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鳥取大学ビジネス交流会配付資料
平成24年度鳥取大学ビジネス交流会(大阪地区) 脳波や人体伝搬信号による 利用者の継続的な認証 鳥取大学 工学研究科 中西 功 生体認証の危うさ • 生体情報は外にさらされている – 顔や音声,署名は他人に知られる – 指紋も残留する • 取得された生体情報をもとに生体情報が偽 造される 対応 • 生体検知の導入 – 対象物が本当に人体の一部であるかどうかを確 認する – 例: 赤外線センサーを設けて温度を測る • 体内情報を用いる – 静脈 • 静脈認証システムに大根を用いて登録,認証できたと いう報告もある もう一つの脆弱性 • 従来のパスワードやカード,生体認証 – ワンタイム(一度きり)認証を前提 – 入室管理,パスポート管理,ATM,クレジットカード • 本人が認証を行い,その後,他人がなりすまし てもそれを見破ることはできない 利用者管理 • あるシステムを利用している者が正規のユー ザーであるかどうかをチェックする • 特に高いセキュリティ性が要求されるシステム – – – – – 重要なデータへのアクセス 資格や免許状を取得するための遠隔講義システム 多くの人命を預かる乗り物(航空機,列車,バス) 緊急車両 軍事車両 継続認証 • システムの利用者が正規のものであるかどう かを常にチェックする • 生体情報を意識して提示するものは適さない • 無意識な提示が可能なバイオメトリクス – 顔,耳 – 声,キーストローク,歩き方 新しいバイオメトリクスの必要性 • 脳波 • 人体伝搬信号 • 無意識に提示可能 • 体外に露出しない(秘匿性) バイオメトリックスとしての脳波 • 無意識に提示 – 現状ではセンサーを装着する際に意識するが,それ以 降は無意識可能 – 逆にセンサーを装着しないと取得できないため,秘匿 性に優れる • アクセシビリティに最も優れる – 脳波を持たない人はいない • 運転者認証の場合は脳波を用いた居眠り検出や 酒気帯び検出と融合することも期待される 実用化を想定 • 少ない電極,簡単な照合方法による実現 http://www.miyuki‐ net.co.jp/jp/seminar/densearrayeeg/dens earrayeeg.shtml http://alphacom.co.jp/item.html 脳波 • 大脳皮質のたくさんの神経 細胞(ニューロン)にあるシ ナプス結合での電位(シナ プス後電位)が頭皮上の電 極に積算されて検出 • 通常はその空間的および 時間的分散性のために同 期することはなく一定の形 状の波形にはならない • 睡眠時や安静閉眼での覚 醒時にはある程度の同期 性が生じ,それが特徴的な 脳波として観測される • δ波 – 0.5Hz~3Hz – ぐっすり眠っているとき • θ波 – 4Hz~7Hz – とろとろと眠くなっているとき • α波 – 8Hz~13Hz – 安静,リラックス,閉眼時 • β波 – 14Hz~30Hz – 精神活動をしているとき 脳波認証の段階的推進 段階 眼 状態 ステージ1 閉眼 リラックス状態 ステージ2 閉眼 精神活動状態 ステージ3 開眼 リラックス状態 ステージ4 開眼 精神活動状態 ステージ5 開眼 実活動状態 ステージ1 閉眼&リラックス状態での認証 • α波 [x107] [x107] 4 2 3 2 1 1 0 8.42 10.11 Frequency[Hz] 11.79 0 8.42 10.11 Frequency[Hz] 11.79 被験者: 23名 等誤り率(EER) : 約11% ステージ2 閉眼&精神活動状態での認証 • 精神活動(メンタルタスク) – 本来の活動と関係のない精神活動をさせると無意 識ではなくなる – 例えば,コンピュータの利用者認証を想定 • 「文書作成」は想定可能な精神活動 • β波の利用 – 精神活動はα波を抑制し, 結果としてβ波が現れる EERは約15% I’m studying biometrics. EEG sensor EEG sensor ステージ3 開眼&リラックス状態での認証 • 開眼状態では瞬きが脳波に雑音を発生させる ことが問題 • ただし,その雑音のスペクトルは,α波,β波の それとは異なる • 脳波スペクトルを個人特徴とする限りは瞬きの 影響は考えなくて良い • よって,ステージ3はステージ1と同じ ステージ4 開眼&精神活動状態での認証 • 運転者認証を想定 • 経路トレース – 運転者の記憶にある経路と実際の経路を照らし合 わせることをメンタルタスクとする ステージ5 開眼&実活動状態での認証 • 運転者認証を想定 • 簡易運転シミュレータを使用する場合 – ゲーム機で構成 被験者:23名でEER=約24% 脳波認証のまとめ • 精神活動や実作業を伴うと照合性能が劣化 – 誤り率:11%->24% • 特徴抽出や照合方法の見直し • 体が動いていないときのみ照合する – オンデマンド認証 • ハンドルやブレーキの動きを検出し,静止状態の時だけ認 証する • ハンドルやブレーキを動かしているときにすり替わることは ない 人体伝搬信号による個人認証 • 利用中にシステムに触ったり,握ったりする 中で継続的/オンデマンド的に認証する • 人体内通信技術を応用 人体伝搬信号の測定 従来は,人体の前腕部を用いた 前腕に貼り付けた一対の電極に発振器から信号を出力する 信号としては白色雑音信号を用いる 一方,少し離れた部分に同様な一対の電極を貼り付け,伝 播信号を検出する • 今回は,検出器としてディジタルオシロスコープを用いる • • • • Oscillator Digital Oscilloscope Electrode Electromagnetic Wave 人体伝播スペクトル(個人間変動) (a) Subject A (b) Subject B (c) Subject C (d) Subject D (e) Subject E スペクトル分布は個人毎に異なっ ている.しかし,スペクトル分布が 似ているものもあり,個人間変動は あまり大きくない 人体伝播スペクトル(個人内変動) (a) 1st day (b) 2nd day (c) 3rd day (d) 4th day (e) 5th day スペクトル分布に共通(類似)性が ある反面,測定毎に大きく異なる部 分もあり,個人内変動は大きい サポートベクターマシン(SVM) • 教師あり学習を用いたパターン分類器 • 2クラス間の距離(マージン)が最大となるよう な分離超平面を学習で求める 例:2次元空間 実験と結果 • 被験者20人 • EER=18% 100 FRR FAR 90 80 70 Error Rate 60 50 40 30 20 10 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 Threshold 手のひら伝搬信号 測定 • 被験者数:21 • 1日に2回測を30回 • 入力信号は白色雑音 (0‐100MHz, 4.0V) 結果 被験者10人 しきい値が7の時、EERが 22% 100 誤り率[%] 80 60 FRR[%] FAR[%] 40 20 0 0 2 4 6 しきい値 8 10 人体伝搬信号による認証のまとめ • 手のひらでの認証性能の評価 – EER = 約22% – バイオメトリクスとしての可能性は確認 • 課題 – 処理部分の見直し – 振幅スペクトルだけでなく,位相スペクトル情報 の利用 全体のまとめ • 利用者管理では従来の一度きり認証では用をなさな い • 継続認証が必要->無意識な提示が可能なバイオメ トリクス – 脳波 – 人体伝搬信号 • 照合性能は80%程 • 課題 – データベース – 照合性能 – オンデマンド認証システムの開発