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岡村 さにい

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岡村 さにい
長崎県立長崎東中学校 2 年
岡村 さにい
「NO
百年に一度の大嵐に遭遇し、予定外のド
BORDER」
ちに、作者が純粋で素直な心を思うままに、
イツ・デュッセルドルフへも少しだけ足を
自由に表現している強い思いが心に響きま
踏み入れ、15 時間近いフライトでオラン
した。どちらも時間が足りず、全ての作品
ダ・アムステルダムに少し疲れて降り立ち
を観ることが出来なかったので、またいつ
ました。しかし大混雑中の空港を見渡した
かじっくりと鑑賞したいと思っています。
瞬間、次々と押し寄せる感覚に、一気に頭
3 日目は今回の研修で最も楽しみにして
が真っ白になりました。英語なのかフラン
いた、国際機関の訪問でした。世界中の問
ス語なのか、よく聞き取れない言語の話し
題把握と解決に取り組んでいる OECD では、
声、見上げる程高い身長に鮮やかなブロン
職員の長谷川さんの「批判されても、何も
ドヘアー、様々な肌の色、甘酸っぱい香水
しないより、何か決めたほうがよい」とい
の匂い、余りにも普段と違う雰囲気に圧倒
う言葉がとても印象に残りました。積極的
され、自分の存在がとても小さく感じまし
に物事に取り組む姿勢があるからこそ、世
た。これからの数日間、自分の英語力で会
界中の今日が明日に繋がっているように強
話が出来るのか、日本での当たり前がどこ
く感じました。UNESCO では日本の存在がと
まで通用するのか、急に不安でたまらなく
ても大きく、重要な役割であることを知り、
なりました。外国人観光客は長崎で頻繁に
とても誇らしい気持ちになりました。
「今す
見かけますが、そこでは明らかに私が「外
ぐに守るもの、ずっと残していくもの、人
国人」でした。
類にとって重要なものを守ろう」という世
翌日は早朝からパリへと出発し、まずル
界遺産に取り組む culture 課は、軍艦島等
ーブル美術館を見学しました。
「ミロのヴィ
が世界遺産に決定したばかりだったので、
ーナス」や「サモトラケのニケ」のオリジ
とても身近に感じました。私が将来関わり
ナルを間近で見た時は本当に迫力があり、
たいと思っている発展途上国の問題につい
とても興奮しました。特に「モナリザ」の
て取り組む education 課で、職員の方から
左右で笑顔の意味が違い、平和と衰退を表
直接お話を伺えたことは本当に勉強になり
現しているところは、実物で見ると不思議
ました。
「発展途上国の子供達と関わること
な魅力がありました。続いてポンピドゥー
がしたい」と漠然と考えていた私の将来の
センターではカラフルでポップなモダンア
夢は、JICA やユネスコスクールの一員とし
ートが沢山ありました。一目見ただけでは
て活動することや、海外青年協力隊などに
何とも理解が難しい作品も、解説を聞くう
参加してみたいという、一歩現実に近づい
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たものになった気がしました。夢の実現の
この研修で自分の将来をより深く考えた
為に今から取り組むべき事、どこでどんな
り、
初めて訪れる場所で様々な経験をする事
仕事をするとしても、重要なのはコミュニ
が出来ましたが、9 人の仲間に出会えた事
ケーション能力と英語力だと、改めて思い
が何よりも大きな力になりました。初日の
知らされた気がします。
オリエンテーションでは緊張して会話もあ
パリで 4 日間の滞在後、列車でアントワ
まり出来ず、ただの研修のメンバーでした
ープへ、バスでオランダ・ゼーランド州へ
が、この 8 日間で 9 人はかけがえのない友
向かいました。ゼーランドでは州政府の方
達となりました。プレゼンテーションに向
々が本当に温かく歓迎して下さり、そこで
けて夜遅くまで協力し合った事、初めての
の交流会は私が今持っている英語力を試す
出来事を毎日共に支え合いながら過ごした
最大の機会でした。それは何日も準備した、
事、ホテルで沢山語り合った事など、今思
今回の研修の山場である英語でのプレゼン
い出しても胸が一杯になります。また、今
テーションです。州政府の皆さんが、長崎
回この素晴らしい研修に参加させて下さっ
とオランダの深い歴史や長崎の特徴を興味
た、長崎県国際課の方々、引率して下さっ
深そうに聞いて下さったのを見て、私達の
た稲吉先生、貞松さん、滝本さん、いつも変
長崎への想いが伝わり、共有出来たことに
わらず私を支えて下さる学校の先生方、家
嬉しくなりました。交流会では長崎の伝統
族、関わった全ての方に本当に感謝致しま
的なお土産を渡しました。用意していた長
す。この貴重な経験を無駄にする事なく、自
崎くんちの手拭いやオランダの国旗柄のハ
分の夢の実現に向けてこれからも努力し続
タを渡すと、笑顔で「アリガトウゴザイマ
けていきます。
ス」と日本語で答えたり、外に出た際に早
速ハタを揚げようと、とても喜んで下さい
ました。完璧に英語を話す事は出来ません
でしたが、単語や体を最大限に使ったジェ
スチャー等、コミュニケーションを取る為
の材料は沢山ありました。会話をした Maria
さんの気持ちが解りたいと真剣に耳を傾け、
自分の気持ちを何とか Maria さんに解って
ほしいと目を見て必死になった時間でした。
自分から積極的に会話を作ろうと相手の気
持ちに沿っていく事が、国際交流の鍵とな
るのだと実際に体験して強く感じました。
地図上には国境線がありますが、どの国の
空にも、この研修で出会った人の心の中に
も国境線はなく、自分次第でどこまでも繋
がる事は可能なのだと深く感じました。
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