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強い企業へ変わるまで ∼経営者の葛藤

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強い企業へ変わるまで ∼経営者の葛藤
ねっと VOL. 23
JIA-QA CENTER
「いい会社をつくろう」
高森町から南アルプスを望む
強い企業へ変わるまで
∼経営者の葛藤∼
DATA
株式会社 協和精工
〒399-3103
長野県下伊那郡高森町下市田1514-1
電気機器
(電磁クラッチ、電磁ブレーキ等)
の
設計・開発及び製造
設備機器用精密機械加工部品の製造
医療機器用精密機械加工部品の製造
精密機器
(メカトロニクスを応用したセンサー機構等)
の製造
代表取締役社長 堀 政則 氏
長野県の南端、自然豊かな環境、高森町に生産拠点をおく協和精工は、時代を先読みしながら、主
力製品の安全装置用ブレーキのメーカーとして開発期間を他社の3分の1で提供し、
オーダーメイドの
受注生産などを会社の強みとして進化を続けている。
企業理念の
「いい会社をつくろう」
の浸透は紆余曲折があった。経営者として何を考え、何に気づ
き、
どう変わっていったのか。社長の堀政則氏に聞いた。
■経営革新の基本は5S
─ 堀社長が就任した当初は社内に問題が山積し危機的状況
にあったそうですが、5Sをきっかけに社員がやる気をだし、会
社が変わって来たそうですね。
最初は整理、整頓を浸透するために、社内用5Sルール
会では指摘をしたいのだけど、出来ていない理由はなん
だろうか。出来る様にするためには我々として何がお手
伝い出来るだろうか。
現場担当者の話をしっかり聞いて、一緒に考え、場合
によっては5S委員も一緒に手伝うことが出来ないだろう
か、という考え方に切り替えて行きました。
を作りました。工場を月一回巡回、ルールに基づいて指
トップダウンで指摘するだけでなく、同じ目線で物事
摘、赤札作戦を進めました。でも「180センチ以上には
を見て行くということです。5S活動のあるべき姿を明
物を置かない、置くときは固定する」
などと、細かいルー
確にして、今何をすべきか。これが、会社が変わった一
ルを決めていますが、1か月もすると元に戻ってしまう。
つの要素だと思います。
工場巡回には、職場から選出されたメンバー 10名ほど
が社長に同行し、巡回後には定例の5S会議を行うので
すが、ある時この会議で「社長たちが巡回する時だけ整
理するのが実態ですよ」という意見が出ました。それを
聞いて、そんな事では5Sの精神が理解されていないと
思いました。でも、よく考えたら、我々は指摘している
だけで、私も現場に近づいていないのではないか、と言
う思いに辿り着きました。なぜ5Sが出来ないのか、社
員にとってみれば出来ない理由があるのではないか。もっ
と我々が近づいて聞こうじゃないかと思ったわけです。
そこで1時間かけて工場全体を見るのではなく、1時間
の中で「あるエリア」だけじっくりと、担当者、上司も
含めて、現場で話を聞くことから始めました。5S委員
5 JIA-QA Center
電磁ブレーキ製品
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JIA-QA CENTER
■機能美を備えた5S、生産効率を上げる5Sの視点
では?さらにキャップを固定すれば片手でペンを取りす
ぐ書けるのでは?といった具合に作業者の最短距離で、
最短の動きをしながら、ムダの原因を改善して標準時間
に近づける。そういった現場改善をしようという取り組
みを今年の6月から開始しました。
生産性を悪くしている動きのムダを改善していくこと
も5Sとしたわけです。
データを取る所から始めました。なぜそこにこの作業
なのか。標準時間10秒が実質15秒かかっていたら、その
5秒はなんなのか。
若手担当者3,4人と指導者が一緒に作業をずっと観察し
て見ました。するとその1秒の無駄が見えて来たのです。
では、無駄を改善するにはどうしたら良いのか。例えば、
精密加工部品
治具はこういうものを作った方が良いとか道具は手前に
置いた方が良いとか。あるいは、今日必要なものだけを
もう一つは、ある人からご指導を頂きながら仕事をし
置き、それ以外のものは生産管理に返すとか。必要な物
ているのですが、この方は大手企業を退職され3年前に
と不要な物が全部見えて来ました。作業台も整然として
当社に入社された方(Hさん)で、トヨタ生産方式を勉強
必要な物だけが残り、整理整頓される事になります。改
されていました。最初の2年くらいは会社の中を見てい
善前、後のデータを取ると、生産性が上がって来るのが
るだけで、何をやってるのだろうな、
と思ったでしょうね。
判りました。
我々は必死でやっているのに。
彼からは、現場改善をやった方がいいのではないか、
工程の5Sの取組みは、今は特定の部署だけが行ってい
ますが、10月から全体で取組む事になりました。
という提案をしてもらいました。一つは機能美を揃えた
10月に、三半期の方針説明会とQCサークルの発表会
2Sです。もう一つはムダを2S視点で見える化し生産性
を行い、会社方針としてこの考えを全社的に取り入れる
を上げることです。
ことを発表しました。
たとえば、組立作業現場での作業が 10工程あると
5Sと一口に言いますが、我々もよく理解していない
します。ストップウォッチで一つ一つの作業工程の標準
部分がありました。だからマンネリ化になると打ち手が
時間測ります。その合計(標準時間)が15分だとします。
無くなる。マンネリ化への危機感を持って、打ち手を変
実際に製品を作ってみると、25分かかっていました。こ
えていく。
の差の10分間は、何なんだろう。どんなムダが潜んでい
るのだろう。現場ですぐに確認です。
違った意味の「作業内容の工程の5S」です。治具の置
場はここで良いか、片手ではなく両手で作業すると違い
が出るのではないか。3本あるボールペンは1本で良いの
5Sで整えられた組立工場
■5Sとムダ→数字で把握→改善の結果が業績と
して見える、社員も活発に行動する様になる
Hさんの指導で加工現場の改善にも着手しました。
5Sされた機械工場
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NC穴明機械で何種類かを同時に作ると在庫が少なくて
済みます。今まではA部品を1ヶ月必要なだけ作った後に、
B部品,C部品と作っていました。お客様は今週A部品
30 ヶ、B部品20 ヶ、C部品5 ヶ…と要求しています。リー
ドタイムは長いし、在庫は増えます。だったら一つの加
工テーブルにA・B・C部品を同時に作っていこうという
事になりました。必要なものを必要な数だけ作る工夫、
これも5S視点だと思います。
データを取ると社員も理解出来ます。会社はめちゃく
■コミニュケーション ベクトル
─ 社員に対して、経営者自らが変わっていく姿を、
きちんと見
せるということが大切ですね。
常にトップが、本質とは何かを問いかけ、実践する事
が大切と考えています。
今、当社は経営の継承を考えています。
企画会議という最高決定会議があります。取締役会の
下に置いていますが、この会議体は、将来ビジョンとか、
ちゃなことを言っている訳ではないんだな、と成果がグ
組織、人事、お金の問題とか、会社をどう強くするかな
ラフに表われ納得しています。
ど会社の全ての事を本音で話し合うところです。経理の
今まで当たり前と思っていた、組立現場、加工現場の
担当も入れて、40代前半の4人が主体で、ガチンコで話
ムダが見える様になって来ました。「現場には沢山宝物
し合いをしています。でも、
上司がいると本音を言わない。
がある」と聞いた事がありますがまさにこの事です。
社長がいるとなおさら本音を言わない。たとえば、Aさ
んの良いところを問うと色々出てくるが、じゃあ悪いと
─ 時間を縮めよう、
というのは、協和精工では新生産方式とい
うのですか?
自分達のムダは自分達では見えませんでした。新生産
ころは?と問うとみんな沈黙してしまう。
これではだめなのです。互いが言い合い、Aさんに悪
いところがあるなら、
他の三人が補える様にならないと。
方式は今年から始めました。第二事業部のメンバーが6
例えば、この中から代表取締役が出るとします。お互い
月から始め、今月から第一事業部が始まりました。今月
が補える関係にないと、足の引っ張り合いになってしま
(11月)16日に第一事業部は第一回目のミーティングをし
う。足の引っ張り合いにならない様にするためには、心
たばかりです。3年計画で取組みます。組立、加工現場
のあるべき姿を作り、一年目ではこれをやろう、二年目
の繋がりがないといけません。
部長の立場から見ると部下になる課長との心の繋がり
ではこれをしよう…目指すべき目標を話し合っています。
とか、課長と課長との心の繋がりとか、お互いの心と心
人の力量の差も、データに取って差を埋める取組みを
の距離が縮まる努力は常に必要です。お互いを信頼しベ
しています。同じレベルにしていく事も多能工化を進め
クトルを合わせないと、会社は同じ方向に進みません。
るベースになります。この人はこの仕事をすれば良い、
ではなく、組立ラインであれば自分担当の工程の前後の
作業を作業の詰まり具合によって補完しあえる仕組み、
考え方を植え付けています。
10月のQCサークル発表会では、6月から取組んでいる
第2事業部からは、具体的に生産性が上がったデータが
出て来ました。工数は増加していませんが、そこの部署
の生産性は増加しています。具体的には今までの外部で
お願いしていた部品が内製化されました。ただ、完全に
標準時間に近づけるにはまだ時間がかかります。こうい
う考え方が社員に染みついて行くと、自立的に5Sが身
につく。
中期ビジョン策定会議
(議事録)
自分のこの作業は本当に必要なのか?と見極めながら、
必要ならやり易い作業環境にして行く。社員自らがそう
した考え方に変わって行くことを期待しています。
■変化 スクラップ&ビルド
そういう意味で、5Sはトップダウンだと思っていまし
組織も今は第一事業部、第二事業部と分かれています
たが、ある程度行き詰まると、ボトムアップにならない
が、来期は一つの組織にする、私は最近みんなに言うよ
といけませんね。トップもマンネリ化してしまいますから。
うにしています。組織を一纏めにすればそこには様々な
どちらかと言うとトップがマンネリ化して、同じことば
課題が出てきます。さらには、新らたな工場を建てて、
かり言っているのではないでしょうか。
全体を一ヶ所に集約する計画も提案しています。
組織の統一、工場の集約、さらにはその資金、今まで
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の幹部社員は経験した事がない課題が沢山出来てしまい
だけどたぶん、ムダが一杯あるのでしょう。だからムダ
ます。ある意味では第二創業を経験してもらう事でどう
を見えるようにしてください、
とアドバイスしています。
すればこの多くの課題を克服出来るのか。又仲間同士の
でも見えるようにして下さいと、言っても経営者だから
連携、部下を巻き込んだ役割分担等々…大きな変化を経
といって、どうしていいかわからないですね。私達は社
験する事で社員が経営の厳しさと解決する能力等々実体
員と徹底して問題について話し合いその後は、指導者と
験出来ます。決して一人二人で解決出来る課題ではあり
して働いて自主的に考えて行動してもらっています。コ
ません。幹部社員の結束力、
全社員を巻き込んだ結束力、
ンサルタントではなく、社員が会社を身近に感じてもら
問題解決力が要求されます。
い、我々も指導者の性格をよく理解した上で、毎日一緒
大きな経営課題を解決していく為には、覚悟をする事
が必要と考えています。特に幹部社員がどう覚悟を決め
るのか、じっくり観察していきたい。期待したい。
に仕事をすることで、現場の状況も理解できるようにな
るのです。
こういった類のものは、型にはまってしまうことが多
くありますが、あとは現場に任せて自分たちでアレンジ
■改革目的 キャッチフレーズ
─ 組織も人も商品も変化の上に自立を目指していくのですね。
管理レス、検査レス、仕上げレス、とわが社では三つ
し、直していく。自分たちで作ったものであれば、ちゃ
んと実行しよう、とするでしょう。与えられた仕組みは
やらされている世界です。こんなことも、モチベーショ
ンの上げ方の一つだと思います。
のレスがあります。
「付加価値90%、手のひらサイズの付加価値90%」と
いうキャッチフレーズをつくりました。
生産性を上げるために、材料手配とか、納期を追うと
■どんな会社にしたいのか 幹部社員と徹底議論
─ 経営理念に問題があると気がつかれたそうですね。
か、間接的な部分をしなくても、うまくいく様にするに
経営理念に問題があるというか、リーマンショック以
はどうしたら良いかと考え、管理すること極力少なくす
前は、私と社員に距離感があったのだと思います。ある
る仕組を考えてもらいました。機械加工をすることでバ
面で、私が経営から逃げていた部分があるのかもしれま
リが出ます。極力バリが出ない加工、出る場合は機械で
せん。
出来る限り取れる工夫をお願いしました。
品質保証についても検査工程に入れなくても、保証す
ある程度利益が出て、でも商品が陳腐化して、お客様
の競争力も落ちていく。当然利益率が落ちてくる。リー
る為にはどんな事をすれば良いのか。皆んなで考えても
マンショック以前は、まだ利益が出ているからいいや、
らいました。現場を巡回する度に「仕上レス・検査レス・
何とかしないといけないのだけど、何とも出来ないから
管理レス」と口癖の様に伝えてきたところ、様々な改善
まあいいや、と思っていました。自分が逃げていたので
案が出て、現場が変わって来ました。
はないだろうか、と。それは今考えると幹部社員と距離
例えば材料もある程度リピート性があるとすると「材
料屋さん、ここに棚作っておくから、置き在庫してよ、
これは材料屋さんの在庫だよ」
。としました。
感があったということではないかと思います。経営者が
率直に幹部に相談できない、距離があるからです。
そのときにリーマンショックが来て、社員としっくり
夜勤のおじさんがストップウォッチ5台、首からぶらさ
いかないのは何故なんだろうと考えました。企業理念、
げまして一人で10台の機械を動かしています。ここで材
経営理念で
「いい会社をつくろう
「自立型企業を目指そう」
料が切れたとします。でも置き在庫がすぐそこにあれば、
といっても、お題目になっているのではないかと。
夜勤の間にあと20個作れる。全10台が休むことなく全部
動く。置き在庫にしておけば管理も少なくなっていくで
しょう。
ある時、幹部から「社長、楽していませんか?」と言
われました。
「楽していませんか」この言葉に、「なにをこの野郎」
仕上レス、検査レス、管理レスをすると、生産性が上
と思いましたが、ハッと気がついたのは、私の後ろ姿に
がり、間接の無駄な部分が減り、利益が上がっていくと
企業理念とか経営理念が張り付いていないのではないか
いう考え方です。
いうことでした。だから社員から見ると、社長の自己満
足に映っていたのでしょうね、たぶんね。
■経営改善の基本
─ ムダを無くすことがポイントなのですね。
同僚の経営者から、
(経営が)
厳しい厳しいと聞きます。
それで自分を問い直してみると、自分で本当にいい会
社を作ろうと思っているのか。自分だけの給料を上げよ
うとか、退職金のためか?と自問自答を始めました。経
営者の経営に取組む姿勢の本気度がうしろ姿に現れてい
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ると感じました。リーマンショックの仕事も少ない時期に、
経営の見える化とか、危機感の共有化を今やろうという
特に幹部と一年かけて「いい会社」とは何か話し合いま
ことで、幹部社員ととことん議論して共有しています。
した。社長が思ういい会社と幹部が思ういい会社は全然
そういったことを常にやり続けていく。ある程度情報
違っていました。いい会社とは何か?みんなが「いい会社」
共有が出来たからって放置しておいては元に戻ってしま
と思える企業を作るにはどうしようか。自立型企業って
う。しつこく しつこく、まだ心の距離が遠くなってい
いうけど自立するとはどういうことなのか。
るよ、ということを常に語りかけて議論させないといけ
幹部と一緒に考え、議論することで、明確に、こうい
ません。
う会社が「いい会社」なんだ、自立型企業ってこういう
ベクトルを合わせるというのはそういうことだと思い
のが「自立型」なんだ、と、ある同じ理念のベースの上
ます。ベクトルがばらばらだと、いい商品を持ち、いい
に立つことが出来ました。
プロセスを持っていても、いつかはダメになる。ベクト
ここまでもって行くのはなかなか難しいと思います。
ルを合わせるということはとことん理解する。というこ
そこは、社長は謙虚になって、幹部を信頼し、やろうと
とに繋がると思います。そこからみんなが理解した方針
いう気になるかどうか。ここがひとつの分かれ目だと思
が出てくる。幹部社員主体の自立型企業になると思って
います。
います。
理念をきちんと説明することができる社長って以外と
少ないですよね。理念を示して
「おまえ達、
分かるだろう」
と言っているだけで、現実的には社長が一番分かってい
なかったのだろうと思います。
経営会議のメンバーは中期ビジョン、組織の編成を含
■社員全員が行っている継続的な改善活動
─ 従業員が取り組んでいる活動についておしえてください。
(下井)ホットサークル(QCサークル活動)は10何年く
めて、納得するまで話し合いをしました。その中で互い
らい続いています。これも紆余曲折あって、4,5年前かな、
が遠慮している状況があり、それがなくならないと本当
陳腐化に陥ってしまい社長から“もう辞めたら”
、と言わ
の組織の強さにはらなないと思っています。社長の私だっ
れましたが、そうは言ってもここまで続いて来たので、
て、部長に対して何でも話せるかといわれれば言えない
心機一転をしてから現在も継続しています。
時、事もある。お互いが謙虚な気持ちをもち、相手の意
今まではそれぞ
見を引き出し、自分の意見も加えて調整していく。心と
れの思いで、経営
心の距離を縮める努力が大切と気づきました。
方針(上位)の中
から、職場単位で
■経営は常に危機と隣合わせ
改善しましょうよ、
という活動でし
最近、ある講演でスピーチさせてもらいました。
た が、QC手 法 を
私どもの会社では、私が社長になった2000年から今ま
活用したものに、
で、ドラスティックな危機が13年間に6回ありました。2
と変革して来ま
年に一度、外圧による危機。①債務超過の危機、②当社
し た。 要 因 把 握
の売上の五割を占めていたある顧客が事業をやめるとい
から歯止めまでの 組立ラインの説明をする下井氏
う危機、③半導体のお客さんが遠くに工場移転しまう危
形として始めたの
機、④リーマンショック、⑤東日本大震災、⑥今起きて
が今から4年位前になります。現在は、約20チームのサー
いる危機は主要なお客さんの生産にともない海外供給、
クルがあり、活動は週一回の就業時間内30分間を活動の
①∼⑥が「ドラスティックな危機」です。
ための時間として与えています。4 ヶ月活動で年3回の
もう一つ、
「忍び寄る危機」
と我々は言っていますが、
A・
組織、経営者や社員のマンネリ化、仕組みのマンネリ化。
成果発表大会があります。
発表大会は6月、10月、2月に実施します、6月は会社
ここは割と気が付かない危機で、気が付いた頃には手遅
の事業開始年月ですから、会社の経営方針発表大会も合
れになっている。まさに忍び寄る危機です。B・商品の
わせて行い、10月と2月は会社の三半期毎の方針説明会
競争力低下、商品の陳腐化、C・経営理念の形骸化、D・
も合わせて開催しています。
利益の右肩下がりなど、この危機に対して他人のせいに
発表は、QC手法を用いて歯止めまでの内容を8分間で
していませんか。頑張っていればそのうち利益が出ると
発表し、審査も事前に2回、当日は審査員6名で行い、社
思っていませんか。と私は問いたい。
員も発表を聞きながら「あなたが選んだベスト3」票の集
だからこういう課題や問題を経営者自ら自問自答して、
9 JIA-QA Center
計をし、総合審査結果を出しています。
ねっと VOL. 23
JIA-QA CENTER
一人1件は提案の提出義務があります。効果金額も決
めたルールに従って算出して、優れた提案には月一回の
全体朝礼で、社長から提案者にお花のプレゼントをする
活動をしています。
─ ちょっとしたことでいいから改善提案を出しましょうよ、
とい
うことですね。
提案を提出しないと上司の責任となってきます。提案
の出ない社員は上司と話し合い、コミュニケーションを
とらないといけないです。どうしても提案が無い時は、
上司が温めていたものを分け与え
「これを書いてみてよ」
社内掲示板
(会社・事業部活動・社内報等)
とかね。それから提案活動では実施済のものでないと未
採用になってしまうので、部品等を直接作れない間接職
審査結果で上位となったサークルは、発表会翌月の全
体朝礼で表彰をします。
等はどうしても不利になりがちです。そこは、実際に部
品を作っている社員がカバーする様な事もしています。
この全体朝礼は、毎月1日に社員全員が集まり、社長
これらの活動は、ひとつのコミュニティーといえます。
が経済情勢と会社を取り巻く状況を30分程度と、部課長
改善提案がない人には誰かが与えてあげる。新入社員も、
が前月の31日までの売上、その他の経営状況を発表し、
たとえばホットサークルの活動は入社した時からメンバー
経営数字を公開しています。先月は儲かったかな、とか、
になり、早い人は三か月後には発表の機会がめぐってく
今月の仕事はどうなのかなと、社員みんなで考えること
る。私どもでは障害者も雇っていますが、障害のある人
をしています。これも経営の見える化の一つです。
も一緒に発表に参加しています。
QCサークル伊那ブロックの行事として、年1回改善事
先程のホットサークルや改善提案では報奨金を出して
例成果発表大会が行われていますが、今年は大会参加者
いますが、予算は年間80 ∼ 90万位かな、レベルアップ
の会社見学を受け入れました。
「わが社はいい会社です」
のためにということで、社員に還元しています。
と言ったところで外部の方には余り判って貰えませんか
エコアクション21活動は、紙・ゴミ・電気の削減はも
ら、会社をアピールしています。先程のホットサークル
とより、本来業務の効率改善や5Sの活動によって、ムダ
の資料などは、私どもの活動説明資料の一つとして活用
がなくなり効率などが向上した結果、全体の環境負荷低
しています。
減に繋がるという活動をしています。
全社員対象による、改善提案の活動も行っています、
ホットサークル活動よりもっと古くて15年位活動してい
ます。これもムダの改善への取り組みです。最初は前述
のホットサークルも含めて、コンサルを入れて活動して
いましたが、やらされ感からマンネリ化し、じゃあ自分
達で活動するにはどうするのと考え、コンサルの手を離
れて既に10年以上はたちます。
エコアクション21活動
(地域清掃)
今は、委員会組織を作り、その会の中で委員の皆さん
が議論する様にしています。ホットサークル推進委員会
とか環境5S委員会です。最初のころは、委員のなり手
が無かったり、いろいろ葛藤はありましたが、環境5S委
員会で女性を登用したりして、いろいろと工夫して取り
月例改善提案事例発表
組んでいます。
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