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提言 具体的ビ ジ ネ ス 手 法
5 ここでは、まずエチオピアの投資環境と他国の投資動向を簡単に解説した上で、前章で抽出した 潜在ニーズを充足するために必要な具体的方法について提言を行う。具体的には日本企業が エチオピアにおいてビジネスを展開する上での阻害要因を分析し、それに対応したビジネス機会 創出の方策を検討する。最後に具体的 BOP ビジネス機会の突破口(ブレークスルー)の提案を まとめた。 1. エチオピアの投資環境 (1) エチオピアのリスクとポテンシャル 世界標準から判断するとエチオピアへの投資リスクは大きいが、良好な気候と治安が良い上に 汚職が比較的少ないこの国は、アフリカの最貧困の中では投資環境が優れていると言えるであ ろう。又、アフリカ第 2 位の人口を保有し、周辺アフリカ国(スーダン・ジブチ・ケニア・ソマリアなど) 及び中東市場へのアクセスもある。世銀と IFC の Doing Business 2010 のビジネス指標では、 183 カ国中エジプトの 106 位に次いでエチオピアは 107 位につけている。一方、外貨制限や融 資アクセスの問題、近年のインフレ、内陸国であるための高輸送費は、投資を行う上でエチオピ アが直面する課題となっている。 表 5.1: 各種ビジネス指標 指標 国連 人間開発指標(2009) Human Development Index 世銀 ビジネス指標(2010) Doing Business 世界経済評議会 グローバル競争指標(2009) Global Competitiveness Index トランスペアレンシー・インターナショナル 汚職認知指標 Corruption Perception Index (2009) ヘリテッジ基金 経済自由度指標(2010) Index of Economic Freedom 上位比較 中国92 エジプト123 インド134 中国89 エジプト106 エチオピア順位 171 下位比較 モザンビーク172 調査対象国数 182 107 インド133 183 中国29 インド49 118 モザンビーク129 133 中国72 インド85 エジプト115 126 フィリピン141 ロシア147 180 エジプト94 インド124 136 中国140 ロシア143 179 出典:国連、世銀、世界経済評議会、トランスペアレンシーインターナショナル、ヘリテッジ基金のホームページより作成 (2) 他国の投資状況 近年、エチオピア政府が進めてきた市場志向型経済を目指す取り組み69が実り、投資環境が改 善し、世界経済ショック以前の 2006 年には海外投融資額が 545 百万ドルまで増大していた(図 5.1 参照)。特に、農業人口が 85%を占めるこの国は、農業開発主導産業化計画(Agricultural Development Led Industrialization: ADLI)を成長戦略として掲げ、農業の産業化や農産物に 69 PASDEP、ADLI、産業開発戦略、民営化プログラム、零細企業開発戦略 など 75 提 言 具 体 的 ビジネス手 法 第5章 潜在ニーズを充足するために必要な具体的ビジネス手法 付加価値を付けた上での輸出を奨励している。これに伴い、アグリビジネス分野(食品加工を含 む)への投資は、2000 年の 1 億 3500 万ドルから 2008 年の 35 億ドルまで増大している70。主 な投資国は、トルコを含む EU、インド、イスラエル、サウジアラビア、米国などであり、2008 年に はスーダンやマレーシアも大規模な投資を始めている。 図 5.1: 主なマクロ経済指標 M o vement o f key macro eco no mic indicato rs (Index; 1995/96=1) 6 A verage annual gro wth rate 1995/96-2002/03 vs. 2002/03-2006/07 6% 27% Impo rts o f go o ds 4 10% 18% B ro ad mo ney 3 -1% 24% Expo rts o f go o ds 4% 11% GDP at market prices (real) -16% 39% 5 2 1 - Fo reign Direct Investment 出典:世銀 国別援助計画 2008 2. 日本企業によるビジネス機会の阻害要因 日本企業が今日まで栄養補助食品分野でエチオピア国を始めサブサハラ・アフリカに製品輸出 や、現地で事業展開をしているのは皆無と言える。本調査ではエチオピアにおける主に 5 歳未満 の幼児の栄養失調の現状把握及び栄養失調改善に資する栄養補助食品の開発を目的としたニ ーズ調査を実施した。現地における日本企業の貢献に対する強い願望を各方面から受け、調査 団としては、どのような形であれその要望に応える道筋を探求した。日本における食品・医薬品 メーカーの市場戦略は、地域的には日本国内中心であり、食品分野ではアジア諸国で販売拠 点・ネットワークを設立し広く販売活動をしているが、サブサハラ・アフリカでは皆無と言える。日 本企業進出を阻む要因として、経済原理原則に則った市場(国/地域)の選択、現地法制度の問 題、そして企業の設備・人材面のキャパシティ不足と製品の品質管理体制などが上げられる。 経済原理原則に則した市場(国/地域)選択: 100 年来の経済不況と言われている国際情 勢下、輸出を担っている企業は大・中・小を問わずコストと収益のバランスを計り企業行動 を決定している。アフリカに関しては、輸出/事業展開に必要な信頼できるパートナー不在に 加え、最も基本的な情報収集の術すら持ち合わせていない。特にアジアにおける新興国- 中国市場、インド市場での既存商圏の拡張、新規商圏の開拓に優先度を置き経営資源を 投入するのは、現実的な経営判断と言えよう。エチオピア国に関してはエリトリア国との国 境紛争やソマリアとの問題による政治不安要因をリスク管理という観点から分析/判断し企 70 Lucie Weissleder, Foreign Direct Investment in the Agricultural Sector in Ethiopia, Ecofair Trade Dialogue, Discussion Papers No.12/October 2009。又、この文献によれば、流入海外投融資の 32%を農業部門が占めている。 76 業進出国の優先度では劣後する状況を作っている。 現地法制度(規制): エチオピア国はメレス政権下各種規制の緩和を実施してきているが、 そのレベルは未だ改善の余地があると言える。特に、投資家保護面が弱い点は問題である。 1991 年以前のメンギスツ社会主義政権下で事業の没収/国営化という苦渋をのまされた日 本企業では、この事実が古傷として残り、再進出の足かせになっているのは不思議でない。 現在、現地法で私有資産や投資は保証されているものの、投資法 No.280/2002 の 23 条に よる例外が設けられている 71 。但し、エチオピアは世銀グループの多数国投資保証機関 (Multilateral Investment Guarantee Agency: MIGA)を批准しているので、財産没収リス クを低減する可能性もある。また、後述するように(3.(1).4)参照) 国際パテント法の下で の専売特許所有者権益が 100%保護/保証されてないというリスクが存在するが、エチオピ アは世界知的所有権機関(WIPO: World Intellectual Property Organization)にも加盟し ている。近年経済的に 2 桁成長を続けているエチオピア国が今後 WTO への加盟(2011 年 目標)を経て投資家保護面の改善が期待される。 企業の設備・人材面のキャパシティ不足: 栄養分野での既存企業の経営実態は需要と供 給においてぎりぎりの運営を迫られており、海外需要に応えるためには更なる設備投資に 加え人材の新規採用/育成が欠かせず、現経済情勢下では極めて困難な課題となってい る。 製品の品質管理体制: 栄養補助食品の販売には高度な品質管理が必要不可欠なので、 単に販売するだけではなく現地側で規定基準に基づく品質管理/traceability を確実に実施 し得る体制作りが、製品輸出販売の必須条件となっている。従って、現地拠点のない企業 にとって新規市場へ進出することは困難にならざるを得ない。 Box5.1 エチオピアの土地制度 エチオピアでは土地所有権が認められていないため、土地を国から借りることになる。低価格で長期 間(15 年~99 年)に渡り借用ができ、借地権の譲渡は可能である。一方で、土地を担保に銀行から 融資を受けることはできないため、現地企業が融資を受ける際の課題にもなっている。詳細について は、Ethiopian Investment Agency の Factor Costs を参照のこと。 71 Article 23 (1) No investment may be expropriated or nationalized except when required by the public interest and then, only in compliance with the requirements of the law. (2) Adequate compensation, corresponding to the prevailing market value, shall be paid in advance in case of expropriation or nationalization of an investment for public interest. 77 Box5.2 融資のアクセスへの難しさ エチオピアの銀行は、高額の担保(一部では 200%)を要求するために、現地企業が融資を受ける のは非常に厳しいのが現状である。 USAID エチオピア事務所の取り組み USAID は、銀行が貸し出しをしやすくするために、不履行の際に担保の 50%を保証する Development Credit Authority (DCA) Program を 5 行に対して実施している。 世界銀行エチオピア事務所の取り組み 事業の見通しが実現可能であれば、下記のようなファイナンス支援スキームを検討中であ る。世銀が融資元銀行に所要資金の 20%を預託し、融資を受けた事業者の債務不履行を担 保する。さらに IFC が所要資金の 40%を融資し、残り 40%について民間銀行団を組成し協調 融資を手当てする。 日本独自の取り組みの必要性 今後日本企業が現地企業と合弁会社を設立する際に、現地合弁企業が融資を受けやすい ように日本政府独自の支援策を設ける必要があるであろう。 3. ビジネス機会創出のための具体的方策 日本企業の栄養補助食品のエチオピア国市場への新規参入を図る場合、先ずは製品が市場に 受け入れられるかニーズ調査を実施することが必須条件である。製品を同市場に潜入させる手 順としては、製品の輸出から始まり現地側パートナーへの技術支援(技術提携/ライセンシング)、 そして市場での販売が拡大基調に乗った所で現地パートナーとの合弁事業に依る生産へと進む ことが考えられる。即ち、有望ビジネス機会発掘の流れは、ニーズ調査⇒商品輸出⇒技術提携/ 供与による現地生産⇒合弁事業による現地生産となる。そこで以下では、1.製品輸出、2.技術 提携/供与、3.現地生産、4.官民連携(投融資)のそれぞれについて現状と課題そして対策を整 理する。尚、エチオピアへ投資をする際の担当省庁は Ethiopian Investment Agency となる72。 (1) 製品輸出への道 製品輸出を行うにあたっては、輸出マーケティングの原則を踏まえた上で適切な計画を立案し、 取引先を選定、活用できる販売網の特定、そして現地側輸入関連法制度及びリスク回避方策の 確認を行うことが不可欠である。 72 Ethiopian Investment Agency が投資認可、労働許可、居住許可、投資目的の土地使用許可などを一括して担当するので、 異なる省庁に出向く必要がない。詳細は、下記参照のこと http://www.ethiomarket.com/eic/ 78 1) マーケティング戦略の明確化 新規市場開拓の為には特定商品に対する市場調査は欠かせない。マーケティングの原則を踏 まえた上での輸出販売戦略が必要である。マーケティングは「個人と組織の目的を満たすような 交換を生み出すために、アイディアや財やサービスの考案から、価格設定、プロモーション、そし て流通に到るまでを計画し実行するプロセスである」と定義付けられている73。輸出ルートが確立 されてないという厳しい環境の下で新規市場の進出を図り成功裏に展開して行くことは至難の業 と言わざるを得ない。従って、輸出マーケティングはその目標、戦略、実施計画を策定し、飽くな き気力と地道な努力が必要である。 Box5.3 輸出マーケティングの計画策定の例 ■目標 自社製品輸出の拠点を作る。 ■戦略 エチオピア国でどの市場(年齢層/所得層など)へ、どの競合と、どのように差別化しながら攻めるか、 製品、価格、販売ルート、販売促進策などを総合的に検討しエチオピア市場への進出戦略を策定す る。 ■行動計画 1) 取引を開始する端緒として、信頼できる輸入業者を決める。そのためには、在日エチオピア大使館 /在エチオピア日本大使館の協力を得て情報収集に努める。 2) 収集した情報を分析する過程で、自社内での分析に止まらず、可能であれば当該業者の信用調 査を社外専門機関、取引銀行などに委託し、その調査報告書と自社独自の調査結果を分析し輸入業 者を選定する。最初に選定取引先とコンタクトする際には、自社製品のサンプルを送付しコメントを求 めておくのが望ましい。 3) 取引先を訪問し自社製品の特異性・取引条件についてのプレゼンテーションを行う。 4) 2)と並行して、当該国で国際展示会に出向き、当該市場に出品されている製品の傾向を把握し、 市場動向を認識、理解、分析する。その結果を自社製品に反映させる。又、国際展示会にも参加し、 消費者のニーズ/要求を満足させるように国際展示会でのコメントなども検討し自社製品に反映させ る。 5) 取引先との商談の過程で、品質・デザインなどの前向きなコメントが出された場合には、可能なこと から順次取り入れて行く努力が必要である。商談が最終段階に至り、成約の確度が非常に高まった段 階では、取引先を自社へ招聘し、生産工程/品質管理などの視察の機会を提供することも商談を有利 にまとめあげる一つの手立てと言える。 6) 市場あっての輸出という認識を持ち、許容できる範囲・規模で市場(=最終消費者)のニーズに応 える製品作りに経営資源(人材・資金)を投入する。 73 Dictionary of Marketing Terms,2nd ed. Peter D. Bennett, American Marketing Association 79 2) 取引先の選定 輸出取引を成功させるためには、信用と信頼の置ける輸入業者と取引をすることが非常に重要 である。特に、最初の輸出はその時の輸入業者との継続した取引のためには鍵であり踏み台と なる。エチオピア国 Investment Agency によるとパートナー間の係争問題が年間 200 件に及ん でいる。エチオピア国の業者との取引に関しては、以下のような組織とコンタクトすることで適切 な輸入業者(ビジネス・パートナー)を見出すことが非常に需要である。 尚、エチオピアビジネス 界で初めての取引を開始するにあたっては、その取引先企業の信用調査を専門の信用調査会 社(後述 3.(3).1)参照) もしくは取引銀行に信用調査を委託する必要がある。 Box5.4 エチオピアで適切な輸入業者(ビジネス・パートナー)をみつけるための情報源 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 在日エチオピア大使館:www.ethiopia-emb.or.jp 在エチオピア日本大使館:www.et.emb-japan.go.jp JETRO (Japan External Trade Organization 日本貿易振興機構):www.jetro.go.jp 外国企業信用調査(ジェトロ厚生会):www.jetro-k.or.jp/sinyochosa.htm KOMPAS:www.kompass.com Yellow Pages.com:www.yellowpages.com International Business Opportunities(日本商工会議所):www.cin.or.jp/trade/front.htm Addis Ababa Chamber of Commerce & Sectoral Association:www.addischamber.com Mr. Getachew Regassa(電話番号: +251-11-551-8055) Deputy Secretary General (携帯: +251-91-1756121) EthioMarket:www.ethiomarket.com 3) 活用出来る販売網の特定 エチオピアでは、各分野の大手企業は、代理店を地区毎に設置しそのネットワークに乗せて販 売促進をしているが、零細・中小企業はそこまで組織的な販売網はできて居らず、口コミ的な販 路開拓に依存している。 4) 現地側輸入関連法制度及びリスク回避方策の確認 輸入関税・消費税、パテント法、などについて現地の実情を調べ、貿易保険や信用状決済の活 用を検討するなど、リスク回避の方策を準備することが必要になる。主な輸入関税や消費税は 以下 Box 5.5 のとおりである。また、参考までに主な貿易保険や信用状決済の概要を以下に示 す。エチオピア国内でのパテント法は存在するものの、現時点では国際パテント法を批准してい ないので、同質の製品を別のブランド名で販売されるリスクがある。WTO 加盟実現後は、この専 売特許権が有効となる。一方、WTO 加盟後でも、エチオピア政府が「公益性が高い」と特別に認 めた場合は、この専売特許権が他の者に委ねられる可能性が残る。この場合、政府機関に依る 専売特許所有者への報酬の支払いが条件付けられているが、専売特許所有者との間で論争呼 ぶ可能性が高いと考えられるので注意が必要である74。 74 Patent Law, Proclamation No. 123/1995 では次の様に規定されている。“When the public interest, in particular, national security, nutrition, health or the development of other vital sectors of the national economy so requires, the Commission may 80 Box5.5 エチオピアの主な税金・税率(2006 年) ・ 関税(Custom Duties):0-35% ・ 輸出税(Export Tax):-- ・ 所得税(Income Tax):0-35% ・ 印税(Royalty Tax):5% ・ 源泉徴収税(Withholding Tax):2% ・ 配当税(Dividend Tax):10% ・ 付加価値税(Value Added Tax):15% 和訳:在エチオピア日本大使館、産業別エチオピア経済事情調査報告書、2008 年 3 月 出典:Ethiopian Investment Agency, “Ethiopia: A Country Well Placed to Proposer”, Addis Abeba, 2006 Box5.6 貿易 主な貿易保険:貿易一般保険、知的財産権などライセンス保険(知的財産保険)、限度額設定型貿易 保険(製造業用)、中小企業輸出代金保険、輸出手形保険、海外投資保険 信用状決済(ジェトロ貿易ハンドブック 2007 より抜粋):信用状は発行銀行の支払い保証付きであり、輸出 者にとっては支払いの確約があるため、輸出地の銀行に荷為替手形を「買取」してもらえる(即座に代 金回収出来る)というメリットがある。又、輸出地の銀行は信用状の内容に合致した船積書類でないと 荷為替手形の買取をしないため、輸入者にとっても取引の確実性がある程度期待できる。そのため、 貿易決済においては、信用状による決済が取引当事者の双方にとって安全で確実な方法と言われて いる。更に、信用状発行銀行の国際的信用度が低い場合、輸出地の買い取り銀行が買い取りに応じな いケースもあるので、輸出者は輸入者の取引銀行(信用状発行銀行)の国際的信用度にも注意を払う べきである。 出典:ジェトロ貿易ハンドブック decide that, even without the agreement of the patentee, a government agency or a third person designated by the Commission to exploit invention subject to the payment of an equitable remuneration to the patentee.” 81 Box5.7 国連機関の支援物資の入札ステップ 2008 Annual Statistical Report on UN Procurement によると、UNICEF, WFP, WHO, UNHCR などの関係機関を含む国連は、約 6000 億円相当の支援物資(食料、医薬品、テン ト・水整備など)及び業務に必要な一般消費財も公開入札で調達している。栄養補助食品 の場合は、FAO と WHO の Codex Alimentarious 基準をクリアできるように、2~5 年程度 の研究調査が必要となる。又、本部にある UN Standing Committee of Nutrition などの承 認が必要となるため、世界規模の市場確保のために各国企業は活発にロビイングを実施 しているようである。このように、長期的な努力が不可欠であるが、日本企業の技術が国連 の援助でより活用されることが現在求められている。尚、栄養補助食品などの詳細は、 WFP ローマ本部の栄養部門の Food Technology Unit で決定されている。国連への一般的 な入札方法については UN Global Market Place, WFP, UNICEF については下記のホーム ページを参照のこと www.ungm.org, www.wfp.org/procurement, www.unicef.org/supply (2) 技術提携・供与 現地での自社製品の販売が軌道に乗り需要の更なる拡大が見込める場合、現地輸入販売業者 から現地生産への切り替え要望が出される事が容易に想像できる。この場合のエチオピア国で の申請手続き、法規制などの制度を十分理解した上での対応が必要である。 管轄省庁は Investment Agency で技術提携/供与についての特段の規定はないが、同庁が管 理する“Proclamation No.280/2002”、“Proclamation No.373/2003”と規則“No.84/2003”が準 拠法として適用される。即ち、“Technology Transfer”として、同法律においては投資関連の技術 移転として規定されているが、技術を提供する側と技術を受ける側とがエチオピア国の法規制に 抵触しない範囲での Agreement に基づき同庁に申請すれば内容検討の上で同 Agreement を 承認・登録し、certificate が交付される。技術を提供する側がその技術内容を保護するためには、 パテント登録申請を Ministry of Science and Technology にする必要が出て来る。尚、同庁担当 Director の補足説明では、技術提携/供与に関しては投資の有無を問わないとのことであった。 また、パートナーの選定は輸入販売業者或いは同社推奨先との提携が最も現実的と考えられる。 さらに、ライセンシング関連法制度(ローヤリティ法、パテント法など)の確認も行っておく必要が ある。 (3) 現地生産上の問題点 技術提携が成功裏に展開し販売実績がさらに拡大した場合の製品生産形態としては、現地企業 (パートナー)との合弁事業による生産・販売が考えられる。その場合、適切な JV パートナーの 選定と関連法規の確認を行う必要がある。 82 1) JV パートナーの選定 前述 3.(1).2)に記述した取引先の選定の方法を参照し、さらに信用調査を行うことが必要にな る。信用調査を専門の信用調査会社もしくは取引銀行に委託する必要がある(信用調査会社は 以下参照)。 Box5.8 主な信用調査会社 Dun Bradstreet Africa:www.dnafrica.com 外国企業信用調査(ジェトロ厚生会):www.jetro-k.or.jp/sinyochosa.htm コファス・ジャパン:www.cofacerating.com/jp/index.html ダン アンド ブラッドストリート ジャパン㈱:www.dnb.co.jp ㈱東京商工リサーチ:www.tsr-net.co.jp/ ㈱帝国データーバンク:www.tdb.co.jp 2) 関連法規の確認 会社法、投資(保護)法、投資奨励措置、外国為替法、労働法、独占禁止法など関連法制度の 確認を十分行う必要がある。 Box5.9 投資奨励措置 自社の製品を現地にて事業化し生産する場合には、以下の優遇措置を享受できる。 投資分野、輸出量、又投資地域などにより、2 年から 7 年間の所得税免税措置、全ての投資品目 に関する 100%の輸入税の免税措置。 輸入資本財総量の 15%以内のスペア・パーツの輸入関税は免税措置。 輸入関税及び他の輸入税を支払わない資本財は、同様の特典を与えられている他の投資家へ移 行することが可能である。 輸出製品の原材料の通関税その他の輸入税は免除される。これら原材料に課せられた税金や関 税は、完成品を輸出する際に払い戻される。関税の払い戻しは、輸入時に掛けられた全ての税金 が対象であり、又国内で購入した製品に対しても適用される。 輸入税、又エチオピア製品やサービスの輸出税に課せられるその他の税金は免税となる。 タックス・ホリデー(免税)期間が終了した、次の免税期間の上半期に生じた損失は、繰り越される。 出典:在日エチオピア大使館 HP (4) 官民連携 1) 投融資 企業が未染手国/地域で新規事業を起こす場合、想定外のリスクに遭遇する事例は少なくない (以下表 5.2 のエチオピア投資環境 SWOT 分析を参照)。エチオピア国での BOP スキームに即 した業務展開を志向する企業にとって、官民連携というスキームの下で、ODA プログラムとの連 携でリスクを最小化することが可能であれば、進出意欲に弾みをつけることになると期待される。 83 そこでこうした課題への対応策として、2002 年度で廃止された JICA の投融資業務による民間企 業支援(開発協力)復活が強く望まれる。これは、民間企業が日本に設立する新会社に、JICA が出資、更に必要な運転資金を低利で融資する制度である。この制度が復活すれば、新会社が エチオピア国との合弁会社を設立し経営に当たり、後日、合弁企業が利益を享受できるようにな った段階で、JICA 保有株式を合弁会社パートナー(優先的購入権)もしくは第三者に売却するこ とも可能となる。また、現地にて合弁企業を設立するに際しては、日本の新会社は、例えば、パッ ケージング・プラント、製粉機などを現物出資し、そのプラントの評価額に応じた比率で株主とな り、現地企業は、合弁会社に必要な資金を出資、及び運転資金の調達を行うといった展開にな る。 表 5.2: エチオピア(投資環境)SWOT 分析 強み 機会 巨大人口を抱えた国内市場、EU、アメリ カ市場への特恵的アクセス 安全な環境、汚職の少なさ 安価な労働力、生産コスト 自然・文化資源、良好な気候 経済力・投資意欲のあるディアスポラ 弱み Strength Weakness 国際会議・観光客の増加 アフリカに対する海外援助増額 フェア・トレード・ブーム オーガニック・ブーム 脅威 インフラの未整備 高輸送費 民営化の遅延 外国投資に対する規制(保護政策) 金融へのアクセスの困難さ 土地所有権の欠如 投資情報・市場情報等の欠如 Opportunity Threat 洪水、旱魃 地域情勢 出典:在エチオピア国日本大使館資料 2) JICA 改善プロジェクトとの連携 現在 JICA は、品質・生産性向上計画調査(カイゼンプロジェクト)の一環として、エチオピア企業 30 社を対象としたカイゼン・パイロット・プロジェクトを実施している。この中のアグリビジネス関連 の 5 社75を軸にして、技術プロジェクトの延長線上に、日本企業との連携の可能性も検討する価 値があるであろう。 3) 現地拠点の設置 経産省は、現地情報を日本企業に提供し、将来的には現地企業や NGO と日本企業のマッチン グも実施できるような BOP ビジネス推進団体を設立することを決めた。しかしながら、栄養・健康 分野の商品は、品質管理が非常に重要な意味を持つので、この分野で日本企業が進出するた 75 Sebeta Agro-Industry, Universal Food Complex, Addis Modjo Edible Oil Complex S.C., Nas Foods P.L.C., Seka Business Group P.L.C., Kality Food 84 めには現地拠点があることが不可欠となる。従って、現地事務所を設置するまでの間は、商社の 現地事務所、或いは信頼のおける代理店と契約し現地拠点とすることが望まれる。 4. BOP ビジネス機会の突破口(ブレークスルー)の提案 BOP ビジネスとは、BOP 層を消費者・生産者として巻き込むと同じに、BOP 層の社会課題を解 決するビジネスのことを指す 世界資源研究所(WRI)と国際金融公社(IFC)によると、BOP 層とは、年間所得 3000 ドル(国際ド ル)未満で生活している層のことを指す BOP 層には世界人口の 72%に相当する約 40 億人が存在し、彼らの形成する市場規模は 5 兆 ドルに上るとされている 出典:㈱野村総合研究所、「平成 20 年度アジア産業基盤強化等事業」 上記のように BOP は定義付けられているが、この 40 億人の BOP 層の中で貧困層は約 13 億 人(開発途上国では 3 人に 1 人/JICA HP)と言われている。エチオピア国の様な極貧国 (GNI:US$280/200876)において将来的 Volume Zone への波及を展望する BOP ビジネスの展 開は例外的な位置付けで、長期的な展望が必要と言わざるを得ないのが現実である。短期的に は投資に見合う利益を期待できない可能性も高いので、ソーシャルビジネスという視点からの市 場戦略的な検討も不可欠となるであろう。しかもデフレと円高が重荷になっている厳しい現経済 情勢下、各企業はこの難局を如何に乗り切って行くべきか、未だに先が見えて来てないため、各 企業の経営陣は既存商圏の維持あるいは拡大に経営資源を集中的に配分投入している。東証 一部上場の大手企業ですら、昨年後半以降は CSR 新規案件の検討を保留している企業がある。 民間企業にとってエチオピア国のみならず対アフリカへの直接投資は予見し難いリスクがあると の認識でプライオリティーの非常に低い地域と位置付けられている。過去の事例で見ても日本企 業の直接投資は、南アフリカ以外では銅・コバルト・原油などの地下資源保有国に限られてい る。 今回の現地調査を通じて極めて限られた分野ではあるが日本企業の技術が貢献できる分野、 新規市場開発分野があることが確認された。日本企業は、エチオピア国で広く蔓延している幼児 の恒常的な栄養失調改善に貢献できる製品・技術力を有している。こうした技術や製品を活かし て BOP ビジネス展開を推進するためには、既存進出外国企業との競合を避ける分野への進出 といった視点以外に、その切り口として突破口(ブレークスルー)が求められる。現地で活動する 民間企業、NGO、あるいはアフリカ事情に通じた日系企業(「アフリカ地場日系企業77」)の知見・ 76 77 Gross National Income(1 人当たり国民総所得)。World Development Indicator 2009 例としてケニア国 Kenya Nut Co. Ltd. はドライ・マカダミア・ナッツの製品化/販売で成功し、その後コーヒー・紅茶の製品開発 85 経験・人的ネットワークを活用して市場進出を図ることが必要となる。技術協力プロジェクトへの BOP ビジネス機会発掘の一体化というオプションも考えられる。援助プロジェクトのなかで必要 な機材・資材として日本企業の製品を調達し、そこから徐々に市販化に移行させてゆくことが現 実的なアプローチのひとつであろう。 通常の利潤追求という企業活動の論理では御し得ない BOP 市場でのビジネス展開には、一般 的に広く言われている“官民連携”及び“ソーシャルビジネス”の視点が欠かせない。将来的に Volume Zone 狙のビジネス展開に繋げる目的でのアフリカ市場への進出には、BOP 関連ビジ ネスの振興を奨励している日本政府の抜本的な支援策の策定や実施が強く望まれる。欧米諸 国、中国などはアフリカ諸国の経済開発・発展に寄与するとの建前の下、国を上げて民間企業 がアフリカ市場へ進出しやすいような支援や環境整備を実施している。日本政府も TICAD IV に おいて「民間投資の倍増」を掲げ、「アフリカ投資の大幅な増加を達成することを目標とする」とい う行動計画を作成した。そこで、この計画実現に向けて、特に官側に求められるのはリスク回避 のための支援である。日本政府 が“Risk –sharing”という概念を支援制度に反映させ民間企業 がアフリカ市場へ出やすくなるような施策を実施することが、民間企業がアフリカ市場へ目を向 ける動機付けになると考えられる。 具体的アイディアとして、ジェトロが実施する市場潜在ニーズ調査や各種サポート・サービスの活 用に加えて、平成 22 年度から初期段階の調査費用宛に 5000 万円の補助金供与のスキームを 活用したマーケット調査や試作品の開発あるいはパイロット製造などを行うことができるようにな る。このスキームをさらに拡大して、OECF/JICA が管理運営していた“民間による開発事業を支 援する”スキームの導入と連動することが提案される。即ち、5000 万円の補助資金を初期調査 必要資金の一部に充当し、優良ビジネス/事業機会を発掘できた場合には、一定の条件の下、 官側の出資・融資・保証などによる事業参加を可能にする制度とその適正な運営が必要である。 この官民(ジェトロ/JICA/民間企業)連携を通して、日本企業の技術がアフリカの課題解決に貢 献し、アフリカにおける日本のプレゼンスが拡大されることが期待されている。 /事業化を試み“Out of Africa”というブランド名で 10 数年前から市場を謳歌している。創業者佐藤芳之氏は、育て成熟した事 業をケニアスタッフに任せ、現在、ルワンダ国での公共衛生の整備プロジェクトを民間ベース(ビジネスとして現地事業化)成功 裏に推進しており、さらに、現在コンゴ民主共和国政府の強い要請に応えるべく同国での事業化を検討している。 86 参考文献 Bhutta ZA, et al. 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