の安全力を高める地域警察活動の推進 6 県民の立場に立った積極的な対応と警察基盤の強化 ◇ 1 運営重点と対策 ◇ 総合的な犯罪抑止対策の推進 県民が犯罪の被害に遭うことなく、また犯罪の被害に遭う不安を抱くことのない安全・安心な 社会づくりのため、事態に即応する諸施策及び地域住民や関係機関・団体と連携した各種活動に よる総合的な犯罪抑止対策を推進する。 (1) 人身の安全を確保するための取組の推進 ア 人身安全関連事案に対する迅速かつ組織的な対応 被害者等の安全確保を最優先とした迅速かつ的確な総合的対応及び児童、高齢者、障が い者虐待が疑われる事案等の適切な対応並びに県・市町村等、関係機関との緊密な連携に よる的確な保護対策を推進する。 イ 適正な行方不明者発見活動の推進 危険性を的確に判断した行方不明者発見活動及び部門間の連携を強化した組織的な活動 並びに関係機関・団体等と連携した発見活動・広報活動等を推進する。 ウ 子供と女性を性犯罪等から守るための取組の推進 子供や女性を対象とする性犯罪等及びその前兆事案といえる声かけ事案の発生状況の分 析に基づく先制・予防的活動を推進するとともに、学校や地域ボランティア・団体等との 協働による見守り活動等や電子メール等を活用した積極的な情報発信活動等を推進する。 (2) 県民生活に密着した犯罪抑止総合対策の推進 ア 高齢者等を対象とする特殊詐欺防止対策の推進 関係機関・団体等あらゆるネットワークを活用した先制予防活動を推進し、高齢者等の -1- 抵抗力を更に向上させるとともに、被害防止の最後のとりでとなる金融機関等と連携した 水際対策の更なる強化を図り、被害の未然防止を図る。 イ 地域の犯罪情勢の的確な把握と分析に基づく抑止対策の推進 治安課題を明確にし、地域の犯罪類型等に応じた個別の防犯対策、街頭活動等を強化す るため、総合的犯罪抑止対策本部における犯罪情勢の把握・分析機能等の充実を図るほか、 災害時における関係機関・団体との連携等、総合力を発揮した犯罪抑止対策を推進する。 ウ 犯罪の起きにくい社会づくりの推進 重層的な防犯ネットワークを整備・活用し、緊急性等が認められる防犯情報等を適時適 切に提供するほか、防犯ボランティア活動の活性化、自治体等と連携した繁華街における 街並みの美化・改善、防犯カメラの設置促進等により、犯罪の起きにくい社会づくりを推 進する。 (3) 少年の非行防止・保護総合対策の推進 ア 非行少年を生まない社会づくりの一層の推進 問題を抱えた少年に積極的に手を差し伸べる立ち直り支援活動、少年警察ボランティア を中心とした地域住民による「少年への声掛け運動」の推進、積極的な街頭補導活動等、 少年を見守る社会気運を醸成し、将来にわたる犯罪抑止の基盤を形成するために「非行少 年を生まない社会づくり」を一層推進する。 イ 児童ポルノ・児童買春事犯を重点とした福祉犯の取締りの強化 街頭補導、サイバーパトロール等を通じた福祉犯情報の収集・分析を推進し、児童ポル ノ・児童買春事犯等の徹底検挙と、悪質性の高い福祉犯取締りを強化する。 ウ 少年を取り巻く有害環境浄化対策の推進 インターネット利用に起因する少年の犯罪被害や非行を防止する取組として、サイバー 補導を効果的に推進し、サイバー空間における少年の保護対策を図るとともに、地域住民、 少年警察ボランティア等と連携した補導活動、環境浄化活動及びフィルタリング普及対策 を推進し、少年を取り巻く有害環境の浄化を図る。 (4) 良好な生活環境を守るための諸対策の推進 ア 県民の生活を脅かす生活経済事犯対策の推進 県民の生活を脅かす利殖勧誘事犯、特定商取引事犯、ヤミ金融事犯等に対しては、消費 生活センター等関係機関と連携した被害実態の早期把握に努め、被害の拡大防止と迅速・ 的確な捜査により事件検挙を図るとともに、犯罪に悪用される預貯金口座や携帯電話等に 対する速やかな凍結措置を講ずるなど、犯行助長サービス対策を積極的に推進する。 併せて、保健衛生事犯や企業の経済活動を脅かす営業秘密侵害等の知的財産権侵害事犯 に対する諸対策と取締りを推進する。 イ 風俗環境浄化に向けた違法営業に対する厳正な取締り及び行政処分等の推進 計画的な立入り等により、風俗店、ぱちんこ店等の実態を徹底的に把握し、違法営業に 対する厳正な取締り及び行政処分による営業の健全化を図るとともに、人身取引事犯及び 外国人労働者に係る悪質な雇用関係事犯の取締り並びに被害者の適正な保護対策を推進す る。 -2- 併せて、平成 27 年風営適正化法改正に基づく特定遊興飲食店営業の許可制度等の新た な制度を適切に運用する。 ウ 厳格な銃砲刀剣類行政の管理及び運用と危険物関係法令違反等の取締りの推進 徹底した管理の下に厳格な銃砲刀剣類行政を推進し、銃砲所持不適格者の排除や許可銃 砲等による危害の防止を図るとともに、火薬類等各種危険物の事故に直結する法令違反や 悪質な廃棄物不法投棄事犯を始めとする社会情勢の変化に応じた環境事犯の取締りを推進 する。 (5) 総合的なサイバー犯罪対策の推進 ア サイバー空間の脅威に対する対処能力の向上 サイバー空間の脅威に迅速・的確に対処するため、部門間の連携を強化するとともに、 サイバーセキュリティ・カレッジ制度による講師の育成やサイバー犯罪捜査検定の取得を 促進し、全職員の知識・技能の向上を図るなど、組織基盤の強化により、インターネット バンキングに係る不正送金事犯等の高度な情報技術を利用する犯罪や被害拡大が予想され る事案に重点を置いた取締りを展開し、併せて抑止効果に配意した広報を実施するなど、 警察の総合力を発揮した対処能力の向上を図る。 イ インターネット上の違法・有害情報の排除総合対策の推進 積極的なサイバーパトロールによる違法・有害情報の把握と、これを端緒とした取締り を推進するとともに、違法情報の掲載を黙認しているサイト管理者等や拳銃・薬物の取引 等各種有害情報の実態解明を進めるなど、インターネット上における犯罪インフラ対策を 推進する。 ウ サイバー犯罪の抑止に向けた官民一体となった取組の推進 インターネット関連団体及び民間事業者との連携によるサイバー犯罪抑止に向けた共同 対処やサイバーセキュリティ・カレッジによる地域コミュニティ、職域に加え、教育現場 における情報セキュリティ・モラルの普及、被害防止等の啓発活動及びサイバー犯罪対策 アドバイザーやサイバーボランティア等の活用・支援を図るなど、官民一体となって社会 全体でサイバー空間の脅威に立ち向かう気運を醸成していく諸活動の推進、活性化に努め る。 -3- 2 犯罪検挙力の強化 犯罪の態様の複雑化、人からの捜査の困難化に加え、捜査員の世代交代が進む等、捜査を取り 巻く環境は厳しさを増しており、検挙件数減少の一因となっている。認知件数が増加している特 殊詐欺や、急展開等により凶悪事件に発展するおそれがある恋愛感情のもつれに起因する暴力事 案等のほか、県民が身近に不安を感じる侵入窃盗や子供・女性を対象とした卑劣な犯罪を防止し、 被害拡大を防ぐため、初動捜査の高度化や客観証拠収集能力の向上を図り、捜査環境の変化に適 切に対応し、犯罪検挙力の強化を図る。 (1) 緻密かつ適正な捜査の推進 ア 精強な刑事警察の構築 初動捜査の高度化と客観証拠を重視した捜査を推進するとともに、若手捜査官等を早期 に育成するため、実戦的・体系的な指導及び教養を充実し、捜査力の強化を図る。 イ 適正捜査の推進 捜査幹部の的確な捜査指揮と捜査官の意識改革により、誤認逮捕の防止や証拠物件等の 厳格な管理等、捜査上の不適正事案の絶無を期し、捜査手法及び取調べの高度化を推進す るとともに、司法制度改革への柔軟な対応を図る。 ウ 犯罪情勢・県民意識を踏まえた捜査の推進 関係部門との連携による組織捜査を強力に推進し、人身の安全を早急に確保する必要が 認められる事案への迅速・適切な対応を図る。 また、被害の届出及び告訴・告発等に対しては、県民の立場に立った迅速かつ確実な受 理と対応を図るとともに、犯罪情勢を踏まえた捜査を推進する。 (2) 重要犯罪等の徹底検挙 ア 重要犯罪等の捜査強化と徹底検挙 前兆事案の発生状況等を的確に把握し、組織的な初動捜査活動を展開して、人身の安全 確保と被害の未然防止を図るとともに、殺人・強盗等の凶悪犯罪や子供・女性を狙った性 犯罪等の重要犯罪を徹底検挙するほか、粘り強い捜査を継続的に推進し、長期未解決事件 の検挙を図る。 イ 適正な死体取扱業務の推進 犯罪捜査の大前提となる「犯罪死の見逃し防止」を確実なものとするため、各種教養を 充実させ、捜査員の能力向上と適切な遺族対応に努めるとともに、徹底した初動捜査と各 種検査等の積極的活用により、適正な死体取扱業務を推進する。 (3) 特殊詐欺等重要・広域知能犯罪の徹底検挙 関係部門・所属の連携の下、迅速な初動捜査、情報分析、関係法令の積極的な適用のほか、 都道府県警察間の合同・共同捜査等により、特殊詐欺及び預貯金口座を売買するなどの特殊 -4- 詐欺を助長する犯罪を始めとする重要・広域知能犯罪対策を推進し、徹底検挙を図る。 (4) 重要窃盗犯等の徹底検挙 県民が身近に不安を感じる侵入窃盗、広域・連続窃盗及び組織窃盗対策を推進し、徹底検 挙を図る。 (5) 組織犯罪対策の推進 ア 暴力団の壊滅・弱体化に向けた総合対策の推進 暴力団組織に打撃を与える中枢幹部・資金獲得活動等に対する戦略的取締りや、 「暴力団 員による不当な行為の防止等に関する法律」、 「長野県暴力団排除条例」及び県内全市町村 における暴力団排除条例の適正かつ効果的な運用等、暴力団の壊滅・弱体化に向けた総合 対策を推進するとともに、暴力団との関係遮断表明者等に対する保護対策の徹底を図る。 イ 薬物・銃器対策の徹底 職務質問の徹底及び情報収集の強化等による薬物密売組織及び末端乱用者並びに拳銃関 連事犯に対する取締りを推進するとともに、薬物乱用防止や情報提供窓口の周知のための 広報啓発活動を推進する。 ウ 犯罪のグローバル化・犯罪インフラ対策及び犯罪収益対策の推進 関係部門との連携により外国人犯罪組織や犯罪インフラの実態を解明し、事件検挙によ り犯罪収益を剥奪、資金源を遮断して犯罪組織の壊滅を図る。 (6) 科学捜査の推進 現場鑑識活動を徹底し、各種資料を収集するとともに、DNA型鑑定等の科学鑑定の積 極的な活用を推進する。 -5- 3 交通死亡事故抑止対策の推進 平成25年度を初年度とする長野県総合5か年計画において、 「平成29年度までに交通事故死傷者 数1万人以下」を目標に掲げているほか、平成28年度からは、第10次長野県交通安全計画による 新たな交通事故抑止目標の達成に向けた取組が開始される。 こうした状況を踏まえ、交通死亡事故抑止と交通事故の総量抑制に重点を置き、多角的な交通事故分 析の成果を活用した真に交通事故抑止に資する総合的な交通安全対策を推進する。 (1) ア 交通事故防止対策の推進 高齢者交通事故防止対策の推進 高齢運転者事故及び高齢歩行者事故を防止するため、加齢に伴う身体機能の変化が行動 に及ぼす影響を理解させる参加・体験・実践型の交通安全教育等を実施するとともに、他 の世代に対して高齢者の特性を理解させ、高齢者への保護意識が醸成される指導啓発活動 を推進するほか、関係機関・団体と協力して、あらゆる機会を活用した高齢者事故防止に 資する広報啓発活動を展開する。 イ 交通安全教育等の推進 県民一人一人の交通ルールの遵守と交通マナーの実践を図るため、 ・ 歩行者事故防止のための安全教育と反射材等の普及促進 ・ 自転車利用者に対するルールの周知と安全教育の推進 ・ 飲酒運転根絶対策の推進 ・ シートベルトの全席着用とチャイルドシートの正しい使用の徹底 を4つの柱として、交通安全教育・広報啓発活動を推進する。 ウ 交通事故分析の成果を活用した交通事故抑止対策の推進 交通事故分析の高度化を図り、交通事故発生状況や傾向を詳細かつ具体的に分析し、 時間帯・場所・路線等について重点を絞った街頭活動の展開、関係機関への情報発信等、 PDSAサイクルによる効果的・効率的な交通事故総量抑制対策を推進する。 (2) ア 悪質・危険運転者対策及び適正かつ緻密な交通事故事件捜査の徹底 交通事故抑止に資する交通街頭活動の強化 地域の交通実態や交通事故発生状況等を分析するとともに、取締り時間、場所、体制等 を組織的に検討した上で、交通事故抑止に資する街頭活動の強化と、交通指導取締りを実 施する。 イ 飲酒運転等悪質・危険・迷惑違反取締りの強化 飲酒運転(車両提供罪・酒類提供罪・同乗罪を含む。)、無免許運転(自動車等提供罪・ 同乗罪を含む。)、著しい速度超過のほか、交差点関連違反等の交通事故に直結する悪質性 ・危険性の高い違反、通学路・生活道路における横断歩行者等妨害・通行禁止違反、地域 の交通実態、県民の要望等を踏まえた迷惑性の高い駐車違反等に重点を置いた指導取締り を強化する。 -6- また、暴走族等に対しては、関係各部門と連携した取締り体制を構築し、あらゆる法令 の適用を視野に入れた厳正な取締りを推進する。 ウ 適正かつ緻密な交通事故事件捜査と適切な被害者支援の推進 捜査幹部による具体的な事件指揮と本部主管課と連携した迅速・的確な初動捜査を推進 し、客観的な証拠資料の収集と飲酒運転等の悪質かつ危険な運転行為による死傷事故に対 しては、危険運転致死傷罪の適用を視野に入れた積極的な捜査を行うなど、適正かつ緻密 な捜査を推進するとともに、死亡事故等重大な交通事故の遺族や被害者に対しては、心情 に配意した適切な被害者支援を推進する。 (3) 安全安心で快適な交通環境の整備 ア 交通安全施設等整備事業の重点的、効果的かつ効率的な推進 交通安全施設の重点的、効果的かつ効率的な整備を進め、交通事故の抑止及び交通の円 滑化を図るほか、老朽施設の更新・長寿命化、ライフサイクルコスト(LCC)削減と、 ストック数削減に向けた適正管理等を推進する。 イ 交通実態の変化等に即した交通規制と道路交通環境の更なる改善 道路整備等による交通事情の変化や実勢速度、交通量等の地域の交通実態及び地域住民 や道路利用者等の意見を踏まえた交通規制・信号制御等の不断の見直しを推進するととも に、交通事故発生状況・交通違反取締り状況等の複合的な分析結果を基に、道路管理者と 連携した効果的・効率的な道路交通環境の改善を推進する。 ウ 生活道路等及び通学路における交通安全対策の推進 生活道路等及び通学路の交通安全対策として、ゾーン30の整備及びその他の交通規制を 実施するほか、信号機の歩車分離化、LED化、バリアフリー対応型信号機の整備及び外 周発光装置付道路標識等の整備を推進するとともに、道路管理者等と連携して必要な対策 を推進し、歩行者・自転車利用者の安全通行を確保する。 (4) 効果的な運転免許行政の推進 ア 改正道路交通法の円滑な施行に向けた諸対策の推進 75歳以上の高齢運転者に対する認知機能検査及び高齢者講習等の適切な運用と準中型免 許導入に係る諸対策を推進するため、指定自動車教習所協会等の交通関係団体、福祉・医 療等の関係機関との連携を強化し、改正道路交通法の施行に向けた諸対策を推進する。 イ 悪質・危険運転者に係る的確な行政処分等の推進 飲酒運転により運転免許の行政処分を受けた者等の適切な講習を実施するとともに、違 反を繰り返す運転者、重大な交通事故を起こした運転者を道路交通の場から速やかに排除 するため、仮停止処分を含む迅速かつ確実な行政処分を実施する。また、一定の病気等の 疑いがある者を把握した場合には、迅速かつ的確な臨時適性検査等を実施する。 ウ 申請者等の立場に応じた的確な運転者施策の推進 一定の病気等に係る運転適性相談窓口の周知徹底を図り、プライバシー等に配意した聴 取を実施するとともに、受講者の態様に応じた講習を実施して運転者教育の充実を図り、 更新申請者等の利便性に配意した諸施策を推進する。 -7- 4 テロ・大規模災害等危機管理対策の推進 平成28年(2016年)に県内で開催される第67回全国植樹祭、交通大臣会合のほか、三重県で開催 される伊勢志摩サミット、平成32年(2020年)に開催される東京オリンピック・パラリンピックを 見据えたテロ対策とともに、深刻さを増すサイバー攻撃に対する官民連携の取組みがますます重 要になっているほか、来県する要人に対するテロ防止対策も重要な課題であり、多様化する脅威 に的確に対応していかなければならない。 また、県内は、東海地震、南海トラフ巨大地震による大規模被害が危惧される地域が広範囲に 及び、今後30年以内の地震発生確率が極めて高い糸魚川・静岡構造線断層帯を始めとする6つの 主要活断層が存在している。加えて、地形が極めて複雑急峻であることから、土砂災害発生の危 険性も高いので、過去の災害対応を教訓として、災害対策の在り方を再度見直し、関係機関等と 連携した総合的な災害警備対策を推進する必要がある。 こうした情勢を踏まえ、テロや大規模災害等の緊急事態が発生した場合における対処能力の向 上など、危機管理対策を推進する。 (1) ア テロ等の未然防止対策の推進 テロ関連情報の収集・分析 テロ関連情報の収集・分析に努め、違法事案を徹底検挙する。 イ テロ等の未然防止に向けた事業者等との緊密な連携 重要インフラ事業者、爆発物原料取扱事業者等との連携を更に強化して、サイバーテロ を始めとした各種テロの未然防止対策を推進する。 ウ 施設管理者と連携した警戒警備の徹底 公共交通機関等の重要施設管理者との連携を図りながら、情勢に応じた警戒を実施する。 (2) ア 大規模災害等危機管理体制の再構築 総合的な危機管理体制の構築 自治体、消防、自衛隊等の防災関係機関との平素の情報共有、災害発生時の迅速かつ緊 密な連携体制の確立、合同訓練の実施等により現場活動の強化を図るとともに、長野県警 察の総合力を発揮できる盤石な危機管理体制を構築する。 イ 実戦的訓練等の推進 ブラインド方式等による各種実戦的訓練の反復実施により、高度な専門的技能の習得と 対処能力の向上を図り、精強な部隊を錬成する。 -8- 5 地域社会の安全力を高める地域警察活動の推進 地域住民にとって最も身近な存在である地域警察は、交番・駐在所を中心としてパトロール 活動や巡回連絡、110番通報等の迅速な対応を行うとともに、関係機関・団体や地域住民と協働 した地域警察活動を推進し、もって地域社会の安全力を高め、県民が安全で安心して生活でき る社会の実現を図る。 (1) 街頭活動の強化と犯罪の予防・検挙の推進 ア 管内実態に即した街頭活動等の推進 犯罪発生実態の分析と被害予測に基づいたパトロールを強化し、積極的な声掛けにより 犯罪の予防を図るとともに、空き巣ねらい、車上ねらい等の住民が身近に不安を感じる犯 罪の取締りを推進する。 イ 職務執行力の強化 若手警察官を対象とした実戦的な指導等により、職務質問や事件・事故の発生時におけ る現場対応能力を向上させるなど、力強い地域警察活動を推進する。 (2) 住民の意見・要望の把握と問題解決活動の推進 ア 交番・駐在所の生活安全センターとしての機能強化と管内実態把握 巡回連絡等の地域警察活動を通じて、管内実態把握を進めるとともに、地域における問 題や住民の不安・要望等を把握し、地域住民との協働による地域安全活動・問題解決活動 を推進する。 イ 積極的な情報発信活動の推進 交番・駐在所ミニ広報紙等の積極的な発行に努めるとともに、巡回連絡・パトロール等 の地域警察活動を通じて、地域住民に対し、警察の活動内容や地域安全情報を積極的に情 報提供する。 (3) 迅速・的確な初動警察活動の推進 ア 通信指令機能の強化 事件・事故の発生時に通信指令を機能させた事件手配、緊急配備等を行い、被疑者の現 行犯的検挙や被害の拡大防止を図るほか、突発事案に備えた通信訓練を重ねることなどに より、迅速・的確な初動警察活動を推進する。 イ パトカー、航空機の効果的運用 事件・事故発生時にパトカーや航空機を積極的に活用して、迅速・的確な初動警察活動 を推進するとともに、増加する山岳遭難に対しては、関係機関と連携した安全で迅速な救 助活動を推進する。 -9- 6 県民の立場に立った積極的な対応と警察基盤の強化 安全で安心な長野県を確立するため、優れた人材の育成、地域における治安維持の核となる警 察施設の整備と、職員一人一人が自ら考え、常に進化し続ける精強な組織の構築等県民の立場に 立った警察基盤の強化を積極的に推進する。 (1) 県民の意見・要望に応える警察活動の推進 ア 県民の意見・要望の把握と誠実な対応 県民の意見・要望のほか、各種相談等への誠実な対応を推進するとともに、関係機関・ 団体等との連携を強化して県民の理解を深めるなど、県民の意見・要望等に対する迅速・ 的確な対応を推進する。 イ 広聴事案への適正な対応 県民から寄せられる苦情等を真摯に受け止めて対応するとともに、県民から寄せられた 有用な意見・要望等を業務に反映させる警察活動を推進する。 ウ 被害者支援の推進 被害者支援に対する理解の増進を図り、犯罪被害者等に対する各種支援制度の効果的な 運用による経済的・精神的負担の軽減に継続して取り組むとともに、関係機関・団体等と の連携・協働を強化して、犯罪被害者等の心情に配意したきめ細かな被害者支援を推進す る。 (2) 県民に期待・信頼される警察活動の推進 ア 誇りと使命感の醸成と適正な職務執行の推進 重点的かつ効果的な職務倫理教養等により、誇りと使命感を醸成するとともに、業務の 仕組みの再構築や実効性あるチェックシステムの導入等、非違事案防止施策を積極的に推 進する。また、情報セキュリティ対策の徹底、被疑者取調べ監督制度の更なる浸透を図る など、業務管理を徹底し、適正な職務執行を推進する。 イ 積極的な広報活動と情報公開の推進 「警察の真の姿」を県民に伝えるため、県警察の活動内容を積極的に広報するとともに、 施策内容を県警ホームページに掲載するなど、情報公開を推進する。 ウ 適正な会計経理の保持 会計業務の重要性及び基本的知識に関する教養を推進するとともに、限られた予算の中 で業務改善を行いながら効果的な予算執行に努めるなど、適正な会計経理を保持する。 (3) 活力に満ちた精強な警察基盤の強化 ア 組織基盤の強化 県民の意見・要望を踏まえ、複雑多様化する警察事象に的確に対応するため、女性の視 点を一層反映した警察運営、若手警察官の早期戦力化、業務改善の活性化による業務の大 胆な合理化・効率化を積極的に推進するなど、職員一人一人が自ら考え、常に進化し続け - 10 - る精強な組織づくりを推進する。 イ 優秀な人材の確保と教養・訓練の推進 大量退職による世代交代を見据えた警察官募集活動の推進により、優秀な人材を確保し、 強く正しく明るい警察官の育成を図る。 また、実戦的な教養・訓練の推進による若手警察官の早期戦力化及び幹部の指揮能力向 上並びに強じんな体力と旺盛な気力を養う術科訓練により、県民を守る力の強化を図る。 ウ 魅力ある明るい職場環境づくりの継続的な推進 職員が心身ともに充実し、職員一人一人の能力を十分に発揮できる真に魅力ある明るい 職場環境づくりに向けた取組を継続して推進することにより、誇り高い使命感と活力に満 ちた精強な組織を構築する。 - 11 -