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飼料用トウモロコシ牽引式不耕起播種機の作業能率の改善方法
様式 4(第 5 条第 2 号関係)(A4 判縦) 平成 22 年度岩手県農業研究センター試験研究成果書 飼料用トウモロコシ牽引式不耕起播種機の作業能率の改善 方法(中割往復作業法) [要約]旋回半径の大きい牽引式不耕起播種機は枕地部分での旋回、空走時間を少なく する作業方法を選択することで作業能率が向上する。中割往復作業法は慣行法と比べ10 a当たりの圃場作業量は30%、作業能率は22%向上する。 区分 指導 題名 キーワード 不耕起栽培 作業能率 トウモロコシ 畜産研究所家畜飼養・飼料研究室 1 背景とねらい 飼料用トウモロコシの不耕起播種機は4条播き以上の大型のものは牽引式が主流である が、枕地での旋回半径が大きく旋回や次の条位置調整に空走時間を要するのが欠点である。 そこで、空走時間を抑え作業能率を改善する作業方法について、現地実証試験等の作業 事例から検討し若干の知見を得たので紹介する。 2 成果の内容 (1)作 業 能 率 の 改 善 方 法 ア 牽 引 式 不 耕 起 播 種 機 は 、 慣 行 の 片 側 往 復 作 業 法 (図 1 右 図 )で は 、 枕 地 部 分 で の旋回、条位置調整等のための前進、後進動作により空走時間を多く要する。 これらの動作を減少させる作業方法を選択することで作業能率の改善が可能で ある。 イ 慣 行 法 の 欠 点 を 改 善 す る 作 業 方 法 の 一 つ で あ る 中 割 往 復 作 業 法 (図 1 左 図 )で は 、 10a 当 た り の 総 空 走 時 間 が 58%ま で 減 少 し 、 圃 場 作 業 量 は 30%、 作 業 能 率 は 22%向 上 す る (表 1 )。 (2)中 割 往 復 作 業 法 に よ る 作 業 手 順 (図 1 左 図 ) ア 予め、圃場の中割を行う地点を前年度のトウモロコシ残稈計測、目測等で定 めておく。 イ 図 1 の左図の様に圃場を周回走行して作業を行う。 ウ 最初の周回時、同左図中②の中割列を走行する際は、周回作業を繰り返した 後 に 中 割 列 (図 1 左 図 中 ⑦ )に 到 達 す る 目 印 と す る た め 、 播 種 機 の マ ー カ ー を 左 右 両 側 を 同 時 に 下 げ て 作 業 す る の が 望 ま し い (写 真 1)。 3 成果活用上の留意事項 (1)作 業 能 率 の 向 上 効 果 を 発 揮 す る た め に は 圃 場 の 長 辺 方 向 に 作 業 す る こ と 。 地形の都合等で短辺方向にしか作業できない場合は、作業能率が逆転する可能性 があるので慣行法によること。 (2) 本 試 験 で は 牽 引 式 不 耕 起 播 種 機 ジ ョ ン デ ィ ア 社 製 JD-1750/4(4 条 ) を 供 試 し た 。供 試 播 種 機 の 機 体 長 は 4.67m で 、ト ラ ク タ ー と 併 せ た 総 機 体 は 8m 以 上 に な る た め 、 旋 回 の た め に 12m 程 度 (4 回 分 の 作 業 幅 相 当 )の 枕 地 が 必 要 で あ る 。 4 成果の活用方法等 (1)適用地帯又は対象者等 コントラクター等県内大規模飼料用トウモロコシ栽培農家及びその指導者 (2)期待する活用効果 牽引式不耕起播種機による更なる作業の効率化が図られる。 5 当該事項に係る試験研究課題 (H22-31)不 耕 起 栽 培 ト ウ モ ロ コ シ を 導 入 し た 寒 冷 地 向 け 飼 料 作 物 周 年 栽 培 作 付 体 系 の 確 立 (H22-26、 独 法 委 託 ) 外部資金課題名:自給飼料を基盤とした国産畜産物の高付加価値化技術の開発 (農 林 水 産 委 託 プ ロ ジ ェ ク ト 研 究 ) 6 研究担当者 多田和幸、尾張利行、堀間久己、増田隆晴、豊田善隆 7 参考資料・文献 (1)平 成 20 年 度 研 究 成 果 (指 導 )「 飼 料 用 ト ウ モ ロ コ シ 栽 培 に お け る 牽 引 式 不 耕 起 播 種機の作業性」 (指 )− 36− 1 7 試験成績の概要(具体的なデータ) 表1 作業能率の比較 中割往復作業法 ① (m) 3.04 ② 6.43 (km/h) 1.95 (ha/h) ③:①×②/10 ⑥:④+⑤ 0:05:11 (77) (h:m:s/10a) ④ 0:03:04 (100) 総播種時間 ⑤ 0:02:07 (58) 総空走時間 59.2 圃場作業効率 (%) ⑦:④/⑥×100 1.16 (130) 圃場作業量 (ha/h) ⑧:③×⑦/100 作業能率 (h/ha) ⑨:1/⑧ 0.87 (78) ( )は片側往復作業法(慣行)を100とした指数値 片側往復作業法(慣行) 3.04 6.41 1.95 0:06:43 (100) 0:03:05 (100) 0:03:38 (100) 45.9 0.89 (100) 1.12 (100) 作業巾 作業速度 理論作業量 総作業時間 ※ ※ ※ 機械トラブルが原因で停止した時間は作業時間から差し引いている 各 方 法 と も 2 圃 場 で の 調 査 事 例 の 平 均 値 で あ り 、い ず れ も 不 耕 起 播 種 作 業 経 験 年 数 5 年 の 当 研究所の同一オペレータが作業したものである 枕 地 は 空 走 ・ 旋 回 方 向 に 約 12m 巾 で 設 置 し た 中割列 枕地 12m 枕地 12m ②④⑥⑧ ①③⑤⑦ ② ① ④ ③ ⑥ ⑤ ⑧ ⑦ 枕地 12m 枕地 12m start start 中割往復作業法 片側往復作業法 走行 図1 空走・旋回 作業法の模式図 写真1 中割往復作業法における中割列の播種作業状況 (両側マーカーを下げての作業例) (指 )− 36− 2