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バレエ漫画に見る舞踊観について…加藤千代子…

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バレエ漫画に見る舞踊観について…加藤千代子…
彼 女 らは技 術, 演 技 力 の 習得 に血 を叶 くよ うな努
力 を重 ね, 強 力 な ライバ ル との 関 わ り, 恋 の悩 み
な ど を経 て, バ レエ に対 して だ け で な く人 間的 に
バ レ工 漫画 に見る
舞踊観 について
加
藤
も開 花 して い く とい うス トー リー で あ る。
主 人 公 三 人 に 限 らず 登 場 人 物 は皆, こ とば の ハ
ンデ ィは ま っ た くな い。 これ はバ レエが 国 境 を越
千代子
えた 身 体 芸 術 で あ る こ と, ま た, これか らの青 年
1.研 究 目 的
現 代 文 化 を語 る時, 漫 画 の影 響 力 につ いて は避
けて 通 れ な い 程 の 問 題 で あ る。 様 々 な対 象 別 に,
相 当 数 が 出 版 され 続 け て い る。 バ レエや ジ ャズ ダ
ンス, 演劇 な ど を テ ー マ と して い る作 品 も, ロー
テ ィー ン向 けの 少 女 雑 誌 を は じめ, しば しば連 載
され て い る。
像 と して 国 際 性 が 必 要 と され るか らで は な いだ ろ
うか 。
表1登
場人物
本 研究 は, これ らの バ レエ を テ ー マ に した作 品
一 バ レエ漫 画 に描 か れ た人 間 の ドラ マや, 舞 踊
観 につ い て, 考 察 を試 み る もの で あ る。
2.研
究方 法
次 の 三 大 長 編 バ レエ漫 画 を対 象 に した。
○ア ラベ ス ク第I部(発
表 昭 和46年10月
48年4月
全4巻)
ア ラベ ス ク第II部(発
50年12月
○SWAN-白
全4巻)
鳥-(発
∼
表
昭 和49年6月
∼
表
昭 和51年11月
∼
56年5月
全21巻)
○舞子 の 詩(発 表 昭 和52年10月
主 人 公 を 中 心 に 多 く の 人 々 が 関 わ り あ うが,
∼54年4月
多
くはバ レエ ダ ンサ ー ま た はバ レエ に何 か 関 係 の あ
昭 和55年10月 ∼56年9月
全7巻)
1)各 漫 画 ご と に登 場 人 物 設 定 と ス トー リーの 構
造 に つ い て考 察 した 。
2)三 大 バ レエ漫 画 全36冊 か ら, バ レエ お よ び
ダ ンサ ー に 関 す る記 述 を抽 出 した 。
3)抽
出 され た 記 述 を もと に, バ レエ観, バ レ エ
ダ ン サ ー観, バ レエ の構 成 要 因 一 音楽 性, 技
術, 身 体, 演 技 力, さ らに, 芸 術 的霊 感, 自己
の存 在 観, 肉体 と精 神 の解 放, に分 類 し, 考 察
る 人 た ち で あ る。(図1)ラ
ラ ク タ ー も必 ず 現 れ る が,
こ と の 必 要 性,
イ バ ル と され る キ ャ
良 きラ イバ ル に 出会 う
ま た 良 きパ ー トナ ー に 巡 り会 え る
幸 運 さ に つ い て,
しば しば登 場 人 物 の こ と ば と し
て 示 され る 。
図1登
場 人 物 の か か わ りあ い
した。
3.結 果 お よ び 考 察
表1は,
三 作 品 の主 な登 場 人 物 とフ。ロフ ィー ル
で あ る。 主 人 公 は3人 と も, 14∼18才 と ミ ドル テ
ィー ンで あ るが, 連 載 誌 が 小, 中 学 生 を対 象 と し
て い るか らで もあ る し, 人 生 の 方 針 を決 定 す る基
礎 作 りと して, この 時 期 の 過 ご し方 が 重 要 視 され
て い るか ら と考 え られ る。
母 親 が バ レエ 教 師, バ レ エ ダ ンサ ー とい う設 定
か ら, 主 人 公 が バ レ エ に関 わ るの は極 自然 な 流 れ
で あ るが, 作 品 の 初 期 段 階 で は, バ レエ は大 好 き
な の だ が 才能 に 関 して は今 一 つ 注 目す るに 足 りな
い程 度 で あ る。 そ れ をあ る 日突 然, 日常 の教 師 で
な い若 手 の 有 望 な男 性 舞 踊家 が, 彼 女 らに何 か を
感 じ, 基 礎 か ら鍛 えな おす 所 か ら物 語 は始 ま る。
-11-
作 品 全 体 の 構 成 と して は, 1つ の 試練 を傷 つ い
た り, 泣 いた り, また 新 しい喜 び を見 出 しな が ら
よ うや く乗 り越 え る と, そ こに は す ぐ に次 の 試練
が 待 って い る とい う設 定 で あ る。 この 試練 の 数 が
4.ま
とめ
バ レ エ漫 画 にお い て は, バ レエ の 世 界 を借 りて
多 い もの が 長 編 作品 とな る。 大 きい試 練, 小 さい
試練 が 次 々 と主 人 公 を襲 い, 一 か 所 に安 住 させ な
い点 は, 芸 術 と して のバ レエ に とって これ で 良 い
とい う到 達 点 が な く, 絶 えず 精 進 して い な けれ ば
な らな い とい うこ と で あ ろ う。 また, 作 品 中 で,
人 に は二 通 りあ り, 一 方 は あ る程 度 の 所 で 満 足 す
る人, も う一 方 は苦 し く と も限 界 まで 行 か ね ば気
が す ま ぬ人 と し, 主 人 公 は後 者 で あ る と言 う場 面
が あ る。 さ らに試 練 を乗 り越 え られ な い 人 一 失
敗 す る人 は, 目先 の 勝 負 に こだ わ りす ぎる人, 今
の 辛 さか ら逃 れ て しま う人(基 礎 技 術 が 確 か で な
いの に基 礎 を怠 る人), 戦 う前 に 自分 に負 けて し
人 生 の ドラマ を見 せ て い るよ うで あ る。 これ は他
の ス ポ ーツ 漫 画 と同 傾 向 に あ る と思 わ れ る。 ま た
バ レエ とい う芸 術 に対 して は, 技 術 の 習得 は もち
ろん 大 切 な の だ が, 踊 り手 の 心 を豊 か に す る こ と
創 造 性 を高 め る こ と, 自分 の 解 釈 を持 ち 自己表 現
す る必 要 性 を も, 強 調 して い る。 美 とは創 り出す
もの で あ り, 磨 き上 げ る もの と し, 日常 の精 進 を
述 べ て い る。
また, バ レエ 漫 画 に お い て は, 少 女 た ちの夢 や
憧 れ を高 め るた め, 現 実 とは か け離 れ た腕 や脚 の
長 い プ ロポ ー シ ョンの 踊 り手 た ちが舞 い 踊 る。(図
2)し か し, 絵 と して の正 確 さ とい う面 で は作 者
の 知 識 に よ る所 が大 き く, 気 に か か る場 面 が い く
つ か あ るの も事 実 で あ る。
バ レエ漫 画 に お け る記 述 の 中 に は, 「内 因 表現」
ま う人 な どで あ る と語 られ る。
この 三 作 品 はバ レ エ の世 界 を描 い て い るが, 実
際 に は, バ レエ に姿 を借 り, 人 生 を描 き出 して い
る と思 わ れ る。
バ レエ お よ びダ ンサ ー に関 す る記 述 を, 長 さ に
関 わ りな く意 味 内 容 に よ り1記 述 と して 分 類 し,
漫 画 に描 か れ た バ レ エの 世 界 に迫 ろ う と した もの
が 表2で あ る。 バ レ エ観 につ いて は102の 記述 が
ダ ンサ ー 観 につ い て は86の 記 述 が あ り, .バ レエ の
「自己 の確 立 」 「自己 の本 質 」 な ど, 意 味 を把 握
す るの に極 め て難 しい こ とば が か な り使 われ て い
る。特 にSWANで
は1つ の絵 に対 し, か な り多
くの こ とば が付 記 され て い るが, は た して読 者 層
で あ る ロー テ ィー ンの少 女 た ちに どれ程 理 解 され
て い るの か, 疑 問 に思 う所 で あ る。 少 女 た ちが バ
レエ漫 画 を ど う読 み, 受 け とめ て い るの か, 今 後
本 質 に触 れ る もの と, 人 生 訓 的 な もの とが 共存 し
て い る。 バ レエ の 構 成 要 因 と して, 音楽 性 に つ い
て は9の 記 述 が, 技 術 につ い て は24の 記 述, 身体
につ い て は8の 記 述, 演 技 力 につ い て は46の 記 述,
検 討 して い きた い。
芸 術 的 霊 感 に つ い て は14の 記 述, 自己 の 存 在感 に
つ い て は9の 記 述, 肉 体 と精 神 の解 放 に つ い て は
10の 記 述 が そ れ ぞ れ あ った 。 どの観 点 に対 して も
図2
相 当 高 い 水 準 の 要求 で あ り, そ れ だ け バ レエ の芸
術 性 を高 くと らえて い る よ うに思 え る。
表2漫
画 に描 か れ た バ レエの 世 界
A-ア ラベ ス クS-SWAN
M-舞 子 の詩 記 述 例
-12-
SWANよ
り
〈参 考 資料 〉
作品 名
*バ レエ*
1ア
ラペ ス ク
I部
全4巻
著者
発行年月日
山岸 凍 子
1972・4・10集
;1971年
り ぼ ん10月
発 行所
英 社
号 よ り連載
ア ラベス クII部
全4巻
山岸 涼 子
1975・4・20
;1974年
花 と ゆ め6月
2
SWAN
白鳥
全21巻
有吉京子
1977・8・20集
英 社
;1976年
週 刊 マ ー ガ レ ッ ト47号 よ り 連 載
3
SWAN
白鳥 の 祈 全
り
有吉京子
1983・5・30
集英 社
1982年 週 刊 マ ー ガ レ ッ ト26号 よ り 連 載
4
舞 子 の詩
3巻
全7巻
上原 き み こ
1∼4巻
5∼7巻
1979・8・20
;1977年
ち ゃ お10月
;1980年
ち ゃ お10月
小学 館
号 よ わ遼 載
号 よ り連 載
5ガ
ラス の靴
全3巻
飛鳥 幸 子
6麗
羅 か らの 手紙
全1巻
有吉 京 子,
1983・12・21
集 英 社
;1983年
週 刊 マ ー ガ レ ッ ト21号 よ り連 載
7ヴ
ァル ナ ・コ レク シ ョ ン
全1巻
有吉京 了
1985・2・28
集 英 社
;1984年
週 刊 マ ー ガ レ ッ ト30号 よ り連 載
8ニ
ジ ンス キー 寓話
有 吉京 子
1984・10・20集
;1984年
ぷ ∼ け4月
9ロ
マ ンス を踊 りた い
10ス
テ ー ジ ナ ン パ ー1
1巻
石丸朋子
(続 刊 中)
11星
を摘 む ドンナ
1巻
さ い と う ちほ
1987・10・20
小 学 館
(続 刊 中)
;1987年
週 刊 少 女 コ ミ ッ ク9号
よ り遼 載
3巻
(続 刊 中)
全1巻
小 野 弥夢
1977・3・25
集 英社
号 よ り遵 載
1986・12・13
小 学 館
英 社
号 よ り連 載
講 談 社
1987・10・13講
談 社
;1986年
ハ ロ ー フ レ ン ド4月 号 よ り連 載
*ジ ャ ズ ダ ン ス*
1ダ
ン シ ン グ ・ゼ ネ レ ー シ ョ ン
全4券
棋村 さとる
2ニ
ュ ー
横村 さとる
1983・9・30
集 英 社
;1982年
別 冊 マ ー ガ レ ゾ 季11再 号 よ 連
り載
3フ
ッ ト・ス テ ップ
横 村 さ と る
1985・8・30集
英 社
;1984年
週 刊 マ ー ガ レ ッ ト34号 よ り 連 載
名 香 智子
1981・6・20
小 学 館
;1980年
ブ テ コ ミ ッ ク11月 号 よ り連 載
1巻
佐 々木 潤 子
1987・6・20
;1986年
り ぽ ん11月
ヨ ー ク ・ パ 一
*ソ
1バ
シ ア ル ダ ン ス*
一トラ 一
2ダ
ンシ ング
ド 全3巻
全1巻
全17巻
1982・3・30
;1981年
集 英 社
別 冊 マ ー ガ レ ッ ト4月
集 英 社
号 よ り運 載
*新 体 操*
1蝶
の よ うに
全2巻
牧村 ジュン
1983・12・6
講 談 社
;な
か よ しに達 載
2蝶
の郷 う日
全3巻
牧村 ジュン
1986・3・6
講 談 社
;な
か よ しに 連 載
-13-
号 よ連
り載
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