...

EV カーシェアリング(オートリブ)の調査について

by user

on
Category: Documents
17

views

Report

Comments

Transcript

EV カーシェアリング(オートリブ)の調査について
海外調査依頼内容
1
回答日:平成 24 年 12 月 12 日
2
依頼者名:鳥取県支部
3
調査依頼事項:EV カーシェアリング(オートリブ)の調査について
4
調査対象国又は対象地域等:フランス
5
調査の趣旨(調査結果の利用目的・時期を含め具体的に):
鳥取県が内閣官房より 2012 年 7 月に指定をうけた地域活性化総合特区の国・地方に
よる協議・調整(2013 年 1 月に協議・調整終了予定)に先立ち、海外の先進事例を収集
し、協議・調整及び今後の実施計画策定に活用する。
6
調査内容
調査結果を参照
オートリブに関する質疑について
Q
A
事前の登録・手続きはインターネットで可能か。
可能である。手順は以下のとおり。
① ホームページ上で、契約区分を選ぶ。
② 自分のアカウントを設定する。
③ 運転免許証や写真、身分証明書をスキャンし送付する。
④ クレジットカードもしくは銀行口座からの自動引き落としにより支払いを
する。
⑤ 郵送で利用カードが送付される。急ぐ場合はステーションに設置された
貸出端末機で仮の利用カードを発行できる。
スマートフォンの対応はどの程度進んでいるか。
アップル及びアンドロイドのアプリケーションでの利用が可能である。
オートリブの情報へのアクセス、サービスへの登録ができ、また車やステー
ション内の駐車スペースの空き状況を随時把握できるとともに、車の予約と
駐車スペースの予約が可能である。
Q
退会時の返金はどの程度対応しているか。
A
契約の解約手続きは事業者と利用者が合意するサービス利用条件の中で
定められている。
□個人契約
・個人契約の内訳
プレミアム1年契約(契約期間 365日間)
マンスリー16時間契約(同上 365日、複数の利用者を想定)
マンスリー契約(同上 31日)
ウィークリー契約(同上 168時間)
ワンデイ契約(同上 24時間)
(上記の契約はいずれも契約期間の終期がくれば、自動更新されることは
ない。)
プレミアム1年契約及びマンスリー16時間契約については、イル=ド=フラン
ス州外に住居を移すことを証明することができるという前提のもとに受け取
り証明付書留郵便を契約の終期までに送付することによって、契約を解約
することができる。
解約は、事業者が、解約を知らせる書簡及び転居を証明する書面を受領し
た日の属する月末に有効となる。解約が有効となるこの日まで、利用者は
事業者に対し月額払いの利用料など、すべての債務額を支払う義務があ
る。
また一方、上記2つの年間契約の利用者は契約期間中の基本料を月割り
で支払うことになっている。(プレミアム1年契約の場合 月額12ユーロ×12
月)
このように利用者からの支払いが前金払いで行われることはないので、契
約終了時にあたって、原則的に事業者から返金が行われることはない。
□法人契約
・法人契約には、一月あたりの利用時間及び登録社員を基準に、
法人一括契約25(25時間、10名の登録)から、法人一括契約2000(2000時
間、200名)まで7種類の契約区分がある。
利
用
に
関
す
る
質
疑
法人契約の契約期間はいずれも1年間。利用者が契約を更新しない場合
は、契約終期の1ヶ月前までに更新しない旨を受け取り証明付書留郵便で
通告しなければならない。そうでない場合は自動的に契約は延長される。
契約終了時点で未済の貸し方金がある場合は、事業者は30日以内に返金
する。
Q
疑 キャンセルの場合、キャンセル料はかかるのか。
使用後の充電は利用者が行うのか。また、充電状況の確認はどのように
行っているのか。
A
車のレンタル予約は30分間有効である。それをすぎて結局利用するに至ら
なかった場合は、5ユーロが課金される。
利用後の充電は利用者が行う。
利用後の車の返却手続きは以下のとおりとなっている。
① 利用者は、車を利用した後ステーション内の駐車スペースに駐車する。
② スペースに備え付けの充電設備のふたを空け、そこから充電ケーブル
を引き出し車の充電口に差し込む。
③ 充電設備のふたが自動的に閉まり、充電が開始される。
④ 利用者は利用カードを車にかざし施錠を行う。これで利用が終了する。
このように、充電設備に車を接続することは、利用者が行う一連の返却手
続きのうちの一部をなしている。(充電が確実に開始されない場合、利用が
継続しているとみなされ課金される。)
また、事業者は充電設備を通じ充電状況を遠隔監視することができる。
保険の加入内容に利用者によって、段階はあるのか。
(例えば免責金額によっての課金額の上下するなど)
オートリブの利用者は、強制保険である対人対物賠償保険、運転者自身
の死亡傷害保険、車両の破損・盗難・火災・破壊行為への保険の3種の保
険に加入することになる。これらの保険料はいずれもオートリブが一律に設
定する基本料に含まれている。つまり利用者全員が同一の保障の対象と
なっている。
また保険が適用される場合の免責金額は契約区分により異なっている。
最長の利用可能時間は。また、利用範囲(区域)は定められているのか。
□利用可能時間
オートリブのサービスは、最長で2、3時間の短時間の利用を想定している
が、特に利用制限時間というものは設定されてはない。なお、走行可能な
距離は100%充電した状態から250kmとされている。
□利用範囲
利用者は、事業実施区域(イル=ド=フランス州の行政区域に等しい)を超え
て通行してはならない。車両が区域から出た場合は、オペレーションサービ
スセンターから警告が与えられる。もし、利用者がそれに従わず区域外を
通行する場合は、次の罰則規定が適用される。
・利用料が割増課金される。(30分ごとの利用料に2ユーロが加算)
・上記に加え、事故、タイヤパンク、故障トラブル(電池切れ含む)の場合に
は、車両を移動する費用として300ユーロ が請求される。
クレジットカードを持っていない人はどうなるか。
利用者が保有する銀行口座の情報を提出することで課金が自動引き落と
しされるしくみを選ぶことができる。
Q
A
利用時間をオーバーしたときの延滞料は、クレジットカードによる自動課金 課金は基本料及び利用料の二本立てとなっている。
となっているのか。
契約区分に定められた時間を超えて車を利用した場合の料金料相当分
は、他の課金同様クレジットカードもしくは銀行口座にて引き落とされる。
Q
車両の整備状況の確認手法は、どのように行っているのか。例えば、オイ
ルインジゲータを、ICTを活用し、Centre d’accueilやEspace Autolib’で把
握することは可能か。
車両の整備はどの程度の頻度で行っているのか。また、自社の整備士が いるのかどうか。
A
特定のEspace Autolib’、Station autolib’に車両に偏った場合の対処方法 利用者がステーションに足を運び車を予約する場合、当該ステーションに
はどのようにしているか。
利用可能な車がない場合は、自動的にシステムが近隣8箇所のステーショ
ン内の利用可能な車を提示する。その中から選ぶことになる。
インターネットやスマートフォンでの利用予約の場合も希望ステーションを
選択し、そこに利用可能な車がいなければ同様にシステムが機能する。
また、駐車スペースの事前予約についても、原則車の予約と同様である。
もしブルーカーを走行中に車を停めようとしたところ目当ての駐車スペース
がいっぱいであった場合は、車内のタッチパネルを操作することにより最も
近いところにある空き駐車スペースが表示される。
上記の方法でも見つからない場合はオペレーションサービスセンターと車
内のボタンを押すことによって通話し、空きスペースを探してもらう。セン
ターでも見つけることができない場合は、センターの指示のもと近隣8ス
テーションのうちのいずれかでアンバサダーと呼ばれるスタッフに車を引き
渡すことになる。
車両の傷の確認をしているか。(軽度の場合、後日確認では、加害者の把
握がしにくいが)
盗難対策、破損対策はどのように行っているか。
破損対策について、車両の損傷、事故などが起きた場合は、オートリブの
利用料金請求は損害の内容が特定されるまで、一時的にストップする。一
般的に事故などのトラブルに関しては、オペレーションサービスセンターの
指揮のもと現場スタッフが対応する。
事故の場合は、利用者は車内に備えつけの交通事故発生届出書に必要
事項を記入し保険会社に送付しなければならない。その後保険会社の要
請に基づき必要な情報提供をする義務がある。
また、利用者が車両損傷を報告しないなど所定の義務の違反が認められ
た場合は罰則の対象となる。
Q
A
車両の清掃(車内、車外それぞれ)は、どの程度の頻度で行っているのか。
Centre d’accueilのオペレーターの人数は、何名か。(△△時~○名、×× オートリブはセルフサービスをうたっているものの、そのサービスは登録、
時~○名)
車や駐車スペースの予約、実際の車の利用の、どの段階においてもスタッ
フが円滑な登録・利用をサポートしているのが特徴である。
オートリブの運用に中心的な役割を果たすのは24時間体制で機能するオ
ペレーションサービスセンターである。
オペレーションサービスセンターは主にオペレーター(コンセイエ)とアンバサ
ダーで構成される。コンセイエはEspace Autolib’内登録端末のTV電話や
無料電話、車内の通話ボタンによって、そしてアンバサダーは現場対応ス
タッフとして、ブルーカーを通常支障なく利用できるよう情報提供、支援する
とともに、車の事故・故障が起きた場合にも対応する。
また車両が区域から出た場合は、コンセイエが運転者に警告を与える。
この、いわゆるオペレーションを担当するスタッフは全体で900名が雇用さ
れている(シフトの詳細は未確認)。
運
用
に
関
す
る
質
疑
カードキーシステムの運用費用の概算額はいくらか。
年間の事業運営費用は5000万ユーロである。そのうちのカードキーシステ
ムの運用費用額は不明。
現在の稼働率はどの程度か。
ブルーカーの利用数は2012年9月20日時点で50万を超えている。
おおむね1日あたり4000から5000台の利用があり、週末の方が平日よりも
利用が多い。1回あたりのブルーカーの走行距離は平均で約12km、利用時
間は1時間弱である。
(なお利用者は1回の利用につき平均して約10ユーロ支払っていることにな
る。)
現在までの業績、赤字補てんはいくらか。
AUTOLIB’社は2011年から2023年までの12年間にわたるオートリブ事業の
事業特許契約を結んでいる。
親会社にあたるボロレ社は、当初事業開始から7年後にあたる2018年に収
支バランスをとることができるだろうと予測していた模様である。けれども
2012年9月に開催されたパリ世界モーターショーで、ボロレ社代表ヴァンサ
ン・ボロレ氏は、順調な事業経営の結果、その予定は4年早まり、2014年に
実現する可能性があるという見解を打ち出した。しかしそれはあくまでも、
2012年9月時点での、利用が毎週5パーセント増加するという状況が2014年
の3月か4月ごろまで同じペースで継続した場合を前提にしていることを付
言している。
Q
2012年9月現在の会員数、車両台数、雇用数はいくらか。
A
・会員数
2012年9月27日現在の契約者数は37,000人であり、うち13,000人が年間契
約を結んでいる。
利用者の傾向としては若い人で仕事を持つ人である。そしてパリに住む人
に利用者が多く、年齢層としては大半が25歳から49歳までに相当し、男性
が全体の69%を占める。
・車両台数
2012年9月27日現在の車両台数は1800台である。
オートリブはイル=ド=フランス州内を事業区域とするマルチポートタイプの
カーシェアリングである。そのため車両は参加する各コミューンが別々に配
備するのではなく、事業者が一括して配備している。
※参考までに、ステーション数の全区域とパリの対比をみれば、オートリブ
導入時点のステーションの計画設置数は全体で1100、うちパリ市は700と
なっており、全体に占めるパリ市のステーション数の割合は約64%を占めて
いる。
・雇用数
2012年9月27日記者発表資料によれば、900人を雇用している。
2012年9月現在のEspace Autolib’、Station autolib’それぞれの設置数はど 2012年9月27日現在のオートリブのステーション(Station autolib’)は670、駐
うなっているか。
車スペースは3900箇所少なくとも設置されている。
上記のうちの32のステーションに、登録端末のあるEspace Autolib’がそれ
ぞれ1箇所設置してある。(オートリブHP)
Q
A
Espace Autolib’、Station autolib’の設置にあたり、行政からの必置規制は
あるか。(日本の場合、Espace Autolib’がStation autolib’の管理・運営を
行い、Espace Autolib’に車両を保管しないといけないと定められている)
Q
環境負荷の軽減効果は測定されているか。
A
事業開始以来オートリブは合計で500万km走行しており、63万kgの二酸化
炭素の削減に寄与したとされる。
他業種や既存サービスへの影響は指摘されているか。
レンタカー業界では、オートリブのサービスが短い走行のみを想定している
ことから既存サービスを補完するものにすぎない、としている。またフランス
では国民の6パーセントしかレンタカーを利用していないことを挙げ、オート
リブの利用がレンタカーを身近なものにし、人々を車を保有しない方向に向
けるとすれば良いことだと考えている。
一方タクシー業界ではステーションがこのまま増えていくと自分たちの駐車
場所がなくなると危惧している。また客が減ることも心配している。
パリの52%の世帯が車を持っておらず、車を借りる場合は郊外への4、5時
間の移動に使う傾向があること、またオートリブが公共交通機関やタクシー
と比べても割高だとし、一部の裕福な層向けの実用性に乏しいおもちゃに
過ぎないというレンタカー業界の声もある。
さらに事業運営に多大な経費がかかっていること、オートリブ社はパリ市を
はじめとする自治体から(ステーション整備に対する)補助金を得ているのに
加え、オートリブの供用にあてる道路の占有料を減免されているとし、大企
業グループであるボロレへの有利な取り計らいであるとレンタカー業界の
代表は非難している。(2011年12月7日フィガロ紙)
事業の名称オートリブの使用について、AutoLibertéというサービスを展開
していたレンタカーのEuropcar社がパリ市を相手取り事業コンセプトを剽窃
され侵害されたとして係争となった。パリ市は敗訴し、事業名称を変えるよ
う命令を受けたが、その後両者は示談を行っていると伝えられている。
(2012年7月4日パリジャン紙ほか)
Q
他業種や既存サービスとの連携はあるか。
事
業
効
果
に
関
す
る
質
疑
A
既存の公共交通との連携については、パリ市によれば、オートリブは、市
の総合的な交通政策体系であるバス、RER[イル=ド=フランス急行鉄道
網]、地下鉄、徒歩移動、カーシェアリング、Vélib’のうちのひとつにあたる。
また同様にパリ市によれば、オートリブのステーション配置は地理的に偏る
ことなくバランスよく行われるべきという方針がとられている。
パリ市内はもともと地下鉄やバス等公共交通機関が網の目状にはりめぐら
されているが、さらにオートリブのステーションの配置図をみれば、公共交
通機関、役所など公共機関との接続を考慮して設置されているように思わ
れる。
パリ以外については、例えばPlaine centrale du Val de Marne都市共同体
のHPの情報でも、オートリブ実施コミューン内で駅、商業施設、役所の場所
を考慮し、それらの近くに設置されていることがわかる。
なお、基本的にはオートリブの車道沿いステーションには4台、地下などの
既存駐車場に設けられるステーションには10台程度それぞれ駐車スペー
スを確保することになっている。つまり、人の往来に比例してステーションの
駐車スペース数を増やすという政策はとられていない。
車両を所有しないという価値観は、パリ市民に、どの程度受け入れられて
いるか。
「車両を所有しないという価値観」に関する声ではないが、利用者の声とし
て以下のようなものが寄せられている。
・夜と週末に利用するというパリ在住27歳の男性
「車を持つのにはメリットデメリットあるが、オートリブでは、車のもつ、便利
な面だけが利用できる。いろいろな短期のレンタカーサービスと比べてみた
が、すぐに車が見つかることが選択の決め手となった。半径500m以内に
3、4箇所のステーションがあって便利」
・32歳の同じくパリに住み、車を持たない男性
「パリの反対側まで出かけるときや雨降りのときに利用。タクシーよりも安
いしタクシーよりも見つけやすい。スマートフォンで車や駐車スペースの予
約ができるのはいい」
・42歳のパリの男性
「出版の仕事をしていて本を運ぶのに使う。3.5ユーロで簡単に大量の本が
運べる」
Clamart (Hauts-de-Seine県)に住むある利用者は、オートリブの利用にか
かる経費は月150ユーロで、以前車を持っていたときと変わらないと語り、
料金を高く感じ不満に思っている。このほかにも料金に関する不満の声が
挙げられている。また駐車スペースが一時的に使えない状態であったり、
空いていなかったりして苦労するという声も聞かれている。(2012年10月18
日ル・モンド紙)
そ
の
他
Q
A
Q
A
現時点での課題は何があるか。
事業実施にあたり、行政が規制緩和した点はあるか。
Fly UP