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高 血 圧 症 の 心 音 図 学 的 研 究

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高 血 圧 症 の 心 音 図 学 的 研 究
616. 12-008. 331. 1-073. 77
高 血 圧 症 の 心 音 図 学 的 研 究
第1編
高
血
圧
症
の
心
音
図
岡 山大学 医学部 第一 内科学教室(主 任:小 坂淳 夫教授)
副 手
種
谷
節
〔昭 和45年3月18日
郎
受稿 〕
表1 対
緒
心 音 図 は従 来 先 天 性 弁 膜 疾 患,後
の き わ めて 有 力 な 検 査,診
天 性弁膜 疾 患
断 法 と して 利 用 さ れ て き
た.心 疾 患 の検 査 法 に は心 音 図 の 他 に 胸 部X線
査,ス
カ ラー心 電 図,ベ
象
言
ク トル 心 電 図,心
検
臓 カテ
ー テル 法,心 臓 血 管 造 影 法 な どが あ るが ,中 に は 内
科 的 に施 行 困 難 な 方 法 も含 ま れ て お り,ま た これ ら
を もつ て して も,な お各 種 心 疾 患 の 心 機 能 状 態,重
症 度,予 後 な ど を確 実 に す る こ と はむ ず か しい場 合
が あ る.心 音 の 聴 診 は心 疾 患 の診 断 上 もつ と も基 本
的 な 方 法 で あ り,し か も重 要 な 手 が か りを も た らす
41名,女11名
こ とは 周 知 の 事 実 で あ る.心 音 図 法 は この聴 診 法 の
年 令 は37才 か ら75才
51 .5才 で あ る.
短 所 を 補 な い,聴 診 所 見 を 客 観 的 に表 現 し,心 音,
心 雑音 の音 量,時 相,性 質 な ど の 分析,心
な ど が よ り詳 細 に 可 能 とな る.そ
査,ス
カ ラー 心 電 図,ベ
音の比較
して,胸 部X線 検
ク トル 心 電 図 な ど と と も に,
あ ら ゆ る心 疾 患 の診 断 に欠 くべ か らざ る もの で あ る.
と こ ろで 現 在,先
の 健 常 者 を本 研 究 の 対 照 と した.そ
の
まで の 間 に あ り,平 均年 令 は
健 常 者 の選 定 条 件 は 過 去 及 び現 在 に循 環 器 疾 患 を
もた ず 血 圧 正 常(最 高 血 圧149mmHg以
血 圧89mmHg以
下)で
胸 部X線
下,最
低
上 心 肥 大 な どの み
られ な い もの と し た.
天 性 心 疾 患,後 天 性 弁膜 疾 患 な ど
検
の心 音 図 学 的研 究 は 数 多 く認 め られ る が,高 血 圧症,
動 脈 硬 化 症 な ど につ い て,と
くに心 機 能 状 態 に 関 し
査
方
法
心 音 計 は 福 田 エ レ ク トロ株 式 会 社 製6素 子 心 音 心
て の 心 音 図 学 的 研究 は 未 開 発 と言 つ て も過 言 で な い.
電 計 で,記 録 紙 は 富士 オ シ ロペー パ ー を 用 い,'搬 送
そ こで 著 者 は 高 血 圧 症 の心 音 図,心 電 図 の分 析 を行
速 度 は毎 秒100mmと
な い,高 血 圧 症 の心 機 能 状 態,重 症 度 な ど と の 関 連
ナ ミッ ク型 を用 い た.
性 を 検 討 した.
した.マ
イ ク ロ フ ォ ンは ダイ
心 電 計 は福 田 エ レク トロ株 式 会 社 製RS-100DH2
型 で,記 録 紙 は 同 社 製RS-50型
対
対 象 は表1に
象
示 す如 くで,岡
科 外 来 お よ び入 院 患 者 で,最
は毎 秒25mmと
山 大学 医学 部 第 一 内
大 圧150mmHg以
上,
を 用 い,搬 送 速 度
した.
撮 影 方 法 は 防音 室 に お い て安 静 仰 臥 時 に マ イ ク を セ
ロ テー プ な ど で胸 壁 に 固定 し,心 尖 部 ,エ ル プ領 域
ま た は最 小 圧90mmHg以
上 の もの を え らん だ .性,
の2部 位 を 同 時 記 録 し た.記
年 令 別 で は男73名,女45名
で あ り,年 令 は33才 か ら
中2音(M2)で
録 音 域 は 中1音(M1)
,
あ る.心 電 図 は12誘 導 を 記 録 し た
77才 まで の間 に あ り,平 均 年 令 は53 .7才 で あ る.原
が,心 音 図 と同 時 記 録 した の は Ⅱ誘 導 で あ る.血 圧
因 の 明 らかな 二 次性 高 血 圧 症 は除 外 した.な お,男
計 は 松 吉 株 式 会 社 製Riva-Rocci型
水銀 マ ノメー タ
70 種
谷
ー を用 い , 5分 間 の安 静 仰 臥 の 後,右 上 腕 動 脈 圧 を
節
郎
1)
血 圧 ・心 電 図 ・心 音 図 の 分 析値
最 大 圧,最
測 定 した.
小 圧,平
Ⅱ 時 間, QT時
分
(1)
析
方
法
(2)
つ いての分析値 を表
2に 示 した.高 血 圧 者 の 最 大 圧 の平 均 値 は169.4±
Ⅰ音 持 続 時 間 は心 尖部 に お け る 中2音 心 音
図 で,主 節 の 持続 時 間 をsec単
均 血 圧,Ⅰ 音 持 続 時 間, Q
間, QⅡ/QTに
18.22mmHg,健
常 者 の そ れ は, 131.2±11.69mmHg
位 で 測 定 した.
QⅡ 時 間 は 心尖 部,中2音
表2 心 音 図 と,同 時
血 圧 ・心 音 図 ・心 電 図 分 析値
()は
記 録 した Ⅱ誘 導 心 電 図 と で, Q波 の は じま りか らⅡ
音 主 節 の は じま りま で の 時 間 をmsec単
健常例
位で測定 し
た.
(3)
QTは
同時 記 録 した Ⅱ誘 導 心 電 図 でQ波
は じま りか らT波 の終 末 ま で の 時 間 をmsec単
の
位で
測 定 した.
(4)
QⅡ/QTはQⅡ
時 間 とQT時
間 との 相対
的 な 関係 を比 で表 わ した.
(5)
Ⅲ音 は,中1音
中1音,中2音
に 記 録 され た も の をM1,
と も記 録 され た も の をM2,い
に も記 録 され な か つ た もの を(-)で
(6)
ずれ
表 わ した.
Ⅳ 音 も同 じよ う に 中1音 に認 め られ た もの
をM1,中2音
に も認 め られ た も の をM2,い
に も認 め られ な かつ た もの を(-)で
(7)
ずれ
表 わ した.
心 尖 部 収 縮 期雑 音,エ ル プ領 域 収縮 期 雑 音
は 型 を 平 坦 型 と紡 錘 型 とに わ け,そ れ ぞ れP,
Dで
で あ つ た.最
小 圧 で は そ れ ぞ れ93.4±11.97mmHg,
74.6±9.02mmHgで
あ つ た.ま
表 わ し た.持 続 時 間 は Ⅰ音 主 節 の は じ ま り か ら Ⅱ
小 圧)+最
音 主 節 の は じ ま りま で の 時 間 の2分
118.7±11.34mmHg,健
の1を 区 分 点 と
し,持 続 時 間 が そ の 区分 点 ま で の も の,ま た は そ れ
よ り短 か い も のを ≦1/2,こ
れ よ り長 い もの を>1/2
で表 わ した.収 縮 期 雑 音 の 認 め られ な かつ た もの を
(-)と
(8)
し た.
討 した.そ の 判 定 基 準 は, Minnesota
に し, Code 3-1, 3-3に
化 とを 検
Code1)を
もと
該 当 す る もの を 左 室 肥 大 あ
り, Code 4-1, 4-2, 4-3, 5-1, 5-2, 5-3の い ず れ か
に該 当 す る もの をST・T変
化 あ り と した.
とつ で あ るRRの
影 響 を 除 く為 に, QⅡc=397
3√RR±20msecを
求 め,
QⅡ 実 測 値 と比 較検 討 し
た. QⅡ>QⅡcを
延 長,
QⅡ<QⅡcを
短 縮,
QⅡ
範 囲 内 に あ る もの を 正 常 と した.
Ⅰ音 持 続 時 間 は,高
血 圧 者 で0.073±0.017sec,
健 常 者 で0.067±0.019secで
あ り,健
最 小 圧 で79(mmHg)以
下, 80∼89,
90∼99,
110以 上 の5段 階 に わ け て 検 討 した.
QⅡ
時 間 の 実 測 値 は,高
msec,健
常 者 よ り高
者 で はQⅡ
QT時
血 圧 者 で377.5±34.50
常 者 で385.0±30.28msecで
100
あ り,高
血圧
時 間 の 短 縮 が う か が え る.
間 の 実 測 値 は,高
血 圧 者 で386.5±31.3
常 者 で377.8±29.81mSecで
時 間 と は 逆 の 傾 向 を 示 し,高
あ り,
QⅡ
血 圧 者 で 健 常 者 よ り延
長 し て い る.
QT時
間 はR-R時
9√RR±0.04secを
間 に 関 係 す る ので,
算 出 しQT時
討 した.高 血 圧 者 で12.7%にQT時
(10) 血 圧 は,最 大 圧 で149(mmHg)以
下, 150
∼169 , 170∼189, 190∼209, 210以 上 の5段 階 に,
∼109,
常 者 で93.9±8.97mmHg
で あ つ た.
msec,健
QⅡ 時 間 につ い て,時 間 的 変 化 の要 因 の ひ
がQⅡcの
大 圧-最
血 圧 者 で や や 延 長 し て い る.
心 電 図 で は 左 室 肥 大 とST・T変
(9)
た1/3(最
小 圧 よ り 求 め た 平 均 血 圧 は 高 血 圧 者 で,
健 常 者 で は7.6%が
者 で1例,.健
QⅡ/QTは
1.01±0.064で
QTc=0.3
間 実測値 と 比較検
間 延 長 が み られ,
延 長 して い た.短 縮 例 は 高 血 圧
常 者 で2例
認 め られ た.
高 血 圧 者 で0.97±0.067,健
常者で
あ り,高 血 圧 者 は 健 常 者 よ り も小 さ
い.こ れ は前 述 の そ れ ぞ れ 実 測 値 間 の 比 率 で あ る か
検 査 成 績
ら当 然 の帰 結 と いえ る.
高血圧症 の心音 図学的研究 2)
Ⅰ音 持続 時間(心 尖部)
表3 71
最 犬 圧(mmHg)とQⅡ
時間
表4 最 小 圧(mmHg)とQⅡ
時間
Ⅰ音持続 時間を図1に 示す如 く5つ の段階 にわけ
図.1. Ⅰ音 持 続 時 間
て,高 血 圧 者 と健 常 者 とを 比 較 検 討 した.Ⅰ 音 持 続
時 間0.074secま
で は健 常 者 の 率が 高 い が, 0.075
sec以 上 と な る と高 血 圧 者 の 率 が 高 くなつ て い る.
0.07sec以
上 の もの は高 血 圧 者 で67.7%,健
で も51.8%に
認 め られ るが, 0.08sec以
は高 血 圧 者 で50.8%,健
常 者 で26.8%で
常者
上の もの
あ り,明
ら
以 上 の も ので は,延 長 が33.3%で
か な 有 意 の 差 が 認 め られ る.
3)
QⅡ 時 間
血 圧 とQⅡ 時 間 実 測 値 と の 関係 は 先 に 述 べ た 通
りで あ るが,分 析 方 法(9)に
圧 者 で は,短 縮22.8%,延
よ るQⅡ 時 間 は高 血
長12.7%,正
あ る.こ れ に 対 し健 常 者 で は,そ
65.3%,
11.5%に
最 高 率 を示 して い
る(表4).
常64.4%で
れ ぞ れ23.0%,
なつ て い る(図2).最
図2. QⅡ
4)
心 電 図所 見 とQⅡ 時 間
分 析 方 法(8)に
ST・T変
化,お
よ り,心 電 図所 見 で,左 室 肥 大,
よ び両 者 の 合 併 を 示 し た も の とQ
Ⅱ時 間 と の 関係 を 表5に 表 わ した.無 所 見 の もの で
大 圧 との
表5 心 電 図 所 見 とQⅡ 時 間
時間
23.4%の
短縮 を 認 め た が,左 室 肥 大 の18.7%よ
ST・T変
化 で 率 が高 く24.0%で
例(左
室 肥 大+ST・T変
りは,
あ っ た.両 者 合 併
化)で
は,短
縮23.O%
で,延 長 例 は 全 く認 め られ な か つ た.こ れ ら の こ と
か ら, ST・T変
化 の あ る も ので はQⅡ 時 間 短 縮 の
傾 向 が 考 え られ る.
関 係 を み る と, 149mmHg以
mmHgで30.5%が
下 で28.5%,
短縮 して お り,必
圧 の上 昇 とは 関 係 が な い.ま
上 で は20%近
150∼169
らず し も最 大
た最 大 圧190mmHg以
い 延 長例 が 認 め られ て い る(表3).
最 小 圧 で も100∼109mmHgの
の 最 高 率 を示 した が,さ
もの で 短 縮 は29.6%
ら に血 圧 が高 い110mmHg
5) QⅡ/QT
QⅡ/QTを
図3に 示 す 如 く四 つ の 段 階 に 分 類 し,
高 血 圧者 と健 常 者 と を 比 較 検 討 した.
QⅡ/QTの
い ず れ の 値 を と つ て も,高 血 圧 者 と
健 常 者 で 比 率 に有 意 の 差 が 認`められ,
以 下 で は,高 血 圧 者57.6%,健
QⅡ/QT
常 者28.8%と
0.99
なって
72 種
谷
節
郎
上 の3群
図3. QⅡ/QT
1.00以
とに わ け, QⅡ/QTを0.99以
下 のも の と
上 の も の と に わけ て 検 討 す る とQⅡ/QT
0.99以 下 は89mmHg以
上 の3群
下 の2群
で, 90mmHg以
よ り率 の 高 い も の が あ るが,そ
れ ぞ れ の群
で は 最 小 圧 の上 昇 に と も な つ て, QⅡ/QT
0.99以
下 の も の の 率 が増 加 の傾 向 に あ る.当 然 同 じよ う
に, QⅡ/QT
1.00以 上 が 最 小 圧89mmHg以
群 で90mmHg以
が,そ
で 高 血 圧 者 よ り率 が 高 くそれ ぞ れ71.0%,
と なっ て い る.高 血 圧 者 でQⅡ/QTは
42.2%
傾 向が あ り半 数 以 上 が0.99以 下 の 値 を と る こ と が
わ か る.
0.99の
は,全
6)
最 大 圧 とQⅡ/QTと
表6 1.00以 上 の もの の 率 は 減 少 傾 向 が 認 め ら
れ る.
最 小 圧110mmHg以
小 さ くな る
の 関 係 を 表6に 示 した.最
上 で は,
も の が66.6%の
下 の もの
音
Ⅲ 音 が 記 録 さ れ た も の は少 数 で あ る が,高 血圧 者
尖 部(apex)で
中1音(M1)
ま で 記 録 され た もの が14.4%,中2音(M2)ま
で記
あ つ た(図4).こ
図4. てQⅡ/QT
0.90∼
0.89以
く認 め ら れ な か つ た.
Ⅲ
録 さ れ た も の が9.3%で
大 圧209mmHgま
QⅡ/QT
高 率 で あ り,
(hypertensive)は,心
最 大 圧(mmHg)とQⅡ/QT
よ り率 の 低 い もの も あ る
れ ぞ れ の群 で は 最 小 圧 の上 昇 に と も な つ て
QⅡ/QT
い る. 1.00以 上 で は この 関 係 は 逆 に な り,健 常 者
上 の3群
下 の2
れ に対
Ⅲ音
で は,最 大 圧 の 上 昇 に と も な っ
0.99以 下 の も のが 減 少 傾 向を 示 して い
る.最 大 圧210mmHg.以
上 で は 例 数 が 少 な い が,
1.00以 上 の も のが 全 く認 め られ な か つ た.
最 小 圧 とQⅡ/QTと
の 関 係 を 表7に
示 し た.
表7 最 小 圧(mmHg)とQⅡ/QT
し健 常 者(health)で
は,そ れ ぞ れ5.8%,
3.8%で,
高 血 圧 者 の それ と は 有 意 の 差 が 認 め られ,高
血 圧者
で 心 尖 部 Ⅲ 音 の記 録 率 は 増 加 す る傾 向 が あ る.エ ル
プ領 域(3L2)で
は,さ
らに そ の 傾 向 は,明
心 尖 部 よ り多 く記 録 され,高
録 さ れ た も の が12.7%に
血 圧 者 で 中2音
らかで,
まで 記
増 加 し た.健 常 者 で は,と
もか くⅢ 音 の記 録 され た もの は7.6%に
過 ぎ な かつ
た.
QⅡ/QT
1.10以 上 の もの は 最 小 圧109mmHg以
下
表8に 最 大 圧 と心 尖 部Ⅲ 音 と の 関 係 を 示 した が,
で は,最 小 圧 の上 昇 に と も なつ て 減 少の 傾 向 が あ る.
比 較 的 例 数 の 多 か つ た最 大 圧150∼189mmHgの
ま た最 小 圧 を89mmHg以
を150∼169,
下 の2群
と90mmHg以
170∼189mmHgの2群
群
にわけてみ る
高 血圧症 の心音 図学 的研究 表8 最 大 圧(mmHg)と
Ⅲ 音(心 尖 部)
73
で 記 録 さ れ(図5),心
尖 部(apex)で
Ⅲ 音 は23.7
%で あつ た の に 対 し,Ⅳ 音 で は41.4%で
ル プ領 域(3L2)で
もⅢ 音 が27.1%で
し Ⅳ 音 は43.9%に
あ つ た.エ
あ つ た の に対
記 録 され た.健 常 者(health)
で も ほ ぼ 同 じ傾 向 で,Ⅲ 音 よ り約20%多
く記 録 され
た.高 血 圧 者 は 心 尖 部 で Ⅳ 音 が 記 録 され た もの が,
中1音(M1)で22.8%,中2音(M2)で
は18.6%
で あ つ た.こ れ に 対 し健 常 者 で は そ れ ぞ れ15.4%,
11.5%で,高
血 圧 者 で 心 尖 部 Ⅳ 音 記 録 率 は健 常 者
と,中1音
ま で 記 録 され た もの は8.4%か
ら23.6%
よ り多 い 傾 向が あつ た.エ ル プ 領 域 で は,高 血 圧
に,中2音
ま で 記 録 され た も の は6.7%か
ら15.7%
者 で 中2音
に 増加 して い た.中2音
ま で 記 録 さ れ た もの よ り中
1音 ま で記 録 さ れ た もの で 率 が高 く,最 大 圧 の 上 昇
に と もなつ て Ⅲ 音 記 録 率 は 増 加 傾 向 が あ つ た.
増 加 し,中1音
率 で は 減 少 を 認 め た が,中1音,中2音
合 わ せ る と,わ
尖 部 の11.5%か
ら5.7%に
合 わせ る と, 26.9%か
Ⅲ 音(エ ル プ 領 域)
記録
記録率 を
ず か に エ ル プ 領 域 で,心 尖 部 よ り
多 い 傾 向 が あ つ た.健 常 者 で は,中2音
表9は 最大 圧 とエルプ領域Ⅲ音 との関係を示 した
表9 最 大 圧(mmHg)と
記 録 率 は26.2%に
減 少 し,中1音
ら24.9%に
れ はⅢ 音 で も同 じ傾 向で,健
記録率が心
記録率 を
減 少 して い る.こ
常 者 Ⅳ 音 記 録 率 は エル
プ領 域 よ り心 尖 部 で 率 が 高 い 傾 向 が あ り,高 血 圧 者
と は全 く逆 の 傾 向 で あ つ た.
表10は最大 圧と心尖部Ⅳ音 との関係 を示 したが,
表10 最 大 圧(mmHg)と
が,こ
こ で も 中1音
ま で 記 録 さ れ た も の は,最
150∼169mmHgで10.1%か
21.0%に,中2音
23.6%に
Ⅳ 音(心 尖 部)
大圧
ら170∼189mmHgで
ま で 記 録 さ れ た も の は8.4%か
増 加 し て お り,心
ら
尖 部Ⅲ 音 と 同 じ傾 向 を 認
め た.
7)
Ⅳ
音
最 大 圧170∼189mmHgで
高 血圧 者(hypertensiv)の
図5. Ⅳ
Ⅳ 音 は Ⅲ 音 よ り高 い率
音
中2音 記 録 率 は34.2%で
もつ と も高 く,そ の他 の最 大 圧 群 よ りか な り高 い率
を 示 して い る.ま た,最 大 圧210mmHg以
が 記 録 され た もの は60%に
上で Ⅳ音
も達 した.最 大 圧 の上 昇
に と もな う記 録 率 の増 大 傾 向 は 中1音 で も中2音
で
も認 め られ な か つ た.
表11は 最 大 圧 と エル プ領 域 Ⅳ 音 と の 関 係 を 示 した
表11 最 大 圧(mmHg)と
Ⅳ 音(エ ル プ領 域)
74 種
が,心
谷
尖 部 の 場 合 と同 じで 最 大 圧170∼189mmHg
で,中2音
郎
L+Sの
記 録 率 が39 .4%で 最 も高 く,ま た210以
上 で Ⅳ 音 が60%に
節
記 録 され た こ と も心 尖 部 と 同 じで
順 で Ⅳ 音 の記 録 され る率 は 減 少 して い る.
と ころ が 中2音 に つ い て は,逆
で あ り, ST・T,
L+Sで
に増 加 傾 向 が 明 らか
は,中1音
よ り率 は 増
あ る.最 大 圧 の 上 昇 に と もな う記 録 率 の増 大 傾 向 は
して い る.中1音,中2音
を 合 わ せ る と, LVH
明 らか で な か つ た.
37.5%,
してL+Sで61.4%の
8)
心電 図所見 とⅢ音
44.0%,そ
高 い率 で Ⅳ 音 が 記 録 さ れ, LVH,
心 電 図所 見 で左 室 肥 大 を 認 め た も の(LVH),
・T変 化 を 認 め た もの(ST・T)
た もの(L+S),そ
ST・T
,そ
ST
の両方 を認 め
ST・T,
L+S
と心 電 図 所 見 の変 化 に と も なつ て 率 の増 大 傾 向が 明
らか で あ る.
10) 心尖部 収縮期雑音
して 心 電 図 正 常 の もの(normal)
の 四 群 に わ け て Ⅲ 音 との 関 係 を 図6に 示 した.記 録
収縮 期 雑 音 は,エ ル プ領 域 よ り心 尖 部 で よ り多 く
記 録 され て お り,高 血 圧 者 で は82.9%,健
図6. 心 電 図 所見 とⅢ 音(エ
ル プ領 域)
63,5%で
常者 で も
記 録 され,高 血 圧 者 が 健 常 者 よ りや や 高 い
率 を 示 して い る.
そ の 型,性
質,持 続 時 間 を 図8で
示 した.
図8. 心 尖 部 収 縮 期 雑 音
部 位 は,心 尖 部 よ り高 い Ⅲ 音 記 録 率 を 示 し た エル プ
領 域 を 選 ん だ.中1音(M1)で
は, LVHで
記 録 さ れ た 率 が もつ と も高 く18.7%と
以 下ST・T
16.0%,
L+S
15.3%,
%の 順 で 減 少 して お り, ST・T変
Ⅲ音 が
な つ て い る.
normal
12.5
化 が 認 め られ る に
と も な つ て,Ⅲ 音 は記 録 され に く くな る傾 向 が あ る.
中2音 で もST・TとL+Sで
は 同 じ傾 向 が 認 め
られ て い る が, normalで15.6%が
記録 されてい る
記 録 さ れ た 収 縮 期 雑 音 は,全
型 は平 坦 型(P)と
紡 錘型(D)と
紡 錘 型 駆 出 性(D-E)よ
の に, LVHで
は 中2音
は全 く記 録 され な かつ た.
心 電 図 所 見 と Ⅲ 音 記 録 率 は,概
して 密 接 な相 関 関 係
を示 さ な かつ た.
9)
8)
E)が
多 く, D-Eの24.5%に
%と な つ て い る. D-Eは
心電図所見 とⅣ音
に つ い て は,や
に わ け られ る.
り平 坦 型 駆 出性(P対 しP-Eは58.4
健 常 者 で も25.0%で
記録
され,高 血 圧 者 の そ れ よ り多 くな つ て い る.
高 血 圧 者 の 心 尖 部 収 縮 期 雑 音 は収 縮 期 前 半 で 終
と同 じ検 討 を Ⅳ 音 につ い て行 な い 図7に
た.中1音
て が 駆 出性(E)で,
は りLVH,
図7. 心 電 図 所 見 とⅣ 音(エ
示し
ST・T,
ル プ領 域)
る もの(1/2≧)が51.6%,健
48.0%を
<)は
常者で もそれに近い
示 して い る.収
縮 期 後 半 で 終 る もの(1/2
高 血 圧 者 で31.3%,健
に 少 な く15.3%で
常 者 で これ よ りは るか
あ る.す な わ ち 副
圧 者 で健 常者
よ り心 尖 部 収 縮 期 雑 音 の 持 続 時 間 は長 く,収 縮 期 後
半 で 終 る もの が 少 な くな い.
最 大 圧 と収 縮 期 雑 音 の 型 との 関 係 を 表12に 示 し た.
心 尖 部 収 縮 期 雑 音 の 記 録 さ れ た 率 は,最
mmHg以
下 で28.5%,
170∼189mmHgで89.4%,
%,
210mmHg以
大 圧149
150∼169mmHgで83.0%,
上 で100%と
190∼209mmHgで88
.8
な つ て お り,最 大圧
の上 昇 に と も な つ て 雑 音 記 録 率 は 増 加 傾 向 が 認 め ら
高血圧 症の心音図学 的研究 表12 最 大 圧(mmHg)と
収 縮 期 難 音(心 尖 部)
音(M1)で
75
雑 音 が収 縮 期 後 半 で終 る も の(1/2<)
で も,あ るい は中2音(M2)で
で 終 る もの(1/2<)で
雑音 が 収 縮 期 後 半
も,か な り の例 数 が 認 め ら
れ るが,健 常 者 で は それ らの例 数 は ご くわず か に す
ぎな い.
高血 圧 と健 常 例 を対 比 し,Ⅳ 音(エ
ル プ領 域)と
雑 音持 続 時 間 と の 関係 を 比 率 で 表14に 示 した.高 血
表14 Ⅳ 音 と収 縮 期 雑 音 の 持 続(心 尖 部)
れ る.例 数 の 比 較 的 多 い150∼169,
170∼189mmHg
で み る と,最 大 圧 上 昇 に と もな つ て 紡 錘 型(E)の
記録 率が23.7%か
ら31.5%に
増 加 して い る.
ま た最 大 圧 と収 縮 期 雑 音 の持 続 時 間 との 関 係 を表
13に 示 した.後 半 に終 る もの の 率 は 血 圧149mmHg
表13 最 大 圧(mmHg)と
収 縮 期雑 音 の 持 続
(心 尖 部)
圧 者 で は,Ⅳ
音(-)の
も の か ら,
音 の 元 進 に と も な つ て,雑
85.1%,
90.8%と
以 下 で,
28.5%,
189mmHgで36.8%,
210mmHg以
150∼169mmHgで27.1%,
170∼
で み る と,最
対 し, M1
51.8%,
M2 45.4%で
あ れ,
M2で
あ れ,記
音持 続 時 間 の延 長 傾 向 が あ り, 1/2<で
多 くな つ て い る.し
大 圧 の 上 昇 に と も な つ て1/2<の
記録
率 の 増 加 傾 向 が 認 め ら れ る.
11) Ⅳ音 と心尖部収縮期 雑音
Ⅳ音 と心尖部収縮期雑音持続 時間 どの関係 を例 数
で図9に 示す ごと く検 討 した,高 血圧者で は,中1
M1か らM2へ
か し,Ⅳ
33.3%,
も の18.8
か し,こ
170∼189mmHg
M1
た,Ⅳ
率 は増 加 して い
圧上昇 に
な つ て お り,血
録 さ
もの よ り 雑
終 る もの が
音 の亢 進 す なわ ち,
の元 進に と もな う廷 長傾向 は 認 め ら
れ な かっ た.
健 常 例 で は,Ⅳ
音(-)の
もの か らM1,
M2と
Ⅳ
音 は亢 進 して も,雑 音 の記 録 率 はそ れ ぞれ65.7%,
50.0%,
66.6%と
著 明 な変 化 は 認 め ら れず,傾
明 らか で な い.ま た,Ⅳ
図9. Ⅳ 音 と心 尖 部 収 縮 期 雑 音
対 し,
(-)で1/2<の
れ た も の は 記 録 さ れ な か つ た(-)の
と も な う 率 の 増 加 傾 向 は 認 め ら れ な い.し
こ で も例 数 の 比 較 的 多 い150∼169,
率 は 減 少 し,
る と こ ろ か ら Ⅳ 音 がM1で
190∼209mmHgで22.2%,
上 で60.0%と
%に
Ⅳ
音 の 記 録 率 は79.7%,
の も の60.9%に
45.4%で
M2,と
増 加 傾 向 が 認 め ら れ る.ま
音(-)で1/2≧
M2
M1,
50.0%に
対 しM1
は な く1/2<で
37.5%,
音(-)で1/2≧
M2
の もの
50.0%で
もそ れ ぞ れ15.7%,
向は
著 明な傾 向
12.5%,
16.6%
で あ るか ら傾 向 は 明 らか で な い.す な お ち健 常 者 で
は Ⅳ音 が 記 録 され て い て も,い
間1/2≧ で1/2<よ
な くて も雑 音 持 続 時
り率 が 高 い か ら10)で
検 討 した
以 外 の 傾 向 は認 め られ な い.
12) 心 電 図 所 見 と心 尖 部 収 縮 期 雑 音
心 電 図所 見 と心 尖 部 収 縮 期 雑 音 の 持 続 時 間 と の 関
係 を 例 数 で 図10に 示 す ご と く検 討 し た .左 室 肥 大
(LVH),
ST・T変
化(ST・T),左
室 肥 大+ST・
76 種
谷
節
郎
表16 最 大 圧(mmHg)と
図10. 心 電 図 所 見 と心 尖 部 収 縮 期雑 音
心電図所 見
150以 上 で は 最 大 圧 の上 昇 に と もなつ て,左
+ST・T変
T変 化(L+S)の
三 者 と も1/2<で7例
れ, ST・Tで1/2≧
は14例 に達 して い る.
が認 め ら
化 は増 加 傾 向 が あ る.最 大 圧149以
も左 室 肥大+ST・T変
最 大 圧190以
これ を表15の ご と く比 率 で 表 わ してみ る と,雑 音
室肥大
化 で42.8%の
下で
高 率 で あ るが,
上 で 左 室 肥 大, ST・T変
化 よ り両 者 合
併 の率 が 高 くな つ て い る.
総 括 と 考 按
表15 心 電図所見 と心尖部 収縮 期雑音の持続
1)
Ⅰ音 につ い て
Ⅰ音 の 振 幅 に 関 す る研 究2)は 散 見 出来 るが,Ⅰ 音
持 続 時 間 に 関 す る研 究 は 少 な く,わ ず か に 健 常 者 の
Ⅰ音 持 続 時 間 につ いて の 研 究 が な され て い るの み で
あ り,高 血 圧 症 の それ につ い て 述 べ られ た 研究 は皆
無 と言 つ て いい ほ ど で あ る.
上 田 ら3)は 健 常 者 の 心 尖 部 Ⅰ音 主 節 の持 続 時 間 は
0.062secと
の 認 め ら れ な か つ た(-)で
は 無 所 見 の ものが21.8
して い るが,著
者 の 成 績 も そ れ に近 い
結 果 を 得 て い る.更 に著 者 の 検 討 で は高 血 圧 者 で は
%で 他 の三 者 よ り高 い 率 を示 し, 1/2≧ で は左 室 肥
心 尖 部 Ⅰ音 主 節 持 続 時 間 が 延 長 して い る こ とが 明 ら
大+ST・T変
か とな っ た.
1/2<で
化 が30.7%で
は 逆 に53.8%で
他 の三者 よ り低 い率で
もつ と も高 い率 を 示 して お
Ⅰ音主節 の発生機序 について は未 だ定説 はな く,
これ に 次 いで 他 の二 者 よ り
僧 帽弁閉鎖音 と三 尖弁 閉鎖 音 とか らな ると も,僧 帽
はか な り高 い 率 で あ る.す な わ ち,無 所 見 の もの で
弁閉鎖音 と大動脈弁 開放音 とか らな ると もいわれて
り,左 室 肥大 の43.7%が
は他 の三 者 と比 べ る と 雑音 が 認 め られ な い こ とが 多
きた2).い ずれ に して もⅠ音 の持 続時間 の延 長 は左
く,左 室 肥大 の もの で持 続 時 間 は多 少 の 延 長 傾 向が
室 圧 の上昇 とこれ に対 す る弁 の硬 化に基づ くもの と
あ り,所 見 が 合 併 して 左 室 肥 大+ST・T変
考え る ことが 出来 る.
化 とな
2)
る と延 長 傾 向 が 明 ら か で あ る.
13) 最 大圧 と心電 図所見
高 血 圧 者 の左 室 肥 大, ST・T変
化 お よ び そ の両
者 の合 併 所 見 の 出 現 率 及 び血 圧 との 関 係 は表16の 如
く で あ る.左 室 肥 大, ST・T変
・T変 化 の 比 率 はそ れ ぞ れ13 .5%,
化,左 室 肥 大+ST
21.1%,
11.0%
で あ る,最 大 圧 の 上 昇 に と もな う無所 見 の減 少 傾 向
は 認 め られ な い.最
大圧150∼169,
170∼189mmHg
で は血 圧 上 昇 に と もな う左 室 肥 大 の 増 加 傾 向 が 認 め
られ る,最 大 圧150∼209で
つ てST・T変
QⅡ/QTに
1937年
は最 大 圧 の 上 昇 に と もな
化 はむ しろ 減 少 傾 向 が あ る,最
大圧
ついて
にHegglinが,
QT延
energetisch-dynamische
て 以 来,
が,そ
Hegglin症
長,
QⅡ
Herziusuffizienzと
候 群 と して 注
短 縮 を
名 づ け
目 さ れ て 来 た
の 診 断 基 準 は い くた びか 修 正 を 加 え られ て来
た6)7).
著 者 の 検 討 で は, QⅡ
よ り短 縮 して お り, QT時
時 間は 高血 圧者 で 健 常 者
間 は 逆 に高 血 圧 者 で 健
常 者 よ り延 長 して い る.し か しQT-QⅡ>40m
の 診 断 基 準 を 満 足 させ る もの で は な い. QT時
絶 対 的 延 長 と し てHegglin-HorzmannのQT式
sec
間の
で
高血圧症 の心 音図学的研究 77
算 出 して検 討 した が,絶 対 的 延 長 と考 え られ る もの
膜 説16)-19)は 心 筋 説 よ り さ き に提 唱 さ れ,最 近 再 び
は高 血 圧 者 で12.7%に
論 じ られ るよ う にな つ て き た.い ず れ の 説 に つ い て
Hegglin症
す ぎな か つ た.
候 群 の 診 断 基 準 と してQⅡ 時 間 の 絶 対
的短 縮 が い わ れ て き て よ り稲 垣,寺 尾8)は 独 自にQ
Ⅱ の正 常 値 と して39.733√RR±40m
そ の-20m
secを 算 出 し,
sec.以 下 を 絶 対 的 短 縮 の 診 断 基 準 と し
も未 だ決 定 的 な 研 究 は な く優 劣 つ けが た い の が 実 情
で あ る.著 者 の 検 討 で は高 血 圧 者 の 拡 張 早 期 奔 馬 音
が 心 尖 部 よ りエ ル プ 領 域 で 多 く記 録 され て い る.房
室 弁 と心 室 筋 と の位 置 的 関 係 を考 え 合 わ せ る と,Ⅲ
て 提 唱 して い る.著 者 も この診 断 基 準 によ りQⅡ の
音 の 発生 に房 室 弁 が 全 く関 与 して い な い とは 考 え ら
絶 対 的短 縮 を 検 討 した が,高 血 圧者 と健 常 者 で 有 意
れ な い.
の差 は認 め られ ず,心 電 図 所 見 と対 比 して み る と,
ST・T変
化 で わず か に短 縮 傾 向 が 認 め ら れ る に す
ぎな か つ た.
Cabrera & Monroy20)が
の概 念 を 発 表 して 以 来,こ
収 縮 期 負 荷,拡
張期負荷
の 考 え 方 を と り入 れ て 心
音 図 上 の解 釈 が 試 み られ て い る11)21)-24).高 血 圧 に
ま た著 者 はQⅡ/QTに
つ い て も検 討 し た が,高
お け る拡 張 期 負 荷 の 増 大 は心 筋 の 不 全 状 態 に対 して
血 圧者 と健 常 者 で 明 らか な 有 意 の 差 が あ り,最 大圧,
生 じた相 対 的 な もの と され,本
最 小 圧 の上 昇 と も相 関 して い る と思 われ る.勿 論,
血 が 加 わ つ て心 室 に 流 入 す る こ とに よ つ て 生 じた 絶
これ を もつ てHegglin症
候群の診断基準 にあて るこ
対 的 な 拡 張 期 負 荷 とは 区 別 さ れ て い る.従 つ て 高 血
とは早 計 で 血QⅡ/QT減
少 の意 味 づ け も種 々 の要 因
圧 で 相対 的 拡 張 期 負荷 の 増 大 に よ る拡 張 早 期 奔 馬 音
が考 え られ る ので9)単 に 機 械 的 収 縮 時 間 と電 気 的収
が 認 め られ れ ば,心 筋 の 緊 張 低 下,心 室 筋 の弾 性 低
縮時 間 で説 明 す る こ とは不 可能 で あ る と考 え られ る.
下 を 伴 な つ た心 筋 の 不 全 状 態 が 予 測 さ れ,臨 床 的,
しか し,血 圧 上 昇 の程 度 が軽 く,経 過 が 長 くな い
高 血 圧 症 の 心 機 能 状 態 を知 るに は, QⅡ 時 間 の絶 対
的短 縮 を ま つ まで もな くQⅡ/QT比
であ る程 度 の
心 機 能 状 態 も予 測 を す る こ とは可 能 と考 え る.
3)
Ⅲ音について
来の房室血流 に逆流
予 後 的 意 味 を もつ て く る わ け で あ る2).心 電 図 で
ST・T変
化,あ
る い は 左 室 肥 大+ST・T変
化 所見
を示 した 例 で 拡 張 早 期 奔 馬 音 の頻 度 が高 い の も こ の
理 に か な つ て い ると考 え て い る.
4)
Ⅳ 音 につ い て
Ⅲ 音 は 健 常 者 で も低 音 性 の生 理 的 Ⅲ 音 が 認 め られ
健 常者 で も記 録 さ れ る と言 う点 で は Ⅳ 音 もⅢ 音 と
る こ とは 周知 の ご と くで あ る.若 年 者 で 多 く認 め ら
同 じで あ るが,Ⅳ 音 は Ⅲ 音 と ちが い聴 取 す る こ と が
れ, 30才 以 後 は 年 令 と と も に認 め られ な くな る. 40
出来 な い.そ れ は音 量 が小 さ い 低 周 波 の音 で,し
才 以 後 で 認 め られ る もの は 病 的 意 義 が あ る とい わ れ
も そ の す ぐ後 に 強 大 で 高 調 なⅠ 音 が あ る た め と考 え
て い る10)11).通常,心 音 図 で は,た
か だ か低 音(L)
に 認 め られ る が, 40才 以後 で 中 音(M)に
認 め られ
れ ばⅢ 音 の亢 進 あ り とみ な し,生 理 的Ⅲ 音 に対 し病
か
られ て い る.聴 取 され る時 そ れ は す で に Ⅳ 音 の 病
的 亢 進 で あ る 心 房 性 奔 馬 音 と して 意 義 が あ る と さ
れ る11).
的 な意 味 の拡 張 早 期 奔 馬音 と解 して よ い11).生 理 的
Ⅳ 音 の記 録 さ れ る頻 度 が年 令 の 上 昇 と と もに 減 少
Ⅲ 音 は心 尖 部 な い しこ れ と胸 骨 左 縁 との 間 で もつ と
す る の もⅢ 音 に 似 て い る.し か しな が ら,そ の 頻 度
も よ くきか れ るが,病
は Ⅲ 音 よ りか な り高 く, 40才 以 上 で も43%で 記 録 さ
的 に亢 進 した 拡 張 早 期 奔 馬音
は左 前 胸 壁 で 広 くき か れ る3)11).
れ た とす る もの もあ る.奔 馬 調 で は心 房 性 奔 馬 音 に
高 血 圧症 で 拡 張 期 奔 馬 音 の頻 度 は そ れ ほ ど高 くな
く, Miles12)に よ れ ば6%で
あ る.
著者 の 検 討 で は 拡 張 早 期 奔 馬 音 が 心 尖 部 よ りエル
プ領 域 で 多 く記 録 され, 27.1%で
あ る.健 常 者 で も
よ る も のが もつ と も普 通 に み られ る も の で,高 血 圧
症 で しば しば み られ る と言 わ れ て い る.そ の 記 録 さ
れ る 頻 度 はWeitzman25)高
Miles12) 100例 中23%,
血 圧 症131例
中35%,
Sloan26) 31例 中22%で
記録 さ
中 音 で記 録可 能 で あ るが,高 血 圧 者 と 異 な り エル プ
れ る と,た だ高 血 圧 症 につ い て 述 べ て い る にす ぎ な
領 域 よ り心尖 部 で 多 く, 9.6%で
い が,上
あ る.
Ⅲ 音 の成 因 に 関 して は,急 速 流 入 に よ つ て 生 じる
田,海 渡,坂 本 ら27)は30才以 上 の 健 常 者 で
は 最 低 音,低 音 で 主 と して記 録 され,中
音で記録 さ
心 室 筋 の振 動 で あ る とす る心 筋 説13)-15)が 近 年 本 邦
れ る もの は ご く少 数 で あ り,こ れ に対 し高 血 圧 症150
で 支 持 され る と ころ で あ るが,拡 張 早期 に お け る房
例 中45例(30%)が
室 弁 の 再 閉 鎖,あ
高 音,あ
るい は 最 高 音 で 記 録
るい は 急 速 流 入 に伴 な う逆 流 に よ
さ れ た と して い る.著 者 の検 討 で は心 房 性 奔 馬 者 が
つ て 生 ず る房 室 弁,腱 索 な ど の振 動 で あ る とす る弁
心 尖 部 よ りエ ル プ 領 域 で 多 く記 録 さ れ,中 音 心 音 図
78 種
で43.9%で
あ る.健 常者(平
均年 令51.5才)て
谷
も中
節
郎
関 す る検 討 で は,高 血 圧 者 て 延 長 す る傾 向 が認 め ら
音 で若 干 記 録 され る が,エ ル プ領 域 よ り心 尖 部 で頻
れ る.た だ し,最 大 圧 の上 昇 と波 型,持
度 が や や 高 く16.9%で
関 関 係 は認 め られ ない.
あ る.Ⅳ 音 の成 因 に 関 して も
前 述 の Ⅲ 音 と 同 じよ うに弁 膜 説 と心 筋 説 とが あ り,
ま た心 房 自体 の 壁 緊 張 に 関 係 して い る と もい わ れ て
い る.そ
して Ⅳ 音 の 病 的 亢 進 と考 え られ る心 房 性 奔
馬 音 の発 生 機 転 に はCabrea
& Monroyの
い う概念
続 時 間 で相
こ の雑 音 の成 因 につ い て,相 対 的 僧 帽 弁 閉 鎖 不全
に よ る もの で あ る と 考 え る も の が 少 な く な か っ
た39)41).し か し なが ら全 例 が 駆 出性 雑音 で あ り,房
室 弁 逆流 性 雑 音 の性 状 を宗 し た も の が な か つ た こと
で は収 縮 期 負 荷 の 増 大 が 関 与 して い る と解 釈 さ れ て
を 考 え ると,大 動 脈 弁,大
い るが,高 血 圧 症 に お け る心 房 性 奔 馬 音 を 単 に収 縮
る42)49)とした 方 が 妥 当 と思 わ れ る.こ の こ と は高 血
期 負 荷 の増 大 に よ る と解 釈 して しま うに は 問 題 が あ
圧 性 心 不 全 の 原 因 が 相 対 的 僧 帽 弁 閉 鎖 不 全 に あ るの
る25)-28).こ の 収 縮 期 負 荷 の増 大 に は 絶 対 的 増 大 と
で は な い こ とを 示 す も の で, Mickerson44)は
相 対 的 増 大 とが 考 え られ,絶 対 的 負 荷 の 増 大 で は拡
誘 因と して心筋 の虚血 性変化 をあげてい る.
4) で,心 房性奔 馬音(Ⅳ 音 の亢 進)が 健 常 者 よ
張 終 期 圧 が 上 昇 し,こ れ はQⅠ 時 間 の 延 長,心
の 亢 進,心
房音
房 負 荷 増 大 の心 電 図所 見 を 示 す主 要 な 因
.子で あ る が2),必
らず し も 臨床 的心 不 全 と は 並 行 し
な い29)30).
動脈壁 の硬化が主体 であ
最大 の
り高 血圧者で多 く記録 され,し か も臨床的心不全 と
関連性の あるこ とを述べ た,著 者の検討で はⅣ音の
亢 進に ともなつ て,心 尖部収 縮期雑音 の持続 時間が
相 対 的 負 荷 の増 大 と して,心 筋 の虚 血 性変 化 とか,
延 長傾向で あ るので,雑 音持続 時間の延長 もまた臨
電 解 質 異 常 が 考 え られ るが,高 血 圧 症 の心 房 性 奔 馬
床 的心不全 と関連性が ある と考 え られ る.さ らに心
音 を絶 対 的 負 荷 の 増 大 と相 対 的 負荷 の増 大 との 相 加
に よ る もの とす れ ば,や は り臨 床 的心 不 全 と関連 性
電 図所見 と持続 時間 との関係 を検 討 して み ると左室
.
肥大+ST・T変 化で延長 がい ち じ る し く,こ の検
が あ る と して さ しう かえ な い31).山 本,原
討か らも持続 時間が 臨床的心 不全 と関連 性 のあ るこ
音 発 生 とST・T変
著 者 の 検 討 で も左 室 肥 大, ST・T変
ST・T変
5)
岡32)もⅣ
化 で 関 係 が あ る と して い る し,
とがわか る.
化,左 室 肥 大+
結
化 の順 で心 房 性 奔 馬 音 の頻 度 が 増 して い る.
心尖部収 縮期雑音 につ いて
最 大 圧150mmHg以
心 尖 部 収 縮 期 雑 音 は健 常 人 で も記 録 され る と言 わ
血 圧 者118例(平
頻 度 に 関す る研 究 は 少 な い33)34).
を 検 討 した.
最 近Groom35)36)ら
100%に
に よ る と,好
条 件 の下 で は
記 録 され た と述 べ て い る.上
群25%,老
人 群57%に
田 ら3)は 成 人
認 め て お り,加 令 で頻 度 が 減
上(平 均169.4mmHg),ま
た は最 小 圧90mmHg以
れ て お り,小 児 に お け る頻 度 は散 見 され る が成 人 の
論
上(平 均93.4mmHg)の
均 年 令53.7才)の
対 照 と して,健 常 者52例(平
高
心 音 図,心 電 図
均 年 令51.5才)を
え
らん だ.
1)
Ⅰ音 持 続 時 間 は高 血 圧 症 で0.073±0.017
sec,
少 しな い こ とを 強 調 して い る.著 者 の 方 法 で は健 常
健 常 者 で0.067±0.019
例 で53%で
音 持 続 時 間 の 延 長 が 認 め られ,血 圧 の 上 昇(左 室 圧
あ る.
高 血 圧 者 に 関 す る頻 度 も種 々 多 様 で 低 い もの37)も
あ れ ば, 70∼80%の
Leatham40)は
)と 相 関 が み られ た.
2)
もの も38)39)ある.著 者 は83%の
成 績 を得 た.
secで あ り,高 血 圧 者 で Ⅰ
高 血 圧 症 で は,い
わ ゆ るHegglin症
候群 に
該 当 す る も の で は な い が, QⅡ 実 測 値 の 短 縮,
収 縮 期 雑 音 を波 型 と 心 音 と め 関 係
か ら駆 出性 雑 音 と逆 流性 雑 音 と に 分 け て い る.そ
し
QT実
測 値 の 延 長 が 認 め られ た.
そ の 結 果QⅡ/QT比
は最 大 圧,最
小 圧 の 上 昇,
て 駆 出性 雑 音 の 性 質 と しでⅠ 音 か ら少 しは な れ て 始
心 電 図 所 見 の 悪 化 と と もに 小 さ くな り,高 血 圧 症 に
ま り,収 縮 中期 に 最 大 と な りⅡ 音 の前 で終 る,な ど
お い て は,漸 次 機 械 的 仕 事 と電 気 的 活 動 の 分 離 と い
が あ げ られ て い る.
う点 で の 心 機 能 状 態 を 予 測 す る と とが 出来 る.
高 血 圧 者 の 心 尖 部 収 縮 期 雑 音 は平 坦 型,紡
錘型 の
3)
拡張早期 奔馬音 は高 血圧者 で多 く記録 され,
い ず れ か で あ り,し か も全 例 が 駆 出性 雑 音 と考 え ら
心 尖部 よ りエルプ領域で 多 く,健 常者 で は心尖部 で
れ る.こ れ はBarlow
多い.以 上 の ことよ り高血 圧症 のⅢ音の発生 は志電
& Kincaid-Smith38),上
の 成 績 と ほ ぼ 同 じで あ る.そ
田 ら2)
して 雑 音 の持 続 時 間 に
図変化 と相 関す ることな どふ らも左 心室心筋 不全に
高 血圧症の心音図学的研究 化 に あ る こ とを 示 して い る.
よ る房 室 弁 の 関 与 して い る こ と が考 え られ る.
4)
拡 張早 期 奔 馬 音 は 心 電 図所 見 でST・T丁 変 化,
左 室肥 大+ST・T変
79
化 を 示 した もの で 頻 度 が 高 く,
心 尖 部 収 縮 期 雑 音 の持 続 時 間 は高 血 圧 者 で 延 長 傾
向 が あ り,心 房 性 奔 馬 音,左
室 肥 大+ST・T変
化
心 筋 の不 全状 態 に対 して 生 じ た相 対 的拡 張 期 負 荷 の
と関 連 性 が あ り,臨 床 的 心 不 全 と の 関 連 性 も予 測 出
増 大 とみ な され る.
来 る.
5)
心 尖 部 収 縮 雑音 の頻 度 は高 血 圧者 で83%.健
常 者 で53%で,従
(擱 筆 す るに 当 り直 接 ご指 導 を 頂 い た 原 岡 昭 一 講
来 の 報 告 に近 い結 果 を 得 た.
それ ら は全 例,平 坦 型 ま た は紡 錘 型 の 駆 出性 雑 音
師 に 深 謝 し ます.)
で あ る.こ の こ と は高 血 圧 性 心 不 全 の誘 因 が 相 対 的
僧 帽 弁 閉 鎖 不 全 に あ る の で は な く,心 筋 の 虚 血 性 変
文
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Studies
Phonocardiogram
on
of
Hypertensive
the
Hypertensive
By
Setsuro
TENETANI
The First Department of Internal Medicine, Okayama University Medical School
(Director: Prof. Kiyowo Kosaka)
PCG and ECG were studied in 118 cases of the hypertensive
with maximum blood pressure
more than 150 mmHg
or minimum blood pressure more than 90 mmHg.
Fifty two cases of
the health were chosen as control. The following results were obtained.
1)
Duration
0.019
sec
first
sound
2)
a
blood
to
the
QⅡ
result,
pressure
separate
estimate
of
the
the
first
health.
So
sound
was
much
maximum
0.073±0.017
or
sec
minimum
in
the
blood
hypertensive
pressure
and
rose,
0.067±
duration
of
the
prolonged.
In
measured
As
in
hypertensive,
interval
QⅡ/QT
and
mechanical
the
functional
although
was
shortened
ratio
with
became
small
deterioration
work
state
from
of
it
and
not
so-called
actually
with
electrocardiographic
action
Hegglin's
measured
coresponding
of
electoric
the
is
an
of
QT
elevation
sign.
the
heart,
syndrome,
an
interval
of
prolonged.
maximum
From
therefore,
actually
was
or
the
it
point
is
minimum
of
possible
view
to
heart.
3) Protodiastolic gallop sound (accentuation of the third heart sound) was recorded in
the hypertensive more often than in the health. That was recorded more often at the Erb's
area than at the apex in the hypertensive, and in the health, more often at the apex than
at the Erb's area. From the above, together with correlation of electrocardiographic sign, it
was thought that the protodiastolic gallop sound was participated in dysfunction of atriove
ntricular valve due to left ventricular myocardial failure.
4) Frequency of the protodiastolic gallop sound was recorded highly in the cases with
ST. T change and the LVH plus ST. T change.
This fact was regarded as increase of the
relative diastolic overloading.
5) Frequency of the apical systolic murmur was 83% in the hypertensive and 53% in
the health. Those murmurs were all plateau or diamond shape ejection murmur. Therefore,
the hypertensive cardiac failure might not be caused by relative mitral insufficiency, but by
myocardial ischemic change.
Degree of the hypertensive and cardiac function of the hypertensive were inferable with
this study.
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