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基調講演「日本風景街道の現状とこれから」

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基調講演「日本風景街道の現状とこれから」
設立記念セミナー
日本風景街道の展開と課題 基調講演
日本風景街道の現状とこれから
2012.8.31
日本風景街道コミュニティ 代表理事
筑波大学社会工学域 教授
石 田 東 生
話の概要
• 日本におけるシーニックバイウェイ 簡単な経緯
• 私の考える日本風景街道の精神
風景・みち・協働
風景- 美しい日本と風景・地域の衰え
みち- 風景とみち、みちの活用、ハイウェイとバイウェイ
協働- 資産・活動の連携、わっしょいの精神
• 多重苦の中の日本と日本風景街道
• シーニックバイウェイと日本風景街道コミュニティ
日本におけるシーニックバイウェイのこれまで
2003.2
北海道におけるシーニックバイウェイ制度導入モデル検討委員会
2つのモデルルートにおいて実験的活動を開始
制度・進め方・支援策の検討
2005.3
2005.5
2005.7
シーニックバイウェイ北海道推進協議会設立
認定制度開始 (認定ルートと候補ルート)
シーニックバイウェイ支援センター設立
2005.12 日本風景街道(Scenic Byway Japan)戦略会議設置
2007.9 日本風景街道登録開始
2008.3 道路国会
2012.8
NPO法人 日本風景街道コミュニティ発足
登録ルート数 127(増加している)
全国から127ルートが登録申請
<日本風景街道 登録ルート一覧(H24.8.1現在)>
美しい
国土景観
の形成
私の考える日本風景街道の精神
風景
美しい日本
しかし 衰える風景
みち
風景とみち
いろいろなみち
みちの活用 ー ハイウェイとバイウェイ
協働
様々な資産・活動の連携と協働
わっしょい
風景
美しい日本
しかし、風景・地域の衰え
ニッポンの道景色 残したくない景観より
危ない、不親切、汚い
よく見る風景
幹線国道沿いのロードサイド店
林立する看板
美しくない幹線道路
と
衰退する中心市街地
せっかくの富士山が、・・・
煙突・塔を取ると
しかし、問題は
もっと深刻
農村の疲弊:耕作放棄地の増加
坂本龍馬 脱藩の道の途中でみた
茶堂
高知県檮原町 茶屋谷部落
遍路のおもてなし
旅人とのコミュニケーション
1958年の茶当番 36名
2000年の茶当番 23名
2009年9月撮影
人口減少と高齢化
やせ細るコミュニティ
歴史・文化の安全保障
実は風景そのものでなく、風景に映り込む
•
•
•
•
•
まち・地域の活気
人々の生活・元気・誇り
農業・林業
山・川・自然
・・・
という地域そのものの衰えが課題
地域の価値(自己実現の欲求)の追求と
日本風景街道への期待
み ち
風景とみち
いろいろなみち
みちの活用
ハイウェイとバイウェイ
風景とみち(移動・交通)
国土(地域)の印象は、交通路からの眺めによって
形成される(中村良夫)。
視点場の位置: 高い
視点場の移動: 速い
結果的に広い範囲を見渡せる
視点場としての交通路(道路、鉄道...)と
見られるもの(まち、森、田畑、川、...)の重要性
いろいろな「みち」
道路:一般公衆の交通のために設けた地上の通路.(広辞苑)
道
路
軌
径
衢
:祭祀のために行進するみち.
:人や車馬の往来するところ.大きなみち.
:わだちのみち.
:こみち.
色々なみち
:分かれみち.ちまた.まち.
途 :歩行するみち.みちすじ.
理 :物事の基本的法則
倫 :人と人との関係.すじみち.
美知:最多の万葉がな
プロセス、信頼
(角川漢和中辞典)
いろいろなみちとのつきあい
みちの活用を考える
• みちの力
–
–
–
–
移動する
留まる
結びつける
風景を構成する
地域を眺める・感じる
風景を楽しむ
人と人、地域と地域、・・・
美しい道路、並木、街並み、・・・
• みちの活用
– これまで道路整備・建設が中心
– これからサービス提供・道路の利活用も重要
• 高速道路と一般道路の連携
• 地域資源と道路の連携
• 人・地域との連携・協働
風景が中心では
みちの活用
ハイウェイとバイウェイ
アメリカのバイウェイ
フランスのバイウェイと育成政策
ハイウェイとバイウェイ
まず、アメリカのバイウェイ
Historic Route 66
ニューメキシコ州アルバカーキー
人口 47万人
It winds from Chicago to LA,
more than two thousand miles all the way.
Get your kicks on Route 66.
高速道路の開通により一時寂れたが、
新たな文化運動として2000マイルにわたり再生中
Historic Route 66
New Mexico
Historic Route 66 and Interstate I-40
Albuquerque, New Mexico
I-40
HR-66
ハイウェイとバイウェイの使い分けと連携
地域磨き
フランスの試み
発見ルート
景観と開発1%政策
発見ルート
(Itineraire de decouverte)
• ねらい
– 高速道路供用によって通
過される地域の活性化
– 観光開発戦略の確立
– コミューン間の連携
• 手法
– 高速道路上でのルート標
識の設置
– 情報サービス中継点の
ルート上への設置
– 観光情報の提供
– パンフレット作成
A75(高速道路)
とRD909(県道)
景観と開発のための1%政策
• 目的:高速道路沿線の経済・観光開発
• スキーム:
– 道路事業者:高速道路整備費用の1%を沿線地
域の景観回復・価値付与・経済開発に充当
• 後に、維持管理費用の一定割合に拡充
– 地元自治体:カウンターファンドを準備
– 事業主体:自治体
– 具体的形
• 発見ルート
• 宿場村
案内標識
宿場村とその整備・修復
高速道路沿線、人口5000人以下
ハイウェイとバイウェイ
かっては、ハイウェイ
今は、ハイウェイと機能分担をしながら
バイウェイに
バイウェイとしての魅力の向上
ルートとしての沿線地域の連携
沿道との一体化
ハイウェイ(Highway)
高速道路・幹線道路
と
バイウェイ(Byway)
わき道・より道
高速・大量
ゆっくり・ゆったり
効率・生産
楽しみ・消費
道路中心
国土・広域
競争(ストロー効果?)
沿道との一体化
地域・ローカル
連携
両方とも必要
かつてのハイウェイと今のハイウェイの連携と役割分担
協 働
様々な資産・活動の連携と協働
ハイウェイとバイウェイの連携
地域の担い手とその連携
わっしょい
ハイウェイとバイウェイの連携
• 地域と高速道路の連携
– 乗り降り自由の高速道路
• 無料化、長距離割引の継続、ターミナルチャージ不徴収
– スマートICの増設
– 地域への案内
• GS、道の駅、美味しい店、スポット
• そのためにも、連携して地域を磨くー魅了する地域へ
– 案内、修景、ストーリー、資源再発見、・・・
– 楽しみ方の提案、
• みちの持つ、「人と人、地域と地域、・・・」を結ぶ力
の活用
シーニックバイウェイ北海道
地域の想い と 3つの連携要素
地域の想い
美しい地域に
したい!
景観
美しい
景観づくり
愛着と誇りの
もてる地域に!
地域経済
を元気
に!
ドライブ観光
を振興した
い!
ひと・みち
地域
観光
活力ある
地域づくり
魅力ある観光
空間づくり
【3つの連携要素】
訪れる方によろこ
んでもらいたい!
日本風景街道の実現に向けて
~ 美しい国土景観の形成を目指した
国民的運動を ~
ハイウェイとバイウェイの
連携による
地域と人の元気化
そのための知恵と実践
それが、活用
日本風景街道戦略会議
America’s Byways are…
• すべての人々が
• 大小さまざまな規模のコミュニティーが
• 一緒になって働くボランティアたちが
• 愛する地域について
•「ストーリー」を、「インタープリテー
ション」を語り
• 経済的発展をめざしながらつくり
あげるプロジェクト
Henry Hanka氏作成
カンザス州フリントヒルズ
シーニックバイウェイ
シーニックバイウェイの志は多くの運動と同じ
• 街道交流会議、歴史街道、夢街道、・・・
• 道普請、道守、VSP、・・・
• 女性の会、・・・
相互に連携して、活動できる仕組みと気持ち
長く続けられる環境の整備
地域再生・連携・活性化を進める上で大事なこと
• 長くかかることを覚悟すること
• まちと人とみちの一体化
– 色々な人が、組織が--
• 市民(老若男女)
• 行政(国・県・市、道路・産業・環境・・・)、
• 事業者(観光、交通、・・・)、
• 楽しくできるための工夫
– スモールビジネス:報酬を得ることは当然
– 連携・交流の場の確保
わっしょい
わっしょい:お祭りで御輿を担ぐときのかけ声
お祭り:稀人(神様、お客様)を迎え、皆で楽しむ
わっしょい:和を背負う
和:和音、和え物
いろいろな人が味を出して、自然に融合して、
楽しみながら、さらに高いところを目指す
わっしょい:風景街道の精神
多重苦の中の日本と日本風景街道
• 経済成長しない日本
• 労働時間が長い日本
• 高齢者が働けない日本
• そのような日本を立て直すために
多重苦の中の日本と日本風景街道
経済成長しない
超高齢化
公的債務
巨大災害
– 地震・津波 首都直下、東海・東南海・南海、十勝沖、
– 洪水
• CO2削減
• 迷走する政治
– ビジョンがない
– 評価をはじめ重苦しい雰囲気
•
•
•
•
本日の主張
地域からこの閉塞感を打破しよう
日本風景街道が先頭を走ろう
経済成長しない国
日本
JICE 大石理事長作成
しかし、短くならない労働時間
評価・コンプライアンスなど後ろ向きの仕事?
JICE 大石理事長作成
極端に遅い東京の父親の帰宅時間
東京の父親は疲れている
JICE 大石理事長作成
超少子・高齢社会の急速な進行
2050年には、65歳以上人口比率
100歳以上人口
40.0%
60万人以上
増加する高齢者と増加しない高齢者労働者
働きたいが、働けない。
定年、職場、交通(モビリティ)
JICE 大石理事長作成に加筆
参加・参画方社会の構築
そのための社会インフラは?
制度インフラ(法・習慣)と装置インフラ
なかでも、人・地域・コミュニティの強さ Social Capital
地域と人の連携、生き生きした参画
そのための交通システムとモビリティディバイドの解消
特性と制約を考えた地域独自モデルとそのための基盤整備
JICE 大石理事長作成に加筆
豊になるためには、新しい大きなビジョンに基づく社会インフラ
制度インフラと装置インフラ
・ Social Capital
新しい社会システムの地域からの発信
Social Capital も資本である以上、投資が必要
地域活動への支援(風景街道、ボランティアサポートプログラム、川の楽校、・・・)
JICE 大石理事長作成に加筆
シーニックバイウェイと
日本風景街道コミュニティ
「人々の暮らし、活動、気遣いが
風景にあらわれる」
• シーニックバイウェイとは、
– 「みち」の持つ連携の力を活かした
– 訪れる人(観光)
– と迎える人(誇りと愛情の醸成、故郷の継承)
– による美しい(風景にすべてが現れる)地域づくり
• 今の日本でこそ、シーニックバイウェイ的施策が必要
• 時間・手間・暇、智恵、愛情・誇り、が重要
このような中で、シーニックバイウェイの10年間の成果
• 地域・コミュニティ主導の多数多様の活動
成功も失敗も多数
• 人生が豊かになった
– 友達・同志が増え、交流が増えた
– 故郷・地域・日本を好きになった
• 地域が美しく、強くなった
–
–
–
–
–
花が多くなった、ゴミが少なくなった、看板が・・・
地域の資産が磨かれた
そして、人々の愛着・誇りが強くなった
コミュニティ力・Social Capitalが強くなった
また、コミュニティビジネスが育ちつつある
• 行政が変わりつつある
– 楽しいPIとしての風景街道(市民主役・行政参画と草の根行政改革)
• 全国的ネットワークが広がりつつある
– その結果としてのNPO日本風景街道コミュニティの設立
– 多様なスキルと多彩な人材と情報の共有プラットフォーム
抱える課題
心
心・技・体の充実・強化
関心・想い
心への過度の依存の解消
想いの違い
多様な目的(まちづくり、観光、環境、・・)
愛着・誇りの次世代への継承
後継者・第二世代
技
知恵・技術
知恵と技術の不足
共有のための装置の不在
体
制度・仕組み
自立・安定の仕組みが未完成
社会への実装の壁
ネットワーク化不足
クリティカルマスを突破できず、舞台が小さい
行政との新しい形
NPO法人日本風景街道コミュニティの目指すこと
•
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•
•
情報・スキル・人材、そして元気・勇気共有の基盤
試行プロジェクトの実施--提案、応募、提携、・・・
情報発信とアピール
行政との関係の模索
実力養成ーースキル・人材・情報蓄積
• 基盤(プラットフォーム)ーー人材・情報・経済
そして、パネルディスカッションでは、
各地から
各種団体(行政、活動団体、支援組織)から
連携・協働のあり方について、体験を踏まえて議論
最後に
みんなで、わっしょい!!
ご静聴、ありがとうございました。
続いて、パネルディスカッションに
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