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核医学 初歩の初歩
形態画像と機能画像について X線写真は形態画像の 代表。臓器・組織の形 態的変化を広範囲に見 ることが得意。 CT画像は得られる断層 像をコンピューターで立 体像にできるため、応用 範囲が広い形態画像。 X線写真 X線CT像と3D再構築像 1 薬剤が特定の臓器や 細胞に集積したり、代 謝される様子が画像に 示される機能画像。 腎シンチグラフィ 核医学検査で臓器の機能をしらべる 左の画像は、腎から排泄される薬剤を投 与し、腎への集積状態を時間を追って撮像 したものです。この集積と排泄の様子をグラ フにしたものが右図(レノグラム)です。 医薬品投与後10分以内で腎機能を診断 できることや、左右の腎機能を別々に評価 できることが特長です。検査の感度は良く、 BUNなどの血液生化学検査値の変化が見 られないような軽度で早期の機能異常が検 出できます 腎シンチグラフィ レノグラム 2 機能画像と形態画像の融合 転移腫瘍の位置と悪性度を確認 PET画像では形は粗いですが、がん組織がはっきり見えます。 CT画像は臓器組織の形や構造が明瞭で位置も正確なので、 二つを重ね合わせると診断上有用な画像が得られます。 3 CTとガンマカメラの複合機 GE社製、PETオプション付 放射性医薬品とは 特定の臓器や細胞に取り込まれる性質のある 物質を体内に入れると、その臓器や細胞の機能に 応じて物質の集積が変化します。 目印のため、その物質にアイソトープで 標識すると、臓器や細胞の機能に応じて 信号(放射線)が観測されます。 放射性医薬品は、臓器や細胞の機能を調べる ために設計された特殊な医薬品です。 4 動物のPET検査 獣医療法施行規則の改正により、イヌとネコの PET検査をはじめ、核医学が可能になります。 動物の医療では、放射性医薬品として薬事法で 製造販売承認された薬剤のみが使用できます。 PETは、陽電子放射断層撮影 (Positron Emission Tomography)の 略称で、核医学検査の一つです。 5 18F-FDGを使います PET検査では、18 DGはブドウ糖のそっくりさんです PET検査では、FDG (フルオロデオキシグルコース) というブドウ糖の類似物質を 放射性同位元素(F-18)で 標識した薬剤が使用されます。 註:ポジトロンはプラス電荷の電子でβ+と表現 します。 安定に長時間存在できないので、近くの電子と 結合して消滅し、光子が2つ正反対方向に放出 されます。 6 F-18はポジトロンを放出 ポジトロンは2本の放射線を出し て、正確な位置を知らせます がん細胞は、エネルギー源として ブドウ糖を多く取り込みます FDGはブドウ糖とよく似ているので、ブドウ糖と同じ動きをします。 代謝の盛んながん細胞は、FDGを多く取り込みます。 7 FDGを静注し、1時間ほど安静にしてから PETカメラで撮影をします 8 FDGをたくさん取り込んだ細胞は 放射線を出すので位置がわかります 取り込みが多いほど放射線の量は多くなるので、 放射線の入射方向からがん細胞の位置がわかり、 放射線の量で悪性度が判定できます。 9 PET検査で見つかる腫瘍 CT検査でも5∼10mm程度のがんを発見することができますが、 全身をくまなく探すことは事実上不可能です。 PET検査では全身を一度に診ることができます。 10 PET検査の特徴 注射以外に患者に苦痛を与えません。 がんの早期発見(PET検診)や 悪性度判定が可能です。 全身を一度に検査できるので、 転移腫瘍の発見が容易です。 放射線治療や化学療法の 効果判定に用いられています。 11 核医学検査で受ける被ばく線量 PET検査では、病院職員の被ばくが大きくなる可能性が あるので、医療機関内の被ばく管理が重要です。 帰宅後の動物の排泄物は、 特別の取扱や処理の必要はありません。 放射性医薬品を投与された受診動物から受ける飼い主等の 被ばくはごくわずかです。( 1年間に被ばくする自然放射線の100分の1以下) 患者の被ばくは人間の場合、胃のバリウムX線検査の 半分程度(約2.2 mSv)といわれています。 12 核医学検査で受ける被ばく線量 13 検査後の動物は直ぐ帰れますか? 受診動物の管理区域からの退出は、 PET薬剤投与から24時間後と定められています。 その他の核医学検査(Tc-99m検査)では、 投与量が150MBq以下の場合では投与から 24時間後、それ以上の場合は48時間後と されています。 退院後は動物体内や排泄物などの放射能は 無視できる程度となります。 (規制下限数量以下となり安全です。) 14 北里大学獣医学部 動物医療高度画像解析 オープンリサーチセンターの紹介 14 北里大学 獣医学部附属動物病院 小動物診療センター 大動物診療センター 高度画像診断と画像解析機能 CT SPECT-PET/CT MR 治療前 鼻腔内リンパ腫 治療後