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O-05:富士山頂における大気中水銀の連続観測と同期する大気汚染物質

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O-05:富士山頂における大気中水銀の連続観測と同期する大気汚染物質
O-05:富士山頂における大気中水銀の連続観測と同期する大気汚染物質の
観測及び湿性降下物中の水銀濃度の把握
永淵修 1、横田久里子 1、加藤俊吾 3、中澤暦 1、西田友規 4、菱田尚子 4、
1. 滋賀県立大学、2. 豊橋技術科学大学、3.首都大学東京、4.滋賀県立大学大学院
1.はじめに
国連環境計画(UNEP)は 2005 年に水銀に関する Decision 23/9I を採択し、各国政府機関なら
びに NGO 等関連組織に対して環境への放出量健康リスクの削減を求めた。その要求を受け、2006
年には日本を含む 6 ヶ国が参加して水銀の大気輸送に関する研究分野の Global Partnership が発足し
た。これは、水銀の越境移動や極地における水銀の沈着、高地における大気中水銀濃度などに関す
る研究を促すもので、大気中水銀の拡散状況の把握が国際的にも重要な課題であるという認識に立
ったものである。しかし、我が国で高所での大気中水銀の動態に関する研究はなされてない。そこ
で自由対流圏にある富士山測候所での水銀観測を始めることにした。
2.方法
富士山頂での大気中水銀の調査は、2007 年より現在まで夏季のみであるが継続している。採取方法
は、新たに開発したアクティブサンプラー、パッシブサンプラーおよび水銀計による連続観測である。ア
クティブサンプラー法は 2007 年~2012 年、パッシブサンプラーは 2008 年~2011 年、水銀計による連続
観測は 2010 年~2013 年まで行った。アクティブサンプラー、パッシブサンプラーは測候所から 5m 以上
離して、1.5m 程度の高さにセットした。水銀計は測候所内にセットし、インレットから大気を吸入した。アジ
ア大陸からの汚染大気の越境輸送を解析するためにオゾンおよび CO 濃度の連続データも用いた。
3.結果と考察
図 1 に 2008 年と 2010 年の観測期間中の Hg(0)、CO およびオゾン濃度の変動を示す。図中の数
値は pollution events を表している。Pollution events は以下のようにして決定した。CO とオゾンの
観測期間中平均濃度より 15%以上の濃度が少なくとも 12 時間以上継続した時を pollution events と
した。その結果、8events が抽出された。
(3)
(4)
6
(6)
(5)
4
80
2
0
7/16
7/21
7/26
7/31
8/10
8/15
8/20
8/25
2008 (month/day)
240
CO& O3 (ppbv)
8/5
0
8/30
6
(8)
(7)
160
4
80
2
0
7/11
7/16
7/21
7/26
7/31
8/5
8/10
8/15
8/20
8/25
2010 (month/day)
Fig 1 :Change for Hg (0), CO and O3 observation on the top of Mt. Fuji, 2008 and 2010
表1に 8 pollution events の要約を示す。
20
Hg (0) (ng m-3)
(1)
160
(2)
0
8/30
Hg (0) (ng m-3)
CO & O3 (ppbv)
240
ここで、(Δ)=Averagepol eve – Average year ,
Average pol eve:pollution event 中の平均濃度、Average year:観測期間中の平均濃度、year は各観測年を示
す。
これら events の時の富士山頂へ到達する気塊は、event #8 除き、東アジア大陸からであった。Hg(0)濃
度は、pollution events の時、常に高濃度にはならなかった。event #5 のΔHg(0)は 1.5ng/m3 であり、各平
均値に有意な差が観測された。ΔHg/ΔCO の値は、他の研究より1オーダー大きく、非常に汚染した大
気を観測したと考えられる。さらなる議論を行うためには Hg(0)の連続データが必要である。
Fig.2 Back trajectory analysis of pollution events
4. おわりに
2008 年と 2010 年の観測から8 pollution events を見出し、この時の気塊は、ほとんどがアジア大陸から
来たものであった。特に、event #5は非常に汚染された気塊であった。当日は 2013年のHg(0)の連続デ
ータを用いた解析結果も示す。
参考文献
Jaffe, D., et. Al., 2005
Peter, W-P., et. Al., 2007
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