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簡易ウェブ・カメラ・ システムの構築
第8章 安価な市販 USB カメラとパソコンで作る 簡易ウェブ・カメラ・ システムの構築 田中 俊生 Toshio Tanaka 製作したシステムの概要 いのウェブ・カメラです. ● 2 軸制御メカニズム モータには,安価な模型用モータ・セット「ウォー システムの全景を写真 1 に示します.「誰でも,ど こでも,いつでも」使える 24 時間観測可能なウェ ムギヤー ボックス HE」[㈱タミヤ] (定価 850 円)を二 つ購入しました.モータとして RE − 260[マブチモー ブ・カメラ・システムが目標です.市販の安価な USB 接続の CMOS カメラ“WebCam5”を使い,カ ター㈱]が付属しています.ギヤ比は,216 : 1 と 336 : 1 から選べて,トルク/回転数もそれに対応して メラ画像をウェブ・サーバで公開します.三脚に取り うんだい 付けた雲台をインターネットを通じて,パソコンや i 3.4 kg/48 rpm,5.4 kg/30 rpm となるので使い勝手が 良さそうです. モード携帯電話からコントロールできます. ● 台座 ■ システムに必要な機能 加工しやすい 0.8 mm 厚程度のアルミ板で製作しま した.材料は数百円程度です. システムを遠隔操作できるように,サーバ機能が必 要です.またモータ制御にはローカル I/O 制御機能が ● カメラ用三脚 必要です.これらは,前章で用意した Cygwin + で安上がりです.三脚が不要ならアルミ板やアングル, Apache による CGI や Java プログラムを修正して使い ます.さらにカメラ画像を指定フォルダへアップロー または木材などで台を作ってもよいと思います. ● Java によるパラレル I/O 制御 ドするプログラムが必要です. おまけ機能として温度測定機能を設けました.現在 前章で準備したものを追加修正して使います.パラ レル I/O 制御ボード自体はまったくそのまま使います. のウェブ・カメラ周辺の温度を知ることが可能です. ボードにモータ駆動用回路を付加し,制御用 Java プ ■ システムに必要な機器 ログラムを制作します. ● 温度センサ ● USB 接続の CMOS カメラ クリエイティブメディア社の“WebCam5” (実売価 「PIC − ADC 超小型計測アダプタキット」[㈱秋月電 子通商,K − 00108]を使いました.シリアル・ポー 格は約 5,800 円)を使いました.これは 30 万画素,最 ト経由で温度を読み出すことができます. 大 1677 万色,最大解像度 640 × 480 ピクセルで静止画 /動画をキャプチャできる USB1.1 対応のいわゆる 「USB カメラ」です.なお,フォーカスは手動調整です. 付属の「WebCam モニタ」ソフトウェアは,サー バの既定のフォルダへ画像を連続アップロードできま す.Cygwin + Apache 環境ではすぐに使えるので, 近所のホーム・センタで 1,000 円程度で入手したの ハードウェアの製作と準備 ■ リモート雲台の製作 写真 2 はカメラ取り付け前の雲台です. Windows 2000 Professional(以下 W2k)にはもってこ Keywords HTML,i アプリ,Java,Cygwin,PortIODriver,JNI,Java ネイティブ・インターフェース,SDK,DLPORTIO.dll,WebCam5, 雲台,WebCam モニタ,パラレル I/O 制御,TA7291P,温度センサ IC,LM35DZ,503i シリーズ,504i シリーズ,.jar,java クラ ス・ファイル,.jam,ImageMagickStudio,convert.exe,WebCamLive!. 196 2002 年 12 月号 特集*ネットワークで広がるハード制御 ● 使用部品 アルミ板 ● 雲台の制御能力 制御といってもセンサなどを使って位置決めするわ 厚さ 0.8 mm,100 × 150 mm あれば十分です.それ ぞれ 100 × 70 mm と 60 × 60 mm にカットし,前者を けではありません.プログラムによる操作で 1 回に約 0.5 秒ずつ通電するだけの簡易な制御です. 上下動,後者を左右動に使います.図 1 を参考に加工 写 真 3 は上から見たもので,有効回転角度は約 してください. プラスチック製パイプ・エンド 270 ° であり,およそ 45 ° ごとの 7 位置に制御できます. 写真中の数値をプログラムで指定します. 組み立て棚などに使われている物です.ホーム・セ ンタで数十円程度です. 写真 4 は上下軸のおよその回転角を示しています. 上下軸の有効回転角度は約 40 ° で,20 ° ごとの 3 位置に 各種ねじ類 制御します.写真中の数値をプログラムで指定します. M3 × 40 mm のねじとナット,直径 3 mm のゴム・ チューブ数 cm を使いました.三脚とカメラを接続す 上のアルミ板が下のアルミ板に接触して強制停止す るのを利用して,上下動を制限しています. るねじには,W1/4 ナット(ウイット・ネジ)を用意し ます.これもホーム・センタで 100 円程度です. ■ モータ制御回路の製作 左右軸は,過回転しないように M3 のねじにゴム・ 製作したウェブ・カメラ・リモート雲台やモータ制 チューブをはめて,ストッパ代わりにしています.ゴ ム・チューブを使ったのは,荷重によりギアのバッ 御回路は,スイッチ& LED ボードの基板に追加しま ク・ラッシュがなくなって回転できなくするのを防ぐ ためです. 上下動 アルミ板 USB接続のCMOS USB接続の USB 接続のCMOS CMOS カメ “WebCam カメラ WebCam 5” 5 過回転防止ねじ 2軸制御の 軸制御の リモート雲台 左右動 アルミ板 W1/4ナット W1/4ナット モータ制御および スイッチ&LED スイッチ& スイッチ&LEDボ LEDボ ード プラスチック製 パイプ・エンド パラレルI/O パラレル I/O 制御ボード 〈写真 2〉カメラ取り付け前の雲台 モータ電源 単3×4本 〈図 1〉アルミ板の加工 (単位: mm) φ 3 の穴 50 10 60 006P 電池 (a)上下動アルミ板 100 プリンタ・ ポートへ 65 PIC計測アダプタ PIC計測アダプタ シリアル・ ポートへ シャフト ねじ留め穴 5 ギヤ・ボックス取り付け穴 〈写真 1〉製作した簡易ウェブ・カメラ・システムの全景 2002 年 12 月号 (b)左右動アルミ板 197