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第3章 緊急ソフト対策(4)(PDF形式 2053 キロバイト)

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第3章 緊急ソフト対策(4)(PDF形式 2053 キロバイト)
3.1.6
緊急調査に使用する資機材の把握
火山噴火直前もしくは噴火後の緊急時には、火口およびその周辺状況を安全
に調査する必要性が生じる。その際、
「ヘリコプター」や「無人航空機(UAV)」
の果たす役割は大きい。
そこで、緊急調査で活用が想定されるヘリコプターや有人航空機、無人航空
機(UAV)などのリモートセンシング技術の長所、短所などを考慮し、機器の
使い分けを新潟焼山の特性を考慮した。また、離着地の確保や飛行範囲の把握、
資機材の準備など、事前に把握・準備が必要な項目を整理した。
(1) 新潟焼山の規制範囲
標高 2,400m の新潟焼山は、火口から 5km 近傍の北側斜面にある遠望カメラ
から確認できるが(図 3.13)、容易に火口周辺を観察できる場所はない。気象庁
による噴火警戒レベルでは、レベル 2(山頂火口から概ね 2km 以内立ち入り規
制)、レベル 3(山頂火口から概ね 4km 以内立ち入り規)、レベル 4 および 5(山
頂の北方約 8km 以遠)とされることを考慮すると、リモートセンシング技術の
有効活用が望ましい。
遠望カメラ
(新潟県)
★
笹倉温泉
★
5km
新潟焼山
笹ケ峰ダム付近
図 3.13
59
新潟焼山の位置
図 3.14
新潟焼山の噴火警戒レベルに対応した規制範囲(気象庁)
(2) 新潟焼山において利用に適したリモートセンシング技術の整理
ヘリコプター、有人航空機、無人航空機(UAV)について技術の長所、短所
を整理し、機器の使い分けについて新潟焼山の特性を考慮し整理した。
整理の結果、以下の理由から、新潟焼山では無人航空機の「B-Ⅱ型」と「カ
イトプレーン」の2種類の機種の利用が考えられた。
・作業員の安全が確保できる。
・新潟焼山の山頂付近を計測、観測が可能。
・新潟焼山からある程度離れた箇所から飛行が可能。
・ある程度広域で計測、観測が可能。
○カイトプレーン
→離発着が容易であるものの、実績から離発着場までの距離は 3km 以内と
なるため、新潟焼山近隣の状況確認等の簡易的な調査に有効。
○B-Ⅱ型
→1 度の最大飛行時間は 4 時間程度であり、長距離の飛行が可能。
よって、地形調査等総合的な調査に活用可能。
60
表 3.5
地上レーザー
使用飛行機器
-
無人機
有人機
自立航行型
無人飛行気・無人ヘリコプター
セスナ・ヘリ
ヘリ
カメラ
レーザー・カメラ
カメラ・ビデオ
カメラ
バルーン
計測手法
地上レーザー
空中レーザー
空中カメラ撮影
ハイビジョンカメラ、
動画
会社実施機関
多数
航測会社各社
朝日航洋(株)
国際航業
中電技術コンサル
タント
ヤマハ発動機
(株)情報科学
テクノシステム
スカイサーべー
製品名
-
-
-
マイクロドローンズ
(カナダ製)
アステック
(ドイツ製)
RMAX
B-Ⅱ型
(無人ヘリ)
カイトプレーン
-
-
実績
多数
河川、道路沿いの
レーザー計測実績
多数
急峻地での
撮影実績有り
多数
北海道開発局、
桜島、霧島
桜島、大山、霧島
富士山
雲仙普賢岳、
桜島、大島
-
気体採取、カメラ撮
影
特徴
・レーザーを照射
し、樹木下の地盤
・地上三脚からレー 高を計測。
ザーを照射し、地 ・鉛直や斜め計測
形変化を計測
が可能。
・誤差±15~30cm
と精度が良い
長所
・固定点から溶岩
ドームなどの動態
を把握可能
短所
カメラ
カメラ
(社)ジャパンUAV
鎌田空撮サービス ムラタ計測サービス
サービス
・撮影高度5~
200m、撮影範囲は
左右360度、上下
・上下方向観測1万
90度。
mまで可能
・垂直撮影では気
球の真下200m四
方を撮影
・無人ヘリでレー
・音が小さいため、 ザー計測が可能 ・時速100kmで高高
・広域を精度良く計 ・山間部の荒廃状
・標高2500mまで飛 ・標高3000mまで飛
環境調査などに有 ・車1台で現場計測 度を計測できる唯
測可能
況を撮影可能
行実績有り
行可能
効。
が可能であるため 一の機体
機動性が高い
・撮影高度5~
200m、撮影範囲は
左右360度、上下
・上下方向観測2万
90度。
mまで可能
・垂直撮影では気
球の真下200m四
方を撮影
・数kn先を計測でき ・飛行禁止区域で
る機種が少ない
は実施できない
△
カメラ・ビデオ
・凧と飛行機の長
所を活かした電動
モーター飛翔体。
・上空のエアロゾル
調査の実績が豊富
・噴火前や噴火沈
静後の計測には有
・溶岩ドームなどの 効であるが、飛行
新潟焼山での 動態観測には有効 禁止区域が設定さ
適用性
れると利用できな
い。
61
緊急調査時に利用が考えられる飛行機の比較
△
・飛行機から高解
像度カメラで撮影
し、急峻地の荒廃
状況を視認可能
・ヘリコプターにカメ
・数枚の羽で静か ラ、レーザーを搭
に飛行し、カメラ撮 載。
影が可能
・計測機器の運搬
にも活用可能
・高度5700mの飛 ・標高2500mまで飛
行経験有り
行実績有り
・時速100kmで高高 ・電池タイプであ
度を計測可能。
り、飛行高度に関
・カメラ撮影のみで 係なく飛行可能。
DSMを作成可能
・写真計測可能
・風速15m/s以上、
雨天、降雪では飛
・300~400m程度し
行制限あり。
か離れられない。
・左右への移動が ・左右への移動がで
・ペイロード3kgま
・リアルタイム画像
できない。
きない。
で。
は今後の課題
・飛行時間60分以
内
・飛行禁止区域で
は実施できない
・強風の場合実施
困難。
・標高1000m以上
での実施は不明
・実施標高は
1638mが最高。
・レーザーなど搭載
重量が大きくなると
実施可能な標高が
低くなる。
・噴火前や噴火沈
静後の計測には有
効であるが、飛行
禁止区域が設定さ
れると利用できな
い。
・新潟焼山山頂の
計測不可。
・長距離計測がで
きないため、山麓
斜面のみ利用可能
・新潟焼山山頂を
・新潟焼山山頂の
計測可能
計測は不可
・山腹のみ計測可 ・カメラ、ビデオ計
・カメラ撮影による
・山腹のみ計測可
能
測に有効
オルソ作成、DSM
能
作成が可能
△
△
△
・300m程度の滑走
路が必要。
・リアルタイム画像
は今後の課題
○
△
○
・利用不向き
△
・利用不向き
△
カイトプレーンの全景。凧と飛行機の長所を活かした無人航空機。自律航行可能。
機体概要
・ 全長/全幅/全高:2305/2780/1195(mm)
・ 機体重量:22.5kg、ペイロード:3kg
・ エンジン: 2サイクルガソリンエンジン
・ 飛行速度:最大 60km/h・巡航 40-50km/h
・ 飛行時間:約 1 時間
・ 航行時間:約1時間
・ 航続距離:約 60km
・ 上昇限度:3000m
・ データリンク: 2.4GHz 特定小電力無線、通信距離 3km(見通し時)
B-Ⅱ型の全景。高高度を長時間飛行できる機体。
機体概要
・
・
・
・
・
・
・
・
全長/全幅/全高:2570/3200/795(mm)
機体重量:28kg、ペイロード:6kg
エンジン:86cc 2サイクルガソリンエンジン 2気筒
飛行速度:最大 190km/h・巡航 120-130km/h
航行時間:標準4時間(最長 10 時間・外部タンク使用時)
航続距離:標準 480km(最長 1200km 外部タンク使用時)
上昇限度:6500m
データリンク: 2.4GHz 特定小電力無線、通信距離
10km(見通し時)
62
(3) 無人航空機について
“無人航空機”とは人が搭乗していない航空機のことであり、
“無人機”とも
呼ばれる。宇宙航空研究開発機構では“未来型航空機”と呼ばれ、日本作業用
無人航空機協会では“産業用無人航空機”とも呼ばれている。また、自動操縦
を備えた場合には、“無人自律航空機”とも呼ばれる。
なお、無人航空機は、パラグライダー、気球、飛行船と同様に、航空法を含
め法的な規制はない。ただし、航空管制局に運用許可申請が必要となる。
無人飛行機は、事前に PC 等によって飛行ルート(経路、高度、速度等)を機
体にプログラミングしておけば、GPS 等のセンサーによって自律飛行させるこ
とができ、人間のオペレーションなしで飛行できる。
飛行機型の UAV の中では性能の違いという点で大きく分けると、動力がエン
ジンタイプとモータタイプの 2 種類に大別される。エンジンを使用する機体は、
重量が重くなってしまうが高出力、長時間飛行可能といった特徴がある。一方、
モーターを使用する機体は、小型・軽量であるために扱いが簡単である。
(4) UAV 搭載観測機器
新潟焼山で想定される対象現象は、降灰後の土石流、融雪型火山泥流、溶岩
ドームである。噴火前および噴火直前の UAV 観測においても対象現象(目的)
に応じた搭載機器を選定する必要がある。搭載機器については、用途や目的に
加え、搭載スペースと最大積載量(ペイロード)を確認する必要があり、カイ
トプレーンのペイロードは 5~6kg、B-Ⅱ型のそれは 6kg である。
63
(5) 噴火現象と計測内容
1) 降灰後の土石流
降灰厚さの把握が重要になる。カメラやビデオでは火口から山麓における降
灰状況や流木状況を目視観察でき、レーザー高度計では噴火前後の地形差を算
出し、降灰厚さを想定する。
・ カメラ、ビデオ
・ レーザー高度計
2) 融雪型火山泥流
積雪厚さの把握が重要になる。カメラやビデオにより火口から山麓における
積雪状況を目視観察する。また、レーザー高度計により噴火前後の地形差を算
出し、積雪厚さを想定する。
・ カメラ、ビデオ
・ レーザー高度計
3) 溶岩ドーム
噴火前および噴火後の溶岩ドーム形成後では、噴火状況を把握するため、火
口周辺の火山ガス検知器や熱赤外線が有効である。
・ カメラ、ビデオ
・ 火山ガス検知器
・ 熱赤外線
64
(6) UAV に搭載可能な観測機器
1) カメラ、ビデオ
カメラやビデオはペイロードをクリアするため搭載可能である。カメラでは
自動シャッター機能を搭載することで、鉛直真下の連続写真撮影が可能である。
UAV では対地 500m程度での撮影が可能であるため、降灰及び荒廃状況の把握
に有効である。
現在、B-Ⅱ型では写真画像から対空標識なしでオルソフォトの作成、さらに
は GPS データを組み合わせることで DSM(digital surface model)の作成が可
能である。
観測は、噴火前後の山頂および山麓周辺観測が想定される。
2) レーザー高度計
レーザー高度計 (LALT) は地表に対してレーザー光を発射し、その到達時間
を計測することによって地表の高度を精密に測定する装置である。1.0kg 程度の
レーザー高度計(クラス 1)の利用が期待される。
観測は、噴火前後の地表面高さの計測が想定される。
3) 火山ガス検知器
火山ガスは地下深部のマグマ中のガス成分が放出されたものであり、H2O を
主体に CO2、SO2、H2S、H2 などが含まれる。火山ガスの観測は火口直上での
観測が望ましく、UAV での観測は有効である。産業技術総合研究研では携帯型
マルチセンサーシステム(5kg)が開発されている。
観測は、噴煙を上げており、融雪型火山泥流や溶岩噴出前もしくは噴火後の
推移観測が想定される。
4) 熱赤外線
小型軽量の熱赤外線が開発されており、UAV に搭載可能である。下図によう
に 1.5kg 程度のハンディタイプが利用可能である。
観測は、溶岩噴出前もしくは噴火後の推移観測が想定される。
65
(7) UAV を利用した調査方法
UAV を利用した調査では、降灰後の土石流や融雪型火山泥流を想定した、積
雪深や降灰厚の広域把握に効果を発揮することが期待される。特に、山頂周辺
の積雪深の観測値は乏しいが、積雪深は融雪型火山泥流量と関係してくるため、
重要である。
なお、無人飛翔体(UAV)により積雪深や降灰厚の調査を計画する際は、調査精
度の確認を行っておくことが望ましい。
1) 航空機のみでの積雪深や降灰厚の把握
積雪や降灰前後の DSM データを事前に取得していた LP データと比較し、差
分量を把握する。UAV ではレーザー高度計や写真測量(垂直写真と GPS から
DSM 作成)を実施することで可能となる。噴火前は有人航空機、噴火後は無人
航空機を利用することも考えられる。
2) 現地計測も併用した山頂付近における積雪深および降灰厚の把握
融雪型火山泥流発生予測のため、山頂周辺および流域における積雪深分布を
常時把握し、緊急時に火砕流等が発生した場合にはその範囲の積雪量と水量換
算等を迅速に行う方法がある。
また、降雨後の土石流発生予測のため、山頂周辺および流域に標尺を設置し、
監視カメラや UAV からの撮影画像から堆積深を推定することも考えられる。
平常時対策としては、山頂付近へ羽根付き積雪深計や非接触式積雪計を設置
し、最大積雪深を計測することとし、緊急時対策としては、航空レーザー計測
を利用した迅速な面的計測を行うことが有効である。
表 3.6
積雪深、降灰厚の測定計器
66
(8) 飛行申請手順
新潟焼山周辺の UAV 飛行に関しては、国土交通省 東京航空局 新潟空港事
務所が管轄である。飛行申請手順の概要を以下に示す。
1. 新潟空港事務所の航空管制運航情報官に電話連絡し、飛行目的・飛行
機の概要、時期などを伝える。航空法第 99 条の 2 に基づき、申請又は
通報が必要となるため、申請書類を入手する。
(飛行に影響を及ぼすおそれのある行為)
第 99 条の2 何人も、航空交通管制圏、航空交通情報圏、高度変更禁止空域
又は航空交通管制区内の特別管制空域における航空機の飛行に影響を及ぼすお
それのあるロケットの打上げその他の行為(物件の設置及び積載を除く。)で国
土交通省令で定めるものをしてはならない。ただし、国土交通大臣が、当該行
為について、航空機の飛行に影響を及ぼすおそれがないものであると認め、又
は公益上必要やむを得ず、かつ、一時的なものであると認めて許可をした場合
は、この限りでない。
2 前項の空域以外の空域における航空機の飛行に影響を及ぼすおそれのあ
る行為(物件の設置及び積載を除く。)で国土交通省令で定めるものをしようと
する者は、国土交通省令で定めるところにより、あらかじめ、その旨を国土交
通大臣に通報しなければならない。
2.
飛行エリア(離発着場から新潟焼山周辺)が自衛隊機の訓練空域や民
間機の飛行空域等に該当していないか確認が必要になる。自衛隊機は
全国で有視界訓練飛行を実施しているが、新潟空港事務所もその時期
や場所を把握していない。申請書を自衛隊宛に照会し、飛行日時、飛
行高度、飛行経路の調整を行うことになる。
3.
新潟空港事務所は 24 時間体制であるため、飛行前(数日前、飛行直前)
には電話連絡し、ノータム(NOTAM;notice to airmen)を新潟空港
事務所から出す必要がある。ノータム(NOTAM)とは、飛行予定日時、
空域、高度などを操縦士等に知らせることが目的で、新潟空港事務所
が作成し、送信するものである。
67
飛行目的、飛行機体の選定、離発着場、飛行日時などを検討
■国土交通省東京航空局新潟空港事務所と調整
(目的、飛行機体の概要、離発着場から山頂までのフライトコース)
↓
■自衛隊機の訓練空域や民間機の飛行空域等との調整
(新潟空港事務所を通して、自衛隊機や民間機と調整)
↓
■飛行空域、飛行高度、飛行日時の調整
■フライト日の数日前および当日には新潟空港事務所へ連絡
(新潟空港事務所からノータムを提出)
↓
飛行終了後に新潟空港事務所へ連絡
図 3.15
飛行申請フロー
68
(9) 事前準備が必要な事項
①離発着場所の現地踏査・確保
離発着場所の滑走距離は、B-Ⅱ型では 300m 以上が、カイトプレーンでは 50m
以上が必要である。幅は 10m 程度あれば十分である。なお、離発着場の周辺に
高木が存在する場合はより長い滑走距離が必要となる。なお、カイトプレーン
は、軽量な機体ではカタパルト発進も可能である。
B-Ⅱ型では飛行時間が約 4 時間、飛行距離は約 480 ㎞(約 120 ㎞/h)である
ため、離発着場所が近い程、山頂周辺の計測時間が長くなる。浅間山では火口
から約 34km、霧島山では約 14km 離れた離発着場所で飛行経験を有する。新
潟焼山山頂での計測を 2 時間とすると、離発着場所までの距離は片道 1 時間程
度(100km 以内)が望ましい。燃料などは風速などの気象条件に左右されるた
め、余裕を見た設定が必要である。
カイトプレーンでは、飛行時間は約1時間、飛行距離は約 60km(60km/h)
の場合である。飛行距離が短いため複数回のフライトを計画した場合において
も、離発着場所は近隣となり、これまでの飛行経験では 3km 程度とされる。
表 3.7
飛行条件
柏崎
糸魚川
100km
富山
長野
金沢
前橋
松本
50km
図 3.16
69
1/20 万の地勢図に半径 100km の円
B-Ⅱ型離発着場所選定範囲
【B-Ⅱ型の離発着場所の実績例】
離発着場所
図 3.17
浅間山の事例(長野県千曲川の中州のラジコンクラブ)
図 3.18
霧島の事例(廃校となった高校跡地のグラウンド)
70
【カイトプレーンの離発着場所の実績例】
図 3.19
図 3.20
71
桜島の事例(黒神川工事用道路)
桜島の事例(桜島溶岩グラウンド)
②センサー選定(搭載機器調整・テスト)
搭載スペースと最大積載量(ペイロード)の検討が必要である。
③飛行コース計画
飛行コースの設定では、飛行時間(ガソリンの搭載量)、風向き(横風に弱い)、
コースラップ率などを考慮する必要がある。なお、高度を上下しながらの飛行
は安全性に問題があるため、離発着時を除いては一定高度での飛行となる。最
高標高に対地高度を加えた標高を考える必要がある。
対置高度が低いほど、計測精度は上がるが、飛行機が強風で煽られる場合も
想定し、対地高度 500m 以上は必要である。また、飛行機の旋回ポイントが急
な場合には失速の恐れもあるため、緩やかなバンクを描くように設定する(通
過点をウエイポイントと呼ぶ)。
④航空事務所(管轄航空局)、自衛隊への申請許可
飛行前にノータムを出しておく必要がある。
⑤飛行プログラム設定(各種パラメータ設定)
通過点(ウエイポイント)、飛行速度、高度の設定が必要になる。飛行時の機
体は、動圧(ピトー管で速度を計測)、静圧(気圧計で高度を計測)、GPS によ
り飛行状況を逐一把握することで、エンジンの回転速度、機体位置の調整(翼
の調整)を自動で行う。
⑥体制(パイロット 2 名確保)
基本的に離発着時には人がコントローラーで操作する。パイロットは上空を
見上げるため、虫などの異物が目に入ることが時々ある。コントロール不能を
避けるため、極力 2 名体制が好ましい。
⑦運航前機体点検・テスト
飛行場所の気象条件でエンジンを事前に調整する必要がある。また、翼やパ
ラシュートなどの調整を行う。
⑧安全装置の動作確認
B-Ⅱ型ではパラシュートを装備しており、非常時には自動または手動操作に
より開くことで安全に着地する機能を備えている。例えば、急な降下やコース
からある一定の距離を離れた場合にパラシュートが開くように設定することが
できる。
また、B-Ⅱ型では自律飛行中のエンジンが停止しても自動スターターを搭載
しており、エンジンのリスタートが可能である。B-Ⅱ型およびカイトプレーン
では着陸時にネット捕獲が可能である。
72
⑨気象傾向(風、雲等)、気象情報入手先
山岳地帯は雨、風、雲などの厳しい気象条件が予想される。以下から気象情
報を入手する必要がある。精密機械を搭載しているため、雨天時の飛行はリス
クを伴うため気象条件としては望ましくない。
●新潟気象台
http://www.jma-net.go.jp/niigata/
●気象庁 ホーム > 気象統計情報 > 過去の気象データ検索
http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/index.php
ホーム > 気象統計情報 > 過去の気象データ検索 > 都道府県の選択 > 地
点の選択
http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/select/prefecture.php?prec_n
o=54&prec_ch=%90V%8A%83%8C%A7&block_no=&block_ch=&year=
&month=&day=&view=
●新潟焼山情報(新潟焼山火山監視システム
http://doboku-bousai.pref.niigata.jp/yk_camera/index.html
⑩噴火直後に計測した場合の飛行リスク
飛行時に噴火と遭遇した場合には、風圧により機体がバランスを崩し落下す
る恐れがある。また、火山灰をエンジン内に巻き込み、エンジン部分の損傷の
恐れも想定される。飛行に際しては、航空管制局の許可を確認し、直前の噴火
状況を気象台などに必ず確認する必要がある。
なお現在、無人航空機の機体には民間の保険は適用されず、対人や対物保険
のみ適用される状況にあるため、無人航空機機体が損傷した場合に経済的なリ
スクがあることを認識しておくことが必要である。
⑪調査精度の確認
無人飛翔体(UAV)により積雪深や降灰厚の調査を計画する際は、調査精度の確
認を行っておくことが望ましい。
73
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