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特特集集 - 日本マテリアル・ハンドリング(MH)協会

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特特集集 - 日本マテリアル・ハンドリング(MH)協会
インタビュー:省エネ推進委員会の活動について
特集:環境戦略への挑戦
● 物流企業が環境ビ ジネスに取り組む方法!
● パナソニックグループグリーンロジスティクスの推進
● 大和ハウス工業が取り組む環境省エネ型物流施設
「Dプロジェクト高島平」
● 環境新時代のパートナーへ
● セラミック建材
「ガイナ」の可能性
快適な住・労働環境の実現と省エネルギー対策の現実
● 使用済みストレッチフィルムのグローバル資源循環システム
MHジャーナル
264号(新春号)
目次
2011.JAN
年頭所感 新しいMHハンドブックを企画
日本MH協会 会長
(東京工業大学名誉教授) 秋庭
雅夫 ………2
新春随筆 ……………………………………………………………………………………………3
インタビュー ………………………………………………………………………………………6
省エネ推進委員会の活動について
日本MH協会 省エネ推進委員会 委員長 唐下 実
特集
環境戦略への挑戦 ……………………………………………………………………1
7
寄稿文
●物流企業が環境ビジネスに取り組む方法!………………………………………18
株式会社 船井総合研究所 シニアコンサルタント 橋本 直行 氏
●パナソニックグループグリーンロジスティクスの推進…………………………22
∼物流パートナー様との連携∼
パナソニック株式会社 グローバルロジスティクス本部
CSR・環境チーム チームリーダー 金城 佐和子 氏
●大和ハウス工業が取り組む環境省エネ型物流施設………………………………28
「Dプロジェクト高島平」
大和ハウス工業株式会社 東京建築事業部
営業部 村上 泰規 氏
●環境新時代のパートナーへ…………………………………………………………34
パナソニック電工株式会社 電材マーケティング本部 電材商品営業企画部
カスタマークリエイトセンター センター長 池田
淳 氏
●セラミック建材「ガイナ」の可能性………………………………………………40
快適な住・労働環境の実現と省エネルギー対策の現実
株式会社 日進産業 小田 貴志 氏
●使用済みストレッチフィルムのグローバル資源循環システム …………………………44
MOTTO株式会社 代表取締役 倉持 幸司 氏
〔連載〕
MH基礎講座‐6
●入荷トラックの所要レーン数 ………………………………………………………48
― MHとモンテカルロ・シミュレーション ―
日本MH協会 会長 秋庭 雅夫(東京工業大学名誉教授)
MH基礎講座‐7
●資材供給:MHシステムの設計 ……………………………………………………50
― MHシステムの企画と設計の手順 ―
日本MH協会 会長 秋庭 雅夫(東京工業大学名誉教授)
国土交通省からのご案内 ………………………………………………………………………52
奥付 ………………………………………………………………………………………………54
Material Handling Journal No.
264
1
年 頭 所 感
日本 MH 協会 会長
新しいMHハンドブックを企画
秋庭
雅夫
(東京工業大学名誉教授)
ヘンリー・フォード(1
8
6
3−1
9
4
7)は、製造工程
ら米国・欧州に渡った。1
9
6
5年に企業・協会・大学
間で製品を作業者が押して移動させていたのをコン
から視察団・長期研修に加わった専門家を中心に6
1
ベヤによる機械搬送に置き換えた。そこにワークス
名が執筆して「運搬管理便覧」
を当協会が刊行した。
テーションを設け、作業者は「あのライトは自分が
1
9
8
7年には運搬管理から MH に観点を展開し、「マ
取り付けたのだ、その出来栄えを見て欲しい」と誇
テリアル・ハンドリング便覧」に改訂した。前回は
りと責任を持つようになった。そして、それぞれの
大学側9名であつたが今回は4名、企業・協会側も
コンベヤは同期生産方式によりタイミングを繋げ、
5
2名が1
1名と、執筆を依頼する専門家が少なくなっ
一貫して生産が進められるようにして、良質・廉価
たことを記憶している。
の自動車の大量生産が実現した。ここに単に運ぶだ
けではない一つの MH がある。
以前、このジャーナルで紹介したが、1
9
5
0∼6
0年
代のアメリカでは、非常に多くのスーパーマーケッ
協会は新たに MH の現状と経営に対する役割・
貢献を明確にするために、例えば次のような観点に
基づく「MH ハンドブック」を編纂することを意図
し検討を始めている。
トを抱える集配センターに、次から次へと大型トラ
① MH は流動、荷役、保管、包装、制御といっ
ック・貨車が来て、資材をどんどん降ろしていく。
た機能・機器により、資材を動かす仕事の基盤
それが集配センターの中に吸い込まれるように搬送
を構築していく技術である。
され、保管され、取り出され、仕分けられ、別の口
② 物流・生産は、構内・構外を通して、MH で
からどっと方面別・店舗別に搬出されて、氾濫した
構築された基盤を用いて資材を運ぶ計画を立
洪水のように資材が通り過ぎていく。これを荷役は
て、作業を行い、統制して、配送を行い、運用
荷役、搬送は搬送、保管は保管と個々別々に扱って
の実績を挙げる経営活動である。
いたので、とてもこれだけの資材は捌ききれないの
従って、MH の高度化は、物流・生産による経営
で、一貫して資材を取り扱うべき仕事の基盤を築く
実績を向上させ、また物流・生産効率化に対する経
技術“MH(マテリアル・ハンドリング)
”
が必要と
営の要請に応えられるように、資材取扱い小口化へ
なった。
の対応、変動に対する弾力性の増大、ハンドリング
そこでは、入荷する資材は既にユニット・ロード
精度・速度の向上、資材情報共有化の充実などなど
がパレットに載せられており、フォークリフトでそ
MH 技術・機器の発展を推進し経営に貢献していか
のまま運び込み、保管棚に入れ、取り出し、必要で
なければならない。
あれば小口化し、コンベヤ類で運搬し、仕分け、出
そこでハタと気付いたのは、執筆を依頼すべき
荷する。MH の基本は、このユニット・ロード・シ
MH の専門家が大学側にも企業側にも極めて少なく
ステム、バレッチゼーション、セルフローディング・
なったことである。MH 技術管理士を含め、以前の
マシン、コンベヤ類の一体的な構成にある。
ように MH を語り合う仲間を少しでも増やしてい
1
9
6
0年頃、運搬管理の視察団・長期研修が日本か
2
MH ジャーナル
平成2
3年1月
くことが今年の課題かもしれない。
新 春 随 筆
年頭に思うこと
日本MH協会副会長
ソーシャル・
ロジスティクスに注目
酒井 寿治
日本MH協会 副会長
(
日産自動車株式会社
常務執行役員
)
新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます。世界を駆け
巡った金融問題以降、昨年は緩やかな景気回復基調にあ
りましたが、昨今の急激な円高がその流れに大きな影を
落とした年でもありました。振り返りますと日本の「も
のづくり」は複雑な時代影響を受けながらグローバル化
して来ました。8
0年代の貿易摩擦とプラザ合意以降の円
高対応としての海外進出、BRICs に象徴されるマーケ
ットの地理的変化に対応する海外進出、そして今回の円
高による「ものづくりの」の海外シフトを中心としたグ
ローバル化です。「ものづくり」の海外シフトをグロー
バル化と呼ぶかは論議のあるところですが、継続的な企
業成長のために変化する環境への適合は必要な事です。
こうした状況下、弊社では日本販売のマーチをタイ工
場での生産に切り替える等の対応をいち早く取ってきま
した。一方で、「日本のものづくり」の付加価値を継続
的に向上する事にも挑戦してきました。例えば、GPEC
(グローバル生産技術センター:座間)
では、グローバル
に生産する新型車両を開発初期段階から一貫して試作・
評価を行い、グローバル量産工場へ最適な状態で移管す
る業務を担っています。すなわち、日本での「ものづく
りノウハウ」を新型車両を通じグローバルに展開する役
割を持たせています。また、日本の各工場には、それぞ
れに、「品質リーダー」
、
「コストリーダー」
、
「先進技術
リーダー」としての機能を持ち世界をリードする役目を
担っています。すなわち、日本のものづくりの強みであ
る高い技術、蓄積されたノウハウ、強いチームワークで
「世界に発信し続けるマザー工場として、付加価値の高
い日本工場」になろうとしています。ここで工場での
MH を 考 え て み ま し ょ う。日 産 の 物 づ く り の 基 本
(NPW:日産プロダクションウエイ)は同期生産にあ
ります。これはお客様納期に同期して生産を行う事です
が、工場では組立ラインへの部品供給もその車両に必要
な部品が台車で同期して供給されます。一方でこうした
供給方式を部品サプライヤー様から実行するとトラック
等への積載率が悪化する問題もあり、工場納入は一括大
量(高充填率)輸送で CO2削減に努めています。工場
MH が生み出す付加価値は「一括大量輸送された部品」
を「車両生産に同期して部品供給」するところにあり、
この変換を効率的に実施するのが日本で開発出来るノウ
ハウなのです。そして MH が NPW を支える基礎の一つ
となっているのです。一見、矛盾した目標・取組みに思
えるかもしれませんが、「困難が挑戦するマインドを作
る」とポジティブに理解すれば、今がまさに遣り甲斐あ
る時期です。そう信じる事で、新しい年をより実り多き
ものに出来ることでしょう。最後に皆様のご健康とご発
展を祈念し筆を置きたいと思います。
!橋 輝男
(早稲田大学 名誉教授)
アジアをめぐってコンテナの扱いが増えている。だ
が、かつては圧倒的に優位にあった日本港湾の扱い量
が、香港、上海、釜山などにくらべ、東京が世界の2
4位、
横浜は2
9位と振わない。国をあげて回復につとめようと
しているのだが、果して妙案はあるのか? 2
0
1
0年5
月には日中韓物流大臣会合が中国の成都で開催された。
そこではシームレス水陸一貫輸送や物流情報の相互連携
など、協調関係に話が及んでいる。最近では TPP 協定
の兆しもある。アジアにグローバル化の波がヒタヒタと
打ち寄せている。1
9
9
8年の日本物流学会は統一テーマ
としてソーシャル・ロジスティクスを掲げて、問題を論
じた。活動が一つの企業というビジネスの枠を越えて、
今や社会的な視点でのシステム化が求められるようにな
ったのである。
ソーシャル・ロジスティクスは“不特定多数の企業や
人に関わる物の動き(としておこう)を対象とするロジ
スティクスの基盤を公共の機関が(中心となって)計画
し、使用を支援する。港湾はもちろん鉄道や高速道路、
一貫パレチゼーション、環境保全システム、ISO 規格、
さらに公にオーソライズされた政策、ガイドライン、目
標、推進体制などもここに含まれる。私もかつて運搬車
両の標準化やメタノール車導入の基盤作りの調査研究、
食肉や野菜の流通システム開発などに関わったことがあ
る。これらはビジネス・ロジスティクスを含むソーシャ
ル・ロジスティクスである。これは企業や個人の活動を
支援する。不特定多数の集団が参画するから、計画の組
織も複雑になり、意思決定の方法も難しい。権限と責任
の所在が不明確になり易い。変化に対するフレキシビリ
ティが要求されると共に計画がぶれるのも困る。波及効
果を論理的に解析することも大切だ。それにしても設計
の方法がまだ確立しているとは思えないので、着々とそ
して早急にこれをまとめる必要がある。
さらに従来のロジスティクスは物を扱ってきた。それ
に対してソーシャル・ロジスティクスはそれだけでよい
のか、という疑問がおこる。チリの銅鉱山での落盤事故
における救出は一種のソーシャル・ロジスティクスであ
る。ここでは食糧やテレビなども供給したが、人々の救
出のためには人の流れを主に考えた。かつてハイパービ
ル計画に参画したことがある。これは1
0
0
0m のビルを
モデルに種々の課題発見を図ろうという活動であった。
8万人の居住者の移動はもちろんだが、食糧などは外部
からも運んだ。上下水道はこのビル内で還流させた。そ
れは物と人の流れが統合化された世界であった。病院で
も観光ツーリングでも人と物の流れがあわせて考えられ
ねばならない。議論はあろうが、それがソーシャル・ロ
ジスティクスだとしてはどうか。昨年の新春随筆でも人
を含むシステムのことを書いた。そして、今年もまたそ
れを強調している私である。
Material Handling Journal No.
264
3
新 春 随 筆
「明るく、元気に」
一歩前へ
日本MH協会 副会長
日本MH協会 副会長
大庫 良一
小林 史男
(
オークラ輸送機株式会社
代表取締役社長
)
あけましておめでとうございます。
リーマンショック直後の暴風雨が過ぎ去り、本年3月
期は増収増益を確保できる見通しです。しかしながら、
急速なスーパー円高、世界経済の減速、内需政策効果の
息切れなど、本年を取り巻く環境は厳しさを増していま
す。おそらく暫くは、景気後退局面と粘り強く戦ってい
くことが経営に求められています。
そのためにはむろん「我慢の経営」も不可欠ですが、
あくまで景気後退局面を市場の前提とした、「攻め」に
転じなければ閉塞状況は打破できません。本年は“明る
く、元気に!”を前面に打ち出し、大きく変化する市場
に立ち向かっていく覚悟です。
幸い、危機を乗り切るべく昨年から断行した構造改革
が、少しずつ成果に結びついてきました。改革の主眼は
“お客様目線”での事業活動です。お客様のあらゆるニ
ーズ・ウオンツに専門分野のプロスタッフが素早くお応
えしていく「叩けば響くオークラ」の体制整備です。具
体的には、製品別の縦割り型組織から、市場(顧客)別
の横割り型組織に見直しました。市場別の組織にするこ
とで、社員の意識改革に加え、営業・エンジニアリング
から製造、工事据付まで、お客様の目線で終始一貫した
対応ができます。本年はこの改革をより強化し、より実
効あるものにしてまいります。
国内の各メディアは内需の縮小を煽っていますが、
我々の周辺には元気の良い企業が溢れています。衣食住
関連、通販業界、さらに農業、介護、環境などのビジネ
スも拡大が見込まれております。“お客様目線”での取
り組みで1件1件を丁寧に開拓していく考えです。
一方で国内の収益基盤を固めながら、今後大きな成長
が見込めるアジア、中でも中国での土台作りも進めてま
いります。昨年末に開設した中国初の生産拠点がいよい
よスタートします。工場現地化により、中国市場に“商
い”の輪が一歩ずつ広がっていくことを期待していま
す。
本年の干支は「卯」
。
素早い動きで進歩を招く
当社の行動指針である「クイックオークラ」とも重な
り合う年だけに、総力をあげ「一歩前へ!」邁進してい
く所存です。
本年も一層のご支援ご鞭撻を賜わりますようお願いい
たします。
4
MH ジャーナル
今こそMHが果たす役割・
重要性を再認識しよう
平成2
3年1月
ダイフク
( 株式会社
代表取締役副社長 )
あけましておめでとうございます。
昨年は日本経済もようやくリーマンショックから立ち
直りを見せ回復軌道に入ったようですが、円高やデフレ
経済に加え価格競争もますます激化するといった、設備
メーカーにとってはなお厳しい一年でした。
このような環境のもと、各メーカーにおいては消費者
に商品の特長をどう訴求していくかが重要になります。
商品の差異化について、製品力とあわせて、今、力を入
れているのが「物流」です。「物流」が商品価値を向上
させる上で重要な役割を担っているとしますと、それを
支えるのがマテリアルハンドリング(マテハン、以下
MH)ですから、企業の成長の鍵を握るのは我々 MH シ
ステム・機器メーカーであるといっても過言ではありま
せん。
しかしながら、商品および流通経路が多様化し、流通
構造の変革や循環型社会への移行が進展していくなか、
我われ MH システム・機器メーカーにとっては、いか
に顧客の要求に応えていくかを問われる時代を迎えてお
ります。顧客満足を考える場合、これまでは商品・シス
テム・サービスそのものの基本価値に重きをおいてきま
したが、今後はこれに加え、例えば地球環境や高齢化社
会への配慮など、顧客の企業イメージ向上につながるよ
うな新たな価値を提供する必要があると受け止めており
ます。
従来の考え方では、MH システム・機器に要求される
項目は、省力化・自動化による人件費の削減や、リード
タイムの短縮、作業性・安全性の向上、安定稼働などで
あり、MH システム・機器を使用する領域だけを対象に
効率を上げればよかったわけです。ところが、成長を続
けるネット通販の影響を受け、小売業や消費財メーカー
においても本格的にネット通販に参入する動きが顕著に
なるなど、これからは様々なユーザーの企業価値にいか
に対処できるかが問われます。それには全体最適視点に
立った提案なりサポートが重要といえましょう。
設備投資依存度の高い産業全体が厳しい経営を余儀な
くされるなか、顧客の企業価値の最大化に向け、協会と
いたしましても、MHの果たす役割の重要性を再認識し
ていただくための各種啓発事業を平成2
3年度の事業の柱
として、
皆様とともに取り組んで参りたいと考えており
ます。
最後になりましたが、本年も会員各位の益々のご繁栄
を心から祈念いたしまして、年頭の挨拶とさせていただ
きます。
新 春 随 筆
新春随筆
人とマテハンとの融合、
強い現場づく
りを
日本MH協会 副会長
萩尾 計二
(
日本通運株式会社
取締役常務執行役員
)
2
0
1
1年の年頭にあたり、謹んで新春のお慶びを申し上げ
ます。
昨年は、円高、株安の影響、デフレ基調などにより、企業
にとって、大変厳しい経済情勢が続いた一年となりました。
さらには、政治情勢、国際情勢はめまぐるしく変化し、グロ
ーバル化の進展と共に中国・インド・東南アジアが経済的に
重要な地位を占めたことで、物流業界を取り巻く環境も大きく
変化し続けた年でもありました。
こうした時代にあって、
トータルの物流効率化と併せ、
「地球
にやさしい」モノの動きを創造することは、
マテハンに携わる者
に課せられた使命でもあります。
弊社は、環境保全に関する方針を「日本通運環境憲章」
として制定し、企業の社会的、公共的使命を自覚し、「良
き企業市民」として、環境経営を実践し、地球環境保全に
積極的に貢献することを基本理念としております。
環境への取組みは、
1.自動車中心の輸送から環境負荷の低い輸送への切り替
えによるモーダルシフトの促進
2.環境配慮車両の導入による車両の低公害化とエコ
ドライブ教育、デジタル式運行記録計による省燃費
運転の推進
3.輸送の効率化と省資源化を推進するための多様な
梱包資材の活用
4.廃棄物の削減と3R の推進
など、あらゆる場面で「地球にやさしい輸送」の確立に
向け取り組んでおります。
特に「地球にやさしい商品」として、
反復利用可能な梱包
資材を使用した引越サービス「えころじこんぽ」の展開は、
省資源と廃棄物の削減を実現し、環境にもお客様の財布にも
やさしいサービスとして好評をいただいております。
また、社会貢献活動では、
1.地域社会と連携した森林育成活動
(日通の森:鳥取県
日南町、山形県飯豊町)
2.森林における生物多様性調査
(伊豆高原韮山)
3.職場体験、清掃活動などによる地域貢献
など様々な貢献活動を行っております。
地球環境保全は人類共通の課題です。弊社は、あらゆる
事業活動において地球環境に配慮し、社会と共に歩みつづ
ける会社として、社会や消費者の皆様への責任を果たす体
制を整え、温暖化対策、生物多様性への対応、循環型社
会構築に向けて積極的に取り組んでまいります。
最後になりますが、皆様方の益々のご発展とご健勝をご祈
念申し上げ、新年の挨拶とさせていただきます。
日本MH協会 専務理事
酒井 光彦
新年を迎え謹んでお慶び申し上げます。昨年は猛暑効
果に加えて、エコカー補助金終了前の自動車購入や増税
前のたばこ買いだめなどの駆け込み需要、家電のエコポ
イント販売商戦の活発化が消費を大きく押し上げ、実質
GDP も4四半期のプラス成長を達成したものの、国内
自動車販売やたばこ販売の反動減などから、1
0―1
2月期
の個人消費は大幅な減速が見込まれており、また円高の
長期化に加え、中国の金融引き締め策の影響から外需の
回復も懸念されます。更に設備投資は外需頼みの側面が
強く、牽引役としては多くを期待しづらい状況です。
一方、物流業ではコストの6割は人件費が占めるとい
われております。労働集約型産業である物流の現場で
は、労働力の確保は重要なファクターです。しかし、登
録型派遣の禁止、製造業派遣の禁止、日雇い派遣等2か
月以内の派遣の禁止等を盛り込んだ派遣法の改正によ
り、企業ではより一層の雇用の合理化が問われており、
改めて雇用とそれを支援する MH 設備との関係につい
て真剣に向き合わなければなりません。
先行きが不透明な今こそ、経営の必須条件である費用
対効果、あるいは設備の安定性といった生産効率・流通
効率化、多様化する顧客ニーズへの対応できる、人とマ
テハンとの融合(バランス)
、
すなわち“強い現場づくり”
について見直すべきではないでしょうか。
強い現場づくりに必要不可欠な人材育成並びに情報発
信こそが当協会に課せられた使命であると認識しており
ます。産業界の経済性・生産性向上に大きく貢献できる
諸活動を展開して参りたく考えている次第です。
本年も会員の皆様の更なるご発展とご健勝並びに倍旧
のご指導をお願い申し上げまして、新年のご挨拶とさせ
ていただきます。
Material Handling Journal No.
264
5
インタビュー
省エネ推進委員会の活動について
日本MH協会 省エネ推進委員会 委員長 唐下 実
(!ダイフク)
現在、京都議定書や、新政権が掲げる CO2削減目標
補助制度は平成2
1年度2次募集より実施されています。
を達成確実なものにすべく、ロジスティクス関連では、
平成2
1年度は垂直搬送機、フォークリフトが補助の対象
国土交通省をはじめとする官公庁が各産業界の様々な分
であったが、
平成2
2年度からはそれに加えて、
自動倉庫、
野で、環境政策を打ち出しています。
自動仕分け機(コンベヤ)も対象となりました。国土交
マテハン設備の身近な補助金、税制優遇としては、グ
リーン物流パートナーシップ会議や営業倉庫における省
通省の統計によると、平成2
2年度の補助金対象事業では
年間約2,
000トンの CO2削減に貢献しています。
エネ設備技術導入計画認定、物流総合効率化法等があ
平成2
3年度は、営業倉庫はもとより、トラックターミ
り、社会に貢献(CO2削減)しつつ産業の発展に寄与し
ナル等のスキームを活用し、大手物流事業者や荷主、3
ています。
PL 事業者等の対象事業者より多くのマテハン設備の更
トラックターミナル等におけるマテハン設備に対する
新・申請が予想されます。
認定件数
補助対象経費(円)
補助予定金額(円)
5
1
1,
367,
750,
667
455,
916,
8
75
普通倉庫事業者
4
2
478,
466,
975
159,
488,
98
0
冷蔵倉庫事業者
9
889,
283,
692
296,
427,
89
5
トラックターミナル等
2
4
402,
472,
300
134,
157,
42
6
貨物自動車運送事業者
2
3
405,
811,
650
135,
270,
54
2
貨物利用運送事業者
1
1,
734,
000
5
78,
0
00
営業倉庫
図表.
1 平成2
2年度国交省認定件数及び補助予定金額
日本マテリアリ・ハンドリング(MH)協会では、新
意見交換を実施しています。
エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の補助金
平成2
2年度の営業倉庫・トラックターミナル等におけ
制度を活用したエネルギー使用合理化事業、運輸部門の
る省エネマテハン設備・技術導入計画内容の骨子及び概
認定を行う国土交通省に対し、マテハン設備に関する資
要は以下の通りです。なお、平成2
3年度国土交通省への
料作成・情報収集や技術的な助言、要望等を行うべく、
認定申請も、新エネルギー・産業技術総合開発機構
平成18年8月に、省エネ委員会を発足させました。以
(NEDO)
の一般公募※、が公表される前より受付を開催
降、本委員会では、国土交通省の担当官にも定期的にご
するため、申請を検討しております事業者の皆様は、国
参加いただき、説明会やディスカッション等、積極的な
土交通省のホームページをご確認また、NEDO が実施
6
MH ジャーナル
平成2
3年1月
省エネ推進委員会の活動について
する説明会にご参加いただくことをお勧めいたします。
※例年、エネルギー使用合理化事業者支援事業の補助金
交付申請を3月下旬∼5月下旬まで公募を行っており
ます。詳細は NEDO のホームページをご覧ください。
http : //www.nedo.go.jp/informations/koubo/index.html
1.マテハン設備の更新
(1)主たる用件
① 導入予定の設備が1%以上の省エネ効果があ
り、なおその施設全体でも1%以上の省エネ効果
唐下省エネ推進委員長
があること。
② マテハン設備の更新で施設全体の1%以上をク
リアできない時でも、マテハン設備以外の設備(照
ルすることにより1%∼5%の省エネ効果が見
明、変圧器、冷却設備等)を同時に更新することに
込める。(高効率モーターとはハイグレード鉄心
より全体で1%以上の省エネ効果があれば申請可
の採用や巻き線等の改善、改良で各部の損失を低
能。
減したモーター)
。
・最近の技術革新により、スピードアップ等により
(2)リニューアル対象機種と内容
大幅な付加価値生産性が見込める。
① 自動倉庫(共通)
特に10年以前に導入している自動倉庫は、回生コ
④ 垂直搬送機(共通)
ンバーター(エネルギーを再利用する装置)が装備
・インバーターモーターの電源回生制動方式や AC
されていないスタッカークレーン(10年前からは標
サーボモーターを採用することにより20%以上
準装備)では軽量化と合わせて、25%以上の省エ
の省エネ効果が見込める。
ネ効果がある。また最近の技術革新により当時と比
・7∼8年以前の垂直搬送機には回生制動方式でな
較してサイクルタイムで大幅な付加価値生産性が見
いため、この機会にリニューアルをお勧めしま
込まれる。
す。また当時と比較してスピードアップによる大
幅な付加価値生産性が見込める。
② 移動ラック(営業倉庫のみ)
・インバーターモーターの電源使用率を大幅に上げ
るリアクトルを取り付けることにより約5%の
・エレベーターから垂直搬送機にリニューアルする
方も条件次第では、省エネ、付加価値生産性が見
込めるので当協会にご相談ください。
省エネ効果が見込める。
・移動ラック単体では倉庫全体の使用率が少ないの
でその他の設備(照明器具、変圧器等)との共同
申請をお勧めします。
⑤ フォークリフト※(共通)
・燃料系(エンジン車)を電機系(バッテリー車)
にリニューアルすることにより省エネ効果が期待
できる。
③ ソーター、コンベヤ(共通)
・既存のモーターから高効率モーターにリニューア
※詳細は社団法人日本産業車両協会までお問い合
わせください。
Material Handling Journal No.
264
7
省エネ推進委員会の活動について
設(ビルト)する施設にも同じ機種のマテハン機器
(3)対象事業者
営業倉庫:倉庫業法第3条の規定により登録されて
を導入する場合は補助の対象となる。
いる倉庫事業者を対象とし、一定の要件に合致した省
エネ機器を導入する場合が対象。
トラックターミナル等:自動車ターミナル事業(一
(2)新設施設の対象機種と内容
・前述の①∼⑤は機種と内容は全く同様。
般トラックターミナル)
、
一般貨物自動車運送事業、貨
物利用運送事業、第一種又は第二種鉄道事業(貨物の
運送を行う事業に限る)に供する施設の設備省エネ化
3.事業スキームとスケジュール
トラックターミナル等における省エネ設備・技術導
が対象。
入計画認定では、平成2
2年度より設備規模要件の緩和
500m2以
(平成21年度:3,
000m2以上⇒平成22年度:1,
(4)支援内容
対象事業に係る設備費、工事費等の総事業費の1/3
を補助。
上)や、省エネ率の基準変更(平成2
1年度:対象設備
単位毎⇒平成2
2年度:申請単位における省エネ率)が
ありました。
本頁では、
トラックターミナル等の申請に
2.新規施設の要件
係るQ&A並びに申請の手続きフロー
(平成2
1年度ベー
ス)
を紹介する。
(1)主たる用件
・スクラップする施設にマテハン設備が既存して、新
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
3−1.トラックターミナル等における省エネ設備技術導入支援制度 Q&A
トラックターミナル等における省エネ設備・技術導入支援制度
Q&A
制度の概要
Q1
本制度を創設した目的について
○運輸部門の2
0
0
6年度の CO2排出量(速報値)は、京都議定
行われてきましたが、更に、トラックターミナル等の荷捌き
書 目 標 達 成 計 画 の2
0
1
0年 度 に お け る CO2排 出 量 の 目 標 値
施設、いわば通過型の物流施設についても省エネ化を促進す
を、未だに1.
9%上回っている状況です。
るための措置を講じる必要があるものと認識しています。
○国土交通省においては、CO2排出量削減に向けた対策とし
○このため、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)
て、グリーン物流パートナーシップ推進事業、物流総合効率
のエネルギー使用合理化事業者支援事業にトラックターミナ
化法の制定、営業倉庫の省エネ設備に対する補助等をこれま
ル等の物流施設で使用されている設備の省エネ化に対する支
でに実施してきました。
援を追加したものです。
○トラック輸送に関しては、これまで低公害車に対する支援が
Q2
本制度の効果について
○本制度は、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)
のエネルギー使用合理化事業者支援事業を活用しています。
○当該制度を活用することにより、事業者は、投資に対する省
8
MH ジャーナル
平成2
3年1月
エネの効果を定量的に実証していくことが可能となるため、
より一層の省エネ努力が期待できます。
省エネ推進委員会の活動について
トラックターミナル等における省エネ設備・技術導入支援制度
Q3
Q&A
本制度の事業の流れ(参考:2
1年度ベース)
!参加の準備
"申請の準備
%NEDO への補助金交付申請
#国土交通省への認定申請
&NEDO 補助
)事業の完了
+補助金請求書の提出
,1/3 補助金受領
%=3月下旬∼
'機器の見積り・発注・導入
交付決定
(事業の実施
#=3月上旬∼
$=4月中旬
$国土交通省の認定
*NEDO への実績報告書提出
&=6月中旬
'=6月下旬
!
)=1月3
1日
,=3月下旬
認定申請関係
Q1
補助対象の物流施設の要件において、事業に供する施設とは何か
○補助対象事業者が、施設を使用(賃借可)
し、かつ、当該施設
3.貨物利用運送事業法(貨物利用運送事業)
が各事業法(※)
上の営業所又は荷扱い所等の許認可等を受け
4.鉄道事業法(第一種又は第二種鉄道事業)
ている施設が「事業の用に供する施設」となります。
※1.自動車ターミナル法(自動車ターミナル事業)
なお、上記以外のケースについては、事前に相談して下さ
2.貨物自動車運送事業法(一般貨物自動車運送事業)
Q2
い。
施設の所有者と使用者(物流事業者)が異なる物流施設の取扱について
○本制度を活用しようとする物流施設が賃貸によるものであっ
なお、施設整備者が施設を省エネ化する場合であっても補
ても補助対象となります。
助対象となり、同様の申請方法で行うこととなります。
(例)トラック事業者が不動産会社等施設整備者から賃貸に
①
より使用している物流施設について本制度を活用し省エ
ネ設備へ代替する場合の申請方法は、以下の手順により
行うこととなっています。
Q3
国土交通省への認定申請=トラック事業者が申請(施設
整備者の承諾書を添付)
。
②
NEDO への補助金交付申請=トラック事業者及び施設
整備者による共同申請。
補助対象の物流施設(延べ床面積 1,
5
0
0m2)の規模的要件について
○本制度の「物流施設」とは、自動車ターミナル事業、一般貨
物自動車運送事業、貨物利用運送事業、鉄道事業の用に供す
者及び貨物利用運送事業者の物流施設(賃貸を含む)となっ
ています。
る施設で、積卸施設、荷扱所、営業倉庫以外の保管施設、事
なお、同一敷地内に複数棟の小規模な物流施設がある場合
務所(トイレ及び休憩仮眠室を含む)
等がこれにあたります。
であっても、事業を一体的に行う施設の合計延べ床面積が
○上記の物流施設のうち、規模的な要件(延べ床面積1,
5
0
0m2
1,
5
0
0m2 以上の規模を有しているとき
以上)を満たす必要のある施設は、一般貨物自動車運送事業
同一敷地内
施設規模要件を満たす必要がある物流施設は、一般貨物
自動車運送事業及び貨物利用運送事業の用に供する物流
施設
A
B
棟
棟
A 棟+B 棟≧1,500 m2
Material Handling Journal No.
264
9
省エネ推進委員会の活動について
トラックターミナル等における省エネ設備・技術導入支援制度
Q&A
認定申請関係
Q4
新たに物流施設の建設を予定しているが、この施設は補助対象施設になるのか
○既存の物流施設を取り壊し、これに変わる新たな物流施設を
なお、補助金対象となる新設の物流施設であっても、全て
建設する場合は、補助金対象の物流施設となり得ますが、そ
の省エネ機器が認められるわけではなく、既存の物流施設に
れ以外の理由で新設する物流施設は補助金対象外の物流施設
設置されていた機器数(代替と認められる範囲)が対象とな
となります。
ります。
Q5
本制度の「代替」の考え方について(スクラップ・アンド・ビルド)
※照明器具の機器数については、原則、同数以下ですが、省エネ効果が認められることを前提にW数等能力が同等であれば、代替
後の機器数が多くなっても認められる場合があります。
○NEDO のエネルギー使用合理化事業者支援事業は、トラッ
このため、本制度における「代替」とは、設備数について
クターミナル等の物流施設で使用している設備の省エネ化を
は、原則、1対1以下で、設備能力については同等以下の設
支援する制度です。
備を導入することとしています。
照明設備(100 基)
同数
照明設備(100 基)
変圧器(1 基)
代替
Q6
同数
変圧器
(1 基)
代替
省エネ設備の導入に係る工事費等の考え方について
○代替に係る工事費(撤去費用を除く)は、認められます。
(留意点)
では省エネ効果が無いため、補助対象とはなりません。
・電動フォークリフトの代替に際し、充電するために必要な
・施工業者の諸経費については、工事費の内数とすること。
電源設備については、設置費用が認められます。
・変圧器の代替に際し、キュービクル(外枠)は、それ自体
Q7
申請にあたっての範囲(単位)と認定要件について
○規模的要件を満たした施設のうち、年間エネルギー消費量を
算出することが可能な物流施設であれば、そのエネルギー管
理単位毎(電気メーター単位)
に申請を行うことができます。
なお、申請単位における省エネ率が1%以上あることが認
定の要件となっています。
申請範囲の事例
○エネルギー管理単位毎(電気メーター単位)に申請すること
により、
1
0
MH ジャーナル
平成2
3年1月
・同一敷地内に3棟ある物流施設のうち、1棟についての申
請。
・高層建ての物流施設のうち、1階又は2階について申請。
も可能となります。
※NEDO へ補助申請を行う際は、事業者毎の申請(認定を
受けた施設が複数あっても事業者単位でまとめて申請)と
なります。
省エネ推進委員会の活動について
トラックターミナル等における省エネ設備・技術導入支援制度
Q&A
認定申請関係
Q8
工事期間について
○NEDO の交付を受けた後から工事を開始し、年度当初の募
集においては、翌年1/3
1まで、ただし、二次募集又はそれ
以外の募集の場合は、NEDO が指定する期日までに終了す
ることとなっています。
Q 9 電動フォークリフト導入における被代替の燃料式フォークリフトの取扱について
○省エネ設備の代替については、国土交通省の認定要領に定め
られているように機器の能力も含め、1対1のスクラップ・
アンド・ビルドが原則となっています。
このため、代替対象の燃料式フォークリフトについては、
スクラップする必要があります。
また、スクラップ処理が適切に行われたかどうかについて
・ディーラー又は解体業者が発行した引き取り証明書又は解
体証明書
・燃料式フォークリフトがナンバープレート付きの場合は、
ナンバープレート交付機関が発行した廃車証明書
・燃料式フォークリフトがリース契約により借り受けていた
場合は、リース解除契約書
は、NEDO が確認検査時に以下のとおり確認することとし
ています。
※物流施設省エネ推進事業においても同様の取扱(NEDO
・固定資産管理台帳から代替対象の燃料式フォークリフトを
確認済み)
除去しているかどうか
解体証明書
Q 10
固定資産台帳
電動フォークリフトの予備バッテリーは補助金の対象となるか
○事業を遂行するために、予備バッテリーが「最低限必要とな
るもの」として認められれば対象となります。
この場合の「最低限必要となるもの」としての要件は、被
代替の燃料式フォークリフトの使用形態が一日フル稼働であ
って、代替後の電動フォークリフトも同様の使用形態である
ことを裏付ける証明(資料・説明等)が必要になります。
Material Handling Journal No.
264
1
1
省エネ推進委員会の活動について
トラックターミナル等における省エネ設備・技術導入支援制度
Q&A
認定申請関係
Q 11
冷却関連設備の対象範囲について
○冷蔵・冷凍サイクルを構成する機器やサイクル自体を更新す
て、代表的な機器については以下のとおり。
ることによりモーター電力低減等が見込まれる設備であっ
プレハブ冷蔵・冷凍室
冷蔵庫
冷却機
冷凍機
エアーカーテン 等
Q 12
これらの機器を組み合わせることによる冷蔵・冷凍設備
代替により新たに導入する自動仕分け機(コンベヤ)
の仕様の範囲について
○認定申請要領に規定されているように、新たに導入する自動
なお、コンベヤの機種及び仕分け方式が変更される場合に
仕分け機のモーターは、「高効率モーター」であることが要
ついては、当該制度で言う「代替」の範囲内としますが、そ
件となっていますが、加えて、代替により新たに導入する自
れ以外の仕様の変更を伴う場合は、認定申請前に国土交通省
動仕分け機の仕様は、現に設置されている被代替の自動仕分
担当窓口に相談してください。
け機のモーターの数、分岐ショートの数、コンベヤの長さい
ずれの数又は長さについて同等以下でなければなりません。
これは、当該制度で言う「代替」とは、能力を含めた1対
本制度の対象機器となる自動仕分け機(コンベヤ)とは、
・仕分け機本体
1のスクラップ・アンド・ビルドが原則となっており、同等
・シュート
以下の設備の代替による省エネ化が制度の目的となっている
・周辺のコンベヤ
ためです。
・その他バーコードリーダー
Q 13
等
物流施設省エネ推進事業者とはどのような事業を行う者なのか
○補助対象の物流業者が、現に使用している燃料式フォークリ
フトから電動フォークリフトに代替し、省エネ化を図ろうと
物流事業者メリット
・国土交通省への認定申請や NEDO への補助金交付申請を
する場合を対象に、物流施設省エネ推進事業者自らが購入し
一括に行うため、物流事業者は事務手続きが不要となる。
た電動フォークリフトを、当該物流事業者に貸与(リース)
・リース契約に基づき電動フォークリフトを貸与(リース)
し、物流施設の省エネ化について推進を図る事業。
するため、補助金相当額がリース料金に転嫁されることか
ら電動フォークリフトの導入経費が平準化される。(補助
物流施設省エネ推進事業者の資格要件
額同様に1/3相当額)
・各物流施設に合計で2
5台以上の電動フォークリフトを導入
し、物流施設省エネ推進事業を実施すること。
※物流施設省エネ推進事業に参加する各事業者の要件は、
ただし、物流施設省エネ推進事業における設備の総合計
Q1
2を参照。
の上限は1
0
0台とする。
Q 14
補助対象の事業者が物流施設省エネ推進事業に参加する場合の要件について
○物流施設省エネ推進事業に参加する各事業者は、フォークリ
フトを代替することによって、省エネ率が1%以上見込まれ
ることに加えて、次の要件を満たす必要があります。
①フォークリフトの導入については、国土交通省の認定した物
流施設省エネ推進事業者とリース契約を締結すること。
②物流施設省エネ推進事業者への参加申込までに、被代替フォ
1
2
MH ジャーナル
平成2
3年1月
ークリフトの年間エネルギー消費量を把握していること。
③物流施設省エネ推進事業者の定める期間までに物流施設毎の
フォークリフトの導入を完了すること。
④物流施設省エネ推進事業者の定める期間までに代替後のフォ
ークリフトのエネルギー消費量を当該事業者へ報告するこ
と。
省エネ推進委員会の活動について
トラックターミナル等における省エネ設備・技術導入支援制度
Q&A
認定申請関係
Q 15
国土交通省の認定を受けたものの、NEDO の交付決定がなされない場合とはどのような場合か
○直近の決算が債務超過、対象設備の先進性及び新規性が認め
省の認定を受けても補助対象となる場合があります。
られない等、NEDO の基準に合致しない場合は、国土交通
Q 16
多層階の物流施設であって、一階部分をトラック事業法の規定に基づく営業所、二階以上を倉庫業
法の規定に基づく倉庫業を経営している施設において、全ての階層の「照明設備」の代替を行おう
とする場合の補助制度の申請先について
○「営業倉庫における省エネ設備・技術導入計画認定制度」
は、
倉庫業法第4条及び第7条の倉庫登録を受けた設備等を対象
省エネ設備・技術導入計画認定制度」を活用することになり
ます。
としており、当該制度による代替事業の対象設備の範囲につ
なお、「トラックターミナル等における省エネ設備・技術
いては、倉庫保管スペースのみならず、貨物の仕分け場所、
導入認定制度」は、配送センターや専用トラックターミナル
事務所等建物全体が対象となっています。
等のように営業倉庫登録がなされていない物流施設を対象と
このため、1階部分が貨物自動車運送事業の用に供する施
した制度です。
設(営業所等)の照明設備については、「営業倉庫における
報 告 関 係
Q1
平成2
2年度から実施する省エネ効果の実績報告について
○NEDO のエネルギー使用合理化事業支援事業において、補
官省庁が進捗状況等を把握し、必要に応じてフォローアップ
助対象とされている認定事業は、省エネ及び温暖化対策を推
するため、報告者(=認定申請者)は、当該認定事業におけ
進する上で重要なツールと位置づけられておりますが、今
る設備等設置(即ち補助事業の完了)から1年間の実績(※)
般、会計検査院の平成2
0年度会計実地検査の結果、認定事業
を記録し、あらかじめ定められた様式にて各所官省庁に報告
の中に省エネ効果の算定根拠が曖昧なものや、認定事業の進
することとなりました。なお、本制度の報告書の提出先及び
捗状況が当初計画と異なり省エネ効果がほとんど発現されて
提出方法は申請書と同じです。
いないものを指摘され、認定事業において、執行体制改善や
事業継続の是非等の検討などを要請されました。
これを踏まえて検討した結果、認定事業においては、各所
Q2
※エネルギー使用合理化事業者支援事業
(詳細は公募要領参照)
における補助事業の完了日の翌日から1年間。
実績報告において省エネ効果が発現しない場合の認定の取消について
○認定対象事業のフォローアップの効果、省エネ率の実績値が
成できていない場合等については、認定を取り消すことがあり
認定申請時の計画値(見込値)と比べて著しく省エネ効果を達
ます。
Material Handling Journal No.
264
1
3
省エネ推進委員会の活動について
3−2.申請に係る物流事業者の手続きフロー図
「トラックターミナル等における省エネ設備・技術導入計画認定申請」
における物流事業者の手続きフロー図(平成21年度ベース)
参加の準備
・導入機器の種類及び台数の決定
・導入機器の前年月別のエネルギー消費量の把握
・省エネルギー目標の設定
等
申請の準備
・国交省への認定申請書の作成
・NEDO への補助金交付申請書の作成
国交省(又は事業者団体経由)への認定申請
・必要書類の提出
【国交省認定申請受付期間】
H2
1.
3.
2∼H2
1.
4.
1
0
※PRESS : H21.
2.
1
2
申請〆切:
4月上旬頃
【国交省認定日】
H2
1.
4.
1
4
4月中旬頃
認定
・必要に応じてヒアリングへの対応
認定後
【NEDO 公募(受付期間)
】
H2
1.
3.
3
1∼H2
1.
4.
2
0
※WEB サイト掲載日:H2
1.
3.
1
6
【NEDO 交付決定日】
H2
1.
6.
1
6
※WEB サイト掲載日:H2
1.
6.
1
6
NEDO への補助金交付申請
・必要書類の提出
・ヒアリングへの対応
申請〆切:
4月下旬頃
交付決定:
6月中旬頃
交付決定後
機器の見積り・発注・機器の導入
事業の実施
・エネルギー消費量の集計
・データの分析、省エネルギー目標の確実な達成
NEDO への実績報告書の作成
・書類の作成及び必要書類の添付
事業完了後
NEDO への実績報告書の提出
・必要書類の提出
NEDO へ補助金請求書の提出・補助金受領
NEDO の成果発表会への対応
・事業完了後1年間のエネルギー消費量の集計
・成果発表会での発表
1
4
MH ジャーナル
平成2
3年1月
事業完了:
1月3
1日まで
省エネ推進委員会の活動について
4.今後の展望と期待
他方、NEDO の審査では、省エネ規模もさることな
がら、予算額の制約や対象設備の先進性・先駆性が高い
(1)今日、営業倉庫も業態が変貌しつつあり、ピッキ
ングや仕分け業務を請け負う戦略的3PL 業務が多
くなってきている。また、デフレ経済が続くなか、
ものが採択される傾向等もあり、平成 22 年度は厳しい
採択結果となったところです。
更なるローコストオペレーションの展開を実現する
平成2
3年度においても厳しい状況が予想されるところ
ためにもマテハン設備が担う使命は従来以上に高ま
ですが、当該制度の利用をご検討されている事業者も多
っており、あわせて環境対応は事業者の CSR の観
いと聞き及んでいることもあり、今後もできるだけ多く
点からも避けて通れない課題である。
(2)当協会の会員としては、この省エネ事業は、CO2
削減等の社会貢献をしつつ、ビジネスチャンスにも
の事業者にご活用いただけるよう、必要に応じて制度要
件等の見直しを図っていきたいと考えておりますので、
ご理解とご協力の程よろしくお願い致します。
つながるので、より一層、省エネを考慮した新技術
お問合せ先
の開発に力を注いでいきたい。
国土交通省政策統括官付参事官(物流施設)室
(3)本制度を通じマテハン設備の更新を促すために
・トラックターミナル担当(佐藤課長補佐、浪川係長)
も、また設備計画をする上でも、申請要領を早めに
告知していただくことや、申請期間を長く設定して
(内線 2
5−33
3)
・営業倉庫担当
いただくことをお願いしたい。
(坂本専門官)
(内線 2
5−31
4)
〒10
0−89
1
8
最後に読者の皆様で、当省エネ事業についてご不明な
点等ございましたら、当協会までご相談ください。
5.国土交通省のコメント
東京都千代田区霞が関2−1−3
TEL:03−5
25
3−81
1
1(代表)
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
営業倉庫・トラックターミナル等における省エネ設
備・技術導入支援制度に係る国土交通省の認定案件につ
お問合せ先
日本マテリアル・ハンドリング
(MH)
協会 事務局
いては、政策的意義が認められるものとして、NEDOの
〒1
0
4−0
0
4
5
エネルギー使用合理化事業者支援事業において配慮を
東京都中央区築地4−1−1 東劇ビル1
0F
いただき、一般案件(NEDOに直接申請する案件)と
TEL:0
3−3
5
4
3−9
3
3
5 FAX:0
3−3
5
4
3−8
9
7
0
は区別して採択されているものです。
URL: http://www.jmhs.gr.jp/
Material Handling Journal No.
264
1
5
連★載
米国マテハン専門誌抄訳
vol.53 (2010.8∼2010.10)
米国の Modern Materials Handling 誌の内容を会員に海外情報として紹介すべく、近着の記事中か
ら選択抄訳と解説を掲載しています。全文記事については、インターネット上でmmh.comをクリック
して原文を読むことができます。
2010年8月号
○オフィス・デポット社のフレキシブルオートメーションDC
オフィス製品を扱う同社ニュービル(ペンシルバニ
ア州)DC では2種の移動式ロボット(自動搬送車)
をピッキングに新たに採用して、数ヶ月稼動している。
それらは箱単位で保管するポータブルモジュールを
搬送するもの、パレットごと搬送するものであり、キ
バシステムズ社製で、合計3
0
0台である。
ピッキング員が商品を取りに行くのではなく、商品
をピッキング員の元へ搬送するという方針のもとで採
用されたシステムであるが、これにより、人員の移動
距離が1
1km/シフトであったものが、1km 弱/シフ
トに激減し、一方、オーダーのサイクルタイムが 2 時
間から2
0分と、回転が速くなり、効率的、正確になっ
た。ロボットは保管エリアとピッキングステーション
間の往復の他に、ピッキングした後の製品の出荷・集
荷コンベヤまでの搬送も行う。
2010年9月号
○人による倉庫作業効率化を労務管理によりカバー
自動化推進といっても大抵の倉庫作業は、RFによ
るピッキングはされているものの、今もなお6
0年前か
らのパレットラックやフォークリフトによるものであ
る。薄利を競う3PLでも状況は同じである。3PLプ
ロバイダーであるDSCロジステックス社は、全米3
5の
1
6
MH ジャーナル
平成2
3年1月
ロジステックスセンターの内、2
2箇所に労務管理シス
テム(LMS)を2
0
0
5年より導入している。その結果、
平均2
0%の労務コスト減となっている。
このLMSは熟練の作業者の標準時間基準と照らし
合わせて各従業員の行動・作業をトラッキングするも
ので、これらの情報を奨励賃金システムの一部に活用
しているという。
2010年10月号
○AGV導入により最上のDCへ(デルモンテ食品社)
工場ではよく見かける2
0台以上のAGV編隊である
が、DCでの例はそう多くない。同社トピーカ(カン
ザス州)DCではレーザー誘導のAGV(エレトリック
8
0社製)
を3
9台導入し、上質のMHシステムを構築し、
コスト削減を成就した。
ここでのAGVは次の2種からなる。
(1)隣接する製造工場から受入に使用するもので、
工場からスリップシートに積まれた商品を4ユニ
ット、ローディングし、DC内自動積み替え場ま
で移動し、相手のコンベヤにアンローディングす
るコンベヤ搭載トレーラ式 AGV : 4台
(2)DC内の各所の棚、荷捌き場間を移動し、通常
のフォークリフト作業を行うフォーク付AGV :3
5
台
運行ルールは、最も近いところのジョブを割り当て
るものとし、空移動をできるだけなくしている。
パレット荷の保管場所は商品の回転速さから3ゾー
ンに分かれている。
特
集
環境戦略への挑戦
昨年1
2月の初めのニュースで電気自動車が大々
的に取り上げられていましたが、現代のコンセプ
トにマッチした製品で大いに期待できるものだと
見ていた時、ふと思い出したことがありました。
子ども達の未来のためにも我々がやるべきことを
再認識し、対策していかなければいけません。
そして、物流業界は徹底的に環境対策に取り組
まなければならない時代に突入しています。
『未来にあったらイイなと思うモノを描いてみよ
改正省エネ法が2010年4月より施行され、規制
う』という図工の課題で『空を飛ぶ排気ガスの出
対象が拡大したことで、エネルギー使用状況の報
ない自動車』を描いたことです(題名の記憶は定
告、管理など、CO 2 削減対策を練り、他人事で
かではありませんが)
。男の子の作品の中では、ロ
はないと多忙となったご担当の方も少なくないは
ボット関係か自動車関係が大半を占めていました
ずです。
が、当時は光化学スモッグの発生が多かったこと
今号の特集『環境戦略への挑戦』では、環境対
もあり、無公害とカッコいいものを組合わせたも
策に有効なツール、サービス、設備のご紹介。グ
のです。当時の自分がトレンド先取りで環境ソリ
ローバルで革新的な取り組み。そして今こそ環境
ューションの考えを持っていた?ことに今更驚く
ビジネスがチャンスといった、物流分野の環境課
と共に、未来と思っていた今が環境に優しい時代
題への積極的な取り組みこそが、企業の更なる飛
になっているのか疑問に感じます。
躍に繋がることを確信させられる多くの寄稿をい
現代の小学校の授業は進んでいては、ゴミの分
別、リサイクルからエネルギー開発まで、環境へ
ただいております。読み終わった時には、環境へ
のチャレンジ精神が湧いてくるはずです。
の取り組みは地球存続のための重要課題である!
ことを環境学習として子ども達は学んでいます。
(記
水石政夫/辛島博之)
Material Handling Journal No.
264
1
7
特 集
●環境戦略への挑戦●
物流企業が環境ビジネスに取り組む方法!
株式会社 船井総合研究所
シニアコンサルタント
橋本
1.今の時流をチャンスととらえよう
直行
新規ビジネスモデルを考案するときのセオリーは、顧
客層かサービスメニューを同じくする戦略を練ることで
少子高齢化やグローバル化、省資源化の時流の下で、
す。「同じ顧客層に違うサービスメニューを提供する」
多くのカテゴリーの国内マーケットは縮小していくこと
か、「同じサービスメニューを他の顧客層に提供するか
が予測されます。
のいずれかが、成功確率を高める戦略です。
しかし、物流企業の皆様は「仕方がない」なんてあき
らめている場合では、もちろんありません。ここで、何
環境ビジネス
=
環境コスト削減ビジネス
もかもあきらめて縮こまる、縮小均衡の発想に入ってし
まっては、それこそ破綻への道をまっしぐらです。
環境コストを削減できる
商品・設備・機器・システム・ソフト・サービスを販売・提供・維持メンテナンスするビジネス
現状をチャンスと捉え、行動を起こさなければなりま
どんな顧客を対象とすれば良いのか?
せん。
既存荷主
既存納品先
幸いにも、今の世の中は、サイクル的に見て不景気で
その他、既存関連先
す。不景気はチャンスです。
今までの時流では、好景気と不景気が9∼10年を1サ
イクルとして回ってきました。4∼5年のスパンで時流
新規顧客
※いきなり、
全くの新規顧客を対象とするのではなく、
まずは、
既存顧客を通じて、
実績を積み重ねていく。
図表.
1 ターゲット(誰に売るか)
が入れ替わってきたのです。
経済が安定している好景気のときには、あまり大きな
変革は起こりません。一番企業は一番企業のままで、新
しい業態も出てきにくい時流です。
しかし、不景気の世の中では、二番手以下の企業の下
克上や新規業態の伸びが顕著に現れます。今までの購買
先企業以上の“価値/価格(価格分の価値)
”
が求められ
るからです。
2.時流適応戦略のキーワード
現代のビジネスにおいて、物流企業の皆様が志向すべ
き時流適応戦略のキーワードは、“環境”
、
“安全”
、
“個
人”の3つだと思います。
このうち“環境”の戦略は、環境ビジネスやグリーン
ロジスティクスの展開を指します。
つまり、不景気の世の中は、新規ビジネス開発のチャ
物流における“安全”の戦略とは、運行・作業などの
ンスということができます。いくら“価値/価格”が高
マネジメントシステムの構築、トレーサビリティ、文書
くても、安定の世の中では、受け入れられなかったビジ
保管など機密保持にかかるサービスなどです。
ネスモデルが、厳しい環境下でシビアになった顧客企業
からの支持を得られるようになります。
あらためて、今は行動を起こすときだと言えます。
1
8
MHジャーナル
平成2
3年1月
“個人”の戦略とは、宅配や通販物流、あるいはトラ
ンクルームやレンタルスペースなどです。
これらのいずれかを押さえることが、繁盛のためのポ
物流企業が環境ビジネスに取り組む方法!
のCO2排出量を算出することに取り組みましょう。既
イントです。
“環境”
の戦略について、
さらに掘り下げてみましょう。
環境に関する社会からの要請は、強まることはあって
存顧客への請求書には、提供商品ごとのCO2排出量明
細を記載します。
も弱まることはありません。国全体の意識はますます高
それだけで、今なら訴求力があります。
くなり、各種規制はさらに強化され、ビジネスチャンス
第二には、ゼロエミッション(ゴミゼロ)に近づく提
は増えていきます。
案をすべきです。具体的には、廃棄物の削減、リサイク
それでは、環境ビジネスとは、あらためてどのような
ビジネスでしょうか?
ルループの構築などです。
そして、第三に環境対応業務の請負を提案すべきで
カテゴリーは多岐にわたりますが、そのうち“力相応
す。
主義”の発想で物流企業が取り組むべきは、「廃棄物コ
具体的には、産廃企業からの請求書の処理代行、構内
スト削減ビジネス」と「エネルギーコスト削減(省エネ)
作業代行、省エネ法対応業務代行、環境報告書作成代行
ビジネス」です。
などの業務です。我々が、“静脈3PLサービス”と呼
前者は、さらに細かくすると、“6R/S/B”のカテゴ
んでいるサービスです。
提案の優先順位は、1にコストダウン、2に手間の軽
リーに分かれます。
6R/S/Bとは、リデュース(廃棄物の発生抑制)
、
リユ
ース(再利用)
、
リサイクル(廃棄物の再生利用)の3R
減、3にCSR(企業の社会的責任)効果です。これは、
大原則です。
に加え、リペア(修理)
、リフォーム(仕様変更)
、レン
タル(貸付)
、シェア(共同保有)
、バーター(物々交換)
の8つのサービスカテゴリーです。
4.静脈3PLサービス展開の背景
最近では、経済紙の紙面に環境ネタが載らない日はな
環境ビジネス
いと言っても、過言ではないでしょう。
コスト削減ビジネス
地球環境保全対策の観点から、企業への規制はますま
投資をさせず
(リスクを負わせず)
に、
コスト削減を実現させるビジネス
す厳しくなり、特に製造業、流通業は対応を強化せざる
を得ません。しかし、各業界のトップレベルの企業以外
!一括販売契約
販
売
方
法
"リース契約
は、主にマンパワーの問題から、廃棄物の処理管理や削
#レンタル契約
減に大きな課題を抱えたままというのが現状です。
$エスコ契約
リース会社
レンタル会社
図表.
2 売り方(どうやって売るか)
3.物流企業の環境ビジネスの進め方
物流企業が第一に提案すべきは、CO2排出量を削減
多くの荷主企業の廃棄物処理マネジメント体制は、以
下のような現状です。
1.廃棄物管理は工場単位で、その管理手法は工場に
よりマチマチである
2.一方で、廃棄物の種類によって、取引産廃企業は
異なる
できる企画です。そういった企画は、ほとんどの場合、
3.産廃企業によって、品質の差・価格の差が出る
コストダウン効果もあります。
4.地域によっても、品質の差・価格の差が出る
例えば、共同配送、共同物流、モーダルシフト、ルー
5.したがって、工場差(工場長の差)が出てしまう
ト削減、省燃費運行、エコトラックの導入、省エネ拠点
6.口座が多口座にわたる
の活用、梱包・包装資材の削減、カーボンオフセットな
7.有価で販売できる廃棄物もある
どが当てはまります。
8.まだまだ、ゼロエミッション&リサイクルは可能
こういう企画立案ができない場合は、まずは商品ごと
9.システムの改善により、大幅なコストダウンにつ
Material Handling Journal No.
264
1
9
物流企業が環境ビジネスに取り組む方法!
ながる可能性がある
10.大手企業といえども、産廃現場の実態を把握して
いった各種法規制への対応するのを手助けする視点
で、ビジネスを構築するのです。
(2)提案できるネタが多い
いない
11.CSR的にリスクが高まっている可能性がある(不法
投棄、排出元責任、等)
12.以上の内容を本社サイドは把握していないケース
例えば、食品製造業なら、汚泥、汚水、動植物性残
渣、廃プラスチック、古紙、廃パレット、廃油といっ
た廃棄物が排出されており、これらの処理コストはか
なりのものです。飲食業や食品小売業からも、同様の
が多い
廃棄物が出ています。また、電気、ガス、水道、油な
結論として、静脈物流・リサイクル物流で、改善・提
案すべき点は多々存在するのです。
どの使用も多く、エネルギーコストもかかっていま
す。そして、それらを削減する新技術は、日進月歩で
そこで、我々船井総合研究所が今、製造業、流通業を
たくさん生まれてきています(信頼できる新技術の情
顧客とする物流企業におすすめしている新規ビジネス
報を、船井総研では多く押さえています)
。
これらのニ
が、前述の“静脈3PLビジネス”です。
ーズマッチングと、その後のオペレーション・メンテ
静脈3PLビジネスとは、顧客企業の廃棄物削減策や
新たな処理策(処理コストダウン、有価物化など)を提
ナンスがビジネスチャンスになります。
(3)荷主との密着度が高い
案し、その後の処理を一括管理受託するビジネスです。
一概には言えませんが、食品物流業には、他の荷種
荷主企業が今一番困っていることであり、バシッと提案
をメインとする物流企業と比較すると、荷主企業との
がはまる例が少なくありません。
密着度が高い企業が多いように思います。物流の形態
新規事業として、ぜひ研究してみていただきたいと思
が、図らずもそれを余儀なくさせるのでしょう。それ
ゆえ、静脈系の企画提案や省エネ提案もやりやすい関
います。
係ができている場合が多いと言えます。
5.食品物流業の環境ビジネス
景気の低迷(私は、不景気ではなく非景気だと思い
ます)や少子高齢化、エコロジー志向の波を受け、比
環境ビジネスほど、物流企業にふさわしい新規ビジネ
較的安定していると言われる食品のマーケットも、縮
スはありません。時流、顧客特性、業務特性のすべてに
小傾向にあります。食品物流業の皆様は、これから間
合っており、その上、社会性、教育性、収益性のすべて
違いなく拡大する“環境”のマーケットへの新規参入
を有しているという、特異な分野です。
を、検討してみるべきでしょう。
その中でも、最近、我々船井総研によくご相談いただ
くのが、食品物流業の皆様からの環境ビジネス参入案件
です。
6.顧客企業の現状と環境提案
その理由は、3つあります。
あらためて、我々船井総研が、物流企業の皆様におす
(1)法規制にチャンスがある
すめしている“環境ビジネス”の本質は、環境コストを
食品リサイクル法(2
00
7年12月改正)という法律
があり、各食品関連企業は、食品廃棄物等の排出量の
削減するビジネスです。
環境コストとは、
廃棄物コスト、
エネルギーコストのことです。
抑制と資源としての再生利用を推進しなくてはなりま
つまり、“環境”という切り口で、顧客企業のコスト
せん。また、原油換算で年間1,
500kl以上のエネルギ
削減を実現するのです。そのために、顧客の業種・業態
ーを使用している事業者
(本社、工場、支店、営業所、
および状況に合った環境技術を見繕って提案し、導入し
店舗等)にかかる、省エネ法(20
10年4月改正)と
ていきます。
いうものもあります。これも、エネルギー量の削減目
標の制定と経過報告を求めています。顧客企業がこう
2
0
MHジャーナル
平成2
3年1月
物流企業が環境ビジネスに取り組む方法!
その中から本物の情報をピックアップし、検証するの
・ターゲット荷主企業(既存/新規)へのアプローチ→貴社/船井総研
アポ獲り ・訪問事前準備(情報収集、環境診断案内書の作成)→船井総研
・環境診断の案内→貴社/船井総研
プレゼン ・診断日時の決定および準備依頼→貴社/船井総研
診断
企画提案
は非常に困難であると言えます。特に、ベンチャー企
業が有する最先端の技術情報は、なかなか入ってきま
・廃棄物処理およびエネルギー使用の状況把握
(現場視察、
データ取得)
→貴社/船井総研/ソリューション企業
・ソリューション企業・製品の調査および試験、打ち合わせ→船井総研/ソリューション企業
せん。担当者が、いくら勉強好きであっても、それだ
・企画提案書の作成→船井総研/ソリューション企業
・企画プレゼンテーション→貴社/船井総研/
(ソリューション企業)
けのソースが確保できないでしょう。
・ソリューション提供にあたっての条件の詰め、契約書作成→貴社/船井総研/法律事務所
条件整備 ・導入準備(ソリューション企業との打ち合わせなど)→貴社/船井総研/ソリューション企業
導入
運用
・環境ソリューションの導入試験→貴社/船井総研/ソリューション企業
・環境ソリューションの導入→貴社/船井総研/ソリューション企業
・環境ソリューションの運用→貴社/ソリューション企業
ここに、船井総研のような専門機関の出番がありま
す。
「エコロジ!」や「エコウェブネット」といった弊社
運営のホームページには、新鮮な環境情報がどんどん集
図表.
3 物流企業
環境提案のステップ
まってきます。
それらの情報を基に、皆様の荷主の無駄な環境コスト
しかし、その取り組みにあたって、よく訊かれるご質
問は、「ある程度の規模の顧客(荷主)企業なら、既に
環境技術についての充分な情報を持っているのではない
か?」といったものです。
しかし、実は、ほとんどの場合、このような心配はす
を削減するお手伝いを、しっかりやっていきたいと思っ
ています。
物流企業の皆様が取り組める環境ビジネスの情報につ
いては、弊社運営のホームページ「エコロジ!」をご覧
ください
(
“エコロジ”で検索)
。
る必要がありません。
なぜなら、以下のような状況があるからです。
(1)多くの顧客企業が、まだ環境対策専門の部署を持
っていない
環境の専門部署を持っているのは、まだよほどの大
手企業、先進企業だけです。多くの企業では、総務、
製造、調達、物流などの他部門が、業務の一部として
廃棄物処理やエネルギー管理を行なっているのが現状
です。各部門でそれぞれ管理しており、統括する部門
がない場合も多くあります。
(2)環境対策専門の部署を持っていても、CSRが目
的である
図表.
4 ecologi
もしも専門部署を持っていても、環境対策の主たる
目的はCSR(企業の社会的責任)対応であり、真剣に
コスト削減までつなげていこうという意識になってい
ないケースです。法規制への対応や社会へのアピール
といった視点での部署設置と活動である企業が、まだ
まだ多いのです。
(3)環境技術の最新情報を得続けるのは、非常に難し
い
たとえ専門部署がコスト削減を使命としていたとし
ても、多くの環境技術・サービス商品が、ライフサイ
クル上の導入期である現在は、情報が玉石混合です。
お問合せ先
株式会社 船井総合研究所
シニアコンサルタント
橋本直行
〒1
0
0
‐
0
0
0
5
東京都千代田区丸の内一丁目6−6
日本生命丸の内ビル2
1階
TEL:0
3−6
2
1
2−2
9
2
1(代表)
FAX:0
3−6
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2−2
9
4
0(代表)
E-mail : [email protected]
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1
特 集
●環境戦略への挑戦●
パナソニックグループグリーンロジスティクスの推進
∼物流パートナー様との連携∼
パナソニック株式会社
グローバルロジスティクス本部
CSR・環境チーム チームリーダー
金城
佐和子
毎年国に対して、①原単位で年平均1%以上のエネル
はじめに
ギー削減を目標にした省エネルギー計画、②エネルギー
パナソニックグループは創業10
0周年を迎える20
1
8年
のあるべき姿を「エレクトロニクスNO1の環境革新企
業」としている。
使用量実績、の報告を義務付けられるようになった。
これまで、環境先進企業を中心に、自主的に物流にお
けるCO2排出量を算定し公表してきたが、法律での義
「地球環境との共存」をめざす環境ビジョンのもと、
務付けによって対象範囲は大きく拡大、求めらるデータ
あらゆる事業活動の機軸に「環境」を置き、「例外はな
の精度も厳しくなり、その位置づけは大きく変わった。
い」という徹底した姿勢を示していく中で、ロジスティ
この法改正により荷主企業は、物流のエネルギー使用の
クス部門における環境対策も重点テーマの一つとなって
合理化を進める主体者として、意識と行動の変革が求め
いる。
られている。
特に、CO2排出量削減に対する社会的要請は高く、
荷主企業に対してこのような義務を強制する法律は世
2
00
6年3月に「松下グループ(現パナソニック)グリ
界に例がなく、エネルギーを海外に大きく依存し、省エ
ーンロジスティクス方針」を策定し、以来、ロジスティ
ネルギーが宿命となっているわが国ならではともいえ
クス分野でのCO2削減に取り組んでいる。
る。
本稿では、当社のグリーンロジスティクス方針の要
旨、および重点取組み施策について紹介する。
しかしながら、海外においても環境先進企業がこれま
でに取り組んできた工場や製品での環境負荷低減活動と
比較し、優れたパフォーマンスを見せていない物流分野
1.物流分野をとりまく社会的な背景
での環境規制、とりわけCO2排出量削減取組みは今後
強化される方向に向かっている。
京都議定書発効を機に、CO2に代表される温室効果
こうした日本や海外での動きを背景とし、日本国内中
ガスの削減をねらいとする法規制の強化が進められてい
心の取り組みからグローバル視点での取り組みに拡大し
る。特に、日本国内においては物流を含む運輸分野は、
てきているグリーロジスティクスの基本的な考え方と具
国内全体のCO2排出量の2
0%以上を占め、かつ19
9
0年
体的な取り組みについてここでは紹介する。
度と比較して大幅に排出量が増加していることから、政
府は省エネルギー法を改正し(200
6年4月1日施行)
、
企
業に対し物流における省エネルギー取組みを義務づける
施策を打ち出した。
同法では物流事業者だけでなく荷主企業も対象として
2.環境ビジョンとグリーンロジスティクス方針
当社は1
9
9
1年に「環境宣言」を策定し、以来、全世
界の事業場が環境への取り組みを推進してきた。
おり、年間の総輸送量(貨物重量×輸送距離の総和)が
物流分野での環境対策、とりわけCO2削減に対する
3,
0
00万トンキロ以上の荷主企業(特定荷主企業)は、
社会的要請の高まりを受け、CO2削減の取り組みを加
2
2
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3年1月
パナソニックグループグリーンロジスティクスの推進
速させるため、2
006年3月に「松下グループ(現パナ
ソニック)グリーンロジスティクス方針」を策定した。
同方針では、グリーンロジスティクスを推進するうえ
で、何が重要で何が鍵になるかを5項目に整理している
(図表.
1)
。
■環境と経営、お客様価値創造を両立し、
環境負荷の小さい物流体系を構築
■調達、生産、販売、廃棄、回収等、全ての事業活動
における物流で環境に配慮
■社内外関係部門に働きかけグリーンロジスティクス
を推進できる物流人材を育成
■グリーンロジスティクスの重要性を認識し、
実践する物流事業者との連携を強化
■物流分野のCO2削減を効果的、効率的に
進めるため精度の高い実績把握を追及
図表.
1 グリーンロジスティクス基本方針
図表.
2 2
0
0
9年度物流分野CO2排出量実績
一方、日本国内におけるCO2排出量の輸送手段別内
訳は、トラック輸送が9
7.
1%、内航1.
3%、航空1%、
鉄道0.
6%で、トラック輸送が大半を占めている。
これまで、モーダルシフト、中小型の配送用自社トラ
ックの低公害車化などを重点的に進めてきたが、国内輸
送量の約9
0%がトラック輸送で、その内、約7
0%を占
める大型トラックによる物流に対して効果的な対策を実
物流活動は、製品をお客様のニーズに合わせて適切に
行するのが今後の課題である。
お届けするという役割から「お客様価値の創造」に影響
し、また物流コストの適正化という観点から「経営体質
の強化」に直結する重要な位置づけにある。パナソニッ
4.CO2削減の目標と取り組み
クグループが推進するグリーンロジスティクスはこれら
グリーンロジスティクス方針では、2
0
1
2年度までCO2
と両立させたものでなくてはならない。また、物流は、
排出原単位を毎年1%以上削減(原単位はCO2排出量/
生産・技術・品質管理・営業など多くの部門の活動と密
輸送重量)するというもの。この目標は国内の省エネ法
接に結びついており、グリーンロジスティクスの推進に
で求められるレベルと同等レベルである。国内では、省
あたっては相互の理解と協力が不可欠となる。そのた
エネ法が改正され、データ把握の対象が広がり算出や集
め、グリーンロジスティクスの重要性を認識し、その実
計の方法が変わるため、まずは正確な実態把握を行う段
現に向け自ら関係各部門に働きかけ、推進できる人材の
階であることを考慮し、毎年1%以上削減という目標
育成が最も重要である。また、実際の輸送活動は物流パ
設定となった。
ートナーが行なっていることから、主体的かつ積極的に
また、創業1
0
0周年にあたる2
0
1
8年には2
0
0
5年度を基
グリーンロジスティクスを推進している物流パートナー
準にCO2排出原単位を4
6%削減するとしている。20
13年
と連携を深めていくことが大切となる。
度から2
0
1
8年度まではCO2排出原単位を毎年2%以上削
減することを目標としている。
3.物流におけるCO2排出量の現状
パナソニックグループの輸送におけるCO2排出量は
パナソニックグループでは物流分野のCO2削減対策を
進める考え方とステップを「CO2削減4つのキーワー
ド」として整理している。(図表.
3)
78万トン(20
09年度実績)で、その内、国際間の輸送
「なくす・減らす」は、無駄な輸送物量及び輸送距離
が4
6%、日本国内の輸送は20%であった。国際間輸送
を無くす、もしくは減らす活動である。例えば、返品輸
のCO2排出量の輸送手段別内訳は、航空が7
4%、船舶
送を減らしたり、梱包サイズを小さくすることは輸送物
が26%である。CO2排出係数の大きい航空輸送をいか
量を減らす活動である。また、従来は工場から物流拠点
に削減していくかが、今後の取り組みの課題となってい
経由で輸送していたものを顧客に直送することや、海外
る。(図表.
2)
からの持ち帰り製品を従来は、大阪(または、東京)に
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2
3
パナソニックグループグリーンロジスティクスの推進
5.物流パートナーとの連携
(ECO・VC(※))
パナソニックグループは、物流パートナーと一体とな
り「地球環境負荷の削減」と「合理化成果獲得」を目指
すECO・VC(※)活動をグローバルに展開している。連携
推進により、特に、当社に大きく貢献いただいたパート
ナーに対し、感謝を表す意味で、年1回開催される「パ
ナソニックエクセレントパートナーズミーティング」に
て表彰している。
2
0
0
9年度は「大型天然ガストラック」の導入により
図表.
3 物流分野のCO2削減「4つのキーワード」
国内唯一の「天然ガストラックでの長距離輸送」を異業
種との共同輸送で実現し、また、物流拠点間の効率的な
一括して陸揚げし、そこから国内各地に輸送していたも
輸送によるCO2排出量削減と大気汚染防止にも貢献いた
のを、国内の消費地に近い港に分散させて陸揚げするこ
だいた株式会社エコトラックがECO・VC金賞を受賞し
とも国内輸送距離を減らす活動となる。
た。また、20
1
0年度は新聞配送車の帰り便活用による共同
「替える」は、トラックから鉄道や船舶に輸送手段を
替えるモーダルシフトや、トラック輸送の中で適正なサ
イズのトラックに替える方法、化石燃料である軽油から
輸送の実現に貢献いただいた朝日産業!様 が E C O・V C
銀賞を受賞した。
これまでに物流パートナーとの連携により推進してき
植物由来のバイオ燃料に替える方法がある。鉄道及び船
た重点施策を次に紹介する。
舶による輸送はトラック輸送と比較しCO2排出量が1/
(※)
VC=Value Creation
4∼1/8となり、削減効果が非常に大きな対策であ
る。また、バイオ燃料は使用済みのてんぷら油から製造
5.
1 モーダルシフトの推進
され、植物由来であることからその使用によるCO2排出
2
0
1
2年度までに、パナソニックグループとして「50
0
は大気中のCO2濃度に悪影響を与えない燃料と考えられ
km以上の輸送の1
5%を鉄道輸送にする」という目標(国
ている。
内)を掲げた。これは会社として、鉄道貨物協会の「エ
「まとめる」は、同じ方面の輸送をまとめ、1台あた
りの積載効率を高めたり、トラックの大型化を図ること
コレールマーク企業認定」レベルをめざそうというもの
である。
でトラックの総台数を削減することである。同一方面の
エコレールマークは5
0
0km以上の輸送において鉄道コ
輸送物量をまとめるには、パナソニックグループ内の物
ンテナ輸送を一定基準以上採用している企業(法人単
量をまとめることはもちろん、他企業との共同輸送も積
位)や商品に与えられるもので、一般の消費者に対し、
極的に行うことが重要となる。
鉄道輸送への切り替えという輸送段階での環境取り組み
「燃費向上」は、輸送機器の燃料消費効率を高めるこ
に関心をもってもらうことを目的として作られたもの。
とで、主に運輸機器メーカーや物流パートナーが主体と
認定された企業は、エコレールマークを該当の商品につ
なって行なうべき取り組みである。具体的には、燃費性
けたり、カタログやホームページなどを通じて訴求する
能のよいハイブリッドトラック、天然ガストラックなど
ことができる。パナソニックグループでは、携帯電話、
を導入したり、エコドライブにより燃費を改善する取り
携帯電話基地局、薄型テレビ「ビエラ」がいずれも業界
組みなどがある。当社のような荷主企業は、物流パート
で初の商品認定を取得している。また、パナソニック、
ナーのこうした取り組みに高い関心を持ち、グリーンロ
パナソニックストレージバッテリー(自動車用の鉛蓄電
ジスティクスの重要性を認識しその実践を図るパートナ
池を扱う)
、
パナソニックモバイルコミュニケーション
ーとの連携を強化していくことが重要であり、それにつ
ズ、香川パナソニック電工が企業認定を取得している。
いて以降に述べることとする。
2
4
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2
0
0
9年度の鉄道コンテナ輸送の利用実績は、1
5,
4
78
パナソニックグループグリーンロジスティクスの推進
岡までの区間で2本/日、また、宇都宮から大阪までを
1本/日の3
1フィート大型コンテナによる定期ラウンド
運行が実現した。
これにより薄型テレビとしては業界初のエコレールマ
ーク製品認定(5
0
0kmを超える3
0%を鉄道輸送)を20
1
0
年2月に、また、これらの取り組みによりパナソニック
!として企業認定を同7月に取得したことは大きな成果
となった。
図表.
4 09年度コンテナ本数実績
5.
2 低公害トラックの導入推進
本
(12フィートの鉄道コンテナ換算、以下同じ)
であり、
2
0
0
3年度に
「パナソニック躍進エコカー計画
(自社車両
500kmを超える輸送の1
2%に相当し、19
98年度と比較す
における環境方針」
を打ち出し、
原則全ての自社所有トラ
ると9倍以上も増加させていることになる。(図表.
4)
ック
(PLCが所有する配送用2トントラック)
および営業
鉄道コンテナ輸送の利用実績増加の要因として、パナ
車などの業務車両も含め日本で所有する車両を2
0
1
0年
ソニックグループの物流の中核を担うパナソニックロジ
度までに、すべて低公害車に切り替える方針を発信し
スティクス(PLC)での取り組みと、外部委託先である
た。低公害トラックの導入にあたっては、天然ガス車や
物流パートナーとの連携推進をあげることができる。
低排出ガス車、電気自動車などがあるが、PLCでは、
200
3
PLCでは、自社で3
1フィート大型鉄道コンテナを所有
年1
1月に世界初のハイブリッド小型トラックが発売され
し、大阪と宇都宮間、大阪と東京間の輸送に活用するな
たのを機に、
燃費と低排出ガスの両方の性能に優れ、
特別
ど、グループ全体のモーダルシフトの牽引役となってい
な燃料供給設備が不要なハイブリッド車の導入を進め、
る。(図表.
5)
20
0
7年度末に全ての車両の低公害車化を完了させた。
2
0
0
9年度以降は更なる低公害車化を目指し、市販さ
れていない大型天然ガストラックを物流パートナーとの
連携で開発するなど、大型天然ガストラックの導入を開
始した。
前項でも述べたが、2
0
0
9年4月に長距離大型天然ガ
ストラックを関東から関西間に導入した。物流パートナ
ーの1社である!エコトラックとの共同で玩具メーカー
である!タカラトミーと異業種間の共同輸送を実施し
た。同社と当社の物流センターが同じ千葉県浦安市(現
在は市川市)にあり、そこから神戸まで輸送する物流が
図表.
5 パナソニック所有の31フィートコンテナ
あったことから実現した。
関西から関東までは当社の薄型テレビ「ビエラ」を、
物流パートナーとの連携においては、販売の伸びが著
関東から関西へはタカラトミーの玩具を運ぶことで、1
しい液晶テレビの輸送において20
09年に新たに鉄道輸
台をフルに活用。両社の拠点が近く、空走距離の削減に
送を活用する仕組みを構築した。大型鉄道コンテナの定
より、従来と比較して4
3tのCO2削減効果が得られた。
期ラウンド運行を実現するためには往路貨物に相当する
(図表.
6)
一定量の復路貨物の確保が必須であるが、グループ内で
また、近距離輸送においても、大型天然ガストラック
は該当する復路貨物が確保できなかった。そこで物流パ
を導入した。こちらも!エコトラックとの共同でプラズ
ートナーの1社である日本通運の支援によりその復路貨
マディスプレイの輸送で活用している。尼崎工場で製造
物を確保し、従来からの取り組みに加え、宇都宮から福
したディスプレイを生産拠点の茨木工場(大阪府)や、
Material Handling Journal No.
264
2
5
パナソニックグループグリーンロジスティクスの推進
するというもの。その結果、片道便であった新聞配送車
両が往復便(ラウンド便)になった。
朝日新聞社は該当エリアでの新聞輸送に、20
01年か
ら中型の天然ガストラックを、さらに2
0
07年からはバ
イオディーゼルトラックを使用している。バイオディー
ゼル燃料は、「使用済みてんぷら油」を原料とするリサ
イクル燃料で、軽油とは混合せずB1
0
0%燃料(ニート)
を使用している。空回送の有効活用に加え、これらの低
図表.
6 長距離大型天然ガストラックによる
タカラトミー様との共同輸送
公害車両の帰り便を、当社の物流に活用することで、通
常のディーゼルトラックと比較し、CO2の削減効果は2
社合計で年間7
1トンとなり、物流コスト削減にも大きく
貢献した。
新聞配送を担う朝日産業!は、今回、初めて新聞以外
の輸送貨物を取り扱うため、担当ドライバーの固定化な
ど、当社が要求する物流サービスレベルを習得いただい
た。更には朝日産業!が所有している低公害トラックを
優先的に当該輸送へ使用するなど、当社のグリーンロジ
図表.
7 中距離大型天然ガストラック「VIERA号」
スティクス推進に多大な貢献をいただいた。
当社はこの事例を先行モデルとし、全都道府県の事業
海外市場向けの物流拠点間(尼崎市)を大型天然ガスト
場に対し、朝日新聞社との共同輸送について可能性のあ
ラックで運行し、同規模のディーゼルトラックと比較し
るルートの「洗い出し調査」を実施し、引き続き両社で
て年間7トンのCO2削減が削減できた。(図表.
7)
更なる拡大に向けて検討を進めている。
5.
3 輸送効率向上(異業種との共同輸送)
2
010年4月より朝日新聞を配送している低公害トラ
6.海外での取り組み
ックの帰り便を活用した異業種共同輸送を開始した。共
グローバルな視点による取り組みを強化するために、
同輸送による空回送距離の短縮と、低公害車の活用によ
欧米、アジア、中国等の各国における環境法規制、とり
る環境負荷低減を目指した取り組みである。(図表.
8)
わけ物流に関する環境関連法規制と政府・自治体の主要
な推進施策、さらに代表的なグローバル企業の物流分野
における環境取り組みの同行を調査し、現状を把握、整
理を行ってきた。
海外での推進にあたっては各地域における社会レベル
図表.
8 朝日新聞社様との共同輸送
での環境意識の温度差も大きいため、各国の環境関連法
規制と政府施策を精査し、それらに対応した取り組みや
朝日新聞社が座間工場
(神奈川県)
で印刷する朝刊を、
基準の設定(CO2削減目標など)が効果的であると考え
静岡県内の新聞販売店に輸送した後の帰りのトラック
ている。政府が打ち出している施策の多くは、日本国内
で、当社が携帯電話を製造しているパナソニックモバイ
同様、「荷主企業と物流パートナーとの連携取り組み」
ルコミュニケーションズ掛川工場(静岡県)から、神奈
がテーマとなっている。
川県や東京都の得意先向けの携帯電話修理用サービス部
材、修理完成品や、同工場の事業所への宅配荷物を輸送
2
6
MHジャーナル
平成2
3年1月
ここでは当社が参画中、あるいは今後参画しようと検
討中の米国と欧州の政府施策について紹介する。
パナソニックグループグリーンロジスティクスの推進
①米国 SmartWay Transport
米国環境保護庁(EPA)は、陸上貨物輸送に伴う大気
正確なCO2排出量の把握と削減計画の策定が不可欠であ
ることは間違いない。
汚染物質および温室効果ガスの排出の削減をめざし、民
当社の最大の課題は、海外においては各国のレベルも
間企業とのパートナーシップによる取り組みとして「ス
まちまちであり、CO2排出量を把握する仕組みも未だ構
マートウェイ・トランスポート(SmartWay Transport)
」
築されていない。今後は定量データの把握と環境負荷低
を推進している。
減活動への取り組みを並行して実施し、取り組みの加速
目標は2
012年までに、年間、1
80
0万トンのCO2、2
0万
推進をめざしている。
トンのNOXを削減することを目標としており、これに
より、年間1億50
00万バレルの石油が節約されること
による。
おわりに
このプログラムに参加し、一定規模以上の成果をあげ
パナソニックグループとして、グリーンロジスティク
た企業は「スマート・ウェイ」ラベルが獲得でき、宣伝
ス方針にそって、着実に推進していく考えである。物流
やマーケティング活動に活用することができる。
分野でのCO2削減の必要性を踏まえ、またCO2削減取り
パナソニックグループとしては北米にある統括会社が
組みを通じて物流の合理化、コストダウンを図ること
本プログラムに参加し、ディーラへの直送による輸送距
で、物流における環境負荷の低減と経営体質の強化の両
離削減やトラックから鉄道輸送へのモーダルシフトなど
立に結び付けていくよう努力する考えである。
によるCO2削減取り組みにより「スマート・ウェイ」ラ
ベルの認定を受けた。
これまでの取組みは我々荷主企業だけでも、物流企業
だけでもなし得ず、環境に対して同認識をもち、目的を
共有し合えるパートナーシップによって初めて成し遂げ
られたものである。
真剣に環境問題に取り組み、同じ目標に向かう企業
は、真のパートナーとなり得るということを確信してい
る。
今後はお取引先企業を巻き込んだ多面的な対応、すな
図表.
9 SmartWay Traansport ロゴ
わち、環境視点からみたサプライチェーンマネジメント
が必要な時代になりつつあると認識している。「エレク
②欧州「Marco Polo!プログラム」
EU運輸白書(2
001年)で指摘された渋滞の緩和や物
流輸送の環境改善を伴う持続可能な輸送を実現するた
トロニクスNO.
1の環境革新企業」をめざし、物流分野
での環境取組みを加速していくためにも、皆様からのご
指導、ご鞭撻を切に要望し結びとしたい。
め、2003年に策定された。対象はEU域内のモーダルシ
フトに限られる。一定の条件を満たし、トラック輸送か
お問合せ先
ら他の輸送機関へのモーダルシフトに対して補助金が支
払われる。(50
0トンキロのあたり2ユーロの補助)こ
パナソニック株式会社
の取り組みも物流パートナーとの連携が重要な推進ポイ
グローバルロジスティクス本部
ントとなる。
CSR・環境チーム チームリーダー
パナソニックグループとしては欧州にある統括会社が
本プログラムへの参画を検討している。
金城 佐和子
〒5
4
0
‐
62
3
0 大阪市中央区城見2丁目1番6
1号
TEL:0
5
0−3
68
8−9
9
2
6
以上、2事例を紹介したが、既に官民が連携し、排出
権取引の導入が進められている状況下、企業内における
FAX:0
6−6
9
3
7−73
3
6
E-mail : [email protected]
Material Handling Journal No.
264
2
7
特 集
●環境戦略への挑戦●
大和ハウス工業が取り組む環境省エネ型物流施設
「Dプロジェクト高島平」
大和ハウス工業株式会社
東京建築事業部
営業部 村上 泰規
1.大和ハウスグループ概要と物流施設開発事業
大和ハウスグループは「ハウジング」
「ビジネス」
「ライ
豊富な土地情報を活用し、希望物件の提供に止まらず、
物流施設の不動産流動化など、ご要望に沿った用地・施
設とさまざまな土地活用方式を提供しています。
フ」の3分野をベースに、住宅をはじめ、商業建築、ホ
テル、ホームセンター、スポーツクラブ、医療介護など
幅広い事業を展開しており、20
10年3月期、約1兆6
0
0
0
2.大和ハウスグループの環境エネルギー事業
億円の売上を計上しました。このなかで法人担当の商業
大和ハウスグループは、将来に向けた収益源の育成を
建築事業が売上の約30%
(住宅事業は約5
9%)
を担って
目的に次世代事業への取り組みを強化しています。その
おり、物流施設開発事業としては約500億円を計上して
中でも特に環境エネルギー事業の分野については、地球
います。
温暖化防止を見据えた省エネ機器の商品開発、販売をす
また、「安全安心・スピード・福祉・環境・健康・通
すめています。
信・農業」をテーマとした「ア・ス・フ・カ・ケ・ツ・
2
0
0
9年4月には環境エネルギー事業部を立ち上げ、
ノ」事業を展開しており、このたびの物流施設開発事業
商業施設向けの白色LED照明システム「grace lumino(グ
「Dプロジェクト高島平」事業もユーザー様に安心安
レース ルミノ)
」
やオフィス向けの高効率反射板「reFbo
全、スピードと環境提案をすすめることを視野に‘環境
(レフボ)
」
、
「LED街路灯」
、
「太陽光発電システム」
、
エネ
省エネ型物流施設’として完成稼動させました。
ルギー見える化に対応する
「D-POWER Monitor(エネル
大和ハウス工業の物流施設開発事業「Dプロジェク
ギーマネジメントサービス)
」
などを販売。企業や官公庁
ト」はユーザー様の抱える課題に対して、施設・設備面
向けに環境エネルギー関連の総合提案を行っています。
の提案はもちろん、物流拠点の配置や多様な事業スキー
その他にも大和ハウスグループでは、電気設備の保
ムの提案、事業パートナー紹介など、物流事業をトータ
守・点検代行サービス事業、電力小売事業などを手掛け
ルにプロデュースしています。さまざまな角度から荷主
るエネサーブ株式会社のほかに、小型風力発電機「風流
企業様、物流事業者様の課題を分析し、「物流最適地」
鯨(かぜながすくじら)
」
の販売やESCO※1事業を手が
から「環境負荷低減」
、さらには最適化・効率化のため
けている大和エネルギー株式会社も環境エネルギー事業
の「再編成」
「統廃合」
「高機能化」といった、それぞれの
を展開中で、環境配慮型の商品・サービスの提供によ
課題解決に向けたきめ細かな提案を行います。あわせて
り、温室効果ガス削減に貢献しています。また、物流事
※1 エネルギー・サービス・カンパニーの略称で、建物のエネル
ギーコストとCO2の排出を同時に削減し、経営効率と環境の
2
8
MHジャーナル
平成2
3年1月
問題を包括的に解決する手法のこと
大和ハウス工業が取り組む環境省エネ型物流施設「Dプロジェクト高島平」
業の大和物流株式会社はグループ会社となったユアサロ
ジテック株式会社との協働により蓄電池輸送に関連した
特殊なリサイクル物流を実施しています。
4.Dプロジェクト事業と高機能型物流センター
「Dプロジェクト」の大きな特徴は、ノンアセットでの
事業展開が可能なことです。大和ハウスが土地や建物
3.大和ハウス工業の各事業での
環境エネルギーに関する取り組み
大和ハウス工業の環境エネルギー事業部では、当社商
品による温室効果ガス削減効果で、東京都排出量取引制
を所有したり、出資したりして積極的に事業参画する
ことにより、ユーザー様の土地購入費や施設建築費な
どの初期投資を大幅に抑えることができます。これによ
り 様々なニーズ・事業スキームに柔軟に対応することが
可能となります。
度の「都内中小クレジット※2」第一号申請を行い、東
ユーザー様の製品特徴に合わせた専用センター構築に
京都クレジット創出業務を開始しました。またマンショ
おいても、倉庫建設において数多くの実績を持つ弊社
ン事業においては、当社が分譲した埼玉県越谷市の「D
は、技術と経験とノウハウを注ぎ、また各分野の専門的
'グラフォート レイクタウン」の熱設備からつくられ
知識を持つ、信頼性の高い事業パートナーをコーディネ
たグリーン熱※3による
「グリーン熱証書」
が発行・販売
ートすることで、ユーザー様のロジスティクスの効率化
されるなど、多方面で積極的な取組みをすすめています。
をトータルにサポートします。2
0
0
6年の武蔵村山のSPC
出資事業を皮切りに、物流不動産ソリューションを全国
で7
7プロジェクト、約4
1万坪敷地にて物流不動産開発事
業を手がけており、多くの分野のユーザー様よりご評価
を頂いております。
近年その中でも、環境配慮への取り組みが企業価値評
価の要件として重要となっており、物流施設においても
環境配慮型倉庫の構築を要望されるユーザー様(荷主
様)が増えております。多少コスト高でもこのような高
機能型物流センターを利用したいという、今後の新たな
図表.
1 東京都クレジット事業スキーム図
市場ニーズに対応できるよう、環境配慮型モデルとして
図表.
2 「グリーン熱証書」発行までの流れ
※2 東京都の「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例」
に
基づく総量削減義務と排出権取引制度のクレジットのひとつ。
※3 太陽熱、バイオマス熱、ゴミ焼却時の排熱、雪氷の冷熱など
自然由来の熱のこと。
Material Handling Journal No.
264
2
9
大和ハウス工業が取り組む環境省エネ型物流施設「Dプロジェクト高島平」
位置付けるべく、この度
「Dプロジェクト高島平」
を開発
・竣工いたしました。
5.
「Dプロジェクト高島平」
事業
!
食
堂
・
休
憩
室
東京都板橋区高島平の本物件は、周辺には東京外環自
動車道や首都高速が走り、主要幹線道路との連絡がスム
ーズで首都圏から関東一円まで幅広くカバーでき、都営
三田線西高島平駅から徒歩3分に位置していることか
ら、都内にありながら、物流拠点として申し分のない立
地です。「物流オフィス」などの高付加価値施設も検討
可能な立地として市場調査を重ねた結果、当該物件にて
オフィス用品通販「たのめーる」を展開する株式会社大
!
食
堂
・
休
憩
室
塚商会様を荷主に、総合的に物流業務受託したリコーロ
ジスティクス株式会社様をテナントに迎え、当社建物投
資をリース会社と共に行うDプロジェクト高島平事業が
提案合意し、200
9年6月に着工、2
01
0年8月完成引き
渡しました。
【物件概要】
所 在 地:東京都板橋区高島平6−1−1
!
L
E
D
照
明
敷 地 面 積:10,
0
71.
31㎡(3,
0
46.
57坪)
建 築 面 積:5,
280.
1
3㎡(1,
59
7.
24坪)
延 床 面 積:31,
584.
79㎡(9,
55
4.
4
0坪)
階数・構造:6階建て・PC造
!
免
震
装
置
!
外
観
!
玄
関
!
外
観
3
0
MHジャーナル
平成2
3年1月
大和ハウス工業が取り組む環境省エネ型物流施設「Dプロジェクト高島平」
!
玄
関
組んだDプロジェクトの様々な環境配慮要素、高効率要
素を視野に入れ、今後もさらにこれらの機能を進化させ
ることを目指しました。具体的には、①全館LED照明
②PC工法に対応した免震構造の採用 ③屋上緑化、
とこれから設置を予定している ④太陽光発電 ⑤リチ
ウムイオン電池の実証実験検証です。
①全館LED照明について:すでに家庭用LED照明につ
いては広くいきわたるようになっていますが事業用、
!
屋
上
緑
化
特に倉庫や工場のような大規模空間を要する施設に対
しての採用事例がまだそれ程多くない中、今回のよう
な約1
0,
0
00坪の倉庫全館に採用するという事例は国
内でも最大規模の内容です。荷主であり、本プロジェ
クトに参画いただいた株式会社大塚商会様の取り扱う
LED照明でのご提案を頂き、設置のご判断を頂きま
した。
このLEDの設置により、一般の照明器具と比べ、
倉庫部分だけで年間約4
0t/CO2のCO2削減効果を見
込んでおります。ランニングコストにおいても4
0,
0
00
物流業界も、20
0
5年2月16日京都議定書発効によっ
時間(約3倍)の寿命を持つLEDの採用により、ラ
て運輸部門におけるCO2等の削減が急務となり、同年
イフサイクルが伸びる事で、照明器具廃棄による産業
4月に、物流事業者・荷主企業・各業界団体・地方自治
廃棄物処理量が大幅に削減できます。
体・個人等が協力してこれらの取り組みの連携を深める
②PC工法に対応した免震構造の採用について:ワンラ
場として「グリーン物流パートナーシップ会議」を発足
ンク上の大型物流施設(6階建て、延床面積3
0,
0
58
しました。同年10月には物流総合効率化法(流通業務の
m3、積載荷重1.
5t/m3)として、高耐久性、高耐震性
総合化及び効率化の促進に関する法)が施行、翌年には
を有する様にプレストレスコンクリート(PC)構造
省エネ法(エネルギーの使用の合理化に関する法律)が
とそれに対応した免震構造を採用しています。従来、
改正(運輸分野)され、トラック輸送を中心とした物流
病院や重要公共施設・高性能マンションなどでの事例
事業者によって、モーダルシフトや共同配送、配送距離
が多い免震構造を採用することで、震度7の大地震に
の低減を目的とした集約など、業界努力による改善が進
対しても建物の損傷を防ぐだけでなく、荷崩れなどの
んでいます。
被害をくい止め物流施設としての健全性を保証しま
このような取り組みの中で物流施設についても昨年4
す。(地震PML値=1.
2%)
月に再改正された省エネ法により、事業所単位のエネル
③屋上緑化について:屋上においては、敷地活用の有効
ギー管理から事業者単位(本社、支店、営業所、店舗等
性を発揮するため必要不可欠な駐車場・通路を確保し
の1年間のエネルギー使用量(原油換算値)が1,
5
0
0リ
たうえで、物流施設全体の断熱性の向上を目的に屋上
ットル以上の事業者)のエネルギー管理に変更されたこ
緑化の行政指導の範囲(緑化の地上から屋上への移行
とで、業界全体の環境負荷低減はもちろんのこと、社会
は必要緑化面積の3
0%まで可能)で可能な限り緑化
的責任投資として経営指標に位置づけられることを意識
計画をすすめ、ローメンテナンスに対応できるツルマ
する企業が増えています。
ンテングサを採用しました。
この「Dプロジェクト高島平」では過去に全国で取り
Material Handling Journal No.
264
3
1
大和ハウス工業が取り組む環境省エネ型物流施設「Dプロジェクト高島平」
④太陽光発電⑤リチウムイオン電池の実証実験検証につ
いて:今後の取り組みとしてエリーパワー株式会
6.今後の取り組みについて
社※4が開発する大型のリチウムイオン電池と太陽光
物流施設の高機能化は今後、モノや情報の見える化か
パネルメーカーとの相性を計るため屋上階を利用して
らエネルギーの見える化に至るまでの、まさに企業の社
サンプルデータを取得します。リチウムイオン電池の
会的責任ニーズに対応したサービスパートナーとともに、
物流センターでの本格採用はこれまでに類がなく、日
グローバル戦略を整えないといけない時代に突入してい
中に太陽光で発電した電力を蓄電し、昼間のピークカ
ます。
ットあるいは夜間の看板・外部照明等で放電利用いた
大和ハウスグループでは、各事業で展開する環境負荷
します。結果として、年間9.
5t/CO2程度のCO2削減
低減に応えるさまざまな商材、サービスを国内ユーザー
を見込んでいます。
様向けに販売をすすめるとともに、将来は、この総合的
な物流施設ソリューションを大連、北京、天津、上海、
蘇州の現在ある営業インフラも活用してアジアを中心に
した海外にもすすめようと考えています。
お問合せ先
大和ハウス工業株式会社
東京都千代田区飯田橋3−1
3−1
TEL:0
3−5
2
1
4−2
4
0
2
建築事業推進部 物流グループ 谷田 徳久
東京建築事業部 営業部 村上 泰規
※4 2
010年6月11日現在、大和ハウスグループが3
1.
7
2%(大和ハ
ウス工業1
5.
8
6%、エネサーブ1
5.
8
6%)出資している大型リ
チウムイオン電池システムメーカーで、神奈川県川崎市に年
3
2
MHジャーナル
平成2
3年1月
産2
0万セルを目指した量産工場を2
01
0年4月に竣工、6月から
順次稼動を開始した。大和ハウスグループ が取り組むさまざまな
事業の中で実証実験を含めた生産販売設置をすすめている。
ま め 知 識
(シリーズ!)
文/佐藤
■諸葛孔明の知恵から生まれた中華まん、
今では日本の朝食に。
………………………………………………
…………………………………………………………………
コンビニで手軽に買えるファストフードとして定着した中
華まん。ほかほかの中華まんをほおばるのは、冬ならではの
楽しみです。2
0
0
9年の調査によれば自宅であたためて食べる
タイプの袋入り中華まんを「朝食として買った」という人が
2
6%、コンビニでも朝6時台からよく売れているそうです。
中華まんの歴史は古く、諸葛孔明が生みの親と言われてい
ます。彼は7千人を超える人の首と牛、羊をいけにえとして
捧げなければならないと言い伝えられている川に、小麦粉で
つくって人の頭の形に丸めた生地の中に牛や羊の肉をつめた
饅頭を投げ入れ、部下の命を差し出さずして氾濫中の川を鎮
めました。この饅頭が中華まんの始まりとされています。
日本では1
9
2
7(昭和2)年、東京・新宿で日本人好みにア
レンジした中華まんが売り出され、一般の人にも親しまれる
ようになりました。当時は肉まんが6銭、あんまんが4銭で
した。
中華まんといえば肉まんとあんまんが代表的ですが、今で
はさまざまな味が発売され、ピザまんやカレーまんはすっか
り定着しました。今冬は人気の「食べるラー油」系のアレン
ジものが流行のようです。
ユニークなのは、地方によって食べ方が変わること。関西
ではウスターソースやからしをつけるのが好まれていて、九
州では酢醤油を生地にひたして食べる方法がポピュラーなの
だとか。コンビニで肉まんを買うと、からしや酢醤油の小袋
をつけてくれるそうです。また北海道で「中華まん」と言え
ば、どら焼き風の生地にあんこをはさんだお葬式や法事につ
かわれるおまんじゅうを指すそうですよ。ところ変わればと
はよく言いますが、驚きです。
おなかも心も温かく満たしてくれる中華まん、あなたのお
気に入りはどの味ですか?
※参考:新宿中村屋 http : //www.nakamuraya.co.jp/
Buseness Media誠 http : //bizmakoto.jp/
広東料理の鉄人 http : //www.kantondish.com/
ウォーカープラス http : //www.walkerplus.com/
肉まん全国調査
http : //www.246.ne.jp/∼bayou/side‐B‐fieldwork‐frm.htm
LIFENCE http : //mag.gto.ac.jp/
北海道人 http : //www.hokkaido‐jin.jp/
誠
■お酒を楽しむ姿をエレガントに見せてくれる!
女性におすすめのシャンパン。
………………………………………………
…………………………………………………………………
パーティーなど華やかなシーンで女性をおしゃれでエレガ
ントに演出してくれるお酒、それがシャンパンです。
「シャンパン」とは発泡性のあるワイン、いわゆるスパー
クリングワインの一種で、フランス・シャンパーニュ地方で
条件を満たして生産されたものだけが名乗れる名前です。ス
パークリングワイン=シャンパンではないのですね。
シャンパンの最大の功労者は、ドン・ペリニョン。彼は修
道士でしたが、質の高いワインを作るためにさまざまな研究
を施し、葡萄の樹の剪定から保存がきく瓶詰めシャンパンの
開発まで、シャンパンの守護神と称賛されるまでに。ドン・
ペリニョンの名前は瓶詰めのシャンパンの代名詞となったの
です。1
7世紀後半、シャンパンはフランス宮廷や貴族の間で
大人気となり、暮らしの必需品とまでいわれたそうです。
その後、フランス革命によってシャンパンは貴族という大
口顧客を失うのですが、代わりに現れたのがナポレオン。ブ
ランデーの名前にもなっているナポレオンは大のシャンパン
好きで、ナポレオンの遠征をシャンパンの製造者が追いかけ
ていたというエピソードが残されているほどです。
さて、ワイン同様シャンパンのラベルにもさまざまな情報
がしるされています。なかでもラベルの下の方に小さく入っ
ている2文字のアルファベットからは製造業者の業態がわか
ります。「NM」はいわゆるメゾンと呼ばれる大規模製造者、
「CM」はシャンパン生産者の協同組合、「RM」は小規模
生産者を指し、なかでも「RM」は自家でブドウを栽培し、
製造から販売まで手がける良質なシャンパーニュメーカーと
して、近年注目されています。
シャンパンを飲む女性がエレガントに見えるのは、グラス
にあるのかも知れません。パーティーなどでよく使われる口
が大きくあいた平らなグラスは、グラスを大きく傾けなくて
もよいのでグビっと飲み干す姿勢になりません。一方親しい
人とプライベートで飲むなら細長いフルート型がおすすめ。
シャンパンの命ともいえるフルーティな香りや泡の美しさま
で楽しむことができます。
洗練された印象のシャンパンは、華やぎの場にふさわしい
お酒。いつもはワインや焼酎、日本酒、ビールをたしなむ方
も、
この季節は優雅にシャンパンを味わってはいかがでしょう。
※参考:株式会社桝久商店
http : //www.e‐masukyu.co.jp/index.shtml
アサヒワインコム
http : //www.asahibeer.co.jp/enjoy/wine/index.html
フランスワイン事典
http : //www.french‐wine‐jiten.com/index.html
暮らしの知っ得情報館
http : //www.horidashi‐ichiba.com/index.htm
佐藤
誠
有限会社 アッ
ト・イーズ 代表
財団法人 生涯学習開発財団 認定プロフェッショナルコーチ
株式会社 コーチ・
トゥエンティワンクラスコーチ
NLPマスタープラクティショナー
日本FP協会認定AFP会員
e-mail : mac-sato@df7.so-net.ne.jp
Material Handling Journal No.
264
3
3
特 集
●環境戦略への挑戦●
環境新時代のパートナーへ
パナソニック電工株式会社
電材マーケティング本部 電材商品営業企画部
カスタマークリエイトセンター
センター長 池田 淳
新年、あけましておめでとうございます。うさぎ年の
今年、ホップ・ステップ・ジャンプと、大きく飛躍する
一年にしたいものです。
その後毎年エネルギー効率1%の改善という努力義務
を課せられることになっています。
こうした測定・報告・管理・改善という義務化は新た
さて、各施設のご担当者がうさぎのように目を真っ赤
な労務負担、経営負担となりますが、世界公約を果たす
にして取り組んでおられるのが、環境対策ではないでし
ためには超えなければならないハードルです。そこで、
ょうか。世界公約となった205
0年2
5%CO2削減。この
パナソニック電工では、その負担を軽減するパートナー
高いハードルをクリアするには官民一体となった早急
となるべく、様々なサービスと高機能・高性能の設備を
な、そして実のある取り組みが必要であることは明白で
開発、お届けしています。
す。環境新時代の幕をあげた改正省エネ法と温対法は
次々と目標設定を掲げ、その具体化を迫ってきていま
す。物流の世界でも対応策を講じ、環境貢献企業として
の企業価値を高めていかなければなりません。本稿で
2.義務化のプロセス業務を軽減する
モニター機器とWEBサービス
は、その取り組みのパートナーとしてパナソニック電工
義務化対応の第一歩は、企業単位のエネルギー使用量
がお役に立てるサービスと設備のご紹介をさせていただ
の総量把握。各拠点でのエネルギー使用量を把握するこ
きます。
とから始まります。電気・ガス、各種燃料の伝票を集計
して、原油換算するわけです。文章にするとたった1行
1.改正省エネ法が求める
測定・報告・管理・改善の義務化
ご存知の通り、改正省エネ法では事業場単位から企業
の作業ですが、毎月毎月の集計作業は現実的にはかなり
の作業負担になります。
そこで、弊社では、省エネ総合サービス「ECO-SAS
(エコサス)
」
を平成2
2年1月1
5日から提供を始めまし
単位のエネルギー管理に規制対象が拡大されました。
た。「ECO-SAS(エコサス)
」
とは、お客様が拠点ごと
これまでのように「1倉庫ごと、1営業所ごと」ではな
の電気やガスなどの伝票データをパソコンに入力し、
く、「全倉庫と本社・支店を含めたすべての企業の活動
WEB上で企業内のエネルギー総量を集計管理する仕組
拠点」のエネルギー使用量の年間合計を原油換算したう
みです。特定事業者に課せられている「定期報告書」の
えで「エネルギー使用状況届出書」を作成し、届け出る
作成や省エネ活動をアシストする機能に加えて、入力さ
ことが義務付けられました。その総量が15
00!を超え
れた総量データを基に、使途
(空調、照明、コンセント)
る場合には、特定事業者の指定を受け、
「定期報告書」
「中
別エネルギー使用量を推定し、省エネの可能性を示す簡
長期計画書」を報告することも義務化されています。ま
易省エネ診断機能も搭載しています。このように、エネ
た、「エネルギー管理統括者」
「エネルギー管理企画推進
ルギー管理者の方のエネルギー管理のためのツールなど
者」を選任し、エネルギー使用量の把握・管理を行い、
を公開し、作業負担を軽減。各企業のCO2削減に向け
3
4
MHジャーナル
平成2
3年1月
環境新時代のパートナーへ
た活動を支援しようという取り組みです。
省エネ法改正以前から特定事業者の指定をうけておら
ASP方式で自社にサーバを設置する必要がなく、しか
れる大規模の工場やビルでは、エネルギー使用量などの
も無料。省エネ事例や法改正のポイント等、最新の省エ
計測点数も多く、またエネルギー管理専門技術者が現地
ネ情報もご提供していますので、ぜひご活用いただきた
で運用することが多いため、設備管理を兼ね備えた
いと思います。
BEMS導入によって省エネが進められているケースが多
いと思います。
使用エネルギーの管理・運用方法
一方、新たに規制対象となる中小規模ビルや店舗など
では、各拠点で専門家を配置することが困難であり、本
社部門の担当者が一元的にエネルギー管理できるしくみ
が不可欠となります。このような遠距離・多拠点のエネ
ル ギ ー 管 理 に は、も う ひ と つ の 管 理 ツ ー ル で あ る
「EnePass(エネパス)
」
のご活用をお勧めします。
システム系統図
使用エネルギーの表示例
※別途契約が必要です
登録・累計管理画面
CO2換算グラフ
グラフ化表示
Material Handling Journal No.
264
3
5
環境新時代のパートナーへ
活用し、ネットワーク上でデータを自動的に収集。セン
タサーバで集中管理することにより、お客様のパソコン
からインターネット経由で、データやグラフの閲覧が可
能にするシステムです。企業全体のエネルギー使用量の
「見える化」を実現し、本社部門での一括管理ができる
ので、大幅な工数削減につながります。
さらに、収集したデータにもとづいて、当社専門スタ
ッフによる分析・診断サービス(オプション)や、省エ
ネ改善のご提案まで、省エネのトータルサポートをご用
意。省エネ施策の効果測定、環境意識向上による省エネ
前年比較グラフ
促進、法令報告書作成工数の削減にご活用いただけま
す。
このサービスは、各拠点のビルや倉庫のエネルギー使
こちらは有料のソフトになっていますが、ASP方式な
用量や温度・湿度などの環境情報を弊社のエネルギー計
ので導入コストを抑え、システム管理の手間を省くこと
測器(多回路エネルギーモニタ等)や省エネシステムを
ができます。
ECO-ASA
(エコサス)
・EnePass
(エネパス)
活用方法
3.改善目標達成のためには、
運用改善と
設備改善の両輪が必要に
もちろん、運用改善にも限界がありますし、省エネを
優先するあまり間引き点灯すると作業の安全性が損なわ
れる危険性も高まります。さらなる改善目標を達成する
エコサスエネパスによって、エネルギー総量の把握、
には「設備改善」が必要になってきます。たとえば、水
用途別の把握によって、現状の改善課題が「見える化」
銀灯投光器の場合、再点灯後の照度確保に時間を要する
でき、多回路エネルギーモニタにより、部門ごとに明確
ため、作業時間外でも点灯したままという現場がよく見
な取り組み目標が設定できます。各部門の執務者、作業
受けられます。この場合、必要な時だけ必要な照度を得
者が意識して無駄を省く努力をする「運用改善」だけで
られる即時点灯の照明器具にリニューアルすることで、
も当面の目標は達成できるケースが多いので、まず「見
大幅な改善が可能になります。省エネ照明器具を導入す
える化」することが重要です。
れば、さらに効果は増大します。弊社では、省エネ照明
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MHジャーナル
平成2
3年1月
環境新時代のパートナーへ
器具で数多くの倉庫の設備改善を実現しています。そし
て今、多くの期待と注目を集めているのがLED照明器
具です。
4.環境新時代の新光源LEDで
劇的な省エネ効果を
LEDは百花繚乱ならぬ百花
「騒」
乱の様相を見せていま
す。その中で
(社)
日本電球工業会から直管形LEDラン
交換ユニット
(蛍光灯から直管形LEDランプへ切り替える為の)
プが規格化され、性能や安全性への具体的な基準が提示
されました。直管形LEDランプ(LDL40)の場合、全
光束2300lm以上/演色性Ra8
0以上/配光120°以内の光
束70%未満/ランプ電流DC35
0mA/ランプ電圧9
5∼4
5
V/ランプ電力33.
3W/口金L1
6など、最低限確保すべ
き性能を含めた標準化が規定されたわけです。
5.設備改善の課題である初期投資負担を
軽減する
「あかりEサポート」
LED照明器具を始め、設備改善をすることでCO2削
減は確実に成果を挙げることができます。しかし、課題
弊社はいち早くこの規格に対応した商品開発に着手し
となるのが初期投資費用です。様々な補助金も整備され
ています。FLR4
0形器具と同等の明るさを確保し、高い
ていますが、事後入金となるため短期的とはいえ資金が
レベルでの安全性も実現。もちろん大幅な省エネ効果が
必要になり、活用できないケースが多いというのも現実
得られます。演色性Ra8
0以上を確保しているので、一
です。そこで、弊社が三井住友ファイナンス&リース株
般的な水銀灯Ra40に比べて作業性もアップ。梱包伝票
式会社と協同で取り組んでいるのが「あかりEサポー
のバーコード化が定着している今、この視認性のよさは
ト」です。
大きな魅力となります。
このサービスは、照明器具を貸し出し(長期貸出サー
また、即時点灯が可能なのでON・OFFをこまめにで
ビス)することで、初期投資なしで、省エネリニューア
きるようになります。さらにセンサと連動を図ることで
ルを可能にする仕組みです。具体的には高効率・省エネ
フォークリフトの動きに合わせて効率的に点灯・消灯が
照明器具(LED照明「EVERLEDS」等)を導入するリ
可能になり、省エネ効果を一層高めることができます。
ニューアルの初期投資コストを月々のサービス支払い
もうひとつ、高天井の倉庫では、ランプメンテナンス
にすることで平準化し、現状の照明使用にかかる月々
には手間とコスト、そして高所作業による危険性が現場
のランニングコストと同程度の顧客負担で、省エネ・
の負担になっていましたが、ランプ寿命が長いLED照
CO2削減を図ることが可能となります。
明器具はメンテナンス負担が軽減されるメリットも高く
評価されています。
また、契約期間中に対象器具が故障した場合は、追加
費用なしに修理対応し、製品の性能を保証。加えて、CO2
削減認証は、当社が国内クレジット制度で認証された照
LED照明器具
明器具の削減方法論により提案。この提案を審査機関が
第三者認証します。さらに、リニューアル時に取り外さ
れる使用済み照明器具は、適正処理。
契約終了後の照明器具についても同様に処理し資源循
環を行います。
LED照明器具などは、高い省エネ機能でランニング
コストが削減できるうえに、長寿命、省メンテナンス、
高効率と大きなメリットがありますが、初期投資コスト
富士型器具
が高いなどの導入における課題があります。この「あか
Material Handling Journal No.
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3
7
環境新時代のパートナーへ
りEサポート」をご活用いただければ投資コストという
ルやサービスは下記のURLから詳細をご覧いただけま
ハードルを下げてスムーズな導入が可能になります。
す。
ぜひ、
一度ご高覧賜りますようお願い申し上げます。
あかりEサポートでは、
4つのサービスをご用意しております。
ECO‐SAS(エコサス)
http : www.eco‐sas.jp/
EnePass(エネパス)
http : www.eco‐sas.jp/enepass/enepass.html
契約期間は7年もしくは点灯時間4
0,
000時間の短い方
(1回継続契約=最長14年まで)
6.環境パートナーとして
皆様との協働の輪を拡大します
環境新時代を迎えた今、環境貢献が企業価値のバロメ
ーターになっています。改善コストによる経営負担や目
に見えない労務負担を抑えつつ、低炭素社会に貢献する
企業へ。パナソニック電工は皆様のお役に立てるパート
ナーとなるべく、今後さらに高機能商品やサポートツー
ルの機能拡充に努めてまいります。
なお、本稿にてご紹介させていただいたサポートツー
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MHジャーナル
平成2
3年1月
あかりEサポート
http:panasonic‐denko.co.jp/corp/csr/environment/
02/18.html
お問合せ先
パナソニック電工株式会社
電材マーケティング本部
電材商品営業企画部
カスタマークリエイトセンター
センター長 池田 淳
〒1
0
5−8
3
0
1 東京都港区東新橋1丁目5番1号
TEL:0
3−6
2
1
8−1
1
3
1(東京代表)
JMHSニュース
2010東京国際包装展閉幕
パッケージに関わる様々な商品・情報・システムを
各種最新鋭MHシステム・機器のご提案、並びに当協
一堂に集めるアジア最大級の総合包装展「201
0東京国
会の諸事業や各委員会の情報、会員企業によるカタロ
際包装展(TOKYO PACK)」
が、10月5日(火)
∼10月
グ情報等をご案内し、連日多くのご来場者で賑わっ
8日(金)の4日間、東京ビッグサイト(東1∼6ホー
た。
ル)にて開催し盛況裡に終了した。
1966年の開催から今年で23回・46年目を迎えた今回
は、『成長のヒントは、包装にある。
』をテーマに、
「包装資材」や「包装機械」を中心に、「包装加工機
械」、「食品・医薬品加工機械」、
「包装・環境関連機
材」、「包装デザイン・サービス」、「流通・物流システ
ム機器」、の7つの分野からの出展で構成された。
当協会では、物流合理化・コストダウン・安全・安
心や省エネ等、「ためになるMH」をテーマにブース
出展しました。本ブースでは、東京国際包装展の出展
当協会ブースの模様
者および消費財メーカーを中心とした来場者に対し、
第4回ロジスティクス・オペレーション基礎講座を開講
当協会では、中央職業能力開発協会が主催するビジ
ネス・キャリア検定試験の「ロジスティクス・オペレ
を提供するもの。2月3日
(木)
までの9日間にわたり
開催する。
ーション3級」及び「ロジスティクス管理3級」の認
定講座を11月2
9日
(月)より開講した。
本講座は、検定試験の合格支援に止まらず、物流関
連実務の応用面を重視した内容で、今後のロジスティ
クス関連業務を担っていく若い人達を支援することを
目的としている。今回も、
“ロジスティクス管理3級”
及び“ロジスティクス・オペレーション3級”の両試
験に対応したパッケージ講座を基本とし、効果的かつ
効率的に学習いただけるカリキュラムを編成。当協会
ならではの講師陣によって、最先端の情報とノウハウ
基礎講座の模様
Material Handling Journal No.
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特 集
●環境戦略への挑戦●
セラミック建材「ガイナ」の可能性
快適な住・労働環境の実現と省エネルギー対策の現実
株式会社 日進産業
小田
貴志
はじめに
近年、建築の断熱に係る新しい技術として、遮熱塗料
が注目を集めている。遮熱塗料とは、日本のJIS規格の
世界では高反射率塗料と呼ばれ、建物外部に塗装するこ
とで建物の温度上昇の原因となる日射(赤外線)を効率
良く反射し、夏季に於ける冷房負荷の低減を図るもので
ある。建築に於ける断熱と言えば、従来グラスウールな
ど、厚みを取ることで対応を取る、いわゆる「断熱材」
が使用されてきたが、遮熱塗料の開発によって、厚みが
1mmにも満たない塗膜で熱への対応が可能であること
が実証された。現在ではヒートアイランド対策、冷房に
係る空調の消費電力量・二酸化炭素排出量削減の観点か
ら、遮熱塗料の認知度が高まると共に、遮熱塗料に対す
る助成制度も拡大し、国や自治体に於ける遮熱塗料への
関心・期待も確実に高まりを見せている。
しかし遮熱塗料には効果の持続という課題もある。本
技術は初期的には高い効果を発揮するが、性能を反射率
1.遮熱塗料を越えるガイナの性能
1.
1 遮熱効果について(効果の持続)
に依存するため、紫外線、風雨等自然環境に晒されるこ
ガイナは塗材でありながら、乾燥塗膜の約8
0%をセ
とで、短期間で極端に反射率が低下し、性能を維持する
ラミックで構成し、更に乾燥の過程で塗膜表面にセラミ
ことが困難であるという課題を持つ。
ックを凝集するよう設計することで、塗膜表面のセラミ
ック密度を高め、塗膜を構成する。この完全無機のセラ
特殊断熱材開発で20年を超える実績を持つ日進産業
が、セラミック建材として開発した製品「ガイナ」は、
ミックは紫外線による影響を受けない為、塗膜の劣化に
よる反射率の低下を最小に抑えることを可能とした。
セラミックを建物(屋根・外壁・内装)に塗装すること
また、塗膜に帯電防止性を持たせ、塵埃を引き寄せな
によって住・労働環境の改善を可能とする製品である。
いようにし、汚れによる反射率の低下についても対策を
その効果には遮熱効果も含まれるが、遮熱塗料とは大き
加えている。
く異なる物的性質と効果を持つ。
4
0
MHジャーナル
平成2
3年1月
セラミック建材
「ガイナ」
の可能性
快適な住・労働環境の実現と省エネルギー対策の現実
ガイナは遮熱塗料と同じように冬季に於いて日射を反
射する性質もあるが、中空セラミックビーズの効果によ
り断熱性を有するため、冬季に於いては建物内部の暖房
熱を封じ込め、保温効果を発揮する。
【内装への使用】
冬季暖房効率の上昇については、建物内装へ使用する
ことでより高い保温効果を発揮し、寒冷地に於ける対応
としてもガイナは優位性を持つ。
通常、暖房稼働時、壁・天井等構造体の温度を上げる
ためには大量のエネルギーを必要とするが、ガイナを塗
装すると、暖房を稼働と同時に、少ないエネルギーで塗
更に塗膜表面を覆うセラミックは、赤外線を反射する
膜表面温度が瞬時に上昇する。塗装箇所(壁・天井)の
だけでなく、極めて高い遠赤外線放射率を有し、(遠赤
温度が上昇することで熱の損失を抑え、更に塗膜表面か
外線放射率94.
6%:測定温度4
1.
2℃)
、一部吸収した熱
ら遠赤外線を効率的に放射することで効果的に体感温度
についても、遠赤外線として積極的に放散する。この効
を高め、暖房効率上昇に寄与する。
果によって、初期的な性能を高めると共に、経年による
変化で仮に反射率の低下が見られ、熱の吸収が増加した
としても、効果を発揮し続けることを可能とした。
1.
3 高耐久性
ガイナは冷暖房負荷低減による省エネルギー効果だけ
でなく、塗膜表面をセラミックで覆うことにより、優れ
た耐久性を持ち、塗替えサイクルを長期化することがで
きるため、施工に係るコスト削減にも寄与する。
また、ガイナ塗装により建物をセラミックで覆うこと
ができるため、建物の保護の点でも高い優位性を持つ。
1.
4 年間を通した経済効果実例
ガイナは遮熱効果、保温効果(断熱効果)を有するた
め、年間を通じた経済効果を可能とする。ここではガイ
ガイナ塗膜600倍拡大写真
1.
2 冬季の保温効果
ナを倉庫屋根に塗装した際の経済効果、省エネルギー効
果について、実際に施工した実例を基に紹介をする。
■経済効果 施工実例(埼玉県志木市服飾品物流倉庫)
屋根面積:約1
30
0㎡
遮熱塗料に関する研究論文を見ると、遮熱塗料は夏季
の冷房需要を削減できるが、冬季の暖房需要を増大させ
【塗装前状況】
てしまうため、暖房需要が大きい地域での導入は逆効果
夏季の倉庫内温度は、冷房機4基をフル稼働しても
となり、遮熱塗料が有効なのは冷房負荷が大きい沖縄の
4
5℃まで上昇していた。服飾品の保管倉庫であるため、
ような地域だけであると結論付けられているものもあ
室内環境を維持する必要があるが、冷房機だけでは環境
る。これは遮熱塗料は夏季だけでなく、冬季の弱い日射
を満たせず、屋根を冷やすために散水機を付けて散水を
も反射させることで、建物を温める効果を減じてしまう
行うなど、夏季の冷房として電気代だけでなく水道代も
ことが原因である。
掛かり、大きな負担となっていた。
Material Handling Journal No.
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4
1
セラミック建材「ガイナ」の可能性
快適な住・労働環境の実現と省エネルギー対策の現実
【塗装後状況】
「ガイナ」
を倉庫屋根に塗装後、夏季倉庫内温度は3
0℃
程度まで低下。屋根への散水の必要はなくなり、冷房機
の稼働台数も4基から1基に減った。
2.各分野への応用
ガイナは多岐に渡る効果、高耐久性、そして塗装によ
り断熱性能を高める等、他の製品にはない様々な特徴を
更に冬季の暖房費も約4
0%削減され、電気代と水道
持つ。そのため、従来の技術では省エネルギー化の対応
代で年間約80万円の削減となった。2
000年5月の施工
が取りづらかった箇所に於いて、様々な応用を可能とし
から、調査を行った塗装7年目まで継続して効果が発揮
ている。
されており(下記グラフ参照)
、
その後も継続した調査に
より、効果の維持を確認している。
ここでは、各分野に於けるガイナの応用実例について
紹介をする。
■実例① 自動車運搬船 甲板箇所
自動車運搬船の船内温度の上昇を抑える目的で、甲板
部分の標準仕様としてガイナが採用されている。ガイナ
塗装前は、甲板下の自動車保管所の室温が6
5℃前後ま
で上昇していたが、ガイナ塗装後は4
0℃前後まで低下
し、作業効率が大幅に向上した。
本件では、北半球から南半球へと航海する際、温熱環
境が激変し、且大量の紫外線を浴びる極めて過酷な環境
に晒されるため、遮熱効果はもちろんのこと、塗膜の耐
久性が要件を満たすかが重要な焦点となった。5年以上
に渡る慎重な検討の結果、遮熱性能、耐久性共に高評価
の下、標準仕様として採用されている。
電気代の推移
1.
5 多機能性
遮熱塗料は夏季暑さ対策としての効果しか有さない
が、ガイナは住・労働環境改善を目的とした建材である
ため、遮熱、保温等、温熱環境に係る効果だけでなく、
結露防止、防音、消臭、空気質改善等、多機能性を有し、
室内環境を総合的に改善する効果を持つ。
■事例② 文化財展示施設 内装
文化財等の保管・展示を目的に設計された建物では、
カビ、害虫等生物的被害から文化財等を保護するため、
結露対策、温湿度管理が極めて重要な課題となる。
某文化財展示施設では、実際の建築物に於ける性能及
び効果の確認・評価の後、結露対策、温湿度管理の効率
図表.
1 遮熱塗料との効果の違い
化を目的として、建物内装の一部にガイナが採用されて
いる。
4
2
MHジャーナル
平成2
3年1月
セラミック建材
「ガイナ」
の可能性
■事例③ アルミ押し出し炉
アルミ押し出し炉では、アルミ溶解のため大量にエネ
快適な住・労働環境の実現と省エネルギー対策の現実
3.ガイナの発展性と社会貢献
ルギーを必要とする。そのため、省エネルギー化のため
住・労働環境に於ける快適性実現への取り組みから始
に炉体の断熱性能を高めることが極めて重要であるが、
まった日進産業の研究は、省エネルギー化が必要とされ
一方で、炉体が複雑な形状であるために断熱の対策が困
る現在の社会的背景に於いて、建物の他、車両、コンテ
難であるという課題を抱えていた。
ナ、船舶、炉体等多種多様な用途への広がりを見せてい
る。用途拡大の範囲は、先に紹介した熱的影響に関する
ガイナは従来の断熱材とは異なり塗材であるため、対
省エネルギー化を図るものをはじめとし、その他結露対
象物の形状に関わらず、隙間なく均一な断熱層を形成す
策、防音、消臭等多岐に渡る。社会背景の変遷と、顧客
ることを可能とする。炉体の断熱を専門に行っている提
ニーズの多様化と共に、日進産業は技術力の向上を図っ
携企業では、このガイナの塗材としてのメリットを活か
て来た。そして今後更に幅広く対応力を強化し、より多
し、ガイナを活用した特殊断熱工法により、炉体の省エ
くの方に満足をして頂くことが必要であると考える。
ネルギー化の提案を進めている。
一方でガイナの原点である快適な住・労働環境の実現
についても、お施主様により高い満足を提供できるよ
う、効果の改良、意匠性の追求、耐久性の向上等、日々
研究を進めることが重要である。快適な環境と省エネル
ギー化を両立し、社会貢献を行うことが我々の重要な使
命であると考えている。
お問合せ先
株式会社 日進産業
営業統括部
小田 貴志
〒1
7
4−0
0
4
3
炉体断熱による省エネルギー率は、炉体の状況等によ
東京都板橋区坂下2−1
5−7 富山ビル4階
って変わるが、アルミ押し出し炉に於ける過去の実績で
TEL:0
3−5
9
1
6−4
4
51
は、いずれも2
0∼40%の省エネルギー化が図れており、
FAX:0
3−6
4
5
4−9
7
3
1
平均して約半年で施工に係るコストの回収が終了してい
E-mail : [email protected]
る。
Material Handling Journal No.
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4
3
特 集
●環境戦略への挑戦●
使用済みストレッチフィルムの
グローバル資源循環システム
MOTTO株式会社
代表取締役
倉持
1.
「リサイクル」
って・
・
・誰が何をすること?
幸司
この現象が顕著に表れるシーンの一つとして、ISOや
環境白書など通じてゼロエミッション・ゴミ削減運動を
まず、「リサイクル」という言葉ですが、とても一般
はじめとする様々な環境配慮活動を展開する(したい)
的で、様々なシーンに広く使われているため、その意味
排出側企業の意識と、その課題に対し側面から支援する
や解釈が広義に独り歩きをして、良くも悪くも、意図し
廃棄物処理事業者の視野との間に課題が多く発生しま
た通りに正しく使われない言葉ではないでしょうか。こ
す。
の「リサイクル」という言葉のために使用者(排出者・
同じ「リサイクル」という言葉を使って議論・検討を
事業者・監督者)が混乱や事故を起こしているケースが
しますが、「ゴミ(排出物)を削減したい(無くしたい)
少なくない、と感じています。
・・・」という利用者と「ゴミ(廃棄物)を適切に処理
する仕事を受託する」という事業者では、目的が違うた
例えば、政府機関である経済産業省と環境省、どちら
め、すべての話が合うはずないのですが、何故か、「適
の省庁にもこの言葉を付けた関係部署があり、一つは
当なリサイクル(廃棄物処理)をする」結論を導きます。
「廃棄物の適正処理を管理する」
、他方は「資源の再利
用を促進する」どちらも「・・・リサイクル課」
。町の
実際に経験した事例として、日本全国の作業現場から
リサイクル運動として、実際に回収や作業を支援する事
排出された作業ゴミをその地域ごとに廃棄する広域認定
業者の多くは、ゴミ屋さん(廃棄物処理事業者)で、家
制度を受けて現場で分別し、再資源化できる素材は、自
にあった不用品を引き取ってくれるショップ(や軽自動
社工場で回収し素材化(ベール・熱減容・破砕など)す
車)がリサイクル屋さん。近年、有価物となるモノがリ
るリサイクルフローを構築している住宅メーカーがあり
サイクル資源と呼ばれ、その資源を買取り、転売(卸・
ました。地方の中間処理事業者にてリサイクルされた廃
小売・貿易商社)する企業がリサイクル会社とされてい
ます。
『問:この中で、正しい「リサイクル」の使われ方と
間違った使われ方を応えなさい。
』
・・・と言いたくなるほど、それぞれ違う意味で使われ
ており、その場面ごとには話が通じていますが、「リサ
イクル」を中心に前後の文章を持ってくるとそれぞれの
場面での解釈・意味が異なります。発信者もしくは受信
者の立ち位置(目線)によって、話が通じない状況が発
生します。
4
4
MHジャーナル
平成2
3年1月
写真.
1 段々畑
使用済みストレッチフィルムのグローバル資源循環システム
プラスチックの一部(看板等)が、中国、再生原料の輸
入事業者のヤードに山積みされている「ゴミ」の画像と
して、弊社従業員の書いたレポートに掲載された、とい
う事実が偶然ありました。この住宅メーカーが調べた結
果、この当該中間処理場において、広域認定制度並びに
マニフェストに則って、再資源化できるモノをリサイク
ルしただけで、何ら違法性の無い取引(業務)をしたの
ですが、結果は、排出元の意図とは全く違ったことにな
りました。しかも、もう一つ
「誰もその事実を知らなかった・・・」というリスクが
写真.
2 植林作業
残りました。
こういった事例は、稀なケースと考えておりました
が、200社以上の協賛企業様との打合せの中で、少なく
している科目が何なのか。
とも40社程度の企業に同様の事故・課題が生じており、
一般的に人件費が、、、と言われますが、日本の製造
この課題を解決する効果的な取組みやコンサルティング
現場と中国とを比べると、極端な人海戦術ならともか
会社を含め具体的な相談先が存在しないことが、「グロ
く、機械で製造可能なモノであれば、人件費の高さは最
ーバル資源循環システム」への起業動機です。
新の設備や作業効率により相殺されるケースが多く、プ
ラスチックの場合、原料もバージン材では日本製もしく
2.
「経済訴求力
(市場価値)
のないリサイクル」
弊社では、
『
「リサイクル」を資源循環する活動』と定
義して、シンプルに再生商品として価値を生み出す素材
は中東のモノなので日本でも中国でも条件はほぼ同等。
ここまでで、
多少、
中国に優位性がありますが僅差です。
決定的に大きな部分を占める要素が、仕入及び販売の両
方に掛かる物流コストです。
(排出物)
を再生原料としました。
それ以外の排出物は、
技術的に廃棄物からリサイクル(素材化・資源化)が可
実際に、弊社が横浜で仕入れた再生原料を福岡の再生
能であっても、その活動に求められるコストと再生製品
事業者へ搬入し、その再生原料を使って近県の加工工場
として与えられる付加価値を加味して、経済訴求力(市
で製品化する案件を頂いた時、1
4tフルトレーラーで陸
場性)の無い事業及び製品・商品は、リサイクルの範囲
送する場合では価格条件を満たさなかったものが、横浜
と考えておりません。
港から上海港へ、一度、輸出して中国で再生原料化と製
そうすると、あまり実感が無いことかもしれません
品加工を行い、福岡港からその再生製品を輸入する提案
が、製造・成型工場から排出されるロス品等のハイグレ
は可能だった。関税等の関係もあるため、全てがあては
ード品を省くと、一度、市場に出た(消費された)製品
まるものではないかもしれませんが、弊社の試算では物
(商品)が、再度素材として利用された時に経済訴求力
流コストの差が価格競争力を左右していました。
を持つことができるアイテムが古紙・鉄・非鉄金属程度
で、あまり多くないことが分かります。
話は少し逸れますが、この流通とそのコストの問題
は、製造会社が自社製品のリサイクルを行う際にも表
なぜ、リサイクル(再生)製品・商品は経済訴求力が
無いか。
れ、一般の商流にあたる動脈物流は製品原価に加算され
ますが、回収時に発生する静脈物流に対する原価が計算
されていない。または、リテール
(消費者/最終使用者)
ご存じのように製造原価が高いこと、が答えなのです
と繋がる仕組み自体が無い等の理由から頓挫するケース
が、その製造原価の内訳のとして最も大きな影響を及ぼ
が多く、一度、市場に出た(消費された)製品(商品)
Material Handling Journal No.
264
4
5
使用済みストレッチフィルムのグローバル資源循環システム
を回収し、「リサイクルをする」仕組み構築の難しさへ
ンスが踏み込み、勝った時に、矛盾の無い「環境(リサ
も影響しています。
イクル)事業」として企業価値の創出活動に変えること
政府では、この「物流と加工」2つのコストを捻出す
ができるのではないかと考えております。
るため、2000年頃から新しい税金のモデルがいろいろ
な「○○○リサイクル法」として始まりました。市場性
を無視して強制的に税金を徴収して介入するために「リ
サイクル」する環境(廃棄物)市場を拡大しており、「リ
サイクル」という名称で廃棄物が増えています。
4.使用済みストレッチフィルムのグローバル
資源循環システム
この企業価値創造を目指し、環境(リサイクル)を取
り巻く矛盾への解決策として、多くの企業で使用され、
お打合せをさせて頂いた企業の多くの環境担当の方々
物流の現場等で多量に破棄されていた「使用済みのスト
が口にする環境(リサイクル)事業を取り巻く矛盾への
レッチフィルム」を排出企業の意思・協力による、スト
解決策と企業として地域への貢献するための様々な試行
レッチフィルム(商品の一部)のリサイクルスキームを
錯誤を「リサイクルという活動」を通じた経済訴求力の
提供しております。
ある事業(企業価値)を生み出すためにこの「使用済み
ストレッチフィルムのグローバル資源循環システム」は
始まりました。
3.廃棄プラスチックは、
いつから資源・
・
・
今まで、分別ごみの
「燃えないゴミ」
とされていた廃棄
プラスチック類が、
突然、
有価物として資源に代わった。
この背景には、中国をはじめとするアジア圏全体の経済
写真.
3 リサイクルフロー図
活動とリンクさせざるおえないと考えます。日本国内で
は、価値を見い出せなかった「再生原料」が、中国/ア
このグローバル資源循環システムの特徴は、まず、第
ジアの国々で代金を支払って購入するモノに代わった。
一に、排出元の企業が廃棄物ではなく、資源物として取
扱いを始めます。そのため、社内コンセンサス・啓蒙/
日本では、枯渇資源の保全/低炭素社会の構築などと
謳われているほど、国内で実際に(経済訴求力/市場性
教育・現場指導を経て、分別・保管・持込
(一部、回収)
をして頂きます。
のある)有効な利用方法は多くなく、中国/アジアを取
第二に、弊社では、トレースを明確するため、ほとん
り込むグローバル循環システムが必然と考える方が自然
どの情報を公開いたします。
そのフローは、
受取検品後、
です。実際にここ数年間の資源(古紙・鉄・非鉄金属・
提携先工場(中国)へ出荷するため、バーゼル条約・中
プラスチック類に限る)は国内で流通するより、中国/
国関係検査機関・税関(日本)など、それぞれの検査基
アジアへ輸出をする方の動きが活発で、企業の成長を促
準に適合する加工を施し、直接、輸出します。輸入側で
しています。
ある中国サイドでは、上陸検査後、提携工場が、再資源
但し、問題は「バーゼル条約」だけでない国際間取引
(ペレット)化及びその材料を使った再生商品の製造ま
のルール確立とその保全で、現在の混沌とした背景の中
で管理をいたします。その商品の一つが「再生ストレッ
で「違法性のない・・・」という日本の(排出者が処分
チフィルム(再生原料5%混入)
」
として日本に向けて出
したと思っていた)廃棄物が「資源」として流通してい
荷/弊社で輸入販売しております。
ます。コストを負担して処分(焼却・埋立)を求めたモ
第三に、このグローバル資源循環システムの運営に関
ノ(排出物)が「リサイクル」という商品になって転売
する負荷を考慮して、中国における植林活動を進める
されています。このリスクに対して企業のコンプライア
NPO法人への支援(取扱量に対する寄付)やカーボン
4
6
MHジャーナル
平成2
3年1月
使用済みストレッチフィルムのグローバル資源循環システム
ービスを提供するリサイクル会社を目指しました。
多くの協賛企業様からご支持を頂くことで、「リサイ
クル」という行為が、単なる「廃棄物処理」だけではな
く、企業の存亡を危うくするリスクが隠れていること
や、そのリスクに踏み込むことで、その活動が、自らの
企業の価値向上/社会貢献に変えることができる大きな
「うねり」になってゆくと感じています。
これからも「MOTTO+e」や「Greem Code Program」
などリサイクルができる可能性を目指し、環境配慮事業
や社会貢献活動を展開を考えております、
是非、
皆様から
写真.
4 マツの植林
のご意見やご要望をお聞かせ頂けると幸いでございます。
オフセットとしてプロバイダーを通じた日本政府償却口
座への入金を行っております。
第四に、どのレベルの企業でも、すぐに環境配慮活動
へ取組めるよう
「再生ストレッチフィルム
(再生原料5%
混入)
」
にカーボンオフセットを付加した商品を展開して
おります。
5.最後に
MOTTOでは、廃棄物処理事業者としてではなく、コ
ンサルティング会社としてではなく、環境という広大な
お問合せ先
MOTTO株式会社
代表取締役 倉持 幸司
〒1
5
0
‐
0
0
4
5
東京都渋谷区神泉町1
1−7 セロンビル4F(ECH内)
TEL:0
3−4
5
9
0−0
5
5
6
FAX:0
3−6
3
6
8−4
0
9
7
E-mail : [email protected]
URL : http://www.remot.jp
http : //www.motte.com
http : //www.greencode.jp
フィールドでリサイクルにフォーカスし、実業としてサ
Material Handling Journal No.
264
4
7
MH基礎講座6
入荷トラックの所要レーン数
― MH とモンテカルロ・シミュレーション ―
日本MH協会会長 秋庭 雅夫(東京工業大学名誉教授)
【課題】荷受場に配置するフォーク・リフト・トラック
1台のトラックが到着し、次のトラックが到着する時
(以下、フォークリフト)の台数により、その稼働率
間間隔は、実際は待たなければ判らないが、ここでは2
と資材を運んでくるトラックの待ちはどの程度になる
桁の乱数を使って決める。例えば「6
1」という乱数が出
か。また、荷役中および荷役待ちのトラックのレーン
れば、時間間隔は「5分」とする。
数はどの程度必要になるかを分析して欲しい。
このように、実際と同じような現象を紙の上で出し、
それを使って問題を解く方法を「モデル実験(シミュレ
1. フォークリフトの配置台数を仮に決める
ここでは、初めに2台の配置を考え、分析の結果をみ
ーション)
」
といい、乱数を使う場合を
「モンテカルロ法」
という。従って、ここで行っているのは「モンテカルロ
・シミュレーション」と呼ばれるものである。
て配置台数を増減していく。
3. 優先して荷役をするトラックを決める
2. トラックの到着時刻の状況を調べる
分析しようとする荷受場に、どのような時刻に次々と
ここでは時間帯、トラックや資材の種類に関係なく、
ランダムに2
0台に1台の割合で優先して荷役をするべき
トラックが到着するのか調べる。その際、季節・月・曜
トラックが到着するとしよう。従って、図表.
2のように、
日・時間帯などの条件によって到着状況が異なることが
乱数が割り当てられる。
考えられる。それぞれの状況について分析する必要があ
るが、まず最も多く到着する状況について分析する。
トラックの到着時刻を調べ、1台のトラックが到着し
てから次のトラックが到着する時間間隔を計算した結
果、図表.
1のようになった。
図表.
2
優先順位のあるトラック到着
4. 到着するトラックの積載量を決める
トラックの積載量は「大、中、小」に区分し、今まで
の経験から図表.
3のような割合で到着し、到着したトラ
ックがどの積載量かは乱数で決める。
図表.
3
図表.
1
4
8
MH ジャーナル
トラック到着時間間隔
平成2
3年1月
到着するトラックの積載量
入荷トラックの所要レーン数 ―MHとモンテカルロ・シミュレーション―
5. フォークリフトの荷役に出る順番を決める
7. シミュレーションを行う
5)
(図表.
フォークリフトに車両番号を付けておき、空いている
No.
1トラック:始業8:3
0の3分後に到着(乱数27)
、
フォークリフトのうちから車両番号が小さいものが出て
積載量大(乱数0
9)
、
フォークリフト1(以下、F1)が
行くという順序付けをする。このようにすると、分析の
荷役し、荷役作業時間は1
0分(乱数4
4)
。
際に、車両番号が大きいフォークリフトは全然荷役に出
て行かないことがあるかもしれず、実際に必要な稼働台
No.
2トラック:2分後に到着(乱数1
5)
、
積載量大(乱
数2
8)
、
F2が荷役し、荷役作業時間は9分(乱数84)
。
No.
3トラック:5分後に到着(乱数5
9)
、
待ち、積載
数がわかりやすい。
量中(乱数7
1)
、
荷役作業時間は8分(乱数2
9)
。
6. 1回の荷役作業時間を調べる
フォークリフトが1台のトラックから資材を降ろす荷
役作業時間は調査した結果、図表.
4のようであった。
No.
4のトラック:1分後に到着(乱数0
8)
、
待ち、優
先(乱数0
4)
、
No.
3トラックより先に荷役、積載量小(乱
数90)
、
荷役作業時間は5分(乱数3
7)
。
従って、No.
3トラックは最初 F1の荷役作業が終わ
る8:4
3に開始予定であったが、No.
4トラックを優先
して F1が荷役作業を行い、No.
3トラックは F2の作業
が終わる8:4
4に開始する。以上の操作を続けていく。
8. フォークリフトの配置台数とトラック・レーン数
フォークリフト2台、3台、4台を配置した場合につ
いて長い期間にわたりシミュレーションを行ったとこ
ろ、次のような分析結果が得られた。
a.フォークリフトの平均稼働率:2台 7
0.
5%、
3台 4
7.
0%、4台 3
5.
2%。
b.トラック1台当たりの平均待ち時間:2台 2.
2
分/台、3台 0.
8分/台、4台 0.
2分/台。
c.トラック最大待ち時間:2台1
5分、3台9分、
4台 3分。
d.所要トラック・レーン数:2台 5台分、
図表.4
1 回の荷役作業時間
3台 5台分、4台 5台分。
以上のように、フォークリフトの配置台数にかかわら
ず、トラック・レーン数は5台分が必要となる。
図表.4
フォークリフトの稼動状況とトラックの待ち状況
Material Handling Journal No.
264
4
9
MH基礎講座7
資材供給:MHシステムの設計
― MH システムの企画と設計の手順 ―
日本MH協会会長 秋庭 雅夫(東京工業大学名誉教授)
【課題】フロー方式により格納保管されている資材「A」
蔵しておく方式を「流動貯蔵」という。図表.
3
「B」があり、機械イには A を、機械ロには B を、
のように、どれくらい貯めておくかを決め、
それぞれ所定のピッチで供給する。なお、格納保管さ
そこに検知機器を置く。検知機器の箇所で移
れている場所と機械の間は一つの径路を兼用する。
動中の資材がないことを検知すると在庫場所
[解説]格納保管は、資材を移動径路から外し、停め
に資材を始動するように情報を伝達・出荷す
て保管することで、次の方式がある。
a.フロー方式:傾斜や駆動装置を持つ棚床とし、一
る。この検知機器までにある資材の数量を
「発
注点」という。
方から投入して他方から取り出す。
b.ユニット方式:個体またはユニットを棚に格納し
て保管する。
c.カルーセル方式:資材を入れた保管容器を回転さ
せて、所要の容器が出口にきたときに資材を取り出
す。
図表.
3
流動貯蔵と発注点
1. MH 要素機能系列の企画
要素機能系列を決めることを「企画」
、その機器と配
企画3:定量検知を付加する。
置を決めることを「設計」と呼ぶことにした。
企画1:基本な要素機能の系列を作成する。
課題に与えられている要素機能の系列は図表.
1のよ
うに描くことができる。
図表.
4
図表.1
課題の要素機能系列
企画2:流動貯蔵を付け加える。
所定のピッチに整流して機械に資材を供給する必要
があり、そこへの資材到着のばらつきを吸収するため
に、図表.
2のように「流動貯蔵」を付け加える。
定量検知の付加
発注点方式では、図表.
4のように、検知 c で発注点
よりも資材の流動貯蔵が少なくなると、一定数量を始
動するように伝達する。その意味で、発注点方式は
「定
量発注方式」という。そこで、始動した数量を検知d
でカウントし、定量に達すると停止させる。
企画4:分岐を付け加える。
[解説]一定のピッチで資材を供給しようとする際、
図表.
5のように、格納保管を始動するときに資材A
そこへの資材の到着にばらつきが考えられる
の行先、
機械イを付印し、
検知bで行先の情報を検知・
場合、資材の到着遅れに対応するために、供
給の前にある程度の資材を移動させながら貯
図表.2
5
0
MH ジャーナル
流動貯蔵の付加
平成2
3年1月
図表.
5
分岐の付加
資材供給:MHシステムの設計 ―MH システムの企画と設計の手順―
図表.
6
図表.7
資材 A を機械イに供給
課題に対するMH要素機能系列の企画
伝達して機械イの径路に分岐する。
その結果、資材Aを機械イに供給する MH 要素機
能系列は図表.
6のようになる。
企画5:課題に対する MH 要素機能系列を企画する。
図表.
7のように、課題に対する MH 要素機能系列
2. MH 機器の設計
各 MH 要素機能を、図表.
8のように機器設計をした。
① 格納保管は、傾斜のついたローラー・コンベヤと
した。
を描くことができる。
② 共通の径路は、ベルト・コンベヤとした。
① 格納保管されている資材 A は、フロー方式の保
③ 分岐は径路限定方式とした。
管箇所から出荷する際に、
行先・機械イを付印する。
④ 流動貯蔵は、駆動ローラー・コンベヤとした。
② 資材Aと資材Bは、機械イと機械ロまでは一つの
径路によると指定されている。そこで資材Aと資材
Bが合流する箇所で、検知aにより、資材Aの到着
情報を伝達して資材Bを停止させる。
③ 検知bで資材Aの行先の情報を検知・伝達して機
械イの径路に分岐する。
④ 流動貯蔵において、資材Aが発注点よりも少なく
なったとき、検知cがその情報を伝達して、格納保
管より資材Aを始動・出荷させる。
⑤ その出荷数量を検知dでカウントし、定量に達し
たならば、その情報を伝達し出荷を停止させる。
⑥ 資材 B も、同様に格納保管から始動・出荷させ、
行先・機械ロを付印し、合流、分岐を経て流動貯蔵
図表.
8
課題に対するMH機器の設計
に至る。流動貯蔵が発注点に達したならば、その情
報を伝達して格納保管から定量を始動・出荷する。
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国土交通省からのご案内
5
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MH ジャーナル
平成2
3年1月
国土交通省からのご案内
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Fly UP