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PSDの観点を中心とした 南西バルカンの経済開発分析

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PSDの観点を中心とした 南西バルカンの経済開発分析
2014/8/15
夏合宿 2014
1. INTRODUCTION ①
研究発表
 本研究の目的
PSDの観点を中心とした
南西バルカンの経済開発分析
 問題意識
ー海外直接投資・雇用との連関ー
東京外国語大学
総合国際学研究科
国際社会専攻
1年
佐久間
1. INTRODUCTION ②
PSD(Private Sector Development)の観点から、
移行経済地域への海外直接投資(FDI)流入が、最終的
に被投資国の経済成長に結びついているかを南西バルカン
地域を対象に段階的に検証
FDI流入は受入国の経済成長に結びつくことが先行研究
により示唆されている中、南西バルカンにおいてはFDI
流入額・経済成長ともに伸び悩み。また同地域で失業率が
高い点にも注目し、この三つの関係を検証
翔
1. INTRODUCTION ③
 本研究の付加価値
海外からの民間資金の流入の経済波及効果を段階的、多面
的分析することで①なぜ同地域でのFDI流入が増加しないの
か②なぜ経済成長が伸び悩んでいるのか③なぜ失業率が高止ま
りしているのかが明らかになる
→投資受入国側の視点から、経済成長のためにどのような政
策を掲げればよいか明確になり、効果的な政策策定に貢献
→失業問題の解決にも貢献
東京外国語大学
総合国際学研究科
2年
佐久間翔
1
2014/8/15
1. INTRODUCTION ④
2. PREVIOUS WORKS AND BACKGROUNDS ①
◎OECD(2002)
 研究対象地域
開発途上の国の経済に対しFDIが及ぼす全般的影響
→南西バルカン地域の移行経済の国家のなかで、特に所得の低い
アルバニア・マケドニア・ボスニアヘルツェゴビナを対象
→上記に加え比較対象国としてスロベニア・クロアチアも加える
※一人当たりGDP (2012年 世界銀行)
1.海外直接投資の流入
2.海外からの技術移転
3.人的資本の形成が促される
4.国際貿易ネットワークへの統合が進展
4,406$(アルバニア)・4,395$(ボスニアヘルツェゴビナ)
5.競争がより活発なビジネス環境の誕生
4,548$(マケドニア)
6.国内企業が競争力をつける
↓
13,158$(クロアチア)・22,058$(スロベニア)
被投資国の経済成長につながる
2. PREVIOUS WORKS AND BACKGROUNDS ②
2. PREVIOUS WORKS AND BACKGROUNDS ③
Unemployment Rate 2013, 世界銀行
23.5
27.5
FDIの流入が流入先の雇用・生産性に与える影響を分析
28.8
30.9
◎Takanaka(2001)
12.8
※ただし、①直接投資の受け入れが技術進歩を伴い全要素生
産性を向上させるケース、②単に資本投入量が増加しそれに見
合って生産能力が増加するケースの二通りがみられる
19.2
一般に直接投資は受入国の全要素生産性(資本・労働)の向
上に寄与し、経済成長率を高める
FDIの内訳で分析(M&A or Greenfield investment)
→Greenfield investmentは受入国の雇用を創出
東京外国語大学
総合国際学研究科
2年
佐久間翔
A LB
MN E
SR B
BIH
MK D
KOS
EU平均…11%
2
2014/8/15
2. PREVIOUS WORKS AND BACKGROUNDS ④
2. PREVIOUS WORKS AND BACKGROUNDS ⑤
◎IMF(2014)
失業とFDIの関連について分析
(バルカン)
FDIと雇用の間で直接的相関はない
→政府の構造改革がFDI流入および雇用に影響
バルカンでは紛争終結後、在外移民による送金額がGDPに占める割
合が高く、それが失業率を高止まりさせている要因
それら移民は高技能労働者が多く、頭脳流出といえる状況
→国内には低技能労働者が残留、雇用主のニーズとミスマッチ
3. THE ANALYTICAL METHOD AND THE MODEL ①
3. THE ANALYTICAL METHOD AND THE MODEL ②
 変数
UNE
 分析モデル
 Qaiser(2011)のモデルを起点として使用
 段階的に三つ作成しFDI・失業率・経済成長の連関を検証
 左辺と右辺の変数に用いる指標にはタイムラグを入れる
 直近10年間分のデータをプーリング
 データ欠損部分は項目毎に線形モデルによる推定値を作成し利用
UNEit = α + β1FDIit + β2ODAit + β3INFit + β4REMit + β5EMIit + εit
GDPit = α +βUNE it+ … + εit
GDPit = α +βFDIit + … + εit
→
労働力人口に占める失業率
FDI
→
海外直接投資フロー
ODA
→
政府開発援助
INF
REM
EMI
(ILO推定)
(GDPに占める%)
(人口一人当たり)
→ インフレ率、年次
→
→
個人による送金受領
(GDPに占める%)
移民数
 データソース
 World Bank
 Organisation for Economic Co-operation and Development
 International Finance Corporation
→Doing Business (被投資国ビジネス環境変数)
→Enterprise Surveys (個別企業詳細データ)
東京外国語大学
総合国際学研究科
2年
佐久間翔
3
2014/8/15
4. ANALYSIS
 回帰分析
5. CONCLUSION
 考察(現段階)
UNEit = α + β1FDIit + β2ODAit + β3INFit + β4REMit + β5EMIit + εit
 アルバニア、マケドニア、ボスニアヘルツェゴビナにおいてFDI流入
と失業率の相関は見られず
→先行研究(IMF 2014)を支持
 同三カ国において国外への移民数および国外からの送金と国内の失業率
は負の相関関係
→先行研究(IMF 2014、Takanaka 2001)と異なる結果
 同三カ国において政府開発援助およびインフレ率と失業率の相関は見ら
れず
 今後の方針
 第二段階以降のモデル設定と分析
 FDI、UNE、GDPの変数間でのコーザリティの検証
 企業単位データを分析に加え考察
6. REFERENCE ①
・World Bank (2013), “SOUTH EAST EUROPE Regular Economic
Report no.5 Slow Road to Recovery" World Bank.
・OECD (2002), "Foreign direct investment for Development :
Maximising Benefits, Minimising Costs", OECD.
・開発金融研究所 (2002), “直接投資が投資受入国の開発に及ぼ
す効果”, 開発金融研究所.
・Qaiser et al. (2011), “Impact of Foreign Direct Investment on Gross
Domestic Product", Global Journal of Management and Business
Research Volume 11 Issue 8 Version 1.0.
東京外国語大学
総合国際学研究科
2年
佐久間翔
6. REFERENCE ②
・高千穂安長 (2005), “移行経済国の海外直接投資受入促進要因に
ついての研究ーウズベキスタンとカザフスタンー”, 玉川大学.
・JICA (2014), “西バルカン諸国の概要と円借款によるインフラ事業
の現状”, JICAバルカン事務所.
・Tanaka Ayumu (2013), “国際貿易と貿易政策研究メモ No.17 製造
業の空洞化:外国直接投資によって国内雇用は減少するのか”,
Research Institute of Economy, Trade & Industry, IAA.
・IMF(2014), “Boosting Job Growth in the Western Balkans”, IMF Working
Paper, INTERNATIONAL MANETARY FUND
・高中公男(2001), “海外直接投資論”, 勁草書房
4
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