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長野県ICT利活用戦略(PDF:3287KB)

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長野県ICT利活用戦略(PDF:3287KB)
資料 5-2
長野県ICT利活用戦略
平成 27 年3月
長
野
県
目次
Ⅰ はじめに
1 策定趣旨
2 基本方針
3 推進期間
1
1
2
3
Ⅱ 現状認識
1 超高速ブロードバンド整備状況
2 インターネット利用環境の変化
3 Wi-Fi整備状況
4 クラウドサービス利用状況
5 情報サービス産業の現状
6 国の情報化施策の動向
4
4
5
7
8
9
10
Ⅲ 取組の柱
1 ICT×産業振興
2 ICT×人材育成
3 ICT×観光
4 ICT×安全・安心
5 ICT×行政サービス
11
11
14
16
18
21
Ⅳ 戦略の推進
23
<参考>
体系図
平成 27 年度の取組
用語集
24
25
26
Ⅰ はじめに
1 策定趣旨
近年、国内の情報通信インフラは、光回線やケーブルテレビ回線等の有線網に加え、3G
やLTE、無線LAN等の無線網の整備も進み、スマートフォンの急速な普及と相まって、
全国どこでもブロードバンドサービスを利用できる環境が整ってきています。人々は、イン
ターネットを通じて必要な情報をいつでもどこでも入手できるばかりでなく、SNSをはじ
めとする多様なICTサービスにより、情報の発信・共有やコミュニケーションを行えるよ
うになってきています。
ICTは社会に深く浸透し、人々の生活や経済活動を支える社会的基盤として、企業のビ
ジネスモデルや個人のライフスタイルなどに大きな変化をもたらしており、ICT利活用の
重要性はますます高まっていくものと考えられます。
こうしたなか、ICTを利活用して様々な社会的課題の解決を図る取組が全国的に進めら
れています。県内でも、子どもや高齢者の見守り、防犯・防災、公共交通、健康づくりなど
地域が抱える課題に対して、地域の特性や事情を踏まえつつ、ICTを利活用した独自のア
プローチが始まっています。
現在、長野県が取り組んでいる「長野県総合5か年計画(しあわせ信州創造プラン)」(以
下、「しあわせ信州創造プラン」という。)による施策を推進するにあたっては、これら先進
的、先駆的なICT利活用の取組の手法や成果を県全体で共有し、長野県のもつ強みや特徴
を最大限活かしていくことが求められます。
そこで、長野県におけるICT利活用の取組の方向性を明確にすることで「しあわせ信州
創造プラン」に掲げた数値目標の達成につなげるため、
「長野県ICT利活用戦略」を策定す
ることとしました。
1
Ⅰ はじめに
2 基本方針
日本全体が人口の減少局面に入り、国際競争力の低下が危惧されているなかで、人口減少
の抑制と人口減少を踏まえた地域活性化が重要課題となっており、地域の主体性や創造性が
求められています。
長野県の抱える課題は、少子高齢化、防災・減災対策、地域コミュニティの維持など多岐
にわたっています。これらの課題に対し、美しく豊かな自然環境、全国トップレベルの健康
長寿、教育を大切にする風土と県民性、伝統文化を受け継ぐ地域、企業家精神を育む土壌と
いった長野県のもつ強みや特徴を最大限活かしながら、ICT利活用の効果がより大きく見
込まれる取組に重点を置き、次の5分野を柱として、できることから積極的に施策を展開す
ることとします。
また、こうした取組を進めることでICT利活用のニーズのさらなる拡大につなげ、情報
通信インフラの充実と未整備箇所の解消を後押しします。
(1)ICT×産業振興
ICT関連需要の拡大に伴い情報サービス産業の成長が続いており、県内における既
存の情報サービス産業の振興に加え、ICT企業・人材の誘致や創業支援、新たなビジ
ネスモデルの創出、ICTエンジニアの育成などを図る必要があります。
これらの課題に対処するため、ICTを利活用した取組を推進します。
(2)ICT×人材育成
ICT産業はもとよりあらゆる産業分野において、これまでにはない新たなアイデア
を形にすることができる高いICT能力を有する人材が必要とされています。
また、学校では、児童生徒の学力向上に向けた効果的な教育や情報活用能力の向上が
求められています。
これらの課題に対処するため、ICTを利活用した取組を推進します。
(3)ICT×観光
長野県は、雄大な山岳高原景観、多様な温泉地、高い雪質のスキー場など豊かな観光
資源を活かして、国内外から選ばれる観光立県を目指しています。
そのためには、特に、近年増加している外国人旅行者が快適に県内を観光できる環境
の整備と地域情報の発信を積極的に行い、誘客を促進するとともに、山岳高原観光の魅
力をさらに高め、信州ブランド力の向上を図ることで、県内への誘客を促進する必要が
あります。
これらの課題に対処するため、ICTを利活用した取組を推進します。
2
Ⅰ はじめに
(4)ICT×安全・安心
県内では、東日本大震災の直後に発生した長野県北部地震をはじめ、御嶽山噴火災害、
長野県神城断層地震などの自然災害が続きました。これらに適切に対応するとともに、
地域の防災、減災対策に万全を期し、住民の安全と安心を確保する必要があります。
また、住み慣れた地域において健康長寿で暮らすことができるよう、県民の健康づく
りの推進と医療・介護提供体制の整備が求められています。
これらの課題に対処するため、ICTを利活用した取組を推進します。
(5)ICT×行政サービス
財源や人員など限られた経営資源のなかで、安定した行政運営を継続し、住民の利便
性のさらなる向上を図るため、行政事務の一層の改善・効率化が求められています。
これらの課題に対処するため、ICTを利活用した取組を推進します。
3 推進期間
本戦略の推進期間は、
「しあわせ信州創造プラン」と終期を合わせ、平成 27 年度から平成
29 年度までの3年間とします。
3
Ⅱ 現状認識
1 超高速ブロードバンド整備状況
通信回線の高速化、大容量化が進み、光回線やケーブルテレビ回線等の超高速ブロードバ
ンドによるインターネットへの接続が主流になってきています。
超高速ブロードバンドの整備は年々進んでおり、総務省の推計によると、平成 26 年 3 月末
時点において、全国で超高速ブロードバンドが利用可能な世帯の割合は 99.9%に達し、国際
的に高い整備水準となっています。
長野県では、
「しあわせ信州創造プラン」において「超高速ブロードバンドサービスが利用
可能な世帯割合 100%」を達成目標に掲げています。総務省の推計では、平成 26 年 3 月末で
100%となり目標を達成しましたが、個別にみると依然として未整備の箇所もみられるため、
こうした未整備箇所の解消が引き続き課題として残っています。
【超高速ブロードバンド整備状況の推移】
(%)
100
99.4
99
100.0
99.9
99.1
98
97.4
97
97.3
96
95
94
94.5
93.9
93
92
91
92.7
91.6
90
平成22年3月末
長野県
23年3月末
全国
総務省「ブロードバンド基盤の整備状況」により作成
4
24年3月末
25年3月末
26年3月末
Ⅱ 現状認識
2 インターネット利用環境の変化
FTTHといった有線網によるサービスは着実に伸びていますが、LTEといった無線網
による高速データ通信サービスが急速な伸びを見せており、インターネットの利用環境に大
きな変化が生じています。
(1) FTTH利用状況
基地局から光ファイバケーブルを各家庭や企業等まで引き込み、超高速ブロードバンドの
使用を可能とするFTTHの平成 26 年3月末における全国の契約数は、前年に比べ約 147 万
件増の約 2,532 万件、長野県の契約数は、前年に比べ約4万件増の約 38 万件とそれぞれ増加
を続けています。
世帯に対する契約数を見ると、全国との差は縮小傾向にあり、全国並の整備状況となって
いることがうかがえます。
FTTHは、利用の増加が見込まれるIP電話での活用や動画などの大容量データのやり
とりを高速かつ安定的に通信可能とするため、今後も企業、一般ユーザを問わず、さらなる
普及が予想されます。
(2) スマートフォン等利用状況
従来の電話機能に加えインターネットの高速通信が可能であるスマートフォン等3.9世
代携帯電話の契約数は、Wi-Fi環境の整備によりインターネットの利用環境が整ってき
ていることから、近年大幅に増加しています。
平成 26 年3月末における全国の契約数は前年に比べ約 2,604 万件増の約 4,641 万件であり、
長野県においても契約数は、前年に比べ約 34 万件増の約 62 万件と2倍以上の伸びを見せ、
やはり急速に普及しています。
また、ブロードバンド契約数全体に占める3.9世代携帯電話の割合は全国で 51.7%、長
野県でも 50.8%といずれも過半数を超えており、FTTHなどの有線網によるサービスから
無線網によるサービスへの移行が進んできていることがうかがえます。
5
Ⅱ 現状認識
10,000
万件
【ブロードバンドサービス契約数の推移(全国)】
9,000
LTE
8,000
7,000
4,641
6,000
51.7%
BWA
FWA
2,037
5,000
4,000
230
591
670
531
601
542
CATV
746
602
447
3,000
15
531
2,000
974
81
567
820
1,000
1,780
2,022
2,230
2,385
2,532
H22.3末
H23.3末
H24.3末
H25.3末
H26.3末
1
1
1
1
1
DSL
FTTH
0
140
万件
【ブロードバンドサービス契約数の推移(長野県)】
120
LTE
100
62
BWA
FWA
80
28
60
40
50.8%
5
9
8
9
9
2
10
15
13
12
4
9
9
23
27
31
34
38
H22.3末
H23.3末
H24.3末
H25.3末
H26.3末
20
CATV
DSL
FTTH
0
総務省「電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データの公表(平成 25 年度第4四半期(3月末))」により作成
※ LTE については H25.3 末より掲載。
※ 長野県における BWA の契約数は H22.3 末及び H23.3 末、FWA の契約件数は各年度末ともに0件。
6
Ⅱ 現状認識
3 Wi-Fi整備状況
Wi-Fiはスマートフォン等の普及に伴い、どこでも手軽にインターネットへアクセス
できるツールとして価値が高まっています。通信事業者のほか小売店、飲食店、宿泊施設等
における整備も進んでおり、集客や情報発信の観点からも注目されています。
また、外国人旅行者からは無料Wi-Fi環境のさらなる充実に対する要望が高いほか、
災害時の対応に活用が見込まれるなど、その必要性はますます高まっています。
長野県におけるWi-Fi設置状況をみると、人口千人当たり 4.6 箇所で、全国平均の 5.8
箇所と比べて低い状況となっています。
国では、2020 年の東京オリンピック・パラリンピック開催を見据え、
「SAQ2 Japan Project」
において、訪日外国人のICT利用環境整備に向けたアクションプランを推進しており、観
光立県を目指す長野県としても、増加する外国人旅行者のニーズにも対応した質の高い観光
地づくりに向けて、Wi-Fi環境の整備を進めていく必要があります。
【人口千人当たりのWi-Fi設置数】
Wi-Fi設置数(H27.1)
人口千人当たりのWi-Fi設置数
(単位:箇所)
長野県
全国
9,939
754,118
4.6
5.8
長野県独自調査及び平成 22 年国勢調査報告により作成
※Wi-Fi設置数:長野県独自調査(携帯電話事業者等(6事業者)のホームページより集計)
※人口千人当たりのWi-Fi設置数:Wi-Fi設置数を平成 22 年国勢調査報告の人口で除して算出
7
Ⅱ 現状認識
4 クラウドサービス利用状況
クラウドサービスは、システム保守管理費の削減や業務効率化を図ることができるため、
これまでも注目されていましたが、セキュリティ面の不安、費用がかかるといった理由であ
まり普及していませんでした。
しかし、平成 23 年3月 11 日に発生した東日本大震災以降、改めて情報資産管理の重要性
が高まるとともに、ライフスタイルの多様化等による業務形態の変化が進み、クラウドサー
ビスを利用する企業や自治体が増加してきました。
平成 22 年末時点において、クラウドサービスを利用又は一部利用している企業は 14.1%
でしたが、平成 25 年末には倍増しており、今後もさらなる増加が予想されます。
【クラウドサービスの利用状況】
14.1%
平成22年末
4.2
10.0
21.9
38.0
25.9
(n=2,067)
21.6%
9.2
平成23年末
(n=1,892)
12.4
22.1
36.3
20.0
28.2%
13.6
平成24年末
(n=2,071)
14.7
20.3
34.6
16.9
33.1%
15.0
平成25年末
(n=2,183)
0%
18.0
20%
17.5
40%
60%
15.0
80%
100%
全社的に利用している
一部の事業所又は部門で利用している
利用していないが、今後利用する予定がある
利用していないし、今後も利用する予定もない
クラウドサービスについてよくわからない
出典:総務省「平成 25 年通信利用動向調査の結果(概要)」
8
34.4
Ⅱ 現状認識
5 情報サービス産業の現状
情報サービス産業は、インターネット等の普及によりICTの利活用分野が広がっている
ことから成長基調にあり、企業数、売上高ともに毎年増加しています。
また、情報サービス産業は、新たなサービスの創出や企業間競争の向上に大きく寄与して
おり、長野県では、卸売業、小売業、医療業など多くの業種で、今後連携したいサービス分
野としています。
【全国の情報サービス産業の企業数と売上高の推移(主要格付けベース)
】
(社)
5,500
(兆円)
25
企業数
売上高
5,000
18.3
18.7
20
17.8
4,623
4,639
4,651
15
15.5
4,500
12.6
4,000
10
4,067
3,500
5
3,603
3,000
0
平成21年
平成22年
平成23年
平成24年
平成25年
総務省・経済産業省「情報通信業基本調査」により作成
【長野県の異業種連携に対する意向(今後連携したいサービス分野)】
連
携
し
分た
野い
サ
ー
ビ
ス
卸売業
小売業
宿泊業
飲食業
医療業
福祉業
運輸業
情報通信業
生活関連サービ
ス業・娯楽業
教育・学
習支援業
卸売
55.9%
情報
51.7%
宿泊
63.2%
飲食
57.1%
医療
88.9%
医療
73.8%
運輸・運送
52.5%
情報
66.7%
飲食
45.8%
情報
50.0%
情報
44.1%
小売
29.3%
飲食
57.9%
情報
46.4%
情報
22.2%
社会福祉
63.9%
小売
35.0%
医療
44.4%
社会福祉
37.5%
教育・学習
50.0%
小売
37.3%
社会福祉
22.4%
情報
36.8%
卸売
39.3%
社会福祉
22.2%
生活関連
23.0%
宿泊
30.0%
社会福祉
44.4%
情報
29.2%
社会福祉
43.8%
特定非営利活動法人SCOP「平成 25・26 年度 サービス産業支援施策立案のための基礎調査報告書」により作成
※各業種の回答のうち、連携したい意向の高い上位3つを抽出
※回答は重複を含む
9
Ⅱ 現状認識
6 国の情報化施策の動向
平成 13 年、「高度情報通信ネットワーク社会形成基本法(IT基本法)」が施行され、
「IT戦略本部」の下で、
「e-Japan戦略」に基づいて、世界最先端のIT国家を目指
した本格的な取組が開始されました。
その結果、世界最高水準のインフラ整備は実現されましたが、一方で、多くの国民が未だ
十分にその成果を実感できていないともいわれています。
そこで現在、国では「世界最先端IT国家創造宣言」
(平成 25 年6月決定、平成 26 年6月
改訂)に基づき、平成 32 年(2020 年)までに世界最高水準のIT 利活用社会を実現するこ
とを目標に、
①革新的な新産業・新サービスの創出と全産業の成長を促進する社会の実現
②健康で安心して快適に生活できる、世界一安全で災害に強い社会の実現
③公共サービスがワンストップで誰でもどこでもいつでも受けられる社会の実現
を目指した取組が進められています。
世界最先端IT国家創造宣言
平成 25 年6月 14 日
決定
平成 26 年6月 24 日
改定
Ⅰ.基本理念
1.閉塞を打破し、再生する日本へ
2.世界最高水準のIT利活用社会の実現に向けて
○
○
○
景気長期低迷・経済成長率の鈍化
少子高齢化、社会保障給付費増大、大規模災害対策
省庁の縦割りを打破し、政府全体でIT施策の前進、 政府課題への取組
○
組織の壁・制度・ルールの打破、成功モデルの実証・提示・国際展開
○
工程表に基づき PDCA サイクルを確実に推進
→ITを成長エンジンとして活用し、日本の閉塞の打破、
→2020 年東京オリンピック・パラリンピックに向け、5年程度
持続的な成長と発展
で実現
Ⅱ.目指すべき社会・姿
世界最高水準のIT利活用社会の実現と成果の国際展開を目標とし、以下の3項目を柱として取り組む。
1.革新的な新産業・新サービスの創出と全産業の成長
を促進する 社会の実現
2.健康で安心して快適に生活できる、世界一安全で災害
に強い社会
○
○
健康長寿社会の実現
○
世界一安全で災害に強い社会の実現
○
効率的・安定的なエネルギーマネジメントの実現
○
世界で最も安全で環境にやさしく経済的な道路交通社会の実現
○
雇用形態の多様化とワークライフバランスの実現
○
農業・周辺産業の高度化・知識産業化
○
起業家精神の創発とオープンイノベーションの推進
○
地域活性化
○
映像産業分野の新事業の創出
○
10
オープンデータ、ビッグデータの利活用推進
最先端の IT 利活用による「おもてなし」の発信
3.公共サービスがワンストップで誰でもどこでもいつでも
受けられる 社会の実現
○
利便性の高い電子行政サービスの提供
○
国・地方を通じた行政情報システムの改革
○
政府におけるITガバナンスの強化
Ⅲ 取組の柱
1 ICT×産業振興
(1) ICT企業の戦略的誘致
従来の企業誘致は、製造業を中心とする生産工場を対象として、県・市町村が産業団地を
造成し、県外企業(特に都市圏)を中心に誘致活動を展開してきました。こうした手法は、
低成長経済への移行や円高による企業の海外進出等により、近年厳しい状況が続いています。
一方で、情報サービス産業は製造業をはじめ他産業と関連が強く、売上高、事業所数、従
業者数とも成長基調を持続させており、今後もプラス成長が期待されています。これまでは、
情報インフラの利便性、国内外の関連機関との情報交換、資質の高い人材の集積などの必要
性から、都市部、特に首都圏に産業集積度が高く、非常に偏った立地がなされてきましたが、
地方の情報インフラ環境が改善し、また、多様なライフスタイルが広がるなか、最近では、
自然環境に恵まれた地方でクリエイティブな活動と息抜きのできる空間としてのサテライト
オフィスの設置や、事業継続性の観点から会社機能の一部を地方移転する動きも出ています。
地方では少子高齢化による人口減少が進み、空き家や学校等の統廃合による遊休施設が増
加しつつあります。こうした中山間地等の古民家、運動場を併設する学校等の施設を活用し
て、移転を希望するICT企業に魅力的なオフィス環境として提供するなど、新たな企業や
人材の誘致策を展開することが可能と考えられます。
こうした状況を踏まえ、サテライトオフィスの環境を整備し、ICT企業と地域の企業や
人々との様々な連携や結びつきの形成、地域全体の活性化にもつながる取組を支援します。
【サテライトオフィスのイメージ】
地 方
都市部
本社
クリエイティブな活
動・多様なライフスタ
イルの実現
遊休施設
機能の一部
を移転
社員の移住
地元の人材
の雇用
地域の活性化
11
Ⅲ 取組の柱
(2) ビジネスモデルの創出
ブロードバンド環境の整備が進むなかで、スマートフォンやタブレット端末等の普及やネ
ットワークを通じたクラウドビジネス等の拡大を背景に、ICT産業は様々な産業やサービ
スの基盤として、社会に大きな変革をもたらしています。
また、消費者のニーズが「モノ」の所有から「サービス」の享受へと変化しているなかで、
一人暮らしの高齢者の健康管理や見守りサービス、外国人向けの多言語による地域情報の提
供など、地域課題の解決に寄与するような様々なアプリケーションソフトの開発やコンテン
ツの提供に対するニーズは増加しているものと考えられます。
しかし、現状では、こうしたニーズから新たなビジネス展開が生まれる環境や機会が不足
しています。
そこで、地域のICT産業の振興を図るとともに優秀なICT人材を育成するため、ハッ
カソンやアイデアソン、アプリコンテスト等のイベントを開催して、ICT企業者が地域課
題の抽出から解決策の検討までを行い、試作アプリを開発・提案する取組を県内で活発化さ
せます。
こうした取組を通じてICT企業同士の連携や競争を促し、人材育成・事業化アイデア等
の発掘・支援を促進するとともに、新たなビジネスモデルの創出を図ります。
【ハッカソン・アイデアソンによる地域課題の抽出、解決のイメージ】
アイデア出し・企画
12
サービス開発・発表
地域課題の解決
・
ビジネスモデルの創出
Ⅲ 取組の柱
(3) ICT企業の創業支援
ICT企業は、ベンチャーとして発足後に短期間でグローバル企業へと成長した米国企業
の例で明らかなように、潜在的な能力と爆発的な成長力を期待されています。
全国的な超高速ブロードバンド環境の整備に伴い、クラウド環境が身近に利用できるよう
になったことから、地方においても小規模なICTベンチャーが、企画力や技術力次第で、
優秀なアプリ商品を開発、提供することが可能となってきました。しかしながら、ICTベ
ンチャーが特色あるアイデアを提示しても、研究・開発するための資金や人材を集めること
が困難であるため、起業化・事業化が十分に行えないという状況にあります。
近年、スマートフォンやタブレット端末の急速な普及によるICT環境の進化とクラウド
サービスの普及を背景に、創業初期の設備投資を抑えた「リーン・スタートアップ」と呼ば
れる起業スタイルや、インターネット上で不特定多数の個人・企業から出資を募る「クラウ
ドファンディング」と呼ばれる資金調達方法が登場しています。
ICTベンチャーは、情報機器と事務室があれば少人数で事業展開することができるほか、
異業種交流や他企業との連携にも意欲的であり、そこから新たなサービス領域への拡大も期
待できます。新たな資金調達方法の活用支援や民間のコワーキングスペースの取組との連携
を図ること等で、ICT企業の創業を支援していきます。
【クラウドファンディグの活用支援のイメージ】
事業賛同者
クラウドファンディング
資金
出
資
応援・顧客化
事業者
課題解決に
向けた計画
資金募集・実行
課題
解決
クラウドファンディングの活用支援
県
13
Ⅲ 取組の柱
2 ICT×人材育成
(1) ICTクリエータ・エンジニアの発掘・育成
独立行政法人情報通信処理推進機構がとりまとめた「IT人材白書 2011」によると、国内
におけるICT人材の不足数は約 102 万人で、このうち、ICT部門の指導者やリーダーと
いった高度人材の不足数は約 31 万人と推計されています。
このような高度なICT人材等の育成を図るには、若い年代から技術を習得させることが
有効であるため、小・中学生の段階からプログラミング技術等にふれる機会を設けるなど、
ICTを活用した創造力を醸成する人材育成の取組が必要です。また、職業能力開発段階で
は、ICT企業と他業種企業との人材交流を活発化させるなど、ICT人材の発掘・育成環
境の整備を推進することが重要です。
長野県では、平成 26 年度に実施した「未来のITエンジニア育成支援事業」の取組などに
より、豊かな自然環境のなか、子どもを対象としたプログラミング教室やサマーキャンプ等
が開催されはじめており、また民間事業者によるコワーキングスペースの設置等により、I
CT企業と他業種企業との人材交流が進みつつあります。
このような取組は長野県にとって大きな強みであり、この強みを次代を担うICT人材の
発掘・育成に活かすことが重要です。そこで、県内外の小・中学生を対象に、長野県の自然
のなかでICTを利活用したものづくりの楽しさを体験できる場を県域全体で提供すること
で、これまでにはない新たな価値創造と未来を担うクリエイティブな人材を発掘・育成しま
す。
また、長野県内の若手ITエンジニア等を対象にハッカソンを開催し、企画力や開発力に
優れた人材を発掘して、将来の新サービスの開発・創業の芽を見出すとともに、ICT企業
と他業種企業との人材交流を促進するため、民間事業者等によるコワーキングスペース設置
への支援を検討します。
【小学生・中学生向けのICTものづくり体験】
【高校生・大学生・若手エンジニア向けハッカソン】
○地方大会
→県内4会場(東信・南信・中信
・北信)で実施
○信州の豊かな自然のなかでICT
を利活用したものづくりの楽しさ
やレクリエーションを体験
○県大会
→地方大会の優勝チームが企画・
開発したアプリをプレゼン
テーション
情報通信研究機構
(NICT)主催
○起業家甲子園
→県大会の優勝チームが出場
新たな価値創造と未来のICT人材の発掘
14
Ⅲ 取組の柱
(2) ICT教育の充実
「世界最先端IT国家創造宣言」では、「初等教育段階から教育環境自体のIT化を進め、
児童生徒等の学力の向上とITリテラシーの向上を図る」ことが謳われるとともに、
「2010 年
代中には全ての小学校、中学校、高等学校、特別支援学校で教育環境のIT化を実現すると
ともに、学校と家庭がシームレスでつながる教育・学習環境を構築する」ことが掲げられて
います。
長野県では、
「しあわせ信州創造プラン」の教育再生プロジェクトにおいて、時代の変化に
対応できる人材を育成するために、子どもたちのICT利活用能力の向上に取り組むことと
しています。
県立学校においては、平成 25 年度から県立学校情報通信ネットワークの構築を進めており、
平成 27 年度にはすべての県立学校の校内LANがデータセンターに集約され、セキュリティ
の高い高速ネットワークで結ばれます。このネットワークと各学校へ設置するパソコンやタ
ブレット端末などを活用し、県立学校におけるグローバル人材教育やアクティブラーニング
の取組、特別支援学校における障がいに応じた教育の推進を図ります。
また、県総合教育センターに配備した機器等を活用し、教員のICT利活用能力の向上や
デジタルコンテンツの提供、PICT(Promoters of ICT)委員会による小中学校の情報化
支援など、子ども達の発達段階に応じた学習環境の充実を図ります。
さらに、尐子人口減尐が進む社会に対応した活力ある学校づくりとして、遠隔教育などI
CTの利活用による連携等の研究を進めながら、信州に根ざした世界に通じる人材を育成す
る 21 世紀型教育を推進します。
【遠隔教育のイメージ】
B校
A校
授業の実施
ネ
ッ
ト
ワ
ー
ク
サポート
教員
15
Ⅲ 取組の柱
3 ICT×観光
(1) 外国人誘客の促進
少子高齢化の進行により日本の総人口の長期的な減少が予想され、地域活力の低下が懸念
されていますが、このような状況にあって、交流人口の増加により地域を活性化させること
ができる観光への期待が高まっています。
国内観光旅行は、景気の低迷や余暇活動の多様化などにより、回数、年間宿泊者数ともに
減少傾向にありますが、中国をはじめとするアジア諸国における人口増加と高い経済成長を
背景に、日本を訪れる外国人旅行者数は増加傾向にあることから、これらアジア諸国をはじ
め、外国人旅行者の一層の誘致が求められています。
また、旅行形態が多様化し、旅行先の情報の事前収集、宿泊先の予約からチケット手配、
現地でのWi-Fiを通じた情報収集を行う人が増えており、今後はICTツールを活用し
た取組の重要性が高まっています。
こうした状況を踏まえ、外国人旅行者が観光地を含む地域情報の収集や現地からの情報発
信を快適に行え、また、災害等有事の際には防災情報も取得できるよう、情報通信環境の整
備を促進するとともに、地域ブランドなど、地域ならではの情報を多言語によって発信する
取組を連動させることで、長野県内への外国人旅行者の増加・滞在・周遊の促進に取り組み
ます。
無料公衆無線LAN環境整備のイメージ
外国人旅行者
情報発信
・感動を発信
・日常のコミュニケーションを確保
情報収集
・観光地、観光施設の検索
・周辺情報の検索
旅行先の選定要素として重要視
利便性・満足度・認知度向上
情報拠点
無料公衆無線
LANスポット
市町村等
情報提供
・ランディングページ
・多言語対応ホームページ
・ご当地アプリ
地域情報の発信方法の充実
外国人旅行者の増加・滞在・周遊の促進
地域ブランドの国内外への発信
16
Ⅲ 取組の柱
(2) 山岳高原観光スタイルの発信
長野県内の山岳遭難者数は、平成 22 年以降、4年連続で過去最多を更新し続け、平成 25
年にはついに 300 件に達しました。平成 26 年は 272 件と前年を 28 件下回りましたが、依然
高い水準で発生しています。年間の死者行方不明者も、平成 26 年には 51 人に達しています。
これは、登山の基本的ルールや危険性の認識が不十分な経験の少ない国内外の登山者の増
加等が背景にあるものと考えられ、登山は「自己責任」が原則という意識の希薄な登山者へ
のきめ細かな対応が課題となっています。
こうした状況のなか、長野県では、平成 26 年度に「長野県山岳G空間プロジェクト協議会」
を組織し、携帯電話の使用が制限される山岳エリアにおいて、準天頂衛星による高精度な地
理空間情報等を活用し、
「危険情報の収集・提供」、
「登山者の行動支援」
、
「遭難対策」をテー
マとした実証実験を行う、
「G空間社会における山岳遭難防止対策モデル構築事業」に取り組
みました。
この実証実験で得られた成果を活かし、他地域においても展開可能な安全・安心な山岳遭
難対策システムを民間事業者の協力を得て事業化させ、長野県から安全・安心な山岳高原観
光スタイルを強力に発信し、外国人も含めた誘客力向上の取組を推進します。
【G空間社会における山岳遭難防止対策モデル構築事業のイメージ】
出典:国土交通省「国土のグランドデザイン2050」
17
Ⅲ 取組の柱
4 ICT×安全・安心
(1) 防災・減災対策
平成 23 年 3 月の東日本大震災を契機に、防災・減災対策におけるICT利活用のあり方が
議論され全国的に様々な取組が行われてきました。長野県においては、平成 26 年 2 月大雪災
害の事後検証により、災害発生時に住民への災害情報の伝達、住民の安否情報、被災情報の
収集の迅速化を図るとともに、情報収集手段としてのSNSの活用や地図情報等による分か
りやすい情報の提供を行うこととしました。
防災・災害情報は、最新の情報をいち早く収集し、住民に対して、必要な情報を迅速に「見
える化」して、直観的に分かるよう伝達する等により、適切な対応へとつなげていくことが
重要であり、これら一連の情報をシステム化して効率的に管理していくことが必要です。
このため、現在、気象庁との情報連携により常時把握している気象・防災情報に加えて、
市町村、警察、消防、交通機関、ライフライン事業者等からの災害情報を一元化し、これら
関係機関と情報共有するとともに、Lアラートをはじめ様々な配信手段を用いて県民へ迅速
かつ確実に伝達する機能を向上させます。そのため、クラウド技術や複数の通信回線を確保
した耐災害性のある総合的な防災情報システムを新たに整備します。
また、災害現場の状況をスマートフォンやタブレット端末から位置情報を付加した画像等
で伝達し、統合型地理情報システム(以下、「統合型GIS」という。)を使って地図上に明
示することにより、災害全体の状況を迅速に把握する手法の導入も検討します。
近年、災害時に要配慮者が円滑に避難できる支援体制の構築が課題となっていることから、
平成 25 年に災害対策基本法の一部が改正され、市町村は災害時の避難行動要支援者名簿を
作成することとなったところです。県内の一部市町村では、災害時における要配慮者の安否
確認や円滑な避難支援ができるよう電子地図を活用して利便性の向上を図った災害時住民支
え合いマップの取組事例もあります。このようなICTの利活用も視野に入れながら、災害
時の避難の仕組みづくりを促進するほか、要配慮者の特性に応じた対応の一環として、災害
時の手話動画による情報発信なども検討していきます。
【災害情報共有システム(Lアラート)の概要】
居王有っし違数手無
情報発信
情報伝達
地域住民
テレビ事業者、ラジ
オ事業者、携帯電話
事業者など
デジタルTV、ラジ
収集・フォーマット・配信
市区町村
都道府県
中央省庁等
ライフライン等
18
標準フォー
マットで接続
多様な
フォーマット
オ、携帯電話・スマ
ートフォンなど
Ⅲ 取組の柱
ニホンジカをはじめとする野生鳥獣による長野県内の農林業被害額は、年間 11 億 5 千万円
(平成 25 年度)にも及ぶなど、農山村地域における深刻な問題となっています。
このような中、塩尻市北小野地区では、既存の通信基盤とセンサーを活用し、地域を挙げ
た鳥獣の追い払いや鳥獣の数を減らす活動を集中的に実施した結果、実施期間中の稲作地に
おける鳥獣被害の面積がゼロとなるなど、大きな成果が得られました。
こうしたセンサーネットワークを利活用した鳥獣被害対策の取組を、他地域においても展
開可能となるよう検討していきます。
【センサーネットワークによる鳥獣被害対策(塩尻市)】
19
Ⅲ 取組の柱
(2) 医療・介護の連携
高齢化の急速な進展により増大・多様化する医療・介護サービスのニーズに対応するため、
患者それぞれの状態に応じた質の高い効率的な医療の提供と地域包括ケア体制の構築が求め
られており、その実現には、急性期から在宅医療・介護までの機能分化とネットワーク化が
不可欠です。そうしたなかで、地域の医療機関や介護事業者の相互で迅速かつ適切に患者・
利用者情報を共有・連携を促進するため、ICTの利活用が期待されています。
医療情報連携の取組としては、既に信州大学医学部附属病院を中心とした県域のネットワ
ークのほか飯田下伊那地域などで診療情報の共有が行われています。今後は、地域のかかり
つけ医を含め、より多くの医療機関が参加して質の高い地域医療連携が行われるよう、取組
の拡大を支援します。
地域包括ケア体制の構築に向けては、医療・介護従事者の各職種間におけるネットワーク
化が重要です。既に、急性期病院、かかりつけ医及び訪問看護ステーションを情報システム
で結び、在宅療養希望者を 24 時間体制で支える仕組みづくりが進められている地域もありま
す。今後、クラウドサービスを利用した情報連携など、ICTを利活用した様々な取組が増
えていくことが予想されるところであり、医療・介護の総合的な連携・提供体制の整備を促
進するため、新たに設置した地域医療介護総合確保基金の活用などにより、ICTを利活用
した情報共有システムの導入を支援します。
【医療連携システムの基本構成イメージ図】
A病院
連携サーバ
連携サーバ
B病院
双方向の
医療連携
中継サーバ
連携サーバ
D病院
連携サーバ
C病院
病診連携
○○診療所
20
病病連携
□□クリニック
一方向の
医療連携
△△医院
Ⅲ 取組の柱
5 ICT×行政サービス
(1) 新たな仕事の仕方の提示
長野県では、平成 24 年3月に「長野県行政・財政改革方針」を策定し、ICTの積極的な
活用により、業務の効率化に取り組んでいくこととしています。
ICT技術の進歩は著しく、これまで行政ネットワークや一人1台パソコンなどの環境整
備を行ってきましたが、最近のモバイル端末の普及やネットワーク環境の充実に伴い、より
効率的・効果的な業務の実施や勤務地以外での業務が可能な環境が整ってきています。
このような認識のもと、ICTを利活用して、業務の生産性向上や意思決定の迅速化を含
めた仕事の仕方・最適化をさらに推進するため、タブレット型端末の活用、テレビ会議やペ
ーパレス会議の導入による「スマート県庁」の構築に取り組みます。
また、自宅や自宅に近い庁舎から情報端末を利用して業務を行う在宅勤務やサテライトオ
フィスによる勤務を試行的に導入し、ICT環境の進化のなかで、多様な働き方ができる社
会を目指し、行政が率先して取り組むことにより、産業界や経済界への浸透を図ります。
【サテライトオフィスのイメージ】
サテライトオフィスから自席のパソコンを操作。
県庁
各合庁
【在宅勤務のイメージ】
在宅勤務用に強固な通信セキュリティを確保した通信手段を整備し自宅で業務。
職場
自宅
21
Ⅲ 取組の柱
(2) 自治体間の連携
国では、
「世界最先端IT国家創造宣言」を踏まえ、平成 26 年3月に「電子自治体の取組
みを加速するための 10 の指針」を策定し、自治体クラウドの導入をはじめとした取組を一層
促進することとしています。
県内の市町村においては、長野県市町村自治振興組合により自治体クラウドの導入が検討
され、平成 26 年8月に 14 町村による基幹系業務システムの共同化が決定、平成 28 年以降順
次導入される予定となっており、県も人的・技術的支援を行っているところです。この 14 町
村という多数の自治体によるシステムの共同化は全国的にも先進的な取組であり、今後、参
加市町村の拡大とともに、情報系システムの共同化についても検討を始めることとしていま
す。
平成 28 年 1 月から導入予定の社会保障・税番号制度(マイナンバー制度)においては、地
方公共団体が条例に基づき、個人番号や個人番号カードを独自に利用することが可能となり
ます。こうした独自利用についても、住民サービスの向上や行政事務の効率化を推進する観
点から、県・市町村においてその利用方法を検討し、個人番号等の有効活用を図ります。
また、公共データのオープン化は、行政と民間の協働や新たな産業の創出につながるもの
であり、長野県においても、ニーズの把握や活用アイデアの募集等を行い、データの効果的
なオープンデータ化と活用促進に取り組むとともに、統合型GISの活用においても、県と
市町村が効率的・効果的に情報連携できるよう取組を進めます。
【自治体クラウドのイメージ】
【自治体における情報システムの課題】
専門的人材の不足・コストの増大・管理事務の負担・業務継続性の確保・・・
県
コスト削減
共同運用
22
A市
B町
情報システム
データベース
データセンター
C村
事務負担軽減
セキュリティ確保
Ⅳ 戦略の推進
本戦略は「しあわせ信州創造プラン」に掲げた数値目標の達成のため、ICTを利活用し
た取組の方向性を示すものであることから、この「しあわせ信州創造プラン」の政策評価・
事業点検を踏まえ、進捗管理を行います。
23
体系図
取組の柱
ICT×産業振興
取組内容
【ICT企業の戦略的誘致】
サテライトオフィスの設置支援
【ビジネスモデルの創出】
地域課題解決をテーマにしたアプリ開発
【ICT企業の創業支援】
クラウドファンディングを活用した支援
ICT×人材育成
【ICTクリエータ・エンジニアの発掘・育成】
ハッカソン、アイデアソンの開催
【ICT教育の充実】
教科指導等でのICT利活用の推進
ICT×観光
【外国人誘客の推進】
無料Wi-Fi環境の整備、地域情報発信の充実
【山岳高原観光スタイルの発信】
山岳遭難対策モデルの事業化
ICT×安全・安心
【防災・減災対策】
総合的な防災情報システムの整備、情報提供の見える化
【医療・介護の連携】
医療・介護連携ネットワークの充実
ICT×行政サービス
【新たな仕事の仕方の提示】
サテライトオフィス、ペーパレス会議等の導入
【自治体間の連携】
公共データのオープンデータ化、統合型GISの活用
24
平成 27 年度の取組
取組の柱
ICT×産業振興
ICT×人材育成
ICT×観光
ICT×安全・安心
ICT×行政サービス
事業名
○クラウドファンディング活用によるビジネス創出支援事業
○まちなか・おためしラボ
○IT産業人材発掘・育成支援事業
○ICTを活用した確かな学力育成事業
○外国人旅行者受入環境整備補助事業
○外国人誘客のための無料公衆無線LAN整備事業
○防災情報システム構築事業
○スマート県庁構築事業
○ICTを活用した確かな学力育成事業(再掲)
25
用語集
用語
解説
ページ
6
BWA
Broadband Wireless Access の略。信号を伝えるケーブルの代わり
に無線(電波)を使うデータ通信サービスの総称。無線アクセスシ
ステム。
6
DSL
Digital Subscriber Line の略。デジタル加入者回線。電話用のメ
タリックケーブルにモデム等を設置することにより、高速のデジタ
ルデータ伝送を可能とする方式の総称。
e - J a IT戦略本部が、平成 13 年1月に5年以内に世界最先端のIT国 10
p a n 戦 家となることを目指し策定したIT国家戦略。
略
Fiber To The Home の略。各家庭まで光ファイバケーブルを敷設す 5、6
ることにより、数十~最大1Gbps 程度の超高速インターネットア
FTTH
クセスが可能。
FWA
Fixed Wireless Access の略。加入者系無線アクセスシステム。P-P
(対向)方式、P-MP(1対多)方式があり、それぞれ最大百数十
Mbps の通信が実現可能。
6
Information & Communications Technology の略、情報通信技術の
こと。
1、2、3、
4、7、9、
11、12、13、
14、15、16、
18、20、21、
23
10
ICT
高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部。ITの活用により世
界的規模で生じている急激かつ大幅な社会経済構造の変化に適確
I T 戦 略 に対応することの緊急性にかんがみ、高度情報通信ネットワーク社
本部
会の形成に関する施策を迅速かつ重点的に推進するために、平成
13 年1月、内閣に設置された。
通信ネットワークの一部又は全部においてIP(インターネットプ
ロトコル)技術を利用して提供する音声電話サービス。
5
企業及び行政機関等が、ITに関する企画・導入・運営および活用
I T ガ バ を行うにあたって、すべての活動、成果および関係者を適正に統制
し、目指すべき姿へと導くための仕組みを組織に組み込むこと、ま
ナンス
たは、組み込まれた状態。
10
Local Area Network の略。企業内、ビル内、事業所内等の狭い空
間においてコンピュータやプリンタ等の機器を接続するネットワ
ーク。
15
IP電話
LAN
26
用語集
用語
LTE
解説
ページ
Long Term Evolution の略。「3.9G」と呼ばれ、W-CDMA や HSPA
規格の後継となる高速データ通信を実現する移動体通信の規格の
こと。
1、5、6
災害発生時やその復興局面等において、公共情報を発信する自治 18
L ア ラ ー 体・ライフライン事業者などと、それを伝える放送事業者・通信事
ト
業者を結ぶ共通基盤である「災害情報共有システム」の通称。
計画(Plan)→実行(Do)→評価(Check)→改善(Act)という4段階の 10
P D C A 活動を繰り返し、継続的にプロセス管理していく業務プロセス管理
サイクル
手法。
Promoters of ICT の略であり、県教育委員会の専門主事と公立小
P I C T 中学校の教員から成る委員で構成される。地域の学校に対して機器
の導入や授業でのICTの活用に関する支援を行うことで、公立小
委員会
中学校における教育の情報化の中核となる役割を担う。
15
SAQ2
Japan
Project
総務省が平成 26 年6月に公表した、訪日外国人が日本の世界最高 7
水準のICTを「サクサク」利用できるよう、選べて(Selectable)、
使いやすく(Accessible)、高品質な(Quality)、ICT利用環境を
実現することを目指したアクションプラン。
SNS
Social Networking Service(Site)の略。個人間の交流を支援する
サービス(サイト)
。参加者は共通の興味、知人などをもとに様々
な交流を図ることができる。
1、18
無線LANの標準規格である「IEEE 802.11a/b/g/n」の消費者への 5、7、16
Wi-Fi 認知を深めるため、業界団体の WECA(現:Wi-Fi Alliance)が名
付けたブランド名。
Idea(アイデア)と Marathon(マラソン)を組み合わせた造語で 12
ア イ デ ア あり、ハッカソンに先立ち、参加者がアプリケーション・サービス
ソン
開発のアイデアを持ち寄り、お互いに検討しあうイベント。
教員による一方向的な講義形式の教育とは異なり、学修者の能動的
な学修への参加を取り入れた教授・学習法の総称。学修者が能動的
ア ク テ ィ に学修することによって、認知的、倫理的、社会的能力、教養、知
ブ ラ ー ニ 識、経験を含めた汎用的能力の育成を図る。発見学習、問題解決学
習、体験学習、調査学習等が含まれるが、教室内でのグループ・デ
ング
ィスカッション、ディベート、グループ・ワーク等も有効なアクテ
ィブラーニングの方法。
15
ア プ リ ケ ワープロ・ソフト、表計算ソフト、画像編集ソフトなど、作業の目 12、13、14、
的に応じて使うソフトウエア。アプリはアプリケーションの略。
16
ーション
(アプリ)
公的機関が保有するデータを、民間が編集・加工等をしやすい形で、 10、22
オ ー プ ン インターネットで公開する取組のこと。
データ
27
用語集
用語
解説
インターネット等のブロードバンド回線を経由して、データセンタ
に蓄積されたコンピュータ資源を役務(サービス)として、第三者
ク ラ ウ ド (利用者)に対して遠隔地から提供するもの。なお、利用者は役務
サービス
として提供されるコンピュータ資源がいずれの場所に存在してい
るか認知できない場合がある。
ページ
8、13、20
新規・成長産業と投資家をインターネットサイト上で結びつけ、多 13
ク ラ ウ ド 数の投資家(Crowd)から尐額ずつ資金を集める仕組み。日本では、
フ ァ ン デ 「寄付」など金銭的リターンを伴わない形態での取扱いが中心であ
るが、株式形態での資本調達を可能とする枠組みの在り方が議論さ
ィング
れている。
ケ ー ブ ル テレビの有線放送サービスのこと。山間部や離島等の難視聴地域へ 1、4、6
向けて行うために開発された。通信ケーブルが各家庭まで敷設され
テレビ
( C A T ており、多チャンネル・双方向のテレビ放送を行うシステム。
V)
店舗や公共の空間などで提供される、無線 LAN によるインターネッ 16
公 衆 無 線 ト接続サービス。(関連項目⇒「無線 LAN」の項を参照。)
LAN
Co(共に)working space(働く場所)の意味で、事務所スペース、 13、14
コ ワ ー キ 会議室、打ち合わせスペース等を共有しながら、起業・創業を目指
ン グ ス ペ す人や、フリーランス(個人事業者)が各自で仕事をする交流型オ
ース
フィスのこと。
文字・画像・動画・音声・ゲーム等の情報全般、またはその情報内 12、15
コ ン テ ン 容のこと。電子媒体やネットワークを通じてやり取りされる情報を
ツ
指して使われる場合が多い。
企業等が、本拠から離れたところに設置する遠隔勤務のためのオフ 11、21
サ テ ラ イ ィスのこと。複数の企業や自治体が提供する共同型のサテライトオ
ト オ フ ィ フィスもある。東日本大震災以降、企業のBCP(業務継続計画)
ス
の観点から注目を浴びている。
第3世代移動通信システム(IMT-2000 規格)の高度化システム 5
3.9世代 (3.9G)。光ファイバ並みの高速伝送が可能。
携帯電話
「継ぎ目のない」という意味で、ユーザーが複数のサービスを違和 15
シ ー ム レ 感なく統合して利用できること。
ス
日本で常に天頂付近に1機の衛星が見えるように、複数の軌道面に 17
それぞれ配置された衛星を組合せて利用する衛星システム。軌道
準 天 頂 衛 は、軌道傾斜角(赤道面からの軌道面の傾き)を持ち、地球の自転
と同じ周期で地球を回っている。衛星が常に天頂方向にあるため、
星
山やビル等に影響されず全国をほぼ 100%カバーする高精度の衛星
測位サービスの提供が可能。
28
用語集
用語
解説
ページ
本戦略では、インターネット付随サービス業、情報サービス業、映 2、9、11
情 報 サ ー 像・音声・文字情報制作業をまとめて情報サービス産業と定義。
ビス産業
従来の携帯電話端末の有する通信機能等に加え、高度な情報処理機
能が備わった携帯電話端末。従来の携帯電話端末とは異なり、利用
者が使いたいアプリケーションを自由にインストールして利用す
ス マ ー ト ることが一般的。また、スマートフォンはインターネットの利用を
フォン
前提としており、携帯電話の無線ネットワーク(3G 回線等)を通
じて音声通信網及びパケット通信網に接続して利用するほか、無線
LAN に接続して利用することも可能。
3G
「IMT-2000」規格に準拠したデジタル方式の移動通信システム(第
3世代移動通信システム)
。NTTDoCoMo の「FOMA」シリーズ、au の
「CDMA 1x WIN」シリーズ、SoftBank の「SoftBank3G」シリーズ
等が該当。
1、5、7、
12、13、18
1
セ ン サ ー 複数のセンサーが協調することにより、環境や物理的状況を把握す 19
ネ ッ ト ワ ることを可能とするネットワーク。施設管理から防災、環境、交通、
医療福祉まで幅広い分野での適用が見込まれている。
ーク
住まい、医療、介護、予防、生活支援を、高齢者の日常生活の場で 20
地 域 包 括 一体的に提供する仕組みを地域において構築すること。高齢者が尊
厳を保ちながら、重度な要介護状態となっても、住み慣れた地域で
ケア
自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができる。
超 高 速 ブ 光ファイバ又は下り伝送速度 30Mbps 以上のケーブルインターネッ
ロ ー ド バ ト若しくは無線通信など。
ンド
地 理 空 間 空間上の特定の地点又は区域の位置を示す情報(位置情報)と、こ
れに関連付けられた様々な情報。
情報
(G空間情
報)
統 合 型 地 主に地方自治体において、各部署が利用している地図情報(道路、
理 情 報 シ 街区、建物、河川など)を統合・電子化し、一元的にメンテナンス
することで、庁内全体でのデータ共用を可能にする仕組みのこと。
ステム
(GIS)
あるテーマに対して、アプリケーション・サービス開発のアイデア
を出し合いながら実際に開発し発表しあうイベントで、特定のデー
ハ ッ カ ソ タを対象にテーマを決めて短期間(例えば1日)で開催され、参加
者は複数のチームに分かれて、実際にアプリケーションの作成を行
ン
う。Hack(ハック)を Marathon(マラソン)のように行うことに
なぞらえて、2つの語を組み合わせた造語。
4、5、13
17
18、22
12、14
ビジネスの仕組みのこと。事業として何を行い、どこで収益を上げ 1、2、12
ビ ジ ネ ス るのかという「儲けを生み出す具体的な仕組み」のこと。
モデル
29
用語集
用語
解説
ページ
ボリュームが膨大でかつ構造が複雑であるが、そのデータ間の関係 10
性などを分析することで新たな価値を生み出す可能性のあるデー
ビ ッ グ デ タ群。例えば、ソーシャルメディア内のテキストデータ、携帯電話・
スマートフォンに組み込まれたGPS(全地球測位システム)から
ータ
発生する位置情報、時々刻々と生成されるセンサーデータなどがあ
る。
FTTH、DSL、ケーブルインターネットをはじめとした高速・ 1、4、5、
ブ ロ ー ド 超高速通信を可能とする回線。
6、12
バンド
ケーブル線の代わりに無線通信を利用してデータの送受信を行う 1
無 線 L A LAN システム。IEEE802.11 諸規格に準拠した機器で構成されるネッ
N
トワークのことを指す場合が多い。
ラ ン デ ィ Webサイトの訪問者が、外部からそのサイトにやってくる際、最 16
ン グ ペ ー 初に開くことになるページ。
ジ
小規模かつ小額で最初は小さくビジネスを始め、顧客の反応や意見 13
リーン・ス を聞きながら規模を調節していくボトムアップ型のビジネスの進
タ ー ト ア め方。この手法は、開始時に無駄な仕組みは基本的に作らないため、
初期投資が非常に小さく抑えられ起業ハードルを下げるメリット
ップ
がある。
本来、
「識字力=文字を読み書きする能力」を意味するが、
「情報リ 15
リ テ ラ シ テラシー」や「ICT リテラシー」のように、その分野における知識、
ー
教養、能力を意味することに使われる場合もある。
30
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