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研究報文 - 日本ブドウ・ワイン学会

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研究報文 - 日本ブドウ・ワイン学会
.J ASEV
Vo.18 ,
l.ON
.npJ
(
1)
79
p .P 41 ・42.p
グロー・コールマンに対する好適施肥条件
[研究報文]
ブドウ‘グロー・コールマン'に対する好適施肥濃度の検討
岡本五郎・真鍋雅子・平野健
岡山大学農学部, 07
年 2 月7 日 受 理
791
Suitable
reziltref
岡山市津島中一丁目 1- 1
lev
Goro
Okamoto
for
gni
Colman
sdeb
os1i -
ni deirub
,Okayama
deilpus
ppm
un1it sisehtna
was
M .seniv
.ret
Notnacifingis
faeL
from
seniv
,t
ub
ragus
was
growth
and
gni
Colman
taht
noitalumca
ragus
ragus
noitalumca
N level
fo
021
5.o20t.2
sorG
Colman
eparg
retfa
,t
houg
retm
,was
.egats
yreB
tnemgralne
noitaroloc
noitalumca
was
wer yrotcafsitas
and
(
04
ppm
ta 50.0
rednu
,
tref i1i gniz
retfa
ー7
0.0
siht
level
,
yreb
rep
wek
most
tnempolvd
bud
number
fo seirreb
tsehgih
ni H seniv
most
nI
.dipar
)
nosiarev
1csu
gnirud
eht
dipar
ni H
,reb y
,y
reb
tseb ta,
cidni
optimum
rof
os1i N0
ni
tes rep
M seniv
was
and
tseb
L seniv
nI
was
mS/ cm
growth
was
niks noitaroloc
gninepir
retfa
Ea 1r y tohs
.dedrater
tref i1i gniz
-14-
ro eciwt
was
wer
detnalp
tref i1i rez ,
niatnoc
.nosiarev
ni eht
r
e
w
diuqil
1cretsu
a nerg
tpek
mg/100g
fo etlpmoc
devrsbo
niks
ppm
So 1i EC was
from
:
sdrow
and
,t
houg
.noitavitluc
N degnar
Key
ot eht gninepir
wols
an
htiw
on S04 kcotstor
ot ednroiht
was
,
(
)
H fo N ,ecno
ni H seniv
,m
easurd
sisehtna
growth
suorgiv
Hirano
07 ,Japan
slevel
ppm
d1idetu
ecnerefid
lyhporolhc
doirep
wer
most
erht
(M) ,ro 081
srub .
t The tref i1i rez slevel
Ken
.
L) s
eniveparg
htiw
grapevines
ytisrevinU
,Okayama
si(
tiV arefiniv
and
(
)
L ,021
06 ppm
,and
fo erutlcirgA
Tsuhima-nak
sorG
Colman
,MasakoManabe
ytlucaF
evriaFedylo
Gros
3-
sorG
N +N 払 -
.emiger
,o
s1i EC
and cinagroni
N
.J ASEV
.npJ
Vo .
1 8,NO.l
岡本五郎,真鍋雅子,平野健
(
1)
79
材料と方法
緒論
ブドウを根域制限栽培することによって、早期
1.供試材料と処理区
194
成園化が可能になり、結実と果実品質も向上する
年 2 月に、岡山大学農学部(岡山市津島)
幅0.6m
4,)
6 によって明らかされて以来、
ことが今井ら (
の実験圃場の無加温ハウス内に、
各種の果樹の根域制限栽培の試みが広くなされて
0.3m
きた。例えば、ブドウの‘ミュラー・ツルガウ'
防根透水シート (UNITIKA
(
1)
2 、 ‘ピオーネ,
を敷きつめた。この中に、前年まで 40
(11)、リンゴ(1)、カンキ
、 長さ 7
.5m
の溝を 2
.m
、深さ
間隔で3 本掘り、
,BDK
ラブシート)
L 容のコ
ツ(1 )
5 、イチジク (
)
8 などでも、同様の効果
ンテナで育成した 5 年生の‘クーロー・コールマン'
が確認されている。いずれも、根に対する水分や
(S04
土壌養分の供給が適確となるため、適度な樹勢の
樹)を 60
維持が可能であること、根域内に根が密集するた
養土として、ブドウ園の砂壌土にビートモスを 3
め、樹は頻繁に水分ストレス状態となり (
)
5 、
:1で混合したものを用いた。施肥は液肥(大塚
結実や果実の成熟に好適なホルモン条件が作り出
液肥 1号 +2号)によって行い、発芽期 (
4月61 日)
されるなどの効果によると考えられる。根域制限
から開花期 (
5 月13 日)まで毎週 2 回、その後は
の方法としては、各種のシートや板を敷いた上に
週 1回
、 1樹当たり 4L を点滴チューブで与えた。
盛り土する方法や、ボックスやコンテナを利用す
実験区として液肥濃度を H 区 (
:
N 180
る方法が一般的である。しかし、王ら (
)
1
M 区 (
:
N 120
は
‘ピオーネ'についての実験で、盛り土の根域ベッ
ドよりも、防根透水シートを利用した地下埋め込
台、熱処理・茎頂培養によるウイルスフリー
cm 間隔で 1 )
J1I に2
1 本植え付けた。培
ppm)
、L 区 (
:
N 60 ppm)
階とした。 H 区の液肥 10L
量は、 KN0
ppm)
の3 段
中に含まれる成分の
1 0 g 、Ca(N0
3;8.
02H4
3)
2;
1.59
0
g 、NH 4H
;
40P2
・
7H 20
; 1.05
、
g、
み型のベッドの方が、果実の発育や成熟が優れる
お4
0S91
ことを示した。その理由として、埋め込み型の方
EDT A;
eF
が春季の地温の上昇が早いこと、夏季の土壊水分
6.0
の変動が緩やかで、過度のストレスがかからない
510.
ことを明らかにした。
お、ベレゾーン (
7 月2
6 日)からは果実の成熟を
‘グロー・コールマン
si(
tiV
arefiniv
.
L)
5.4
g 、Z
nS04
g 、 Na2Mo0
g 、;
30B3H
・
;
02H7
9.0
60.0
02H
4;
0
0.51
g、
g 、恥1
nS04
・
5H20;
g 、C
US04
・
5H20;
60.0
g である。な
良好にするために、各区の液肥濃度を 1/3 に下
は、主として岡山県内のガラス室やビニールハウ
げた。液肥施与日の聞に、深さ 20
スで栽培される晩熟性品種である。極めて豊産性
設置したテンシオメーターの示度が pF 0.2 を越
a 当たり 3-
えたとき、点滴チューブで 1樹当たり 4L をかん
5 tに達する。しかし、高収量を得るために過剰
水した。開花期までに 1樹 6 新梢に制限し、各新
な量の施肥が行われることが多く、果実は甘味が
梢に 2 花穂を発育させた。開花 1週間前に新梢先
少なく、果皮の着色も不良に終わるものが多い
端を摘心し、その後発生する副梢はすべて I節で
(
)
7 。これを改善するには、多肥を避け、適切な
摘心した。花穂の整形や摘粒、病害虫防除などの
土壌養分、
一般管理は慣行法によった。
で、果房や果粒も大きく、収量は 0
1
水分条件を維持することが必要であ
る。そこで本実験では、本品種を埋め込み型の根
域制限方式で栽培し、与える液肥の濃度を変えて、
生育調査
発芽期後、各区 01 新梢について、 5 日間隔で新
培
梢の生長を調査し、開花期後は約 1 カ月間隔で第
高品質果実の生産に適
l果房着生節とその先 3 節目の葉の葉色をグリー
樹体の生長と果実の成熟を比較した。また、
土の土壌分析を行って、
.2
cm の位置に
する土壌の化学性について考察した。
ンメーター(ミノルタ SPAD
)
205
で測定した。
.J ASEV
.npJ
Vo .
1 8 ,No.l
(
1)
79
グローコールマンに対する好適施肥条件
また、それらの新梢の全葉について主脈長を測定
る溶出液について pH を
、 5倍量の純水による溶出
し、別に求めた主脈長と葉面積計による葉面積値
EC)
液について電気伝導度 (
との回帰式から、新梢当たりの葉面積を推定した。
2M ・
KCl
1
さらに、成熟中期の 01 月7 日の 0
ン法で硝酸態窒素とアンモニア態窒素を、 20.0
am--2
pm に
、
を測定した。また、
抽出物についてフローインジェクショ
各区6新梢の果房付近の葉の光合成速度を携帯式
N 4
0S2H
光合成蒸散測定装置(島津製 SPDH
吸態リン酸を、 1N ・酢酸アンモン抽出物について
・
)
4 で測定し
抽出物についてトルオーグ法により可
た。結実期後、各区 30 果粒の横径をノギスで連
原子吸光光度法で置換性Ca 、 Mg 、 K を定量した。
続的に測定した。ベレゾーン後は、 2
--3 週間ご
さらに、改良nelohcS
0 果粒を採取し、外果皮を 1%塩酸メタノー
とに 2
容量 (CE)
ルによってアントシアニンを抽出し、 53
定した。
吸光度を測定した。また、果汁を集めて TSS
nm の
regb
を
、 TYURIN
、滴
(島津LC6A)
で、糖を GLC
1.新梢の生長、葉面積と光合成速度
(島津GC14A)
で、アミノ酸を自動分析計(日本
電子JLC
で分析した。
・
)
03
新梢の初期伸長は液肥濃度の高い区ほど急速で
.giF
あった (
.3 土壌分析
1)。摘心によって新梢上の葉数は
各区ほぽ同じであったが、 H 区では本葉、副梢葉
--10
各区のベッドの 8 カ所から、表土(深さ 2
cm)
法で粗腐植含量を測
結果
定酸含量を測定した後、イオン交換樹脂で精製し
て、有機酸を HPLC
法で、陽イオン置換
と下層土(深さ 0102
cm)
ともに大きく、ベレゾーンにおける新梢当たりの
elbaT
葉面積はこの区で最も大であった (
を、発芽期
)
1。
(
4月81 日)、開花期 (
5 月13 日)、着色開始期 (
8
葉色もいずれの時期とも H 区がM 、L 区より高かっ
月81 日)、収穫期(1 2 月5 日)に採取した。風乾
た (
.giF
後、直径2 m m の舗を通し、 5.2 倍量の純水によ
合成速度は、果房節葉では H 区が他の 2 区より約 5
)
2 。成熟期(1 0 月7 日)に測定した光
0% 高かったが、その 3 枚先の葉では大差なかっ
た(データ省略)。
elbaT
.
1 tcefE
forezilitref
Colman
rezilitreF
level
level
on canopy
devlopment
fo Gros
.seniveparg
Primary
sevael
Y
laretaL
sevael
latoT
H
5132
:
t 205 Z
3428
:
t 28
8560
:
t 35
M
5102
:
t 15
2102
:
t 279
7204
:
t 318
L
453
土1
97
2784
:
t 173
737
:
t 34
ZMeasurd
rof
01 stohs
refeRY
ot giF .
1
ta .nosiarev
Means
-16-
:
t SE (cm
2)
.J ASEV
Vo .
1 8 ,No.l
.npJ
(
1)
79
岡本五郎,真鍋雅子,平野健
120
-Q
-H
--Lトー M
--(トー L
10
ω=
(
g
υ
) 阿古切口
z
。
。ω
80
60
40
May
.giF
ni deirub
ppm
desaerc
.
1 tcefE
3
rfeozilitref
lios
sdeb
(M) ,ro 6
0
level
and
ppm
ot 1/3 retfa
31
8
on tohs
deilpus
htiw
(
)
L fo N ecno
.nosiarev
atD
18
growth
fo sorG
etlpmoc
ro eciwt
shown
diuqil
rep
era
wek
means
-17-
23
Colman
rezilitref
from
bud
.seniveparg
seniV
gniniatnoc
081
srub .
t The
:
t SE fo 01 etacilper
N slevL
.stohs
wer
ppm
detnalp
(H) ,0
21
wer
ed
.J ASEV
.npJ
Vo .
1 8 ,NO.1
(
1)
79
グローコールマンに対する好適施肥条件
50
A
40
1 SE
30
ω
﹃
ロ
ーーベ〉ーH
ト
L -M
ckr
包芯ECω20
~L
20
B
40
30
一
-
.giF
.2 tcefE
lyporolhc
was
detacil
30 semit
(
)
B. For noitanifed
forezilitref
measured
rof
level
htiw
each
tnemart
metr
and
fo H ,M ,and
lyporolhc
fo
(MINOLTA
SPAD
on fael
a nerg
fael
,ta retsulc
noitisop
L stnemtaert
,
refer
.2 花穂の発達と結実、果粒の発育
)
205.
Measuremnts
node
(
)
A and
.
1 Dat
shown
era
faeL
uper
means
wer
per
dr3
node
:
t.ES
の差はとくに着色初期に大きかったが、収穫期に
は差がなかった (
.giF
個と最も多かった。 L 区では花穂
が小さく、整房後の小花数は約 250
ot .giF
.semvparg
Colman
Gros
ントシアニンの増加は M 区で優れ、 H 区
、 L 区と
M 区では花穂が最も大きく、整房した後の小花
数も平均約 350
羽一加
W
一
-1
g
92一
血
3M
20
)
5 。収穫期の果汁に含ま
れる主要なアミノ酸は、 アルギニン、
個で最も少な
r -アミノ
かっ f
こ
。 しかし、着粒数は各区とも約 72~76 粒
酪酸、プロリン、アラニン、ロイシンなどであっ
で差がなかった。果粒直径の変化は.giF
た (
elbaT
3 のとお
)
2 。全アミノ酸濃度は H 区
、 M 区
、
りで、果実発育第2 期の後半から H 区の肥大が最
L 区の順であったが、とくに H 区ではアルギニン
も活発となった。一方、果粒の糖の蓄積は H 区で
とトアミノ酪酸が他の 2 区より著しく高く、 L 区
.giF
最も劣り、 L 区で優れた (
ではアラニン、 7 ・アミノ酪酸の濃度が他の区よ
)
4 。 リンゴ酸、
り低いのが特徴であった。
酒石酸含量には区による差がなかった。果皮のア
81
.J ASEV
.npJ
Vo .8
1 ,NO.1
岡本五郎,真鍋雅子,平野健
(
1)
799
26
24
2
20
18
16
一-O-- H
14
一 企-
M
--cトー L
12
10
8142IE
.nuJ
.giF
.3 tcefE
.H M. and
亙 512_1L26
Ju.
l
froezilitref
level
L stnemtaert
,
refer
4 31
Aug.
~
517
.peS
growth
fo sorG
Colman
on yreb
ot .giF
.
1 a
tD
shown
era
82
.seniveparg
For noitanifed
fo
.seniveparg
For
:
t .ES
means
16
自21
凶
01
H
一 企- M
ー--O-
~ー L
8
13
29
Aug.
.giF
noitanifed
.4 tcefE
forezilitref
level
fo .H M. and
L.stnemtaert
on
TSS
refer
tnetnoc
fo seireb
ot .giF
-19-
.
1
fo sorG
Colman
.J ASEV
Vo .
1 8 ,No.l
.npJ
Table
(
1)
79
グローコールマンに対する好適施肥条件
.2 tcefE
forezilitref
seireb
fo Gros
Amino
sdica
(nmol/mL)
GLU
level
Colman
z
+GLN
ALA
on eciuj
amino
LEU
M
L
85 .
1
3.64
43 .
4
0.27
9.94
9.22
0.42
8.22
0.44
2.83
15
32 .
14
61 .
9.743
7.083
8.783
ARG
5.0601
79 .
4
PRO
fo
HY
2.82
GAVA
conte
.seniveparg
4.
13
VAL
dica
9.98
6.92
Others
2.0891
571 .
17
2521
.
1
latoT
5.5273
9.4252
202
.
4
ZGLU
+GLN
;cimatulg
VAL
;
enilav
,LEU
ARG
;
eninigra
refeRY
ot .giF
dica
,PRO
+ enimatulg
;
enicueI
,ALA
;r onima
,GABA
;
enial
cirytub
,
dica
,
.;
enilorp
.1
0.8
一
0 一H
一一合一- M
0.6
~一一 L
g
器
。
凸
υτ
0.2
.giF
.seniv
means
.5 tcefE
For noitanifed
:
:
!
:.ES
forezilitref
level
1
Oct.
on niks
fo H ,M ,and
14
noitaroloc
L stnemtaert
-02
一
29
Nov.
fo seireb
,
refer
ot .giF
fo Gros
.
1 Dat
Colman
shown
grape
era
.
J ASEV
Vo .
1 8 ,No.1
.npTc
(
1)
79
岡本五郎,真鍋雅子,平野健
.3 土壌分析
酸態窒素の濃度でも同様の傾向が見られた (
.giF
いずれの時期でも各区の土壌pH は6-7 の間で
あり、 CEC
は38.69
me/ 10
)
6
g 、粗腐植は約 2
0
10-35
CaO
は各区とも約20
mg/lOO
、MgO
は 25-40
mg/100g
g 、K20は
、
mg/10g
-4% であった。しかし、 H 区では開花期から着
P 250 は500-800
色開始期にかけて EC が非常に高い値を示し、硝
よる一定の傾向は認められなかった(データ省略)。
mg/100
2.0
g で、いずれも区に
EC
的自)
(日 υ¥
一一〈トー H
一一企ー M
--o- L
1.0
υ
同
0
6
N03-N
NH4-N
ーや一一+- H
一企一 一企ー M
一口一 一昌一 L
5
)Z
野口
(注目)切 CCH¥
4
3
2
1
一
18
.rpA
.giF
noitanifed
.6 tcefE
forezilitref
fo H ,M
,a
nd
国一切
一Y
3M
。
level
L stnemart
on lios
,
refer
EC
and
5
.ceD
cinagroni
ot .giF
-21-
N fo Gros
.
1
Colman
.sdrayeniv
For
.J ASEV
.npJ
Vo .
1 8,NO.l
(
1)
799
グローコールマンに対する好適施肥条件
その後 20
考察
ppm
の濃度 lこするのが果粒の発育に好
適であった。さらに、岡本ら(1 )
2 や丸山ら (
)
9
本実験では、液肥の施用開始が発芽期後と遅かっ
は‘ミュラー・ツルガウ'、
‘カベルネ・ソービニ
たにもかかわらず、液肥濃度の影響は新梢の初期
ヨン'についても:
N 60 → 20
生長から現れ、その後の葉面積の拡大、葉色にも
よって、良好な果実生産を得ている。これらのこ
反映された。これは"
lJ I中ら (
)
7 が葉分析調査
とから、
から‘グロー・コールマン' は他のブドウの品種
比べると高レベルの施肥を要求する特性があると
に比べて肥料吸収力が著しく強いとしていること、
言える。
dalG
ら(
)
2 やnosaH
ら(
)
3 がブドウでは新梢
ppm
の液肥施与に
‘グロー・コールマン'は一般の品種に
本実験で、
‘グロー・コールマン'栽培におい
の初期生育には貯蔵窒素より発芽期に与えた窒素
て好適濃度と考えられる液肥の施与を行った M 区
が優先的に利用されることを示した結果と一致す
の場合、開花期から着色開始期の土壌の EC は
る。すなわち、根域制限した‘グロー・コールマ
50.0
ン'を液肥で栽培する場合は、発芽期からの施肥
NH4-N)
濃度によって樹勢の調節が可能であると言える。
その1. 5倍の濃度で施肥した H 区では EC が0.
1 8-
液肥濃度の適値については、 H 区(発芽期まで :
N
0.2mS/cm
081
しく高い値となった。その原因は明らかでないが、
ppm
→べレゾーン以降 6
0
ppm)
では旺盛
70.0
,
.
.
,
mS/ cm で、可吸態窒素 (N0 3 - N 十
は約0.2
mg/100
g であった。しかし、
、可吸態 N が 7 ,
.
.
,5 m
g/100
g と著
な新梢生長との競合により花穂の発達が不良にな
H 区の施肥条件では土壌細菌の質的、量的変化を
り
、 L 区(同 60
では樹勢不足
引き起こし、その結果として異常な無機塩の蓄積
でやはり花穂が小さい。また、果粒の生長を比較
が生じたと推察される。なお、 H 区で施与した窒
すると、 L 、M 区に比べて H 区は肥大が優れた。
素成分を合計すると、 1 樹当たり 35g
しかし、収穫期の平均果粒重は約 01 g で、通常
り7.52
より小さかった。これは、実験の年の春に移植し
マン'産地では、液肥は用いられておらず、主と
たために、細根の切断などの悪影響によるものと
して有機化成肥料が利用され、年間lrr1
ppm
→2
0
ppm)
思われる。そのため収量は各区とも 0
1
5.2
,
.
.
,
a 当たり
)
g となる。岡山市内の‘グロー・コール
窒素成分は 51
3 tで、これも通常の栽培よりも低い水準で
(
1lrr 当た
,
.
.
,
当たりの
30 g と推定される。岡山県が行っ
た土壌診断の結果
4 によると、
(
1)
、無機態N が3
0
mg/100
EC が1. 51
g の高い値を
あった。果実の成熟についてみると、 H 区では糖
mS/cm
の蓄積が著しく不良で、果皮の着色も遅れた。一
示す園があることが示されている。このような園
方
、 L 区では糖の上昇は速いが、着色は M 区より
地では、明らかに過剰な施肥が長年続けられて来
劣った。以上のことから、‘グロー・コールマン'
たと推察される。それらの園では、果粒は大粒に
の場合、 M 区(発芽期から :
N 1
20
ppm 、ベレゾー
なるが、着色不良や昧の悪い果実が生産されるの
の液肥施与が好適な施肥条件と
は当然と考えられる。本実験で得られた土壌の E
ン以降40
pm)
考えられる。この施肥条件では、開花期から着色
C や無機態N 、葉色の適値を一つの標準値とし、
開始期までの果房節先 3 節葉のグリーンメーター
それに近づくような肥培管理がなされるべきであ
値が 37
る
。
,
.
.
,
39 となり、この値が 45 を越える葉色で
は過剰施肥と言える。一方、松井ら(1 )
0 は
要約
‘巨峰'について同じ大塚液肥を用い、基本濃度
(
:
N 約 240
pm)
の 1/4 濃度区で果粒の発育が
‘グロー・コールマン' に対する適切な施肥条
優れたことを報告しており、岡本ら(1 )
3 の実
件を知るために、ウイルスフリーの 5年生樹 (SO
験でも‘巨峰'では硬核期まで :
N 60
4 台)を埋め込み型の根域制限ベッドに植え、発
ppm
とし、
22 一
.J ASEV
Vo .
1 8,
NO.l
.npJ
芽期から ;
N 180
60
ppm
ppm
(
1)
799
岡本五郎,真鍋雅子,平野健
(H区
)
、 1
20
ppm
(M区
)
、
(L区)を含む総合液肥を週 1 または 2 回
与えて栽培した。液肥の濃度はベレゾーン以降は
それぞれ3 分の l とした。新梢の初期生長は液肥
.3
濃度が高い区ほど優れたが、花穂の発達はM 区で
優れた。結実した果粒数は区による差がなかった
が、葉面積の拡大、葉色、果粒の肥大は H 区で優
・
れた。しかし、 H 区では果汁の糖蓄積が著しく不
.4
良となり、果皮の着色も遅れた。アミノ酸組成で
はアルギニン、 7 ーアミノ酪酸、アラニン、パリ
ンが他の区より高かった。対照的に、 L 区では糖
の上昇は最も速かったが、 7 ーアミノ酪酸、アラ
.5
ニン含量が低かった。 M 区では着色がもっとも優
れ、果粒の肥大、糖の蓄積も良好で、アミノ酸含
量は両区の中間的であった。これらの結果から、
.6
本実験の範囲ではM 区の施肥条件が‘グロー・コー
ルマン'栽培に好適と考えられるが、その土壌の
EC は0.5-0.7
N+NH4-N)
mS/ cm で、可吸態窒素 (N0
含量は 5.20.2
mg/l00
3-
.7
g で、あっ
f
こ
。
.8
謝辞
本実験で土壌分析を行うに当たり、懇切なご指
導とご協力をいただいた岡山県農業試験場化学部
.9
の高野和夫氏と妹尾和法両氏に対して、厚く感謝
申し上げる。
01
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