...

ヴィジョン 基本方針 個別方針 プラン(1) 観光のきっかけをつくる まち基盤

by user

on
Category: Documents
3

views

Report

Comments

Transcript

ヴィジョン 基本方針 個別方針 プラン(1) 観光のきっかけをつくる まち基盤
ヴィジョン
基本方針
個別方針
プラン(1)
観光のきっかけをつくる
まち基盤のコンバージョン
プラン(2)
栄町パーク&ライド型
サイクルアクティブプラン
プラン(3)
水に学び、親しむ
観光まちづくりプラン
プラン(4)
水に関する歴史・文化体験ツアーによる
布鎌活性化計画
プラン(5)
地域農業振興プラン
プラン(6)
里山活用プラン
-さかえまちの自然を満喫しよう!-
・水に関する歴史・文化体験ツアーの実施
・歴史的脈絡に基づいた公園、地域づくり計画の策定
・龍角寺地域歴史研究会の設置と歴史研究
・古墳景観の美化
・獅子舞の伝統芸能の観光資源としての活用
・龍角寺周辺の景観整備
歴史・文化資源の活
用
・河川敷における視点場の整備
・印旛沼レンタル・ヨウサイ園事業
・長門川・将監川遊覧ボート事業
プラン(7)
龍角寺
古代歴史公園化構想
・水に関する歴史・文化体験ツアーの実施
プラン(8)
安食駅周辺
活性化プラン
・移動販売者「しょいこ号」の運行
・「のら市」の複数エリア開催
・成田道の整備
・「のら市」の複数エリア開催(川沿いエリアにおける「の
ら市」の開催)
水資源の活用
地域資源の管理
に寄与した
取り組みの推進
・町民グラウンドの多機能化(臨時駐車場や広場として
の利用・トイレ施設などの整備)
・駅からウォーキングコース・バス通りなどを利用した
ウォーキングマップの作成
・里山自然観察会の開催
・間伐材を利用した工作教室の開催
・休耕田となっている谷津田のボランティア耕作
みどり資源の活用
・直売所における料理情報・地場産業の発信、検索端
末による生産者・生産地情報の見える化
・地元農産物の流通強化(スーパー・駅前における直売
所の設置)
・農家と就農希望者をマッチングする機会の提供(登録
制度)
食資源の発掘・活用
イベント・行事の
さらなる充実
・健康ウォーキングコース作成およびウォーキングイベン
トの開催
・町民グラウンドの多機能化(臨時駐車場や広場として ・新規自転車イベントの開催(サイクリングガイドツアー・ ・印旛沼レンタル・ヨウサイ園事業
の利用・トイレ施設などの整備)
田んぼ激走タイムトライアル)
・長門川・将監川遊覧ボート事業
・町民グラウンドに隣接した駐車場の整備
・レンタサイクル運営団体と他団体・行政との連携
・レンタサイクルポイントの実施
・サイクリングガイド養成講座における栄町のご当地検 ・印旛沼レンタル・ヨウサイ園事業
定
・栄町水防散策マップの作成
・栄町治水の風景作品展の実施
地域内外の交流
まちについての教育
を活性化させる
の強化
取り組みの推進
みんなに届
け 栄町
・新規自転車イベントの開催(自転車ガイドツアー)・自
転車利用拠点の整備・連携
(チャリの駅・レンタサイクルステーションの整備)
・各種交通機関の連携による自転車利用の促進(レン
タサイクル・ラックバス・サイクルトレインの実施)
隣接市町村との交
流
の強化
・町民グラウンドの多機能化(臨時駐車場としての利
用)
・町民グラウンドに隣接した駐車場の整備
安全・快適な交通基 ・河川敷における視点場の整備
・水に関する歴史・文化体験ツアーの実施
・体験ツアーと水神社秋季大祭の連携
・体験ツアー受け入れ体制の強化(体験ツアーガイド養
成講座の開講など)
・直売所における料理情報・地場産業の発信、検索端
末による生産者・生産地情報の見える化
・中高生を対象にした農作業体験プログラムの実施
・生産地ツアーの開催
・水に関する歴史・文化体験ツアーの実施
・小中学生の校外学習としての体験ツアーの活用
・印旛沼レンタル・ヨウサイ園事業
・栄町河川敷ドッグランの整備
・自転車利用拠点の整備・連携
(チャリの駅・レンタサイクルステーションの整備)
・各種交通機関の連携による自転車利用の促進(レン
タサイクル・ラックバス・サイクルトレインの実施)
・長門橋・大鷲神社周辺の道路拡幅
・駅からウォーキングコース・バス通りなどを利用した
ウォーキングマップの作成
・里山自然観察会の開催
・間伐材を利用した工作教室の開催
・堆肥づくりと堆肥のイベントでの頒布
・獅子舞ツアーガイド・歴史案内人の養成
・「のら市」の複数エリア開催
・地域通貨の運用
・中高生を対象にした農作業体験プログラムの実施
・獅子舞ツアーガイド・歴史案内人の養成
・歴史ガイドブックの作成
・小学校と地域の連携強化(小学生による成田道など
の植栽管理、商店街での職場体験など)
・中高生を対象にした農作業体験プログラムの実施
・龍伝説や獅子舞文化などの共通項を持つ隣接市町村 ・移動販売者「しょいこ号」の運行
と連携したイベントの開催
・道路利用者の休憩ポイントとしての直売所整備
・成田道の整備
・「のら市」エリア間を結ぶコミュニティバスの運行
盤の整備
・町民グラウンドの多機能化(臨時駐車場や広場として ・自転車利用拠点の整備・連携
の利用・トイレ施設などの整備)
(チャリの駅・レンタサイクルステーションの整備)
・町民グラウンドに隣接した駐車場の整備
・サイクリングルートの設計・整備、案内板の設置
観光・居住基盤
の
観光施設の整備・強 ・町民グラウンド・河川敷の緑化・維持管理活動による
景観の向上
整備
化
・長門川・将監川遊覧ボート事業
・長門川・将監川周辺の環境整備
・栄町河川敷ドッグランの整備
・体験ツアーの中間拠点としての農産物直売所の整備 ・道路利用者の休憩ポイントとしての直売所整備
・里山展望台の設置
・里山整備活動拠点の創出
・休耕田となっている谷津田のボランティア耕作
・ウォーキングコースにおける案内板・ベンチ・トイレの設
置
・歴史的脈絡に基づいた公園、地域づくり計画の策定 ・成田道の整備
・古墳景観の美化
・龍角寺周辺の景観整備
・公園情報発信・歴史観光の拠点としてのドラムの里の
整備
・一ノ宮神社・龍角寺を連結する里山自然散策道の整
備
・栄町水防散策マップの作成
・栄町治水の風景作品展の実施
・体験ツアー情報を発信する新聞の発行
・直売所における料理情報・地場産業の発信、検索端
末による生産者・生産地情報の見える化
・木漏れ日レストランにおける調理食材の情報提供
・生産地ツアーの開催
・イベントカレンダーの作成・販売
・公園マップの作成
・歴史ガイドブックの作成
・ウォーキングイベントにおける「ゼッケン」による地元生
産物の宣伝活動
・地域情報誌を活用した「のら市」情報、成田道周辺の
商店情報の発信
・印旛沼レンタル・ヨウサイ園事業
・長門川・将監川遊覧ボート事業
・栄町水防散策マップの作成
・栄町治水の風景作品展の実施
・長門川・将監川周辺の環境整備
・栄町河川敷ドッグランの整備
・水に関する歴史・文化体験ツアーの実施
・体験ツアーと水神社秋季大祭の連携
・体験ツアー受け入れ体制の強化
・小中学生の校外学習としての体験ツアーの活用
・長門橋・大鷲神社周辺の道路拡幅
・体験ツアーの中間拠点としての農産物直売所の整備
・体験ツアー情報を発信する新聞の発行
・直売所における料理情報・地場産業の発信、検索端
末による生産者・生産地情報の見える化
・地元農産物の流通強化
・農家と就農希望者をマッチングする機会の提供
・中高生を対象にした農作業体験プログラムの実施
・道路利用者の休憩ポイントとしての直売所整備
・木漏れ日レストランにおける調理食材の情報提供
・生産地ツアーの開催
・駅からウォーキングコース・バス通りなどを利用した
ウォーキングマップの作成
・里山自然観察会の開催
・間伐材を利用した工作教室の開催
・休耕田となっている谷津田のボランティア耕作
・堆肥づくりと堆肥のイベントでの頒布
・里山展望台の設置
・里山整備活動拠点の創出
・ウォーキングコースにおける案内板・ベンチ・トイレの設
置
・イベントカレンダーの作成・販売
・歴史的脈絡に基づいた公園、地域づくり計画の策定
・龍角寺地域歴史研究会の設置と歴史研究
・古墳景観の美化
・獅子舞の伝統芸能の観光資源としての活用
・龍角寺周辺の景観整備
・獅子舞ツアーガイド・歴史案内人の養成
・歴史ガイドブックの作成
・龍伝説や獅子舞文化などの共通項を持つ隣接市町村
と連携したイベントの開催
・公園情報発信・歴史観光の拠点としてのドラムの里の
整備
・一ノ宮神社・龍角寺を連結する里山自然散策道の整
備
・公園マップの作成
・移動販売者「しょいこ号」の運行
・「のら市」の複数エリア開催
・成田道の整備
・健康ウォーキングコース作成およびウォーキングイベン
トの開催
・地域通貨の運用
・小学校と地域の連携強化
・「のら市」エリア間を結ぶコミュニティバスの運行
・ウォーキングイベントにおける「ゼッケン」による地元生
産物の宣伝活動
・地域情報誌を活用した「のら市」情報、成田道周辺の
商店情報の発信
・河川敷における視点場の整備
・栄町施設MAPの河川敷への設置
・既存サインの再整備
PR活動の強化
・町民グラウンドの多機能化
・町民グラウンドに隣接した駐車場の整備
・河川敷における視点場の整備
・町民グラウンド・河川敷の緑化・維持管理活動による
景観の向上
・栄町施設MAPの河川敷への設置
・既存サインの再整備
具体的な取り組み
メイン方針
サブ方針
・自転車利用拠点の整備・連携
・各種交通機関の連携による自転車利用の促進
・サイクリングルートの設計・整備、案内板の設置
・新規自転車イベントの開催
・レンタサイクル運営団体と他団体・行政との連携
・レンタサイクルポイントの実施
・サイクリングガイド養成講座における栄町のご当地検
定
プラン(1) 観光のきっかけをつくるまち基盤のコンバージョン ~例えば河川敷だったらこんなことができちゃいます~
コンバージョンとは
既存建物の構造体である柱や梁などを残して解体し、用途や機能を変更、
更新して性能を向上させることをいう。
プランのねらい・位置づけ
先述したような住民間で異なる観光への意見が存在するため、栄町で観
光による活性化を行うならば、地域住民の観光に対する意識の共有・向
上を図る必要性があると考える。 そこで、まずは観光客のためだけでは
背景
千葉県栄町の認知度は、栄町周辺地域を除いた地域では決して高いとは
言えない。
なく、住民にもメリットのある地域基盤整備を行うためにコンバージョン
を行い、住環境の向上による地域内活動の活性化を図り、自然環境豊かな
地域での過ごしやすい住環境を創出することを提案する(表 4- (1)-1)
。そ
しかし、現在栄町では黒豆などの資源を活用・PR し、観光産業を盛り上
れら、豊かな環境での日常というものが、栄町を車や自転車などで通過す
げようとしている。これらの活動を住民は目にする機会があり、住民の間
る人達の目に触れることによって、今まで栄町を通過するだけだった人々
でも黒豆などの比較的新しい地域資源は栄町の観光資源の 1 つという認識
に栄町に対する興味を持たせ、
「通過する人」から「立ち寄る人」へと変え
は存在する。しかし住民の意見の中には、観光まちづくりを行いたいとい
るためのきっかけをつくることをねらいとする。そのため、本プランは観
う町の姿勢に興味がない人もいれば、新規資源の活用も大切ではあるが、
光まちづくりにおける、初動期のプランである。
元より栄町にある資源を活かし住民一人ひとりが何らかの形で関わる事が
できる観光活性化のスタイルを望む声も多い。住民の観光に対する意識は
さまざまであるが、観光に対する積極的姿勢は、大切にしていきたい地域
資源の 1 つであると考えられる。
一方、近年は多くの市町村が人口減尐を問題としており、栄町も同じ悩
みを抱えている。しかし、栄町は都内から車で 1 時間~2 時間程度で訪れ
ることのできる、里山や河川敶の風景など豊富な自然環境が残る地域であ
表 4-(1)- 1
基本方針
地域資源の管理に寄与した
取り組みの推進
コンバージョンプラン個別方針と取組み内容
個別方針
みどり資源の活用
≪コンバージョン≫
地域内外の交流を活性化
イベント・行事の
させる取り組みの推進
さらなる充実を図る
り、そこで人口減尐という課題を自然回帰への機会ととらえ、今ある栄町
の自然環境をより魅力的なものと変えていくことも可能ではないか。
取り組み
観光施設の整備・強化
観光・住居基盤の整備
PR 活動の強化
①既存施設の利活用
②景観の向上
③サインの充実
プラン概要
既存の町民グラウンドには設けられた休憩スペースというものがない。
本プランでは、コンバージョンによる住環境の向上により既存施設の利活用を
栄町町民グラウンドも全国の河川敶の運動場で起こっている日射病などの
図り、地域内活動を活発化させるが、それら活動がもっとも人目に触れやすい場
発症性も現状では懸念される。また、町民 A グラウンドに仮設トイレが一
所として、既存の集客施設の房総のむら周辺や交通量の多い河川敷周辺等が
基あるだけであり、設備が良いとは言い難い。
述べられる。
そこで、河川敶に植樹を行うことや、町民グラウンドにある野球ネット
なお、通過交通量が多く、既存の地域内活動場所でもあり、その潜在的ポテン
やサッカーゴールなどに植物のツタを這わせることなどにより影をつくる
シャルが高い河川敷の町民グラウンド周辺を例に、①既存施設の利活用、②景
ことができ、機能性をあげることができる(図 4-(1)-1、4-(1)-2)
。また、同
観の向上、③サインの充実の提案事項の具体案を提示する。
時にトイレ施設などを整備することでグラウンドと河川敶の双方の機能向
上を図る。
みどり資源の活用、イベント・行事のさらなる充実を図る
既存施設の利活用
■年間利用増加のための町民グラウンドの多機能化(①)
現在町民グラウンドは 3 ヶ所あり、町民 A グラウンドが野球場 1 面、尐
年野球場 1 面
(占用利用)
、
町民Bグラウンドは尐年野球場 1 面(占用利用)
、
町民 C グラウンドが尐年サッカーグラウンド 3 面(占用利用)となって
いる。使用料も安く 160 円~660 円程度の費用で利用できるが、利用され
ず殺風景な風景が広がっているだけの時もある。また、利用申請がふれあ
いプラザさかえの窓口のみ(一部役場窓口でも可)ということが、突発的
な利用者にはわかりづらく、利用しづらい部分もある。
図 4-(1)-1 植物のツタとツタがつくる陰
図 4- (1)-2 西新井橋緑地の植樹
■駐車場や視点場の整備(③)
町民グラウンドを多機能化し駐車場としての利用を提案したが、グラウ
そのため年間利用を活発化させるため、グラウンドを整備し、時には駐
ンドに駐車場の機能を設けず別途駐車場を計画すると、交通の排除を行え
車場や広場として利用できるように、年間を通してのグラウンドの多機能
るため既存グラウンドを安全に利用することができる。また、町民グラウ
化を提案する。
ンド周辺の河川敶は利根川の雄大な流れが見えサイクリストも多いため、
休憩の場所としての利用も可能な現在はない視点場を設けることで、住民
■既存施設の機能向上のための整備(②)
間とサイクリストの接点をつくることができる。
観光施設の整備・強化、イベント・行事のさらなる充実を図る
イベント・行事のさらなる充実を図る、PR 活動の強化
景観の向上
サインの充実
■植物を活用した景観(④)
■河川敶で町の施設 PR(⑥)
既存施設の利活用で提案したように、町民グラウンドに植物を設けるこ
河川敶周辺は町民グラウンドや水と緑の広場といった運動広場が存在す
とで葉が色づき、利根川の風景を味わいながら季節を感じることができる。
るが、それら人が集まる場所に町の施設マップを設置することで PR をす
また、河川敶の法面を緑化することもでき(図 4-(1)-3)、河川敶に新たな親
ることができる。通過交通が多い所に設置することで、町中央部への流入
水空間を形成することができる。
を促す。また、グラウンド周辺にはグラウンドの利用申請方法を掲示する
ことで、初めて訪れた人たちにも利用方法が容易に伝えることができ、利
■清掃・管理活動による景観向上(⑤)
用促進を働きかけることができる。
河川敶周辺のガードレールの清掃など、身近なことから景観を保つこと
ができる。他の自治体で行われているように、周辺緑地の管理を住民や小
学校の課外活動などで行うことで地域の人たちによる景観形成ができ、自
然と触れ合う場だけではなく地域内交流の場ともなる。
■既存サインの再整備(⑦)
町全体のサインのデザインは統一されていることで、地域性を表現する
こともできるが、町の既存観光マップは新旧デザインがばらばらであり、
壊れかけたものや、管理が行き届いていないようで古びてしまっているも
のも多い。そのため新規リニューアルを図り、町民の愛着がわくような新
規デザインを計画することで、住民・観光客双方に対してメリットとなる。
【写真引用】
http://pottering.blog9.fc2.com/?date=200711
http://blog.goo.ne.jp/remico/m/200702/?st=0&
page=3
図 4-(1)-3 法面緑化のイメージ
http://ock-n.jp/product/nikken.htm
図 4-(1)-4 各提案の考えられる位置づけ
図 4-(1)-5 プラン構想図
プラン(2) 栄町サイクルアクティブプラン
背景:もったいない資源
ねらい:さまざまなメリットの享受
栄町のあらゆる場所において、自転車で巡るにふさわしい開放感あふれ
自転車は交通手段としては環境負荷が他の交通手段と比べて著しく尐な
る道の存在や、自然豊かな景観、交通量の尐ない地域など、自転車利用に
い乗り物であることに加え、運動という観点からそれらの利用による健康
好ましい条件が多く存在する。何より大きな特徴として、栄町には 2 つの
面でのメリットも注目すべき要素のひとつである(表 4-(2)-1)。そのような
大規模自転車道の存在があり、サイクリストたちの町周辺のコンビニ等へ
流れの中、これからの時代において自転車を利用したまちづくり・観光は
の立ち寄りや町中の走行が見受けられ、利用の実態が確認できる。
もはや必須の事項であり、むしろ今やらなければ他の都市に遅れをとって
自転車関連市民団体については「さかえサイクリングクラブ」とレンタ
しまい、そのことによる町民の利益の損失があってはもったいない。しか
サイクル事業を展開している「水と緑のチャリくるさかえ」の存在があり、
し、ブームが起こっているとはいえ、まだまだ本気でこの課題に取り組む
どちらも今後のさらなる活躍が期待される。
ことができている自治体は尐ないのが現状である。規模の小さな自治体で
現状では、以上のような魅力ある地域資源を十分に活かし切れているとは
あればなおさらだ。以上のような状況から、この課題に先んじて取り組む
言えない。したがって、遠いようで意外と身近に存在し、様々な可能性を
ことにより、町のPR効果に寄与し、新しい時代へと向けた魅力的なまち
秘めた自転車という手段を利用した観光アクションプランを考案するに至
をつくることができる。そこで、栄町も自転車利活用のシステムを確立し、
った(表 4-(2)-1)
。魅力を最大限活用し、多くの町民の参画や、町民の方々
町民が将来にわたって過ごしやすくするための自転車まちづくりを行って
の自転車に対しての意識や認識を高めることができれば、地域活性化につ
いくことを提案する。
ながるのではないだろうか。
表 4-(2)-2 自転車活用のメリット
表 4-(2)-1
1
栄町サイクルアクティブプラン
基本方針
個別方針
地域内外の交流を活性化
させる取り組みの推進
観光・居住基盤の整備
栄町
方針との関連表
イベント・行事の
さらなる充実を図る
隣接市町村との
交流を図る
安全・快適な交通基盤の
整備
観光施設の整備・強化
徒歩
自転車
車
沿道の景色を楽しむ
◎
◎
×
自転車は栄町
移動距離・時間
×
○
◎
の規模に
小回り
◎
○
△
サイクルアクティブプラン
新規自転車イベントの開催
サイクリングガイドツアーの敢行
各種交通機関の連携
チャリの駅等、拠点の整備・連携
疲労度・肉体的負担 徒歩 > 自転車 > 車
ちょうどよい
具体的な取り組み:手段としての自転車利用
■サイクリングルートの設定・整備および案内板・サインの充実
本プランでは栄町における各所の集客能力を活かし、徒歩、自家用車、
印旛沼サイクリングロードから長門橋間の自転車道の整備計画に見切り
鉄道、カヌーなど、あらゆる交通手段から自転車への乗り換えとその利用
をつけ(こちら側は印西市)、実際の利用ルートである大芝土手沿いと利根
の促進を図り、それに伴う自転車の新しい利用法や新たなる観光拠点を整
水郷ラインの安食地区の自転車交通と歩行者交通に安全で快適な道路の整
備することを主な取り組みとする。それ以外にもハードとソフトの両面の
備を行う。この整備とトイレ・休憩所の設置、サインの充実等により栄町
プログラムによって自転車利用がもたらす様々な恩恵(健康によい、環境負
中心部へのサイクリストの引き込みを目指す。本プランのみに関わらず、
荷が尐ない等)を最大限享受する取り組みを展開する。
多くの観光基盤の整備において観光案内板、分かりやすいサインの整備等
は必須の条件であり、町のPRにも直結する重要な事項である。加えて英
隣接市町村との交流を図ります、観光施設を整備・強化します
語など海外言語での表記の挿入によって、海外観光客向けの基礎的な基盤
チャリの駅等、拠点の整備・連携
整備を行うことにも繋がる。表記するだけならほとんどお金がかからない
ので、需要のあるなしに関わらず盛り込んでおきたい要素である。
■「チャリの駅」の整備
既述の背景を踏まえ、あらゆる交通手段による立ち寄りと、それぞれの
目的を持つ多様な人々が複数のアクテビィティを行うことのできる複合観
光施設を整備する。場所は和田の印旛水門、ふじみ橋付近を想定し、トイ
レ、休憩所、レストラン、直売所、コンビニ、レンタサイクルステーショ
ン、長門川のカヌー利用、イベントの開催、サイクリングターミナルのよ
うな自転車利用者にうれしい設備、観光案内、駐車場など、実に多くの利
用方法が見込まれる。近隣には町民グラウンドもあり、地域内の人々と地
域外の人々の両方の利用が見込まれる。房総のむら、安食駅、チャリの駅
の 3 地点による拠点整備により、拠点同士の連携や訪問客の移動ルートの
確立、それぞれの拠点からの町中観光が可能になる(図 4-(2)-1)
。
図 4-(2)-1 拠点と交通連携
隣接市町村との交流を図ります、安心・安全な交通基盤の整備を行います
拠点や各施設、店においてポイントカードなどでポイントをためることが
各種交通機関の連携
でき、たまると何か素敵な特典が受けられるという仕組みをつくる。各自
治体が連携の下様々な受け入れ先の確保が必要。
■レンタサイクル運営事業
①レンタサイクル運営団体・規模の拡大
■「ラックバス」の導入
既存のレンタサイクルの運営団体である「水と緑のチャリくるさかえ」
バスの前方または後方に自転車専用のラックを取り付け、乗降客の自転
はその活動こそ継続しているものの(図 4-(2)-2)、人手不足や後継者不足に
車を人と共に移動させることの出来るシステムの導入を目指す。買い物先
悩んでおり、その運営の改善策が必要とされる時期にさしかかっている。
や通勤・通学先などで自分の自転車を使用でき、町民と外部の両方の利用
活動自体は大いに有用性のあるものであると判断できるので、さかえサイ
者が見込まれる。
クリングクラブや町の自転車屋などと協力した自転車活動推進連合(仮)
を作り、他の活動団体や役所との更なる協力の下自転車に関する施策やイ
ベント、レンタサイクルの整備などにおける強力なサポート体制の確立を
目指す。
■「サイクルトレイン」の実施
JRと協力して、電車に自転車をそのまま乗り入れて移動することの出
来る輪行サポート体制を確立する。安食駅の構造上、都市部の大規模な駅
に比べて容易だと思われる。
②乗り捨て可能な場所の設定と隣接市町村との協力
栄町におけるレンタサイクルは、各地点において相互に乗り捨て可能な
システムづくりの展望こそあるものの、実現に至っていない。運営団体の
強化・発展と共に、周辺地域の駅や町中の施設などにレンタサイクルステ
ーションの設置を協力して行い、地域内外を対象にしたきめ細かな利用の
実現を目指す。
③「レンタサイクルポイント」の導入
栄町、印西市、成田市において今後実施される可能性のあるレンタサイ
クル事業、または社会実験およびその他の試みにおいて、どこから利用し
たかに関わらず栄町においてのレンタサイクルの利用があった場合、観光
図 4-(2)-2 レンタサイクル実施の様子
橋の利用である。
イベント・行事のさらなる充実を図ります、隣接市町村との交流を図ります
サイクリングガイドツアー・イベントの実施
■「田んぼ激走タイムトライアル」の開催
■「サイクリングガイド」の養成
安食地区、下埜の交差点付近から矢口団地に渡って伸びる直線コースを利用
町民の観光活動(おもてなし)への参加という視点から、町民主体のサ
して、自転車走行タイムトライアルイベントを開催する。ただ直線を全力で走りぬ
イクリングガイドの養成を図る。ガイドの養成はふれプラなどを用いてサ
けるだけという単純明快なものであるので、特別必要な設備や資金などはない。
イクリングガイド養成講座を開催し、最初はサイクリング関連団体等に協
必要だとすれば交通整理くらいか。距離別、年齢別などいくつかのカテゴリーに
力を要請するなどして、自転車についての知識、栄町のご当地検定、ガイ
分かれ、それぞれの部門ごとにタイムを競い合う。使用する自転車も数種類考え
ドの心得などについて学ぶ機会の創出を図る。講座の修了者にはガイド認
られ、仮装自転車部門、タンデム自転車(二人乗り自転車)部門など、やり方によ
定を与え、それぞれのイベントやツアーにガイドとして参加してもらう(図
っては非常にユニークなものとすることも可能である。
4-(2)-3)
。
■各種サイクリングガイドツアーの敢行
ツアーの例: 布鎌八十八ヶ所巡りサイクリングガイドツアー
安食里山マウンテンバイクガイドツアー
栄町歴史探訪サイクリングガイドツアー
町内外広域サイクリングツアー 「町チャリ!」
等
~参考事例案 「町チャリ!」~
栄町、利根町、河内町の 3 つの隣接する町をフィールドに、食、歴史、レ
ジャーなどを目的としたサイクリングコースの設定およびツアーを行う。
利根町、河内町においては鉄道が通っておらず、集客施設および能力がな
いため、本プログラムの拠点は栄町とする。ツアーの起点は安食駅または
チャリの駅。
食がテーマの場合はレンタサイクルもしくは自前の自転車で 3
つの町において飲食店巡りや食材集めを行った後、集会施設で料理などし
て試食会を行う。ハード面の考慮すべき事項は、若草大橋の利用と常総大
図 4-(2)-3 サイクリングガイドツアーの順序
図 4-(2)-4 プラン構想図
プラン(3) 水に学び、親しむ観光まちづくりプラン
背景:栄町における水害の歴史
栄町は印旛沼、利根川に囲まれ、豊かな水資源を有するまちであり、地
元住民にとっても水辺は魅力的な地域資源として位置づけられている。
ねらい:地域の全体の意識改革と水資源の有効活用
本計画の第一のねらいは、地元住民と地域全体のまちづくりに対する意
識改革である。前項でも述べたように、地元住民の水資源に対する意識に
しかし、その一方で、栄町において水資源は魅力であると同時に、水害
は様々な矛盾が存在し、今後、栄町の観光を推進していく上での障害にな
をもたらす脅威でもある。この矛盾は、先人達の水害と戦い続けてきた歴
ることが推測される。そして、第二のねらいは、水資源を栄町の地域資源
史が、この土地に刻み込まれていることを象徴している(図 4-(3)-1)
。
として魅力的に活用することである。
そのため、
“栄町観光基本計画”や、
“栄町・水と親しむ地域づくりマス
したがって、本計画では以上のねらいを踏まえて、栄町の水資源を基軸
タープラン”など水資源の魅力向上を掲げた計画がこれまでにも策定され
とした、イベント・行事の充実や、教育活動、観光施設の整備、強化等を
ているが、河川敶における面的な基盤整備段階に移ると、様々な理由から
掲げている。なお、計画の基本方針、個別方針への対応については、表 4-(3)-1
水資源に関する施策は実現できないまま、策定した計画すら忘れ去られて
に示す通りである。
しまう現状に置かれている。
表 4-(3)-1 水に学び、親しむ観光まちづくりプランの個別方針
基本方針
地域資源の管理に寄与した
取り組みの推進
図 4-(3)-1 利根川の氾濫(明治 28 年)
出典:小倉博編(2002),「目で見る 成田・印西・白井・富里・印旛の 100 年」
個別方針
水資源の活用
具体的な取組み
≪地元住民の意識改革≫
栄町水防散策マップの作成
イベント・行事の
栄町治水の風景作品展の実施
地域内外の交流を活性化
さらなる充実を図る
印旛沼レンタル・ヨウサイ園事業
させる取り組みの推進
まちについての
≪水資源の魅力向上≫
教育の強化
長門川・将監川遊覧ボート事業
観光施設の
長門川・将監川周辺の環境整備
整備・強化
栄町河川敷ドッグランの整備
観光・住居基盤の整備
水資源の活用、まちについての教育の強化、イベント・行事のさらなる充実を図る
地域全体の水資源に対する意識改革
「栄町治水の風景作品展」とは、町内に点在する治水にまつわる風景に
ついて、絵画・写真・映像・文学等の作品を町内で公募し、作品展を行う
イベントである。このイベントは、子どもからお年寄りまで多くの人が参
栄町には、治水のための土木構造物が数多く存在し、水害から人命や財
加することを想定し、普段の生活ではあまり気にすることのない治水事業
産を守るための整備が古くから行われている。しかしながら、治水事業は
に、芸術という媒介を通して触れることで、安全・安心な生活に治水事業
住民にとって身近なものであるにも関わらず、公共事業であることから、
が関与していることを知ってもらうことを目的としている。
親しみを持って接している人は尐ないと言える。
そこで、本計画では、治水や利水の観点を活用した親水施策の必要性に
ついて提案する。
さらに、このイベントで集まった個々の作品は、一つの作品集としてま
とめ、参加者に配布する。作品集を配布することで、参加者自身の視点だ
けでなく、他の参加者の視点から栄町の治水事業について見つめ直すこと
が可能となり、より深く関心を持ってもらうことが出来ると考えられる。
■栄町水防散策マップの作成
地元住民を対象として、栄町の治水事業、災害対策から親水施策への転
換を図るため、
「栄町水防散策マップ」の作成を提案する。
「栄町水防散策マップ」とは、町内に点在する水に関する土木構造物を
地図上にプロットした上で、散策用のコースを設定したものである。さら
に、散策用のコースだけでなく、プロットされた土木構造物にまつわる歴
史や機能などを分かりやすく説明した図表と文章、栄町のハザードマップ
や地区別の災害時の避難場所なども同じ紙面上に掲載する。
■印旛沼レンタル・ヨウサイ園事業
地元住民を対象として、栄町の利水、水環境について関心を持ってもら
うために「印旛沼レンタル・ヨウサイ園事業」の展開を提案する。
現在、印旛沼では佐倉市のNPO法人、印旛野菜いかだの会が、ヨウサ
イの水耕栽培によって水質浄化や環境教育に取り組んでいる。
ヨウサイとは、ヒルガオ科サツマイモ属の植物であり、別名エンサイ、
中国語で空心菜や通菜とも呼ばれ、食用として利用されている。ヨウサイ
したがって、このマップは、栄町の治水事業を理解するためだけのマッ
の特徴としては、湿地等で成育し、水面に茎を浮かせて進出する。暑さに
プではなく、地元住民が生活していく上で必要となる災害対策マニュアル
強く、水上で栽培すると大量に根を伸ばし、水をよく吸収することから、
として機能することも目的としている。
近年、湖沼での水質浄化活動によく利用されている。
印旛沼の水質悪化は、印旛沼の生物相だけではなく、水道水の匂いなど
■栄町治水の風景作品展の実施
地元住民を対象として、栄町の治水事業について、関心を持ってもらう
ために「栄町治水の風景作品展」の実施を提案する。
栄町の利水事業にも強く影響している。そこで、他自治体のNPOとの協
働によって、ヨウサイ栽培用のレンタルいかだを栄町の住民も参加できる
ように整備することを提案する。また、この事業は、印旛沼の水質浄化に
るのではなく、他の地域資源を活用したアクションプランと関連させるこ
加えて、栄町と他自治体との交流の促進も目的としている。
とで、レクリエーションの形態に幅を持たせることを目的としている。
水資源の活用、観光施設の整備・強化
■長門川・将監川周辺の環境整備
魅力的な地域資源としての水資源の活用
前述の「長門川・将監川遊覧ボート事業」に伴い、
「長門川・将監川周辺
の環境整備」の実施を提案する。
栄町には、自然環境豊かな河川が存在し、現時点でも多くの人々がレク
リエーション活動の場として利用している。しかしながら、その大部分の
人々が個人的に活用していることに留まっており、水資源を地域資源とし
て観光まちづくりにうまく組み込めているとは言い切れない面がある。
したがって、観光資源として十分なポテンシャルを秘めている栄町の水
長門川・将監川から眺める風景は、水資源の一つであるが、セイタカア
ワダチソウなどの外来種や枯損木が目立ち、良好な風景を損ねている。
そこで、河川周辺の風景の連続性を確保することを目的とし、河川周辺
の環境整備を積極的に行い、地域資源の質を向上させるための整備を提案
する。具体的な整備内容は、堤防の除草や枯木の撤去、サクラ並木の維持
資源を、より魅力的にするための具体案を提案する。
管理や大芝土手におけるシバザクラの植栽等である。
■長門川・将監川遊覧ボート事業
■栄町河川敶ドッグランの整備
観光客を対象として、栄町の水資源の魅力を十分に楽しんでもらうため
に「長門川・将監川遊覧ボート事業」を提案する。
地元住民や周辺地域住民を対象として、地元住民と周辺地域の住民の交
流拠点として「栄町河川敶ドッグランの整備」を提案する。
長門川・将監川は自然環境に恵まれ、水上レクリエーションに適した河
現在、栄町において、ドッグラン専用の施設は存在しない。周辺自治体
川である。しかし、現時点では、川釣り客を対象とした個人経営の貸しボ
の印西市においては、千葉県立公園北総花の丘公園内にドッグランが整備
ートや、個人所有のボート乗り場のみが整備されている状況であり、観光
されているが、あくまで公園の付属物であり、公園利用者と犬連れでの公
客が気軽にボート遊びを楽しめる施設整備は不足している。
園利用者が混在している昨今の公園の利用実態を踏まえると、ドッグラン
そこで、河川敶の各地点にボート乗り場や休憩所、駐車・駐輪場等を整
に特化した施設の需要は高いことが考えられる。
備し、貸しボートによるレクリエーション事業を提案する。また、ボート
そこで、現在、利用用途が定まっていない若草大橋近辺の水防訓練跡地
から眺める水辺の風景を楽しむだけではなく、栄町の里山整備で発生した
をドッグラン施設として整備し、今後の栄町の観光交流拠点とすることを
タケを利用し、観光客自身の手で作成したオリジナルの竿で船上での釣り
提案する。水防訓練跡地は周辺自治体との中間地点に位置しているため、
イベントを実施することを提案する。これは、水資源の活用だけで完結す
上述のドッグラン施設を巡る動向に加えて、町内の交流人口の増加に寄与
すると考えられる。さらに、同施設の整備だけではなく、トイレやカフェ
などの休憩施設を設置し、利用者の滞在時間の延長や、飼い主とペットが
参加できる競技会などを定期的に開催し、栄町において、多くの人々が何
度も訪れたいと思う場所として定着させることを目的としている。
図 4-(3)-2 プラン構想図
プラン(4) 水に関する歴史・文化体験ツアーによる布鎌活性化計画
・プランの背景
栄町は周囲を水に囲まれているため、水に関連する歴史が多く存在する。平成
10 年 3 月に策定された「栄町観光基本計画」では水との関わり合いの深い町とし、
その重要性を認識している。そして「水を知る拠点」ということで、栄町の水辺の
環境を利用し、水について学ぶ「知水公園」が計画されたが、実行には移せてい
ない。水環境を利用したレジャーとして、ドラゴンカヌーや釣堀が存在するが、昔
の人と水の関わりや歴史を知ることができる活動や施設というのは少ない。
栄町の中でも、水と人の関わりによって生まれた文化や風景が、今もなお残っ
ている地域が布鎌地区である。布鎌地区は周りを河川に囲まれ、芋の形をした島
であったことから「芋島」と呼ばれていた。また、古くから水害に悩まされてきたた
め、水塚や輪中堤防、布鎌の中で行える八十八ケ所巡りといった、水との関わり
の歴史を残すものが多く存在している。
・プランのねらい
図 4-(4)-1 プランの流れ
前項で述べたとおり、水に関係する多くの歴史・文化資源を持つ布鎌地区で
表 4-(4)-1 プラン個別方針
あるが、「名前は知っているが行かない」「そもそも布鎌を訪れる理由がない」との
布鎌地区以外の栄町住民の話のように、布鎌に関しての情報とそれを知る機会
が少ないことが現状である。
したがって、本アクションプランでは、布鎌地区の紹介とともに地域資源を巡る
体験ツアーを行う。体験ツアーを通して、まず布鎌という地区、そこに残る栄町の
水と人の関わりが感じられるものを伝えていく。また、布鎌の魅力を掘り起し、発
見する過程を経て、住民側にも参加者側にも、布鎌に残る資源を守っていくべき
ものとして、今後の維持管理の意識形成に繋げる(表 4-(4)-2, 図 4-(4)-3)。
基本方針
テーマ
取り組み
地域資源の管理に寄与した
取り組みの推進
歴史・文化資源の活用
体験ツアー実施
他行事との連携
地域内外の交流を活性化
イベント・行事のさらなる充実
させる取り組みの推進
を図る
観光・住居基盤の整備
観光施設の整備・強化
ツアーの活用
ツアー受け入れ体制の強化
布鎌地区における地域資源の活用
体験ツアーの実施~水に関する歴史・文化の体験~
■体験ツアーの実施
水と人との関わりを感じられるものを取り上げて、ツアーのプログラム
に取り込む。主なものは歴史・文化資源であるが、そこから派生した布鎌
全体の資源も扱う。ツアーの進め方は、ガイドが付き添いで案内し、各体
験プログラムを行う場所を回りながら、布鎌の歴史などの説明を行う。
■ツアープログラムの充実
布鎌に存在する水との歴史に関する資源、それを伝える人などを発掘し、
それらを組み合わせてツアーの企画を練り、プログラムの充実を図る(図
4-(4)-2, 4-(4)-3)。
ツアー例①:水との闘いと人々の信仰に触れる
水害に対する不安から信仰の対象となった八十八番大師のもとに向か
図 4-(4)-2 ツアー企画のための要素
い、八十八ケ所巡りの体験や寺の見学を行う。途中、豊かな田園風景の
中を通りながら、水との闘いを象徴する水塚が集まる地域に向かい、見
学と所有者の話を聞く。
ツアー例②:水の恵みを感じる布鎌の農業体験ツアー
水害に苦しめられてきた布鎌の人々は、一方で水の恩恵を受ける農業
に支えられてきた。稲刈りや田植えといった作業だけでなく、
「水の大切
さ」というテーマから水田耕作のための水の奪い合いという話、
「田んぼ
で獲れた食材はどこへ行く?」というテーマから直売所の紹介や地元の
調理法の紹介などをプログラムに組み込んでいく。
図 4-(4)-3 ガイド、所有者の役割
イベント・行事のさらなる充実
住みやすく観光できる基盤の整備
他行事との連携とツアーの活用
拠点整備や人材育成を通じたツアー受け入れ体制の強化
■水神社秋季大祭の充実
毎年 10 月 23 日に行われる布鎌惣社水神社秋季例大祭では、布鎌小の子
どもが参加する奉納相撲大会が行われ、多くの人で賑わう。現在は、子ど
■ツアーガイドの養成講座開講、プログラム受け入れ先の検討
ツアーを先導し、布鎌についての情報を提供するガイドの養成と、水塚
所有者や農家など、プログラムの受け入れを行う人材の発掘を行う。
もの部だけであるが、成田空港を利用する外国人など、布鎌住民だけでな
くツアー客も参加できるよう「大人の部」を設け、お互いの交流も兹ね、
地域の祭りに参加する機会をつくる。また、参加者の増加に伴い屋台の出
店数も増やし、賑わいの充実を図る。
■布鎌への入り口整備
大鷲神社周辺の道は道路幅が狭い上に交通量も多いため、「通りたくな
い」という話を多くの町民から聞いた。そこで、安食駅利用者や町民が布
鎌を訪れる際に整備するべき場所として、長門橋・大鷲神社周辺の道路の
■芋島新聞の発行
ツアーを行う前に布鎌の情報、ツアー実施後にその様子を外に向けて情
報発信し、布鎌とツアーの存在を広める手段として「芋島新聞」を発行す
る。
拡幅を行う。また、安食駅の他に小林駅利用者も考えられるので、栄町に
誘導するサイン等の整備が必要である。
また、銚子―我孫子を結び水戸街道につながる国道 356 号と利根川サイ
クリングロードを資源として捉え、印旛水門・ふじみ橋周辺に自動車・自
転車利用者を対象とした観光拠点を整備する。
■校外学習の一環として
栄町や町外の小中学生の校外学習の一環として、このツアーを活用する。
■中間拠点としての農産物直売所の整備とサイン整備
農業体験や水塚巡りなど、本プランのツアー内容と同じであるが、成果物
布鎌地区におけるトイレや休憩所が尐ないという現状に対し、地域食材
としてガイドマップや看板など、町内の小中学生の協力により、ツアーの
の直売という役割だけでなく、トイレや休憩所を兹ね備えたツアーの中間
充実を図る。
拠点として農産物直売所を整備する。また、ツアー以外での来訪者も観光
しやすいように、お大師様や寺社仏閣の説明板や道案内の看板を増やし、
統一感の向上を図る。
図 4-(4)-4 取組みの優先順位
図 4-(4)-5 プラン構想図
プラン(5) 地域農業振興プラン
背景:農業の衰退
現在栄町では「水と緑の田園観光都市」を基本構想に掲げ、まちづくり
を進めている。その中でも基幹産業である農業は、栄町の経済基盤を支え
ると共に「田園風景」を守る重要な資源であると言える。
しかし現在栄町の農家は、大多数は兹業農家であり、農業をやめたい、
もしくは縮小したいという人が 24%となっている。高齢化や後継者不足、
表 4-(5)-1
基本方針
直売所活性化プラン個別方針と取組み内容
個別方針
地域資源の管理に寄与した
取り組みの推進
食資源の発掘・活用
直売所の活性化
海外の安い農産物の流入による価格競争などの問題もあり、このままでは
農業が職業として自立できず、さらに衰退していくと考えられる。
地域内外の交流を活性化
イベント・行事の
販路の拡充
させる取り組みの推進
さらなる充実を図る
地域農業の周知
担い手の育成
ねらい:地域農業の振興
栄町には直売所が点在し、特にドラムの里にある「四季彩館」と布鎌地
取り組み
観光・住居基盤の整備
観光施設の整備・強化
区にある「とれたて産直館 栄店」は JA 西印旛が運営し、栄町内では比較
的大きい直売所である。このように栄町では、地域内で農産物を流通させ
る拠点が存在し、地域農業を推進する基盤ができているといえる。
これらの直売所は、栄町産農産物の新たな販路の拡充や地域農業の周知、
さらには農業の担い手育成の窓口としての役割が期待できる。
農業を守り栄町の経済基盤や田園風景を守るためにも、今後さらに直売
所を活性化して農業に活力を生み出し、地域農業を振興していくことが重
要である(表 4-(5)-1)
。
食資源を活用しイベントの充実および観光施設の整備
~農業に目を向けよう~
直売所の活性化
「ドラムの里」
現在ドラムの里では「木もれ日レストラン」と、直売所の「四季彩館」
が運営されている。
■食材情報の明確化
「木もれ日レストラン」では冷凍加工食品は使用せず、毎日手作りで料理
を提供しており、自家栽培農園で野菜作りも行っている。
しかしその食材情報の発信が不足しており、地元産の農産物を使ってい
る事を周知できていない。
現状として「のら市」が存在するが、直接農産物を持ち込んで販売するよ
りも、店頭に立つだけの方が、負担が尐ないと考えられる。
自家栽培農園からの野菜はもちろん、不足分の食材は地元農家から直接
仕入れ、店内掲示やメニュー表などに、使われている食材の産地がわかる
「とれたて産直館栄店」
情報を乗せるようにする。そうすることで、立ち寄った観光客がレストラ
■生産地と生産者の見える化
ンに入るきっかけとなり、集客につながる。
四季彩館と同様、生産者による直接販売を行う機会を設ける。
また生産地情報の充実化を図り、検索端末を設ける。それにより、生産
■料理情報・地場産業の発信拠点
地元産農産物を使った料理を提供すると共に、料理教室などを開催し、
積極的に地元産農産物料理を周知していく。旬の地元食材を使ったレシピ
開発の拠点にもなる。
また農産物に限らず、せんべいや黒豆甘納豆などの加工品等、栄町産の
地や周辺環境の画像等の情報、また生産者のおすすめ品や料理法などにつ
いても調べられるようにする。
さらに、生産地ツアーを開催し、実際に商品が生産されている畑を見学
することができるようにする。そうすることで特に近隣市街の主婦層にお
いて地元農産物への関心や信頼が高まり、商品の売り上げにつながる。
ものを広く扱う。そしてその商品がどこでどのように生産されているのか、
などの情報を発信するために「工場見学会」などを実施し、地元住民や観
光客が地場産業を知るきっかけづくりを行う。
■休憩ポイントとしての整備
布鎌直売所の付近には国道 356 号が走り、サイクリングコースもあるた
め、ツーリングやサイクリング、ドライブをする人が多く通る。
■農家朝市・夕市の定期開催
店内に貼ってある貼り紙によって、農家の顔と自慢の農産物が把握でき
るようになっている。しかし農家が直接店頭に立って販売することはない。
そのため、農家の方が一定時間のみでも販売に携わる機会として、朝市・
夕市を設ける。
消費者と生産者が直接対話をするきっかけになり、生産者は消費者に自
分の商品の売りを伝えることができ、逆に消費者は生産者に自分たちの欲
している商品を要望することができるため、生産意欲の増進につながる。
そのため休憩ポイントとして立ち寄れる場所に整備することで、新たに
客を呼び込む。カフェレストランを併設し、お茶やコーヒーなどのドリン
クはもちろんのこと、スポーツドリンクや軽食等もそろえておく。
また八十八ケ所めぐりや水塚など、布鎌の歴史や伝統を伝える情報拠点
としても整備することで、布鎌地区の観光にもつながる。
食資源を活用および観光施設の強化
~栄町産農産物の流通強化~
販路の拡充
■農家と就農希望者のマッチング
後継者不足の農家の担い手育成と就農希望者支援のため、農家と就農希
望者をマッチングする機会を設ける。
■スーパーなどに直売所コーナーを設置
管理されなくなってしまった農地を持つ農家と就農希望者が登録をし、
マルエツ・ナリタヤなどの大型スーパーマーケットに、農産物直売所コ
マッチングを図ることで、遊休農地の減尐が期待できる。
ーナーを設置する。ただしここでは、食材のみの販売とし、広く加工品を
表 4-(5)-2 プラン別優先順位
扱う四季彩館や布鎌直売所とは差別化を図る。
高
優先順位
→
低
ドラムの里
■駅前直売所設置
現在 JA 西印旛が運営している直売所はドラムの里・布鎌地区の 2 か所
である。しかしドラムの里へは安食駅からバスで 10 分かかる。また、布鎌
地区の直売所へは国道356号バイパスよりすぐだが、公共交通機関での
アクセスはほとんどない。
木もれ日
レストラン
四季彩館
とれたて産直館
そこで、安食駅前に直売所の設置を提案する。
栄店
駅前という立地から在来の直売所よりも利便性が高く、日常的に電車を
利用する通勤通学者などより多くの人に直売所の利用を促進できる。
地域内外の交流の活性化
←
~農業を継ぐために~
●食材情報の明確化
●料理教室
●工場見学会
●朝市・夕市
●生産地情報の充実化
●生産地ツアー
●休憩ポイントとしての整備
スーパー等
●直売所コーナー設置
地域農業の周知・担い手育成
安食駅
●駅前直売所設置
■中高生対象の民泊・農作業体験
農業を守るためには、多くの人に農業や食に関心を持ってもらい、その
重要性を知ってもらうことが必要である。そこで地元の子供たちに農作業
を体験してもらうことで、地元の農業に興味関心を持ってもらい、食への
関心を高める。
その他
●民泊・農作業体験
●マッチング
図 4-(5)-3 プラン構想図
想図
プラン(6) 里山活用プラン―さかえまちの自然を満喫しよう!―
背景:栄町の里山の今
栄町東部には、栄町唯一の里山があり、それに入り組むように多くの谷
津田が残されている。
また、栄町の町民の方に話を伺っていると、「里山は大切な資源である。
でも普段は暗くて一人では歩かない」といった声が聞かれた。
里山白鳳の道を整備する活動に参加させていただいた。この活動は、元々
道であったところを道として保つことを目的としていている。しかし、せ
っかく整備を行なっているのに、ほとんど住民の方々に利用されていない。
麻生地区にある医療施設の建設(予定)跡地、担い手がいなくなること
で耕作放棄される谷津田、こういった場所はゴミの不法投棄や産業廃棄物
の置き場となってしまう可能性がある。
里山を保っていくためには人間の手を入れ、維持することが不可欠であ
る。
しかし、以前のような生活と密着した里山の利用、例えば燃料のために
木を切りだしてくるといった利用法は、現代の生活において非現実的な利
用法である。
そこで、栄町の里山が開発により排他的な場所へと姿を変える前に、町
民の方々はもちろんのこと、観光にくる方々にも栄町の自然を楽しんでも
らえるような場所になる提案を行いたい。(図 4-(6)-1)
都会から訪れる人には栄町の自然を体験してもらう場所、栄町の町民に
とっては自分たちの住んでいる町についてより良く知ることのできる観光
里山を提案する。
図 4-(6)-1 里山概念図
ねらい:
以下の 3 つを同時並行で進めていくことで、栄町の里山を魅力ある場所
へとしていく(表 4-(6)-1)。
①里山に人々を呼びこむ
栄町の東部をまんべんなく散策できる、駅からハイキングコースを利
用し、新しいウォーキングマップをつくる。
・都会から訪れた人は、栄町の自然でリフレッシュできる。
・栄町の人々は栄町への愛着が生まれる。また、整備された里山やウォー
キングコースを利用することができる。
・里山に人々が訪れるようになり、里山に人の目が行くようになり、不法
投棄や乱開発が減る。
・なにより、自然が多くの人に利用され、価値が高まる。
②魅力づくりのための整備
栄町の里山・谷津田といったみどり資源を生かし、自然を満喫できる
以上のことが、効果として考えられる。
ような憩いの場を創出する。また、里山整備に関わっている方々に作業
していただく。作業の費用等を尐しは賄うことのできるような事業を展
開する。
③PR 活動
数ある栄町のイベントが一目でわかる、イベントカレンダーを作成す
る。里山で行われる行事等も記載する。
表 4- (6)-1 里山活用プラン、基本方針・テーマとの関係図
基本方針
地域資源の管理に寄与した
取り組みを推進します
るために整備を行う。そして、③によって PR を行い、より多くの人に里
山を訪れてもらえるようにする。
住みやすく、観光できる基盤
を整備していきます
該当事項
みどり資源を活用します 魅力づくりのための整備
地域内外の交流を活性化さ イベント・行事のさらなる充
せる取り組みを推進します
①により里山へと人を呼び込む要素を作成し、②で魅力を更に増加させ
テーマ
実を図ります
PR活動の強化を図ります
里山に人々を呼びこむ
PR活動
イベント・行事のさらなる充実を図ります
―里山に人々をよびこむ―
駅からウォーキングコースを利用したウォーキングマップ作成
■駅からウォーキングコースの活用
他の地区からたくさんの人々が訪れる駅からウォーキング。このコース
は田んぼや谷津田、里山、房総のむら・ドラムの里と、栄町の東部をまん
べんなく感じながら歩くことのできる道だ。最初から「里山」だけを訪れ
るのはハードルが高いと思われるので、まずは里山が盛り込まれたウォー
キングコースを歩くことで、里山に触れてもらう。安食駅から出発し、安
食駅に戻ってくる。既存のウォーキングの会の方々にツアーを開催してい
ただいても良い。栄町に無数に存在するウォーキングマップの統率版とし
て、マップを完成させる(図 4-(6)-2)
。
■バス道、レンタサイクルの利用
ウォーキングで全部歩くのはちょっと…という人へ向けて、ウォーキン
グマップに安食内を循環するバスや駅前で借りることのできるレンタサイ
クルの情報を記載する。
図 4-(6)-2 ウォーキングマップイメージ
みどり資源を活用します
―魅力づくりのための整備―
里山・谷津田といったみどり資源の活用
里山の周りに多く存在する谷津田は、その多くが現在も使われているが、
中には耕作放棄されているものもある。耕作放棄された谷津田は、長年放
置すると元の状態に戻すのはとても難しい。そこで、谷津田をお借りし、
里山整備団体やボランティア等による景観整備的な耕作を実施する。
■里山展望台の設置
駅からハイキングの際に「さとやま見晴台」を訪れ、あまりの展望のな
さにがっかりした。せっかく月に一回集まっている活動があるので、活動
の際に展望台を作成する。里山の外からも見えるような展望台を作成する
■拠点整備
里山展望台の他に、里山で作業をする際に拠点となる場所を創出する。
ここで体験学習等を行う。
ことで、「あれはなんだろう?あそこに行ってみよう!」と思わせる(図
4-(6)-2)
。
■案内板・トイレ等の設置
駅からウォーキングで歩いた際に①道順が分かりにくい(当日はスタッ
■里山自然観察会の開催
駅からウォーキングの際に、花の写真と名前がラミネートされたものが
フ配置)②ふれあいプラザさかえ~龍角寺の間にトイレがない③道の途中
に休むような場所(ベンチ等)がないということが問題点だと感じた。以上の
花のそばに置いてあり、とても興味を持った。里山の植物だけではなく、
ことから、案内板やベンチ等をコースの各所に設け、マップには「休憩所」
道の歴史などと一緒にガイドツアーを開くことで、より多くの人々に里山
「お弁当ひろば」などとして記載する。
に訪れてもらうことができる。
■竹や木材を使った体験学習
山の手入れを行った際にでた間伐材を使って工作教室を行う(例:お箸
づくり、キャンドルたてづくり)
。
■堆肥づくり
里山にピットを作成し、堆肥を制作し、イベント等で販売する。
■谷津田利用
図 4-(6)-3 里山展望台イメージ
PR活動の強化
―PR活動―
さかえまちイベントカレンダーの作成
■さかえまちイベントカレンダーの作成
栄町の自然の風景をおさめた写真を市民の方から公募し、カレンダーを
作成する。カレンダーには既存のイベントの日程等を予め盛りこんでおく
(図 4-(6)-4)
。それにより、既存のイベント全体を把握することができる。
カレンダーを栄町の町民に対して配布(販売)することで、より多くの町民の
方々にイベントに参加してもらうことができる。
図 4-(6)-4 さかえまちイベントカレンダーイメージ
図 4-(6)-5 プラン構想図
プラン(7) 龍角寺古代歴史公園化構想
背景:
地域独自の観光地づくりを行っていくにあたって、地域の歴史はその土
地にしかない、他には変えられないものである。また、全国的にみても平
取り組み:
歴史・文化資源の活用
歴史的脈絡に基づいた公園、地域づくり計画の策定
成 20 年に歴史まちづくり法が施行されたように、地域らしさを出していく
上で地域の歴史を踏まえ、それらを地域資源としたまちづくりが行われる
ようになっている。
■地域づくりの方針の転換
創建年代による歴史・文化財の分類調査、また栄町や房総半島の歴史調
栄町の龍角寺は 709 年創建という関東随一の古代寺院であり、地域の強
査から、この地域が古代に房総半島の中心として最も栄えていたこと、一
力な歴史資源の1つである。しかし、現状を見ると龍角寺の持つ歴史的脈
ノ宮神社やその周辺の集落と龍角寺、古墳などとの間に何らかの関係があ
絡が反映された観光地、地域づくりが行われていない。特に、房総風土記
ることが示唆された。しかし、現状は房総のむらありきでの観光地づくり
の丘、岩屋古墳といった古墳群は龍角寺との関係が深いとされているにも
となっており、個々がバラバラに扱われてしまっている。今後は、地域の
かかわらず、龍角寺との繋がりは感じられず、現状は房総のむらの付帯施
歴史に重きを置き、地域づくりを計画していく必要がある。
設となってしまっている印象が強い。
ねらい:
このような背景から、今後は龍角寺を中心とした古代を地域の特徴と捉
え、歴史的な脈絡、資源を活かした観光地づくりを行っていく必要がある。
本プランではその実現に向けた取り組み、また地域の魅力向上を図ってい
表 4-(7)-4 基本方針および個別方針との関連
基本方針
個別方針
地域資源の管理に寄与した
歴史・文化資源
取り組みの推進
の活用
まちについての教育
くことをねらいとし、最終的に龍角寺を中心とした周辺地域が古代歴史公
園化されることを大目標として掲げ、それに向けた具体的な取り組みの提
案を行う。
地域内外の交流を活性化
の強化
させる取り組みの推進
隣接市町村との
交流の強化
観光施設の
観光・住居基盤の整備
整備・強化
■研究会設置による歴史調査の推進
取り組み№
1 ,2
3
4
5
この地域の歴史は、岩屋古墳が誰のために作られたのか、そもそもこの
地域がなぜ古代に栄えたのかなど、未だ謎のまま残されているものが多い。
まちについての教育の強化
矢口・北辺田獅子舞見学ツアーの実施
地域の歴史に根差した公園、地域づくりを進めていくにあたって、これら
を解明していく必要がある。そのため、考古学の専門家等を巻き込み、龍
角寺地域歴史研究会を設置する。
■伝統文化である獅子舞の観光への活用と継承
矢口・北辺田の獅子舞は地域の伝統的文化として今後も守り伝えていく
べきものであり、栄町の観光プログラムとしても魅力あるものである。ま
歴史・資源の活用
た栄町民の中にも獅子舞が栄町内で行われていることを知らないという意
古墳アート、埴輪の里親プログラムの実施
見も聞かれた。そのため、この獅子舞を観光資源として活用し、ツアーを
行うと共に後世へと伝統文化を継承していく。
■古墳景観の美化
この地域には多くの古墳群が存在する。現状では、整備が行き届いてお
■獅子舞ツアーガイドの養成、募集
らず、古墳の作り出す景観は雑然としたものとなっている。そこで、古墳
ツアーを行っていくにあたって地域の獅子舞文化について、その謂れや
を地域住民や観光客の作ったオブジェや埴輪、また植物を植えるなどして
成り立ちなどを解説する人材は必要である。そのため、獅子舞ツアーガイ
装飾するプロクラムを提案する(図 4-(7)-1)
。
ドの養成もしくは募集を行い、このイベントの担い手を確保する。
■房総のむらでの古代体験プログラムの強化
房総のむらでは多種多様な体験プログラムが行われている。その中で、
今回の古代公園構想のコンセプトに合致した、古代体験プログラムの強化
を図っていく。例えば、既存の埴輪作りを埴輪の里親制度とし、作成した
埴輪で古墳を装飾するプログラムへの発展や、作製した土器で食事ができ
るプログラムなどが挙げられる。
ツツジ植栽による古墳装飾:栃木県
埴輪による古墳装飾:房総の風土記の丘 龍
塚山古墳(宇都宮市 HP より引用)
角寺 101 号古墳
図 4-(7)-1 古墳景観の美化の取り組み事例
■公園の観光マップ、歴史ガイドブックの作成
地域内外との交流を活性化させる取組みの推進
歴史的広域連携の展開
既存のガイドマップを参考に、より観光の際に使いやすいマップを作成
する。また、既存の歴史文献は解りづらいものが多い。教科書のように編
■一ノ宮~三ノ宮神社ツアー、龍サミット、獅子舞サミットの実施
一ノ宮、二ノ宮、三ノ宮神社、龍角寺、龍腹寺、龍尾寺の龍伝説にまつ
纂し、誰でも親しみやすいものを作り、地域の歴史の理解を深める。また、
この歴史教科書を観光ガイドブックとしても活用する。
わる 3 寺社、北総地域に見られる獅子舞の文化など、行政区域を越えて関
わり合いのあるものを持つ隣接市町村と連携したイベントの開催や情報交
換、交流を行うことでこれらの歴史・文化遺産の後世への継承を図る。
■歴史案内人の養成、募集
房総のむらで、歴史ガイドが行われているが、謎の多い龍角寺周辺地域
の歴史全般、面白さを伝え、ガイドする人材は尐ないと考えられる。その
ため、歴史案内人を養成、募集し歴史観光ガイドを確保する。
観光・住居基盤の整備
龍角寺周辺地域の魅力の向上
■ドラムの里のパークセンター化
■龍角寺周辺地域の景観づくり
ドラムの里を公園の情報発信基地、歴史観光ガイドの待機地などとして
龍角寺を中心とした龍角寺周辺の地域について、景観づくりセミナーを
整備することにより、房総のむら、龍角寺、一ノ宮神社などを繋げる拠点
開催し、その後町民協働で景観計画、条例づくりを行うことで景観形成を
としての役割を果たす施設とする。また、レストラン、土産物品の充実及
図る。また、同エリアのシンボルとして龍角寺社内の景観再建も行う(図
び強化も行う。
4-(7)-2)
。
■里山の散策道の整備
景観学習
景観づくり
セミナー
景観まちあるき
イベント
景観まちづくり
協議会の結成
景観計画策定
および
景観条例制定
活動の見直し
とスパイラル
アップ
景観形成アクション
プログラムの策定
里山に散策道を整備し、一ノ宮神社から龍角寺間の自然体験エリアとし
て活用する。
景観づくり活動
ゴミ拾いイベント
植栽、植樹、
花壇活動
図 4-(7)-2 龍角寺周辺地区の景観づくりの手順
アクション
プログラム
の実施
構想図および取り組み場所:
計画範囲は、歴史的な繋がりを重視し、その他、土地利用や集落等の状
況を見ながら決定した。また、 公園の顔である龍角寺周辺地区を景観形成
ゾーン、観光拠点として整備するドラムの里を観光拠点施設とした。そし
て、里山を自然体験エリアとし散策道を整備することで一ノ宮神社から龍
角寺間のレクリエーション導線を確保し、計画範囲内の主軸レクリエーシ
ョン導線は一ノ宮神社~岩屋古墳とした。
今後、他のプランとの連携により、安食駅等の交通拠点からの観光客の
呼び込みを行う必要がある。
表 4-(7)-2 取組みの優先順位
取り組み№ 内容
取り組み順位 取り組み№
取り組み順位
1
地域づくりの方針転換
◎
4
龍サミット
△
1
研究会設置による歴史調査
の推進
○
4
獅子舞サミット
△
2
古墳景観の美化
房総のむらでの古代体験
プログラムの強化
伝統文化である獅子舞の
観光への活用と継承
獅子舞ツアーガイドの
養成、募集
一ノ宮~三ノ宮神社ツアー
◎
5
◎
◎
5
龍角寺周辺地域の景観づくり
公園の観光マップ、歴史ガイド
ブックの作成
○
5
歴史案内人の養成、募集
○
△
5
ドラムの里のパークセンター化
◎
○
5
里山の散策道の整備
2
2
3
4
◎
◎
◎:短期的に取り組む事項
○:中期的に取り組む事項
△:長期的に取り組む事項
表 4-(7)-3 取り組みと場所の対応
図 4-(7)-3 プランの構想図
プラン(8) 安食駅周辺 活性化プラン ~健康の輪・ぴんぴんころりの安食 ~つなごう!ぼくらの成田道 ~うごけ栄町
背景:安食駅周辺地域活性化による栄町が抱える問題の解決
尐子高齢化に伴う人口の減尐、住宅地の過疎化、外部への人の流出、交
通の不便さは栄町の抱える問題である。とくに、安食駅周辺は空き地が多
く、閑散とした印象を受ける。そこで、本プランでは、安食駅周辺部を中
心的な対象地として、以下の 3 つの案を提案する。
①健康の輪・ぴんぴんころりの安食
め、時代の変化に合わせ、町のソフト面を変化させていくことが重要と考
える。住民は、生活基盤の確保を望んでおり、住民が健康で満足に暮らせ
るまちづくりが必要である。
健康とは、人が充実感や満足感を持って日常生活を送ることができるこ
と(価値観的健康:Quality Of Life)である。したがって、人が健康であ
るといえるためには、ひとりひとりの人生の内容や質、社会的に見た生活
・健康ウォーキングコースの作成とウォーキングイベント
の質、人間らしい生活や自分らしい生活を送り、人生に幸福を見出してい
・移動販売車 『しょいこ号』の運行
るかが重要となる。そこで、人々が幸福を感じられる可能性のある様々な
・健康ウォーキングイベント×『しょいこ号』
選択肢を増やし、自分の生きがいや役割を見つけることが出来る健康のま
~宣伝のためのメディアとしての『ゼッケン』活用~
ちづくりについて提案する。
②つなごう!ぼくらの成田道
・Design of NARITA-MICHI
・小学校 × 地域による町の活性化
・地域と子供をつなぐ地域通貨
③うごけ 栄町
・
「のら市」による町の活性化
②つなごう!ぼくらの成田道
安食小学校や栄中学校では、職業体験が行われるなど、地域との交流を
深めたいという姿勢がうかがえる。
そこで、現在行われている職業体験をさらに発展させて子供たちにまち
づくりに参加してもらうことを提案する。子供たちにまちづくりに関わっ
てもらうことで、子供たちの保護者や子供たちを日頃から見守っている近
ねらい:
隣の高齢者たちを巻き込むことが期待でき、結果的に多くの住民の手によ
①健康の輪・ぴんぴんころりの安食
って栄町の活性化を図ることができるのではないだろうか。また子供たち
ぴんぴんころりとは、ぴんぴん生きて、ころっと死ぬという理想的な生
がまちづくりに参加することで自分たちの地元に愛着を持つきっかけづく
き方、死に方のことである。それを為すためには、お年寄りが社会に参加
りになり、地元離れを防ぐことで栄町の活気を維持することができると考
し、人と関わることが必要である。
えられる。
背景に挙げた栄町の問題はいずれも時代の変遷に起因している。そのた
③うごけ 栄町
る。このような場では、多くの人々が交流できるものの、現状の「のら市」
背景に挙げた栄町の問題の拡大を防ぐため、
「人が動ける」をコンセプト
は開催場所が固定されているため、特定地域の住民しか交流しにくいとい
に、住民が暮らしやすく、住民同士の交流が図れるまちづくりを提案する。
う一面もある。そこで、
「のら市」を各地域で開催することにより、買い物
毎月、ふれあい広場で開かれる「のら市」は、地元の野菜や特産品の販
難民をなくし、町全域の住民の交流を促すまちづくりについて提案する。
売だけでなく、子供への昔遊びの伝承、音楽発表、青空教室なども行われ
表 4-(8)-5 基本方針および個別方針との関連
基本方針
個別方針
歴史・文化資源の活用
地域資源の管理に寄与した
取り組みの推進
具体的な取り組み
・移動販売者「しょいこ号」の運行
・「のら市」の複数エリア開催
・成田道の整備
・「のら市」の複数エリア開催(川沿いエリアにおける「のら市」の開催)
水資源の活用
・健康ウォーキングコース作成およびウォーキングイベントの開催
みどり資源の活用
イベント・行事の
さらなる充実
地域内外の交流を活性化させる
取り組みの推進
まちについての教育
の強化
・「のら市」の複数エリア開催
・地域通貨の運用
・小学校と地域の連携強化(小学生による成田道などの植栽管理、商店街での職
場体験など)
・移動販売者「しょいこ号」の運行
隣接市町村との交流の強化
・成田道の整備
安全・快適な交通基盤の整備 ・「のら市」エリア間を結ぶコミュニティバスの運行
観光・居住基盤の
整備
・成田道の整備
観光施設の整備・強化
PR活動の強化
・ウォーキングイベントにおける「ゼッケン」による地元生産物の宣伝活動
・地域情報誌を活用した「のら市」情報、成田道周辺の商店情報の発信
取り組み:
健康の輪 ~ぴんぴんころりの安食~
身体的健康
健康ウォーキングコースの作成とウォーキングイベント
■健康ウォーキング
日々のウォーキングによって、ウォーキング仲間などの新しいコミュニ
ティがつくられ、身体的健康が向上していく。また、田園風景・歴史的風
景・生活風景など栄町の魅力を再発見し、栄町への愛着が育つだろう。栄
町で活動している NPO 法人「まちづくりサポートひと・まち倶楽部」が作
成したウォーキングコース(図 4-(8)-1)を歩いてみると、栄町の素朴な良
さが感じられた。しかし、本来のコースから外れる田んぼ道からの眺めも
大変気持ちがよく、是非田園地帯もコースに入れるべきだと考えた。そこ
で、現地調査をもとに栄町の魅力を感じることができる場所・道を選定し、
従来のウォーキングコースをベースに新たなウォーキングコースを作成し
た(図 4-(8)-2)
。約 4.5km のこのコースは、旧成田道、神社、豊かな田園
風景、ふれあいプラザや団地を巡り、安食の新旧の魅力が十分に味わえる
コースとなった。このウォーキングコースは日常の散歩道としての利用だ
けでなく、栄町が主催するウォーキングイベントでの利用も目的としてい
る。イベントを通じて、ウォーキングを始めるきっかけができ、イベント
準備等へ住民団体が参加することであらたなコミュニティづくりが期待で
きる。
図 4-(8)-1 従来のウォーキングコース
図 4-(8)-2 新健康ウォーキングコース
健康の輪 ~ぴんぴんころりの安食~
社会的健康
移動販売車 『しょいこ号』の運行
■成田線には背負子を背負った行商さんがいた
関東大震災以降、農産物の不足から千葉と東京を結ぶ行商が盛んになっ
た。ここ安食駅からも背負子を背負ったおばさんがたくさんいて、都会に
野菜などを売りに出ていた。
『しょいこ号』による移動販売は、背負子文化
の現代版である。栄町の古い住宅街では高齢化が進み、買い物難民のお年
寄りが生まれてきている。
『しょいこ号』は買い物難民の問題を解消し、買
い手、売り手、作り手をつなぎ、新たな交流の場を創出する(図 4-(8)-3,
4-(8)-4)。また、歴史ある背負子文化を伝えることで、栄町の歴史に興味が
湧き、町への愛着に繋がることだろう。
『しょいこ号』による販売は公園で行う。これによって公園に近隣住民
が集まり、住民同士の交流が盛んになり、古い住宅地の住民と団地の住民
図 4-(8)- 3 『しょいこ号』の移動ルート
のコミュニティが重なるきっかけをつくる。また、印西市など、近くの市
町村との交流にまで発達させることも可能である。
図 4-(8)-4 『しょいこ号』の仕組み
健康の輪 ~ぴんぴんころりの安食~
身体的健康 × 社会的な健康
健康ウォーキングイベント × 『しょいこ号』
~宣伝のためのメディアとしての『ゼッケン』 活用~
もっとつながりをもたせよう。そこで、健康ウォークイベントでランナー
が着用するゼッケンを利用し、ゼッケンに『△△の出荷者です』や『○○
をつくっています』などの宣伝活動をする提案をしたい(図 4-(8)-5)
。商品
購入者も『□□をいつも買っています』などとゼッケンに書くと出荷者と
■健康ウォークイベントでの『しょいこ号』出荷者による宣伝活動
購入者のコミュニケーションはますます盛んになるだろう(図 4-(8)-6)。
移動販売車「しょいこ号」は、生産者と消費者というつながりを演出す
る。しかし、商品に顔写真とちょっとした説明を付けたとしても、一方通
行のコミュニケーションである。生産者と消費者が知り合いになるぐらい、
図 4-(8)- 5 ゼッケンによる宣伝活動
図 4-(8)- 6 健康ウォークイベント × 移動販売車
つなごう!ぼくらの成田道
この広いスペースを子供の遊び場とすることができるようにした。
Design of NARITA-MICHI
■オープンスペースの3要素~緑陰・ベンチ・掲示板~
緑は人に安心感を与え、人が休める空間を創る。しかし、栄町には田畑
や緑が多いにもかかわらず、生活空間である成田道周辺には頭上を覆うよ
うな緑はほとんどない。また、成田道周辺には座って休める場所もほとん
どない。オープンスペースにベンチを設置することで、高齢者も散歩がし
やすくなり、周辺で遊ぶ子供たちの見守り役となるだろう。さらに、掲示
板を設置することによって、オープンスペースは小学校や各種団体の活動
の発表の場や、市の開催等の連絡の場として活用されることになる。そこ
で、本プランでは、オープンスペースの要素として、緑陰、ベンチ、掲示
板を設定する。
(図 4-(8)- 7)
。
■安食駅南口ゾーン(図 4-(8)- 7 A)
安食駅前は現在樹木のない空間である。そこで、ロータリー内の芝生を
生垣で半周囲い、その中に樹木を植え、休憩所とする。なお、下段は傾斜
をつけ、歩行者にも花がよく見えるようにする。また、街路樹は幅員の広
い歩道の中心に植え、イベント時に緑陰に出店することを可能にする。
■安食駅北口ゾーン(図 4-(8)- 7 B)
安食駅北口は閑散として、駐輪場および駐車場に囲われている。そこで、
地面に芝生を用い、花壇のそばに樹木を植栽することで花壇の縁をベンチ
として利用できるようにする。また、中心にある勾玉上の特徴的な空間は
霧を発生させる装置を設置し、夏でも人を呼び寄せる楽しげな空間にし、
図 4-(8)- 7 Design of NARITA-MICHI
■石碑設置ゾーン(図 4-(8)- 7 C・D・E・F)
旧成田道を示す石碑はこの場所を特徴づける重要な役割を担っているが、
現状ではほとんど顧みられていない。
そこで、石碑の置かれている場所に新たなオープンスペースを計画・設
計する。
図 4-(8)- 8 Design of NARITA-MICHI・安食駅南口ゾーン
図 4-(8)- 9 Design of NARITA-MICHI・安食駅北口ゾーン
図 4-(8)- 10 Design of NARITA-MICHI・石碑設置ゾーン
つなごう!ぼくらの成田道
照)で発表する。通りかかる人や休憩している人の目にもとまり、より
小学校 × 地域による町の活性化
多くの人に小学生と商店街の活動を知ってもらうことができる。
②休憩所の管理
成田道と駅前広場の休憩所(Design of NARITA-MICHI 参照)に植栽
■安食小学校と地域の関わり
安食小学校(図 4-(8)-11)は周りを竹林に囲まれた山のてっぺんにある。
した植物や設置した掲示板の管理を小学生が行う。これを授業のプログ
古くから郷土の人々に愛され育まれてきた学校で、保護者や地域住民との
ラムとして組むことで環境教育や管理の継続を図ることが可能となる。
協力体制が出来上がっている(図 4-(8)-12)
。
③掲示板
各休憩ポイントに設置した掲示板は、小学校での職場体験や総合学習
など地域に関わる学習の情報発信の場や、子どもたちの描いた絵や地域
の人の趣味の発表の場として利用される。
④イベント
職場体験の延長として、地域の人たちの協力を得て、イベント時に子
図 4-(8)-11 安食小学校
図 4-(8)-12 祭礼で御輿をかつぐ子どもたち
どもたちによる出店を設ける。
⑤商店街
■小学校 × 地域による町の活性化のための5つの提案
職場体験のほか、イベント時の出店や、地域通貨の利用などで、商店
・地域の活動に子どもたちが直接関わることで、子どもの親も引き込む。
街と小学生が長期的な関係を持つ。また、駅前や休憩所の掲示板に商店
・地域の人が休憩所を積極的に利用することで、子供たちを見守る体制を
街の情報を掲載することによって商店街を地域のなかにより浸透させる。
つくる。
・掲示板を利用して地域のことを知る。
・子どものうちから地域活動に携わることで地元に愛着をもつ。
以上のような狙いから、
「小学校 × 地域による町の活性化」は、5つの
提案を行う。
①職場体験
6年生は毎年6月に地域の商店街等で職場体験を行っている。そこで、
職場体験で学んだことを休憩所の掲示板(Design of NARITA-MICHI 参
つなごう!ぼくらの成田道
多い店」のような称号を掲げることができる(図 4-(8)-14)。
地域と子供をつなぐ地域通貨
■地域通貨「ドラム」
地域通貨とは、あるコミュニティー内でお金や商品券と同じような価値
を持つものとして発行・使用される貨幣である。地域通貨の利用により、
買い物の際の割り引きなど、様々なサービスを受けることができる。
栄町地区内限定で地域通貨「ドラム」を発行し、地元の商店で買い物す
る際や、おまつりやフリーマーケット、のみの市などのイベント時に、子
供たちが利用する。商店やイベントに子供たちの足を向けさせることによ
り、地域と子供たちを結びつけ、栄町のことを子供たちが知るきっかけに
なることを狙う。
■地域通貨「ドラム」の仕組み
「ドラム」を利用すると、商店でくじ引きをすることができる。くじ引
図 4-(8)-13 地域通貨の貯め方・使い方
きはお菓子をもらえたり、さらにドラムがもらえたり、はずれが出たりし、
子供たちが楽しみながら商店の人と交流できる仕組みになっている。イベ
ント時には「ドラム」の還元率が大きくなったり、割引が受けられたりす
るなど、子供たちがより楽しめる工夫をする。
「ドラム」は、通常時はボランティア活動、くじ引きで当たりが出るこ
とで貯めることができる。イベント時にはゴミ拾いイベントに参加したり、
フリーマーケットで出品したり、体験教室やワークショップに参加するこ
とで貯めることができる(図 4-(8)-13)
。
子供たちが利用した「ドラム」は、半年に一回、商店ごとに集計し、そ
の総計が多い上位3商店は役場から表彰を受け、店先に「子供との交流が
図 4-(8)-14「ドラムにおける」子供・商店・役場の関係性
うごけ 栄町
「のら市」による町の活性化
■川沿い(そのほかの住民のエリア)
川沿いは、自然に囲まれ、景色がよく、季節を通して過ごしやすいエリ
アである。本エリアを「のら市」の開催場所として有効活用する。本エリ
■うごけ 栄町
地域の持つ特色に応じて、栄町を3つのエリアに分けた(図 4-(8)- 15)。
本プランでは、買い物難民をなくし、町全域の住民の交流を促すため、各
アにあるスダジイの大木は「のら市」のシンボルツリーとして機能する。
また、自然・川を利用したドラゴンカヌーなどのイベントも開催すること
により集客を期待できる。
エリアで「のら市」を開催し、これらの地域をつなぐことを提案する(図
4-(8)- 16)
。地域をつなぎ、「のら市」に参加してもらう機会を増やす手段
としては、地域情報誌で、各「のら市」のお知らせ、成田道周辺の商店の
紹介、
「のら市」が開催される各エリアの紹介、「のら市」運営ボランティ
アの募集などを行う。また、各エリアをつなぐコミュニティバスを運行さ
せることを提案する。
■安食駅前(旧住民のエリア)
安食駅前は旧住民が多く住むエリアである。駅前のため、交通の便が良
く、外部の人が来やすい立地環境のほか、近隣の成田道周辺の商店や駅南
側の農家が「のら市」に出店しやすいというメリットもある。
図 4-(8)- 15 特色に応じて分類した3エリア
■ふれあい広場(新住民のエリア)
ふれあい広場は新住民が多く住むエリアにあるが、元からの「のら市」
の開催場所でもある。
「元祖のら市」としてもともと参加者の多い「のら市」
であり、地域に十分浸透しているため、NPO 団体など本エリア外の住民か
らの出店も見込むことができる。
図 4-(8)- 16 各エリアにおける「のら市」の開催と連結
Fly UP