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中国人研修生と受入側日本人の生活と文化変容 (2)

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中国人研修生と受入側日本人の生活と文化変容 (2)
Kobe University Repository : Kernel
Title
中国人研修生と受入側日本人の生活と文化変
容(2)(chinese trainees and host japanese:their life and
acculturation(part 2))
Author(s)
浅野, 慎一
Citation
神戸大学発達科学部研究紀要,2(1):65-94
Issue date
1994
Resource Type
Departmental Bulletin Paper / 紀要論文
Resource Version
publisher
DOI
URL
http://www.lib.kobe-u.ac.jp/handle_kernel/81000177
Create Date: 2017-04-01
神戸大学発達科学部研究紀要
第 2巻 第 1号 1
9
9
4
中国人研修生 と受入側 日本人の生活 と文化変容 (2)
浅 野 慎 一*
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第 3章 研修生の研修過程 と問題
さて、以上のよ うな受 け入れ側企業 ・農家 と中国人研修生 とが、実際の研修場面で出会 うことにな
る。以下、研修場面で、いかなる問題が生 じているのかをみてい こう。
第 1節
研修内容の実態 と問題
まず研修 内容 とそ こでの諸問題 を検討す る。
第 1項
企業研修の内容 と諸問題
受け入れ企業の業種内容 と企業研修生の専門 との間には、い うまで もな く、一定の関連がある。例
えば、テ レビ設計技師の研修生が電気通信機械製造企業 に、電器製造企業主の研修生が電子機械製造
企業 に、そ して国営 ホテル社長の研修生がホテルにそれぞれ配置 されている。 また業種的に必ず しも
関連がな くて も、例えば コンピューター技師の研修生が鉄工加工企業で コンピューター ・ソフ ト作成
の研修を受 けるなど、職種的な関連が配慮 されている場合 もある。
ただ し企業研修生 には、前章第 2節第 1項で指摘 したよ うに、技術者 よ りもむ しろ国営 ・個人企業
の経営管理者が多い。受 け入れ企業側か らみ ると、技術者だけを受け入れている企業 は皆無で、 どの
企業 も最低 1人以上の経営管理者を受 け入れているのである。そ こで受け入れ企業 は、研修生の意向
を汲み、狭義の生産技術 よ りむ しろ経営 ・生産管理の方法を学ばせたいと考えている。最 も学んで ほ
経営管理 」、 2社が 「
生産
しい こととして 「
生産技術」を掲 げる企業 は皆無であ り、 6社中 4社が 「
管理」を掲 げているのである (
表 3- 1)(
辛)
。
・特に機械製造企業とホテルは 「
経営管理」を、電機製造企業は 「
生産管理」を学んでほしいと答えている。
む しろ経営管理の学習を彼 らも望んでいる。できれば研修生の希望に合うようにしたい
《
機械製造企業》 「
ので、日本の企業の仕組み、経営の仕組みを学んでほしい。個々の技術より、日本の経営の仕方、中国と
研修生は、作業を覚えるのではなく、経営に関して学ぶことが目的で来て
日本の違いを学んでほしい」 「
いる。だからそれに応えられるようにしたい。競争社会の中で生き残る方法や管理の仕方を教えたい。受
け入れ企業でも月 1回集まり、企業管理を教えようと話 し合うんだけどね」。
日本の品質管理 ・生産管理の方法を学んでほしい。精度が高 く品質的に安定 していない
《
電機製造企業》 「
とだめ。どういう所に注意 しているのかを見て欲 しい。NI
ESの製品が安 くてはやったが、みんなが買 うも
のではなくなった。安かろう、悪かろうではなく、日本の品質安定をみてほしい。安定 していいものを作
る.日本の品質管理は個人のベースになっている。そうした個人能力そのものも中国とはかなり違う」0
・神戸大学発達科学部社会環境論講座
-
65
-
第 2巻第 1号
神戸大学発達科学部研究紀要
表 3-2)。
いる (
4時間ずっ」行 っている企業か ら 「
研修
といえ る研修 は特別 に した ことが ない」
企業 まで、多様 である。 しか し6社 中5
社 は、何 らかの学科研修 ・見学研修を実
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○○
そ して こうした受け入れ企業側の努力
は、研修生側 に も、概ね肯定 的に評価 さ
○
○
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理者の研修生 は、 日々の実地研修で経営
○
・生産管理 に関す る様 々な知識を学 び、
役立つ と感 じて い る。学科研修 について
○
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れてい る。特 に国営 ・個人企業の経営管
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週 2回、 3学科研修 や見学 研修 は、 「
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示会や他企業の見学等で ある。 こうした
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管理 ・経営管理 に関す る講義、機械の展
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第 2は、研修生 のために特別 に用意 し
たOFF ・JTで、 コンピュー ターや生 産
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製造企業での部 品製造、車両製造企業で
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の歯車作成 ・商 品計算 ・旋盤、電子製品
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、産業機械製造企業で
機械工作 ・プ レス
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第 1は、 日常 的な生 産 ・管理業務遂行
の 中 でOJTとして行 わ れる実 地 研修 で
あ る。 例え ば 鉄 工加 工 企 業 で の コ ン
ピュー ター ・ソフ ト作成 や溶接機械操作
・商品棚卸 し、 電機製造企業での旋盤 ・
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は、主 に 2通 りの方法で研修 を実施 して
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この よ うな研 修目的 に基づ き、各企業
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も、彼 らは、 「
経 営 についての授 業は役
立 っ 。例え業種が違 って も、企業 の経営
管理 について は同 じ点が あ る」 と積極 的
*
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。
に評価 して いるのである(
・経営管理者の研修生における肯定的評
以下の通 りで
価の具体例は、
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春仲
ある。 「今
は商品 ・部品の棚卸 しをしている。棚
卸 しその ものではな くて、それを通 し
て日本の製品の種類の多さや工夫の競争がわかるので勉強になる。競争の結果、メーカーとして 1パーツ
のコス トも安 いし、別の会社にないものを作 ろうとしていることがよくわか る。競争がないとどうして も
商品の種類が少なくなると感 じた」 「
今後 は事務室に入 って新聞や資料の分析をする。私は技術より経営
・販売の勉強をしたい。だか ら新聞や会社の資料を見るのは勉強になる。今、勉強する環境はいいです。
-
66 -
中国人研修生 と受入側 日本人の生活 と文化変容 (2)
表 3-2 研修内容
来 日直前職
企
① 技術者
莱 ② 技術者
③ 技術者
歯車の作成 .商品の計算
実地研修 内容
研修で行 った機関
(
過 2回)生産管理 .技術 .営業等 他の企業
コンピューターソフ トの作成
(あま りない) コンピューター関係 他の企業 .展示会
旋盤 .機械工作 .プ レス
学科研修内容
(な し)
④ 個人経営主 旋盤 .企業管理
経営管理
⑤ 個人経営主 電子 .電機製造
(な し)
⑧ 管理者
⑦
⑥
生産管理
案 内 .サー
.企業資料
ビス .宿泊部門
の分析
⑲ 管理者
@
鋼鉄の溶接機械操作
旋盤
商品の棚卸
.機械工作
し
.
(な
あま
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他の企業 .機械展示会
酪農作業一般 .トラクター操作
(な し)
他の企業
農業機械企業
農業大学 .農業高校 .共振会 .
業 @
農
(
丑 自営農民
④ 農業技術者 酪農作業一般
経営管理
(あま りない)
.サー ビス
他の企業
サイ レージ
@ 農業技術者 酪農作業一般 .トラクター操作 牛 の管理
⑤
④
⑥ 農業技術者 養鶏作業一般
酪農作業一般
フ
トラクター等機械操作
ォーク リフ ト
.等機械運転
他の企業
農協
農業試験場
(
少
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⑦ 農業技術者 酪農作業一般
トラクター等機械操作
.トラクター運転
.
⑧
(な し)
⑨ 農業技術者 酪農作業一般 .トラクター運転
(な し)
地区共振会
他の農業
実態調査 よ り作成。プライバ シー保護のため、ケースNOは表毎 に不統一。
私にはちょうど合っている。自分の仕事、経営の勉強にはちょうどいいです」 「
仕事をやる中で教わるだ
けでなく、授業を受けて勉強するのは、役にたっている。経営についての授業は役立つ。例え業種が違っ
ても、企業の経営管理については同じ点がある。研修中、仕事のやり方や生産管理等、自分の役に立っこ
とがあると実にうれしい。少 しでも自分の役に立っことを勉強して祖国に帰ってから国家と会社に力を尽
くした い 」。
また受け入れ企業側 も、
研修生の資質や態度を「
意欲的でま じめ」と高 く評価 している(
蓑 3-3)。
すなわち受け入れ企業 6社中 5社 は、研修生を、 「日本にきて意欲的に技術向上を望んでいる。 日常
の研修 もま じめ。熱心で とて も前向き。国を 1年あけて来ただけの ことはある。 レベルが高い人、そ
れなりの幹部 クラスが選ばれて きている」 「日本人より熱心 と評判だ。研修生 には責任感がある。 自
分は選ばれて きているので、 日本で学んだ ことを必ず生か していかな くてはとい うことを自覚 してい
彼 らには勉強 しようという態度が強い」等 と評価 しているのである。
るとい う感 じがす る」 「
しか しなが ら、企業研修の内容をめ ぐり、様 々な問題が存す ることも、また事実である。
まず第 1に、受け入れ企業 と研修生の業種 ・専門性には一定のギ ャップがある。 もちろん前述のよ
-6
7-
神戸大学発達科学部研究紀要
第 2巻第 1号
うに、両者 の間には基本 的に
は関連が あ る。 しか し、受 け 表 3-3 研修生の経歴や資質 ・専攻基準について
入れ企業が北海道 の中堅企業
群であ るの に対 し、研修生 は
業種
中国全国の膨大 な希望者か ら 企 a 機械
選抜 されて きた。 そ こで受 け 莱 ② 機械
入れ企業 の業種 内容 は、研修
生の専門性 の高度 さや幅広 さ
に十分 に見合 うもの にな りえ
来 日直前職
意欲的
ま じめ 研修 目的 と合わ ない
違
専門が
う 技術者
でない 農民で
ない 技術水
準低 い その他
技術者 .管理者
技術者 .個人企業主
③ 機械
管理者
⑤ 電機
④
技術者
個人企業主
.管理者
@ ホテル 管理者 .管理者
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
経営の研修 は困難
て いない。 このギ ャップは、
農(
丑酪農
自営農民
学習意 欲が ない
特 に高度 な専門を もつ技術 者
業 ② 酪農
自営農民
NA
の研修生 に とって深刻 な問題
○
○
その他
〇
○
○
○ 経営
生産 内容が違
関係 の違 い
う
○
その他
○
○
④ 酪農
農業技術者
③
⑤
⑧ 酪農
⑦
⑥
農業技術者
@ 酪農
⑲
⑪ 酪農
であ る。 コンピューター技師
の よ うに、 あ る程度汎用性が
あ る技術者 の場合 はまだ良 い
が、 しか し例えば、精密機械
○
技師の研修生が歯車製造 や商
品計算の研修 を していた り、
テ レビ設計技師の研修生が旋 実態調査より作成oプライバシー保護のため、ケ-スNOは表毎に不統一。
盤や一般工作機械 ・プ レスの
研修を して いる事例 もあ る2)。このよ うな業種 ・職種的ギ ャップは、受 け入れ企業 と研修生 の双方で、
大 きな問題 とな って いる。受 け入れ企業側で は、少 な くとも 6社 中 4社で、 「
専門が違 い、研修 目的
と合わない」 との指摘があ る。 また研修生側で も半数が 「
専門が違 い、研修 内容が役立 たない」 と述
べてい るのであ る (
表
3-4)(*)。
・業種 ・専門のギャップを指摘する企業側 ・研修生側双方の典型事例は、以下の通 りである。
《
企業》 「もともとやってることが違 うか らね。彼の専門と。そのへんのギャップを本人 ももっているので
はないか。仕事を覚えて帰ろうという場合、実際にやっている作業 ・仕事内容 と向こうでやってた仕事が
違 うので、帰 ってか ら直接役に立たないという意味で悩んでいるのではないか。端的にいえば、 もっと企
業に合 う人を受け入れたい。現在 は違 う業種に来ているか ら、乗 る方 として も目的意識が薄れちゃうで
しょ。受け入れる会社の業種は決まっているんだか ら、来る人にもっと選択権がないと、 こういう問題が
おこるん じゃないか。こっちも教える目的がどこにあるか、見えな くなって しまうってことだね。どうせ
なら、同 じ業種の人にきてほしい。そうすれば学んだことが帰 って直接役立つ し、帰 ってからも取引、お
受け入れ企業自体に全部希望に添えるものが揃 っていないので振 り分けること
っきあいできるで しょ」 「
になる。研修生を適当な企業に振 り分けたので、希望通 りではない。今後はもっと合 う人を。希望に合 っ
たのは、ホテルとコンピューターくらいで希だと思う。こういう企業があるか ら募集するというのでな く、
まず適当に日本に来たい人を集めてよりす ぐって試験 して派遣 してきた。 こちらの業種は知 っているはず
なんだけどね。研修生の学びたいことを来日前にちゃんと知 っておかないと、双方にとって期待はずれに
なる。溶接やコンピューター等いろんな分野か ら来ているので、技術的にこれを学んでほしいといって も
特に限定できない。直接的な技術については、研修生の専門とは全然違うから難 しい」。
研修内容について、予想 とは全 く違 った。私が欲 しいのは電気技術。なぜ機械工作ばか り
《
企業研修生》 「
させ られるのか、何度 も聞いてみたが、企業の人にもよくわか らない。来 日前に、希望する研修内容は渡
してあるので、受け入れ機関 も知 っているはず。なぜ間違 ったのか、私にもわか らない。自分の国の仕事
-
68 -
中国人研修生 と受入側 日本人の生活 と文化変容 (2)
表 3-4 研修内容に対する評価
来 日直前職 研修先 研修内容が役立つとは思えない
増や しては しい もの
違
専門が
う 技術水
準格差 少ない
学科
単純
労働
その他
莱
企
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③
(
チ 技術者
機械
電機
⑨
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⑦
⑥
⑲ 管理者
業 @
農
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丑 自営農民
電機
機械
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社会体制の逢い
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×
社会体制の違い
○ 実習 レベルの向上
○
経営が学びづ らい
×
酪農
@
③
⑦ 農業技術者 酪農
⑥
⑤
養鶏
研修
学科 研修
見学 その他
×
個人経営主 機械
L
④
S
l個人経営主
電機
実習が
きつい
〇
○
×
○
○
×
〇
○ 学科研修時期を適切 に
×
実態調査 よ り作成。 プライバ シー保護のため、ケースNOは表毎 に不統一。
に関係あることを勉強させてはしい。この会社は機械関係で、
私の専門は電気関係。困っている。 もし帰っ
たら、どんなレポー トを出したらいいのか。1年間が無駄になって しまう。せっか く日本に来たのに。めっ
たにない珍 しいことなのに、残念だ。普段はボール盤など簡単なことしか しないし、 しかも他人が調節 し
てから使っている。私はもっとレベルの高いことがやりたい」
第 2に、経営 ・生産管理の研修 に重点を置 くとい って も、現実 には、それを 日常的 ・組織的に行 う
ことは極めて困難である。そ こで最 も日常的には、 ボール盤 ・旋盤 ・プ レス ・機械工作等、生産実務
の実習が実施 され ることになる。 もちろん こうした実習 は、経営管理の基礎 になる側面を もつ
。し
3)
か し多 くの場合、業種的帝離があ り、 しか も研修期間が 1年間に限 られている状況下で生産実務の実
習 に多 くの時間を割 くことに、研修生 は不安 と不満を抱 いている。特 に経営管理者の研修生 は、 「こ
こで は経営の勉強 はで きない」 「
体力の仕事ばか りで、管理の仕事をあま りや っていない。管理 につ
いて教え られ ることが少ない。 もっとた くさん教えて ほ しい」 と不満を述べている。他方、受け入れ
企業側か ら見れば、 これ は、本当に技術を学ぶべ き技術者で はな く、経営者が研修生 として来 日す る
ことに基づ く問題である。 「
今回は技術者 とい うよ り経営者だ ったので、今後 はもっとハイ レベルな
技術者をよ こして ほ しい。派遣団体 は研修 目的を もっと明確 にすべ き。技術者 より経営者が多いので
は目的に合わない」「
今、来ている人は幹部 クラスの人が多 く、実際に ものを作 る仕事を して いない。
もっと技術者を遺 してほ しい」等 は、その実例であ る。
第 3に、学科 ・見学研修の困難 さも、大 きな問題である。学科 ・見学研修の実施状況 は、前述のよ
-
69
-
神戸大学発達科学部研究紀要 第 2巻第 1号
うに企業毎 に差がある。 しか し総 じて受け入れ企業は中小企業で、 しか も各企業で受け入れ る研修生
は 1- 2名にとどまるため、独 自の教育カ リキュラムを用意することは困難で、やはり日常的な生産
JTが中心 となる。 「中小企業だか ら日常の業務をや りなが ら教えてい くしかない」
業務の中での O
「うちの クラスの会社だ ときちん とカ リキュラムを組んで という余裕 はない」 「
特別 に研修 したとい
JTは、あ
うことはない。教え るとい うよ り学んで ほ しい」等が実情であ る4)。 もとよ りこうしたO
くまで労働ではな く、採算を度外視 した研修ではある5)。 しか しそれにもかかわ らず、企業研修生 1
0
名中 6名までが 「
学科研修がない」または 「
あまりない」 と述べ、 7名が学科研修や見学研修を 「もっ
と増や してほ しい」 と希望 している(
*)
。
・学科 ・見学研修の増加を求める企業研修生の具体例は、以下の通りである。 「
自分の思い通りにならない
ことは、学科研修をもっと増やすことだ。学科研修を増やしてほしいし、他の企業をもっと見学 したい。
中国語で 『
研修』とい
日本に来てから、毎日全部いっも働 くばかり。これは規定と違う。印象が悪い」 「
えば、半分以上は勉強の意味。日本では違う。他の会社をもっと見学 したい。学科研修をもっと増やして
0
人で一緒に授業をしてほしい。企業管理のことなど。企業に 1人 しかいな
ほしい。帰国前に一度研修生1
いからあまり学科研修がない」0
そ して第 4に、日中の生産関係 ・企業形態のギ ャップ も、
特 に国営企業管理職の研修生 にとっては、
一定の問題 とな っている。すなわち 「
経営管理を学んでいるが、それが全部中国にあてはまるわけで
はない。社会制度が違い、中国は難 しい。 日本の社長の仕事 はやさ しい。 日本 は経済が安定 している
し、生産 と会社経営の ことだけ考えていればいい。福祉の ことを考えな くて もいい。中国の社長 は難
しい。中国では会社毎に食堂か ら幼稚園までそろっていて、中国の社長は社員の食物の分配か ら子供
の世話まで、生産 ・生活の全体の ことを考えなければな らない。退職後の老人の生活 も会社でみるの
だか ら、その人達の福祉 も考えなければな らない」のである。
第 2項
農業研修の内容 と諸問題
さて次に農業研修 について見 る。
殆 どの受け入れ農家は、前述のように、当初か ら研修生 に 「1人前の労働力」を期待 しているので、
来 日直後か ら乳牛の除糞 ・英数 ・給餌 ・子牛の授乳など飼養管理、牧草管理 ・収穫 ・乾燥 ・サイ レー
ジ等、酪農作業一般 に従事 させている6) 。中には 「
研修手当が安すぎるってい うけど、 こっちに して
0
0
万円以上かけて るんだか ら、遊んでいて もらっては困る」 「
危険な仕事 はさせてな
み りゃ、年間 1
いよ。 こっちか ら見れば楽な仕事ぽっか り。ま ぁ彼には辛いんだろうけどね」 と語 る農家 もある。ま
た 「トラクターの運転はだめとい うことになっていますけど、 うちでは乗せてます。それによって動
作が鈍いのがカバーで きますか ら」と無免許で トラクターを運転 させ る農家 も多い。研修生側 に聞い
2名中1
0名が トラクターや
て も、 ほぼ同様の研修内容が うかがえる。すなわち酪農作業一般 に加え、1
トラック等の操作運転を学んだ と述べているのである。
受け入れ農家の多 くは、
研修生 に対 し、 「
特 に学んでほ しいことはない」、あるいは 「
勤勉 と努力」
を学んでほ しいと考えている(
*)
。 いずれにせよ、 「
先進技術を学びたい」 とい う農業研修生の要求
とかみ合 っているとは言いがたい。
・「
特に学んでほしいことはない」という受け入れ農家の事例は、 「
たった 1年だから、日本の生活に慣れ
日本で一生懸命やったか
て、それで終わり。半分は彼 らもハクをっけに来るというのもあるんだから」 「
らといって、向こうで同じことができるわけでもない。向こうに機械があるわけでもないし。帰国して日
本と同じことをしなさいというわけでもないから、特に学んでほしいことはない」 「1年でそんなにあれ
これできるわけがないし、言葉の問題もあるから、とにかく1年過ぎるのを待つだけ。農業自体に教える
-7
0-
中国人研修生 と受入側 日本人の生活 と文化変容 (2)
ことはない。技術水準に違いはないし、牛の乳の搾 り方 も本に書いてある」等である。 「
勤勉と努力」を
学んでほしいとする受け入れ農家の事例は、 「
私が研修生に言いたいのは、日本が戦後 これだけ伸びたの
は、力を合わせて努力 したんだということ。その点は知ってはしいね。遊んでたら、これだけ発展 しない
んだ し。日本は敗戟国だったんだから」 「
日本人は勤勉だから経済成長 したということを総体的に学んで
ほしい。日本にきて、どんなっらいことにも耐えられるだけの力をつけて、甘えをなくしてほしい。中国
では厳 しいことでも、日本ではそれ以上のことをやってきた。日本にきたときは彼 らは肉体的にもネコ車
ももてないのだから」 「日本では中国から見たら何十倍 も働 くけど、とにか く大変だけど頑張れと教えた
い。そうすれば、いっか役立つから一生懸命に頑張れと言いたい」等である。
しか も農業研修で は、企業研修以上 に実地研修の比重が高 く、学科 ・見学研修が少ない。 もちろん
受 け入れ機関や農家では、来 日時 3日間の学科研修をは じめ、農業試験場や農協、農業大学、農業高
校、農業機械工場、
他の農場等 々で、見学研修や学科研修 を実施 している。 また農業研修生の中には、
牛の飼養管理やサイ レー ジ、 トラ ックなど機械の使 い方 を学科研修で学んだ り、あ るいは 「
実際に自
分でや ってみ ることが役 に立 った。中国で は自分でや らないで本ばか りだ ったか ら」 と述べ る者 も存
す る。 しか しなが ら、事前契約で は 1年 に約 10日間の見学研修 と約 2週間の学科研修が定め られてい
るが、それ は必ず しも守 られていない。そ こで農業研修生の中には、学科研修が少ない ことに対す る
不満が大 きい。少な くとも1
2
名中 8名の農業研修生が、学科 ・見学研修 の増加 を希望 して いる(
*)
。
他方、受け入れ農家の側か ら言えば、現状以上 に学科 ・見学研修を増やす ことは、 「
労働力不足解消
のために研修生を入れた」 とい う動機か らして困難である。農家の多 くは、 「
学科研修 はで きるだけ
した くない。時間がかか って しま うし、みんな 『
あんな ものやめて くれ』 と怒 って」お り、 「これ以
上、学科研修で空 白がで きるな ら、 もう受 け入れ る気はない」のであ る7)。
研修を受けながら本でも
・学科 ・見学研修の増加を求める農業研修生の意見は、以下の事例に示される。 「
勉強する、つまり理論と実践を連携させるのが研修なのに、今は働 くばかりで、理論について、まだはっ
きりしない。学科研修の時間が少ない。日本の生活のことではなく、牧畜や農業の技術の研修をもっとし
0日とれ、交流協会の研修は 2週間とれることが
てほしい。中日の合議文では、見学研修が農場で 1年に1
決められているが、それを守っていない農家が多い。できるだけ研修生を連れて道内の有名な専門的工場、
乳製品加工や飼料配合会社を見学させてほしい。協会の人に何度 も言っているが受け入れられない。日本
政府法務省によれば、 1年の中で 3カ月の研修期間がなければならないのに、協会はこれをしない。それ
をちゃんとしてほしい。牧畜方面の工場見学や学習があまりに少ない。本当の研修時間を長 くしてほしい。
初めきたときは驚いた。学科研修がな くて 『
実習生』みたい。
一日中働 くばかりで学習時間が少ない」 「
一生懸命頑張ったが、今でも本当の 『
研修生』になりたい。 1年中仕事ばかり。時間があれば見学や学習
を多 くしてほしい。集まって見学に行 くことが一度 もない。牧場の比較や酪農の見学研修が したい。 2カ
月に一度位は、研修生を集めて試験や調査をしてはしい。日本語や農業機械の専門知識について。学科研
修の時間が少ない」
ただ し、 このような農業研修 も一概 に単純労働 とはいえない。 なぜな ら、農業 は、単 に知識 と して
学ぶだけでな く、実際に牛 に接 し、一頭一頭の個性を含 めて体験で覚える しかない要素が多 い。 また
受 け入れ農家の世帯主 自身、アメ リカや 日本国内で同様の研修を積み、
一人前の酪農家 に育 って きた。
そ して何 よ り多 くの受け入れ農家 は、基本的には技術研修生 を重要な労働力 と して位置づけつつ も、
「
せ っか く勉強 にきたのだか ら」 と、多忙 な中を研修生 に付 きっきりで指導 し、 リスクの大 きい搾乳
*)
。
作業を敢えてや らせ、 自 らの経営戦略 について話す等 々、様 々なOJTを行 っている(
・こうした農業の特質や受け入れ農家の指導に関する事例は、以下の通 りである。
-
71-
神戸大学発達科学部研究紀要 第 2巻第 1号
「
目的は酪農の勉強なんだか ら、 もしわか らなかった ら聞きなさい、一生懸命やれといっている。酪農研
修に来た以上、その日か ら搾乳はさせる。ある程度心配はある。機械をぶつけたりして乳房炎などで 1本
だめにすると1
0
万円の損失になる。で も、 これは覚え られる技術だ。未熟な研修生にはや らせない農家 も
あるが、 うちではさせている。金よりも技術指導を重ん じている。農業は、実際に牛に接 してや らないと
牛に蹴 られて仕事できません』とか言 って も、そんなことは本には書いていない。実際、や っ
だめだ。 『
2
0日、 3日に 1日にして くれと言 ってきている。本当に本で勉強
て知るしかない。法務省は、集合研修を1
できるものな ら、中国に本を もって行 ってやればよい。 日本にいる間は、実地の勉強を した方がよい」
「
単純労働 と見 られるとつ らい。建設や ビル工事等、他の業種 とは違 う。アメリカで農業研修 して帰 った
人が成功 していることを見て もわかる。農業は、普段の仕事の中で経営全般について研修で きる。私 は、
手作 り農業の考え方か ら消費者ニーズに合わせた乳成分まで教えている。ただ仕事をす るだけではない。
こういう餌でないとだめだとか、濃度の関係の本を見せた りしている。世論 として も、研修生の受け入れ
と農業の特質に理解を盛 り上げて もらわないと困る。行政にもしっか り理解 してほしい。現在、 日本で酪
農で生 き残 っている人は、みんな勉強 して耐えてきた人だか ら、そこに、祖国に帰 って農業をやろうとい
う人が来れば、絶対に勉強になる。学科研修は悪いとはいえないが、体験 しなければわか らないことも多
い。貴重な 1年間の 4カ月 も学科研修するのはもったいない し、残 りの 8カ月では日本の農業の一部 しか
わか らない。それで もやるのな ら、 日本か ら中国に講師を何カ月で も派遣 して徹底的に指導すればいい。
コス トの高い日本で机の上の勉強させるのはもったいない。 日本に滞在す るのは莫大な費用がかかる。受
研修にきたのであって労働ではない』 と言わ
け入れ側の負担が大変になる。実際にきて 『
労働ですか』 『
れ、 2- 3カ月議論 してやっとわかって くれる。初めか ら農業研修の内容について しっか り説明 しておい
て もらいたい。来てか ら、 『これは労働だ』とか言われると疲れる」
「
本や資料、品種改良など机の上の勉強は、中国にいて もできる。実際に農業経営をやるときは、学科だ
けではだめだ。農業高校の時、花 ・果樹など何で も一応や ったが、そういうことは初歩の初歩であり、何
十年積み重ねて も農業経営はできない。実際の労働 と知識が組み合わされないと経営はできない。研修生
は、学者 と労働者の両方をや らないとだめ。スポーツと同 じで、農業 も体験実習、体で覚えたことが一番
重要。それと経営者 としての考え方が身につけばよい。経営者 としては、人にや らせる能力があればよく、
自分が実際にやる必要はない。経営者 としてのより高度な技術を覚えればいい。 これはみんなに言 ってい
るのだが、それについて これる人 とこれない人がいる。『
わか らない、できない、なぜ私 はこんなに頑張 っ
ているのにできないんだろう』と悩む。 『自分のやっていることは、 これでいいんだろうか』 と、故郷を
思い出す。本人が帰 ってか らの宿題をきちんと持たせてやっている。 ワクチンも持 って帰れと言 っている。
研修生にも必ず技術 ・経営上の 『
おみやげ』を持 って帰れと言 っている。本人が帰 ってか らの宿題をきち
んともたせてやっている」
「
大事なことは日本の経営のセ ンス、 ものの考え方。 うちは経営のテンポをよ く変える。牛はホルスタイ
ンばか りだけど、畑を増や したり、牛に変えた り、目に見える形で変えてい く。研修生が 『
なぜ変えるん
ですか』と聞 くと、 『
世の中、 こうなっていて、 こういう条件があるか ら、私はこうす るんだ』 『
なぜそ
うなるんですか』 『こういう条件があるか ら、俺はこうなると思 う』とか話 し合 う。市場を晩んで変えて
い く。そういう点に中国人は一番恵まれていないか ら、そ ういう物の動 きやシステムに憧れがある。そ う
いう点では勉強になるのではないか。実際に牛に接 しないとわか らないことが多い。本では無理だ。餌の
量に して も 1カ月に 1回位変わ り、牛の様子を見て考えなければな らない。 もっといえば、牛は神経質な
0キロ食べたか らといって今 日も1
0キロ食べるわけではないので、毎 日、食べる量や食
動物だか ら、前 日1
べ方を見てや らなければな らない。だいたい牛は生 き物だか ら油断できない。真剣に していないと、ぼん
やりしていると、寄生虫など取 り返 しのつかないことになる。研修生には、わか らん ことは何で も聞け、
いろんなことに何で も興味を持て、と言 っている。俺 も若いころ、アメリカで何で も興味をもってやった。
-7
2-
中国人研修生 と受入側 日本人の生活 と文化変容 (2)
特に無駄のない経常の仕方など、勉強になるのではないか」
さて この よ うな農業研修 において、受 け入れ農家側か ら見て最大の問題 は、 「
実際の農作業経験が
ない し、本 当に酪農をや りた くて来て いるので はない、農民以外の者が研修生 と して来て い る」 こと
で ある。確か に既 に述べ たよ うに、農業研修生 の中で、 いわ ゆる自営農民 は相対的 に少 ない。む しろ
農作業 に従事 した ことのない農業技術者が多 く、 さ らに農業 と全 く関係がない経歴 の研修生 も含 まれ
て いる。受 け入れ農家 によれば、 「
研修生 の試験が難関す ぎるので語学ので きる知識人 ばか りが来 日
し、本 当の農民が来れない 」 「コネや権力関係で農業 と関係がない偉 い家の息子が来て いる」のであ
る。農家の 目には、 この よ うな研修生 は、一人前の労働力 と して期待で きないだけでな く、技術研修
とい う目的 に もそ ぐわない もの と映 って い る(
*)
。
・この点に関する受け入れ農家側か らの典型的な指摘は、以下の通 りである。 「
研修生は中国では農業をほ
とんどやっていない。去年、 うちに来てた人 も会社員でかなり上級の人。研修で来 日するのは読み書 きで
きる人 じゃないと無理。そうすると研修生は農業後継者以外になって しまう。だんだん来る人に事務系の
人が多 くなってきた。牧場の事務をやってた人がきたら、まず体が もたない。だいたいカネとコネのある
研修生の目的は日本語の勉強なんだから、
知識人が くる。本当の農家の人達は、語学の問題で来れない」 「
研修といったって、 こっちが教えられるのは牛のことくらいだ し、何が教え られるって。彼 らは、本当に
酪農をやりた くて来てるん じゃない。なんか、コネと権力構造の中で選ばれて くるか ら、農作業なんかやっ
・ たことないっていうし。 じゃあ何がや りたいんだと聞いたら、 『
いつかホテルを経営 したい』なんていう
か ら、 もう話にならないよ。まあ、帰国すれば 3階級特進とかいうから、 1年は我慢 しなさいっていって
研修には公務員 ・研究所の技術者が来ている。農民が、最近、何人きているか疑問だ。 『
農
るけどね」 「
業を志す者』という資格できている。中国側の協会に厳 しい態度で臨んでほしい。依然 として、偉い家の
息子が くる。本人に、研修目的 も意欲 もない。コネで くる。それをよく協議 して、選考基準をもっと厳 し
くしてほしい。問題のある研修生は、即刻帰国させるべき。研修目的をはっきりさせて、意欲ある研修生
には枠を広げるべき」 「目的をもった子でないと続かないが、今の研修生は向こうで酪農をやっていない。
向こうの偉い人の親戚 とか手づるで来るか ら、全然関係のない人が、 『
何とな く日本にい く』と来ること
がある。またそういう子の方が手づるがあるか ら、向こうに帰 って偉 くなる。中には、動物が好 きじゃな
いのに来る子がいる。そうすると、我々が見ていない所で牛をいじめる。牛にはわかるか ら、普通は戸を
開けると来るのに、呼んで も来な くなる。すると怒 って大声で怒鳴るか ら、ますます来な くなる。悪循環
医者や学校の先
で時間がかかって しまう。それに大声で怒鳴るか ら牛に落ち着 きがな くなって しまう」 「
生がきたこともある。 日本が知 りたいか らだろう。かなりの難関だか ら、上流階級の人やコネのある人 し
か来れない。 自分達 も外国研修 したけれど、農業を勉強する姿勢が、自分達と彼 らでは違 う。我々みたい
に技術を勉強 しに来ると思って受け入れたけど、そうじゃないので少 しがっか りしている。自分達 と彼 ら
の違いは、前 もって農業全般のことを知 っているかどうかということ。農業を勉強するという姿勢の違い。
我々がアメリカに行 ったときには、
着いたその日か ら仕事ができた。
言葉はわか らな くて も、仕事はわかっ
た し、そう困ったことはなかった。日本人の研修生は 『
ペコ屋』の跡取 りで本当の研修生だか ら鍛えるん
だけど、中国人研修生は 1年間無事でいて くれればっていう考えになる。中国側は、来 日前に最低限、牛
の飼養管理、そういうおおまかなことをわかる人を送 ってほしい。酪農家の多 くは、 『
仕事 もできないの
に研修生に来てどうするのよ』と言っている」
他方、農業研修生 の側 に も言 い分 はあ る。彼 らは、総 じて 「
研修 にきたのか、単純労働 に きたのか
わか らない」 とい う批判 を多 く有 してい る。 それ は主 に、学科 ・見学研修が少 な く、 しか も酪農作業
一般 に従事 させ られ ることに対す る批判で あ る(
*)
。 同時にそれ は、来 日前 に実 際の農作業 に従事 し
-7
3-
神戸大学発達科学部研究紀要 第 2巻第 1号
た ことがない 自営農民以外の農業研修生 に とって、 「
仕事の さっ さ」 とい う問題 とも重 な ってい る。
2
名 中少 な くとも 7名が、研修場 の問題点 と して 「
仕事の きつ さ」をあげてい る8
)。
農業研修生 1
・学科研修が少な く、「
単純な重労働」が多いという農業研修生の批判の具体例は、以下の通 りである。 「
研
修内容が全然役に立たない。協議では乳牛の研修だったのに、今はそんなの何 もない。田畑の手入れか ら
家事まで何で もさせ られる。私は研修生なのに、ここに来てか ら何 も教えて くれない。毎 日、除草、夜に
は牛舎の仕事。それ以外は、不要の草を鎌で刈 り、あるいは斧で横割 りするだけ。いったい日本のどこが
先進的なのかわからない。 自分は日本に研修に来たのか、それとも労働力なのかわか らない。どのように
今は一 日中働 くばかりで 『
研修時間』が少
したら単純な労働力になれるのかということだけは学んだ」 「
ない。
本当の『
研修』ではない。多 くの人か らそういう意見が出る。机上の研修 ・勉強や見学の時間が もっ
と多いと思 っていた。研修生を集めて、本当の研修時間をもっと長 くとってほしい。普段の仕事がきつす
ぎる」 「こんなに仕事があると思わなかった。体が疲れた。向こうではほとんど体の仕事ないか ら。授業
しなが ら仕事する 『
研修生』だと思っていた。来日して 1年たつが、自分の考えていたことが体験できな
かった。例えば我々は一体、労働者なのか研修生なのか。いっになって もはっきりしない。我々は酪農の
研修にきたのか、それとも日本の酪農事業の発展を労働者として助けにきているのか」。また88年に帰国
毎 日 1時間の勉強 もできません。仕事は、全然休みがな
した研修生は、次のような手記を残 している。 「
いので体の疲れは大変なものです。 - ・今で も日本語はあまり進歩 していないし、仕事 も牧場が小規模
なので、設備 も古 く、先進技術は経験できません。今度の派遣はただ中国で突然災難がふ りかかったか或
は無実の罪で、 1年の強制労働を強いられたと考える事にします」。
また 日中の農業生産現場 におけ る技術水準のギ ャップ も、受 け入れ農家 ・研修生双方 に とって大 き
な問題で あ る(*)
。 中国の農場で は人力が 中心で あ り、研修生 は、実 際 に農作業経験が あ る日営農民
出身者を含 め、先進 的な農業機械 を殆 ど見 た ことが ない。ま して トラクター等の免許 は もって いない。
それだけに彼 らは、 日本 の先進的な農業機械 の運転 に 「
憧れ」、意欲的に学 ぼ うとす る。 また農家側
も生産性 を考慮 し、前述 のよ うに トラクター等の農業機械操作 を積極 的に学ばせ よ うとす る。 しか.
し
その際、受 け入れ農家 は、- ン ドルや ボタ ンの基本的操作、燃料 の有無 ・補給、簡単 な修理等 々、 日
本人 に とって は半 ば 「
常識」 に属す ることまで いちいち教えなければな らない事態 に直面す る。 また
事故の危険 も大 きい。 これ らは、研修生 に 「
一人前の労働力 」を期待 して いた農家 にとって、大 きな
負担 ・ 「
時間の ロス」で ある9)。他方、農業研修生 に とってみれば、 日本でい くら先進 的農業機械の
運転を学んで も、帰国後 それ は役立 たない。 また こうした技術水準の隔絶 は、研修生側 に 「日本で は
人 間は働かないで全部 コンピュー ターで農業がで きる」等の 「
神話 」を生み 出す場合 もあ り、来 日後、
「
予想外 に仕事が多 く、 び っ くり した」 と語 る研修生 も見 られ る 10)。
・技術水準のギャップに伴 う諸問題は、次の指摘に見 られる。
《
農家》 「
な じめない。覚え られない。機械など差がありすぎる。全 く見たこともないんだか ら、ハ ンド
ル握 るのも大変なこと。時間がかかる。みんな車や トラクターに乗 りたがるが、危険だ し、車その ものを
だめにする。サー ド発進 したり。前にきていた人が乗 って苦労 した。本人にけがされたら大変だ し、畑に
突 っ込んだり。やるとすれば 1日中ついて教えて、それからやって もらう。向こうも仕事に神経を使 うよ
うだ。機械操作のボタンなど覚えるまで大変。中国人は、日本の農業は何 も仕事 しな くて も生産できると
全部機械化されて宇宙食みたいな固形物を
いうイメージで来る。実際にやってみてびっくりしている」 「
食べさせる、見ているだけで取 り入れができると言われてきた らしい。全然違 うと言 っている。機械は言
葉わか らないと危ない。みんな憧れて乗 りたがるけど。中国人研修生は免許 もっていないか ら、刈取など
手伝 って もらうわけにはいかない。 トラクターは乗るが、機械乾燥まではできない。機械などに慣れてい
ないので単純にものを考える」 「日本の仕方、フォークリフ トやワクチンなどに慣れるのに、 3カ月かか
-7
4-
中国人研修生 と受入側 日本人の生活 と文化変容 (2)
る。研修生は何も知らない.車の運転もできない。車や機械の運転はさせない。やってもせいぜいフォークリフ
トくらい。燃料がなくなってもわからないとか。修理もできない。養鶏に関しては、向こうに帰ってもワクチン
・消毒剤など、安くて効率的なものがない。品種改良も遅れている。だから研修生には、帰ってもす ぐには成功
0
年先の目標をもつことが大切だといっも言っている」
しないよ、役立たないよ、2
日本で トラクターを学んでも、中国で トラクターのある所は限られている。人民公社に
《
農業研修生》 「
は機械はあるが、
個人経営ではない。だから、なかなか技術が発揮できない。
今は生かす方法がない」 「
今、
モンゴルのたくさんの人は、日本がこうやっているとは思わない。働かないでコンピューターを使って農
業をやっていると思っている。私はモンゴルで、日本の友人と仕事 したことがあるので、そうじゃないと
知っていたが、それでも予想より仕事が多いので驚いた。それと帰国後、自分で日本のような牧場をやろ
中国では先進的技術を農民は受け取ることができない。農民は
うと思っても難 しい。機械もないから」 「
お金が少ないから。だから交流が難 しい。ここで車や トラックの運転できるけど、これは中国では使えな
い。学んだことをどう発揮するかというと難 しい。自分で経営するには何もかもはじめからしなければな
らない。特に機械や技術、資金が足りない。まだ道が遠い。とても困っている」
一方、農業技術者の研修生 にとって、彼 らの特定の専門分野 に限定 してみれば、 日本の酪農家の技
術水準 は、む しろ予想外 に低い。そこで彼 らの中には、 自らの専門技術が学べず、 「
研修内容が役立
たない」と感 じる者 も見 られ る。 「自分の専門は牧草の管理。 ここでは酪農全般。専門の牧草の こと
はそれ ほど勉強できない。 もうこれを勉強だ と決めたか ら 1年だけがんばるしかないが、帰 ってか ら
受精卵移植を勉強 したか ったが、 日本の普通の農家では無理だ った。専門の研究
役 にはたたない」 「
機関で 2年位研修 しなければ。 日本の獣医で もまだ使 っていない」等 は、その事例である 11)。
第 2節
日本語の修得状況とコミュニケーション
さて、言語による意志疎通 も、研修 においては大 きな問題である。
第 1項
来 日前の 日本語研修
まず来 日前の 日本語学習状況をみよう。企業研修生 ・農業研修生は、 ともに来 日前に日本語の研修
を受けている (
表 3-5)。 しか し、その期間や方法 は様 々で、 しか も多 くの場合、仕事の傍 ら長 く
て 1年、短 くて 3カ月の研修 にとどまる。
企業研修生は、農業研修生に比べれば、やや体系的で長期間の 日本語教育を受けてお り、 「
夜間学
「
大学で 2年間 日本語を選択 した」等の事例 も見 られる。 しか し企業研修生に も、
校で 1年間学んだ」
「
半年 ほど週 3回、夜 6時∼ 8時半まで 日本語の成人学校に通 ったが、仕事が 忙しくてあまり出席で
きなか った」者や 「
来 日の 1年 ほど前 に 3カ月間だけ日本語を勉強 したが、来 日前 には殆 ど忘れた」
2
0
人 ほど集まって 4カ月間
者 もいる。また日本人教師について 日本語を学んだ企業研修生の中にも 「
習 った」のように、比較的短期間、多人数 クラスで学んだだけの者 も見 られ、 1年間毎 日日本語を学
んだ者 にも、 「
休み時間に本 ・カセ ッ ト・ビデオ等で 『
あい うえお』か ら始めた」のように初歩の個
人学習のみの者 もいる。
他方、農業研修生では、 1名を除き、殆 どが半年以下 しか 日本語を学んでいない。そこでその レベ
一番簡単な日本語」にとどまることが多い。彼 らの 日本語学習方法 は、仕事
ル も、 「日本語初級 」 「
の合間に研修予定者を集めて大学教師に習 うという形が多い 12)。
したが って、企業 ・農業の違いを問わず、研修生 は、来 日直後 には日本語 は殆 どわか らなか った。
-7
5-
神戸大学発達科学部研究紀要
第 2巻第 1号
表 3-5 来日前の研修
来 日前職業 日本語 産業
経済
日本の
. 文化
社会
日本の
. 農業
日本の 済の
問題
中国経 な し
企 Q 技術者
○
莱 ② 技術者
△
○
○
○
○
○
③ 技術者
④ 個人経営主
○
@ 個人経営 主
○
⑦ 管理者
○
⑧ 管理者
○
@ 管理者
⑨
⑩
○
○
農
莱 (
②
D 自営農民
○
〇
⑥ 農業技術者
○
@ 農業技術者
⑧
〇
〇
⑬ その他
○
⑫ その他
○
い 年間 .夜間学校
1年間 .休み時間に本 .テープ .ビデオで 自習
(
大学時代 2年間 日本語選択)
6カ月
「
Sヵ月
○
4カ月 .2
0人ほどで 日本人 に習 う
6カ月 .夜間学校 (
週 3回)
○
○
○
農業技術者
者
⑤
④
@ 農業技術
日本語 の研修方法 .期間
○
6カ月
研修生が集
まって勉強 .テープで 自習
○
働 く合間に中国人か ら習 う
△
○
○
3- 4カ月 .研修生集めて大学の先生 に習 う
1年間
研修生が集 まって
「
5カ月 .北京の幹部学院
○
5カ月 .北京の幹部学院
実態調査 よ り作成。プライバ シー保護のため、ケース NOは表毎 に不統一。
第 2項
来 日後の 日本語学習
しか し、来 日後、彼 らは、 日本語修得のために様 々な努力を行 って きている (
表 3-6)。
特 に企業研修生 は、 日本語学習 に熱心である。企業研修生の少な くとも10名 車 7名 は、研修か ら帰
宅後、毎 日 2- 4時間半程度、 日本語の独習を している。休 日に、図書館や宿舎で 日本語を学習 して
いる者 も 2名いる。 またテ レビや ラジオ、新聞等 との接触 も、彼 らにとって 日本語学習の重要な手段
である。企業研修生の殆 どは、毎 日平均 1- 2時間はどテ レビを見、 日本の新聞を読んでいる。 10名
中 6名 は、毎 日30分 ∼ 1時間ほど日本語で ラジオを聞いている(
*)
。
・企業研修生の日本語学習の努力は、以下の典型事例に示される。 「
研修が始まる前、毎朝 8時∼1
0時まで
寮で日本語の学習をする。そのうち30分は、日本語学習のためにラジオの中国語講座を聞 く。夜、研修か
ら帰った後 も、1
0
時30
分∼ 1時まで日本語の学習をする。テレビは 1- 2時間、ラジオは 1時間程度聞 く。
日本の新聞は、毎日20分ほど読む。休日には 1時∼ 4時まで日本語や専門の学習をする」 「
毎夜 7時30分
∼ 9時3
0
分まで日本語の勉強をする。休日には、毎週 9時30分∼ 4時まで図書館に行 く。図書館の人とは
もう顔なじみになっている。日本語の勉強のために、テレビは 1時間∼ 2時間、ラジオは 1時間聞 く。日
本語 1番、経営 2番位で考えている」。
他方、農業研修生では、企業研修生 に比べ、意識的な 日本語学習の時間は少ない。毎 日の研修終了
後、 日本語を独習す る者 は、12名 中 3名 にす ぎない。 ラジオを毎 日聞いて いる者 も 3名 に限 られ る。
た だ し、 こ う した 農 業 研 修 生 も、 休 日 に は少 な く と も 7名 が 日本 語 を 学 習 し、 ま た 殆 どが
-7
6-
中国人研修生 と受入側 日本人の生活 と文化変容 (2)
農家で 日本人 と同居 してお
り、研修終了後 も、 日本語
描
暮春
巾r
中
爵
小
軸
苅
茅
藤
軸
苅
部
藤
曲
苅
寄
池
水
薄
茸
恥
軸
苅
寄
細
苅
書
地
苅
寄 Ⅲ
細I
知
細 }蛸
知
敢 輔
軸 蛸
軸 輔
軸
細軸
細
Ⅲ
聴
⊂
く
⊃
Nつ
撃
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l芦
⊂
J
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⊃
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N
C
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℡
辛ー
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が、研修生に日記を書かせ
たり、言葉で言 うだけでな
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この講習会で 「日本語が少
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く、実際に仕事をや ってみ
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話 したりと、様 々な粘 り強
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している。
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集めて 日本語講習会を実施
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2時間、企業研修生全員を
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能力を高めるために様々な
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また受け入れ側の企業や
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を使 って農家家族員 と日常
的 に交流 して い るので あ
る。
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る。そ して何よりも、農業
研修の場合、後述のように
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毎 日、テ レビを 1- 5時間
見、 日本の新聞を読んでい
神戸大学発達科学部研究紀要
第 2巻第 1号
・受け入れ農家の具体的な努力は、以下の通りである。 「
自分はアメリカで言葉が一番困った。精一杯 して
も意志を伝えるのが困難。だから、今、毎日、日記を書かせている。文章の表現の間違いを直 したり、注
意書きをしたり。目標を書かせたり。話する以外にも随分書いている。悩んだときにそれで助かるみたい。
言葉できついこというのと、文章で書 くのはだいぶ違 う。仕事の言葉は同じことの繰 り返 しが多いから、
3回目位になるとできるようになる。怒 らないで粘り強 く話をする」 「
正 しい日本語を教えるようにして
いる。それと、『
∼ しなさい』と口で言 うだけではだめ。言葉では仕事の要領がわからない。実際にやっ
てみせないと。筆談 もやってみたが、書 くよりも何回もしゃべった方がいい」
以上のよ うな研修生 と受け入れ側双方の努力 によ り、研修生の 日本語能力の向上 は著 しく、 日常的
な研修 一生活では、 ほぼ意志疎通が図れ る水準 に達 している。
2カ月が経過 していることもあ り、
特 に農業研修生 は、 日本人 と同居 し、 しか も来 日して既 に 8-1
2
名中 7名が 「日本人の話が殆 ど理解で きる」、11
名が 「
簡単 な文章 は読み書 きで きる」
少な くとも1
と述べている(
表 3- 7)
O農業研修生 には、 「日本語を勉強 したか ら、今 は半分位わか るよ うにな っ
た。今 日わか らな くて も明 日はわか る。もちろんの ことね 」 「うれ しい ことに日本語が上達 しま した。
聞 くこと、テ レビを見 ること、読む ことがだんだんで きます。 うれ しいです」等の意見がある。 また
受 け入れ農家側 に も、 「
語学力 はたちまち伸びる。や っぱ り頭いいんだろ うね」 「
言葉の問題 はそん
なにない。 日本語 はだいたい理解す るよ うにな った」 と語 る事例がみ られ る。
また企業研修生 は、来 日後 、6カ月 しか経過 していない こともあ り、会話能力 は、1
0
名 車5名が 「日
常会話がで きる程度」 と、農業研修生 よ りやや低 く自己評価 している。 しか しそれで も、全員が少な
くとも 「
簡単な文章 は読み書 きで きる」 と述べ、来 日直後 に比べれば、 「
今 は話 と筆談でだいたい交
流で きる」 「
ず っとうま くな ったので大丈夫」等 と感 じているのであ る。
第 3項
言葉の問題点
ただ し、以上の意志疎通 は、すべて研修生側が 日本語を学習 し、 日本語での コ ミュニケー ションを
前提 と している。受け入れ企業 ・農家の側で、中国語を勉強 している事例 は皆無であ った。
また研修生の 日本語能力の向上がいかに著 しいとはいえ、それで もやは り言葉の面で様 々な障害が
生 じて くることは否めない。
特 に来 日後、比較的 日が浅 い企業研修生では、1
0
名中 8名が、 「
指示や説明が正 しく聞 き取れない
ことがある」 と感 じている。彼 らは、主な問題点 と して、 日本人の会話が早す ぎ、方言があ ること、
機械や人の名前 ・経営等の専門用語、 ヒア リングはで きて も自分の意見を 日本語で表現す ることの難
しさ、そ して これ らの結果、研修 内容が限定 され ること等 々を指摘 している(
*)
。
・企業研修生の具体的な言葉の障害は、以下の通 りである。 「
経営が勉強できないのは言葉の問題があるか
も知れない。経営は言葉が通 じないとだめだから。日本語がよくないので見学研修にも行けない 。常務さ
んは、私、日本語わかるとき、いろいろ連れて行 くと言っている。作業上のことや難 しい問題のとき、と
きどきわからない。日本語の会話は早すぎる。文章の意味はだいたいわかるけれども、日本人の名前の読
み方は難 しい。日本語の方言 も難 しい」 「
日本人どうしの会話はなまりとかあってわからない。私と日本
人の会話はわかるけれど、わからないこともときどきある。工場では早口で、機械の名前がわからない。
それと日本語で常に相手の言 うことは聞き取れるが、自分の話 したいことが話せない。不自由です」0
また受 け入れ企業側で も、少な くとも 6社中 4社か ら、
何 らかの 「
言葉の問題」が指摘 されている。
主 な問題 は、社会や経営等の専門用語、技術面の 日本語 に英語が多 く混入 していること、理解 に手間
暇がかか ること、 そ して結果的 に研修 内容が限定 され ること等 々である(
*)
。言葉が大 きなネ ックに
-7
8-
中国人研修生 と受入側 日本人の生活 と文化変容 (2)
表 3-7 日本語の状態 (
研修生の自己評価)
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職業
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実態調査よ り作成。プライバ シー保護のため、ケースNOは表毎 に不銃一o
な って い る ことは、研修生側 と受 け入 れ側 の共通認識 にな って い るといえ よ う。
・受け入れ企業が指摘す る具体的な言葉の問題 は、以下の通 りである。 「
言葉が一番のネ ック。一 日も早 く
覚えてほしい。表面的にはわか っているようにみえるが、本当はわか っていない。お互いに理解で きない
ギャップがある。技術のことはわかるようになるけど、 日本の社会の しくみ、風習を言葉で理解 させ るの
は大変」 「
まだかみ砕いて言わなければな らない。受け入れ機関は最初、語学が堪能な人だといっていた
が、最初は片言 しか話せなかった。各企業 とも大変だった。教えるにもつきっきりになる。大きい企業な
らでさて も、 うちでは、つきっきりになるわけにいかない。それで困っているのは確か。初めの 3カ月は
電気の分野は英語が多いが、研修生 は英語の教育を全 く受けていない。我々
さっぱ り話が通 じなか った」「
は普段気にとめずに、随分英単語を使 っている。社内には言葉の問題が大変だという評価がある」 「2人
とも言葉はうまいが、お客様の前 に出すには無理がある。接待係、フロン トやチェックインはさせ られな
い。研修内容が制約される。客の前に立たない仕事 しかできない」
0
他方、農業研修生で も1
2
名 車 7名 は、研修 中、 「
指 示や説明が正 しく聞 き取れ ない」 と感 じて い る。
「日本語会話能力が ち ょっと足 りないので仕事 中に聞 き違え ることが あ る。 その時 は 自分で本 を読 ん
で勉強 した り、仕事 の状況か ら判断す るよ うに して い る」 「
仕事 中、指 示 の意 味がわか らな くて、 ど
う した らいいか困 る ときが あ る。 その時 は、 自分で最善 の方法 を考えて正 しい思考 を探 り、解決 して
い る」等の事例で あ る。
-7
9-
神戸大学発達科学部研究紀要
第 2巻第 1号
また受け入れ農家側で も、少な くとも1
2
戸中 9戸が 「
言葉の問題」を指摘 している。 しか も前述の
よ うに、農家 は研修生 に 「
一人前の労働力」を期待 しているので、言葉の不 自由さは一層深刻 な問題
と して受け とめ られている(
*)13'o
・農家側が指摘する 「
言葉の問題」は、具体的には以下の通りである。 「もう少 し日本語を覚えてきてはし
い。 1年 しかいないのに、日本にきて日本語がわからないで過ごしたら、こっちが疲れて しまう。 5年 も
1
0
年 もいるなら別だけど。前の研修生は、 8カ月やって、やっと言えばちゃんと答えるようになった。今
の研修生は、協会の人にも一番日本語の上達が遅いっていわれてる。意志が通 じない。頭はいいんだけど、
人とっさあおうとしないからね。せっか く日本にきたんだから、みんなと話す中で日本語覚えればいいの
今はだいぶ慣れたけど、最
に、本で勉強するからと、自室にとじこもっちゃう。内向的な性格だから」 「
初は言葉が通 じなくて困った。覚えられない。言葉がわかれば仕事 も教えられるのだけれど。日本語がま
だまだなので、実際にやって見せることが主でそのようにする理由までわかってもらえるかが不安。それ
にやっぱり言葉がわからないと機械など危ないし、そんなにあれこれできない。
最初の半年間は大変。ゆっ
言葉が通 じないので研修生が精
くり話さねばならない。わかっていると思っても全然違 うことをする」 「
神的に落ち込むこともある。
仕事のランクも下げなければならない。
特に来たときはあまりしゃべれなかっ
た。近 くの農場の研修生は今でもまるっきり言葉はだめ。全部ジャスチャーでやっている」0
第 3節
研修時間の実態 と問題
いまひ とつの大 きな問題 は、研修時間の長 さである。研修生の研修時間は、基本的に受け入れ企業
や農家で就労す る日本人の労働時間に準 じている。そ してそれ は、企業研修 と農業研修 とで大 き く異
な っている (
表 3-8)。
第 1項
企業研修生の研修 一生活時間
0
分 ∼ 8時3
0
分、退社 は1
7
時∼1
7
時3
0
分であることが多 く、 1日の拘
まず企業研修生の出社 は 7時3
4
分である。 また4
5
分 ∼ 1時間程度の昼休み と若干の休息時間があ るので、実質
束時間は平均 9時間2
研修時間は平均 8時間 7分 にな る(
*)
。企業研修生 は、 こうした研修時間に合わせ 、 6時3
0
分 ∼ 7時
頃に起床 し、2
3
時∼2
4
時頃に就寝 している。睡眠時問は平均 7時間 1
2
分である。そ こで研修拘束時間
と睡眠時問を除 くと、企業研修生のいわゆる自由時間は、朝食 と夕食、風 呂等の時間を含めて平均 7
時間2
4
分 になる。彼 らは、その 自由時間に、 日本語を学習 した り、テ レビを見 た りしている。
・ただ し、これはあくまで通常の研修時間であり、実際には、企業研修生にも時々 「
残業」がある。 「
普通
普通、マシンの練習の時は 5時で終わるが、棚卸 しで
は 5時までだが、たまに 7時すぎまで残業する」 「
現場にいるときには時間通 りに帰れず、 6時か 7時頃まで仕事をする」等は、その事例である。また受け
入れ企業側にも 「
企業によって利益重視の人を受け入れると、仕事をどんどんさせるし、残業 もさせてい
る。そういうのは問題だね。月に 1回集まって報告会議があるけど、そこで残業は駄目とか話 し合 うんだ
けどね」と語るケースがある。 しか し、いずれにせよそうした 「
残業時間」は、企業研修生の場合は、そ
れほど長 くなく、また時期も限定されている。
また企業研修生で は、基本的に 日曜祝祭 日が休 日で、それ以外 に半数以上で隔週土曜 も休 日とな っ
ている (
表 3-9)。彼 らは、休 日には 8-9時頃まで寝てお り、平 日よ り 1-3時間程多 く睡眠を
とっている。また休 日には、買い物 ・昼寝 ・料理 ・スポーツ ・図書館で学習、他の研修生 と談話や散
歩等 々、多彩な余暇を過 ごしている。 さ らに企業研修生 は、小樽 ・登別 ・支第湖 ・函館等、北海道内
の観光地 に旅行経験があ る(
*)
。
・企業研修生の休日の過ごし方の典型事例は、
以下の通 りである.「
日曜の午前中は近 くのスーパーマ-ケッ
-8
0-
中国人研修生 と受入側 日本人の生活 と文化変容 (2)
・洋画を見た。休日に
は、他の研修生と会っ
る。その前の連休は、
洞爺 ・昭和新山 ・登別
「日
行 ったことがある」
曜は、 9時半に中央図
書館に行った。毎週行
はもう顔な じみになっ
た。 4時に帰宅 して昼
寝 した。小樽 は 3回
行った。襟裳岬は友達
の田舎なので 1度行っ
た」 「日曜は、掃除を
したり、
買物をしたり。
午後は夜のために鰻頭
を作 った。夕食後、テ
レビの ドラマを見る。
また 1週間の生活設計
を組む。他の研修生の
寮には 1- 2カ月に 1
回はど遊びにいく。夏
休みには函館を旅行 し
小鮒掛 功罪 o
くので、図書館の人と
寄書寄
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紬慧
熟慧
知蓋
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軸慧
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春
春 着違
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軸城
地頭
軸軸
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曲苅
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に旅行 した。小樽にも
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球属 庸 擢 様 様
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ビでニュース ・ドラマ
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ともある。買物をしたり、テ レビを見ることもある。友人と観光で小樽や江別の博物館に行 ったこともあ
たまに研修生の所に行 って話を してすごす。観光で千歳空港で飛行機を見たり、観光地に行 ったり
る」 「
する。支第湖や小樽にも行った。温泉 もたまに行 ったことがある」0
そ こで企業研修生 は、研修 時間の長 さについて は、 あま り問題 を感 じて いない。研修 時間を問題 と
して指摘 してい るの は、1
0
名中 2名 に とどまるので あ る。
第 2項
農業研修生の研修 一生活 時間
他方、農業研修生の研修時間は、企業研修生 よ り遥か に長 い。彼 らの多 くは、朝 4- 5時頃に起床
-8
1-
神戸大学発達科学部研究紀要
その後、昼食時間を含めて 2
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時頃まで実地研修を続
けている。彼 らの 1日の拘束
時間は、1
2
-1
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1
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4時間 7分 も長い。また、実
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のである。彼 らは、翌朝に備
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しなければな らない。そこで
彼 らに残 された自由時間は、
夕食や風呂を含め、平均 3時
間2
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分 にす ぎず、殆 ど休息 と
テ レビだけで終わ ってい草。
「
夕食後の仕事が終わ った ら、
す ぐ寝 る」 とい う事例 も存す
る。前述のように農業研修生
で 日本語 の独 習 が少 な いの
は、 こうした自由時間の客観
的な欠如に基礎づけ られてい
るのである。
また、農業研修生の休 日は、
毎月 1日と1
5日の 2日間 とい
うケースが最 も一般的で、企
業研修生 の半分 以下 しか な
い。 しか もその 2日間の休 日
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第 2巻第 1号
中国人研修生 と受入側 日本人の生活 と文化変容 (2)
(
辛)
。農業研修生 は、貴重な休 日の余暇を 日本語学習に充てているのである。
・農業研修生の休日の過 ごし方の典型事例として、以下を掲げてお く。 「
朝 6-1
0
時まで牛舎で仕事。1
0
4時まで手紙を書いたり、日本語の学習。 4- 8時まで、また牛舎で仕事。 8-1
0
時まで日本語の学習。
1
0
時に寝た.観光に行ったことはない」 「
朝 4-7時まで仕事 して、その後こ手紙を書いたり、日本語の
学習をした。夜 8時には寝る。観光はしていない」。
そ こで農業研修生の多 くは、 「
研修時間が長す ぎる」 とい う不満を強 くもっている。農業研修生 1
2
名中1
0
名までが、 「
研修時間が長い し、休 日が少ない。体が疲れ る。月 2日休みの約束 なの に、実際
には半 日ずっで合わせて 1日 しか休めない」 とい う不満を感 じているのである。
第 3項
中国における労働 -生活時間 とのギ ャップ
以上のよ うに、農業研修の客観的な研修時間は、企業研修 に比べて遥かに長 く、そ こで農業研修生
の中で、研修時間に対す る不満が顕在化 していた。 しか し、 ここで もうひ とつ留意すべ きことは、研
0・ll)。
修生の来 日前の労働 一生活時間 とのギ ャップである (
表 3-1
まず企業研修生 は、管理職や個人企業主を初 め と して、来 日前、 日本での研修 と同程度、 またはそ
れ より長時間の労働を行 っていた (
図 3- 1)。彼 らの多 くは、中国で も 7時半 ∼ 8時には仕事を始
7
-1
8時まで仕事を している。 日常的な仕事終了が2
3時半 ∼2
4
め、 1- 2時間半の休息をはさんで、1
時、 「
年の初めは午前 2時まで仕事や会議」 とい う事例 さえ存す る。彼 らの中国での拘束時間は平均
9
分、実労働時間は平均 9時間3
9
分 に も達す る。来 日後の研修時間に比べて も、拘束で 2時間
11
時間3
以上、実労働で 1時間半 はど長いのである。逆 に、睡眠時間や 自由時間は、来 日後の方が、中国滞在
時よ り長い。 また中国で は、休 日は日曜だけであ ったが、来 日後 は前述のよ うに隔週土曜 も休みであ
る。そ こで、企業研修生 にとっては、来 日後の研修時間が長 いとは全 く感 じられないのである。
0
時間、平均 1
0
時間2
5
分 と、 日本での研修時間よ
他方、農業研修生で は、来 日前の拘束時間は 8-1
図 3-2). しか も中国で は、 「
1
0時半 ∼ 2時半 まで 4時間が昼休み。一旦帰宅
り 3時間以上短 い (
して昼食 と昼寝を して再 出社」のよ うに、休憩時間が極 めて長い。そ こで実労働時間は、 4時間半∼
8時間、平均 7時間38
分 と、 日木の実研修時間よ り約 3時間2
0
分 も短 いのである。 また両親が内蒙古
0
0
頭 と牛 5
0
頭を飼 っていて も、 「
普段 は牛や羊 は草原の どこにい るか
の遊牧民であ る事例で は、羊 2
わか らず、何 日に一回か帰 って くるので、その時 に水をあげるだけが仕事。草原 に肥料 もや らない し、
忙 しくない」 と語 ってお り、 日本の酪農家の多忙 さは全 く予想外である。農業研修生 は、中国で は、
友人 と遊んだ り、
飲酒 ・読書 ・スポーツ ・映画等、
様 々な趣味を楽 しむ 自由時間を豊富に持 っていた。
従 って、彼 らは、来 日後、明 らか に睡眠や余暇の時間を削 っている。 また農業研修生 は、中国で は、
実習時間が中国 と全 く違 っ
少 な くとも毎週 1日以上の休 日を確保 していた 15)。農業研修生の多 くが 「
中国で は 8時間以下の労働 なの に、 日本では1
0
時間以上。 そ うい うことには
て適応で きなか った 」 「
慣れていない」 と語 るの も当然 といわねばな らない。
第 4節
「
労働観」の文化的相違
ところで、以上述べて きた研修 内容や言葉、研修時間は、いずれ も大 きな問題で はあ るが、研修契
約の明確化や事前研修の充実 によ り、ある程度、緩和で きる。 しか し、次 に述べ る 「
労働観 」の違い
は、 日中両国の社会的 ・文化的特質 にさらに深 く根差 した問題である。
-
83
-
神戸大学発達科学部研究紀要
第 2巻第 1号
表 3- 10 中国での労働 ・生活時間
目前 職業 起 床 仕事
昼休 み
開始 i
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実態調査より作成。プライバ シー保 護 の た め、 ケ ー スNOは表 毎 に不統 一 O た だ し、 表 3- 8- 11は統 一 。
⑬の仕事時間は学校の時 間。
00
第 1項
日曜I
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日本人か らみた中国人の労働観
実際の研修場面で、受 け入れ側 日本人か ら中国人研修生を見 ると、中国人 は、① 「
時間的」労働評
価、②個人主義、③ 「
縦的」命令系統、 とい う相互 に結び付 いた 3つの労働観を もっているよ うに見
える (
表 3-1
3
)。 そこには、企業研修 と農業研修 に違 いはない。双方の受け入れ側 日本人が、主 に
この 3つの労働観を指摘 しているのである。
以下、 この 3つの労働観を簡単 に説明 しよ う。
時間的」労働評価 とは、 「
一生懸命働いて も、手を抜 いて も、 1時間は 1時間。それな
第 1に、 「
らで きるだけ少ない仕事 をゆ っくりや った方が得」 とい う考え方であ る。具体的には、時間当た りの
労働密度をで きるだけ減 らす、あるいは能率や生産性を考えて 自発的な工夫をせず、指示 された こと
-8
4-
中国人研修生 と受入側 日本 人の生活 と文化変容 (2)
だ けを こな して い く、 そ して仕
事 時間が終 わ る とどん な に中途
半端で も直 ちに仕事 を切 り上 げ
る、 とい った労働態度 と して現
れ る。 こう した労働観 の基底 に
は、 「
労働 -必要悪 」 とい う考
え 方 が 存 して い る とい え よ う
-11 労働 ・研修 ・生活時間の比較
表 3日本 での時 間
1
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噂
(
*)
。
・「
時間的」労働評価を指摘す
のがある。
中国では、ただ仕
《
企業》 「
事 時 間を こな して いれ ば い
い。量でな く、時間で仕事す
る。一生懸命に働かない。時
間か ら時間やれば終わ り。最
初の うちは特 にそ うだ った。
中国人は、言われれば、その
ことだ け守 って きち っとや
る。 日本人 は、言われて も、
自分な りに判断 して もっと良
い方向に変更 してやる。働 く
l
時
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I
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間
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守 ってやるが、それ以上 はや
らない し、気を回さない。仕
事 に対す る感触の違いが大 き
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かない。言われたか らやる。
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ことの意味が 日中でだいぶ違
上か らの命令管理でないと動
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9
る事例には、以下のような も
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…
l
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1
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l
実態調査 よ り作成。 プライバ シー保護 のため、ケ ース NOは表毎 に不紋一o
-11は統-。①∼⑲ は企業研修生、(
1
)
∼(1
2)は農業研修生
ただ し表
3
8
い」0
《
農業》 「
仕事が遅い。 とにか く言われたことだけをゆっくりゆっくりやるんだね。あんまりさっさと終
わ らせようという考えがないんだね。彼 らには。 日本人な ら早 く終わ らせようとてきぱきするのに。それ
か ら、一度 日本人研修生 と一緒に農薬散布をさせた ら、 日本人の女の子は1
82の方をかつ ぐのに、彼は軽
いの しか持たない」「日本人は一生懸命よ く働 くで しょ。研修生がそれについていけないことが問題にな っ
ていてね。向こうの人は責任 というのがないか ら。今まで 4人 ともそ うだ った。時間が きた ら仕事 ブン投
げてやめちゃうんだか ら。いかに能率よく仕事を終わ らせるかということについてはあまり考えませんね。
仕事させて もパ ッパ とできない。向こうの人はのんびりやって も 1時間、で も、早 く終わ らせて休みをと
ろうというのが うちの考え。 日本人は 『
時間は時間』ときちっとできますよね。日本人の出面を雇 ったら、
1
2
時にあが ったら、みんな 1時か 1時半には間違いな く仕事を始めます。で も中国人は、仕事時間の中に
時間的には守 っているが、
昼寝 も入 っていることだ し、 こっちが言 って も習慣がとれないんですよね」 「
人よりがんばった ら損
自分の与え られた仕事が終われば、それで終わ り。決め られた仕事 しか しない。 『
-
85
-
神戸大学発達科学部研究紀要
)5
)6
図 3- ) 除華 南 粋89
章
i・
雪蘇 ・拝謝番頭 (ト海岸淋 B型ノT海 ti淋 Ⅲ蘇 )
6
7
8 9
)
0
)4
15
26
7
4
)7
) 7
48
)8
)8
熟 .
同 じ時間。命令 されて与え られた仕
)= t)講
く始めて も遅 く始めて も終わ るの は
)6
りとペースを落 と して仕事す る。早
5
『
人 に負 けず に頑張 ろ う』。 ゆ っ く
淋韓買掛
だ』 という考え方が強い。 日本人 は
第 2巻第 1号
事だけをや る。早 くいえば気が きか
8
8
9
9
ない。 ボケ ッと している。中国人の
仕事の量 は、同 じ時間で も日本人研
彼 は、 いわれた
修生 の 3分の 1」 「
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O
)
1
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とか考えない。 自分の仕事 をゆっ く
0
らない。早 く仕事おわ らして休 もう
)
ことだけはや るけど、それ以上 はや
)
3
)
2)
3
)4
)4
りや る。 日本 にきた ら、中国の2
0
倍
2
)
は働 くとい う。 この農場の規模な ら、
中国な ら70人 くらいでや るとい う。
日本人 な ら我慢 して仕事をす るが、
彼 らは仕事を投 げ出 した りす る。『
大
)
陸的』 とい うか焦 らな い。中国で は
仕事時間が きま って いて も、その間
に仕事がないことが多 い。だか ら空
動
き時間に編み物を した りして る」「
きが鈍 い。動作がて きぱ き していな
い。 自主的でない。言われないとで
]
9
)9
20
20
1 2
2
2)
2)
22
22
23
23
23
回 って きたが、向 こうでの感 じもこ
0
が少ない。去年の秋 に中国の農村 を
2
)
9
きない。 自分で進んで行動す ること
うだった。研修生にその話をす ると、
2
『
仕方がない。 い くら働 いて も給料
が同 じ。与え られた以外の仕事 を し
た らかえ ってだめだ』 と言 っていた。
自分で工夫す るということが少ない。
最初に教えるのは 『
工夫』 『
創造』。
24
労働者 な らタイムカー ドお して時間
1
か ら時間で いいが、研修生 はそ うは
いかない。一般的な 日本人 に比べて
中国人の仕事量 は6
0%。中国人 はす
ぐ 『
で きない』 『
わか らない』 と言
う。 こち らか ら見た ら 『
わかろ うと
しない』のであ って、前 向 きの姿勢
がない」 「
時間をかければいいというのではない。知恵を出 してどうすればいいのか考えろと言 っている。
言われたことだけをやるのではな しに、臨機応変に考えることが大事。牛飼いは気配 りが大切なのだか ら。
トヨタやニ ッサ ンの合理化の話 もす る。中国は人 口が多いので、仕事がないか ら、能率を上げようとか考
-
8
6-
中国人研修生 と受入側 日本人の生活 と文化変容 (2)
えない。向こうはコセコセ していない。のんび
図 3I 2 聾
塗
りしていてノルマがない。仕事 して もしな くて
も給料が もらえる。なぜ 日本人はそんなに働 く
轍
麻肺09
5
皐・
男麻 拝謝罪責 (
J
;
簿C
i淋 E
]
当. IF海 巾
汁淋 E
7
滞)
5 6
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6
1
7
)
7
第 2に、 こう した 中国人 の 「
時間的」労働評
4
O講熱.
c
t
んだと聞いて くる」
5
価 の単 位 は、職場集 団で はな く、 あ くまで個人
で あ る。職場集 団の他の メ ンバ ー とは関係 な く、
6
7
7
8
8
9
∽
)0
0
主義 」 とい う評価が、 日本人 か ら出て くる。 こ
6
自分 の仕事 だ けをす る。 そ こで 「
中国人 は個人
こで い う 「
個人主義 」 とは、 「自分 に与え られ
た仕事 だ けをや り、全体 を見 なが ら他 の人 と協
力 した り、手伝 いあ った り しない」 とい う労働
態度で あ る(*)16'。
・個人主義を指摘する事例 として、以下がある。
的にものを考える。日本人はお互いに察 しあう
それは言われ
が、中国人はそれができない。 『
なかった』とかいう。 日本人が もし中国にいっ
ではない。みんなそれぞれ好 きにや っている。
個人主義が強い」 「日本は品質安定のために、
多 くの人が手を入れて トータルで完成させる。
全体 として品質を上げるために、いろんな手が
入る。横のつなが りが強 くなければ トータル ・
)
たら、同 じ釜の飯で団結するが、中国人はそう
--
い。自分の意思表示がはっきりしていて、合理
L
t1
2
《企業 》 「
仲間意識 とか、助け合いとかが少な
クオリティは保てない。中国は、ひとつ与え ら
)
8
れた ら、それを最後まで完成させる。個人の能
いがな く、単品だけを仕上げる。一人が一件を
2
0
2
)
22
23
23
24
24
が少ない。プロジェク トに参加 させて も、その
22
は聞 くが、グループ内で相談 しようという態勢
2)
担当すれば、それだけをす る。命令者に対 して
2
0
仕上げようとする。生産ラインの中でひとつを
)
9
力の差がそのまま製品に反映する。横 との見合
中での協力ができない。縦社会に慣れてきてい
和』の大切
るか ら、 『
和』に慣れていない。 『
さを知 ってほしい」。
《農業》 「
自分の仕事を自分だけの計画たてて
やろうとする。風 呂も昼か らはいるし、テ レビ
見たいときは仕事やめて見るし。 こっちは朝 5
時か ら働 いてか ら食後休 もうと考えているけ
ど、彼 らにはそういう 『
合わせる』という考え
-8
7-
神戸大学発達科学部研究紀要
第 2巻第 1号
がないですね」 「
仕事上の トラブルは、 白分の仕事 と他人 表 3-13 日本人か ら見た中国人の労働
観
の仕事をはっきりと分けること。自分の仕事だけす る。 自
「
縦」的 個人主義 「
時間的」上司と部
命令系統
労働評価 下が平等
餌をやる人 は餌をやる人、他の仕事 までや らない。 1人 が 企 丘ヽ ○
○
○
莱
②
○
○
○
1頭 しぼって、牧草の人は牧草だけ。人が多いので分業化
③
○
.
○
○
分の分が終わって も他人を手伝お うとしない。中国では、
自分の
されている。だか ら全部やるのが理解できない」 「
役割には忠実だけど人の役割には入 らない。専門馬鹿的な
要素が強 くなる。技術を持 っていて も本当に限定 されてい
@
⑥
⑤
る。例えば獣医で も、 『
鶏の注射だけ』 とか。人 口が多い
農 ♂
か ら分担 しないと仕事が余 るんだろう。応用性がない。分
業がはっきりしていて、例えば注射 はで きるけど病気の発
莱 ②
③
④
○
○
○
○
○
○
○
○
○
〇
○
I ○
○
○
研修
見はで きない、それをす るのは別の人 という感 じ」 「
そ うで
生 3人でグループ作 って研修 しなさいといって も 『
すね』というだけで しない。
何人か集まって一緒に目的 もっ
@
て研修 しようという仲間意識がない。 日本人だ と、同 じ会
⑤
の会員 というだけで鹿児島か ら北海道 まで親 しくなれる。
⑧
⑬
⑨
中国人 は、何か研修で会 って もその ときだけ。会いたいと
○
○
C) ; C)
⑥
⑮
⑫
○
○
○
】
:
I ○
l
… ○
: ○
もいわない し。 日本人 との付 き合いに も消極的。中国人 は 実態鍋査より作成.プライバ シー保蓬のため、
与え られた仕事以外の回りのことは見ない」。
ケース NOは表毎 に不統一。
したが って第 3に、 中国人が指 示 ・命令 を受 けるの は、 あ くまで直接 の上 司だ けで あ り、 それ以外
の指示 や指導 は受 けない。む しろ直接 の上 司以外 か ら指 示 ・命令 され ると、それだ けで不機嫌 にな る。
「
縦 的」命令系統 とは、 そ うい った態度 で あ る(*)17'。
辛「
縦的」命令系統の事例は、以下の通 りである。
《
企業》 「日本 と中国の仕事の命令系統の違い、縦の関係が難 しいD中国では命令者は一人oその上の人
は関係ない。 日本な ら、工場長、次長、係長など直接の上司でない人の命令 もうける。中国人 はそれを嫌
う。工場長の命令ほうけるが、係長や主任のほうけないとか。指揮命令系統が 1人 というのは、 こっちが
な じめない」 「
指示す る人をはっきりさせ、他の人か らは指示 させないように している。指示す る人が複
数にならないようにO中国はそういうルールで動いているか ら」 「
指揮系統が中国では縦社会。縦割社会O
横か ら同 じレベルが違いに命令 しあ うということはない。 日本の中小企業は、完全な縦型ではいかず、お
和』が大事。精神的なギャップがな く、一時的な相
互いに協力 しなが ら進めていかなければな らない。 『
互命令 もある。そういう感触の違いが大変 という評価がある。中国の縦社会 と違 って、 日本の 『
和』の大
切 さを学んでほしい」。
私のいうことは聞 くんだけど、妻のいうことは聞かない。ボスのいうことは聞 くけど、同僚の
《
農業》 「
いうことはきかない。妻が仕事を頼むと急に腹をたてる。機嫌よか ったはずなのに急に」 「
私以外の、た
2
-2
3由子に指示 されるのはいやだとか、 自分がわか
とえば日本人研修生の女の子が指示 した ら厭がる。2
らないということを言われた らいやだとか。命令できるのは農場主だけで、妻や じいさんは関係ない。研
修生の中にも先輩や後輩の関係はない。対等のはずなのに命令 して くるか ら、彼にとってはお もしろ くな
中国人は 1人の
い。関係ないのに命令するし、さかないと怒 るか ら 『
お もしろ くない』といっている」 「
上司のいうことだけをきく。あとの人はみんな平等 という考え方。だか ら日本で も、農場主のいうことだ
けを聞き、妻やお じいさん、他の研修生のいうことは聞かない」0
- 88 -
中国人研修生 と受入側 日本人の生活 と文化変容 (2)
そ して受 け入れ側 日本 人が、中国人技術研修生の労働観 を このよ うに評価す るとき、その背後 には、
縦 』社会 」に対す る日
中国の 「
個人主義」 に対す る 日本 の 「
集団主義 ・ 『
和 』の精神」、 中国の 「『
横 』社会 」、そ して 中国の 「 『
時間的』労働評価 」すなわ ち 「
労働 -必要悪 」 とい う考え方
本の 「 『
に対 して、 日本 の 「
勤勉 」す なわ ち 「
労働 -い きが い ・美徳 」の精神 とい う対比的な、 しか も日本の
それを肯定 的に とらえた認識があ る。 そ して さ らにその根底で、多 くの受 け入れ側 日本人 は、 こう し
た労働観の違 いを説 明す るの に、資本主義 と社会主義の社会体制の違 い、 さ らには社会主義 に対す る
資本主義の優位性 とい う基準 を、暗黙 の うちに有 して い るので あ る(*)
。 そ こには、少 な くとも 「
集
団主義 」や 「
和 」の精神、 「
勤勉 と忍耐の美徳 」が、資本主義一般 に解消 され ない特殊 日本資本主義
的な労働観であ るとい う認識 は希薄で ある。
・労働観の相違の背景に、社会主義と資本主義の社会体制の相違を想定 している事例は、以下の通 りである。
《
企業》 「日本は資本主義 ・自由主義だか ら利潤追求によって企業はもっている。中国は、特にもうける
とかもうけないとかは関係ない。そもそも日中の企業概念そのものが違 う。中国の企業は、余剰人口や定
年退職者、労働者の商店 とか学校まで抱えている。まるでひとつの村みたいなもの。だか ら生産性に日中
ではっきりした違いがある。向こうは国営企業で、基本的に考え方が違 う。だんだん中国 も個人事業所が
増えているが、まだまだ。社会主義 と資本主義でこれだけ差が出ているということ、日本の生産性の在 り
向こうは 『
会社』っていうものはな く、国で しょ。主体は。そ
方と努力のプロセスを学んでほしいね」 「
ういう雰囲気の違いじゃないか。学校 も医療 もある 『
企業体』の中にいた人達だか ら、こちらの企業形態
と全 く違 って、指示 ・命令になじめないところがあるん じゃないか。例えば中国では、企業にも一定の雇
用枠があり、 『
何人使え』という枠が くる。日本のような 『
合理化』も難 しいで しょ」
共産圏の人だか ら、仕事に対する考え方が我々とは違 う。日本は自由競争だけど、向こうは違
《
農業》 「
うか らね。資本主義は競争社会で食 うか食われるか、勝つためにはどうするかを常に考える。それが資本
主義のいい点で も悪い点で もある。で もその分、自由がある。その自由の中で思 う存分、自分の能力を発
揮するのも、ひとつの特権だよとディスカッションしている。生き残 りをかけた競争 ・戦争 も発展のため
には大事な面だと思 う。中国で も個人の自由市場を少 し認めていて、それで少 し伸びているが、まだまだ
共産圏だから、どうして もそうなる。中国では自主的に組織
だ。 日本人 とはイデオロギーが合わない」 「
を作 って指導者になるということがないんだか ら。中国は政府が作るか、初めからあるか して、その中の
中国は共産主義だか ら、どうして もそうな
責任者が決められて労働者を支配するか ら、意欲に欠ける」 「
るん じゃないか。極端に分業が進んでいて、例えば獣医で も、牛の病気を発見する人と治療する人、薬を
飲ませる人が別々。 1人では発見 して直せない。与え られた以外の仕事をする必要 もないし、 して も給料
は変わ らない。 これではやる気がな くなるのは当たり前。我々は、市場経済の中で生き残るためには、何
で もやらなければならない」
この よ うな認識 は企業 ・農家双方の 日本人 に共通 して見 られ るが、特 に研修生 に 日本人並みの 「
労
働力」を期待 して い る農家の場合、 この労働観 の違 いに基づ く矛盾や葛藤がかな り顕在化 して い る。
彼 らには性善説 は通 じない。期
農家で は、 「もっとて きぱ きと積極的 に仕事 に取 り組んで ほ しい 」 「
待 して い ると裏切 られ る」等 々の感情的な声 も聞かれ るので あ る(辛)18'。
・受け入れ農家の不満の事例は、以下の通 りである。 「
彼 らには性善説は通用 しないの。だか ら性悪説を信
じてつきあってる。日本人に対 してみたいに期待 してたら、裏切 られることが多いもの。少 しは積極的に
仕事に取 り組んではしいね。仕事は仕事、遊びは遊びで一生懸命に」 「もっと自分で考えなが ら仕事に取
り組んでほしい。作業が集中するときの日本の農業の厳 しさを理解 していない。本当に勉強が した くて研
修に来たのなら、 もっと気をきかせて、てきぱきと積極的に仕事に取 り組んでほしい」。また逆に、研修
生が日本人的な勤勉さや 「
和」の精神を見せた場合、受け入れ農家の評価は大きく変わる。 「
研修生の休
-8
9-
神戸大学発達科学部研究紀要
第 2巻第 1号
みの日に麦藁を しめていたら、 『
忙 しいのは同 じだか ら私 も一緒にや ります』と泣いて訴える。それで気
にいった。よし、こいっはいい奴だと思った」。
第 2項
中国人か らみた 日本人の労働観
他方、 中国人研修生の側か ら日本人 の労働観 を見 ると、 まず、企業 ・農家 ともに、確 か に 日本人 は
4
)(辛)。
「
仕事 に対す る責任感やや る気が強 く、仕事 に集 中す る」特質を もってい る (
表 3-1
・日本人の 「
やる気」 ・責任感を指摘する事例は、以下の通 りである。
意欲や責任感は日本人の方が強い。 日本人は全員毎 日残業する。中国は特別の理由がな
《
企業研修生》 「
いと残業 しない。 日本にきたばか りのとき、驚いた。 日本人は自覚的に仕事を していますね。中国人は、
責任感がある人はあるが、ない人はない。だか ら中国の経済はそんなに高 くなりません」 「日本人は責任
感がとても強い。どんな仕事でもみんなよいようにする。やる気 も日本の方が強い」
《
農業研修生》 「日本人は仕事に厳 しい。中国人 とは適 う。 日本人は仕事を分担すると、全力を尽 くして
終わらせようとする。仕事の量や質にいっ も注意 している。日本人の仕事の仕方は熱心で精神的にも先進
的」 「日本人はよく働 く。働 く長さ ・早さ ・強さ、どれ も中国より高い。モンゴルで仕事やっている時で
も、友人や客が釆たらす ぐ仕事やめて家に帰る。 日本では仕事中は会わない。 これはいいこと。モ ンゴル
で もそうしたい。モンゴルは何を していて もす ぐ止める」 「
責任感は中国の方が少ない。日本人は仕事を
一生懸命にやる。何で もきちんとすませる。つまり何で もよく注意 して、器用に、後にのばさないです ぐ
すませる。責任感がある。中国で も個人経営の人は日本人と同 じくらい働 くが、国営企業で働 く人はあま
り働かない。年と共に
給料が上がるので働か 表 3- 14 中国人から見た日本人の労働観
なくて もいいんだ。仕
事のやり方など一生懸
来日前職業 上司と部 愛社精神 :
責任感 .利益追及 偶女が
下の間の 会社中心 やる気が の考えが 不平等
相
き談がで
ない 主義
命のやり方。これは中
個人主義 労組の仕 労働時間 他人を
事を社長 が長い 金で
:
廃に
強い8仕
集中 発
いる
達して
がする
「
雇う」
国人にはなかなかで き
ないね」0
また、 このよ うな 日本
〇
〇
④
6)個人企業
企業主
主
○
○
○
○
○
⑨
⑧
⑩
⑦ 管理
⑥
管理者
者
〇
〇
〇
〇
○
○
莱@
企
L
③
p技
技術者
術者
;
I
l
l ○
I
○
I
i
l
○
(
⊃
○
○
人の労働意欲の高 さは、
企業で は、個 々の労働者
が愛社精神を もって企業
全体の利潤 を積極的 に追
求 し、会社 中心の生活 を
送 ることを意味す る。他
農
莱①
② 自営農民
○
○
○
〇
〇
○
〇
○
○
∫
i
l
方、農家で は、 よ り直接
的 に利潤追求 とい う個人
的 目的に沿 った労働 -坐
活を営んで い ることを示
してい る(
*)
。
・こうした事例は以下の
④
⑤
@
⑧
③
⑦ 農業
農業技
技術
技術者
術者
者
○
○
〇
〇
〇
通 りである。
今は中国の
《
企業》 「
会社 も愛社精神をいう
実態調査より作成。プライバシー保護のため、ケースNO
は表毎に不銃一o
-9
0-
○
○
中国人研修生 と受入側 日本人の生活 と文化変容 (2)
ようになってきたが、 日本の方が これは強い。中国は国営だか ら愛社精神が弱い。愛社精神は重要ですね。
日本人は会社中心。仕事がおわ って も、会社の人と毎 日飲む。TQCは会社に必要だと思 う。 日本ではみん
なが会社のことを考える。中国はクビになることがないので、あまり考えない。中国は個人生活中心。 日
本は競争社会だか ら利益を目指 してみんなが力を合わせる」 「
日本 と中国では会社の体制が違います。個
人の有限会社や株式会社はいいですね。 日本の車の会社、株はみんな社員が買 っています。ただ し私の研
修 している会社では株 は秘密です。社員は買えない。株を買 うと愛社精神ができるで しょう。 日本では発
明の提案制度 もありますね。小 さな知恵。小集団活動みたいな ものを している。先月 どうだったかとか、
今月 はどうするかとか。 こういう愛社精神を育てるための努力はいいですね」 「
中国人はみんな個人のこ
とばか り考え、愛社精神がない。全体の ことを考えない。中国人の多 くは、個人の利益に及ぶかどうか、
自分の利益になるかどうかを考える。中国は古い歴史の国なので、みんな国家の企業 という考えあります。
で も国営企業で も、個人の企業で も、雇用 された人はみんな自分のことだけ考える。中国では、できるだ
け他の人によけいなことはいわない。他人が怠けていて も干渉 しない。 日本人には愛社精神がある。 日本
人は会社中心。 日本の社員はみんな会社の ことについて考える。そこが中国とは違 う。私 は、中国人だけ
ど、中国のこういうところは嫌いです。 日本の方がよい。中国は、前進 しない原因がた くさんあります」
《
農業》 「
中国は会社中心だが、 日本 は個人主義。中国人は国有だか ら国家建設のために一生懸命働 く。
日本人は私有だか ら自分のために仕事 とする。社会制度の違いだか ら」 「
中国は会社中心、 日本 は個人中
心。中国は愛社精神 ・愛国精神を重視するが、 日本人は個人生活を中心に考える」。
しか しなが ら、 中国人 か ら見 た場合、 日本が 「
横 」社会 ・ 「
和 」の社会 で あ る とい うことに対 して
は、疑 問符 がつ く。例 えば、 中国で は上 司 と部下 は平 等の立場 で議論 ・相談 しなが ら仕事 を進 め るが、
日本で は上 司か ら部 下 に絶対 の上 意下達が多 い。 また中国で は男女平等が原則 なの に、 日本 の職場で
は女性 の地位 も給料 も低 い。 いわば、上司 か ら部下 への上意下達 や女性 の排 除 とい った、 「
横 」社会
や 「
和 」の社会 とは似て も似 つかぬ 日本社会像 が浮 か び上 が るので あ る。 こう した 日本社会認識 は、
特 に企業研修生 に多 く見 られ る(*)19'。
・上司か ら部下への上意下達や男女差別を指摘する企業研修生の事例は、以下の通 りである。
上司と部下は、中国では、お互いにとて もよ く考え合 って話 し合 う。 日本 は競争社会だか
《
上意下達》 「
らあまり考えない。 日本では、部下 は上司に普通 は絶対服従。 日本では会社にはいると誰が上司でだれが
普通の社員かす ぐわかる。中国では、上司 も部下 も同 じ」 「
中国では、上司と部下がときどき友達のよう
に話す。 この点は中国の方がいい。直接的に率直に意見を言える。 日本では、言 うとして も自分の考えを
暖味に言 う。蓑 と裏が同 じかどうかわか らない。 日本人 は、上司か ら部下-の命令。中国は命令 と思想を
結合させている」 「
日本人は、上司の命令に自覚的によ く従います。部下は問題があって も上司には直接
言わない。中国では、問題があった ら直接言います。上司と部下の礼儀は中国と日本ではちょっと違いま
す。 日本では、部下は上司にいわれた通 りにやる。部下は上司のいうことを必ず守 る。上司のや り方の通
りにする。中国は、部下が 自分の意見を出 して、上司の命令を変えることがある。相談す る余裕がある。
理屈が正 しければ、上司が命令を変える。 日本には、相談する余裕が全然ない」 「日本では上司を尊敬 し
なければな らない。上司と部下に相談がない。中国では、上司ともよ く喧嘩する。たがいに相談 して決め
る。 日本では、部下は、ただやるだけ。中国はいやだった ら相談する」。
《
男女差別》 「日本は男女平等 じゃないなあ。中国は男女同 じ。 日本は、男女で言葉 も任務 も違 う。女性
は仕事が少ないし、簡単な仕事ばか りで、給料 も地位 も違 う。中国は全部同 じ」 「
中国では男女平等です。
日本の会社には、女性が少ない。仕事内容や責任 も違 う。経済や体制の問題があります。中国では女性 も
会社で仕事 します。男女同 じ給料です」 「
日本は女性の地位が低い。中国は女性の方が男性より強い。 日
本では女性はパー トだけ.女性は働かないO中国では、女性重役 もた くさんいる。 日本では係長以上には
-9
1-
神戸大学発達科学部研究紀要
第 2巻第 1号
女性はいない。あとは主婦。中国は女性 も必ず働 く」
この ことは、現実 の研修場面で、例 えば 日本人が 中国人 に指示 した場合、 中国人 はや り方 をめ ぐっ
て議論 を しか け、す る と日本人 は 「
中国 は 『
縦 』社会 だか ら直接 の上 司 に言 って も らお う」 と考 え、
そ して 中国人 は 「日本人 は上 司が言 えば絶対命令 だ と思 って い る」 と受 け とめ るとい った相互認識 の
循環 を形成 して い る。
また、 日本人 の 「
勤勉 」や 「
集団主義 」 に対 して も、すべての 中国人が肯定 的 に評価 して い るわ け
で はな い。管理者や個人経営主 は比較 的肯定 的だが、技術者 や労働者で は、 「日本人 は勤勉 で毎 日全
員が残業す る。最初 み た とき驚 いた。勤勉 だが、 う らや ま しい とは思 わない」、 また 「
手伝 う、手伝
わ ない以前 に、 自分 の仕事 は 自分 でや るべ き」 との意見 を もつ者 も少 な くない(
辛)ZO'。
・日本人の 「
勤勉」や 「
集団主義」に批判的な事例は、以下の通 りである。
日本人は勤勉だが、 うらやましいとは思わない。中国では、そうい うことは反対。仕事
《
企業研修生》 「
に関 しては中国の考え方の方がよいと思 う。時間の延長ではな く、技術の進歩で能率をあげてい くべ き」
「
私の考えとしては、 日本人のような会社中心はだめですね。休みがな くなります。生活だけで もだめ。
両方を大切にして、両方の関係を考えないとだめですね」
《
農業研修生》 「日本人はす ぐ集団で手伝 う。私は他の人を手伝わない。 自分の分だけやる。私 は仕事が
早いか ら、自分が終わった ら、手伝わないで休んでいる。農家の人は手伝えというが、少 し手伝 ってあま
り手伝わない。同 じ仕事やって もひとりずつ早 さが違 う。仕事をす る人 もいれば、 しない人 もいる。 自分
の仕事 もしないで手伝 ってばか りいる人 もいる。 自分の仕事 は自分でやるべ き。本当にで きないんだった
ら手伝 ってあげる。で も、できるのな ら自分でやるべき。 日本人 とは、そこが違 う」
《注》
(
1
)
学科 ・見学研修の具体例は、以下の通 りである。 「
コンピューターに関する講義をやり、機械の展示会に1
0回
農業用機械を作る会社に見学に 1回行 った。機械の展示会に 2
はど行 った。他の企業にも見学に行 った」 「
回行 った」 「
見学研修に 5回行 った。苫小牧 ・恵庭 ・夕張 ・室蘭にも行 った。近いうちに社長 と一緒に東京
にいき、車体の製造を見学す る予定」 「
過に 2回、3-4時間ずつ、生産管理 と生産方法、質量の計算、管
理や営業等について会社で授業を している。他の企業にも、一度、見学に行 った」0
(
2
)
経営管理者の研修生で も、業種的ギャップは存在する。 「
会社の専門が違 うか ら、鉄関係は帰国 して もあまり
私の会社は紡績で、ここは違 う。 ここで経営の研修 して も役に立たない」
使えない」 「
0
(
3
)
個人企業主の研修生の中には、 「
学科研修はな く、 ミリセクメーターやデジタル位相計を使 って電子製品を製
作する実習を しているが、私 は今のままでよい。あるときは工場で作業 して、忙 しくないときはいろいろな
方面の本を読む。 これでいいです」と述べ る者 もある。ただ しその場合、少な くとも業種的に受け入れ企業
と研修生の専門に一定の共通性があることが前提 となっている.
(
4)
他企業の見学では、 「
企業秘密」の壁が問題 となる。 「
電気通信が 1人の研修生の専門なので、NTTに連れ
て行 ったが、内部の機械配置は秘密主義で公開 しない。-- ド的なものは見せ られるが、 ソフ トとなると秘
密が多いので無理」と語 っている。
(
5
)
受け入れ企業の殆どは「
研修生に任せている仕事はない」と答えている。 「
作業 自体はあまりや らせていない
。
今は工場の方を回ってどんなことを しているのか勉強中。午前中は工場で仕事をみて、午後 は勉強 した り感
想を書いたりしている」 「
任せている仕事は何にもない。仕事 させて るっていう意識 はない。直接来て頂い
て会社に寄与 して くれるっていう形 じゃないか ら。忙 しくって人が足 りないか らって研修生を入れたん じゃ
仕事を任せるのは無理。特に初めはつきっ
ない し。
今は、出るものは出て も、何 も入 って こないんだか ら」 「
任せているというのはない。労働力なんて、 とて もとて も。
きりになるか ら、む しろ人手的にはきつい」 「
19
2-
中国人研修生 と受入側 日本人の生活 と文化変容 (2)
む しろ戦力的には足手まといになる」。
(
6)
一部の作業を任せない農家 もあるが、それは、教育上の配慮ではな く、む しろ経済的 リスクが理由であること
が多い。 「
何で もや って もらうわけにはいかない。注射等で乳に抗生物質が入 った ら大変。搾乳 は、乳に抗
生物質が入 って しまった ら、全部会社に弁償。何百 ・何千万支払い しなきゃなんない。一緒にいればいいん
だろうけど、忙 しいもんでさせていない。待 ったな しの油断できない仕事だか ら」。
月 1度程度、研究所 ・大学等で研修
(
7
)
養鶏農場は、例外的に公的機関での学科研修の必要性を指摘 している。 「
の機会を作 ってほしい。学科研修が一概に悪いとはいえない。アメ リカで も2年の うち 3カ月は学科研修が
あった。大学 ・行政 ・体験の 3つが大事。学科研修は、大学や研究所に入 ってやるべき」。
(
8)
ある企業研修生は、農業研修生の状態について、 「
自分達はいい。で も多 くの研修生は研修の意味に反 してい
る。農業研修 という名 目で働いている人の中には、朝 4時か ら夜 8時まで 1日中働いている人 もいる。 1カ
月 2万円の研修費で安い労働者 として。安い労働者は研修の意味をとり違えている」と述べる。またある農
家は、 こうした敵酷について、 「
基本的に悪い人はいないが、 『
使 ってやる』という気持ちと 『
使われにき
研修始めるとき、 『
何がやりたい ?牧草か搾乳か』と聞 くが、
たん じゃない』という気持ちのずれだろう」 「
その時ははっきりしない。後で 『
働かされた』ということになる」と語 る。
(
9)
技術水準ギャップに関 して、ある農家世帯主は、次のように述べる。 「
我々もアメリカ研修か ら帰 ったときは
殆ど技術がなかった。今の中国と同 じ。省 ・県 ・市のバ ックアップが大 きい。官民一体で努力 した結果、今、
日本 はこういう経営ができるようになったのだか ら、中国にも本人の能力が発揮 されるような行政を望む。
これは農家 レベルではどうにもな らない。外国との交流を深めて技術を入れ、行政の研究機関が もっと力を
入れてほしい。省都にある科学技術研究所の所長 と鶏のワクチンや消毒剤 ・肥料について話 し合 ったことが
あるが、
所長は『
研究やってます』と言 うが、実際はやっていない。技術 も研究機関 もあるのに普及 しない」0
またある農業研修生 は、 「日本には、中国で直接役立っ各種技術資料提供を希望す る。中国国内で、農業機
械製造工場あるいは合資会社、いろんな機械工場を設立することを希望する」と語 っている。
q
O
)
経営内容や生産関係のギャップを指摘する農家 ・研修生 も存するO
「
彼ら (
研修生)の故郷にはホルスタイン
はいない。モ ンゴル牛 といって小 さい牛がいる」、 「
河南省は、酪農地帯でないので研修が役に立たない。
適地適作の条件にあった研修生受け入れが大事。で も中国の農業公司には、酪農に限 らず、いろんな者がい
る」、 「
中国で も市場感覚が絶対不可能 とはいえないが、 しか し、帰国後、 自分でやれ るかとい うと、夢 と
現実の板挟みになるだろう。中国が自由化を本当にやると、日本にや られちゃうだろうか ら」。
a
l
)
農業研修では、来 日までの中国側の手続きの不明確さ ・繁雑 さも、問題になっている。受け入れ農家では 「
中
0日前位にやっと決まる。 どこの許可がお りないのか
国側の事情だが、研修生が来るのが急で困る。来 日の1
わか らないが」 「
中国側の事務手続 きが遅い。 こちらが忙しい時期で も来 日は 1カ月後 とか、受け入れる時
期 とか計画通 りに行かない。役人に一晩飲ませた ら翌 日に旅券が出るとか、そうでないと 1カ月たって も出
ないとか、賄賂が横行 している」。研修生側では、 「
研修のいろいろな手続 きで 1年間使 った」。また日本
側に対 して も 「ビザが半年毎の更新で手続きが繁雑」との批判がある。
n
2
)
特に自営農民は来日前の日本語研修が少ない。また農業に無関係の経歴の者は、研修生になることが決定 した
後、準備機関である農墾幹部学院で 5カ月間日本語を学んでいる。
u
3
)
もとより語学力には個人差があり、 「
言葉の面ではあまり困ったことはない」と語る農家 もあるoまたある農
家は、 「
研修生の中で 日本語能力に大 きな差がある。 日本語がよ くで きた人 とは、将来 も手紙などで交流が
保てる。日本語ができない人は手紙書けないか ら連絡が途絶える」と語る。
u
4
)
農家は、休 日に実地研修を行 うことを当然 と考えている。む しろ、 「
農業は生 き物相手で本来は休めないが、
牛は3
6
5日休めないが、研修生には月 2日の
月 2日の休 日を取 り、その日は朝晩の搾乳だけにしてあげた」 「
休 日のうち 1日は夜の仕事 もしな くていいようにしてやった」と述べている。
u
5
)
農業技術者の研修生には、 「
内蒙古は 9月には雪なので 1- 2月は仕事がない」 「
河南省では冬の仕事は少な
-9
3-
神戸大学発達科学部研究紀要 第 2巻第 1号
く、休みが多い」と語る者 もいる。
u
6
)「
中国人は何か 『して もらって当然』という気持ちがあるようだ.ひとつには第 2次世界大戦の時を思えば日
本がするのは当然。ふたっには、人に与えることは しないが もらうことには抵抗がない。 もらった ら返す と
か、ギブアン ドテイクという発想がない。機嫌 とりを しないのは、彼 らのいい点だが。帰 って も、 日本人に
0
年後に会いにいこう、
恩返 しということはないな。我々なら、アメリカ人にこんなに世話になったのだか ら2
そのためには成功 しなければだめだ」。
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)「うちは研修生にびっちりついていられるか らいいけど、世帯が大きくなると大変。
使用人が使 うようになる。
使用人だと、 自分のや りた くない仕事を研修生にお しつけることがある」。なおホテルの担当者 は例外的に
次のように述べる。 「うちの研修生は結構柔軟にものを考えているようです。やっぱりサー ビス業 という理
由か らで しょうか。他の所では、幹部の人が研修にくるので、下積みの ヒラの人のいうことを聞かないこと
私は部長や社長のいうことしか聞きません』と。で もうちでは柔軟にい うことを聞いて
があるようです。 『
くれてとにか く素直。彼 らはできるだけ日本に慣れようとしている。 自分の国ではこうしていたとか、自分
の考えはこうだというのを、あまり出さない」0
(
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)
労働観には個人差 ・地域差がある。「
一生懸命やる子は日本人以上の子 もいるし、全然勉強 しない子 もいるし、
当たりはずれがある。ウィグル自治区か ら来た子は農家出身で田舎か ら来たか ら、どんな仕事で も我慢でき
る。モ ンゴルの人 も、時間いっぱい一生懸命働いていたが、その人は親が開拓農家で明るい時間はず っと働
来る土地によって働 きぶ りが違 う。牧畜が盛んな所の子
いていた らしい。特に南方、河南省の人が悪い」 「
はよ く働 く。内モ ンゴルは畜産 ・綿羊が盛ん。河南省は酪農があまり向いていないらしい。印象 として河南
来る人間による。モ ンゴル人 はお っとりとしてい
省は萎縮型で協調性がない。内モ ンゴルはのびのび型」 「
て もくもくと仕事す る。北京人は人の顔色をうかがい手を抜 く。河南省は特にお偉方の息子を優先的に送 っ
て くるので役に立たない」。また養鶏業農場主 は、研修生の労働観に、例外的に理解を示 している。 「もち
ろん、怠けようという気持ちでや っている研修生はいない。時間か ら時間が くるのをただ待 っているという
気持ちではない。彼 らは、労働者 として来ているのではないのだか ら。勉強に来ているという気持ちが強い
のだか ら。研修生は帰 った ら責任者になるのだか ら、作業能率、今 日の うちに終わ らせるべ き仕事は今 日す
るとか、明日-の計画性をもっとか、そういう勉強を しなさいと、 しょっちゅう言 っている」0
(
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)
農業研修生にも同様の問題を感 じる者は見 られる.「
中国では上司と部下は平等O日本では命令 されてや らされ
中国では仕事中、上司や部下、同僚みんな 『
同志関係』。男女 も中国では平等。生活上 も皆 『
友
る感 じ」 「
人』」 「
中国は上司と部下 も男女 も皆平等だ。 日本は平等でない」。ただ し企業研修生 に比べれば、 こうし
た感想を抱 く者は少ない。
C
Z
O
)
労働観の相違が、中国人相互の対立につながる例 もあるO「
たまたま 2人同時だったものだか ら喧嘩 しだ した。
中国人は口では何時問で も言 い合 いをするが、暴力するとは思 っていなかったのでびっくりした。始めに来
た子が一生懸命に仕事 していた。後か ら来た子が、それを 『
お前は日本人になって しまったのか』と軽蔑 し
た。それで 2人が喧嘩 して、その後は しゃべ らな くなって しまった。初めの子は最後 まで一生懸命にやって
いた」0
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