...

ケーブル4KのIP放送始動

by user

on
Category: Documents
26

views

Report

Comments

Transcript

ケーブル4KのIP放送始動
ケーブル4KのIP放送始動
2月試験放送・4月本放送を開始
エンタメ系など番組編成を強化
ケーブルテレビ業界のRF方式による4K実用放送「ケーブル4K」は、今年1月
末時点で47局のケーブルテレビ事業者が放送を行っている。今年度中に放送
を開始したいという事業者を合わせると、140局を超えている。そこに今年4
月から、IP放送によるケーブル4K(この記事では以下「ケーブル4K -IP放送」
と呼ぶ)が加わる。番組編成はRFのケーブル4K(この記事では以下「ケーブ
ル4K-RF放送」)と同一になるが、世界的な「放送のIP化」の流れに沿った新
しい放送形態がケーブルテレビで開始される。ケーブル4K-RF放送とともに
ケーブル4K-IP放送を推進する日本ケーブルテレビ連盟、今年2月から業界で
最初にケーブル4K-IP放送の試験放送を開始したハートネットワークなどに、
実施状況、IP放送を実施する意味、今後の展開を取材した。
ハートネットで試験放送中
約5社が本放送開始を準備
取材・文:渡辺 元・本誌編集部
ハートネットワークのケーブル4K-IP試験放送の
センター設備(左)
と受信画面(右)
からは、それを継続しながらケーブル4K-IP放
を始めようと考えているところが多いのです。
送も並行する。HFCのユーザにはケーブル
第2の理由は、ケーブルテレビ事業者の
4K-RF放送、FTTHのユーザにはケーブル
FTTH化が進んでいることです。特にローカル
ケーブル4K-IP放送を実施する準備は、今
4K-IP放送を提供する予定だ。同社はケーブ
局ではその傾向が顕著です。しかも100 Mbps
年2月までにプラットフォームのJDS、JCCに
ル4K-IP放 送 のSTBに は、KDDIの「Smart
レベルではなく1Gbpsレベルです。ハートネッ
おいて整った。そして2月1日、ケーブルテレ
TV Box」に接続する4K-IP放送用STB「パワ
トワークは10GbpsのFTTHを導入しました。今
ビ業界で最初のケーブル4K-IP放送の試験放
ーアップユニット」を使用している。パワーア
後のケーブルテレビは10Gbpsが当たり前にな
送がハートネットワークで始まった。この記事
ップユニットは現在ケーブル4K-IP放送に対応
りつつあります。IP放送で4K、8Kを伝送する
を執筆している2月15日現在、ハートネットワ
した唯一のSTBだ。
インフラ環境が整ってきています。
第3の理由は、DRMを利用できることです。
ークでの試験放送は何のトラブルもなく順調に
進んでいる。ハートネットワークは4月1日、ケ
ーブル4K-IP放送の本放送を開始する予定だ。
現在、同社やTOKAIケーブルネットワークな
放送のオールIP化に対応
FTTH化でインフラも整う
現在のケーブル4KはCASを使用していません
が、今後コンテンツを充実させるためにはCAS
の利用が必要となります。RF用の技術である
今、4KをRFではなくIPで放送することには
CASに対して、一般的にIPによる動画配信で
始を準備している。
どのような理由があるのだろうか。ハートネッ
はDRMが使われています。IP配信用にはDRM
日本ケーブルテレビ連盟(JCTA)は全国のケ
トワークの大橋弘明代表取締役は、主に6点
で権利処理をするというのが、世界的な傾向
ーブルテレビ事業者に対して、ケーブル4K-IP
の理由があると説明する。
です。DRMによる権利処理は、全世界的に簡
放送を開始する方法やIP放送のための権利処
「第1の理由は、放送のオールIP化への対応
略化が進んでいます。ケーブル4KでもDRMを
理のあり方などについて情報提供をして、本放
です。現在テレビモニターがスマートテレビ化し
利用すれば、これが大きな利点になります」
ど約5社のケーブルテレビ事業者が本放送開
送を始めるケーブルテレビ事業者を募っている。
て、IP放送対応端末に変わりつつあります。特
ケーブル4K-IP放送の技術仕様も策定する予定
に日本以外では、放送はオールIP化の流れにな
だ。JCTAの山田協審議役は、「現在はハート
っています。このような世界の動向に対応して、
ネットワークやTOKAIケーブルネットワークなど
日本のケーブルテレビ事業者はIP放送に取り組
が先陣を切ってケーブル4K-IP放送を実施する
まなければなりません。JCTAがケーブル4Kを
「第4の理由は、DRMのシステムは構築費用
準備・検討を進めています。これから他のエリ
RFだけでなくIPでも放送しようと取り組んでいる
を低減できることです。CASのシステム構築
アのケーブルテレビ事業者も続々と続いてくると
のはそのためです。ケーブル4K-IP放送の開始
には数億円の費用がかかります。4K対応の新
思います」と期待している。
を準備している他のケーブルテレビ事業者も、
『日
CASの構築にも非常に費用がかかります。
DRMはCASより低コスト
BSの4K放送への対応も容易
ハートネットワークはすでに2015年12月1日か
本でもこれからの時代はIP放送の流れになるの
第5の理由は、2018年に始まるBSによる4K
らケーブル4K-RF放送を始めている。4月1日
で、二重投資を避けたい』という理由でIP放送
放送の再放送に伴う設備投資を低減できること
28
4-2016
Fly UP