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住宅相談と 紛争処理の状況 住宅相談と 紛争処理の状況

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住宅相談と 紛争処理の状況 住宅相談と 紛争処理の状況
住宅相談と
紛争処理の状況
CHORD REPORT
2014
公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター
Center for Housing Renovation and Dispute Settlement Support
〒102-0073 東京都千代田区九段北4丁目1番7号 九段センタービル3階
TEL 03-3261-4567 FAX 03-3556-5109 http://www.chord.or.jp/
0570-016-100
2014.06 第 2 版
公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター
1
CHORD REPORT 2014
電話相談
公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センターでは、住宅に関する電話相談を行っており、住宅
② 不具合部位
の不具合、工事内容、契約、支援制度など、さまざまな相談に一級建築士が対応している。
不具合が多くみられる部位は、戸建住宅では、「外壁」、「床」、「屋根」の順であり、共同住宅(長屋建
てを含む)では、「床」、「内壁」、「設備配管等」の順となっている(図3、図4)。
(1)相談件数の推移
2013年度における新規相談件数は、24,216件(前年度比18%増)となり、うち「新築等住宅に関す
凡例
る相 談」は15,203件(前 年 度 比15%増)、「リフォームに関する相 談」は9,013件(前 年 度 比23%増)
となった(図1)。継続相談を含めた電話相談全件数は、32,806件(前年度比18%増)となった。
(件)
35,000
32,806
30,000
CHORD
REPORT
2014
25,000
第3位 屋根
16%
雨漏り、はがれ
9,013
第1位 外壁
19%
床鳴り、変形
ひび割れ、
雨漏り
第 4 位 内壁
14%
15,000
第6位 基礎
・地盤 11%
10,000
15,203
第2位 内壁
18%
汚れ、はがれ、ひび割れ
ひび割れ、
はがれ
第 5 位 開口部
・建具 13%
ひび割れ、沈下
(n=10,683、部位は複数カウント)
新規相談件数 4,499
2001 2002
2003
5,382
9,182 10,670 11,223 9,087
7,183
2004
2005 2006 2007 2008
2009 2010
2011 2012
作動不良、変形
作動不良、漏水
第3位 設備配管等
16%
漏水、排水不良
1
CHORD
REPORT
2014
(n=2,253、部位は複数カウント)
2013(年度)
8,626 12,956 16,792 17,713 20,483 20,584 24,216
新築等住宅に関する相談 リフォームに関する相談
第 5 位 開口部
・建具 14%
第 4 位 設備機器
15%
作動不良、雨漏り
2000
はがれ、
ひび割れ
変形、床鳴り
5,000
0
第6位 外壁
12%
第1位 床
25%
第2位 床
18%
新規相談件数
24,216
20,000
上記部位の相談で多くみられる不具合事象
電話相談
電話相談
1
継続相談を含めた
電話相談全件数
順位 不具合部位
不具合が生じている相談件数に対する割合
図3 相談件数の多い不具合部位
(戸建住宅)
図4 相談件数の多い不具合部位
(共同住宅)
図1 相談件数の推移
相談区分
新築等住宅に関する相談 :注文または売買等により取得した住宅(中古を含む)に関する相談
リフォームに関する相談 :住宅のリフォームに関する相談
③ 相談者の解決希望内容
トラブルに対する具体的な解決希望内容は、「修補」を含むものが57%を占め、次いで「損害賠償」、
「契約解消」となっている(図5)。
(2)電話相談の内容
①から③の項目について、2013年度新規相談24,216件の分析を行った。
その他
19%
① トラブルに関する相談
不具合や契約上のトラブルに関する相談は、全体の74%を占める(図2)。
工事代金関係
5%
その他
26%
2013 年度
相談件数
24,216 件
損害賠償
10%
トラブルに関する相談
74%
図2 トラブルに関する相談
トラブルに関する相談:住宅の不具合などによるトラブル及び契約に係るトラブルに関する相談
1
修補
51%
契約解消
9%
修補と損害賠償
6%
図5 相談者の解決希望内容
(n=15,927)
工事代金関係:(消費者からの相談)工事代金を支払いたくない、減額して欲しい
(事業者からの相談)工事代金を支払って欲しい など
2
2
CHORD REPORT 2014
専門家相談
弁護士会と連携して、弁護士・建築士との面談による専門家相談を実施している。相談対象は、評価住宅
(建設住宅性能評価書の交付を受けた住宅)と保険付き住宅(住宅瑕疵担保責任保険が付された住宅)の取得
者・供給者及び住宅リフォーム工事の発注者・発注予定者である。
(3)主な助言内容
主な助言内容は、「解決希望に対する弁護士の判断」、「相談の事象に対する建築士の判断」などである
(図10)。
2010年度より順次開始し、現在は全国52の弁護士会で実施している。
80%
(1)専門家相談の実施状況
63%
2013年度における専門家相談の実施件数は1,319件となり、前年度比18%増となった。リフォーム
60%
55%
に関する相談が全体の約半数を占め、専門家相談を開始した2010年度以降、同様の傾向を示している
(図6)。住宅形式は、戸建住宅が82%を占めている(図7)。
909
2011
2012
510
(39%)
戸建住宅
82%
214
(34%)
(14%) 126
(11%) 138
(10%)
77
(12%) 126
2010
評価住宅
保険付き住宅
2013(年度)
(n=1,319)
リフォーム
※共同住宅には長屋建てを含む
(図8)。相談者の解決希望では、「修補して欲しい」、「損害賠償を請求したい」が多い(図9)。
(n=1,319、複数カウント)
60%
100%
89%
不満
1%
80%
58%
45%
44%
40%
士が同席して相談を聞いてくれるから」が最も多い(図11)。相談者の88%から対応に満足という感想を
得ている(図12)。
80%
69%
60%
60%
どちらとも
いえない
9%
47%
40%
40%
20%
20%
5%
3%
12%
10%
2%
大いに不満
0.3%
無回答
1%
9%
その他 日程が都合と
あったから
図9 相談者の解決希望内容
4%
場所が近いから
図8 相談のきっかけ
0%
無料だから
(n=1,319、複数カウント)
20%
弁護士と建築士が
同席して相談を
聞いてくれるから
提案や要求の内容
が妥当か知りたい
契約を解消したい
どうしたらいいか
知りたい
損害賠償を
請求したい
0%
14%
修補して欲しい
追加費用を
請求された
工期が遅れた
契約と工事の
内容が異なる
不具合が
生じている
(n=1,319、複数カウント)
3
2
CHORD
REPORT
2014
専門家相談終了後に相談者にアンケートを行った結果、専門家相談を希望した理由は、「弁護士と建築
相談を受けるきっかけは、「不具合が生じている」、「契約と工事の内容が異なる」というケースが多い
0%
4%
(4)相談者の感想
(2)主な相談内容
80%
4%
図10 主な助言内容
図7 住宅形式
図6 専門家相談の実施件数推移
4%
一般的な説明
380
(34%)
原因等の調査を
勧めた
338
(37%)
紛争処理等の
手続きを勧めた
0
340
(54%)
611
(55%)
0%
12%
業者との交渉方法に
関するアドバイス
500
445
(49%)
671
(51%)
相談の事象に対する
建築士の判断
631
20%
図面や書類について
不備の有無を指摘
1,000
35%
専門家相談
共同住宅
18%
1,117
36%
解決希望に対する
弁護士の判断
CHORD
REPORT
2014
1,319
40%
今後の補修方法等に
関するアドバイス
専門家相談
2
(件)
1,500
(n=1,036、複数回答)
図11 専門家相談を希望した理由
大いに満足
43%
満足
45%
(n=1,036)
図12 専門家相談を利用した感想
4
3
CHORD REPORT 2014
リフォーム見積チェックサービス
2010年度よりリフォーム見積チェックサービスを開始し、「リフォームの見積書を事業者から取得したが
妥当かどうか不安」などの消費者からの相談に対して、電話で助言を行っている。また、希望に応じて見積
書の送付を受け、内容をチェックして助言を行っている。
(3)主な相談内容
相談者の89%が「単価や合計金額は適正か」について相談している。また、相談者の54%が「工事内
容や工事項目は適切か」について相談をしている(図16)。
(1)見積チェックサービスの件数
CHORD
REPORT
2014
単価や合計金額は適正か
89%
付を受けた件数は全体の62%を占めている(図13)。住宅形式は、戸建住宅が82%を占めている(図
14)。
工事内容や工事項目は適切か
事業者の選定はどのように
すればよいか
(件)
1,000
911
800
400
200
0
共同住宅
18%
351
182
(52%)
2010
15%
クーリング・オフや瑕疵保険など
法律や制度について知りたい
535
600
54%
8%
相見積りのとり方を知りたい
3
2%
402
373
(70%)
283
(70%)
2011
2012
見積書の送付あり
0%
567
(62%)
戸建住宅
82%
2013(年度)
見積書の送付なし
図13 見積チェックサービスの件数
リフォーム見 積 チェックサ ービス
リフォーム見 積 チェックサ ービス
3
2013年度における見積チェックサービスの件数は911件で、前年度比70%増となった。見積書の送
20%
40%
60%
80%
100%
(n=828、複数カウント)
CHORD
REPORT
2014
図16 主な相談内容
(n=884)
図14 住宅形式
※共同住宅には長屋建てを含む
(4)主な助言内容
見積書の合計金額は、工事範囲や項目・仕様など工事の内容によって異なるため、「工事範囲など工
事内容の確認点について」と「数量や単価について」の助言が多い。また、法律や技術など、様々な側
面からの助言を併せて行っている(図17)。
(2)見積書を取得した事業者の数
相談者が見積書を取得した事業者の数は、「1社」が65%を占めており、2社以上取得した相談者の割
合は35%であった(図15)。
81%
数量や単価について助言
3 社以上
17%
2社
18%
工事範囲など工事内容の
確認点について助言
76%
クーリング・オフや瑕疵保険など
法律や制度について助言
46%
耐震改修や施工方法など
技術的な助言
1社
65%
35%
相見積りをとることを助言
27%
0%
20%
40%
60%
80%
100%
(n=762)
(n=828、複数カウント)
図15 相談者が見積書を取得した事業者の数
5
図17 主な助言内容
6
4
CHORD REPORT 2014
住宅紛争処理支援
当財団は、住宅品質確保法に基づき2000年度に国土交通大臣より「住宅紛争処理支援センター」の指
定を受け、指定住宅紛争処理機関(全国52弁護士会)による評価住宅の買主・発注者と売主・請負人と
の紛争処理を支援する業務を行っている。また、住宅瑕疵担保履行法の施行に伴い、2008年度より保険
付き住宅の紛争処理支援業務を行っている。
(3)紛争処理の内容
①~④の項目について、2014年3月31日までの終結事件557件の分析を行った(速報値)。
① 住宅種別
(1)申請受付件数の推移
住 宅 種 別 は、「戸 建 注 文」が 最 も 多く、次 い で
2013年度において、受け付けられた評価住宅及び保険付き住宅の紛争処理の件数は126件となり、
「共同分譲」、「戸建分譲」となっている(図20)。
住宅紛争処理支援
住宅紛争処理支援
(件)
150
戸建分譲
17%
128
126
図20 住宅種別
105
100
4
92
72
94
69
50
32
17
0
17
23
28
33
4
3
6
0
1
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
住宅の引渡しから紛争処理の申請までの期間は、
46
34
5
3
② 住宅の引渡しから紛争処理申請まで
の期間
7
全体の85%が3年未満となっている(図21)。
5
27
23
31
29
2009
2010
2011
2012
3 年以上
15%
CHORD
REPORT
2014
2 年以上
3 年未満
12%
半年以上
1 年未満
22%
1 年以上
2 年未満
31%
2013(年度)
4
半年未満
19%
27
評価住宅 評価+保険付き住宅 保険付き住宅
図21 住宅の引渡しから紛争処理申請
までの期間
図18 申請受付件数の推移
申請受付件数の累計 622 件 ・申請人:消費者 549 件、事業者 73 件
・住宅紛争処理種別:あっせん 23 件、調停 593 件、仲裁 6 件
③ 紛争処理に要した期間・審理回数
紛争処理に要した期間を見ると、最も割合が多いのは「3ヶ月以上6ヶ月未満」であり、平均6.8 ヶ月と
(2)終結状況
なっている(図22)。審理回数は、5回までが66%を占めており、平均4.7回となっている(図23)。
2013年度において134件の事件が終結し、制度開始後の終結事件件数の累計は557件となった。そ
のうち半数以上が、調停等の成立により解決している(図19)。
1 年以上
12%
取下げ
9%
不成立
38%
終結事件
557 件
6 ~ 10 回
29%
平均
6.8 ヶ月
成立
53%
6ヶ月以上
9ヶ月未満
21%
11 回~
5%
3 ヶ月未満
20%
9ヶ月以上
1 年未満
11%
図19 終結状況
7
戸建注文
57%
共同注文
2%
制度開始後の申請受付件数の累計は622件となった(図18)。
CHORD
REPORT
2014
共同分譲
25%
平均
4.7 回
~5回
66%
3ヶ月以上
6ヶ月未満
35%
図22 紛争処理に要した期間
図23 審理回数
8
④ 解決希望内容と解決内容
申請時の解決希望内容は、「修補」が最も多く、次いで「修補と損害賠償」、「損害賠償」となっている
(図24)。
終結事件のうち調停等により成立した事件(293件)の解決内容は、「損害賠償」と「修補」が多く、次
いで「修補と損害賠償」となっている(図25)。
その他
11%
工事代金の
支払い
3%
住宅紛争処理支援
修補
35%
契約解消
4%
その他
16%
工事代金の
支払い
3%
修補
31%
契約解消
0.3%
損害賠償
22%
評価住宅
保険付き住宅
住宅リフォーム
損害賠償
32%
一般住宅
0570-016-100
専用ダイヤル
4
PHS や一部 IP 電話からは03-3556-5147
修補と損害賠償
17%
修補と損害賠償
24%
CHORD
REPORT
2014
「住まいるダイヤル」における相談の流れ
公益財団法人
図24 解決希望内容
住宅リフォーム・紛争処理支援センター
図25 解決内容
®
⑤ 紛争処理の争点になった主な不具合事象
2013年3月31日までに終 結した423件において、争 点になった主な不 具 合 事 象は、戸 建 住 宅では
®
リフォーム見積
チェックサービス
「ひび割れ」が多く、共同住宅では「騒音」が多い(表1、表2)。
表1 主な不具合事象(戸建住宅)
不具合事象
0
20
(%)
30 みられる部位
ひび割れ
26%
汚れ
はがれ
床鳴り
12%
11%
8%
7%
0
当該事象が多く
10
20
騒音
床
開口部・建具
ひび割れ
床
内壁
異常音
内壁
床
結露
10%
開口部・建具
内壁
床
汚れ
10%
床
内壁
21%
15%
11%
全国の弁護士会での面談による
「専門家相談」
(%)
30 みられる部位
外壁
基礎
(n=290、事象は複数カウント)
9
不具合事象
当該事象が多く
10
変形
表2 主な不具合事象(共同住宅)
床
開口部・建具
指定住宅紛争処理機関(全国の弁護士会) あっせん
による紛争処理手続
開口部・建具
床
設備配管等
天井
(n=133、事象は複数カウント)
※本レポートでは、「不明」を除いて集計
※グラフ等の割合(%)は、四捨五入等の結果、合計しても100%にならない場合がある。
調停
仲裁
Fly UP