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茨城県国際化推進計画

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茨城県国際化推進計画
茨城県国際化推進計画
世界へはばたき,未来をひらく
平成 23 年 2 月
目
次
1 茨城県国際化推進計画策定の趣旨・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
(1) 計画策定の趣旨・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
(2) 計画の性格と期間 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
(3) 計画の策定方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
2 茨城県の国際化の現状と課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
(1) 現状
① 外国人県民の状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
② 国際理解 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8
③ 国際交流・国際協力活動 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9
④ 産業の国際化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11
(2) 課題
① 多文化共生の社会づくり・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
② グローバル化を担う人材育成と国際理解・・・・・・・・・・・・・・・13
③ 国際交流・協力の促進・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13
④ 産業の国際化・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14
3 茨城県国際化推進計画の基本方向 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15
茨城県国際化推進計画施策体系・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16
4 目標実現に向けた取り組み・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・17
基本方針1 多文化共生社会づくりの推進・・・・・・・・・・・・・・・・17
(1) コミュニケーション支援・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17
(2) 生活支援・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18
(3) 多文化共生の地域づくり・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21
基本方針2 国際感覚豊かな人づくり・・・・・・・・・・・・・・・・・・23
(1) 世界で活躍する人材の育成・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23
(2) 国際理解の推進・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25
基本方針3 グローバル社会への積極的な対応・・・・・・・・・・・・・・27
(1) 県民主体の国際交流の推進・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27
(2) 国際協力の促進・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・29
(3) 経済交流の促進・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・31
基本方針4 国際化推進体制の充実,強化・・・・・・・・・・・・・・・・34
(1) 国際化推進拠点の活用・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34
(2) 関係機関との連携・協働の促進・・・・・・・・・・・・・・・・・・36
5 数値目標・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 38
6 国際化推進の担い手に期待される役割 ・・・・・・・・・・・・・・・・・39
(1) 県民・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・29
(2) NGO・NPO・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・39
(3) 企業・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・40
(4) 大学,研究機関,その他関係機関・・・・・・・・・・・・・・・・・・40
(5) 市町村,市町村国際化推進組織・・・・・・・・・・・・・・・・・・・41
(6)(財)茨城県国際交流協会・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・41
(7) 茨城県・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・41
資料編
1 茨城県外国人実態調査報告(抜粋) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・42
2 茨城県国際化推進計画策定会議設置要項及び委員名簿 ・・・・・・・・・・54
1
茨城県国際化推進計画策定の趣旨
(1)
計画策定の趣旨
茨城県では,平成18年度から平成22年度を計画期間とする「茨城県国際化
推進計画」に基づき,地域レベルでの国際化施策を推進してきました。
この間,社会経済のグローバル化,ボーダーレス化の進展により,国際的
な相互依存関係は一層深まり,様々な分野での地域と世界との結びつきは日
常的なことになっていることから,本県においても在住する外国人県民の数
は増加傾向にあります。
また,平成22年3月に茨城空港が開港し,経済・観光などアジア地域との
多様な交流機会が拡大しつつあります。
こうした状況を踏まえ,県民,NGO・NPO,市町村等との共通認識のもとに
国際化施策を推進していくため,今後5年間に県が国際化施策を展開するに
あたっての考え方,方向性を示す「茨城県国際化推進計画」を策定しました。
(2)
計画の性格と期間
この計画は,新しい茨城県総合計画の部門計画であり,計画期間は平成23
年度から平成27年度までの5年間としました。
なお,総務省が推進する地域における多文化共生推進に係る指針・計画と
しても位置づけています。
(3)
計画の策定方法
計画策定にあたっては,学識経験者,経済,教育,国際協力等の関係機関
の有識者等からなる「茨城県国際化推進計画策定会議」を設置し,協議を行い
ました。
また,パブリックコメントや外国人県民等の実態調査を実施するなど県民
の幅広い意見を反映した内容としました。
1
2
茨城県の国際化の現状と課題
(1) 現状
国境を越えて人・資本・情報などが活発に移動し,あらゆる面での相互依
存関係が地球規模で深まるグローバル化が進展しています。金融危機に端を
発した世界同時不況,景気低迷が,深刻な雇用不安や社会不安をもたらすな
ど,グローバル化の進展は,私たちを取り巻く社会経済はもとより,日常生
活の隅々にまで大きな影響を与えています。
新型インフルエンザの感染症問題等は,一地域で発生した問題が世界に広
がり,一部の地域や一つの国では解決が困難な問題となっています。また,
急激な国際情勢の変化に伴う他国との様々な外交上の問題など,日本が直面
する課題もあり,私たち自身が改めて考えるべき必要が生じています。
こういった状況の中,本県においては平成22年3月に国際空港である茨城
空港が開港し,企業の海外との経済交流,海外からの外国人観光客の増加な
ど,発展著しいアジア地域との交流人口が一層拡大しています。県民が今ま
で触れることの少なかった異文化との出会い,多様な交流が進むことにより,
自分たちの地域が刺激を受け,それぞれの特性を活かし,県内各地域の活力
を生み出す機会となっています。
一方で,経済的負担や自己の語学力不足を感じていることが原因の1つと
されていますが,海外で勤務したくない,海外留学を希望しないなど,日本
の若者が外国へ行くことをためらい,チャレンジ精神を喪失しているとの指
摘もあります。
本県では,就労等により外国人の長期滞在,定住化が進んでおり,私たち
が共に地域社会を形成する外国人県民に対する理解を深めるとともに,外国
人県民に日本で生活するうえでの社会のルールや基本的な考え方を理解して
もらうよう努力することが重要なこととなっています。
このような状況を受け,本県においては新たな国際間,地域間での多様な
交流の拡大,多文化共生のための異文化や生活習慣の相互理解など,様々な
取り組みを実施してきましたが,今後も様々な変化に対応した施策の展開が
必要となっています。
2
①
外国人県民の状況
本県に在住する外国人登録者数は増加傾向にあり,2009年(H21)12月末現在
で約5万6千人と,2000年と比較して約1万4千人の増加となっております。
また,外国人が県人口全体に占める割合は約1.9%で,約53人に1人が外国人
という状況となっており,グローバル化の進展と少子化に伴う人口減少傾向を
考えると外国人比率は増加するものと予想されます。
国籍別では,1990年(H2)時点で韓国・朝鮮籍が最多でしたが,現在では中
国,ブラジル(*1下記参照),フィリピン国籍が大幅に増加し全体の約6割を占
めています。
全国的にみますと,本県の外国人登録者数は2009年(H21)に全国第9位と
なっています。
(表1(1),(2))
(各年 12 月末現在,単位:人)
表1(1) 県内国籍別外国人登録者数
順位 *3
国名
1990
1995
2000
2005
2006
2007
2008
2009
1
中国
2,164
3,778
7,243
12,067
13,102
14,023
15,182
15,757
2
ブラジル
1,610
7,036
10,803
10,839
10,926
11,407
11,430
10,200
3
フィリピン
1,286
2,203
5,174
6,883
7,133
7,542
7,739
8,021
4
韓国・朝鮮
4,986
5,549
5,797
5,878
5,787
5,829
5,783
5,822
5
タイ
362
1,961
4,272
5,088
5,031
5,037
5,010
4,950
6
ペルー
210
1,539
1,779
2,089
2,096
2,121
2,101
2,092
7
インドネシア
116
347
1,204
1,364
1,333
1,400
1,511
1,666
8
スリランカ
50
173
600
891
903
919
959
965
9
ベトナム
61
86
414
500
530
583
680
722
10
米国
421
619
585
677
687
658
645
689
その他
1,017
2,861
4,404
4,750
4,932
5,061
5,237
5,478
全体*2
12,283
26,152
42,275
51,026
52,460
54,580
56,277
56,362
1,075,317
1,362,371
1,686,444
2,011,555
2,084,919
2,152,973
2,217,426
2,186,121
14
11
10
10
11
10
10
9
全国の登録者数
全国における本県の順位
*2 県全体の合計値を示す。(以下同じ)
*1
中
*3 順位は 2009 年基準
〈法務省「在留外国人統計」〉
国:1993年外国人技能実習制度が施行され,研修生,技能実習生が増加
ブ ラ ジ ル:1990年入管法改正により,
「定住者」の在留資格が創設され,日系3世まで就労可
能な地位が与えられたため,日系人の入国が容易となり来日者が増加。
表1(2) 外国人登録者数上位5カ国の推移
18,000
16,000
14,000
12,000
10,000
8,000
6,000
4,000
2,000
0
中国
ブラジル
フィリピン
韓国・朝鮮
タイ
1990
1995
2000
2005
2006
3
2007
2008
2009
〔在留資格別〕
在留資格別では,「永住者」(約23.6%)の増加が著しく,次いで「定住者」,
「日本人の配偶者等」となっており,あわせて全体の約53%を占めています。
就労や婚姻等による定住,長期滞在する外国人県民が増加しています。
また,本県はつくば,東海,日立,鹿島などに研究機関が立地しているため,
「研究」資格による外国人登録者数は全国第1位となっており,全国登録者数
の約1/3が本県に在住しています。
一方,研修生・技能実習生の受入も増加し,「研修」「特定活動」の合計
登録者数も1万人を超えています。外国人県民が農業や製造業などの各分野
で技能実習を行っており,労働力の面で重要な役割を担っています。(表2)
表2(1)県内在留資格別外国人登録者数
在留資格
1990 1995 2000 2005
(各年 12 月末現在,単位:人)
2006
2007
2008
2009
永住者 *1
2,524
748
2,432
7,066
8,602
10,488
11,863
13,313
定住者 *2
815
4,258
8,518
9,781
9,703
9,994
9,724
9,076
3,102
8,039
10,452
9,688
9,248
8,781
8,429
7,570
19
129
1,125
3,778
4,476
4,369
5,082
5,688
508
742
2,359
3,187
3,573
4,749
5,007
4,498
3,753
3,550
3,197
3,132
3,064
3,028
2,985
729
1,560
2,344
2,240
2,197
2,176
2,258
2,379
1,135
1,427
1,517
2,073
2,089
2,038
2,067
2,323
短期滞在
269
2,621
3,769
3,613
3,205
2,761
2,215
1,793
研究
113
393
864
769
719
660
644
684
3,069
2,482
5,345
5,634
5,516
5,500
5,960
6,053
12,283 26,152
42,275
51,026
52,460
54,580
56,277
56,362
日本人の配偶者等
特定活動 *3
研修
特別永住者 *4
家族滞在
留学
その他
全 体
-
〈法務省「在留外国人統計」〉
*1 永 住 者:法務大臣より永住の許可を受けた者(原則10年以上在留している者等)
*2 定 住 者:日系3世,インドシナ難民 等
*3 特 定 活 動:技能実習の対象者等
*4 特別永住者:「日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に
関する特例法」により定められた平和条約関連国籍離脱者及びその子孫
表2(2)在留資格別外国人登録者の割合(上位5位)
永住者
23.6%
0%
10%
日 本人の
配 偶者等
13.4%
定住者
16.1%
20%
30%
40%
50%
4
特定活動
10.1%
60%
(2009.12月末現在)
研修
8.0%
70%
その他
28.8%
80%
90%
100%
〔市町村別外国人登録者数〕
市町村別で,つくば市,土浦市,水戸市などが上位となっていますが,常総市,
神栖市,鉾田市などの登録者数は大きな伸びを示しており,市人口に占める割合
も高くなっています。(表3,表4)
表3 県内市町村別外国人登録者数
順位 *1
市町村名
*2
(単位:人)
1990
1995
2000
2005
2006
2007
2008
2009
最も多い国籍
1
つくば市
2,630
5,011
6,569
7,388
6,981
7,157
7,262
7,581 中国,韓国・朝鮮
2
常総市
285
1,671
3,332
5,052
4,805
4,893
5,186
4,981 ブラジル,フィリピン
3
土浦市
1,117
1,823
2,761
3,386
3,433
3,631
3,721
3,656 フィリピン,ブラジル
4
水戸市
1,354
2,083
2,523
2,845
2,836
2,922
2,984
3,185 韓国・朝鮮,中国
5
神栖市
404
1,333
2,376
3,034
2,819
2,990
2,918
2,918 中国,ブラジル
6
古河市
547
1,189
1,832
2,209
2,271
2,331
2,407
2,342 フィリピン,中国
7
鉾田市
214
263
636
1,780
1,922
2,007
2,081
2,224 中国,タイ
8
筑西市
673
1,214
2,093
2,414
2,383
2,457
2,388
2,205 フィリピン,中国
9
下妻市
296
1,006
1,640
2,108
1,999
2,020
2,000
1,985 ペルー,フィリピン
10
結城市
456
940
1,277
1,720
1,686
1,737
1,809
1,846 ブラジル,フィリピン
その他
5,177
12,656
19,278
22,361
22,343
23,264
23,990
23,815
―
県全体
13,153
29,189
44,317
54,297
53,478
55,409
56,746
56,738
―
*1 順位は,2009 年基準
*2 合併した市町村は旧市町村分も含まれる〈県国際課調べ(各年 12 月末現在の市町村集計速報値)〉
表4 外国人登録者に係る人口比の順位
順位
市町村名
1
常総市
2
大洗町
3
鉾田市
4
下妻市
5
八千代町
6
つくば市
7
結城市
8
神栖市
9
坂東市
10
行方市
県内合計(44 市町村)
登録者数(A)
4,981
1,037
2,224
1,985
956
7,581
1,846
2,918
1,639
1,087
56,738
(単位:人)
人口(B)
65,472
18,512
50,504
45,366
23,072
213,159
52,121
94,402
56,459
38,242
2,967,203
(A)/(B)
7.6%
5.6%
4.4%
4.4%
4.1%
3.6%
3.5%
3.1%
2.9%
2.8%
1.9%
〈県国際課調べ(平成21年12月末現在の市町村集計速報値)〉
5
〔外国人児童生徒数〕
本県において外国人県民の定住化が進展したことにより,外国人児童生徒数
も増加傾向にあります。(表5)
表5 本県の外国人児童生徒数(国公立・私立)
2,500
2,000
1,500
小学校
中学校
高校
総数
1,000
500
0
1990
1995
2000
2005
2006
2007
2008
2009
(各年 5 月 1 日現在)〈県統計課「茨城の学校統計」より〉
6
(財)茨城県国際交流協会が運営する外国人相談センターにおいて,在留資格
の更新,変更の手続きなど出入国管理・外国人登録に関すること,結婚・離婚
や労働などに関する相談を受けており,その件数は毎年2千件を超えています。
(表6)
表6 (財)茨城県国際交流協会における相談件数の推移
(各年度,単位:件)
相談内容
2000 2005 2006 2007 2008 2009
出入国管理・外国人登録
495
721
686
683
608
581
労働・雇用・労災
152
115
108
112
187
157
17
28
18
18
11
599
586
446
420
408
257
254
226
254
213
起業・会社設立・貿易
結婚・離婚,夫婦・親子
国籍・帰化
-
676
就学・留学・研修
17
27
42
69
70
33
医療
80
65
54
55
45
64
社会保障・年金・保険
72
65
69
64
64
75
税金
47
39
28
39
22
33
107
77
60
55
51
51
97
219
148
126
130
137
言語・翻訳・通訳
209
136
144
131
121
195
案内・問合せ
142
236
158
192
163
195
その他
206
175
180
150
214
162
2,300
2,748
2,545
2,366
2,367
2,315
教育,文化
住居・くらし,交通・免許
合計
*外国人相談センターにおける対応言語
〈(財)茨城県国際交流協会調べ〉
英語,中国語,ポルトガル語,タイ語,タガログ語,スペイン語,韓国語,
インドネシア語
多文化共生サポーターバンクでは,医療,災害時の語学サポーターや地域生
活アドバイザー等の登録を行い,その登録者数は増加しています。(表7)
表7 (財)茨城県国際交流協会 多文化共生サポーターバンクの登録者数の推移
区分
2005
2006
2007
2008
2009
各国事情紹介講師
177
185
163
189
211
ホームステイ・ホストファミリー
123
135
132
153
158
語学サポーター
306
319
316
345
391
医療通訳サポーター
-
-
69
91
130
災害時語学サポーター
-
-
75
95
125
地域生活アドバイザー
-
-
34
54
68
日本語指導サポーター
-
-
9
11
16
全体
606
639
798
938
1,099
(各年度末現在,単位:人)〈(財)茨城県国際交流協会調べ〉
7
②
国際理解
県内高校生の留学については,外国への高校生の留学生数が減少傾向にあり
ます。(表8)
表8 県内高校生の留学状況
人
60
50
40
30
外国への
留学生数
20
10
0
2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009
年度
〈県高校教育課調べ〉
「労働者の国際移動に関する世論調査」(内閣府調査)によると,外国
で働くことに「関心がない」(61.2%) 「どちらかといえば関心がない」
(16.3%)をあわせると,全体の77.5%となり,海外勤務に興味を持たない日
本人が多いことを表しています。(表9)
表9 外国での就労への関心
外国での就労への関心
わからない
0.6%
関心がある
10.5%
どちらかといえ
ば関心がある
11.6%
関心がない
61.2%
どちらかといえ
ば関心がない
16.3%
ア)関心がある
イ)どちらかといえば関心がある
ウ)どちらかといえば関心がない
エ)関心がない
わからない
〈平成22年7月
8
内閣府調査〉
③
国際交流・国際協力活動
(財)茨城県国際交流協会が,地域における国際交流活動を促進し,活動の
担い手としての団体数は,2009年(H21)で市町村国際交流推進組織が32団体,
国際交流・協力団体が136団体となっています。各団体では,語学支援や国際
理解の促進,友好親善活動,国際交流・協力など地域レベルでの様々な活動を
実施しており,地域の国際化の担い手として重要な役割を果たしています。
(表10,11)
表10 市町村国際交流推進組織
年 度
2005
2006
団体数
32
30
(各年度末現在)
2007
2008
31
2009
32
32
〈(財)茨城県国際交流協会調べ〉
表11 国際交流・協力団体名簿に登載されている団体数
年 度
2005
2006
2007
2008
団体数
139
139
139
136
(各年度末現在)
2009
136
〈(財)茨城県国際交流協会調べ〉
筑波科学万博を契機に県とイタリアのエミリア・ロマーニャ州,フランスの
エソンヌ県と友好提携を締結しているほか,20市町村が32都市と姉妹都市・友
好交流を行っています。教育機関では,筑波大学,茨城大学など県内8つの大
学,高等専門学校が 268の大学・研究機関と交流協定を結んでいます。また,
高校においては13校が姉妹校交流を,42校が姉妹提携以外での交流を行ってい
ます。
県内大学等への留学生数は,2010年(H22)5月現在で,2,653人で,筑波大
学,流通経済大学,茨城大学等12の大学・短大・専門学校において受入れが
なされ,アジアからの留学生が多くなっています。今後,「留学生30万人計画
(グローバル30)」の拠点校である筑波大学を中心に留学生受入が大幅に増
加すると予想されます。(表12)
9
表12 県内大学等への外国人留学生数
地域名
アジア
中近東
アフリカ
オセアニア
中南米
北米
ヨーロッパ・その他
総数
2000
1,428
18
29
14
49
23
69
1,630
2005
2,463
31
42
14
56
31
84
2,722
各年5月1日現在,単位:人
2006
2,264
32
42
20
57
24
84
2,523
2007
2,152
36
55
17
44
19
79
2,402
2008
2,004
37
69
15
55
20
122
2,322
2009
2,176
29
70
16
60
26
134
2,511
2010
2,303
33
71
14
55
23
154
2,653
〈茨城地域留学生交流推進協議会調べ〉
国際協力活動については,本県の特徴としてつくば市に(独)国際協力機構
(JICA)筑波国際センターが所在しており,開発途上国からの研修員受け入れ
や様々な技術協力を進めているほか,本県から青年海外協力隊事業に毎年約30
名程度,シニア海外ボランティア派遣事業には毎年10名程度が参加しており,
技術,知識や経験を活かした活動を実施しています。(表13)
また,南米から研修員を県関係機関などに受入れ,技術の修得等を通した国
際協力を行っています。
(財)国際研修協力機構(JITCO)の制度を活用して来日した外国人研修生,
技能実習生は,県内で9,000人(全国第3位)を超えています。
〈(財)国際研修協力機構調べ〉
表13 青年海外協力隊及びシニア海外ボランティア派遣状況
(1) 全国及び本県の青年海外協力隊派遣者数
区 分
2005
2006
2007
2008
茨城県
24
26
32
32
全 国
1,080
1,270
1,262
1,206
(各年度,単位:人)
2009
29
1,355
<(独)国際協力機構調べ〉
(2) 全国及び本県のシニア海外ボランティア派遣者数
区 分
2005
2006
2007
茨城県
10
14
4
全 国
366
320
219
(各年度,単位:人)
2008
2009
15
346
10
342
〈(独)国際協力機構調べ〉
10
④
産業の国際化
県内の外資系立地企業数は,2005年(H17)以降はほぼ横ばいの状況で,2009
年現在では35の企業が立地しています。(表14)
また,県内港湾の貿易額は,2009年(H21)には減少に転じたものの,茨城
港と首都圏,北関東地域との交通ネットワークの整備などにより近年増加傾向
にあります。(表15)
全国の外国人旅行者数が2009年は前年に比べ約81%と減少した中,茨城県へ
の外国人旅行者数は伸びており,2007年以降増加傾向にあります。(表16)
表14 県内の外資系立地企業数
年度
1990
1995
2000
企業数
63
66
54
2005
40
2006
40
2007
39
2008
35
2009
35
〈県国際課調べ 参考:「茨城県誘致企業総覧」〉
表 15 県内港湾を通じた貿易額の推移
区分
1990
1995
2000
2005
572,533
(各年,単位:百万円)
2006
2007
2008
2009
622,258
755,027
870,125
542,806
輸出
177,573
219,245
254,171
輸入
557,113
506,196
621,831 1,221,791 1,474,103 1,706,416 2,028,405 1,110,026
〈財務省横浜税関鹿島税関支署「茨城県貿易概況」〉
表 16 茨城県への外国人旅行者の推移(推計値)
(各年,単位:千人)
区 分
2005
2006
2007
2008
2009
全国
6,728
7,334
8,349
8,350
6,789
茨城県
101
103
100
108
115
〈全国:日本政府観光局(JNTO),茨城 JNTO の数値をもとに:観光物産課推計〉
11
(2)
①
課題
多文化共生の社会づくり
○
外国人相談センターの相談件数は2千件を超えており,外国人県民が出
入国管理,結婚など様々な問題をかかえている現状があります。(P7,表6)
一方,外国人相談センターに寄せられる相談件数は多いものの,認知度
はあまり十分とは言えない状況にあります
(参考資料「外国人実態調査」外国人アンケート問27)
市町村や関係機関窓口との連携による相談体制の充実,外国人県民に対
する支援事業の周知が必要です。
○
外国人県民の多くが,必要な情報として日常生活のルールと回答してい
ます。
(参考資料「外国人実態調査」外国人アンケート問17)
生活のルールや習慣などについて多言語による情報提供が必要となっ
ています。
○
日本語教室については,外国人県民,外国人支援者の多くが必要なサー
ビスであると回答しており,日本語を学ぶ機会の提供が望まれています。
(参考資料「外国人実態調査」外国人アンケート問21,外国人支援者アンケート問10)
○
外国人県民が病気になって困ったこととして,「病状を日本語で伝えら
れない」「病院がわからない」が合わせて30%を超えています。
(参考資料「外国人実態調査」外国人アンケート問11)
一方で,医療通訳サポーターの増加に見られるように,県民の外国人を
支援する意識は高まってきています。(P7,表7)
ボランティアを活用した医療面の支援の仕組みづくり等が重要となって
います。
○
防災や災害の緊急時に必要なこととして,避難場所のマップ配付や避難
誘導,放送などがあげられています。
(参考資料「外国人実態調査」外国人アンケート問18)
災害時語学サポーターの育成・活用を図るとともに,市町村と連携した
情報提供が必要です。
○
イベントやお祭り,日本文化や習慣を知る講座への参加など外国人県民
が地域の人たちと交流を求めています。外国人県民が主体となって参加で
きる交流機会の提供が必要です。
(参考資料「外国人実態調査」外国人アンケート問20,問21)
○
県内の外国人児童生徒数が増加傾向にある中,授業を受けるにあたって
の日本語能力の問題や保護者との意思の疎通,また高校や大学への進学問
12
題があるため外国人児童生徒に対する支援が必要です。
(表5,参考資料「外国人実態調査」外国人アンケート問24)
②
グローバル化を担う人材育成と国際理解
○
県内の高校生の留学生数は減少傾向にあり,また海外勤務に関心を持た
ない日本人が多くなるなど,若い世代を中心に日本人の内向き志向が指摘
されています。
(P8,表8表9)
世界に出て活動するための基本的能力である外国語習得のための教育
の充実が求められるとともに,海外体験等を通して,自分の考えや主張を
積極的に表現できる資質を備えた青少年の育成が必要です。
また県民が国際化に対応するために,異文化に触れ,理解することが必
要であり,研修等を通じた国際理解教育の推進が求められます。
③
国際交流・協力の促進
○
地域における国際化の担い手として,32の市町村国際交流協会や136の国
際交流団体が日本語教室などの支援や交流・協力活動を行っています。
各市町村では,姉妹都市交流によるホームステイ派遣や受入れを通して
青少年の国際理解事業を実施しています。
(P9,表10,表11)
県民が主体となる文化,スポーツ,福祉など様々な分野での交流機会の
提供が求められています。また,茨城空港を活用した東アジアとの交流促
進も重要となっています。
○ 県内大学への留学生数は,10年前に比べ約1,000人増加しています。(P10,表12)
留学生については,国のグローバル戦略の一つである「留学生30万人計画」
の一環として,本県では筑波大学が拠点校として採択されており,留学生
の受入,外国人教員など大幅な増加が見込まれています。
交流を深める担い手として,外国人留学生などを積極的に活用した異文
化との触れあいや相互理解を促進することが求められます。
○ 国際協力については,NGO団体が積極的に活動を行っているとともに,
本県から毎年約30名程度青年海外協力隊に参加するなど,技術・知識を活
かした活動を実施しています。(P10,表13)
環境分野など地球規模での問題や開発途上国の現状について,県民への
13
理解教育を推進し,後継者育成の支援を図るとともに,本県が有する情報・
技術・経験を活かした国際協力の推進が求められます。
④
産業の国際化
○
本県の外資系立地企業数は減少傾向にあります。(P11表14)
地域の活性化という観点からも本県への外資系企業の誘致活動が重要と
なっており,また同時に県内企業等の海外展開を支援するため,海外の現
地情報の提供や投資相談を充実していく必要があります。
○
県内港湾を通じた貿易額は2009年に減少したものの,首都圏,北関東地
域との交通ネットワークの整備などにより近年増加傾向にあります。
(P11,表15)
今後の茨城のさらなる産業の発展を目指すために,今後も茨城港の定期
航路の拡充・開設が求められます。茨城空港開港によるアジア地域を中心
とした世界との経済交流の拡大を進めることが重要であり,茨城空港の路
線拡充,活用の促進が求められます。またこれらを活用した新規の市場開
拓や販路拡大を推進していくことが重要です。
○
国際観光では,茨城県への外国人旅行者数は2007年以降増加傾向にあり
ます。(P11,表16) 茨城空港開港にともない,より多くの外国人観光客の増
加が期待されています。
本県の魅力ある観光拠点,地域特産品を効果的にPRするとともに,多
言語による観光情報提供,案内表示など受入れ体制整備の充実が求められ
ます。
14
3
茨城県国際化推進計画の基本方向
世界との結びつきが深まるグローバル化の一層の進展が,社会経済はもとよ
り,私たちの日常生活にまで大きな影響を与えています。
特に東アジア地域の著しい経済成長や新興国の台頭などにより,県内企業は
厳しい国際競争に直面しています。また,在住外国人の増加など地域社会の国
際化が進むとともに,茨城空港開港により交流人口も拡大しつつあります。し
かしながら,外国へ行くことをためらう日本の若者の内向き志向の強まりも指
摘されています。
このような中,時代の潮流と課題に的確に対応するためには,多文化共生の
推進や国際舞台で活躍できる人材の育成に取り組んでいくとともに,文化・技
術など本県の特性を活かした海外との交流や国際協力の推進,多様な分野での
経済交流促進による県内産業競争力のより一層の強化を図るなど,積極的に世
界へ打って出て,未来への展望を切り開いていくことが重要となっています。
このためこの計画では,「世界へはばたき,未来をひらく」をテーマに,次
の 4 つの基本方針を定め施策を展開していきます。
〔基本方針1 多文化共生社会づくりの推進〕
日本人と外国人の県民の一人ひとりが,互いの文化や生活習慣を理解するこ
とにより,地域の一員として共にいきいきと暮らし地域の豊かさを享受できる
地域社会づくりを推進します。
〔基本方針2 国際感覚豊かな人づくり〕
地域の歴史や文化など基礎的な情報を理解したうえ,外国語教育や多様な異
文化との触れあいにより広い視野・国際感覚を身につけ,世界で活躍できる人
材を育成します。
また,本県の国際化を支える県民の国際理解(異文化,国際情勢,地球規模
の課題などへの対応等)を推進します。
〔基本方針3 グローバル社会への積極的な対応〕
国際交流・協力活動に取り組みやすい環境づくりを推進します。
茨城の文化・技術などの分野における外国人との交流を促進するとともに,
本県の特性を活かした国際協力を推進します。
製造業,農業,観光等の分野においてアジア地域を中心とした多様な経済交
流を促進し,活力と競争力のある地域づくりを目指します。
〔基本方針4 国際化推進体制の充実,強化〕
様々な国際化推進拠点を活用するとともに,国,市町村などの関係機関や専
門機関と連携を図り,効果的に国際化施策を推進します。
15
茨城県国際化推進計画施策体系
基本方針
1
多文化共生社会づ
くりの推進
施策の基本的方向
(1)
コミュニケーショ
ン支援
(2) 生活支援
世
界
へ
は
ば
た
き,
未
来
を
ひ
ら
く
2
国際感覚豊かな人
づくり
グローバル社会へ
の積極的な対応
①外国人の地域社会への参加
②相互理解の促進
(1)
世界で活躍する人
材の育成
①外国語によるコミュニケーション能力の向上
(1)
県民主体の国際交
流の推進
(3) 経済交流の促進
国際化推進体制の充
実,強化
①外国人相談体制の充実
②生活支援の充実
多文化共生の地域
づくり
(2) 国際協力の促進
4
①多言語による情報提供
②日本語学習の支援
(3)
(2) 国際理解の推進
3
施策
②国際社会で活躍する青少年の育成
①県民の国際理解推進
②国際化を担う人材育成と支援体制整備
①様々な人々が交流する機会等の提供
②東アジアとの交流の推進
①国際協力への理解促進
②本県の特性を活かした国際協力の推進
①アジアを中心としたビジネス活動への支援
②茨城空港、茨城港の路線,航路の拡充・活用
(1)
国際化推進拠点の
活用
①(財)茨城県国際交流協会の運営
②茨城県上海事務所の運営
③様々な国際化推進拠点の活用
(2)
関係機関との連
携・協働の促進
①国・県・関係機関との連携の促進
②市町村・民間団体との協働
16
4
目標実現に向けた取り組み
【基本方針1】
多文化共生社会づくりの推進
多文化共生を推進するためには,日本人と外国人が互いの文化,習慣等を理解
し,協力し合うことが重要です。
また,茨城の発展,社会経済の活性化という観点からも,外国人に暮らしやす
い環境を整備し,優れた知識や高い技術を有する人材が集まる魅力的な地域をつ
くるための施策に取り組みます。
(1)
コミュニケーション支援
①
多言語による情報提供
外国人県民が自発的に行動できるよう,様々な情報をわかりやすく発信し
ます。
○生活上のルールや慣習,イベント等の情報を外国人県民にわかりやすく,
多様な手段で提供します。
(生活環境部,警察本部)
〔具体的な取り組み〕
インターネットによる生活・観光等の情報,生活ガイド等の冊子の発行,
運転免許試験実施等の多言語化
○広く外国人県民への情報提供を行うよう,市町村や行政関連機関に働きか
けます。
(生活環境部)
〔具体的な取り組み〕
多文化共生推進会議の開催等
○交通案内標識や観光地での案内板等について,外国人にわかりやすい多言
語表記やローマ字での情報提供,表示を進めていきます。
(総務部,企画部,商工労働部,土木部)
〔具体的な取り組み〕
交通案内標識,空港,都市公園等の公共表示の多言語化やローマ字併記
の実施
17
②
日本語学習の支援
外国人県民が日本社会に適応できるかどうかのポイントとなるのは日本語
能力です。日本語を十分に習得することにより,地域社会と関わる機会が増
し,日本社会の一員としての自覚も生まれます。
○日本語習得の機会の充実を図ります。
(生活環境部)
〔具体的な取り組み〕
日本語教室へのアドバイザー派遣による講師養成,日本語講座開設の支
援
(2)
生活支援
①
外国人相談体制の充実
外国人県民が生活していくうえで,在留資格,保険や税金といった様々な
問題や疑問が生じます。こうした問題に気軽に母国語で対応できるようにす
ることが必要です。
○多言語で総合的に対応できる相談体制について,国,県の関連部局,弁護
士会等の専門機関と連携し,相談対応の充実を図ります。
(生活環境部,保健福祉部)
〔具体的な取り組み〕
外国人相談センターや無料法律相談の多言語による対応,就労・就学,
エイズ相談の実施
○(財)茨城県国際交流協会,市町村や民間国際交流団体等の連携を図り,身
近なところで相談が受けられる環境づくりを進めます。 (生活環境部)
〔具体的な取り組み〕
多言語相談窓口の連携体制づくり
○外国人相談センター等の相談員の資質向上を図ります。 (生活環境部)
〔具体的な取り組み〕
相談員研修の実施
18
②
生活支援の充実
居住,教育,労働環境,医療・保健,防災,交通などの各分野において,
地域で生活する上で必要とされる環境が充分に整っていないといった状況に
あるため,生活全般にわたる支援を行います。
生活全般
○生活上のルールや各種制度等について,便利帳の作成など積極的に情報提
供を行います。
(生活環境部)
〔具体的な取り組み〕
多言語生活オリエンテーションの実施
○日本語ボランティアや,日常の生活をサポートすることのできる人材を見
出し,育成することにより外国人の支援者の拡大,充実を図ります。
(生活環境部)
〔具体的な取り組み〕
多文化共生サポーターバンクの運営
居住
○賃貸住宅の情報や、住宅に関する慣習等の情報を,多言語で提供します。
(土木部,生活環境部)
〔具体的な取り組み〕
外国人等が入居できる賃貸住宅の情報提供,生活オリエンテーションの実
施
教育
○入学時の就学案内や就学援助制度の情報提供など,公立学校での外国人児
童・生徒の受入れ体制整備の推進について市町村教育委員会に働きかけま
す。
(教育庁)
〔具体的な取り組み〕
帰国・外国人児童生徒等向けハンドブックの作成や日本語ボランティア
を活用した日本語指導の支援
○親子間及び保護者と学校とのコミュニケーションギャップを解消するため
の地域ぐるみの取組を促進します。
(生活環境部,教育庁)
19
〔具体的な取り組み〕
保護者と学校との通訳などコミュニケーション支援,多言語による情報
提供,日本語ボランティアの募集と登録
○外国人学校の児童生徒への支援を行います。
(生活環境部)
〔具体的な取り組み〕
外国人学校児童生徒の健康診断の実施
労働環境
○外国人県民に対し日本語講座の開催や資格取得支援等により就労支援を行
います。
(生活環境部)
〔具体的な取り組み〕
求職者のための日本語講座や資格取得講座等の開催
○国の専門機関等と連携し、外国人の就労環境の改善に努めます。
(生活環境部)
〔具体的な取り組み〕
国の機関等と連携した就労相談への対応
○外国人技能実習制度については、(財)国際研修協力機構(JITCO)等
と連携しながら、制度の適正な運用に努めます。
(生活環境部,警察本部)
〔具体的な取り組み〕
外国人就労研究会の開催
医療・保健
○インターネットなど情報提供の充実を図るとともに,診療時の通訳による
支援など,不便なく外国人県民が医療機関を利用できるよう努めます。
(生活環境部,保健福祉部)
〔具体的な取り組み〕
医療通訳サポーターの登録・育成,多言語メディカルハンドブックの発
行,外国人エイズ相談事業,母語で受診可能な医療機関情報の提供
20
防災
○災害時における情報提供体制を整えます。
(生活環境部)
〔具体的な取り組み〕
災害時マニュアルの発行,災害時語学サポーターへの研修会の実施
○相談窓口の開設など一時的な滞在者も含めた外国人対応について,関係機
関と協議のうえ検討,整備し,地域防災計画等に反映していきます。
(生活環境部,警察本部)
〔具体的な取り組み〕
防災講座の実施,総合防災訓練への参加
交通
○外国人の関係する交通事故を防止するための取り組みを行います。
(警察本部)
〔具体的な取り組み〕
外国人に対する交通安全教室の開催
(3)
多文化共生の地域づくり
①
外国人の地域社会への参加
外国人県民の定住化,滞在の長期化が進んでいますが,地域社会への参加
はあまり進んでいない状況です。
地域への意識啓発と同時に,外国人県民が地域社会に積極的に参加できる
仕組みづくりに取り組みます。
○外国人が自主防犯活動や災害時等に自ら協力者となれるよう人材の育成等
を行います。
(生活環境部,警察本部)
〔具体的な取り組み〕
コミュニティリーダー,防災協力者,自助組織等の育成
○外国人県民が,地域の課題等に関わるしくみ等の検討を行います。
(生活環境部)
〔具体的な取り組み〕
テーマ別意見交換会等での検討
21
○テーマごとに外国人県民と関係者の意見交換を開催し,課題の解決を図っ
ていきます。
(生活環境部)
〔具体的な取り組み〕
外国人県民との意見交換会等の実施
②
相互理解の促進
多様な文化的背景を持つ人々が共に生活しやすい地域づくりを行うため、
互いの文化や生活習慣を理解することが必要です。
外国人にとってくらしやすい環境を整備し,優れた知識や高い技術を有す
る人材がその力を十分に発揮,活躍できる魅力的な地域づくりを進めます。
○小中学校における総合的な学習の時間や一般向け文化講座等の機会を利用
して,国際理解の一層の促進を図ります。
(生活環境部)
〔具体的な取り組み〕
ワールドキャラバン事業による国際理解教育講師等の派遣,機関誌「ふ
れあい茨城」の発行
○外国人県民に対し,日本文化に触れる機会を提供します。
(生活環境部,県警本部)
〔具体的な取り組み〕
留学生の県内研修の実施,外国人とのふれあい事業の実施
○様々な機会を捉えて多文化共生の地域づくりについて啓発を行います。
(生活環境部)
〔具体的な取り組み〕
多文化共生推進会議,国際交流・協力ネットワーク会議の開催等
○海外からの外国人研究者や留学生等が暮らしやすい生活環境づくりを促進
します。
(企画部,生活環境部)
〔具体的な取り組み〕
多言語による生活情報の提供,大学,研究機関,市町村等関係機関との
連携
22
【基本方針2】
国際感覚豊かな人づくり
社会経済のグローバル化が急速に進展し,海外との交流がますます拡
大する中,国際社会で堂々と発言し行動できる人材の育成が重要です。
県民の外国文化や習慣等への理解を促進するとともに,外国語教育の
一層の充実を図り国際化に対応した教育を推進し,国際的視野を有し世
界で活躍できる人材の育成に取り組みます。
(1)
世界で活躍する人材の育成
①
外国語によるコミュニケーション能力の向上
世界の人々との交流には,語学,自己表現の能力等が必要とされます。積
極的にコミュニケーションが図れるよう,学校教育の早期段階から英語への
関心を喚起するなど外国語教育の充実を図り,自分の考えを主張できる態度
の育成に取り組みます。
○英語の授業(小・中・高)において外国語指導助手とのティームティーチ
ングの機会を確保し,児童生徒が生きた英語にふれることにより,英語教
育の一層の充実を図るとともに,国際交流活動や語学指導を通じて異文化
理解を深めます。
(生活環境部,教育庁)
〔具体的な取り組み〕
国際交流員等によるワールドキャラバン国際理解教育活動,外国語指導助
手研修会の実施
○中学生・高校生の英語によるグループでの話し合いを実施し,コミュニケ
ーション能力を高め茨城を担う生徒の育成を図ります。 (教育庁)
〔具体的な取り組み〕
ディベート県大会(高校)や英語インタラクティブフォーラム(英語に
よるグループでの話し合い)
(中・高)の開催などの語学力向上を目指す
大会の実施
23
②
国際社会で活躍する青少年の育成
文化,歴史,産業等の基礎的な情報を理解したうえで,国際交流を通して
多文化と共生する態度を養うなど,国際理解教育を推進することにより,国
際社会で活躍できる青少年の育成,次世代を担う人材の育成に取り組みます。
○児童生徒に異文化に触れる機会を提供することにより,各学校が実施する
国際理解教育の充実を図ります。
(生活環境部,教育庁)
〔具体的な取り組み〕
ワールドキャラバン * 等による世界の文化紹介,(独)国際協力機構
(JICA)との連携による出前講座の実施
*外国人講師等を学校の授業や団体の講座等に派遣し各国の紹介等を行う事業
○研修等により教員の資質を高め,また,JICA ボランティア参加者の活用を
促進するなどして,国際理解教育の充実を図ります。
(教育庁)
〔具体的な取り組み〕
国際理解教育に関する授業,研修等における JICA ボランティア参加者の
活用
○国際的な視野を身につけ,プレゼンテーション能力を養うため,外国人生
徒との交流や外国語指導助手を活用した生きた英語体験などを通して,国
際舞台で活躍できる人材の育成に努めます。
(生活環境部,教育庁)
〔具体的な取り組み〕
留学生・海外の高校生との交流や外国語指導助手の活用
○スポーツや科学分野等において,国際大会等で活躍できる青少年の育成と
能力の向上を図ります。
(教育庁)
〔具体的な取り組み〕
陸上や水泳など高校生選手の強化育成プログラムの実施,科学オリンピ
ック国内予選の開催
24
○インターナショナルスクールなど国際的な学校の整備については,充実・
強化を図るとともに,新たな展開に向けて市町村や関係機関と連携し検討
します。
(総務部,企画部,生活環境部)
〔具体的な取り組み〕
市町村や関係機関との連携,検討
(2)
国際理解の推進
①
県民の国際理解の推進
国際化社会に対応するため,県民一人ひとりが外国の文化や国際情勢等の
理解を深めることが重要です。
○海外文化講座等の開催により,異文化に触れる機会を提供するとともに,
外国人県民に対して日本文化を紹介するなど相互理解に努めます。
(生活環境部,教育庁)
〔具体的な取り組み〕
世界文化セミナーの開催や海外芸術の紹介,留学生県内研修の実施
○様々な生涯学習の場において各国の多様な生活,文化,習慣を理解する機
会を提供します。
(生活環境部)
〔具体的な取り組み〕
ワールドキャラバン等による海外文化の紹介やスピーチコンテスト等の
開催
②
国際化を担う人材育成と支援体制整備
地域における様々な分野の国際化を推進するため,本県の国際関連活動の
主要な担い手となる NGO・NPO,ボランティアは不可欠な存在です。
団体間での連携,行政との協働を通じて,それぞれの特色を活かしたより
効果的な取り組みを促進するとともに,国際化を担う人材の一層の育成と活
用を図っていくことが重要です。
○県民の国際理解の促進,ボランティア意識の啓発を図り,活動に参加・協
力しやすい環境づくりに努めます。
(生活環境部)
25
〔具体的な取り組み〕
(独)国際協力機構(JICA)が実施する写真展,参加制度の紹介など青年海
外協力隊等への支援や多文化共生サポーターバンクへのボランティア登
録の促進
○顕彰を通じてボランティアの意欲向上を高めるとともに,研修会等の実施
によりボランティア人材の育成に努めます。
(生活環境部)
〔具体的な取り組み〕
国際化推進に功績のあった活動に対する奨励賞表彰や医療通訳サポータ
ー・災害時語学サポーター等に対する研修の実施
○海外体験・研修を通じて,専門性の高い人材の育成を図ります。
(知事直轄,総務部,保健福祉部,農林水産部,病院局,教育庁,警察本部)
〔具体的な取り組み〕
農業や教育などの各分野におけるリーダー,指導者育成のための研修の
実施
26
【基本方針3】
グローバル社会への積極的な対応
市町村の姉妹都市交流などの各地域での交流や、教育機関での交流を一層活
発化させるとともに、民間団体でのスポーツや芸術等多様な分野の交流を促進
します。また、茨城空港を活用した東アジア地域との交流拡大に向けて、市町
村や民間団体など地域における国際交流・国際協力が一層活発化するよう各団
体の活動支援や人材の育成に取り組みます。
経済面については、国内市場の大きな拡大が望めない中、安定的な成長を実
現するために,海外の活力を取り込むとともに新興国市場等への販路拡大など
海外展開を促進します。
(1)
県民主体の国際交流の推進
①
様々な人々が交流する機会等の提供
文化・スポーツ・学術等多様な分野での交流が深められるよう,外国人県
民との交流の機会を提供します。
○国際交流団体等と連携し、留学生,在留外国人,国際交流員等を活用して、
地域における国際交流の機会を拡大し,国際理解の促進・国際化意識の啓
発を図ります。
(生活環境部)
〔具体的な取り組み〕
留学生等を学校や生涯学習の場に派遣し異文化に触れる機会を提供
○県民が行う国際交流・協力活動のPRを行い、参加を促進します。
(知事直轄,生活環境部)
〔具体的な取り組み〕
ホームページ、機関誌等での情報提供、国際化推進奨励賞による活動の
顕彰
○国際交流団体の育成に取り組み、文化やスポーツなど多様な交流の支援に
努めます。
(企画部,生活環境部,保健福祉部,教育庁)
〔具体的な取り組み〕
国際交流団体間の連携を図るためのネットワーク会議の開催
海外の芸術家,スポーツ少年団との交流事業の実施
27
②
東アジアとの交流の推進
急速に発展する東アジア地域については、世界における重要性が増し茨城
県との関係も深まっており、今後,本県の観光や経済交流等を発展させるう
えでこの地域との幅広い交流が一層必要となっていることから,様々な分野,
世代間の友好交流を積極的に推進します。
○茨城空港を活用して、東アジア地域の各種団体との国際交流を推進します。
(企画部,生活環境部,教育庁)
〔具体的な取り組み〕
海外の水族館や博物館などとの姉妹館協定による交流事業の実施
○茨城県上海事務所等を活用して、市町村や国際交流団体の活動を支援し、
東アジア地域の市町村、学校等各種団体と文化やスポーツなど多様な交流
の支援に努めます。
(生活環境部,保健福祉部,教育庁)
〔具体的な取り組み〕
上海事務所による情報提供、活動支援
海外の学校や青年団体などとの交流事業の実施
28
(2)
国際協力の促進
①
国際協力への理解促進
急速にグローバル化が進む中,ますます海外との相互依存の度合いが強ま
っています。つまり,開発途上国をはじめとする諸外国における課題が,私
たち県民の暮らしにも,直接的または間接的に影響が及ぶ時代にあります。
また,地球温暖化をはじめとする環境問題や感染症といった地球的規模の
問題は,国境を越えて影響が広がる性格をもっており,国際社会が直ちに協
調して対応を強化しなければならない課題でもあります。
このような開発途上国等における課題や地球規模的な課題を,自らの課題
として真剣に考え,身近な生活の中からその解決に向けて行動する地球市民
としての意識の醸成を図る必要があります。
加えて,県民への国際協力活動に関する理解促進を通じ,民間団体等の活
動の活性化,後継者の育成を図る必要があります。
留学生,在住外国人,国際交流員等を活用しワールドキャラバン等を通じ
て、国際協力への理解・支持・参加促進を一層図るとともに、青年海外協力
隊員等については、各団体と連携して広報に努めます。さらに、環境分野等、
本県の特性を活かした国際協力の取組を推進していきます。
○(財)茨城県国際交流協会が実施する「ワールドキャラバン国際理解教育講
師等派遣事業」とJICA「国際協力出前講座」の連携,県教育委員会による
JICA開発教育支援事業に対する後援や応募勧奨など現在の本県とJICAボラ
ンティア派遣事業や開発教育支援事業におけるさらなる連携を促進します。
(生活環境部)
〔具体的な取り組み〕
青年海外協力隊OB等を学校や生涯学習の場に派遣し国際協力の実情を学
ぶ機会を提供
○開発途上国への技術協力を行う青年海外協力隊やシニア海外ボランティア
等への県民の参加を促進し,国際社会に対応し貢献できる人材を育成します。
(生活環境部)
〔具体的な取り組み〕
(独)国際協力機構(JICA)等と連携した青年海外協力隊募集説明会の開催
(独)国際協力機構(JICA)等によるNGO活動支援事業についての情報提供
○JICAが実施するNGO向けの研修,制度の情報を提供し,県内団体によるJICA
草の根技術協力事業の利活用促進を側面支援します。
(生活環境部)
29
〔具体的な取り組み〕
JICA が実施する人材育成研修,支援制度の情報提供
②
本県の特性を活かした国際協力の推進
茨城として国際協力を推進し,世界の人々と生き、平和と繁栄をつくるた
め,県内にこれまで蓄積された知識・技術・経験や,JICA等の団体、海外移
住者のネットワーク等を活用し,本県の特色を活かしたきめ細かな国際協力
を行う必要があります。
○行政とNGO・NPO との協働・連携を促進し,本県が持つ資源を有効に活用し
て,より効果的な国際協力活動を推進します。
(生活環境部)
〔具体的な取り組み〕
(独)国際協力機構(JICA)等と連携した国際協力活動の啓発
○特に環境問題については,本県に蓄積された湖沼環境保全、廃棄物対策な
どの、環境技術分野に関する知識を有効活用し,解決に貢献します。
(企画部,生活環境部)
〔具体的な取り組み〕
海外の地方自治体との環境技術分野における相互交流の実施
○外国人技能実習制度について,関係機関と連携・協議しながら適正な運用
に努めます。
(生活環境部,商工労働部,農林水産部,警察本部)
〔具体的な取り組み〕
外国人就労研究会の開催,関係団体と連携しての団体等の指導・監督
○ブラジル及びアルゼンチン茨城県人会について,活動支援や人材育成を通
じて日本語や日本文化の継承と日伯亜の交流を促進するとともに,JICA日
系人ボランティア等への参加促進支援を行いつつ,当該国の発展を図りま
す。
(生活環境部)
〔具体的な取り組み〕
県人子弟を対象とした県関係機関等での技術研修の実施による人材育成
30
(3)
経済交流の促進
①
アジアを中心としたビジネス活動への支援
世界経済においては、アジアをはじめとする新興国の存在が大きくなり、
世界経済危機からの回復を牽引しています。
アジアをはじめとする新興国は、安価な労働力を利用した生産拠点として
のみならず、拡大する富裕層や中間層を背景に市場としての存在感を高めて
おり、本県産業にとっても当該地域の的確な情報を把握するとともに海外の
活力の取り込みや海外展開の拡大が重要となっています。
○海外に向け積極的にいばらきを PR していくことで、観光客の誘客促進を図
るとともに,農林水産物及び加工品等の本県産品のブランドイメージの確
立を図ります。
(知事直轄,生活環境部,商工労働部,農林水産部)
〔具体的な取り組み〕
海外メディアへの積極的な情報発信
外国語版ホームページによる海外へ向けた情報発信
観光マップなど外国語版パンフレットの配布による観光PR
見本市出展による県産品 PR
○県内企業が海外展開を行うにあたっては、正しい情報を効率的に入手する
ことが重要なポイントとなるため、本県の有する海外拠点等を活用し、海
外現地情報の提供を一層進めます。
(生活環境部,商工労働部)
〔具体的な取り組み〕
上海事務所による中国の商習慣や展示会開催情報等の提供
中小企業振興公社による海外ビジネス情報の提供
○国際ビジネス情報の提供や貿易・投資に関する相談機能の充実を図るとと
もに,日本貿易振興機構等の国機関や本県の海外拠点との連携を強化し,
県内企業等の海外販路の開拓を支援します。
(生活環境部,商工労働部,農林水産部)
〔具体的な取り組み〕
貿易相談、国際化セミナー・研修の実施
上海事務所による県内企業の中国での活動支援
31
○中小企業の海外展開に当たっては、海外とのつながりを持つことが重要な
きっかけとなっているため、本県の海外拠点が有するネットワーク等を活
かし、効果的な進出・販路拡大の支援を進めます。
(生活環境部)
〔具体的な取り組み〕
上海事務所において企業の現地視察を調整するとともにコンサルタン
ト会社、通訳等を紹介
○国内外の企業の県内立地を促進し,県内産業の集積と活性化を図ります。
(知事直轄)
〔具体的な取り組み〕
広域交通ネットワークの充実や首都圏への近接性など本県立地の優位
性のPR,優遇制度の充実,立地企業のフォローアップの充実
○世界には年間 3,000 ドル未満で暮らしている貧困層(BOP:Base of Pyramid)
が約 40 億人いるといわれており,近年,こういった人々をビジネスの対象
と捉え,事業を展開する民間企業の動きが高まりつつあります。JICA 等他
機関における「BOP ビジネス支援」の動きを見つつ,県内企業のアジアで
のビジネスの幅を広げる方策を検討します。
(生活環境部)
〔具体的な取り組み〕
(独)国際協力機構(JICA)等と連携した啓発
②
茨城空港,茨城港の路線,航路の拡充・活用
本県が有する広域交通ネットワークを最大限に活用し、ビジネスや観光に
よる人的交流や物流の活性化に努め、本県の産業振興を図ります。
観光の振興は、経済の発展に欠かせない要素となっており、観光客の増加
による直接的な経済効果だけではなく、住民が外国人とふれあう機会が増え
ることにより、国際理解の推進や交流の活性化が期待されます。
○茨城空港への国内外の路線の拡充を図るとともに、既存の就航路線の一層
の利用促進に努めます。
(企画部、商工労働部)
〔具体的な取り組み〕
茨城空港への航空会社の誘致、海外への観光 PR
32
○茨城港および鹿島港の港湾機能の強化を図るとともに、ポートセールスの
積極的な推進により、定期航路の拡充や開設を促進します。
(土木部)
〔具体的な取り組み〕
ポートセールスの推進
○海外で行われる国際観光展等への出展や海外の旅行業者・メディアを招い
た周遊ツアーの実施などにより、ツアー造成や知名度向上を図ります。
(商工労働部)
〔具体的な取り組み〕
国際観光展への出展、海外旅行業者等の招へい事業
○近隣の県と連携し,外国人観光客が訪れる国内の観光拠点と本県の観光地
などを結びつけた広域観光ルートの提案,メディカルツーリズムやスポー
ツ・ショッピングを組み込んだ旅行商品の開発など,海外からの広域周遊
観光ツアー客の誘客を促進します。
(商工労働部、保健福祉部)
〔具体的な取り組み〕
広域観光ルートの作成、海外旅行業者等の招へい事業
33
【基本方針4】
国際化推進体制の充実,強化
本県の国際化を推進するために,多様な国際化推進拠点を活用するとともに,
県民,民間団体,関係機関,市町村,国等と連携を図り,国際化施策の効果的
な事業実施に取り組みます。
(1)
①
国際化推進拠点の活用
(財)茨城県国際交流協会の運営
本県の国際化の一層の推進にあたっては、関連分野についての情報の収
集・提供や調査研究を行い、県民やNGO,NPOに対する支援を行うと
ともに,県全域にわたる事業や先導的事業については直接実施することの
できるような、民間活動の中核的立場として役割を果たす組織が重要です。
○(財)茨城県国際交流協会は、本県の国際化推進の中核的組織として、今後
もその役割は重要です。長期的な見通しのもとに財政の健全化,事業の重
点化が図られ,市町村協会等との役割分担のもと,牽引役としての役割が
高まるよう引き続き支援します。
(生活環境部)
〔具体的な取り組み〕
外国人県民に対する情報提供,相談事業などの支援,県民の国際理解の
促進を図る多様な事業の実施,多文化共生サポーターバンクの運営や国
際交流ボランティア研修会の実施など国際交流・協力実践団体との連携
による事業の実施
②
茨城県上海事務所の運営
中国は、拡大する富裕層や中間層を背景に消費市場として成熟してきてお
り、本県産業にとっても中国での販路拡大は、成長のための重要なポイント
の一つとなっています。
我が国最大の貿易相手国となった中国ですが、企業が活動するにあたって
は、商習慣や制度が異なることなどから、少なからずリスクが存在します。
上海事務所において、県内企業のニーズをとらえた効果的なサポートを行
うことにより、現地における円滑な事業展開を支援します。
○上海市政府等の現地ネットワークの活用など情報収集の強化を図り、ホー
ムページ等により、企業活動等に必要な経済情報を提供します。
(生活環境部)
34
〔具体的な取り組み〕
ホームページによる中国の商習慣や展示会開催情報等の提供
○視察先等の紹介など,県内企業等が円滑に現地で活動できるよう支援しま
す。
(生活環境部,商工労働部,農林水産部)
〔具体的な取り組み〕
企業視察の調整等
○見本市への出展などを通して積極的に PR を行い、本県産品のブランドイメ
ージの確立を図り、県産品の国際競争力強化を目指します。
(生活環境部,商工労働部,農林水産部)
〔具体的な取り組み〕
見本市への出展支援
③
様々な国際化推進拠点の活用
海外から人、もの、情報,資本を導入し、活用することは経済の活性化の
重要なポイントです。
本県における陸・海・空の広域交通ネットワークのほか、つくば国際会議場
等の施設を総合的な交流拠点として活用します。
○つくば・東海・日立地区では知的資源や産業集積を活用し、企業誘致の推
進など国際競争力のある先端産業地域の形成を図ります。
(知事直轄,企画部)
〔具体的な取り組み〕
企業立地の推進
○研究開発・事業化の促進、研究人材の育成・獲得などを通して、研究開発
拠点としてつくばや東海地域の強化を図ります。
(企画部)
〔具体的な取り組み〕
研究機関,大学,民間企業,市町村等との連携,検討
35
○最先端研究施設 J-PARC 等を訪れる外国人の活動しやすい環境の整備を進
めることにより,外国人研究者の施設利用拡大を図ります。
(企画部)
〔具体的な取り組み〕
市町村との連携,いばらき量子ビーム研究センターの活用
○国際会議の誘致などにより、学術および文化の向上、交流の活性化に努め
ます。
(企画部)
〔具体的な取り組み〕
つくば国際会議場の効果的な活用
(2)
①
関係機関との連携・協働の促進
国・県・関係機関との連携の促進
本県の国際化を推進するため,国や関係機関と連携し,様々な課題に取り
組みます。
○国,県の関連部局,市町村などの行政における,労働,福祉,教育など各
分野の専門機関との連携を図っていきます。
(生活環境部)
〔具体的な取り組み〕
国際化推進計画の策定及び進行管理,外国人就労研究会の開催
②
市町村・民間団体との協働
外国人県民の抱える課題については,支援が必要な分野が多岐にわたるた
め,横断的対応による解決を図る必要があります。
○県内で活動している団体や人材を把握し,関係するNPO,NGOその他
の民間団体が連携,協働を図るための協議の場を設けます。(生活環境部)
〔具体的な取り組み〕
国際交流・協力ネットワーク会議の開催
36
○県内の市町村等行政機関が情報共有,協議を行う場を設け,情報提供のあ
り方など,具体的な課題について検討を行います。
(生活環境部)
〔具体的な取り組み〕
多文化共生推進会議の開催
37
5
数値目標
国際化施策を計画的に推進するため,平成27年度を目標年度とする数値目標を設定しました。
計画期間中において,毎年進行管理を行ってまいります。
現状値
(H21年度)
目標値
(H27年度)
287,874件/年
337,000件/年
多文化共生サポーターバンクへの登録
者数
1,099人
1,250人
外国人アンケートによる外国人相談セ
ンターの認知度
20%
40%
4,728人
5,700人
814件
(累計)
1,400件
(累計)
310人
400人
(毎年)
青年海外協力隊への派遣者数
620人
(累計)
800人
(累計)
県内貿易等相談件数
140件/年
400件/年
外国人旅行者数
115,000人
274,000人
2路線
(H22年10月現在)
5路線
1,716千トン
6,300千トン
指標
1
多文化共生社会づくりの推進
茨城県ホームページ外国語アクセス数
つくば地区における外国人研究者数
2
国際感覚豊かな人づくり
ワールドキャラバン国際理解教育講師
等派遣数
本県の高校生の国際科学オリンピック
へのエントリー数
3
グローバル社会への積極的な対応
就航路線数(国際線)
重要港湾の公共ふ頭における外国貿易
の取扱量
38
6
国際化推進の担い手に期待される役割
この計画に基づき「世界へはばたき,未来をひらく」をテーマに国際化を推進する
には,県民を始めとする担い手が,相互に協力,連携してそれぞれの立場に応じて活
動していくことが大切です。
(1)県民
本県の国際化の最も重要な担い手は,私たち一人ひとりです。
県民一人ひとりが,多文化共生,国際交流,協力,本県産業の国際化の各分野で,
国際化の主体として活動に参加することが望まれます。
特に,国際交流や国際協力を通じたボランティア活動が,本県における国際化の
推進に果たす役割は大きく,今後一層盛んになることが望まれます。
<目標実現のために求められる役割>
多文化共生社会づくりの ・多文化共生のための相互理解
推進
・外国人県民との連携・協力による地域づくり
国際感覚豊かな人づくり ・コミュニケーション能力の向上
・国際社会への積極的な関わり
グローバル社会への積極 ・NGO・NPO が行う国際交流,協力活動への参加,協力
的な対応
・ボランティア活動の実施
・外国人来訪者へのホスピタリティの向上
(2)NGO・NPO
NGO・NPO は,国際化を担う主体の一つですが,同時に,その蓄積された経験,ス
キルを活かし,他の担い手の活動を積極的に支援していくことも重要です。
NGO・NPO には,それぞれの専門分野において次のような役割が求められます。
<目標実現のために求められる役割>
多文化共生社会づくりの ・日本語教室の開催等による外国籍県民への支援活動
推進
・多文化共生の基本理念の啓発
国際感覚豊かな人づくり ・国際交流・国際協力活動への県民の参加促進
グローバル社会への積極 ・民間レベルでの活動の活性化と県民の参加促進
的な対応
・行政との協働,連携による活動の推進
・外国人観光客に対するボランティア通訳サービスな
どの提供
・外国人受入に必要なホスピタリティ整備への協力
39
(3)企業
企業については,これまで,人材や資材を活用しながら,県民や NGO・NPO が行う活
動に対する支援を通じた関わりが主に期待されていましたが,外国人労働者の増加な
どから,現在はこれに加え多文化共生,本県産業の国際化などの分野でより主体的な
取組が求められています。
また,本県では,(財)国際研修協力機構(JITCO)支援により受け入れた外国人研
修生,技能実習生の合計数が全国第3位(平成 21 年度)であるなど,多くの外国人研
修生,技能実習生が在住しており,受入企業は国際協力の面でも積極的な役割を果た
す必要があります。
今後は,他の担い手との協力,連携のもと,次のような活動を進めていくことが期
待されています。
<目標実現のために求められる役割>
多文化共生社会づくりの ・外国人県民の生活に関する情報提供などのサポートの
推進
充実
・外国人県民と地域住民の交流等の促進
・外国人県民の適正な就労環境の整備
国際感覚豊かな人づくり ・国際ビジネスに対応できる人材の育成
グローバル社会への積極 ・県民が行う交流活動への支援,協力
的な対応
・外国人研修生・技能実習生制度を通じた人づくり,技
術移転の促進
・交通インフラなど充実したビジネス環境を活かした経
済活動の展開
(4)大学,研究機関,その他関係機関
外国からの留学生や研究者は,茨城の発展に貢献する貴重な人材です。特に,本県
にはつくばを中心として研究機関等が集積しており,在留資格「研究」で入国してい
る外国人の約 3 分の 1(平成 21 年 12 月末)が在住しています。
大学,研究機関は,研究者の海外への研鑽機会や海外からの研究者,留学生の受入
の拡大を図るなど,研究人材の国際流動化を促進し,これら留学生や研究者について
学問や研究に専念できるよう適切な受入環境を整備するとともに,国際交流,国際理
解,多文化共生等の促進のため,貴重な人材として地元に広く役立てていく必要があ
ります。また,帰国後についても,大学,研究機関のネットワークの一員として活用
を図ることが重要です。
また,開発途上国からの留学生,研修生などの受入は,人材育成や技術移転の観点
から国際協力としての効果も期待されるため,今後とも積極的な推進が求められます。
40
(5)市町村,市町村国際化推進組織
市町村は,多文化共生の推進に係る指針・計画を策定し,計画的かつ総合的に推進
するとともに,地域に根ざした身近な行政機関として,生活情報の提供や日常生活に
関する相談対応の充実,施設等の外国語表記の促進など,外国人県民が的確に行政サ
ービスを享受できる体制の整備が期待されます。
また、姉妹都市との友好交流等を通して、国際交流の機会を提供するなど、住民の
国際化意識の高揚を図ることが求められます。
また,NPOや事業者等と協働するとともに,県を初めとする行政関連機関と連携し,
地域の実情に応じた施策の実施が期待されます。
(6)(財)茨城県国際交流協会
(財)茨城県国際交流協会は,より柔軟な立場から本県の国際化を推進できるよう
設立された組織です。
今後も,本県の国際化を推進するうえでの中核的組織として,県内 NGO・NPO のネッ
トワーク化の推進,国際化推進活動に対する支援を行うとともに,地域における施策
の実践者として事業を実施し,国際化推進に係る基本理念を啓発することが求められ
ます。
また,多文化共生や本県産業の国際化といった分野についても,県と協力のうえ中
心となって推進していくことが期待されています。
(7)茨城県
「茨城の国際化」を推進するため,県ではこの計画により方向を明らかにし,その
実現のため,法律,制度上改善が必要な問題について国への要望を行っていきます。
また,県民,NGO・NPO,企業,大学,研究機関,市町村,市町村国際化推進組織,
県国際交流協会,国や関係機関の活動との連携,協力を促進するとともに,それぞれ
の活動が円滑に進むよう関係機関相互の総合調整を行います。
41
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