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NEWS CLIPPING in September

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NEWS CLIPPING in September
本事業は日本財団の助成を得て実施されています
造船関連海外情報の提供
NO. 216/16 October 2011
BY JETRO SINGAPORE – SHIPBUILDING DIVISION & SHIP MACHINERY DIVISION
NEWS CLIPPING in September
シンガポール
シンガポール大、バラスト水処理の新技術を開発
シンガポール大学(NUS)工学部の研究者チームは、小型で環境にやさしい船舶バラス
ト水の殺菌技術を開発した。まもなく外航船に採用される見通しだ。電気分解により
水を処理するシステムで、すでに国際海事機関(IMO)から承認を受けた。コスト効率
のよい電極と一連の支援デバイスを使用、10~12時間かけて水を処理する。電極は特
許を取得済み。NUSは同技術の商業化に向けて会社を設立しており、数年内には商業
ベースに乗せたい考え。IMOはすべての船に、2016年までにバラスト水処理システム
を搭載することを求めている。この技術の開発にはシンガポール海洋港湾管理局
(MPO)が資金を拠出した。バラスト水は船が揚荷・積荷の際に安定を保つために運搬
するもの。ある水域の水を別の水域で排水することで、水中微生物が移動して生態系
の生物多様性に有害な影響を与えるため、殺菌をする必要がある。
《September 5, 2011, Channel News Asia》
オットー・マリン、新造アンカー・ハンドラー2隻受注
オットー・マリンは9日、制動馬力1万2000BHPのアンカー・ハンドラーの新造を船舶
運用会社のゴー・マリンから7700万USドルで受注したと発表した。1隻目は2012年8月
に、2隻目は13年3月に完成する予定。オットー・マリンは8日にも、8000BHPのアンカ
ー・ハンドラー「ゴー・リゲル」号をゴー・マリンに2400万USドルで販売したと発表
済み。ゴー・リゲル号は豪バース海峡のオリジン・ヨラ油田で稼動する予定で、8日
にケッペルベイ・マリーナで引渡した。2隻の新造受注は同社の2011年の業績・バラ
ンスシートに影響を与えないが、ゴー・リゲル号の販売は影響がある。ゴー・マリン
は20隻のオフショア供給船を保有運営しており、同社の19%をオットー・マリンが保
1
有している。ゴー・リゲル号がオットー・マリンからゴー・マリンが購入した第1号
の案件で、オットー・マリンのリー・コクワー最高経営責任者(CEO)は「これらの受
注はゴー・マリンとの相乗効果を示す」と述べた。オットー・マリンを取り巻く環境
は年初から厳しく、第2四半期は3830万シンガポールドルの損失を出した。ノルウェ
ーのモスボルド・サプライから3億2250万USドルで受注したアンカー・ハンドリング・
タグ・サプライ船4隻のうち、3隻が納期遅延で取り消しとなったことが響いた。最後
の1隻もこのまま遅れれば取り消される。
《September 10, 2011, The Business Times》
JTC、多層式油層を検討
シンガポール政府は石油・石油製品の保管に、多層式の油槽を導入する方向で調査を
開始する。石油化学施設が集積するジュロン島で土地不足が深刻化、油層をこれまで
どおり地上に置くのは困難になったため。すでにシンガポールでは地下油槽所、海上
油槽所の建設が進んでいるが、商業用の多層式油槽は実現すれば世界初となる。政府
の産業用土地開発を担当するJTCによれば、投資額8億9000万シンガポールドルの地下
石油タンク「ジュロン・ロック・カバーン」の第一期工事は順調で、2013年前半に保
管能力147万立方メートルの5タンクが完成する。スバロク島に計画している海上油槽
所は、事業化調査が終わり次第、年末までに建設業者入札を実施する。初の巨大人工
浮島(LVFS)上の油槽所で、長方形の浮きモジュール2個からなり、30万立方メートル
とVLCC1隻と同規模の保管能力を持つ。多層式油槽はこのほど事業化調査の入札を開
始した。JTCは「革新的な方法による石油・石油製品の保管は、土地活用を最大化す
るための試みの一環だ」としており、JTCのスポークスマンは「液体タンクを積み上
げることで、土地使用を20%節約できるため、この方式の採算性を調べる。調査は2012
年1月までに終了する」と語った。業界からは「革新的だがコストが問題」との声が
上がっている。「これまでもアイディアは浮上したが高コストで実現しなかった」と
指摘する向きや、「油槽に使う鉄鋼は下部が厚く、上部が薄いため、単純に重ねるこ
とはできない。上のタンクを支える骨組みが必要になる」との意見が聞かれた。ある
業界筋は「石油製品向けや潤滑油向けの数百立方メートルの小型タンクなら可能だろ
う。骨組みの上にタンクを載せる格好になる」と述べた。シンガポールでは石油大手
のシェルやエクソン・モービル、シンガポール・リファイナリーの自社向けの油槽の
ほか、ボーパック、ヒンリョン・ペトロチャイナのユニバーサル・ターミナル、エミ
レイツ国営石油のホライゾン・ターミナル、ケムオイルのヘリオス・ターミナルなど
が石油・石油製品の保管サービスを提供している。最新はストルト・ニールセンの石
油製品タンクで、ジュロン島ではこれが最後の地上油槽になるとみられている。シン
ガポールには石油・石油製品の取引業者の流入が加速しており、油槽設備が不足。隣
国マレーシアのジョホール州にある油槽所を使う取引業者も増えている。
《September 19, 2011, The Business Times Singapore》
2
マレーシア
ラブアン造船、石油ガス部門で成長へ
マレーシアのラブアン造船(LSE)は石油ガス産業向けの造船で地域のリーダーとなる
強気の見通しを示している。同社は東南アジアの造船会社で最大手の一つで、設備も
整っている。モハメド・アズマン・ナシール最高経営責任者(CEO)は同社が国際市場
でマーケティングを強化しており、特にインド、ベトナム、ミャンマー、タイ、中国、
インドネシア、中東の市場に専念していることを明らかにした。同CEOは「サプラク
レスト1からの出資で大型受注がこなせるようになった。国際市場での受注を目指し、
入札に参加している」と述べた。サプラクレスト・ペトロリウムの子会社、サプラク
レスト・ベンチャーズはLSEの50%を取得した。LSEはこのほかペトラ・リソーセズの
100%子会社のペトラ・エナジーとも、ラブアンのビクトリア・ハーバーにある設備
使用で提携しているほか、ケンチャナ・ペトロリウムとも提携。「他のパートナーと
も組みたい」としている。LSEは周辺の零細工場で作業している中小メーカー約20社
とも協力する。これらの企業は能力不足でLSEからの大型発注に対応できないことが
あるため、LSEのヤードの施設使用を認める計画だ。中小企業ながら業界で役立つ人
的ネットワークを持ち、提携の利点は大きいと見る。モハメド・アズマンCEOは「サ
バ沖の油田発見とマレーシア政府の支援が奏功し、ラブアン島はまもなく域内の石油
ガス産業センターとなる」と予想。「周辺の支援産業の発展で、石油ガス産業は開発
が大きく推進する見通しだ。LSEはいい時にいい場所にいることになる」と語った。
同社は造船のほか、年間数百隻の船舶修繕能力を持つ。今後同社は人材育成に力を入
れる。すでに高技能労働者を国中で引き抜き、就職説明会などにも参加している。
《September 5, 2011, Asia Pulse》
ナムチョン、合弁会社設立
ナムチョンの子会社、ナムチョン・ドックヤードは海洋支援サービス大手のPTバテ
ラ・ニアガ・インターナショナル(BNI)、カリミン、CTNSマリンと、計4社で合弁会社
を設立した。ナムチョンのティオン・スーコク会長兼最高経営責任者(CEO)は「合弁
会社の設立は成長戦略の一環。戦略的パートナーとの連携で、マレーシアの石油ガス
部門の用船事業拡大につなげる」と述べた。合弁会社がペトロナスなど大手石油会社
とつながりを持てれば、合弁に参加した各企業も将来の成長に生かせるとみている。
合弁会社設立に伴い、4社はマレーシアの私有企業、インタクト・フリートを1580万
リンギで買収、シナジー・ケニヤラン・オフショアに改名した。ナムチョンのリョン・
センキャット取締役は「石油メジャーがマレーシアや周辺地域の石油探査・生産(E&P)
分野の設備や船に投資を続けており、(シナジーのような)投資は価値上昇が期待で
きる」と述べた。シナジーを総合オフショア企業に育てることで、商機をつかむと同
時に、合弁参加企業に利益を還元できると期待する。買収資金は資金拠出と株主ロー
ンの形式。各社が合弁会社への出資比率に比例する割合で、シナジーの資本金10万リ
1
マレーシア上場のオフショアサービス会社。オフショア掘削、オフショア構造物の
設置・建設などに従事する。
3
ンギを出し合った。シナジーへの出資比率はナムチョン・ドックヤードとBNIが40%ず
つ、カリミンが15%、CTNSが5%。同時にシナジーがナムチョン・ドックヤードから8800
万リンギで多目的支援船「SKディープシー」号を買うことでも合意した。ナムチョン
にとり、2カ月で5隻目の売却で、受注残は12隻、6億7800万リンギとなった。うち7隻
は年内に、残りの5隻は12年に引き渡す。
《September 20, 2011, The Business Times Singapore》
MISC、設備投資計画を断行へ
液化天然ガス(LNG)海運の世界最大手、MISCは景気悪化が長引くとの懸念にかかわら
ず、今後2~3年で主に新造船に40億~50億リンギを投資する設備投資計画を断行す
る。ナサルディン・モハマド・イドリス社長は「我々は発注を取り消すような会社で
はない。ただ(未発注の)石油製品タンカーなどの新設備投資計画は延期した」と述べ
た。22日、年次株主総会後に語った。MISCの年次報告書によれば、同社は石油タンカ
ー部門で14隻の新造船を発注済みで、2年内に引渡しを受ける計画。MISCの石油タン
カー、製品タンカー、貨物船の部門で赤字が続いている上、多額の設備投資を計画し
ていることを受け、スタンダード・アンド・プアーズ、ムーディーズなどの格付け会
社は最近、MISCの社債を格下げした。MISCのジョージ・マンハルラル・ラティラル会
長は「重要なのはまだ(当社社債が)投資適格級にとどまっていることだ。我々にはペ
トロナスからの強力な支援など、競合他社にない強みがある。ただ、格下げはもちろ
ん将来の資金調達に影響を与える」と述べた。同会長によればMISCは30億リンギの現
金や未使用の借り入れ枠があり、資金の余裕はある。石油タンカー、製品タンカー、
貨物船部門は2011年も赤字となりそうだが、LNG、タンクターミナル、オフショア部
門の利益が緩衝材となる見通しだ。ナサルディン社長は「VLCCの用船量は好景気時に
は1日20万USドルに達するが現在は1日2万USドルと、市況の変動がはなはだしい」と
説明した。同社長はまた、MISCの子会社、マレーシア・マリン重工業(MMHE)が最近買
収したパシルグダンの造船所をリースするとの報道を否定し、「サイムダービー・エ
ンジニアリングが施設をまだ使用しており、引渡しを待っている」と述べた。
《September 23, 2011, Business Times Malaysia》
インドネシア
バタムのコンテナ港、開発業者入札へ
バタム自由貿易地区・貿易港(KPBPB)経営陣はまもなく、バトゥ・アンパル・コンテ
ナ港の建設・運営業者の入札を実施する。KPBPBのムストファ・ウィジャジャ経営委
員長が明らかにした。経営委員会は国内・海外の投資家を入札に招き、バトゥ・アン
パル港の将来計画を示す予定。ムストファ氏は「すでに国内・海外の投資家から強い
関心が示されている」と述べた。ただ同港の建設には高い水準の工事と投資家の深い
関与が求められるため、業者の選別は慎重に行う考え。ムストファ氏は、シンガポー
ルの圧力が原因で同港の建設が遅れたという批判を否定。「遅れは技術的な問題が原
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因だ」とした。いったん落札したフランス企業が辞退したのは、世界経済危機の影響
があったためだという。一方、ドウィ・ジョコ・ウィウォホ広報部長は仏CMA-CGMが
建設と50年間の運営契約を実施するかどうかまだ最終決定していないと述べた。
《September 12, 2011, Asia Pulse》
スラバヤ工科大と大宇、FLNGの共同研究
スラバヤ工科大学(ITS)と韓国の大宇造船海洋は浮体式LNG施設(FLNG)の共同研究を
進めている。ITSのイル・トリロヨギ・ユウォノ学長によれば、TSと大宇造船海洋は
このほど終了した第5回作業部会で、2010年に終了した第1期研究の成果を発表し、第
2期の研究開始で調印した。ユウォノ学長は「国際的にエネルギー不足問題が深刻化
し、クリーン・エネルギーへの関心が高まる中、FLNG研究の重要性は増している」と
し、「インドネシア最大の工科大学のひとつであるITSは、エネルギー問題に取り組
む責務がある」と語った。大宇造船海洋のジュンハン・リー副社長は「豊富な天然ガ
ス埋蔵量を持つインドネシアでの共同研究は戦略的意義がある」と指摘した。ユウォ
ノ学長によれば、インドネシアのガス田には固定式の構造を設置できない場所も多
く、LNG生産・輸送にFLNG技術の活用が求められている。「共同研究は政府による将
来の天然ガス政策の策定にも有用だ」とも述べた。第1期研究では、インドネシアの
複数の天然ガス田のガス成分に基づく概念設計に取り組んだ。第2期はより詳細部分
の設計に入り、環境面や安全面の研究もする。
《September 28, 2011, Asia Pulse》
フィリピン
韓進、スービックで新造船を2隻完成
韓進重工業フィリピンは2隻の新造バラ積み船を完成した。スービックベイの造船所
で命名式を行った。完成したのはM/Vスター・ボレアリス号とM/Vスター・ポラリス号。
これらの船はギリシャのスターバルク・キャリアズ向けで、載貨重量トン数18万DWT、
総トン数9万3681GT、長さ292メートル、幅45メートル、喫水24.75メートル。世界の
バラ積み貿易に使用する。スービックベイ都市管理局(SBMA)のロベルト・ガルシア会
長は韓進重工業フィリピンのフィリピン経済発展への貢献に感謝し、「韓進のおかげ
でフィリピンは過去数年の間に世界4位の造船国になった」と述べた。また韓進のス
ービックベイ造船所の拡大計画を歓迎。このためにすでに200ヘクタールの土地を抑
えたとし、韓進に対し、「造船のみならずフィリピン人の雇用創出で引き続き貢献し
てほしい」と要望した。スターバルクのスピロス・カプラロス社長によれば、これが
同社にとって初の新造船。同社長は「韓進とは、国際的安全・環境基準を上回る良質
で効率のいい船を求めるビジョンを共有している」とし、「これらの船の建造におい
て、廃棄物を尐量に抑え、高効率、低燃費の実現に努力がなされた。エネルギー効率
の改善は排出量削減だけでなく、経営の安定性にも影響を与える」と語った。韓進重
5
工業フィリピンは世界最大の乾ドックを2基持つ。スービックの造船所では2万2000人
の高技能労働者を雇用している。
《September 15, 2011, Philippines News Agency》
常石、セブ製で最大の船2隻目を引き渡し
常石造船傘下のツネイシ・ヘビー・インダストリーズ・セブ(THICI)は20日、載貨重
量トン数が18万DWTと、同社がセブで建造した船では最大級のバラ積み貨物船「ケー
プ・サンパギタ」号を川崎汽船に引き渡した。THICIは2012年にも18万DWTのバラ積み
貨物船「天秀丸」を引き渡しており、同規模の船はこれが2隻目。ケープ・サンパギ
タはほぼ1年で完成した。THICIが2011年に引き渡した船はこれで14隻目となった。ケ
ープ・サンパギタには21人のフィリピン人船員が乗り込み、シンガポール、オースト
ラリア経由で日本に向かう。THICIは日本の常石造船とセブのアボイティス・グルー
プが1994年に設立した合弁会社で、セブ島バランバンにある西セブ産業地区内に147
ヘクタールの造船所で海外顧客向けにバラ積み船、車両輸送船などを造船している。
THICIの河野仁社長は「ケープ・サンパギタの引渡しは世界の造船産業による当社へ
の信頼の表れだ。我々は世界トップ級の造船会社をめざす」と述べた。同社は2014年
10月までフル稼働の見通し。今年は18隻の新造船を建造する予定で、うち13隻が5万
8000DWT、5隻がケープサイズの18万DWT。天秀丸は昨年完成時、フィリピン製の船で
過去最大だった。当時、アボイティス・エクイティ・ベンチャーズのエラモン・アボ
イティス社長は「バランバンの造船所と、セブにある韓進の造船所をあわせ、フィリ
ピンは世界4位の造船国となる」と述べた。1994年の設立当初は2000人だった人員も1
万1000人に増え、人件費は年間20億ペソ。
《September 21, 2011, Philippines News Agency》
ベトナム
ビナシン、日本企業の支援求める
ベトナム最大の国営造船会社、ビナシン・ビジネス・グループは経営再建に向け、日
本企業に技術支援を求める計画だ。日本貿易振興機構(JETRO)に仲介を求め、三菱重
工業、川崎重工業、IHIと年内に交渉を始める見込み。ビナシンは中規模貨物船に特
化し、アジア有数の造船会社に育ったが、急拡大に伴う工場建設や不動産市場への参
入などで借入が膨張。世界経済危機で受注取り消しが相次ぎ財務状況が悪化、2010年
には債務が推定40億USドル超に達し、経営は事実上破たんした。国内のなど拠点30か
所を閉鎖・統合する債権計画を進めており、設備・施設の売却や、日本企業からの出
資受け入れで債務の支払いをする方針だ。日本企業の支援を受ければ、船舶エンジン
など日本の先進製造技術を取り入れ、品質向上とコスト削減で競争力を高められると
期待する。ビナシンの人員を日本に送るか、ベトナムに日本企業の人員を招くかは今
後決める。また日本の銀行を含む外資銀行の協力も求める考え。ただ日本の造船会社
も競争の激化で苦戦しており、支援に合意するかどうかは不明だ。
6
《September 8, 2011, Vietnam New Brief Service》
ベトナム警察、ビナシンの幹部をまた起訴
ベトナム警察は8日、国営ビナシン・ビジネス・グループの幹部をもう一人起訴する
ことを決めた。国の規定に違反し、ビナシンの巨額損失の原因を作ったとして、系列
会社ビナシン・ファイナンス・コーポレーションのホアン・イア・ヒェップ元副社長
(39)を起訴する。ベトナム最高人民検察院がヒェップ元副社長の拘留を承認した。ヒ
ェップは2007年1月5日、中古船CARTOURのイタリアからの購入に直接関与した。価格
は6000万ユーロでビナシンの債券発行による資金を充てたが、07年末~10年5月7日ま
での合計投資額は2兆ドンで、国の損失は410億ドンに達した。ベトナム警察はこれま
でにビナシンの幹部11人を起訴、9人を逮捕し、ホー・ゴック・トゥン元最高財務責
任者(CFO)、関連会社ビナシン・オーシャン・シッピングのギャン・キム・ダット元
事業部長を捜索している。逮捕されたのはファム・タイン・ビン・グループ会長、チ
ャン・クアン・ブー元最高経営責任者(CEO)、チャン・バン・リエム元取締役、カイ
ラン・スチールのグエン・トゥアン・ズオン元CEO、ホアン・アン造船のグエン・バ
ン・トゥエン元取締役ら。ビナシンは09年6月末、非効率経営で債務が44億1000万US
ドル超に膨らんだことが明らかになり、ベトナム企業の財務の評価は世界的に急落し
た。しかし政府は政治家の告発はせず、会社を再建する方針を打ち出した。
《September 9, 2011, Vietnam News Brief Service》
ベトナム、メコンデルタの港を改良
ベトナム政府による整備で、クーロン(メコン)デルタ周辺の海港・河川港の合計取扱
い能力は2010年の1570万トンから2020年には2800万トンまで増える見通しだ。メコン
の主要支流であるティエン川、ハウ川流域の港湾を改良し、新施設を建設する。ティ
エン川流域ではドンタップ省のカオラン‐サデック港、ティエンギャン省のミートー
港、ビンロン省のビンタイ港、ベンチェ省のハムルオン港を改良。ティエン川岸の埠
頭を含め、載貨重量トン数5000DWTの船が入れるようになる。ハウ川流域ではカント
ー市のカイクイ港、チャノック港、カントー港、アンギャン省のミートイ港、ソック
チャン省のダイガイ港、チャビン省のチャクー港を改良し、5000~1万DWTの船を受け
入れる。一方、カマウ半島とタイ湾に建設する海港は、カマイ省のナムカン港、キェ
ンギャン省のホンチョン港、バイノ港、ビンチ港で、5000~1万DWTの船に対応する。
カントー市周辺の一連の港はメコンデルタ地域の貿易ハブとなる見込み。同地域で最
大の港であるカントー市のカイクイ港は数千億ドンの改良工事中で、完成すれば2万
DWTの船が入港できるようになる。カントー港とチャノック港はすでに改良工事を完
成。長さ90メートルの埠頭を建設し、倉庫地区を1万2000平方メートル分拡張した。
倉庫の拡張分の半分はコンテナ用だ。この2港はホーチミン港より1トンにつき使用料
が5USドル安い。カントー市はさらに、東海に浮き港を建設する方向で調査中。実現
すれば2025年に完成し、6万DWTの船に対応できるようになる。
《September 9, 2011, Vietnam News Summary》
7
ベトナム警察省、ビナシンの不正で幹部9人立件
ベトナムの警察省は国営造船会社ビナシン・ビジネス・グループの捜査を終了、9070
億ドンの巨額損失を引き起こしたとして9人の幹部の起訴を求めた。ビナシンのファ
ム・タイン・ビン元会長(58)、同チャン・バン・リエム元財務部長(56)、同チャン・
クアン・ブー元社長(53)、ホアン・アン造船のグエン・バン・トゥエン元社長(49)、
同ドー・ディン・コン元副社長(49)、クーロン投資のグエン・トゥアン・ズオン元会
長(45)、カイラン造船のトー・ギエム元会長(52)、ビナシン・ファイナンスのチン・
チー・ハウ元社長(47)、同ホアン・ギア・ヒエップ元副社長(39)の9人で、このほか
ビナシンのホー・ゴック・トゥン元最高財務責任者(53)とビナシン・オーシャン・シ
ッピングのギャン・キム・ダット元事業部長は国際指名手配中。ビナシンの不正はホ
アセンの船舶購入、バック・ダン・ギャンの船舶改造、ソンホンとナムディンの水力
発電所建設、カイラン・ディーゼル水力発電所建設、ビンディン・スタートの船舶と、
計5件のプロジェクトで発覚した。特に違反が深刻だったのはビナシンのビン元会長。
ホアセンの船をイタリアから6000万ユーロで購入をきめたものの、39便を運航しただ
けで休止し、4700億ドンの損失の原因を作ったとされる。巨額に膨らんだビナシンの
債務問題はベトナム企業の会計基準の国際的な評判を落とした。現地メディアによれ
ば、ビナシンが受注を実施できなかったため損失はさらに10億USドル増えると政府監
査官は報告している。2010年12月、ビナシンが07年にクレディスイスから借り入れた
6億USドルの融資のうち、6000万USドルの支払いが不履行となったのを受け、金融市
場ではビナシン問題がベトナムの経済の要である国営企業全体の問題との懸念が広
がり、格付け会社はベトナムの国債格付けを引き下げた。
《September 27, 2011, Vietnam News Brief Service》
インド
ICTT、カボタージュ規則まもなく免除か
バラルパダムの国際コンテナ積み替え港(ICTT)は間もなく、カボタージュ規則の免除
措置を受けられそうだ。海運省のモハンダス書記長は「海運省はこの問題を積極的に
検討しており、2カ月内にICTTにカボタージュ規定を免除する決定を下せそうだ。政
策決定が関わるため時間がかかった」と語った。インド初の積み替え港となるICTTは、
カボタージュ規則の緩和と貨物取扱コストの引き下げが実現すれば、外資海運にとっ
て魅力が高まるとみられる。ICTTを合弁で設立したコーチン港湾局とDPワールドは、
カボタージュ規則の免除を強く働きかけていた。カボタージュ規則はインド籍の船だ
けにインドの内航貨物の輸送を認めるもの。ケララ州政府もICTTのカボタージュ規則
適用緩和にロビー活動を強化した。K・バブ・ケララ州港湾相は「チャンディ州知事
が率いるケララ州チームが22日にニューデリーを訪れる。中央政府は検討せざるを得
ない」と述べた。一方、インドの海運会社はICTTへのカボタージュ免除に対する反対
を強めている。海運会社は「インドの船は外資との競争に対して保護される必要があ
る。外資はすでに免税などの特権を受けている。もしICTTがカボタージュを免除され
8
れば、他港も同措置を求める」との立場だ。コーチン港湾局とDPワールドはカボター
ジュ免除で二つの論点を強調している。第一に「バラルパダム港に入港する超大型コ
ンテナ船はインドの内航船とはみなされず、カボタージュの規則は適用しない。もし
外国フィーダー船が認められなければ、荷主は積み替え拠点としてバラルパダムでは
なくスリランカのコロンボを選んでしまう」。第二に「インド籍のフィーダー船は13
隻しかなく、輸送能力は1万2156TEUと、バラルパダム港の年間推定取扱高77万5000TEU
に比べ大幅に不足している」という。これに対しインド海運公社のハジャラ会長兼社
長は「インドのフィーダー船の能力は十分ある」と反対した。モハンダス書記長は「イ
ンド籍の船の輸送能力と予想貿易量の差はさほど大きくない」とし、「荷主が外資海
運に頼るのは、輸送能力ではなく、効率性やコストの問題からだ」と述べた。国会常
任委員会のシタラム・ヤチュリ氏(インド共産党マルクス主義=CPM)も最近、ICTTへ
のカボタージュ免除を提言した。《September 8, 2011, The Times of India》
ピパバブ、マザゴン・ドックと合弁で戦艦建造
ピパバブ・ディフェンス・アンド・オフショア・エンジニアリング(旧ピパバブ造船)
は国営マザゴン・ドックスと、インド海軍向けに戦艦を建造するための合弁会社を折
半出資で設立する。社名はマザゴン・ドック・ピパバブ(MDPL)。数週間内に正式に設
立する。ピパバブのニキル・ガンディー会長によれば、民間の造船会社が前線用の戦
艦建造を受注するのはこれが初めて。これらの戦艦の価格は1隻1億~60億USドル。マ
ザゴンの受注残は10兆ルピーで、ピパバブは15億USドルの受注残がある。ガンディー
会長は「ピパバブは年間5隻の戦艦を建造する免許を持つが、当社の造船所はモジュ
ール形式なので12隻まで拡大できる。ピパバブは世界の戦艦・潜水艦大手10社中6社
と提携している」と述べた。また「インドはすべての種類の戦艦において受給ギャッ
プが巨大だ」とし、「インド海軍の発注額は250~300億USドルに上るが、インフラと
規模に制限があるため、実施は年間10億USドルにとどまる」と述べた。合弁会社は両
社の施設を使用し、マザゴンの受注の実施を加速すると期待される。新造船の契約は
通常4~10年にわたる。ガンディー会長は「マザゴンの受注だけでも10~15年は忙し
いが、ピパバブにはマザゴンにない先進造船能力があるため、外部からの注文も受け
る」と語った。合弁会社は新規投資の計画はない。ピパバブは自前の施設に10億USド
ルを投資することを決めており、うち7億5000万USドルはすでに投資済みで、残りの2
億5000万USドルは調達を完了、湿ドックを乾ドックに改造する工事にあてる。ピパバ
ブは今期第2~第4四半期は完全稼働する見通し。人員は2010年の650人から3000人に
増やした。潜水艦の建造能力を持つ国はインド以外では3国だけだという。ガンディ
ー会長は「インドではマザゴンに加え、今はピパバブもその能力を持つ。他の造船会
社より大規模なインフラがあり、友好国に戦艦の輸出もしている」と語った。合弁会
社は、外国企業がインドへの輸出とインド企業からの輸入をオフセットできる政策を
活用すれば商機が大きいとみている。しかしABG造船とラーセン&トゥブロはマザゴ
ンの合弁相手選別の過程に疑問を投じた。両社はそれぞれマザゴンに文書で抗議。
「趣意書を提出したにもかかわらず、マザゴンの合弁相手になる提案に応じる機会が
与えられなかった」と主張した。
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《September 13, 2011, The Hindu, September 15, 2011, The Press Trust of India》
SCI、370億ルピーで新造船を24隻購入
国営インド海運公社(SCI)は23日、今期内に370億ルピーを投資して24隻の新造船を購
入する計画を明らかにした。第61回年次株主総会でB・K・マンダル財務部長が語った。
バラ積み船、原油タンカーや、その他同社が運航するすべての種類の船を平均的に発
注する。すでに各地の造船所において建設中で、今後4年で引渡し予定の29隻は含ま
ない。S・ハジャラ会長は、SCIの船隊は現在平均船齢14年だが、新船の引渡しを受け
れば13年以下に若返ると語った。同会長はまた、民間造船会社の買収計画についての
株主からの質問に対し、「出資計画についての決定は変えていないが、時間をかけて
進める」と答えた。同社は2007年、海運市場での船舶供給不足の際、造船契約で優先
措置が受けられるよう、民間造船会社の買収機会を熱心に探っていた。ただその後シ
ナリオが悪化したため、同会長は「収益が圧迫されており、いつ計画を開始できるか
明言できない」と述べた。一方運賃の見通しについてハジャラ会長は今後上昇すると
の見方を示した。また旅客フェリーへの参入については、「収益性に疑問がある」と
して「予定はない」と語った。海賊の被害を避けるために、危険水域を運航する際に
武装警備官を乗船させることを真剣に検討しているとも語った。
《September 23, 2011, The Press Trust of India》
SCIやグレート・イースタン海運、燃料高で多角化
インドの大手海運会社がオフショア・サービスや浚渫、炭鉱などへの多角化に乗り出
している。燃料費の高騰と運賃の激しい変動で苦戦する本業の海運を離れ、新たな収
入源の獲得を試みる。最大手のインド海運公社(SCI)や民間最大のグレート・イース
タン・シッピングは過去数カ月間、オフショア油田支援サービスへの投資を増やした。
民間2位のメルカトル海運は最近インドネシアの炭鉱を買収。グレート・イースタン
海運のオフショア子会社、グレートシップ・インディアのラビ・K・シェス社長は「資
本集約型の海運事業のリスクを軽減し、人材依存型の事業に軸足を移さなければなら
ない。オフショア事業に大型投資するのはそのためだ」と述べた。バンカー価格は過
去2カ月で、1年前より62.5%高い650USドルに達した。原料運賃の指標であるバルチッ
ク指数は非常に変動が激しく、世界経済危機が始まった08年から90%下落した。メル
カトル海運のH・K・ミタル会長は「さらに炭鉱を買収したい。特に当社がすでにしば
らく運営経験があるインドネシアで拡大する。浚渫の受注残は40億ルピー近くあり、
浚渫船は今後1年フル稼働の見通しだ」と述べた。同社は先週、社名をメルカトルに
改名することを決めた。浚渫事業はインド市場の成長可能性が高いとみて、浚渫船の
船隊を拡大する計画。専門家はバルチック指数の低さに懸念を示している。指数は年
末には1000~1200USドルに落ち着くとみられるが、多角化はインドの海運会社の収入
増に貢献しそうだ。デロイト・インディアのヘマント・B・バトバート上級部長は「原
油価格の高騰と不安定な世界市場の影響で、海運会社の収入は20~25%下落する。専
門サービスに多角化した企業が長期的に生き残る」との見方を述べた。グレート・イ
ースタン海運はシンガポールを拠点にオフショア事業を拡大する計画を打ち出した。
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バトバート氏は「多くの企業が造船、コンテナ貨物駅、オフショア、浚渫などに多角
化している」と指摘。メルカトルのミタル会長は「海運部門への新規投資も継続する
が、全体の売り上げに海運が占める割合は引き続き下がるだろう。海運はその他の事
業を補完する位置づけになる」と語った。業界筋によればSCIもオフショア事業に参
入する方針で、子会社設立を計画している。中小のバルン海運、グローバル・オフシ
ョア(旧ガルワレ・オフショア)もオフショア油田探索に投資を拡大し、ブラジルや東
南アジアへの進出を狙うなど、シフトは広がっている。
《September 25, 2011, The Economic Times》
ABGポートとPSA、670億ルピーのJNPT開発受注
シンガポールのPSAとABGポートの企業連合は、インドに13ある大型国営港の一つ、ジ
ャワハルラル・ネルー港湾局(JNPT)の第4ターミナル建設プロジェクトを670億ルピー
で受注した。ABGインフラロジスティックスが26日、子会社のABGポートとPSAムンバ
イ・インベストメントの企業連合が正式にJNPTから発注書を受けたと、ボンベイ証券
取引所への報告で明らかにした。プロジェクトは設計・建設・資金調達・運営・譲渡
(DBFOT)方式で行う。ラケシュ・シェリバスタバ海運長官は26日、「670億ルピーのプ
ロジェクトはインドの港湾部門で最大の投資だ」と述べた。PSA連合は7月にJNPT港プ
ロジェクトの優位入札者に選ばれていた。このプロジェクトではPSA連合と政府が収
入を折半する。情報筋によればインドの港で政府が民間と利益分配するのは記録的だ
という。正式な発注が遅れたのは、ABGとPSAが運営しているグジャラート州カンドラ
港のコンテナ取扱高が過去6年間減尐していることをJNPT理事らが懸念したため。
JNPTはこれに対応、N・N・クマール副会長率いる委員会を設立して、ABGの業績を監
査。委員会は27日、報告書を提出する。2010年10月に実施したJNPTの入札にはPSA連
合のほか、DPワールド、アダニ・グループ、APMターミナルズが応札した。
《September 27, 2011, The Press Trust of India》
スリランカ
スリランカ海軍、海賊監視を強化
スリランカの海軍は、インド洋まで活動範囲を広げたソマリアの海賊の脅威から商船
を守るため、船舶の監視に乗り出した。スリランカ港湾局のプリヤス・ウィクラマ会
長は28日、オランダで開催した国際港湾安全会議で講演し、「海賊関連事件の増加が
地域の安定を揺るがしている」と述べた。同会長は「スリランカの港湾・海運産業は
内戦の間、テロの攻撃を受けてきたこともあり、政府は海賊の脅威を懸念している」
と発言。「スリランカ海域では海賊事件は尐ないが、影響を最小限に食い止めるため
に国家海洋政策を策定し、沿岸警備など海上セキュリティーを強化した」と説明した。
スリランカの海賊事件の報告は、マラッカ海峡やペルシャ湾、ソマリアなどアフリカ
周辺と比べて尐ない。しかし同会長は「どの航路でも、どんな船でも海賊の攻撃の対
象になりうる。スリランカの沿岸警備隊と海軍はいかなる海賊の動きも発見できるよ
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う、スリランカ海域を出入りする船の動きを注意深く監視している」と述べた。また
「当局は国内で、また域内や国際的な協力を通して、船舶の自由な運航を守るために
あらゆる手段を講じている」と強調した。外国の海軍がソマリア周辺でパトロールを
強化したことを受け、ソマリアの海賊はインド洋だけでなくインド西岸にまで攻撃の
範囲を拡大している。国際海事局(IMB)は海賊の攻撃が東方に進んでスリランカに及
ぶ可能性を指摘している。《September 30, 2011, Asia Pulse》
バングラデシュ
中国企業がBSCに船を売り込み
中国国営の中国機械進出国集団がバングラデシュ海運公社(BSC)に各種船舶を売り込
んでいる。中国政府の優遇金利つきで、年間金利2.5~3.0%、期間は12~13年に2~3
年の猶予つき。BSCのモクスムル・クアデル社長は「当社は船舶が不足しているため、
世界の多くの企業と船舶供給について話しあっている。中国機械からは提案書を受け
取り、すでに省に転送済みだ」と述べた。経済関係局は現在、融資条件が国益に合う
かを審査中。中国機械は載貨重量トン数で3万~3万5000DWTの製品タンカー2隻を各
4350万USドルで、3万~3万8000DWTのバラ積み船2隻を各3100万USドルで、1100~
1200TEのコンテナ船2隻を各2000万USドルで、原油タンカー1隻を6200万USドルで供給
することを提案した。受注後、12~15カ月で引き渡し可能という。数週間前、政府調
達の内閣委員会はBSC向けにタンカーを官民パートナーシップ(PPP)で調達する計画
について、海運省の提案を返送した。このタンカーは船齢10年で、価格は35億タカ。
BSCは製品タンカー、原油タンカーなど13隻を外航航路にあてている。クアデル社長
は「バングラデシュは石油産出国ではないため、輸入依存度が高い。輸送のために外
国船を用船するのは高コストで外貨の流出につながるが、適切な数の船があれば、こ
のコストは節約できる。バングラデシュは今後も燃料の輸入を続けなければならない
ため、これらの船は不可欠だ」と語った。過去1年半、同社は船舶の購入を試みたが
実現していないという。海運省筋によればバングラデシュ石油公社は現在、燃料油の
輸入のために用船している外国船に、年間17億タカを支払っている。BSCは老朽化し
たはしけ船、MTバングラー・ジョティ号とMTバングラー・ソウラブ号の2隻を廃棄す
る計画。国際海事機関(IMO)が2010年12月から外航航路でシングルハルの船の使用を
禁止したためだ。BSCは1972年創設で、バラ積み貨物船の運航、用船、フィーダー船
や原油タンカー、穀物船の運航、船舶仲介、船舶修理などを手がける。
《September 20, 2011, The Financial Express (Bangladesh)》
アラブ首長国連邦
ドライドックス、債務リストラ策合意に至らず
ドバイ・ワールドの造船子会社、ドライドックス・ワールドは22億USドルの債務のリ
ストラ案について、4月までに債権者と合意する見通しだったが、いまだに合意に至
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っておらず、年内合意が不可能との声も聞こえ始めた。ドライドックスのカミス・ジ
ュマ・ブアミム会長は「銀行団との交渉はまだ進行中で、妥結していない。年内に合
意できるとは言い切れない」と述べた。ドライドックスは15行の銀行からなる融資団
から2008年10月、22億USドルを借り入れた。うち17億USドルが3年、5億USドルが5年
の期限。ブックランナーはBNPパリバ、HSBC、マシュラク、スタンダード・チャータ
ード銀行、ロイドTSBが務めた。ブアミム会長は「銀行団と合意できていない点があ
る」としたが、詳細は述べなかった。ドバイ・ワールドはアラブ首長国連邦の代表的
な複合企業。250億USドルの債務を抱えているが、債務リストラ計画の中にドライド
ックスは含まれていない。ドライドックスは自力で返済する資金力が十分あるとの理
由だ。ドバイは世界経済危機の打撃を受け、不動産価格が50%超下落。国営企業は債
務返済の危機に陥った。ドバイ・ワールドの不動産子会社、リミットレスは12億USド
ルの融資の支払いを数回にわたり延期した。ドライドックスの債務リストラが難航し
ているのは、銀行団に外資銀行が多いのが原因だといわれる。債権は市場で活発に取
引されており、外資銀行はポジションを手じまいしたいと考えているとの見方もあ
る。《September 1, 2011, Gulf Industry》
ガルフテナー、ロシアの港湾運営を受注
アラブ首長国連邦(UAE)の民間港湾運営大手、ガルフテナーはロシアのサンクト・ペ
テルブルグ近くのウスチ・ルガ港を共同開発・運営する2億7500万USドルの契約に合
意した。ガルフテナーは1976年設立で、世界各地で事業展開を加速している。UAEの
シャルジャ港湾局からは、コールファッカン・コンテナ・ターミナルとシャルジャ・
コンテナ・ターミナルの運営を委託した。コールファッカン港はUAE東海岸の主要ゲ
ートウエイ港で、コンテナ取扱能力は300万TEU。シャルジャ港はシャルジャ周辺の産
業やドバイの産業地区向けの主要輸出入拠点。ガルフテナーはまた、インランド・コ
ンテナ・ターミナルと35の倉庫、コンテナ庫も所有運営している。アブダビではUAE
のプラスチック大手、ボルージュ向けにルワイス港を運営。コモロス諸島ではコモロ
ス諸島政府との契約で、モロニ港を運営している。ガルフテナー・ブラジルはレシフ
ェ港の運営を2011年後半に開始する。イラク港湾局からは同国の主要港であるウムカ
スル港の運営を受託、10年8月に8号バースの運営を開始した。12年初にも開業する取
扱能力60万TEUのイラク・コンテナ・ターミナルも運営を受託している。イラクでは
運輸業も活発で、全国的に複数のプロジェクトを進めている。また同社は3PL(第三者
向け物流業)のモメンタムを設立。運輸、倉庫、コンテナ修理、陸送などを展開し、
トルコやパキスタンでは合弁事業を運営している。モメンタムは急成長中で、域内に
拠点を、世界的に代理店を持つ。《September 18, 2011, Middle East Company News》
DPワールド、ジェベルアリ港拡大
DPワールドはジェベルアリ港でコンテナ・ターミナルの埠頭を400メートル延長する
と発表した。拡大により同港第2コンテナ・ターミナルのコンテナ取扱高は100万TEU
増え、1500万TEUとなる。工事は2012年に完成し、埠頭の全長は3000メートルに達す
る。DPワールドは世界で60のコンテナ・ターミナルを運営しており、コンテナ取り扱
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い事業が売上高の80%を閉める。さらに9カ国・9港で新開発と拡大のプロジェクトが
進行中。顧客のサプライチェーンの効率化のために、コンテナ、バラ積み貨物、その
他貨物の効率的な運営を目指している。港湾インフラ、設備、人員の投資を通して顧
客中心のアプローチをしており、人員は3万人。ドバイのジェベルアリ港は旗艦港で、
17年連続で中東最高の海港に選ばれた。アジアからアメリカに及ぶ港湾の2010年のコ
ンテナ取扱量は5000万TEU。インド、中国、中東などの成長市場で新開発に取り組ん
でおり、取扱能力は2020年に9500万TEUに増える。
《September 25, 2011, Middle East Company News》
パキスタン
国会委員会がカラチの大水深港に反対
国会常任委員会の港湾海運小委員会はカラチ港湾局が16億USドル(1400億ルピー)で
ケアマリ・グロインに建設しているパキスタン大水深コンテナ港(PDWCP)の合法性に
ついて質問した。21日、委員会がKPTのナスリン・ハク会長、ハニク・アブドラ計画
開発担当ゼネラル・マネージャー、アザール・ハヤット運営担当ゼネラル・マネージャ
ーらKPT幹部にプロジェクトの諸問題について質問を浴びせた。国会委員会の委員長
を務めるグルシャン・サイード議員は合法性についてKPTが委員会を満足させられな
ければ、会長含めKPT幹部は辞任することになると迫った。国会委員会は「PDWCPは計
画性に欠けている。港湾運営業者が自身で新港を開発することを禁じた憲法に違反し
ている」と指摘。委員長は「KPTが開発を実施することを誰が認めたのか?許可証、
事業化報告書をはっきりと見せなければ思うように進めることはできない」と迫っ
た。国会委員会のマリク議員は「新港開発計画は中央政府の特権だ。誰がどの法に基
づき認めたのか」とたずねた。KPTのハク会長は「KPT法第29条で、KPTが自治事業体
であり、運営中の港湾を開発するために保守・改良・建設を手がけることができると定
めている」と主張。「KPTは2005年に、世界中の船舶が大型化する中、再開発をしな
ければ将来はないと悟った」とし、「政府からはまったく資金を受けていない。自己
資金で実施している」と強調した。委員会は満足せず、憲法条文やKPTの開発許可証
などすべての書類の提出を求め、「KPTが自身で浚渫し、中国の建設業者に浚渫・埋め
立てに支払った200億ルピーを節約することはできなかったのか」と質問。「中央政
府はグワダールで170億ルピーをかけて大水深港を開発させているのに対し、KPTはた
った3~4バースの開発に1000億ルピー超を投じている」と指摘した。港の収入につい
て聞かれ、ハク会長は「前任者から引き継いだ時点では560億ルピーだったが、現在
は600億ルピーまで伸びた」と答えた。《September 23, 2011, Plus News Pakistan》
本ニュースは、日本財団からの支援を得て、
(財)日本船舶技術研究協会が実施している造船・舶用機
器関連海外情報の提供の一環として、(社)日本中小型造船工業会及び(社)日本舶用工業会が(独)
日本貿易振興機構と共同で運営しているJETRO シンガポールセンター船舶部及び舶用機械部において
収集した海事情報をまとめたものです。
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