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雌性先熟性雌雄同体魚キュウセン属 Halichoeres の 一次雄に対する

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雌性先熟性雌雄同体魚キュウセン属 Halichoeres の 一次雄に対する
広大 FSC 報告,4:69-75.2007
報告
雌性先熟性雌雄同体魚キュウセン属 Halichoeres の
一次雄に対する雌性ホルモン投与実験
三宅優子・国吉久人・坂井陽一・橋本博明
広島大学大学院生物圏科学研究科
背景
極的に支持する具体的なデータはこれまでに存在せず、一
スズキ目ベラ科に属するキュウセン属Halichoeresは、比
次雄による性転換が確認されていなかったこと、また、生涯
較的暖かい海域の浅い沿岸域のサンゴ礁、岩礁、藻場、砂
を雄として全うする一次雄生活史と、性転換を経る雌生活史
地に生息している魚類である(Nakabo, 2002)。瀬戸内海な
が同等の生涯繁殖成功をあげうることを示唆する野外データ
ど 温 帯 域 を 中 心 に 広 く 分 布 し て い る キ ュ ウ セ ン H.
と数理モデルが提示されたことにより(Warner and Hoffman,
poecilopterus 1 やホンベラH. tenuispinisはその代表種で
1980a,b; Charnov 1982)、背理的に雌雄異体性が支持され
ある。本属の魚種は知られている限りすべてが雌性先熟型
てきた。
の性転換を行う雌雄同体魚であり、Initial Phase ( IP ) と
しかし、近年、キュウセン属と同様に一次雄が出現するベ
呼ばれる体色の雌が成長に伴いTerminal Phase ( TP ) 体
ラ科のブルーヘッドラス Thalassoma bifasciatum において、
色のなわばり雄に性転換するという特徴を有している。この
幼魚が生殖腺を性分化させる際に、雄(すなわち一次雄)に
性転換により、雌は性行動、体色及び生殖腺をほぼ同時進
なるか雌になるかの決定が、その個体のおかれた環境に依
行で変化させることとなる (木下, 1936; Okada, 1964a; 中
存する可能性が強いことが幼魚の飼育実験により示された
園,1979)。また、雌と同じIP体色で、生殖腺の性分化時から
(Munday et al., 2006)。これは、一次雄と雌が遺伝的に異
精巣を発達させる一次雄が (Reinboth, 1970)、雌とともに
なるものではないことを意味している。さらに、サンゴ礁に生
共存する個体群の存在も数多くの本属魚種で確認されてい
息 す る キ ュ ウ セ ン 属 の 1 種 ミ ツ ボ シ キ ュ ウ セ ン H.
る (Kinoshita,1934; 中園,1979)。キュウセン属にみられ
trimaculatus においては、成熟した一次雄から雌への性転
る一次雄は、雌と同様、成長とともにTP体色のなわばり雄に
換現象が野外と水槽飼育下で確認された(Suzuki et al. in
なるが(福井ら,1991)、雄として生涯を終える生活史である
press)。これらの研究により一次雄の雌雄異体説を見直す
ために性転換する能力をもたないものと考えられてきた (中
必要性が提起されたが、一次雄の雌雄同体性を示唆する例
園,1979)。このことは、ニシキベラ属Thalassomaなど他の多
はこの 2 魚種以外にはなく、また、性分化条件および性転換
くのベラ科魚類でも同様で、永らく一次雄は雌雄異体性であ
条件も未解明である。
ると考えられてきた(Warner and Robertson, 1978; Warner
一次雄が雌雄同体性であるためには、少なくとも以下の 2
and Hoffman, 1980a,b)。ただし、一次雄の雌雄異体性を積
つの条件が必要であると考えられる;1. 性転換する潜在的
能力をもつ。2. 環境からの刺激により性転換が誘導される。
1キュウセンの学名についてはParajulis poecilepterus
(Temminck & Schlegel) を有効とする見解も発表されて
いるが (Parenti & Randall, 2000, Ichthyological
Bulletin J.L.B. Smith Institute of Ichthyology, 68; 1-97),
本稿においてはNakabo ed. (2002) の定義に従った.
これまでに実施された野外個体群の生態学的な調査研究に
おいて一次雄の性転換が確認されていなかったことからも
(Warner and Robertson, 1978;中園, 1979; Warner and
Hoffman, 1980a,b; 福井ら, 1991)、2に関する直接的な検
で確認したところ、観察した生殖腺は 100 %の確率で精巣で
証は容易ではないことが想像される。実際に、キュウセンと
あったため、この判別法は信頼できると判断した。麻酔は
ホンベラの野外個体群で標識個体の履歴を追跡した研究で
FA100 を海水で 5000 倍に希釈したものを用いた。
は、一次雄の性転換がほとんど生じないことが確認されてい
捕獲
本研究では、6 月 24 日に広島県呉市倉橋町海越、
る(福井ら,準備中)。一方、第一の条件である性転換の潜在
7 月 9 日に愛媛県情島、7 月 15、22 日に広島県呉市倉橋町
能力の有無について検証しようとする研究はまだない。
本浦で釣りによりサンプリングした個体と、6 月 30 日に広島
先行研究から、ベラ科キュウセン属の性転換経路は、外
県呉市倉橋町木長鼻で潜水により網でサンプリングした個
因性の性ホルモンに対して感受性をもつと報告されている
体 を 用 い た 。 捕 獲 場 所 の 水 温 は 20-28 ℃ 、 塩 分 は
(表 1; Okada, 1964b; Higa et al, 2003)。雌性ホルモン
1.018-1.024 であった。
であるエストラジオール-17β(以下 E2 とする)を雌雄同体性
投与方法
先行研究により、魚類への性ホルモンの投与
の魚に投与すると、有効に作用して性転換を誘導できると考
方法には大きく分けて以下の 3 つがあることが報告されてい
えられている (表 1; Chang et al., 1995; CondeÇa and
る ; 1. 餌に混合する、2. 飼育環境水へ添加する、3. 体内
Canario, 1999)。よって、キュウセン属の一次雄に、人為的
へ注射する (表1; Pandian and Sheela, 1995; Piferrer,
に雌性ホルモンを投与し、一次雄の生殖腺が性転換し得る
2001)。このうち性ホルモンを餌と一緒に摂取させる方法で
かを検証することで、雌雄同体性についての手がかりが得ら
は、施術による個体への影響が少なくてすむ。だが、摂餌量
れるかもしれない。しかし、上述のように雌性ホルモンを一次
は個体によって異なるため、常に一定量の性ホルモンに個
雄に投与した実験例はいまだ報告されていないため、魚に
体を暴露することは難しい。施術時の個体への影響と一定
合った実験方法を新たに構築する必要がある。筆者らはキュ
量の性ホルモンへの暴露という観点から考えると、飼育環境
ウセンとホンベラを材料に、その目的で飼育実験を試行した。
水に投与するのがもっともよい方法のように思われるが、投
本論文では、その結果を報告し、ベラ類の一次雄への効果
与した水の処理等で環境を汚染する可能性がある。体内に
的な性ホルモン投与の方法について検討・提案する。
注射するという方法は、環境を汚染することなく個体に一定
量の性ホルモンを暴露でき、さらに実際に体内に入る性ホル
材料と方法
動物
モンの量を把握できるという利点もあるが、この方法は個体
本研究では、瀬戸内海に数多く生息し捕獲が容易な
に与えるストレスがもっとも大きい。また、体サイズが小さい
キ ュ ウ セ ン Halichoeres poecilopterus と ホ ン ベ ラ H.
魚種では施術が困難である。しかし、本研究では、上述の利
tenuispinisの一次雄を使用した。これらの種には、地味な
点と併せて、使用魚種が比較的ストレスに強いことと、体サ
IP体色の一次雄と雌、派手なTP体色のなわばり雄が存在す
イズが 100-200 mmと施術が比較的容易であることから、注射
る。キュウセンでは胸びれ基部に黒点があるものをなわばり
による投与方法を試みた。
雄、ホンベラでは背びれに黒点が 3 つあるものをなわばり雄
試薬
雌性ホルモンには、ベラ科魚類の生体内で実際に
と判断した (Kinoshita, 1934; 木下, 1935; 中園, 1979)。
合成されていると考えられているエストラジオール−17β (以
また、一次雄は雌と体色が同じで形態的には区別がつかな
下 、 E2. Lot M6G6010 、 nacalai tesque) を 使 用 し た
いため、雌雄を判別する必要がある。そこで、個体に麻酔を
(Nakamura et al., 1989)。E2 は粉末のため、何らかの溶媒
かけて腹を押し、精子を出した個体を雄と判断した (Morrey
に溶かして注射する必要がある。また、E2 はステロイドホル
et al., 2002)。雌雄判別法の信頼性を実証するため、精子
モンで脂溶性物質であるので、生理食塩水に溶かすことは
を出した個体 (n=8) の生殖腺の切片を作製し光学顕微鏡下
で き な い 。 よ っ て 、 coconut oil (SIGMA) も し く は cocoa
butter (LOT 08C0K05、 ナウフーズ) に混合して注射するこ
ながら撹拌した。E2 と cocoa butter の混合物は、実験中常
とにした。
時 40 ℃前後の湯の中につけて固まらないようにした。また、
coconut oil 及び cocoa butter のみを個体の腹部に注
cocoa butter の投与量の違いによって個体間でストレスに
射して、体内での状態を確認した。すると、個体の腹腔内で
差が生じないようにするため、処理間で個体の体重をそろえ、
coconut oil は液体だったのに対し、cocoa butter は固体
1 個体に対する cocoa butter 投与量の差をできるだけ小さ
だった。体内に固体として留まる方が、E2 は体内で長期的、
くした。各処理個体の体重は、0 mg/kg BW (コントロール) 投
かつ生理的に穏やかにはたらくと考えられるので、本研究で
与したキュウセンでは 17.87±6.97 g (n=5)、ホンベラでは
は cocoa butter を用いることにした。
15.38±4.38 g (n=6)、10 mg/kg BW 投与したキュウセンで
投与
先行研究より、雌雄同体魚への注射によるE2 等の性
は 18.48±7.60 g (n=6)、ホンベラ では 13.44±4.36 g
ホルモンの投与量は、1-10 mg/kg BW前後である (表 1)。本
(n=11)、25 mg/kg BW 投与したキュウセンでは 17.06±6.31
研究で使用する一次雄は、雌雄異体性といわれてきた魚で
g (n=12)、ホンベラでは 13.11±3.33 g (n=6)であった。
ある。よって、投与量は 10、25 mg/kg BWと先行研究よりも多
Kruskal-Wallis 検定により 0、 10、 25 mg/kg BW 処理間で
めに投与することにした。また、コントロールには、 cocoa
比較した結果、 各処理間における個体の体重に有意差はな
butterのみを注射することにした (0 mg/kg BW)。
かった(キュウセン、 H=0.11、 P=0.9; ホンベラ、 H=0.83、
cocoa butter の融点は 30-35 ℃で室温では固体である
P=0.7)。1 個体当たりの cocoa butter 投与量は、0 mg/kg BW
ため、湯煎で溶かしてから使用した。しかし、E2 は cocoa
(コントロール) 投与したキュウセンでは 90±30 μl (n=5)、
butter に溶けにくく、完全に溶解させることは不可能であっ
ホンベラでは 80±20 μl (n=6)、10 mg/kg BW 投与したキュ
た。そのため、E2 を cocoa butter 内に均一に拡散させた状
ウセンでは 90±40 μl (n=6)、ホンベラでは 70±20 μ
態で使用することにした。
l(n=11)、25 mg/kg BW 投与したキュウセンでは 90±30 μ
個体への影響を考えると、cocoa butter の投与量はでき
l(n=12) 、 ホ ン ベ ラ で は 70±20 μ l(n=6) と な っ た 。
るだけ少ない方が望ましいので、E2 は cocoa butter になる
Kruskal-Wallis 検定により 0、10、25 mg/kg BW 処理間で比
べく多く拡散させる必要がある。そこで、始めは 1 kg BW 当た
較した結果、 cocoa butter 投与量に有意差はなかった(キ
り cocoa butter を 1.5 ml 投与する目的で、cocoa butter
ュウセン、 H=0.035、 P=0.98; ホンベラ、 H=0.83、 P=0.7)。
1.5 ml 当たり E2 10 mg を混合してみた。だが、この混合比で
注射器はテルモシリンジ 予防接種用 1 ml (TERUMO)とテ
は、E2 を cocoa butter 内に均一に拡散させるのは難しかっ
ルモシリンジ ツベルクリン用 1 ml (TERUMO)を用いた。1 個
た。次に、1 kg BW 当たり cocoa butter 5 ml を投与する目
体当たりの投与量は 10 μl 単位のため、最小目盛りが 10 μ
的で、cocoa butter 5 ml 当たり E2 10 mg を混合すると (10
l であるツベルクリン用の注射器のほうが使いやすかった。
mg/kg BW)、比較的容易に混合できた。よって、cocoa butter
の投与量は 5 ml/kg BW とした。
注射針は TERUMO NEEDLE 18G×1 1/2”(1.20×38 mm)、
21G×1 1/2”(0.80×38 mm)、23G×1 1/4”(0.65×32 mm)、
cocoa butter 投与によってうけるストレスの個体間差が小
24G × 1”(0.55 × 25 mm) 、 25G × 5/8”(0.50 × 16 mm)
さくなるよう、 cocoa butter 投与量は体重当たり一定にした
(TERUMO)を用いた。注射針が太いと個体に針が刺さりにくく、
い。そこで、投与する E2 量を変えたいときは、cocoa butter
注射針が細いと粘性のある cocoa butter を体内に注入しに
量当たりに混合する E2 量を変化させた。したがって、0、 10、
くかった。検討した結果、TERUMO NEEDLE 23G×1 1/4”(0.65
25 mg/kg BW を投与する場合は、cocoa butter 5 ml に対し
×32 mm)(TERUMO)がもっとも注射しやすかった。
て E2 をそれぞれ 0、10、25 mg 混合し、40 ℃前後の湯で温め
注射をする際、個体が暴れ、注射針で傷つけてしまう可能
性があるため、個体を長めに麻酔薬の中に入れてしっかりと
のみ有意差がみとめられた(P=0.04)。一般的に多くの魚種
麻酔を効かせた。本属は体表が粘液で覆われているため、
で合成性ホルモン処理による死亡率の増加が確認されてい
施術時に滑らないように個体を布または紙でつつみ、手で個
ることからも (Pandian and Sheela, 1995)、25 mg/kg BW
体を持って注射した。注射針は、内蔵を傷つけないように腹
処理個体の高い死亡率に E2 が関与している可能性がある。
部胸びれの下付近に浅く刺した。両体側各 2 箇所ずつほぼ
高濃度 E2 の投与による栄養状態の悪化が死亡原因とな
等量を注入し、左右で混合物量に偏りが出ないようにした。
っているのかを検討するため、摂餌量を反映していると思わ
注射から約 4 時間後に個体を解剖してみると、cocoa butter
れる飼育前後の体重の増加量及び飼育後の体重当たりの
は腹腔内に左右ほぼ均等に留まっていた (n=8)。また、注射
肝臓重量 (HSI)について調べた。飼育前後の体重の増加量
により内蔵が傷ついた様子は見られなかった (n=8)。麻酔が
は、0 mg/kg BW (コントロール) 投与したキュウセンでは
体内に残っていると個体に負担がかかるため、個体を麻酔
32.35±17.40 g (n=4)、ホンベラでは 18.28±5.62 g (n=5)、
から覚ます際は、個体が動けるようになるまで流水の中にお
10 mg/kg BW の投与したキュウセンでは 0.30±6.35 g (n=4)、
いて、完全に麻酔から覚ましてから水槽に戻した。
ホンベラでは 12.59±13.97 g (n=5)、25 mg/kg BW 投与し
飼育
瀬戸内圏フィールド科学教育研究センター竹原ステ
たキュウセンでは 12.28±13.35 g (n=3)、ホンベラでは
ーションの屋外にて、海水が常時供給される状態にして 1 t
1.37 g(n=1)となった。処理間で統計的に比較したところ、キ
の水槽に同じ処理をした個体をまとめて飼育した。えさは、1
ュウセンでは 0 mg/kg BW と 10 mg/kg BW 処理間で有意差が
日 1-2 回冷凍オキアミを解凍して与えた。飼育時の水温は
みられた (Mann-Whitney U-test、 P=0.02。 ただし、25
20-28℃、塩分は 1.024-1.0245 で、野外とほぼ同じ環境であ
mg/kg BW 処理グループは個体数が足りなかったため検定で
った。一次雄が性転換に要する時間はわかっていないため、
きなかった) 。一方、ホンベラでは有意差はみとめられなか
実験開始から本属の繁殖期間終了までの 8 月上旬から 10
った (Kruskal-Wallis 検定、 H=4.4、 P=0.1)。また、HSI は、
月上旬にかけて 7-8 週間した。前述のように、飼育水槽間に
0 mg/kg BW (コントロール) 投与したキュウセンでは 1.18±
おける個体の体重に有意な差はみられなかったことから、水
0.15 % (n=4)、ホンベラでは 0.92±0.35 % (n=5)、10 mg/kg
槽間で個体のおかれた飼育環境はほぼ一定であったと考え
BW 投与したキュウセンでは 1.28±0.39 % (n=4)、ホンベラ
られる。
では 0.96±0.59 % (n=5)、25 mg/kg BW 投与したキュウセ
ンでは 1.43±0.42 % (n=3)、ホンベラでは 1.22 % (n=1)と
結果と考察
なった。処理間で Kruskal-Wallis 検定により比較したところ、
実験終了時まで生存した個体数は、0 mg/kg BW (コントロ
キュウセン、ホンベラともに有意差がみとめられなかった (キ
ール) 投与したキュウセンでは 5 個体中4個体、ホンベラで
ュウセン、 H=0.48、 P=0.8; ホンベラ、 H=0.55、 P=0.8)。
は 6 個体中 5 個体、10 mg/kg BW 投与したキュウセンでは 6
以上の結果より、コントロールと E2 処理個体間で有意差がみ
個体中 4 個体、ホンベラでは 11 個体中 5 個体、25 mg/kg BW
られなかったため、摂餌量は 25 mg/kg BW 処理個体における
投与したキュウセンでは 12 個体中 3 個体、ホンベラでは 6
高い死亡率とは関係がないと考えられる。
個体中 1 個体であった。死亡した個体の胸びれ基部には炎
死亡した個体の胸びれ基部の炎症から、何らかの菌に感
症が確認された。個体の生存率について Fisher の正確確率
染したことが死亡原因である可能性も考えられる。その場合、
検定を行ったところ、キュウセンでは 0 mg/kg BW と 25 mg/kg
E2 過剰投与による免疫力の低下など体調の悪化が 25
BW の処理間にのみ有意に近い差がみとめられた(P=0.0599)。
mg/kg BW 処理個体における高死亡率の一因となっているの
ホンベラにおいても 0 mg/kg BW と 25 mg/kg BW の処理間に
かもしれない。
いずれにせよ、高濃度 E2 の処理により死亡率が増加した
Carlisle SL, Marxer-Miller SK, Canario AVM, Oliveira
ことから、E2 投与量は 10 mg/kg BW が適当であると考えられ
RF, Carneiro L, Grober MS (2000) Effects of
る。
11-ketotestosterone
on
genital
papilla
morphology in the sex changing fish Lythrypnus
dalli. Joural of Fish Biology 57: 445-456
謝辞
実験個体の飼育にあたり、支援してくださった瀬戸内圏フ
Chang CF, Lau EL, Lin BY (1995) Estradiol-17 β
ィールド科学教育研究センター竹原ステーションの大塚攻教
suppresses testicular development and stimulates
授、小路淳助教授、岩崎貞治技官、学生のみなさんに厚くお
sex
礼申し上げる。
Acanthopagrus schlegeli. Fish Physiology and
reversal
in
protandrous
black
porgy,
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Charnov EL (1982) The theory of sex allocation.
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