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10 3. 成果概要 本年度は、JIS の原案の作成に重点を置いた活動を実施

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10 3. 成果概要 本年度は、JIS の原案の作成に重点を置いた活動を実施
3. 成果概要
本年度は、JIS の原案の作成に重点を置いた活動を実施した。WG は、平成 15 年度に再
編成し直した構成を継続させて活動を行い、WG 相互間の調整は、幹事会が主となって行
なった。
本年度の調査研究は、昨年度の成果に基づいて実施しており、以下に項目を挙げてその
成果の概要を述べる。
3.1 再生骨材などの名称の確定
当委員会では、再生骨材を分類した場合に高品質再生骨材、中品質再生骨材および低品
質再生骨材、あるいはこれらに対応する再生骨材Ⅰ種、Ⅱ種、Ⅲ種の用語を便宜的に用い、
平成15年度の報告書でも使ってきた。しかしながら、後のⅠ種とⅡ種は、軽量骨材を用い
たコンクリートの区分について既にJISで用いられているため、これとの混同を避けること
にして、再生骨材H、M、Lを最終的に用いることにした。
また、再生骨材を用いたコンクリートについても、「再生骨材コンクリート」や「再生
コンクリート」などの名称が混在して用いられていたが、「再生骨材コンクリート」の名
称を用いることにした。したがって、「再生骨材 H」の JIS を制定すること、並びに「再
生骨材コンクリート L」および「再生骨材コンクリート M」の品質を規定した JIS 原案を作
成することに努めた。
3.2 再生骨材Hの製造実験とJIS原案の最終調整
高品質再生骨材規格作成WGからは、平成14年度の成果として高品質再生骨材のJIS原案
(素案)を提案した。このJIS原案(素案)は、JIS A 5308 附属書1(規定)(レディー
ミクストコンクリート用骨材)中に再生骨材Hが組み入れられ、JIS A 5308(レディーミク
ストコンクリート)に基づいて、レディーミクストコンクリート用骨材として一般に使用
されることを目指したものである。
そのため、平成15年度の審議において、再生骨材はJISとして品質などが制定されるだけ
でなく、その規格に適合するJISマークが貼付できる製品として製造されて出荷されること
が必要であるとの認識に至った。そのためには、JISの個別審査事項の素案をJIS原案と並
行して作成し、運用する試みも実施した。平成15年度ではまた、コンクリート塊の採取
から再生骨材製造工場への運搬、製造、品質の確認をするといった製造実験を行なったが、
1種類の再生骨材Hが平成16年度に持ち越された。
今年度は、その骨材について製造実験を行なうとともに、全ての製造実験の結果を分析・
解析して、JIS原案への最終的な調整と詰めを実施した。その結果、JIS原案は、平成17年3
月20日に、JIS A 5021(コンクリート用再生骨材H):2005として制定された。また、JIS A
5021の個別審査事項の素案についての改訂を行なった。
3.3 再生骨材Lを用いた再生骨材コンクリートのJIS原案の作成
TR A 0006(再生骨材を用いたコンクリート)の公表から4年が経過したが、このTRに基
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づいた再生骨材L(低品質再生骨材)を用いた再生コンクリートLのJIS原案を作成した。こ
の種コンクリートの製造と使用に関する実態調査結果および今後の用途の拡大を目指して、
TR A 0006に比べて適用範囲を拡大し、再生骨材コンクリートLの製造方法の多様化に対応
したJIS原案となっている。このJIS原案の作成には、JIS A 5021(コンクリート用再生骨
材H)および今後JIS原案として提出することを目指して作成した再生骨材M(中品質再生骨
材)のJIS原案(素案)との内容の調整を行った。
「再生骨材Lを用いた再生骨材コンクリート」のJIS原案においては、TR A 0006では「特
注品」として盛り込まれていた再生骨材コンクリートLを、仕様発注する再生骨材コンクリ
ートLとして「仕様発注品」と名称を変更した。そして、照査すべき性能項目、性能照査方
法および性能試験方法を規定した。なお、再生骨材コンクリートLの製造方法は、附属書4
(規定)にまとめて規定した。
3.4 再生骨材Mを用いた再生骨材コンクリートのJIS原案(素案)の作成
再生骨材を規格化するに際して、その品質と用途により幾つかの組み合わせがあり、当
委員会においても多くの時間をこの審議に費やした。その結果、高品質の再生骨材は再生
骨材Hの規格のみ、低品質の再生骨材LはTR A 0006と同様にこれを用いた再生骨材コンクリ
ートLの規格を作成することで作業を進め、前述した通り、JIS原案を作成した。
これら両再生骨材の間に位置する中品質の再生骨材Mについては、その品質規格とそれを
用いたコンクリートの規格をJIS規格(素案)として作成した。再生骨材Lは、構造用コン
クリートあるいは鉄筋コンクリートに適用することを目標にしている。そのためには、そ
れを用いた鉄筋コンクリート部材や構造物としての性能などについても十分に検討して、
JIS原案を作成することが必要になる。
3.5 アルカリ骨材反応対策
再生骨材は、大量に同一の品質が製造されている現状の砕砂や砕石などの普通骨材とは
製造形態が大いに異なる。そして、オンサイトで骨材プラントや再生骨材コンクリートプ
ラントを建設して製造する場合と、オフサイトで不特定のコンクリート塊を持ち込んで製
造する場合に大別される。
再生骨材の原コンクリートが特定できれば、アルカリシリカ反応性の区分を「A」としての
取扱いが可能である。しかしながら、上記の製造形態においては、原コンクリートが特定
できるのはどのような状況であるかについての詳細な検討を行った。例えば、原骨材の粗
骨材と細骨材のすべてが、特定でき、かつ試験成績書等またはアルカリシリカ反応性試験
で無害と判定されるとともに、再生骨材ごとに行なったアルカリシリカ反応性試験で無害
と判定された場合は、区分「A」としてよい。JIS A 5021(コンクリート用再生骨材 H)
:2005
では、このような場合を区分「A」として取り扱うことにし、その附属書1(規定)に、原
骨材の特定方法を規定している。
また、打込み日・打込み区分が特定できる書類があれば、その書類に基づいてサンプリ
ングを行い、使用骨材の種類を特定してアルカリシリカ反応性試験で無害と判定された場
合も、区分「A」に分類できると考えられる。
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しかしながら、細骨材が混合使用されている場合には、使用骨材を特定することが相当
に困難であり、サンプリングの頻度も増えることになる。また、混合セメント B 種による
アルカリシリカ反応対策において、アルカリシリカ反応性が高い骨材で、抑制効果が低い
高炉スラグ微粉末を用いた最悪の条件においても、現行の対策ではかなり安全側になるよ
うに高炉スラグ微粉末の混合率を決めているか否かについての議論も行なった。
そして、再生骨材 L を用いる場合には、付着モルタル中のセメント量を考慮すると、現
行の対策では十分なアルカリシリカ抑制効果が得られないとの指摘もあった。この指摘に
対して、コンクリートバー法による試験を実施した。その結果により、高炉スラグ微粉末
とフライアッシュの混合率の検討を行なった。
これに関連して、再生骨材 L では、モルタル付着率からみてアルカリシリカ反応抑制対
策としてアルカリ総量規制を適用することは困難であること、また付着しているモルタル
中のセメント分を考慮すると、一般に市販されている B 種混合セメントでは不十分であり、
高炉スラグ微粉末などを更に混合する必要があるが、強度発現性や製造上で問題が生じる
ことの指摘が出された。このような指摘に対しては、コンクリートバー法の試験結果を反
映させて、再生骨材 L を用いる場合のアルカリシリカ反応抑制対策を JIS 原案の解説にお
いて記述した。
再生骨材 M については、アルカリシリカ反応抑制対策としてアルカリ総量規制を適用で
きるか否かの検討を行なったが、結論を出すには至らなかった。
3.6 試験方法の整備
試験方法 WG5 においては、他の WG に対して JIS 原案の作成に必要な試験方法のアンケー
トを取り、「サンプリングを含むアルカリシリカ反応性試験」、「JIS A 5308 附属書の試験
方法の適用性」などの回答を得て、検討を行った結果に基づいて、平成15年度に試験計画
を立案して担当委員を選定し、実施を開始した。これらの試験は、本年度まで継続して、
結果の分析・解析を行い、 その結果を報告した。そして、これらの試験結果を参考にして、
特に再生骨材 L と M の JIS 原案の内容を決定した。
試験結果には、「アルカリシリカ反応性試験」において、前処理は酸で処理する方法に絞
り込むこと、代表的なサンプルをどのように準備するかは現場条件により非常に異なるの
で、代表的なサンプルが入手できた段階からの試験方法を考えること、化学法により無害
でないと判定された場合にはモルタルバー法を例外的に採用し、迅速法は酸処理した再生
骨材に JIS A 1804 がそのまま適用できるかを確認した上で加えるか否かを決めることなど
を検討した結果が含まれる。そして、再生骨材の塩化物量と全アルカリ量の定量化、また
酸処理が化学法の試験結果に及ぼす影響、コンクリートバー法によるアルカリシリカ反応
性試験などについての試験結果を報告した。
3.7 事業性の検討
再生骨材および再生骨材コンクリートの事業性の検討については、平成14,15年度
を通じて、コンクリート解体材の発生量、コンクリート解体材を原料として製造される再
生骨材およびこれを使用した再生骨材コンクリートの製造、用途、流通の実態などを調査
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し、建設廃棄物コンクリート塊の再資源化物としての再生骨材および再生骨材コンクリー
トが健全に事業化されるために克服すべき課題を抽出するとともに、再生骨材および再生
骨材コンクリートの規格化を図ることを提言してきた。
この中で、事業性検討WGは、平成14年度において実態調査WG、用途WGおよび発
生量WGにおいて調査検討が行われた成果を踏まえ、これらを総合した包括的な観点から、
平成15年度に再生骨材および再生骨材コンクリートの事業性についての調査検討を行い、
JISによる再生骨材に関する規格の整備が急務であることを裏付けた。そして平成16年度
では、これまでの成果を総括し、再生骨材および再生骨材コンクリートの事業化について
の今後の見通しあるいは課題などを取りまとめた。
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