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三隅伝 いにしえからの叫び ~三隅氏が輝いていた中世の歴史を語り継ご

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三隅伝 いにしえからの叫び ~三隅氏が輝いていた中世の歴史を語り継ご
三隅伝 いにしえからの叫び
~三隅氏が輝いていた中世の歴史を語り継ごう~
浜田市立三隅公民館
1
浜田市立三隅公民館の概要
三隅町は北西に日本海、南東に中国山地、中央に三隅川が流れ、山・川・
海と三拍子そろった自然条件に恵まれている。三隅地区は、三隅町の中心地
域にあり、集落数 21、世帯数 868、人口 2,045 人、高齢化率 30.9%であり、
平成 20 年に倒木した海老谷桜、梅林やつつじで有名な三隅公園がある。三隅
公民館は、平成 9 年に閉校した旧三隅小学校の跡地に建ち、運動場と体育館
は当時のままを使用している。また、三隅保健センターと三隅図書室を併設
する複合施設であり、福祉と教育の役割を担っている。
2 事業の概要
(1)はじめに
①実証事業名
三隅氏復活プロジェクト
②実証事業のテーマ
三隅伝 いにしえからの叫び
~三隅氏が輝いていた中世の歴史を語り継ごう~
③実証事業のねらい
【地域課題】
ア.三隅地区には、4つの地域と小中学校・専門学校・児童養護施設があ
るが、自治会をつなぐ連絡協議会等が存在しないため、地域の連携が取
れず地区のまとまりに欠ける。
イ.三隅町の歴史を紐解けば、中世・南北朝三隅氏の時代へさかのぼる。
三隅氏は、激動の中世において、難攻不落の“高城”(三隅城)を築き、
時の幕府・足利尊氏と直接戦うほどの大勢力であった。
高城は、平成の今に至るまで、三隅町民にとって心のシンボルである。
三隅小学校も遠足といえば高城登山であった。三隅町内4つの小学校の
交流陸上大会は、高城大会といい、今年度で 65 回目となる。
しかし現在の高城山は、倒木等で手を加えなければ登ることがむずか
しくなり、小学校も現在は遠足のコースとして利用していない。中学生
以下の子ども達は、高城山の場所も意味も知らないという現状である。
【ねらい】
“三隅氏復活プロジェクト”に取り組むことにより、自治会や世代間
の枠を越え、三隅地区全体で地域課題に取り組もう!という熱い想いを
共有し、子ども達に地区の宝である高城を残す。また、三隅氏が輝いて
いた中世の歴史を語り継ぐことにより、将来三隅を離れても、心のふる
さととして伝えていき、いつの日かまた、三隅に戻ってくることを期待
したい。そして、このプロジェクトを通して、地域の子どもの体験の場・
育ちの場を提供し地域の子育て支援の輪を広げるとともに、人づくり・
まちづくりを目指した地域力の醸成へとつなげることとする。
(2)具体的な取組(内容、活動状況 等)
①高城(三隅城)の整備 … <子どもの体験の場・育ちの場の提供>
今年度は、頂上の整備に重点を置いた。多くの人が、頂上で楽しい時間を
過ごせるように、昨年度のミニ花壇の成果を踏まえ、本格的に二か所花壇を
造成した。また、頂上へ続く登山道の整備も行い、誰でも容易に頂上へ登れ
るようになった。そして、眺望を良くするために、笹竹の伐採を本格的に行
った。これによって北、東、西の三方向の見晴らしが良くなり、出城等の確
認が容易にできるようになった。
4 月 2 日(土)9 日(土)15 日(金)16 日(土)
笹竹の伐採・登山道の整備・案内板設置
4 月 23 日(土)花壇づくり 6 月 12 日(日)草刈り、花壇の整備
7 月 30 日(土)9 月 11 日(日)草刈り、笹竹の伐採、花壇整備
12 月 4 日(日)1 月 18 日(水)出城表示板作成
4 月 2 日笹竹の伐採
4 月 15 日登山道の整備
4 月 9 日案内板の設置
6 月 12 日花壇の整備
②高城登山 … <体験活動・異世代間交流>
ア「第 10 回ふるさとめぐり健康ウォークinみすみ~よみがえれ高城山一人
一鉢の花植え」の開催
5 月 8 日(日)高城山中腹の龍雲寺より山頂まで約 2kを歩き、一人一鉢の花
を植えた。また、神戸淡路大震災で犠牲となった小学生のはるかちゃんの「は
るかのひまわり」も一緒に植え、東日本大震災の復興を願った。
イ「子どもまつり」
8 月 4 日(木)三隅小中学生、児童
生徒職員、児童養護施設「聖喤寮」寮生
職員、県立大生、一般等、子どもを中心
に高城山頂に花を植え、眺望を楽しみな
がら三隅氏について学んだ。
ウ「高城遠足」
9 月 12 日(月)運動会振替休日を利用
して高城へ登った。龍雲寺へ下山後三隅
の歴史について学び、座禅も体験した。
子どもまつり
高城遠足
花植え
座禅
③三隅中学校の修学旅行事前学習 … <学習としての位置づけ>
6月 24 日(金)三隅中2年生を対象に、時代の中
心にいた三隅氏の歴史と、京都の歴史とを合わせた
事前学習を行った。講師は三隅氏を研究している
地域の方が行った。教科書には、昨年度作製した副
読本「三隅兼連と南北朝」を使用。
(学校支援地域本部事業)
修学旅行事前学習
④生涯学習セミナー・兼連の妹やなぐいの局を訪ねて
…<学習としての位置づけ>
10 月 16 日(日)局ゆかりの地、益田氏美都町へ
出かけ、やなぐいの局について学習した。このセミ
ナーは、副読本「兼連と南北朝」を基に企画された。
やなぐいの局を訪ねて
⑤第 3 回三隅城のろしリレー … <体験活動・異世代間交流>
10 月 30 日(日)第 3 回目となるのろしリレーを開催した。今回は、三隅町一
帯から7か所の出城が参加し高城を含め 8 か所での開催となった。三隅高城
が栄えた南北朝時代から約7百年、当時の栄華を再びとの想いを込め、高城
から、真っ白なのろしが上がると、次々に出城からのろしが上がった。高城
では、各出城ののろしを確認することが出来、三隅氏の拠点であったことを
再認識できた。こののろしリレーを通して、地域の連携が深まり、三隅氏へ
の関心も高まった。今年度は小中学生及び先生方も参加し、子どもと地域を
巻き込んだ活動となり、どこも活気があった。
河内城址(こうち)
高城ののろし
針藻城址(はりも)
3 事業の成果と課題
(1) 【成果として】
①体験活動と学習の両輪でプロジェクトを進めることにより、一つひとつ
の活動の意味を確かめることができた。なぜ、高城を整備するのか?なぜ、
三隅氏を学習するのか?体験活動によって学習の裏付けができ、また学習
によって体験活動の裏付けができ、意識の向上へとつながった。
②プロジェクトを通して子ども保護者等若い世代の参加が増え、世代間の
交流が活発となり、地域全体で子どもを育む気運が高まってきている。
特に中学生の存 在が地域の中で大きくなってきている。 今後も、より多
くの人と子どもとが関わる場面を設定することにより、コミュニケーショ
ン能力を高め、豊かな心を育てていきたい。
③のろしリレーは小中学生及び先生、保護者の参加があり、特に中学校は
部活単位で参加した出城もあり、戦力としての期待に見事に応えていた。
どの地区も参加者が増え、回を重ねるごとに地域に根付き、子どもから大
人まで巻き込んだ活動となっている。また、実行委員会・反省会などを通
して自治会間の連携がとれ、将来的には三隅氏の全ての出城で行いたいと
の意見が相次いだ。
④昨年度作成した三隅中学校歴史副読本「三隅
兼連と南北朝」が中学生だけではなく、一般
にも広く普及し、それを活用した生涯学習セ
ミナー「やなぐいの局を訪ねて」が開催され
た。これは、地域の方からの声に応えて企画
兼連公想像画の寄贈
されたもので、局ゆかりの地がある益田市美
都町とも縁が生まれ、新たな絆を結ぶことができた。また、地域の方よ
り兼連像・局像、若宮像の創造画の寄贈があり、気軽に三隅氏について
話をする機会が増えた。
(2) 【課題として】
①高城整備については、昨年に引き続き天候に左右されることが多かった。
出城表示板については文化財係との連携不足により設置に手間取ったた
め、さらに連携を密にする必要がある。
②各世代が関わりをもつようになってきたが、さらに若い世代やこれまで
公民館を利用していない人に参画を促す手立てを考えていく必要がある。
4 今後の方向性
三隅公民館は、長年にわたり三隅氏をテーマとした学習会及び出城ウォー
クを開催してきた。三隅氏は公民館事業の柱となっており、これまでに培っ
てきた人材や知識を有効に活用したひとづくり、まちづくりにつなげて行き
たい。そして、小学校の遠足のコースとして高城登山の復活を目指すなど、
子どもの体験の場・育ちの場を提供し、子育て支援の輪を広げ、地域の子育
て力アップにつなげていきたい。副読本は、小学生にも分かるように紙芝居
の製作を予定である。
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