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予稿 列 MDCT におけるノンヘリカルスキャンによる体軸 一般研究発表 CT ㎜ノンヘリカルスキャン時に生じるマスク領域の基礎 的検討 日本医科大学付属病院 日本医科大学付属病院 ○太田慎之介、菅谷 有賀 方向のノイズ特性の検討 放射線科 ○永塚 正範、工藤 大樹、村木厳太郎、秀永 正寿、中島宗一朗、 慎一 菅谷 賢司、江澤 放射線科 賢治、中島宗一朗、工藤 正範、村木厳太郎、秀永 正寿、 慎一 【目的】 当院で使用している GE 社製 Revolution CT は 【目的】 マスク領域は ㎜以上のビーム幅におけるノンヘ ノンヘリカルスキャンにおいて ㎜の Wide coverage 撮 リカルスキャンにおいて、コーン角が大きくなり対向デー 影が可能となり逐次近似応用再構成法である ASiR-V も導 タ不足となることで生じる。このマスク領域が同一の撮影 入されている。Wide coverage 撮影によりコーン角が増 範囲であるにも関わらず、機種間で異なる事を経験した。 大するため、ヒール効果、散乱線の増加などの影響でノイ そこで、 当院に新規導入された GE 社製 Revolution CT と ズ特性が変化することが懸念される。そこで、体軸方向の 東芝社製 Aquilion ONE の ノイズ特性を把握するために 機種間で ㎜ノンヘリカル スキャンのマスク領域を比較した。 次元 Noise Power Spec- trum(NPS)を用いて FBP と ASiR-V について比較する。 【方法】 検討項目は Full FOV で撮影できる範囲とマスク 【方法】 円柱型 QA ファントムを使用し、管電圧: 領域部分の有効視野体積の算出であり、① Aquilion ONE 回転時間: の再構成法である Xact+の ON、OFF による変動。② bow- ㎜、 tie filter の切り替えにより Scan FOV を変化させた時の kV、 /rot、再構成関数:standard、DFOV: ㎜ノンヘリカルスキャンで、CTDIvol を変化させ 回撮影した。得られた画像に対し、ASiR-V 強度を変化 させ再構成を行った。検討内容は FBP を基準とし、 ガント 変動について機種間で比較を行った。 測定方法は最小スライス厚で再構成した axial 断面にて リー中心、anode 側、cathode 側での 次元 NPS を算出し マスク領域部分の有効視野長を計測し、マスク領域の体軸 た。解析に使用したソフトは日本 CT 技術学会で配布され 方向の長さを求め、Full FOV の大きさとマスク領域部分 ている CTⅿeasure Ver. b を使用した。 【結果・考察】 の有効視野体積を比較した。 【結果・考察】 Xact+の ON、OFF によるマスク領域の ㎜ノンヘリカルスキャンでのガントリ ー中心と anode 側、cathode 側の NPS を比較すると、Full 変動は体軸方向が平均約 ㎜であった。マスク領域部分の FOV 再構成範囲内での NPS に大きな差は見られなかった。 有効視野体積を計算すると Xact+OFF に比べ Xact+ON しかし、anode 側のマスク領域を含む断面においてはガン の体積は約 .倍となった。また、Full FOV で撮影でき トリー中心、cathode 側に比べ NPS が増加する傾向が見 る範囲を算出した結果、Scan FOV の変化によって最大 られた。これは、コーン角の影響によりマスク領域を含む 約 断面はノイズ量がヒール効果の影響や対向データの不足に ㎝の差が生じた。 マスク領域部分の有効視野体積について Revolution CT より増加したためだと考える。また FBP と ASiR-V での と Aquilion ONE の Xact+ON を 比 較 す る と Scan FOV NPS を比較した場合、FBP ではガントリー中心とマスク を広げるにつれて差が大きくなる傾向にあったが、Full 領域を含む断面の低周波領域、高周波領域ともに差が大き FOV で撮影できる範囲に大きな差は見られなかった。 かったのに対し、ASiR-V を用いることでその差が改善し Full FOV で 撮 影 で き る 範 囲 が ほ ぼ 同 等 で あ る の に Revolution CT のマスク領域部分の有効視野体積が大きく た。 【結語】 ㎜ノンヘリカルスキャンで Full FOV 再構成 なった要因として、検出器が X 線焦点に向かってモジュ 範囲内におけるノイズの均一性が示された。また、ASiR- ール配列されていることが考えられる。 V を使用することで体軸方向のノイズ特性は改善し、マス 今回比較した結果、マスク領域部分の有効視野体積は Revolution CT で大きくなった。これは、 ク領域を含む断面ではその傾向が顕著であった。 ㎜ノンヘリ カルスキャンにおいて臨床で使用する Display FOV を設 列 MDCT におけるノンヘリカルスキャンの XY 面内 定した場合、マスク領域をあまり意識せずにスキャン範囲 空間分解能評価 を設定することができる。 日本医科大学付属病院 ただし、マスク領域が生じる断面における画質の担保に ついては今回評価していないため、今後検討していく必要 がある。 ○蟹谷 放射線科 庄平、渡邊裕次郎、工藤 中島宗一朗、村木厳太郎、秀永 正範、 慎一 【目的】 今回当院 に 新 た に 導 入 さ れ た GE 社 製 RevolutionCT は体軸方向に 列検出器を搭載しており、ノンヘ リカルスキャンにおいて 能となった。これにより、 20 正寿、菅谷 ㎜の Wide coverage 撮影が可 ㎜で撮影範囲に納まる臓器 に関しては従来よりも短時間で撮影することができるが、 【方法】 体軸方向に円柱状の構造を持つファントムに希釈 それゆえこの大きなコーン角の物理特性を理解することは された造影剤を封入し、計測対象となる円柱のコントラス 重要であると考える。そこで XY 平面内における空間分 ト差が臨床条件に近い状態となるように調整した。臨床条 解能について管球回転速度との関係、コーン角の影響につ 件に近い撮影条件でファントムを複数回撮影し Axial 画像 いて検討を行った。 を取得し、FBP のみで再構成を行った画像と複数の ASiR 【方法】 Catphan モジュールを 使 用 し、ワ -V 強度で再構成した画像を作成する。同じ条件で再構成 イヤー法にて MTF を測定した。焦点サイズを一定にし、 の CTP した画像を複数枚加算し測定用の画像を作成した。これら 管球回転速度とワイヤー位置を変化させて Axial 画像を取 の画像を用いファントム中にある円柱の信号部分のエッジ 得した。また同時に、 より ESF を取得し、これを微分した LSF からフーリエ変 ㎜ビーム幅中心において逐次近 似応用再構成法(ASiR-V)を使用した画像の MTF を測定 した。収集モードは通常モードを用いた。測定位置は X Y 面内における回転中心(Center) 、及び Y 軸方向に− ㎜(Off Center)とし、体軸方向における測定は ーム幅中心スライス位置を 換により MTF を算出し比較した。 【結果】 ASiR-V でも撮影時の画像ノイズやコントラスト 差に応じて FBP と比較して MTF の変化が確認された。 ㎜ビ 【考察】 臨床条件に近い状態での検証で ASiR-V の MTF ㎜とし、cathode 側、anode の変化が確認できたことにより、実際の検査プロトコルに 側にそれぞれ測定位置を変えて行った。 この再構成法を反映させる際の最適化が図れるものと示唆 また、逐次近似応用再構成法(ASiR-V)の強度変調に された。 ついても評価を行った。 【結果】 各スライス位置における MTF はほぼ一定である と言えるが、各スライスの Off Center では MTF の低下 列 MDCT におけるノンヘリカルスキャン収集モード の違いによる空間分解能評価 が見られた。また、管球回転速度を変化させた場合でも体 日本医科大学付属病院 軸方向における面内空間分解能に大きな変化は見られなか ○渡邊裕次郎、蟹谷 った。さらに、ワイヤー法を用いた逐次近似応用再構成法 中島宗一朗、江澤 (ASiR-V)の強度変調における評価は強度変調により大 きな差は見られなかった。 【考察】 放射線科 庄平、工藤 賢治、村木厳太郎、秀永 正範、 慎一 【目的】 今回当院 に 新 た に 導 入 さ れ た GE 社 製 RevolutionCT は体軸方向に ㎜ノンヘリカルスキャンにおいて、XY 平面 正寿、菅谷 列検出器を搭載しており、ノンヘ リカルスキャンにおいて ㎜の Wide coverage 撮影が可 内の空間分解能は管球回転速度に依存しない傾向にあり、 能となった。そこで、 短時間撮影においても十分な View 数を確保できると考え の XY 面内における空間分解能について収集モードの違 る。 いによる検討をした。 また、cathode 側、anode 側の解析においても大きな差 【方法】 Catphan ㎜ノンヘリカルスキャン撮影時 の CTP モジュールを使用しワイ が見られなかったことから、検出器のモジュール配列など ヤー法にて MTF を測定した。撮影は が関係していると考えられるため、今後は体軸分解能につ スキャンで行い、通常モードと Hi-Reso モードにおいて管 いても検討していく必要がある。 電圧 kV、管球回転速度( . ㎜ノンヘリカル ) 、焦点サイズ一定(大 焦点)でワイヤー位置を変化させて Axial 画像を取得した。 新たに導入された逐次近似応用再構成法の MTF 評価 ワイヤー位置は XY 面内で回転中心(center)、および 日本医科大学付属病院 Y 軸方向に− ○菅谷 正範、江澤 中島宗一朗、秀永 放射線科 賢治、鍛治 尚利、工藤 正寿、 慎一、村木厳太郎 ㎜(off-center)とした。体軸方向は、中 心スライス位置を ㎜として anode 側、cathode 側にそれ ぞれモジュールの位置を変えて XY 面内評価をした。 【目的】 逐次近似応用再構成法は一般的な方法で計測した 【結果】 同一収集モードで比較した場合、体軸の XY 面 場合、FBP のみで再構成された画像と比較して MTF を 内 MTF は中心、anode 側、cathode 側のスライス位置で 保ちながら画像ノイズを改善できる画像再構成法である。 大きな差は見られなかった。ただし、それぞれの断面内に しかし、臨床条件に近いような低コントラストかつ画像ノ おいては center より off-center のほうが MTF は低下した。 イズが存在する状況下では、その非線形な処理により物体 収集モードで比較した場合、center MTF は変化しない の辺縁の認識が曖昧になることにより MTF に変化がみら が、 off-center MTFはHi-Resoモードのほうがcenter MTF れることが報告されている。今回当院に導入された Revo- に近い値となった。 lution CT でも逐次近似応用再構成である ASiR-V が使用 【考察】 同一収集モードで比較した場合では体軸方向にお 可能となったが、臨床条件において MTF に同様の挙動が ける XY 面内解像度に大きな変化は見られなかった。こ 見られるか確認する。 れは装置に搭載されているVolume High Definition recon- 21 struction(VHD) 、 D コリメー タ ー、検 出 器 が X 線 焦 点に向かって配列されていることなどが関係し、体軸方向 一般研究発表 MRI .T と .T における肝脾信号強度比の差異についての検 討 の面内でも解像度が担保されていると考えられる。 また、収集モードの比較では通常モードより Hi-Reso モ 慶應義塾大学病院 ードのほうがより多くの view 数を得ることができるため、 ○藤代 Hi-Reso モードの off-center MTF が改善したと考える。 慶應義塾大学 上野 臨床現場における Size-Specific Dose Estimates 梁野 明生、庄司 伸貴、後藤 友和、飯嶋 嘉信、渡部 敏男 医学部放射線診断科 茂男、谷本 国立病院機構埼玉病院 伸弘、陣崎 雅弘 放射線科 彰久 【目的】 EOB-MRI における肝細胞相の肝実質の増強効果 東京慈恵会医科大学附属柏病院 ○藏元 力也、布川 彰久、奥田 上野 (SSDE)の有用性 中央放射線技術室 恵、栗山 里加、新里光太郎、柴田 和、 公望 【目的】 CT の撮影条件の最適化を図る方法として診断参 の指標として、 .T では肝細胞相の肝脾信号強度比 (Quantitative Liver-Spleen Contrast Ratio : Q-LSC)が 良い指標とされているが、 .T において肝機能が良好に もかかわらず Q-LSC が低い症例を経験することがある。 考レベルと比較する方法がある。 その指標となる値は Computed tomography dose in- その原因として、 .T においては造影前の Q-LSC が . dex(CTDI)であるが、この CTDI は ㎝と ㎝のファ T に比して低いことが原因と考えられた。本研究の目的は ントムサイズより求められた値であり、体型は考慮されて .T における造影前の Q-LSC の低下の原因を検討するこ いない。そのような背景の中、体型の違いを考慮した指標 である Size-Specific Dose Estimates(SSDE)が報告され とである。 【方法】 GE社製DISCOVERY MR .T、Signa HDxt た。海外の報告などでは、SSDE は既に臨床でも用いられ .T を用い、健常ボランティア ており、CTDI と同じように線量指標として扱われている。 .T で SSFSE-IR、LAVA、LAVA FLEX を撮像し、肝 名を対象とし、 .T と そこで今回、被写体の年齢、サイズ毎の CTDI と SSDE 臓および脾臓の T 値および Q-LSC を算出し、比較を行 の関係性を求め、SSDE の有用性を検討することを目的と った。 【結果】 肝・脾の T 値は、 .T では肝臓 した。 【方法】 東芝社製 CT 装置 Aquilion Prime に組み込んで いる小児から成人までの撮影条件で撮影した、 歳から成 脾臓 ± ± ⅿ ⅿ 、 .T では肝臓 ± ⅿ ± ⅿ 、 、脾臓 であり過去の文献とほぼ同様の結果であった。 人の男女それぞれの肝臓レベルの腹部 CT 横断画像から、 LAVA・LAVA FLEX で の Q-LSC は .T に お い て . 短径と長径を計測し、楕円サイズを求め、等価円に変換し ± . 、 . ± . 、 .T に お い て . ± . 、 . ± て SSDE を算出した。そして、横軸を等価円サイズ、縦 . 、といずれも有意差はみられなかったが、 .T の 軸を CTDI と SSDE としたグラフを作成し、グラフの傾 LAVA FLEX で LAVA よ り も 低 い 傾 向 が あ っ た(P = きから SSDE の有用性について検討した。 . ) 。 【結果・考察】 被写体のサイズから求めた等価円の直径は 【まとめ】 .T と .T を比較すると、肝臓の T 値の延 . ㎝から . ㎝であった。 そして ㎝の CTDI ファン 長率が脾臓より大きいため、相対的に .T における Q- トムから求めたグラフの傾きは . ⅿGy/㎝であり、 ㎝ LSC が低下すると考えられた。LAVA、LAVA-FLEX の の CTDI ファントムから求めたグラフの傾きは . ⅿGy/ つのシーケンスによる Q-LSC への影響は、静磁場強度 ㎝であった。それに対して SSDE のグラフの傾きは . の影響よりも少ないと考えられた。 ⅿGy/㎝となり CTDI とは異なる傾向を示した。今後、日 本においても診断参考レベルが導入された際に、画質と線 MT 効果を使用した小児髄鞘化の評価:Phantom study 量の関係を維持した撮影条件を構築していく上では CTDI 東京女子医科大学八千代医療センター の指標だけでなく、サイズを考慮した SSDE も用いるこ ○吉丸 とは有用であるといえる。 大輔、茂木 望、草野 画像検査室 成章、八幡 【背景・目的】 脳の発達に伴う髄鞘化は 優希 歳まで大きく変 化し、その後ゆっくりと 歳くらいまで変化を続けるとさ れている。一般的に新生児の脳は成人に比べ水分量が多く、 それにより画像のコントラストが変化することを髄鞘化に 伴う発達の度合いとして利用してきた。しかしこれらは読 影者によって変化し、髄鞘化を定量的に扱うことはできな い。近年髄鞘化を脳内自由水の変化によって評価した報告 22 や、髄鞘のタンパク成分の変化を Magnetization Transfer ントム間の CNR を求め、 D-TSE と比較・検討した。 D (MT)効果での評価が報告されている。これらの報告は -TSE : TR/TE= 水またはタンパク成分の = 変量から評価したものであり、 、FOV= こで本研究は髄鞘化の定量化を目的とし、まずファントム = ° 、 °、 を用いてタンパク成分と自由水をそれぞれ変化させ、その = 、FOV= °、 °、 × 、Scan time= 、 、 [㎳] 、RFA °thickness= .[㎜]、ETL [㎜]、matrix= × 、Scan time= 分 秒、DRIVE(+) 時の MT 効果による信号変化量を検討した。 ㎖、 ㎖に対し、プロテインを 、 、 ℊと変化させたファントムと、プロテインを 、 ℊとし、それを溶かす蒸留水を / 分 秒、VISTA : TR/TE= 実際の脳は水とタンパク成分の両方が同時に変化する。そ 【方法】 蒸留水 / [㎳] 、thickness= . [㎜] 、ETL [㎜]、matrix= 、 、 、 、 、 、 【結果・考察】 VISTA の TE および RFA の変化による 結果は以下の通りであった。 T 値 の 短 い フ ァ ン ト ム で は TE お よ び RFA に よ る ㎖と変化させたファントムを使用した。撮像条件は、繰り SNR の変化は小さかった。T 値の長い蒸留水では、TE 返し時間を が延長するほど、また RFA が高いほど、SNR が高かった。 ㎳、エコー時間を .㎳とし、MT パルス(off -resonance)の有無で全て 置は Philips Achieva 回ずつ撮像を行った。使用装 T、SENSE Head Coil( ch)で 低 RFA ほど磁化は複雑な挙動を示し、再収束されるスピ ンが減少したためだと考えられる。 T 値の差が小さいファントム間での TE および RFA 行った。 【結果】 蒸留水を固定した時、プロテイン量を増やすと、 による CNR 変化は小さかった。T 値の長い蒸留水との MT パルスの有りと無しの信号差は大きくなった。さらに CNR は TE が延長するほど、また RFA が高いほど増加し プロテインを固定し、蒸留水を増加させた時は、信号差が た。 D-TSE の CNR と比較して、同等のコントラストが得 小さくなった。信号変化量はプロテイン量を変化させた時 の方が蒸留水を変化させたときより大きく、その変化は線 られた撮像条件の中で、SNR の高い TE 形関係であった。さらにプロテインを変化させた時、各蒸 を最適撮像条件とした。 留水での信号差の最小二乗法による近似直線の傾きに大き 【結論】 本検討の VISTA の撮像条件において、TE RFA ° を用いることで な差はなかった。 【結論】 MT 効果による信号の変化は、自由水と結合水の それぞれの量によって異なるため、その 変量を考慮しな ㎳、RFA ° もつ ㎳、 D-TSE と同等のコントラストを DT 強調画像を短時間で得ることができると示唆 された。 くてはならない。つまり髄鞘化の評価においても、自由水 と結合水の変化を考慮した定量化が必要である。 Image based shimming を用いた乳腺 MRI における 脂肪抑制効果の検討 膀胱検査における VISTA 法による DT 強調画像の撮 ○中元 像条件(TE および RFA)の検討 東京都立大塚病院 ○小菅 正嗣、東 国家公務員共済組合連合会虎の門病院 三浦 診療放射線科 麻里、川村 則仁、吉田 友香、福澤 孝、吉原 圭、雨宮 千治、田野 沙織、 政勝 【背景・目的】 乳腺 MRI では乳房全体の均一な脂肪抑制 則仁 【目的】 当院では膀胱 MRI 検査において、 D-TSE によ 効果が重要であるが、周辺に空気が多く、患者によって乳 方向撮像しており、撮像時間は約 分 房の形態は様々であるため、脂肪抑制不良が発生してしま にも及ぶ。膀胱は生理的蓄尿による動きや形態変化が少な う場合がある。Image based shimming (IBS) は乳房の形 からず起こるため、検査時間の短縮が望まれる。そこで本 態にあわせた shimming が可能な技術で、これにより安定 検討では、 DT 強調画像を取得できる した脂肪抑制効果が期待できる。今回、乳腺 MRI で脂肪 VISTA(Volumetric ISotropic TSE Acquisition)法を用 抑制不良となった症例に関して、体型及び乳腺領域と脂肪 いることによって、短時間で 抑制効果との関係を調べ、IBS の効果とポジショニングに る T 強調画像を D-TSE による D-TSE と同等のコントラ ストをもつ T 強調画像を MPR で 方向得ることを目的 とし、撮像条件(TE および RFA)の検討をした。 【方法】 装置は Philips 社製 Achieva .T を使用し、 コイ ルは cardiac coil を用いて自作ファントムを D-TSE およ よる改善の検討を行った。 【方法】 使用装置は Ingenia .T(PHILIPS) 、コイルは 乳腺専用コイル( ch)を用いた。乳腺 MRI を行った 例について、①体型・年齢と脂肪抑制不良の関係、②乳腺 び VISTA で撮像した。ファントムは蒸留水(T 値= 領域と脂肪抑制不良の関係の ㎳) 、 体型については患者体重によって痩せ型、普通、やや肥満、 値= 倍希釈 Gd 造影剤(T 値= ㎳) 、サラダ油(T ㎳)を入れたプラスチック容器 本とした。以 下の撮像条件で撮像したファントムの SNR および各ファ 点について検討を行った。 肥満に分け、また脂肪抑制不良が見られた乳房を乳頭を中 心に上下、内側、外側の 領域に分けて視覚的評価を行っ 23 た。 ④作成した補助具を用いて、撮像を行い再現性の検討を行 【結果】 脂肪抑制不良が見られた症例は年齢、体重ともに 高い傾向にあった。また、脂肪抑制不良の発生部位は乳房 自体が %、腋下や下腹などの乳腺外が %であった。 った。 【結果および考察】 膝関節屈曲 ° における ACL が、辺 縁明瞭に全容が描出され、最も描出できた。PCL、MCL、 【考察】 乳腺外の脂肪抑制不良の原因としては腋下の脂肪 LCL および半月板においては、屈曲角度の変化による描 や肥満体型の脂肪などが考えられる。これは年齢や体重が 出能の有意な差は認められなかった。撮像する診療放射線 高いほど増加してくるため、ポジショニングの際に年齢や 技師のポジショニングにより、膝の屈曲角度は若干誤差が 体型をひとつの目安として、しわやたるみの発生を防ぐこ 生じていたが、補助具を使用することで、屈曲 ° が容易 とで脂肪抑制不良を改善することが出来ると考えられる。 に担保できるようになり、より再現性の高い画像提供がで 【まとめ】 IBS を使うことで乳腺自体の脂肪抑制不良は きるようになった。 %程度に留まっていたが、乳腺外の脂肪抑制不良はこれ と同程度発生しており、さらなる画質向上には、乳房に加 水抑制を用いた H-MR Spectroscopy の測定条件の え IBS の効果の弱い乳腺外もポジショニングに注意する 検討 必要がある。 東京女子医科大学八千代医療センター 医療技術部画像検査室 ○茂木 膝関節 MRI 撮像における最適屈曲角度の検討 昭和大学病院 ○峯岸健太郎、佐藤 中井 久弥、守屋 克之、渋谷 徹、 中澤 率測定は、低脂肪含有率でも誤差の少ない良好な測定がで 定条件の検討は行っていなかった。そこで本研究の目的は 大学院保健医療学研究科 靖夫、佐藤 分解能を変化させることで測定値への影響を明らかにし、 久弥 本手法の至適条件を検討した。 統括放射線技術部 中澤 大輔 きる。しかしこの手法を用いた脂肪含有率測定の詳細な測 雄一 昭和大学 望、吉丸 【背景・目的】 水抑制を用いた H-MRS における脂肪含有 放射線室 【方法】 脂肪含有率 靖夫 【背景】 近年、膝の靭帯損傷の診断には、MRI 検査が必 条件の繰り返し時間を 算回数 要不可欠である。 当院における膝関節 MRI 撮像時のポジショニングは、 膝下にタオルを入れて、可能な限り膝関節を屈曲させてい %の既知ファントムを用いて、測定 ㎳、エコー時間を ㎳、信号加 、バンド幅 、ボクセルサイズを ㎜× ㎜ × ㎜とし、サンプルを させ、それぞれ 、 、 、 、 に変化 回ずつ測定を行った。Philips 社製 Achiva るが、明確な角度は決まっていない。そのため、撮像する .T 装置において、STEAM 法を使用して MRS 信号を 診療放射線技師により、膝関節の屈曲角度は若干誤差が生 取得し LCmodel にて解析した。得られた値に対し T 補 ずる。今回、我々は、膝関節の屈曲角度の再現性不良によ 正を行った。 り、ACL の走行が不明瞭であったことを経験した。膝関 節の屈曲角度の決定は、靭帯の再現性を担保する上で非常 【結果・考察】 サンプル 、 、 、 得られた。サンプル に重要である。 【目的】 膝関節の屈曲角度の変化により、靭帯の描出がど では測定誤差 .%、サンプル では測定誤差 .%以下の測定値が の測定誤差が小さくなったが、ス ペクトル分解能が低く、LCmodel での各脂肪スペクトル の%SD も高くなった事から、正しく測定できていない可 のように変化するか検討する。 【方法】 使用装置は、MAGNETOM Avanto .T(SIE- 能性がある。サンプルを 以上にするとスペクトル分解 MENS)を用い、使用コイルは knee coil を使用した。 能は高く、%SD は低い値となるが、サンプル 実験方法① knee coil を用い、伸展位( 信号の収集時間が長くなる為、実際の肝臓などの脂肪含有 ( ° ) 、最大屈曲位( ° )の ②評価は、診療放射線技師 次の ° ) 、軽度屈曲位 体位で撮像を行なった。 名と放射線科医 名で読影し、 項 目(ACL、PCL、LCL、MCL、半 月 板)の 描 出 について視覚的に評価・検討した。尚、撮像はボランテ ィア 名の協力を得て、当院の膝関節ルーチンシーケン ス Fat Sat Proton Density Coronal Image、Fat Sat Proton Density Sagittal Image を撮像した。 ③ 項目が最も明瞭に描出できる最適屈曲角度を算出し、 補助具を作成した。 24 では、 率測定では、呼吸による影響により正確な測定ができない と考える。 【結論】 測定条件はバンド幅 が望ましい。 においては、サンプル 頭部撮影における静音型 D-T シーケンスの基礎的検討 順天堂大学医学部附属順天堂医院 放射線部 ○大塚 秀二、高野 川崎 輝、濱崎 英生、福永 望、佐藤 出能向上の検討―背景信号について― 直、 東京女子医科大学病院 一星、芳士戸治義 【背景目的】 当院において、静音型 〇鈴木 D-T WI シーケン ス(以下 SilenzT )が頭部領域において使用可能となっ た。撮像時の騒音が 選択的 IR パルス併用 true SSFP 法による腎動脈末梢描 大沼 真、倉元 徳芳、谷畑 中央放射線部 達矢、福田 誠司、江島 大輝、竹内 昌美、 光弘 【目的】 選択的 IR パルス併用 true SSFP 法には、脂肪抑 dB 以下である SilenzT は、MR 独 制法として非選択的 IR パルスを使用することができる。 特の音による侵襲がなく、今後多くの撮像に利用されると よって、選択的 IR パルスが印加されている部分は double 考える。SilenzT は従来法である D-FSPGR 法と同様に IR となり、撮像間隔に依存して複雑な信号挙動を示す。 IR パルスを前処置パルスとして印加し T コントラスト これを利用して、背景の水信号を抑制することが可能であ を強調しているが、k-space ordering には radial sampling ることが知られている。一方、選択的 IR パルス併用 true を使用し Ultrashort TE を用いているのが大きな特徴で SSFP 法で腎動脈撮像の際に、腎盂尿管が描出されてしま ある。そこで我々は、臨床導入にあたり頭部撮像の基礎的 い、末梢血管の読影の妨げとなることを経験している。そ 検討として SilenzT と、 D-FSPGR 法と比較検討したの こで本研究では、撮像間隔と BBTI、非選択的 IR パルス で報告する。 の TI の変化における検討を行った。 【使用機器】 GE 社製 Discovery MR w Expert .T 【方法】 今回の実験に使用するファントムは、白質・灰白 【方法】 撮像装置は .テスラ MRI 装置(東芝社製 Vantage Titan)を使用した。ファントム実験として、日興フ 質を想定した造影剤を希釈したもの、および水とオイルを ァインズ社製 − それぞれ封入したものを自作した。 ンを使用し、そこにサラダ油と精製水を加えた。撮像パラ SilenzT シーケンスパラメータである Prep 時間・デ ータ収集時間・Recovery 時間が設定が可能であるため、 データ収集時間を ⅿ ・Recovery 時間を ⅿ 固定とし Prep 時間を ∼ ⅿ までそれぞれ ∼ ⅿ メータは TR .㎳、TE .㎳、スライス厚 .㎜、FOV × 、matrix 撮像間隔を ご ファントムのコントラストセクショ ㎳から × 、とした。その条件をベースとし、 ㎳から ㎳まで ㎳まで ㎳間隔、BBTI を ㎳間隔、TI を ㎳から ㎳まで とに変化させ、自作したファントムを撮像した。また、同 ㎳間隔とし、それぞれ変更して撮像した。得られた画像よ 様に従来法として臨床使用している りファントムの信号値を計測し、水の null point を求めた。 D-FSPGR 法を撮像 した。得られた結果から CNR を求め比較検討を行った。 【結果】 Prep 時間が ⅿ 以下 ⅿ 以上の場合、検討 また、求めたパラメータに対して健常ボランティアでの撮 像を行い、背景信号や尿管の見え方について検討した。 したどの Recovery 時間でも CNR は低下する傾向だった。 【結果】 撮像間隔 Recovery 時間は、長く設定するほど CNR が上昇したが、 ㎳、撮像間隔 撮像時間は延長した。 ㎳では BBTI が約 時間を ∼ ⅿ D-FSPGR 法と比較すると、Prep 、Recovery 時間を ⅿ 以上に設定す ることで、同等以上の CNR が得られた。 が約 ㎳時の水の null point は BBTI が約 ㎳では BBTI が約 ㎳、撮像間隔 ㎳、撮像間隔 ㎳では BBTI ㎳となった。また、非選択的 IR パルスの TI が 長いほど、水の null point も若干延長する傾向であった。 【考察】 SilenzT も従来法同様に Prep 時間、データ収 【考察】 撮像間隔と水の null point との関係は過去の報告 集時間および Recovery 時間の合計は shot interval 時間 よりも若干値が異なっていた。過去の報告では人体で膀胱 となり Prep 時間の設定は、shot interval 時間で最適化す の信号を用いての検討であったため、撮像間隔の揺らぎや、 る必要がある。また、Recovery 時間は SNR にも影響する 精製水と尿の違いなどによる影響が考えられる。しかし、 パラメータであり撮像時間にも影響する。今回検討した結 今回の検討により脂肪信号と水信号の撮像間隔と BBTI、 果から頭部撮像の条件は、Prep 時間 間 ⅿ ⅿ 、Recovery 時 の設定が最適化された条件であった。SilenzT においてパラメータの適切な組み合わせに よ り、 D- TI の変化による傾向は把握ができた。これにより、腎動 脈撮像の際に尿管の信号が現れないような撮像条件で検査 が可能であった。 FSPGR 法と同等以上の CNR を得つつ、なおかつ撮像時 間の短縮が可能であった。 選択的 IR パルス併用 true SSFP 法による腎動脈末梢描 出能向上の検討―基本パラメータについて― 東京女子医科大学病院 〇福田 大沼 大輝、倉元 徳芳、谷畑 中央放射線部 達矢、鈴木 誠司、江島 真、竹内 昌美、 光弘 【目的】 選択的 IR パルス併用 true SSFP 法は、造影剤を 25 用いずに血管を高信号に描出する手法として用いられてい 周波数への影響を検討した。撮像条件は臨床使用している る。選択的 IR パルスを印加してから true SSFP が始まる 撮像条件を用いて、再構成法は OSEM 法と FBP 法の までの時間は BBTI(black blood time interval)と呼ば 類を使用し、それぞれの再構成法において TEW 法による れ、BBTI が長くなるほど、血液が末梢血管に行き渡るが、 散乱線補正をした場合(以下 SC+)としていない場合(以 同時に背景信号も回復してきてしまい、末梢血管の描出能 下 SC−)とで NMSE 法にて最適な遮断周波数を算出し比 は低下する。一方、腎腫瘍の部分切除後の合併症として、 較した。NMSE の算出は、 時間収集したものをリファ 腎動脈末梢に発生する仮性動脈瘤などがあり、検索方法と レンス画像、収集 分毎に分割したものをターゲット画像 しては第一に造影 CT が挙げられるが、造影剤の使用や被 とし、遮断周波数は . ∼ . [cycles/㎝]まで変化させ ばく線量が問題となってくる。そこで、本研究では腎動脈 部分切除後の腎動脈末梢血管の描出能の向上を目的とした 種 た。減弱補正は無しとした。 【結果・考察】 OSEM 法で収集開始時間を変化させたと き、SC+の時も SC−の時も、最適な遮断周波数は . [cy- パラメータの検討を行った。 cles/㎝]となった。 I(半減期 . 時間)の物理的な tage Titan) を使用し、撮像シーケンスは選択的 IR パルス 減衰で、カウントは 時間で %程度減少するが、それに 併用 true SSFP 法を使用した。 撮像対象は健常ボランティ よる最適な遮断周波数への影響は小さいことが示唆された。 ア また FBP 法においても、散乱線補正の有無に関わらず遮 【方法】 撮像装置は .テスラ MRI 装置(東芝社製 Van- 名を対象とし、①選択的 IR パルスの位置、②飽和パ 断周波数が . [cycles/㎝]のとき NMSE の値が最小とな ルスの位置、③撮像断面、④ BBTI の検討を行った。 【結果】 選択的 IR パルスの位置は、一般的な腎動脈分岐 部に配置する方法を採用した。飽和パルスは、腎臓下縁へ 強度を最大にして配置するものを採用した。撮像断面は横 断像よりも、冠状断像を採用した。最適な BBTI は ㎳ り、OSEM 法と同様の結果が得られた。 【結語】 十分な収集カウントが得られる線条体イメージン グにおいて、収集開始時間を 時間から 時間まで変えて カウントが %程度低下しても、前処理フィルタの最適な 遮断周波数に影響はなかった。 であった。 【考察】 選択的 IR パルスを片腎だけに配置することで、 腎動脈末梢の描出能が向上するかと思われたが、末梢血管 C-methionine による BPA 集積量の評価に関する検討 の描出能には大差がなかった。全体の信号値から判断して、 ∼ F-FBPA との比較∼ 分岐部より両側の腎動脈が確認できる従来法がよいと判断 首都大学東京 した。飽和パルスの検討では、飽和パルスを印加すること ○中澤 により、安定して下大静脈信号を抑制できることがわかっ 国立がん研究センター東病院 た。撮像断面は一般的には横断像が in flow を利用できて 吉本 よいとされているが、横断像では呼吸によるアーチファク 脩人、井上 光喜、藤井 一雅、福士 政広 博史 【目的】 膠芽腫等の難治性悪性腫瘍の新規治療法として トが腎臓周囲まで及ぶことがあり、撮像時間の観点からも B-ホウ素フェニルアラニン(BPA)を用いた中性子補足 冠状断が望ましいという結果となった。BBTI は流速など 療法(BNCT) が期待されている。BNCT の治療効果は BPA で個人差があると考えられるが、今回の検討では の腫瘍集積量に依存しているため、BPA 集積量を正確に ㎳が 予測することが求められている。現在、BPA を F で標識 最適であった。 し た F 標 識 ボ ロ ノ フ ル オ ロ フ ェ ニ ル ア ラ ニ ン( FFBPA)による臨床研究が進められているが、 F-FBPA 一般研究発表 核医学 線条体イメージングにおける前処理フィルタの遮断周波数 の合成は特殊であり、一般的なサイクロトロン施設での合 の基礎的検討 成は困難である。一方、同じアミノ酸製剤である C−メ チオニンを用いた脳腫瘍 PET 検査は広く普及している。 順天堂大学医学部付属 順天堂東京江東高齢者医療センター 放射線科 ○野口 聡、佐藤 善孝、奥山由美子、木村 そこで、 C-メチオニンによる BPA 集積量予測の可能性 謙一 について培養細胞系を用いて検討した。 【目的】 線条体ファントムを用いて収集開始時間の違いが 【方法】 実験には、 C-メチオニンの代わりに、基礎実験 前処理フィルタの遮断周波数に対して与える影響の基礎的 に汎用されている C-メチオニンを用いた。 C-メチオニ 検討を行った。 ン、 C-D-BPA、 C-L-BPA、 F-FBPA を 【方法】 線条体ファントム( ンド= : I を線条体:バックグラウ で注入)を Fan beam コリメーターで撮像 し、収集開始時間を 時間から 時間まで変化させたとき の前処理フィルタ(Butterworth filter=次数 26 )の遮断 分間又は 分 間、腫瘍細胞とインキュベートすることにより集積率を求 めた。 【結果・考察】 C‐D‐BPA はすべての腫瘍細胞において 他のアミノ酸トレーサーと比較して著しく低い集積を示し た。これは立体構造の違いによると考えられた。 C‐メチ 差が± %程度含まれているため、body ファントムのみ オニンおよび F‐FBPA の集積率は、 C‐L‐BPA 集積率と の場合の誤差はこの要因によるものであると考えられる。 よく相関した。しかし C‐メチオニンに比べ F‐FBPA の 一方で、腕ファントムを設置した場合の誤差要因は、①腕 方が C‐L‐BPA と近い集積率を示した。腫瘍細胞では、 ファントムが存在により X 線透過長が長くなり、CT 画像 中性アミノ酸トランスポーター system L の発現が上昇し 上にビームハードニングの影響が生じた、②腕ファントム ており、メチオニンやフェニルアラニンは主に system L の存在により PET 計測において散乱線量が増加した、③ を介して腫瘍細胞に取り込まれる。しかし、メチオニンの 再構成 FOV サイズを小さくすることによりトランケーシ 輸送には system L 以外のトランスポーターも関与してい ョンエラーが生じたことが考えられる。 ることが報告されている。このことから、相関関係に違い が現れたのだと考えられる。 小動物用 SPECT/CT 装置を用いた小動物イメージング 【結論】 インビトロ実験により、 C‐メチオニンと C‐L‐ における至適撮像条件の検討 BPA の集積量の相関関係を確認することができ、 C‐メ 首都大学東京 チオニンが BNCT 適応患者の選別に有用である可能性を ○藤田 示すことができた。今後、動物実験によりその可能性を証 国立がん研究センター東病院 明する必要がある。 梅田 新志、井上 泉、大貫 一雅、福士 和信、藤井 政広 博史 【目的】 マルチピンホールコリメータ(MPC)を装備し PET/CT 撮影時の体位の違いが体幹部の測定値に与える た小動物用 SPECT/CT 装置の基本性能評価および実際の 影響 マウス SPECT イメージングを想定した至適撮像条件の検 首都大学東京 討を目的とした。 ○川端 一広、井上 一雅、福士 政広 【方法】 小動物用 SPECT/CT 装置を用いて、 開口径 .㎜、 国立がん研究センター中央病院 北村 秀秋、光野 譲、井原 .㎜、 .㎜の MPC を装着して 完有、麻生 智彦 ⅿTc に対する空間分解 能、感度および直線性を評価した。また、総収集時間、投 【目的】 F-FDG を用いた PET 検査時の体位は、被検者 影方向数、可視化可能な放射能下限濃度を空間分解能およ の状態に応じて腕を拳上した場合と体幹部に沿わせて行う び均一性から評価して、小動物に対する至適撮像条件の検 場合がある。本研究では、この体位の違いが体幹部の放射 討をした。小動物を用いた検討で は、C BL/ 能濃度に与える影響について検証した。 【方法】 腕の有無による影響を比較するために、NEMA/ IEC body ファントム( . kBq/mL) のみを設置した場合 に マウス ⅿTc‐フチン酸を尾静脈より投与して、撮像後に肝臓、 脾臓、腎臓、血液および体の重量と放射能を測定した。 【結果】 種類の MPC を装着してそれぞれの基本性能を と、その両側に腕を模擬した円筒型水ファントム(直径 評価した結果、空間分解能は最良で .㎜、感度は最大 ㎝)を設置した場合において得られる PET 画像の画質を cps/MBq であった。また、 .− 比較した。画像解析では、腕ファントムが存在する場合は 度領域において良好な直線性があった。 箇所、body ファントムのみで 箇所に ROI を設定した。 ⅿTc‐フチン酸を MBq/mL の放射能濃 .MBq 投与したマウスでは、肝臓 評価領域は、両腕間の帯域とそこから上下の三層に分けて に . MBq/ℊ、脾臓に . MBq/ℊの放射活性集積が認 上段を A 層、中段を B 層、下段を C 層とした。個々の層 められ、画像として臓器が認識できた。一方、腎臓への集 に含まれる ROI の平均放射能濃度を算出して、body ファ 積は . MBq/ℊに留まり、この集積量では可視化は不 ントム内の既知放射能濃度を基準として誤差率を算出した。 可能であった。 減弱補正は、CT 画像を用いた CTAC 法を用いた。PET 【考察】 臨床用の装置は、空間分解能および感度が . 画像再構成を実施する FOV サイズは、腕ファントムが再 ㎜以上および 構成 FOV 内に完全に含まれる場合( ㎝) 、一部が FOV 小動物用装置の基本性能はそれより遙かに優れていた。し から外れる場合( ㎝) 、全てが FOV から外れる場合( かしながら、小動物を扱う場合、投与できる放射活性が極 ㎝)の めて制限されることから、このような高性能の上にさらに 種類の画像に対して検討を行った。 cps/MBq 程度であり、本研究で検討した 【結果】 Body ファントムのみの場合、FOV サイズに依 極力多くのカウントを集積することが必要であり、検討の 存せずに誤差率は最大で .%と低い結果となった。一方 結果、小動物イメージングの至適撮像条件として、 .㎜ で、腕ファントムを設置した場合、C 層では FOV に依存 MPC を用い、体軸方向撮像範囲 ㎜の場合、総収集時 せず誤差率は低かったが、B 層ではいずれの FOV におい 間 分以上、投影方向数 ても各層の中で誤差率が高い傾向を示した。 集積放射能濃度 .MBq/mL 程度が必要と考えられた。 projection 以上、標的部位での 【考察】 本実験系では、測定時における有効数字の丸め誤 27 NaI(Tl)シンチレータ厚の違いが SPECT 基本性能に及 ボンサーベイ法を実施した。また、島内 地点において、 ぼす影響 ポケット式シンチレーションサーベイメータを設置して 首都大学東京 ㎝線量当量率(μSv h− )を計測した。得られた結果は、 ○鈴木 優太、井上 一雅、福士 換算係数 .(Sv Gy− )を用いて空間線量率(nGyh− に変 政広 【目的】 NaI(Tl)シンチレータ厚の違いが SPECT 装置 換した。また、得られた結果をもとに、年平均実効線量を の基本性能に及ぼす影響を検討するために、日本画像医療 算出した。加えて、島内の 地点において土壌を採取して、 システム工業会規格に準拠して基本性能評価を実施した。 高純度 Ge 半導体検出器を用いて土壌中の放射能濃度の計 / 【方法】 inch 厚の NaI(Tl) シンチレータを装備した SPECT/CT 装置(単体装置:Symbia Intevo, Siemens) を用いて、固有空間分解能、固有計数率特性、総合空間分 測を行った。得られた波高分布から核種解析を行い、 および Cs の放射能濃度(Bq ㎏− Cs )を計測した。 【結果】 島北東部において比較的高い空間線量率を観測し 解能、総合感度および SPECT 空間分解能評価を実施した。 た。また中央に位置する三原山を挟んで島の南部では低い 得られた結果は、 inch 厚の NaI(Tl) シンチレータを装備 空間線量率を観測した。 ポケットサーベイメータを地上 ⅿ した SPECT/PET 兼用装置(兼用装置:Infinia Hawkeye の位置に設置して得られた空間線量率は、 .± .nGy h− ( .∼ ,GE Healthcare)の基本性能と比較した。 【結果】 単体装置における固有空間分解能および固有計数 は、 . ⅿSv .nGy h− )であった。年平 均 実 効 線 量 y− と推定された。土壌中の平均放射能濃度 率特性(最大観測計数率)は、それぞれ .㎜(FWHM) は、 Cs で .± .Bq/㎏( および ± kcps であり、兼用装置と比較して . 倍および Bq/㎏( − − Bq/㎏)、 Cs で . Bq/㎏)であった。 cpm/MBq 【考察】 島内全域の空間線量分布により、島内の北東部で であり兼用装置より . 倍高い感度を示した。SPECT 空 南部と比較して高い空間線量率を計測したことは、事故後 間分解能は、 .㎜(FWHM)であり、単体装置のほう に放射性プルームが F ‐NPP が位置する北東方向から飛 が . 倍良好な結果となった。 来して湿性沈着してから同様の傾向を示している。定点測 .倍良好な結果を示した。総合感度では、 【考察】 固有および総合空間分解能評価について、いずれ 定法において得られた空間線量率から、島内全域の平均値 においても単体装置のほうが良好な結果を示し、NaI(Tl) は、昨年から .%、 シンチレータ厚の違いによる影響が明確となった。シンチ 同様に、土壌中の レータ厚は、単体装置では keV(Tc‐ ⅿ) 、複合装置 線量率と同様に年々減少傾向を示した。伊豆大島は、台風 keV(陽電子放出核種)を効率よく検出可能な厚さ の通り道であり降水量が多いため、放射性核種が除去され で となっている。しかし、シンチレータが厚くなるにしたが 年から .%の減少を示した。 Cs および Cs の放射能濃度も空間 やすい環境にあると考えられる。 い、シンチレーション光が光電子増倍管に到達するまでの 距離が長くなるため、分解能が劣化したと考えられる。一 簡易形線量計の測定範囲拡大に関する検討 方で、最大観測計数率および総合感度では、シンチレータ 首都大学東京 の厚い兼用装置のほうが良好な結果を示すと予想されたが、 ○浜野 比較した装置製造メーカが異なるため、光電子増倍管など 川島 の電気回路の性能に依存した結果になったと考えられる。 東洋公衆衛生学院 齋藤 一般研究発表 放射線管理・防護・計測 伊豆大島における空間線量率および土壌中放射能濃度の推 移 ○古江 泉、能野 裕菜、 祐樹 群馬県立県民健康科学大学 根岸 徹 の確認が重要である。この目的のため簡易形線量計が開発 麻衣、井上 一雅、福士 政広 されているが、幅広い線量範囲をカバーするには感度面で 群馬県立県民健康科学大学 課題があった。今回、X 線出力線量から受像器面内線量ま 雅人 での幅広い範囲に対応可能な簡易形線量計を製作し、評価、 【目的】 福島第一原子力発電所事故後から 年経過した伊 豆大島において、空間線量率および土壌中の放射能濃度を 計測して事故直後に得た過去データと比較検討した。 【方法】 年 月に伊豆大島において調査を実施した。 空間線量率の測定においては、 −in× −in NaI(Tl) シンチレーションスペクトロメータを車内に設置してカー 28 真治、小倉 綾乃 【目的】 診断用 X 線装置の日常管理には装置の X 線出力 首都大学東京 杉野 美月、安部 美幸、山崎 検討を行った。 【方法】 簡易形線量計(MDM-D:首都大)は、従来の簡 易線量計の感度向上と広い線量範囲に対応するため、より 高感度のホトダイオードを選択した。また、非反転増幅器 (検出器)の増幅率を切替式(① X 線出力用:通常感度、 ②受像器面用:高感度)とし、各々最適な出力値が得られ る抵抗値を選択した。X 線装置(KXO- G:東芝)に管 より、各施設で定期的に X 線装置の品質管理を実施する 電圧・管電流計(AB- ことで、改めて線量測定を行うことなく装置の形式やリプ 離箱形線量計( E:トーレック)を接続し、電 , × − :Radcal)を用い、簡易 ル百分率、総ろ過などの影響を受けない撮影条件に応じた 形線量計の出力値を、マイクロコントローラ(PIC F ) 患者入射空気カーマの評価が可能である。さらに品質管理 にて①、②に対応したプログラムを作成し、校正した。校 データの HVL と照射野の関係より、後方散乱係数(BSF) 正後の線量値の測定精度、各種特性について を加味した入射表面線量の把握も可能と考える。 と比較検 討した。 【結果・考察】 MDM-D の非反転増幅器の抵抗値は、①で kΩ、②では MΩ がよい相関が得られこの値を選択し 日常管理における乳房撮影装置の線量評価に関する検討 首都大学東京 た。電離箱形線量計との相対誤差は、管電圧変化( ∼ ○山 kV)で− .∼ .%、高管電圧側で若干管電圧依存性が 能野 大きい傾向にあるが 東京都立墨東病院 管電流変化( 変化( .∼ ∼ kV ではほぼ %以内であった。 mA)で− .∼+ .%、照射時間 ㎳)では− .∼+ .%程度の誤差であり、 綾乃、安部 小林 美月、 剛 埼玉県済生会川口総合病院 土田 では、管電圧 kV において被写体厚特性 PMMA ㎝(従 首都大学東京大学院 来は 松浦 (MDM-D)により、一般撮影領域でのほぼ全領域の測定 美幸、浜野 裕菜 X 線出力の再現性も良好であった。②を用いた AEC 管理 ㎝)まで対応可能となった。改良型簡易形線量計 真治、川島 拓治 由佳 【目的】 乳房撮影領域の品質管理において、平均乳腺線量 が可能となり、日常管理用線量計として有用と考える。 (以下 AGD)を算出することが重要である。AGD 測定は、 X 線装置の品質管理データを用いた被ばく線量評価の検討 HVL 測定、検出器の実効入射面での入射空気カーマ測定 首都大学東京 など多くの手間と時間を必要とする。今回、日常管理にお 品質管理マニュアルによる方法などがあり、AEC 試験、 ○能野 川島 健康福祉学部 裕菜、安部 美幸、山 真治、小倉 泉、浜野 美月、 綾乃 いて入射空気カーマおよび AGD の簡易測定方法について 検討した。 【目的】 X 線装置の性能維持には、定期的な装置の品質管 【方法】 乳房用 X 線装置(MGU‐ B:東芝) に管電圧・管 理を実施するとともに、装置毎の出力線量を把握しておく 電流計(AB‐ ことが重要である。今回、インバータ式装置の品質管理を 量計( 行うとともに、品質管理データから患者被ばく線量の評価 射空気カーマ、AGD を求め、品質管理マニュアルによる 方法について検討した。 方法(正規法)と簡易方法について検討した。簡易法①: 【方法】 直接測定システム管電圧管電流計(AB‐ 、 × − M : Radcal) 、PMMA を 用 い、入 E: ファントム横に線量計検出部を配置し、AEC 試験と同時 − (Radical) に線量を測定し、測定位置の補正によって入射空気カーマ で校正した非接続形測定器(ThinX RAD : Unfors) 、クラ を算出する。簡易法②:各ファントム厚、各管電圧、各タ ンプ式管電流計(BY‐ ーゲット/フィルタごとにⅿGy/ⅿAs を求め、入射空気 トーレック、電離箱形線量計 バータ式 X 線装置 、 × D:トーレック)を接続し、電離箱形線 N:トーレック)を用い、イン 機種について管電圧、管電流、線量、 半価層(HVL)などの各種評価を行った。また、品質管 理データの管電圧と線量の関係より、撮影条件と患者入射 空気カーマとの関係について検討した。 【結果・考察】 現在一般に普及しているインバータ式装置 カーマを算出する。AGD は最初に測定した HVL を用い た。上記①、②の方法について正規の方法と比較検討した。 【結果・考察】 正規法と比較し、入射空気カーマおよび AGD の相対誤差は、簡易法①で± %、簡易法②で± 以内であった。簡易法①では、PMMA % ㎝では、線量計 の品質管理を行った。インバータ式装置全体では、管電圧 の実効入射面の高さ調整は不可能なため、距離の逆 誤差− %以内、管電流誤差− .∼+ .%以内 により算出した。簡易法②は若干精度が劣るが、AEC 作 であり、管電流誤差が若干大きい傾向にあるが各装置とも 動時のⅿAs 値の把握により、入射空気カーマ及び AGD JIS の許容差を十分に満たしていた。また、管電流と線量、 の算出が可能であり、線量計のない施設での日常管理に有 照射時間と線量については、いずれもよい直線性がみられ 用と思われる。今回検討した簡易法は、受入試験や定期点 た。品質管理データから各装置の管電圧とⅿAs あたりの 検時にはマニュアルに基づいた測定を実施し、正規法との 線量(μGy/ⅿAs)の関係より近似式を求めることにより、 関係を定期的に把握しておくことにより、日常管理におけ 実際の撮影条件(管電圧、ⅿAs 値、SSD)から直ちに装 る入射空気カーマや AGD の線量管理に有用と思われる。 ∼+ 乗則 置毎の患者入射空気カーマの算出が可能となった。これに 29 日常管理用簡易形線量計の管電圧特性改善に関する検討 首都大学東京 ○上部 健康福祉学部放射線学科 星雄、瀬名波 慎、小倉 回、新たに日常管理用としてホトダイオード検出器を用い た乳房用簡易形線量計を開発し、検討した。 泉、安部 真治 【方法】 乳房用簡易形線量計(MDM-M:首都大)を作製 【目的】 筆者らは診断用 X 線装置の日常管理に用いる簡 易形 X 線出力計について検討している。前回、直接線量 し、非反転増幅器(検出器)の増幅率について各種比較し、 最適な出力値が得られる抵抗値を選択した。出力値の確認 (μGy)を表示できることを示したが、低管電圧側と高管 は、乳房用 X 線装置(MGU‐ 電圧側で電離箱線量計の指示値と差が大きい傾向が見られ 流計(AB‐ た。ここで、現在行っている日常管理では、管電圧 、 、 計( 、 B:東芝)に管電圧・管電 D:トーレック)を接続し、電離箱形線量 ・ X ‐ M : Radcal)により行なった。MDM‐M kV について X 線出力の変動を確認している。そ の出力値を、マイクロコントローラ(PIC F )にて、 こで今回、これらの管電圧値における表示線量の精度向上 Mo/Mo、Mo/Rh の組合せに対応したプログラムを作成し について検討した。 校正後、MDM‐M の測定精度、各種特性について 【方法】 一般撮影用 X 線装置(UD 電圧管電流計(AB‐ B‐ :島津)に管 E:トーレック)を接続し、管電 圧、管電流の確認を行い、電離箱線量計( :Radcal) で校正された半導体線量計(ThinXRAD : Unfors)を用い て、管電圧 、 、 、 kV における補正係数を求め た。次に本体(計測表示部)に外部入力スイッチを新たに 個設置し、この ON・OFF の組み合わせにより補正す る管電圧値( 、 、 、 kV)を指定し、液晶表示器 と 比較検討した。 【結果・考察】 MDM‐M の非反転増幅器の最適な抵抗値 は、Mo/Mo、Mo/Rh とも kΩ が最も良い相関が得られ、 との相対誤差は、管電圧変化( この値を選択した。 ∼ kV)で Mo/Mo− . ∼ .%、Mo/Rh− . ∼ .% であった。管電圧依存性が若干あるが、 とのよい相関 がみられるため、近似式の作成でより高い精度の測定が可 能と考える。ⅿAs 値変化( ∼ ⅿAs) では、Mo/Mo− に表示した。X 線照射後にこの情報をもとに、あらかじめ . ∼ . %、Mo/Rh− . ∼ . %であり、よい直線性 設定した補正係数を用いて直接線量(μGy)を計算して表 がみられ、X 線出力の再現性も良好であった。今回構築し 示した。 た乳房用簡易形線量計は、ほぼ良好な特性を有し、材料費 【結果】 従来、管電圧 、 、 、 kV において、電 離箱線量計の指示値に対する相対誤差は、− .%、 − .%、 .万円程度で可能なため、臨床施設における乳房用 X 線 装置の日常管理において有用と考える。 − .%、 − .%であった。今回、各管電圧値の直接線量 に対して補正を行うことで、相対誤差は .%、.%、.%、 都立病院と連携した新しい X 線装置日常管理システムの − .%となり大幅に改善できた。 構築 【考察】 現在、補正できる管電圧は 、 、 、 kV 首都大学東京 であるが、各施設で日常管理に用いる管電圧値についてプ ○安部 ログラム上で個々に補正係数を設定することで幅広い対応 東京都立神経病院 が可能である。また、外部入力スイッチをさらに 目崎 個追加 真治、小倉 泉 神経放射線科 高志 することで、 種類の管電圧値について補正することが可 東京都立多摩総合医療センター 能である。なお、本測定器は照射時間も同時測定でき、オ 山村浩太郎 シロスコープを接続することで線量波形も観測できるため、 東京都立駒込病院 日常管理用の簡易形線量計として有用と考える。 中村 診療放射線科 放射線診療科 公行 【目的】 X 線装置の品質維持には日常の品質管理が重要で 乳房用簡易形線量計の開発 ある。我々は 首都大学東京 ○川島 浜野 美幸、安部 美月、能野 都立病院の管電圧、管電流、照射時間、線量、半価層など 真治、小倉 泉、山 綾乃、 裕菜 群馬県立県民健康科学大学 根岸 年より非接続形測定器システムを用いて、 徹 【目的】 近年、医療被ばくの関心の高まりとともに、マン 年間の精度管理を実施してきた。今回、開発した簡易形線 量計やクランプ管電流計を都立病院に配置し、臨床施設に おける新たな日常管理システムの構築について検討した。 【方法】 日常管理を目的に開発した簡易形線量計(MDM) 台、クランプ管電流計(MCM) 台を製作し、オシロ モグラフィにおいても診断に最適な画質と線量の把握が重 スコープ 要であるが、線量把握に必要な線量計は高額であり、臨床 MDM、MCM の値は、一般撮影用 X 線装置(KXO‐ G: 施設で線量計のない施設も多くみられる。このため、日常 東芝) 、管電圧・管電流計(AB‐ 管理では、廉価で簡便に測定可能な線量計が望まれる。今 よび電離箱形線量計( 30 台を用いた簡易形測定システムを構築した。 E:トーレック)お :Radcal)を用いて校正した。 製作・校正後の測定器は逐次都立病院等 施設( ブロッ 【検討項目】 ・正確に計測できる画像か。 ・それぞれ ク)へ配置し、都立病院と連携した X 線装置日常管理シ の LL と PI 角を計測し、検者内と検者間の級内相関係数 ステムを構築した。 (ICC)を求めた。 【結果・考察】 測定器システムの相対誤差は、MDM( 台)では、 の線量値と比較し、− kV)であり、 kV 及び あった。また、MCM ( と 比 較 し、± %以内( ∼ kV で若干誤差が大きい傾向に 台)では、AB‐ %以 内( ∼ E の管電流値 ⅿA)で あ り、 ⅿA ・各 回計測した平均の LL と PI 角 から Pearson の相関係数を求めた。 【結果】 立位骨盤側面、全脊椎側面で計測が難しい症例で も、立位 TS では全例で明瞭に観察でき確信度の高い計測 ができた。検者内および検者間 ICC は LL、PI 角でそれぞ れ、立位 TS( . 、 . ) 、 ( . 、 . ) 、立位骨盤側面 で若干誤差が大きい傾向にあった。相対誤差は測定器シス 、 ( . 、 . ) 、 ( . 、 . ) 、全脊椎側面( . 、 . ) テム全体でほぼ %以内であり、近似式による補正に ( . 、 . )と LL、PI 角ともに立位 TS の再現性は高か よってさらに高い精度の測定が可能と考える。また、本シ った。また Pearson の相関係数は . 以上で高い正の相 ステムでは、線量、管電流、照射時間及び波形測定が可能 関関係が認められた。 ∼ である。臨床施設において、受入試験や定期点検では、直 【考察】 LL、PI 角ともに撮影時の姿勢による骨盤の前後 接接続形測定器や非接続形 X 線測定器などによる各種項 弯や椎体上縁が変化する可能性や人為的な計測による偶然 目の試験を行い、日常管理においては、簡易形測定器を常 誤差の可能性は否定できないが、立位 TS は確信度の高い 時配置し、線量などの X 線出力を定期的に把握すること により、X 線装置性能の品質維持や管理に有用と考える。 計測ができるので非常に有用だと思われる。 【結語】 立位 TS は LL と PI 角の評価方法として有用で ある。 一般研究発表 一般撮影・血管撮影 立位トモシンセシスを用いた腰椎前弯角と 変形性膝関節症の骨塩定量検査における膝関節伸展位側面 Pelvic incidence の評価方法の検討 撮影用補助具の検討 東京女子医科大学病院 昭和大学病院 〇堀内 中央放射線部 悠平、森田康介、青葉 薫、川島 春一 ○内山 放射線室 匠、橘高 大介 東京女子医科大学 整形外科 昭和大学大学院保健医療学研究科 油井 任彦 佐藤 充、大鶴 ㈱島津製作所 西 医用 G マーケ部アプリ G 久弥、中澤 靖夫 【目的】 当院では、人工膝関節置換術(以下 TKA)前後 章 で膝関節の骨密度の比較を行っている。TKA 施行後はイ 【背景・目的】 第 回東京部会で我々は立位トモシンセシ ンプラント周囲の骨密度が低下するため、その評価として ス(TS) を用いた Pelvic incidence(PI 角)の有用性を報告 骨塩定量検査を行っている。そのため、骨塩定量検査の膝 した。しかし Schwab らは腰椎前弯角(LL) の正常値を PI 関節側面撮影は、骨密度の解析範囲に膝関節を広く含める 角± 度としており LL と PI 角の計測が非常に重要であ 必要があり伸展位の撮影を行っている。また、TKA 前後 る。そこで立位 TS を用いた LL と PI 角計測の有用性を で同じ ROI を用いて骨密度の測定を行うため、大腿骨内 検討したので報告する。 外顆が揃った正確な側面像が求められる。しかし、変形性 【対象】 当院倫理委員会承認の下、同意を得た腰椎、股関 節に疾患を有する患者 例 膝関節症では腫脹や変形によりポジショニングが難しく再 撮影が多い状況である。そのため、骨塩定量検査における 【使用機器】 島津社製 SONIALVISION safire AZE 社 DWS、統計解析ソフト R‐ .. 膝関節伸展位側面撮影用補助具を作成し、その有用性の検 討を行った。 【方法】 全脊椎側面像と立位 TS と浜松医大整形外科が推 【方法】 変形性膝関節症の下肢 CT より D 画像を作成し、 奨する立位骨盤側面単純像を比較した。撮影基準は clav- 大腿骨内外顆が揃う下腿挙上角度及び内外旋角度の計測を icle position に準じ透視下にて両側大腿骨頭前後を揃え、 行った。計測結果を用いて補助具の作成を行った。補助具 立位 TS、立位骨盤側面は第 胸椎から大腿骨頭が含まれ による X 線吸収が骨塩定量の検査結果に及ぼす影響を、 る範囲を撮影した。 ファントムを用いて検討を行った。臨床症例より補助具使 【計測方法】 立位 TS、全脊椎側面、立位骨盤側面から LL と PI 角を計測する。LL は第 腰椎上縁と仙骨上縁のなす 角とした。計測順序は全脊椎側面→立位骨盤側面→立位 TS の順とし、計測者 を行った。 名で 週間の間隔をあけ 回計測 用前後でのポジショニング回数の比較を行い、補助具の有 用性の検討を行った。 【結果】 大腿骨内外顆が揃う下腿挙上角度は .± .° 、 外旋角度は .± .° であった。そのため、下腿挙上方向 に .° 、外旋方向に .° の傾斜を設けた補助具の作成を行 31 った。作成した補助具は骨塩定量検査の解析結果に影響を 与えず、臨床において使用できることが立証された。補助 具使用前は最大 後は 回のポジショニングを行っていた。使用 回のポジショニングで大腿骨内外顆をそろえること が可能となった。 各電圧で高密度グリッド比 : が低密度グリッド比 : より露出倍数は小さく、コントラスト改善度・選択度は 高い数値を示す。 【結語】 低密度グリッドと高密度グリッドを比較検討した。 高密度グリッドのグリッド比を低密度グリッドより ポイ 【考察】 骨塩定量検査における膝関節伸展側面撮影用補助 ント高いグリッドを使用することにより、露出倍数は減少 具は、下腿挙上及び外旋角度の補正ができるため、再撮影 しコントラスト改善度及び選択度は高くなる。すなわち、 が減少したと考えられる。また、補助具の素材としたスタ 被ばくの減少とともに画質の向上が期待できる。 イロフォームの原料であるポリスチレンは、低原子番号物 質で構成されており、また、体積の大部分が気体で構成さ D-RA における偽狭窄アーチファクト低減の試み れているため、X 線吸収が少なく骨塩定量検査の検査結果 昭和大学大学院 に影響しなかったと考えられる。 ○橘高 大介 昭和大学病院 従来のグリッドと高密度グリッドの性能比較評価 大澤 中央医療技術専門学校 昭和大学大学院 ○能登 綾子、高橋 中村 徹、永山 診療放射線学科 健太、髙橋 大志、橋本 蓮、中島 圭斗、 明夫 佐藤 放射線室 三和 保健医療学研究科 久弥、中澤 【目的】 現在、 【目的】 グリッドは散乱線を除去し、画像コントラストを 保健医療学研究科診療放射線領域 靖夫 D-Rotation Angiography(以下 D-RA) は、脳血管内治療において治療戦略を立てるうえで非常に 向上させる。しかし、被ばく量の増加、縞目による陰影障 重要である。しかし 害等の欠点を持つ。今回、従来のグリッド(低密度)及び 行する血管が偽狭窄を呈することを経験する。そこで 高密度グリッドの露出倍数、コントラスト改善度、選択度 RA において、回転軸に対して水平に走行する血管の描出 を求め比較検討した。 を向上させるために新しい撮影法の検討を行った。 【方法】 ファントムを照射口に接するように配置し、ナロ D-RA は、回転軸に対して水平に走 【方法】 ファントムにおいて .㎜の模擬血管を D- D-RA ービームで入射一次 X 線強度を測定した。続いて、低密 の回転軸に対して水平方向および垂直方向に走行するよう 度「 line/㎝」及び高密度「 line/㎝」グリッド(MITAYA に配置し、CT 装置と 製)を蛍光量計の前方に接するように設置し、透過一次 X て血管径を比較した。臨床において 線強度を測定した。 して、水平に走行する中大脳動脈や内頚動脈サイフォン部 D-RA で撮影し、MPR 画像を用い D-RA の回転軸に対 次にファントムを蛍光量計に接するように固定し、ブロ に狭窄がある症例に対して、従来撮影法と首を傾斜させて ードビームで透過全 X 線強度を測定した。続いて、グリ 撮影を行う新しい撮影法(以下 ITN 法)で血管径を比較 ッドを蛍光量計とファントムの間に設置し透過全 X 線強 した。 度を測定した。 計測は 【結果】 ファントムにおいて CT 装置は、 .㎜の模擬血 回行い、その平均値を測定値とした。測定値よ 管に対して、計測誤差はみられなかった。血管撮影装置で り露出倍数、コントラスト改善度、選択度を算出した。 は、回転軸に対して水平に走行する部分は過小評価してい 測定条件 た。臨床例において、従来撮影法と ITN 法を比較すると グリッド比「 管電圧「 ・ : ・ : : 」 〈kV〉 」 頸部を傾斜させることで、偽狭窄アーチファクトを低減す 管電流時間積値「 ⅿAs」 ることができた。また、 D‐CTA で計測した血管径を真 焦点−蛍光量計距離「 値とした場合、ITN 法と D‐CTA での血管径は同等であ ㎝」 タフウォーターファントム「 ㎜× ㎜× ㎜」 った。 【結果】 各電圧においてグリッド比が高くなるほど両グリ 【考察】 模擬血管を用いた D‐RA は、回転軸に対して水 ッドとも露出倍数は大きくなり、コントラスト改善度及び 平に走行する血管径を過小評価する傾向がみられた。これ 選択度は向上した。 は、ピクセル値の影響が、あたかも造影剤濃度が低下して 同グリッド比では、コントラスト改善度・選択度は低密 いるようにボクセル値に影響し算出されたものと考えられ 度グリッドが高密度グリッドより高い値となった。露出倍 る。ITN 法は、回転軸に対して角度をつけることによっ 数は低密度グリッドより高密度グリッドが小さい値となっ て、ピクセル値の影響を回避できたためと考えられる。 た。 【考察】 高密度グリッド比 : 【結語】 と低密度グリッド比 : の露出倍数・コントラスト改善度・選択度を比較すると、 32 D-RA において ITN 法は、回転軸に対して水 平に走行する血管の偽狭窄アーチファクトを低減し、正確 な血管径の計測に有用であることが示唆された。 ータを用いて測定した。測定深設定の再現性を確認するた 一般研究発表 治療 多次元検出器の基礎的検討 めに SSD を固定した状態で測定深設定を複数回行い、線 杏林大学医学部付属病院 量計指示値から不確かさを算出した。 ○橋本 高木 【背景 直也、村上 正人、水野 晋也、丸山 将人、清水 靖、古屋 祐太、池田 二郎、 【結果・考察】 かさは . %となった。SSD 設定では標準偏差は± . 郁夫 目的】 当院では VMAT QA プランの検証に電離 箱線量計、 回の相互校正から得られた N D,W,Q の不確 次元検出器、多次元検出器を使用している。 ㎜となり、距離の逆二乗則により線量換算すると不確かさ は . %となった。測定深設定の不確かさは . %となり、 現在まで、当院では検出器ごとの判定基準を作成し、検証 PDD における ㎝深の変化量と距離の逆二乗則を用いて 結果を評価しているが、照射野の大きさにより検出器間の 線量を深さに換算した結果、水ファントムのデジタルスケ 相関係数にばらつきが生じている。そこで今回は、多次元 ールの最小目盛 .㎜内で設定できていることが分かった。 検出器の検証時における照射角度、照射野サイズ特性の基 これらの機器設置の不確かさの合成は . %であった。 【結論】 相互校正時の機器設置の影響は、計測法に記載さ 礎的検討を行った。 【方法】 治療計画装置 Xio にて、単純照射法における多次 れた .%よりも小さな値になった。今回算出した N D,W,Q 元検出器内の半導体のサイズと位置を考慮した任意の照射 を用いて線量測定した際の D w,Q の不確かさは、計測法の 野を作成し、QA プランを作成する。多次元検出器(Delta ユーザーが D w,Q を測定する際の合成標準不確かさ .%と 、Arc-CHECK)を使用し、各 QA プランの線量検証を 比較しても非常に小さな値であり、自施設における機器設 行う。比較評価法として、QA プランの計算値と測定値か 置が測定値に与える影響は小さいと考える。 らガンマ解析法を用いパス率にて比較評価を行った。 【結果】 任意の照射野で検討を行った結果、多次元検出器 乳房切除後の放射線治療における治療寝台位置計算シート それぞれの照射角度、照射野サイズによるパス率の変化が の作成 見られ検出器ごとの特性を確認することが出来た。 がん研有明病院 【結語】 多次元検出器に対する照射野サイズの違いによる ○渡邉 放射線治療部 詩織、松林 史泰、高橋 太郎 パス率の変化を知ることで、IMRT/VMAT QA において 【目的】 当院の乳房切除後の放射線治療では、胸壁と鎖骨 も照射野形状の大小によるパス率の傾向を把握でき、検証 上下窩リンパ節領域への照射を行う。患者後方からビーム 結果の判定における一つの要因を解明する一助となった。 を照射するため、寝台の構造物にビームが当たり減弱する 今後、多次元検出器を使用した IMRT/VMAT QA にお 可能性がある(ビーム干渉) 。治療計画ではその減弱を考 いて、角度、照射野サイズ特性の検討を行うことで検証時 慮していないため、初回治療時にビーム干渉の回避可能な の検出器ごとの判定基準設定の参考になるのではないかと 寝台座標を目視によって決定する必要がある。寝台座標を 考えられる。 決定する場合、患者と機器が接触する危険性があり、事前 に寝台座標を決定する事ができれば、その危険性を回避す 高エネルギー X 線におけるフィールド線量計相互校正の ることができる。本研究の目的は、Excel を用いて事前に 精度評価 ビーム干渉のない寝台座標を決定するためのシートを作成 がん研有明病院 ○飯野美紗恵、中島 北村 望、松林 することである。 放射線治療部 大、佐藤 史泰、高橋 智春、橋本 【方法】 Exact Couch Top with Unipanel(Varian medical 竹雄、 systems 社製)のサイズや寝台天板と支柱との位置関係を 良 【目的】 標準計測法 (以下計測法)では、高エネルギー 把握した。また、患者毎のプランに由来する照射野形状や 光子線の校正深における水吸収線量 D w,Q 計測値に関する ガントリ角度などの条件を基に、寝台座標を変数とする条 機器設置の相対標準不確かさとして .%を見積もってい 件式を複数立てた。条件式をすべて満たす最適な寝台座標 る。相互校正で求める N D,W,Q は、線源表面間距離(source を求めるために Excel のソルバー機能を用いた。操作の簡 to surface distance : SSD) 、水中測定深が変化することで 便化を図るため、複数のソルバーをボタン一つで計算させ その値が変化する。本研究の目的は自施設の相互校正にお るマクロを組んだ。計算の精度を確認するため、シートを ける N D,W,Q 算出に影響する機器設置精度の不確かさを調べ 用いて算出した寝台座標と従来の方法である目視によって ることである。 決定した寝台座標との誤差を算出した。 【方法】 リファレンス線量計( 線量計( nac PTW) 、フィールド PTW) 、水ファントム(WP EX(Varian) D IBA) 、Cli- MV X 線を用いて日を改めて 【結果・考察】 シートから算出した寝台座標と、従来の方 法で求めた寝台座標との誤差は、最大で ㎜であった。こ 回 れは、治療計画装置上での仮想寝台を用いてサイズや位置 の相互校正を実施した。SSD 設定の再現性はマイクロメ 関係を把握した事が、仮想寝台と実機との相違に関係して 33 いると考えられる。誤差から寝台サイズや条件式の微調整 人工ダイヤモンド検出器の物理的基礎特性の評価 を行い、再度確認を行ったところ、計算シートから得られ 国立がん研究センター中央病院 た寝台座標でビーム干渉は見られなかった。 ○片平 【結論】 乳房切除後の放射線治療における治療寝台位置計 脇田 算シートを作成することができた。これによって、初回治 俊善、伊藤 明尚、加藤 昌司、岡本 融、阿部 放射線治療科 裕之、鈴木 祐也、 容久、伊丹 純 【目的】 人工ダイヤモンド検出器である microDiamond 療前にビーム干渉のない寝台座標を求めることが可能とな (PTW った。 原子番号(Z= )は、有感体積が . ㎣と高分解能であり、 )は人体組織の実効原子番号(Zeff= . ) に近い特徴を有する。さらに、シリコンダイオード検出器 汎用表計算ソフトによる MLC Fence Test に比べエネルギー・方向の各依存性が小さく、ビームプロ 解析プログラムの開発 ファイルの測定等への使用に期待される。また、AAPM 聖路加国際病院 TG ○谷 守 放射線治療品質管理室 謙甫、水野 次郎、神 統文、高橋 春奈、小林 では使用の前に電離箱線量計と比較して正常な動作 とデータの正確性を確認すべきであるとされている。そこ 雅治、河 で本研究では、microDiamond の物理的基礎特性の評価を 扇洋 行った。 【目的】 強度変調放射線治療 IMRT では、僅かな MLC の 【方法】 microDiamond における再現性、線量直線性、線 位置誤差が線量分布に影響を及ぼすため、ガイドラインで 量率依存性、方向依存性、OPF、PDD、OCR の測定を行 MLC 静止位置精度の許容値は .㎜が推奨されている。当 院では従来、MLC フェンステストの解析は、EPID (aS‐ 、 Varian)で取得した画像プロファイルの各ピクセル濃度 を読み取る事で行っていた。しかし、この EPID の解像度 い、電離箱線量計・半導体検出器との比較を行った。また、 臨床プランの検証に使用可能であるか評価した。 【結果】 再現性は変動係数 .%以下となった。線量直線 は許容値よりも大きい . × . ㎟であり、フェンステ 性は スト画像解析を離散値で行う事には不確かさが存在する。 MU/ を基準とし全て± .%以内となった。方向依存性 そのため、本研究では Excel 上でローレンツ関数を最小二 は検出器面に対してのみならず、ケーブル軸方向を中心と 乗法で解き、連続関数により解析するプログラムを開発、 した回転軸方向の依存性も見られた。これは検出器内部の 導入したので報告する。 集電極等の構造が非対称であるためと考えられる。OPF 【方法】 まず つの MLC スリットを 幅 ㎜ で 形 成 し、 MU 以上で %以下となった。線量率依存性は の相違は Farmer (PTW ) と比較すると± %以内で EPID へ照射し、フェンステスト画像を取得した。この画 あった。PDD はエネルギーおよび照射野を変化させても 像は、EPID の幾何学的精度によるローテーションおよび 電離箱線量計と比較して最大で ㎜幅の MLC と . ㎜幅のピクセルとの不一致による 各 MLC 対での解析位置ずれを有する。そのため本研究で はまず、Image J を用いて、画像のローテーションの補正 および解像度を × ㎟に変換し、このテキストデータを Excel で読み込んだ。次にこのフェンステスト画像中の各 %と以下となった。OCR は半導体検出器と比較して、Penumbra のサイズが広がる ことなく、照射野を変化させても形状はよく一致していた。 【結語】 microDiamond は電離箱線量計・半導体検出器と 比較しても遜色ない結果となり、高い安定性と分解能を有 していることがわかった。 MLC 対の中心において、ピークおよび FWHM を解析す るが、この際の問題点の が求められる解析を、 つとして、 .㎜以下の分解能 ㎟の離散値に対して行う事が挙げ 簡易型線量計によるリニアック出力変動の検証 東邦大学医療センター佐倉病院 られる。そこで本研究では、予め適当な初期値を与えたロ ○金子 ーレンツ関数を、各ピクセル値に対して誤差を最少とする 山口 卓生、伊藤 照生、上原 中央放射線部 隼、小谷野 孝、 伸次 ようエクセルソルバーの非線形最小二乗法で各スリットの 【目的】 日常的に加速器モニタ線量計の出力変動の確認を 各 MLC 対において解いていくプログラムを Visual Basic 行うため、簡易型線量計を利用して始業前点検を毎朝行っ for Applications で作成した。この各 MLC 対に対するロ ている。毎日の点検では許容誤差範囲内で正常に稼働して ーレンツ関数からピークの位置と FWHM を求めた。 いることがわかれば良いため、適した品質管理用器具を使 【結果・結論】 MLC フェンステスト画像に対して不確か 用して時間の節約を図ることが望ましい。当施設では簡易 さを減少させてから、離散値ではなく、連続関数による解 型線量計として SUN NUCLEAR 社製 Check Mate 析を可能にした事で、より定量的かつ精細な評価が可能と 用して毎日の出力測定を簡便に行っている。 なった。またこれらの操作をプログラム化した事で、MLC 今回 Check Mate を使用し、始業前点検の出力測定の フェンステスト解析における業務時間を従来の ∼ 分か 数値を観察して、 ら約 開始したリニアックの出力変動を検証した。 34 分に減少させる事ができた。 を使 年 月より放射線治療施設の稼働を 【方法】 始業前点検時に Check Mate をセットアップし、 異が観察された。また、線量分布についてもおおむね一致 X 線・電子線の各エネルギーにおける出力変動を毎日確認 した。本法は放射線治療に用いた透過 X 線を利用して線 する。出力の数値にバラつきがある場合、標準計測法 に 量分布を構築しており、低侵襲であった。一方、今回の評 準拠しモニタ線量計の確認、校正を行う。当施設では X 価では治療計画時の CT 画像を用いているため、治療時の 線・電子線ともに基準を 体形および臓器の位置を反映していないことが課題として %以内としているが、誤差が± .%以上あった場合は、月一回のモニタ線量計の校正と は別にモニタ線量計の確認、校正を行っている。一年間を 通し Check Mate を利用して毎日の出力測定を行い、数 値のバラつきを観察した。 【結果】 Check Mate 挙げられた。 【結論】 放射線治療中に照射対象を透過した X 線を用い て、治療中の線量分布を再構築できた。本法により、実際 に照射対象に投与された線量が評価可能となった。 での出力測定時に数値のバラつき はほぼ± .%以内に収まっている。バラつきが± .%以 QA・QC 用多目的ファントムの製作と基礎的線量検証 上あった場合はモニタ線量計の校正を要することもあるが、 慶應義塾大学病院 大半は許容誤差範囲内であった。 ○原 【結論】 Check Mate の正確性また人為的セットアップ エラーを考慮しても± .%以内に収まっており、当施設 の基準である %を超えていない。よってリニアックの出 力変動は安定しており、患者治療に適している。 良介、大野 慶應義塾大学 花田 中央放射線技術室 真里、岡野 義幸 医学部放射線治療科 剛士、茂松 直之 【背景・目的】 当院では定位放射線治療(SRT、SRS) 、 強度変調放射線治療など様々な治療を行っており、照射法 ごとに異なるファントムを品質保証・管理(QA・QC)に 治療用透過 X 線を用いた強度変調放射線治療中の線量評 使用している。今回、各照射法に共通利用可能な多目的フ 価 ァントムを製作することを目的とし、SRT、SRS を想定 東京大学医学部附属病院 ○今江 禄一、竹中 根津 誠、三枝 放射線部放射線治療部門 重治、渡邉 茂輝、竹内 雄一、岡野由香里、 幸浩、矢野 敬一 した基礎的線量検証を行った。 【方法】 多目的ファントムの形状は、照射方向により X 線の強度、線質変化が依存しない球体とし、体幹部への治 【背景および目的】 強度変調放射線治療(IMRT : intensity 療も対応できるように、直径 ㎝、材質にはタフウォータ modulated radiation therapy)において、治療中の 線 量 ーを使用した。基礎的線量検証では、エネルギー MV の 評価が可能な手法の構築は、放射線治療の効果および副作 X 線を使用して、照射野はファントム中心で × ㎠、ガ 用を正当に評価する上で重要な課題である。本研究では、 ントリ角度(G) ° 、寝台回転角度(C) ° を基準条件とし、 放射線治療中に照射対象を透過した X 線を、治療装置に 指頭型電離箱に G ° C ° 、G ° C ° 、G ° C ° 、G ° C ° ) で ずつ照射、検証条件全てを積算し、合計 目的とした。 【方法】 放射線治療装置は Synergy (ELEKTA 社製)を、 治療計画装置は Pinnacle (Philips 社製、ver..)を用い て、前立腺癌( MU 照射を行った。 、 基準条件に対して照射方向を変更し検証条件(G ° C ° 搭載された検出器によって収集し、得られた情報を用いて 治療中の線量分布を再構築し、治療計画と比較することを MU、 例)に対する IMRT の治療計画を行っ MU MU の照射を 行った。同様の条件で蛍光ガラス線量計でも測定を行った。 【結果・考察】 製作した多目的ファントムを CT 撮像し、 気泡や接着面のずれ、ムラの少ない均一な材質であること た。作成した治療計画に対して指頭型電離箱およびガフク を確認した。基礎的線量検証では基準条件において ロミックフィルムを用いて線量検証を実施し、評価値に臨 MU 照射を行った指頭型線量計では平均 . ± . Gy 床上問題ないことを確認後、患者に治療を実施した。照射 であったのに対し、検証条件の合計 MU の積算照射で 中において治療装置に搭載された検出器を用いて照射対象 は平均 . ± . Gy であり相違は . %であった。ま を透過した治療用 X 線を収集した。解析ソフトに Dosime- た検証条件で各 try Check(Math Resolutions 社製)を用いて、治療中に 補正係数を算出し、検証条件の結果に補正係数を考慮した 得られた情報から線量分布を逆計算により求め、治療計画 基準条件の結果と比較すると、相違が . %に低減した。 のアイソセンタの吸収線量および線量分布と比較した。こ 蛍光ガラス線量計では、臨床上無視できない不確かさを含 こで、線量計算には治療計画用 CT(computed tomogra- 有した結果となったが、素子ごとに対する補正係数を算出 phy)画像を用いた。 し適用することで利用可能と考える。 MU 照射を行った結果から方向依存性 【結果および考察】 照射対象を透過した X 線を用いて治 【結論】 高エネルギー X 線を利用した外部放射線治療の 療中の線量分布を再構築することができた。治療計画の吸 各照射法に共通利用可能な多目的ファントムを製作した。 収線量を比較すると、アイソセンタにおいて 検出器、照射条件に対応した補正係数を算出することによ %程度の差 35 り、正確かつ高精度な線量検証が可能になると考えられる。 ラット乳腺の放射線応答の年齢・LET による違い 首都大学東京 ○蒲地 一般研究発表 治療 雄大、井上 一雅、福士 簡易的な自発的深吸気息止め下左全乳房照射における位置 放射線医学総合研究所 再現性の評価 臺野 和広、今岡 島田 義也 聖路加国際病院 〇高橋 後藤 放射線腫瘍科 春奈、水野 朋子、小林 統文、谷 雅治、神 謙甫、和田 扇洋、河守 絵里、 次郎 彩夏、西村まゆみ、 【目的】 γ 線をラットに照射すると、照射時の年齢が生後 週(新生児) 、 【目的】 乳房温存手術後の全乳房照射において、左乳房に 達彦、細木 政広 週(思春期前) 、 週齢(思春期後)の いずれも乳がんのリスクにあまり違いがない。重粒子線や 対して胸壁全体に十分な線量を投与すると心臓に照射野が 中性子線では 大きく含まれることが問題となる。胸壁から心臓を離す方 リスクは小さくなる。この年齢依存性のメカニズムを解明 法として、当院では、胸腹部 するため、放射線照射直後の乳腺組織において DNA 損傷 点測定式呼吸モニタリング 装置(アブチェス;APEX 社製)を用いた深吸気による 息止め照射を行っている。アブチェス本来の仕様では患者 週よりも 週、 週齢である方が乳がんの の存在を評価した。 【方法】 Jcl : SD(日本クレア)雌ラット(生後 週・ 週 齢)に γ 線 Gy あるいは中性子線 息止めを行うが、当院では鏡は使用せずに技師が息止め位 照射後 、 置を確認して照射を行っている。本報告では、鏡を使用し 個体を解剖して乳腺を取り出し、 ない簡便なセットアップによる自発的深吸気息止め照射の た。切 片 を 抗 γ-H AX 抗 体(Merck Millipore、JBW set-up error と organ motion error(息止め位置再現性) Mouse、 の評価を行い、本照射法の有効性を検証することを目的と 蕾にある陽性核の頻度を求めた。終蕾は乳がんの発生部位 した。 の一つと考えられている。 の頭に鏡を設置し、本人が呼吸目盛の状況を確認しながら 【方法】 左全乳房照射患者 するために、照射期間中に 名に対し、位置再現性を評価 − 日間( 日につき − 、 / Gy を全身照射した。 、 、 、 時間後に、それぞれ ∼ 、 )で免疫組織化学染色し、染色した乳腺終 【結果】 γ 線照射 時間後では、 週・ 週齢ともに 近くの細胞核が染まり、DNA の損傷が観察された。 回)CT を撮影した。スキャン範囲は腫瘍床に限局し、低 齢では、その損傷は 線量の撮影プロトコルを用いた。評価には手術時に腫瘍床 か検出されなくなるまで修復されるのに対し、 に留置しているクリップ(リガクリップ;エチコンエンド ∼ μm 厚の切片にし % 週 時間後において .%の細胞核にし 週齢では %に検出され多くは修復されないままだった。 時間後 サージェリー社製)を利用し、治療計画に用いた CT 画像 には のクリップ位置からの移動量を計測した。クリップの移動 修復された。中性子線では、照射 は set-up error と organ motion error 両方の成分を含み、 齢ともに約 %の核が染まり、時間経過とともに損傷が修 その systematic error の標準偏差と random error の二乗 復され、年齢差は観察されなかった。すべての照射群にお 和平方根を全変位誤差として左右、腹背、頭尾の いて ∼ 時間後で、対照群にはない強く染まる核がみら 方向で 週・ 週齢ともに非照射対照群と同程度となるまで 時間後では 週・ 週 れ、少量の損傷の残存が示唆された。 算出した。 【結果・考察】 systematic error の標準偏差と random er- 【考察】 γ 線に年齢差がみられたのは、 週齢の上皮細胞 ror はそれぞれ、左右( .㎜、 .㎜) 、腹背( .㎜、 . が未分化で損傷修復能が高いことが関係していると考えら ㎜) 、頭尾( .㎜、 .㎜) 、全変位誤差は左右 .㎜、腹 れる。中性子線は、DNA の二重鎖切断を伴うクラスター 背 .㎜、頭尾 .㎜であり、全方向で 損傷が多く出来て、年齢に関わらず修復ができなかったた ㎜以内に収まった。 これは、当院の自由呼吸下の全乳房照射で許容している めに年齢差が観察されなかったと考えられる。 set-up error の範囲内であり、organ motion error は限り なく小さいと考えられる。鏡を使用しない簡便なセットア 放射線治療計画における金属アーチファクト低減処理を行 ップによる自発的深吸気息止め照射の位置再現性は良好で った CT 画像の有用性 あり、本照射法の有効性が示唆された。 順天堂大学医学部附属順天堂医院 〇横田 拓実、原 工藤 晃、木暮 順天堂大学 笹井 放射線部 直哉、礒邉 哲、井上 耕介、 陽介、芳士戸治義 医学部放射線治療学講座 啓資 【目的】 頭頸部の放射線治療計画では、口腔の金属アーチ ファクトにより標的体積とリスク臓器の正確な把握と線量 36 評価が困難な場合がある。本研究では、金属アーチファク 一覧にし、それぞれに関して検討した。 ト低減処理を行った CT 画像を利用した放射線治療計画を 【結果】 職種別の役割が明確となった。 立案し、その有用性について検討した。 ワークフロー作成により放射線の PM/ICD に及ぼす影 【方法】 頭部 RAND ファントムの口腔部に金属アーチフ ァクトの発生源となる金属の有無による CT 撮影を行った。 響に関して再確認するとともに、放射線治療に関わるスタ ッフの知識、医療安全に対する意識の向上につながった。 さらに金属有の画像にはアーチファクト低減処理 【考察】 PM/ICD 装着患者に対する放射線治療時には、 (TOSHIBA 社 Aquilion ONE Vision SEMAR)も行っ 放射線治療に関わるスタッフが計画時から治療終了まで、 た。まず、それぞれの画像に同じ関心領域を定め CT 値を 細心の注意と万全の態勢が必要であることを認識しなけれ 比較した。次に放射線治療計画 装 置(Varian 社 Eclipse ばならない。有害事象減少に努めたとしても不測の事態を Ver. )にて照射野を 避けることは困難であるため、循環器内科との連絡体制の ㎝× ㎝、エネルギーを MVX 線、線量計算アルゴリズムを Analytical Anisotropic Algorithm(AAA)とし、金属部が照射野内に入らないようプ ランを作成すると共に線量分布の比較を行った。 像では HU、− 今回作成したワークフローが PM/ICD 装着患者に対す る放射線治療の安全性を保障するわけではない。多くの職 【結果】 同一関心領域における CT 値は金属無の画像では 最大値、最小値がそれぞれ HU、− 整備も重要である。 HU、金属有の画 種が関わる放射線治療においてワークフローを共有するこ とで危険を回避できると考える。 HU であった。金属アーチファクト 低減処理の画像では HU、− HU であり金属無の画像 外装 wedge と内装 wedge における軸外点線量の検討 と比較しても大きな差が生じなかった。 国家公務員共済組合連合会虎の門病院 また、線量分布の比較はどのプランにおいても大きな差 が生じなかった。 ○津野 神山 隼人、髙橋潤一郎、佐藤 直也、栗田 勲、田野 放射線部 周之、黒詰 美歩、 政勝 【結論】 頭頸部の放射線治療計画時に金属アーチファクト 【目的】 放射線治療において治療計画装置(以下、TPS) 低減処理を行った CT 画像は、金属周囲の標的体積とリス が求める吸収線量に対してマニュアルモードで検証をする ク臓器の把握を正確に判断でき、より質の高い放射線治療 ことは重要である。wedge field の beam 軸外点の線量評 計画を立案するために有用である。 )とコリメータ回転軸上の 価は、空中軸外線量比(A( o l) wedge filter による減弱だけではなく、wedge filter の物 当院における PM/ICD 装着患者に対する放射線治療時ワ 理角度(以下、傾斜)方向とそれに直行する(以下、平坦) ークフローの作成と評価 方向における減弱を受けた空中軸外線量比を考慮しなけれ 三井記念病院 ばならない。この時 wedge field における空中軸外線量比 ○田島 池田 放射線検査部 宏美、清宮 時盛、森脇 敏弘、岡本 実音、赤城 輝哉、 啓 )が有効で、取得には wedge filter を使用 (以下 A o.w(r ) しながら砲台法による傾斜方向と平坦方向それぞれで取得 【目的・背景】 ペースメーカー(implanted cardiac pace- する方法がある。内装 wedge の直線加速器では MLC 走 makers : PM)や埋 め 込 み 型 除 細 動 器(implantable car- 査方向によって実験系に制限が生じるため、砲台法による dioverter defibrillators : ICD)の装着患者に対する放射線 A o.w(r )の取得は困難である。そこで外装 wedge と内装 治療は、製造業者の立場からは安全性を保証できないとさ wedge で取得できるような方法を報告する。 れており、PM/ICD に X 線を照射した場合の誤作動が臨 【方法】 wedge filter 使用下で砲台法により取得した A o.w 床的・実験的に確認されている。一方、放射線治療患者数 (r )で、傾斜方向については A o.w.x (r ) 。平坦方向につい の増加を背景として、PM/ICD 装着患者に放射線治療の (r ) とする。wedge field の軸外線量を傾斜方向 ては A o.w.y 適用を考慮する機会は増えている。 と平坦方向それぞれで実測し、その吸収線量は真値と見做 PM/ICD の誤作動は致死的な結果を招く可能性がある せることからマニュアルモードで用いる種々の factor で が、放射線治療を受ける機会を完全に失ってしまうことも (r ) それを除した方法(以下、Reverse 法)の結果を A o.w.R また不利益となる。 (r ) 、平坦方向について とし、傾斜方向については A o.w.x.R 今回我々は安全性の向上を目的として、PM/ICD 装着 (r )とする。軸外点線量の実測及び TPS に対す は A o.w.y.R 患者に対する放射線治療時ワークフローを作成したので報 (r )を用いた る A o.w(r )を用いたマニュアル結果と A o.w.R 告する。 (r )について検討 マニュアル結果を比較することで A o.w.R 【方法】 Japanese Society for Radiation Oncology(JAS- する。 TRO)より発表されているガイドラインをもとに当院の 【結果・考察】 傾斜方向と平坦方向における A o.w(r )に 運用方法を考え、治療開始から終了までの行動を職種別に (r )は、± .%以内で一致した。実測比及 対する A o.w.R 37 び TPS 比は A o.w.R (r )を用いた結果の方が、A o.w(r )を用 婦人科腔内照射における画像誘導小線源治療の新たな線源 いた結果より乖離傾向であったが± .%以内であった。 総停留時間独立検証法の確立 (r )を取得する際、種々の factor の誤差に影 これは A o.w.R がん研究会有明病院 放射線治療部 響するためと考えられる。しかし、この Reverse 法は軸 ○佐藤 史泰、北村 (r )を得ているため、外装 外点の実測から逆算で A o.w.R 上間 wedge だけでなく内装 wedge での直線加速器でも適応出 筑波大学附属病院 来る。 室伏 洋輔、松林 達也、室伏 景子、佐藤 望、小泉 優貴、 智春 放射線腫瘍科 景子 【背景】 放射線治療計画における人為的ミスを防ぐために 当院におけるモンテカルロ計算を用いた IMRT 治療計画 は、治療計画装置(RTPS)で計算した線量を独立したシ について ステムでチェックすることが必要とされている。密封小線 東邦大学医療センター佐倉病院 ○伊藤 山口 照生、金子 卓生、上原 隼、小谷 源治療における画像誘導小線源治療の普及で各線源停留点 野孝、 伸次 月より放射線治療を開始し、 月より強度変調放射線治療(以下 IMRT)を開始した。 モンテカルロ法(以下 MC 法)を用いた治療計画装置は、 条件設定により精度が変わる。当院の線量管理基準は全て ± %としている。症例の集計を行い治療計画装置にフィ ードバックを行ったので報告する。 【方法】 の重み付けを変更することが多くなると予想される。密封 小線源治療の線源総停留時間の独立検証法は Das らによ 【目的】 当院は、平成 年 同 中央放射線部 り照射される体積を元に算出する方法が報告されている。 当院では重み付けの変更に対応した検証法を作成・使用し てきた。 【目的】 婦人科腔内照射において RTPS で重み付けを変 更した時の本法と Das らの方法で算出した線源総停留時 間を比較する。 か月間に実施した 人、 件の症例について、 【方法】 当院の腔内照射のアプリケータはジグを用いてタ 実測と計算結果との差異について集計した。また、計算ア ンデムとオボイドの位置関係・オボイド間隔を一定とした ルゴリズムによる差異についても比較した。結果を基に治 組み付けで標準化されている。本法は標準化された組み付 療計画装置の調整を行った。 けにおいて各線源停留点の A 点への線量を求め、重み付 【結果】 有効例 件について集計した。実測に対する治療 計画装置の算出は、 MV は . %、 MV は .%、 けを考慮して各線源停留点の停留時間を算出している。 RTPS は Oncentra ver.. (Nucletron 社 製)を 使 用 し、 MV は .%であり、平均は .%(± .)である。ファ オボイド間隔 ㎜、タンデム長 / / ㎜の ントム比較は、Collapsed Cone 法に対する MC 法の算出 リケータに重み付け変更プランを三次元計画で計 パター は、同− . %、− . %、− . %、− . %である。 ン作成した。RTPS が計算した線源総停留時間と、本法及 び Das らの方法の線源総停留時間を比較した。 以上より、MU/Dose を .%増加させた。 直近の 症例の集計は、同未実施、. %、. %、. % 【結果・考察】 RTPS に対する本法と Das らの方法の誤 差はそれぞれ− . ± . %,. ± . %であった。本 である。 【考察】 IMRT を開始した初期から臨床例において、誤差 は .%程度と良好であったが、症例の蓄積により見直し を行い、現在は平均 . %(± . )にて実施している。 アルゴリズムと実測比較において 種類のアプ 法の誤差の要因はエクセルシートの値が二次元計画由来で あることや組み付けのズレが挙げられる。 【結論】 RTPS に対する本法と Das らの方法の誤差は同 %以内に収束し、調 等であった。本法はさまざまな重み付けの変更にも対応で 整は有効であった。今後も症例の増加に合わせ定期的に見 きる点、さらに二次元計画でも検証が行えることや計画時 直しを行い、さらに誤差を低減させる予定である。 の重み付けの誤入力を検知できることから本法の有用性が 【まとめ】 自身が、IMRT を開始した 年頃には %程 示唆される。 度の誤差は許容であったが、 年が経過した現在、治療装 置本体と治療計画装置は格段に精度が良くなり、無調整で 婦人科腔内照射における新たな線源総停留時間独立検証の も 方法 %程度は可能である。モンテカルロ法を計算アルゴリ ズムとする治療計画装置の信頼性は高く、調整後は %以 がん研究会有明病院 放射線治療部 内の精度を維持しており、当院の IMRT 実施は順調であ ○小泉 史泰、北村 ると判断している。 上間 優貴、松林 達也、佐藤 筑波大学附属病院 室伏 望、佐藤 洋輔、 智春 放射線腫瘍科 景子 【目的】 婦人科腔内照射において、独立したシステムでの 線量検証法はガイドラインに明記されていない。Das らに 38 より線源総停留時間の独立検証法が報告された。この方法 オボイド間隔 ㎜、タンデム / / ㎜の は処方線量が照射された体積から線源総停留時間を算出す に る。当院では、各線源停留点の重み付けを使用して線源総 線源停留点の重み付けは、Manchester 法に準じた。治療 停留時間を算出する検証法を作成し、使用してきた。今回、 計画の線源総停留時間と、本手法及び Das らの手法で算 治療計画で算出される線源総停留時間に対し、本法及び 出される線源総停留時間を比較した。 Das らの方法を比較した。 【方法】 本法は、各線源停留点において A 点に線量を投 次元( 【結果】 D)及び 次元( 通りの組合せ D)治療計画を作成した。 通りのタンデムの組合せに対し作成した D計 画において、平均誤差は本法で . ± . %、Das らの方 与するために要する時間を予め求め、そこに治療プランの 法では . ± . %となった。また、 重み付けを反映させ線源総停留時間を算出する。この方法 法は− . ± . %、Das らの方法では . ± . %とな は excel にて作成したスプレッドシートを用いて行った。 D 計画において本 った。 アプリケータは Fletcher Williamson Asia Pacific を使用 【結論】 本法は簡便に線源総停留時間の独立検証が可能で し、専用のジグを用いてタンデムとオボイドの位置関係・ あり、Das らの方法と遜色ないものであった。今後、臨床 オボイド間隔が一定となる理想的な組付けをした。治療計 で使用した治療計画を解析し、本法の有用性を検討してい 画装置は Oncentra ver .(Nucletron 社製)を使用した。 きたい。 39