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飼料用トウモロコシ栽培における牽引式不耕起播種機の作業性
平成 20 年度 岩手県農業研究センター試験研究成果書 区分 指導 題名 飼料用トウモロコシ栽培における牽引式不耕起播種機の作業性 [要約]不耕起播種機における飼料用トウモロコシの播種は耕起播種の12%の作業時間で行 える。また、牽引式の不耕機播種機は耕起圃場においても不耕起畑と同等に作業を行うこと ができる。 キーワード 不耕起栽培 作業能率 トウモロコシ 畜産研究所家畜飼養・飼料研究室 1 背景とねらい 不耕起播種は飼料用トウモロコシ栽培を省力化し、労力不足に起因する作付面積減少に歯止 めをかけるのに有効な技術である。また、コントラクターが、播種適期の短い寒冷地や分散し た多数の圃場を短期間で播種作業するのにも適しており飼料自給率向上に寄与する技術であ る。 【 平 成 15 年 度 試 験 研 究 を 要 望 さ れ た 課 題「 飼 料 ト ウ モ ロ コ シ の 不 耕 起 及 び 簡 易 耕 起 栽 培 技術」(全農岩手)】 2 成果の内容 (1)播種機の性能 牽 引 式 不 耕 起 播 種 機( ジ ョ ン デ ィ ア 社 製 JD-1750,4)の 実 作 業 時 間 は 1 分 25 秒 /10a で あ り 、 耕 起 播 種 機 ( タ カ キ タ JS4105) の 3 分 19 秒 /10a よ り 約 43% 短 縮 さ れ る 。 この機械の性能の差に加え、不耕起播種では,耕起と砕土・整地が不用なため,播種 に 要 す る 一 連 の 総 作 業 時 間 は 、不 耕 起 播 種 で は 耕 起 播 種 の 12% ま で 短 縮 で き る( 表 1)。 (2)作業効率と圃場の大きさとの関係 現地での作業能率は圃場の面積と播種機が走行する方向の圃場の長さに比例する(図 1)。総 作 業 時 間 に 占 め る 空 走・旋 回 の 割 合 は 面 積 が 大 き く な る ほ ど 少 な く な る( 図 2)。 (3)不耕起播種機の耕起畑における作業性 不耕起播種機を耕起畑で利用しても不耕起畑と同等の作業能率で作業が行える(表 2) 。 3 成果活用上の留意事項 ( 1 )不 耕 起 播 種 機 に は い く つ か の 型 式 が あ る が 、本 研 究 で 使 用 し た も の は 図 の よ う な 型 式 の 市 販 の 機 種 で あ る ( 写 真 1) 。 (2)播種深度は各圃場において毎回確認する。特に耕起播種と不耕起播種では播種機 の播種深度の設定が変わるので注意が必要である。また、播種溝が十分にふさがるよう に鎮圧ホイールの圧力を強めに設定すると定着率の向上が見られる。 (3)不耕機播種機は設定された推奨速度を遵守する。 (4)不耕機播種機は牽引式と三点リンク装着式の 2 方式ある。 ( 5 ) 今回の試験圃場は厚層腐植質黒ボク土であった。 4 成果の活用方法等 (1)適用地帯又は対象者等 県内大規模飼料用トウモロコシ栽培農家 (2)期待する活用効果 播種作業の効率化およびトウモロコシ安定生産が見込まれる。 5 当該事項に係る試験研究課題 (H16-35)不 耕 起 栽 培 ト ウ モ ロ コ シ を 導 入 し た 寒 冷 地 向 け 飼 料 作 物 周 年 作 付 体 系 の 確 立 (H18-22、 独 法 委 託 ) 6 研究担当者 平久保友美、尾張利行、堀間久己、菊池雄 7 参考資料・文献 ( 1 ) 平 成 19 年 試 験 研 究 成 果 ( 指 導 ) 「 飼料用トウモロコシ不耕起栽培の収量性」 (指 )− 46− 1 8 試験成績の概要(具体的なデータ) 表1 不耕起播種機および耕起播種機の作業時間(10a あたり) 不耕起播種 耕起播種(慣行播種) 播種 耕起 破土・整地 播種 合計 実作業時間 1分25秒 10分11秒 3分48秒 3分19秒 17分18秒 空走・旋回時間 1分13秒 1分00秒 0分20秒 1分09秒 2分29秒 総作業時間 2分38秒 11分11秒 4分08秒 4分28秒 19分47秒 2.5 2.5 2 2 作業能率(ha/hr) 作業能率(ha/hr) 注)309∼387mの直線作業距離を取り、旋回のための十分な除地をもうけて播種を行った作業のデータで ある。 1.5 1 0.5 1.5 1 0.5 0 0 0 100 200 300 400 0.0 20.0 直線作業距離(m) 図1 40.0 60.0 80.0 播種面積(a) 不耕起播種機の作業能率と直線作業距離および播種面積の関係 総作業時間に占める空走・旋回時間の割合 (%) 表 2 不耕起畑および耕起畑での不耕起播種機の 作業時間(10a) 70 不耕起畑 耕起畑 播種作業時間 1分48秒 1分49秒 空走・旋回時間 1分16秒 1分19秒 総作業時間 3分04秒 3分08秒 60 50 40 肥料 ホッパ 30 種子ホッパ 20 10 種子 肥料 0 0 20 40 60 80 播種面積(a) 施肥用コールタ: 施肥用の溝を切り開く 図2 不耕起播種機での播種面積と 空走・旋回時間 写真 1 (指 )− 46− 2 播種用コールタ: 残渣を切り裂き播種用 の溝を作る 播種用ダブルディスク 播種の溝を開くための 2枚組のディスク 牽引式の不耕機播種機 鎮圧ディスク 施肥,播種した溝 を閉じるディスク