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エイコサペンタエン酸によるアポリポタンパク質 A
エイコサペンタエン酸によるアポリポタンパク質 A-Ⅰの分泌促進 ○ 山本展大・菅原達也・平田孝(京大院・農) キーワード:エイコサペンタエン酸(EPA)、アポリポタンパク質 A-Ⅰ(アポ A-Ⅰ) 、HDL、HepG2、アテローム性動脈硬化 著者連絡先 電話: 075-753-6211 e-mail: [email protected] て培地中に分泌されるアポ A-Ⅰの量を ELISA により測定 【目的】 近年わが国では食生活の欧米化などによるアテローム した。また、EPA の効果をさらに確認するため、HepG2 性動脈硬化症などの生活習慣病の増加が問題となってい から分泌されるアポ A-Ⅰをウエスタンブロットで検出し る。余剰コレステロールを細胞から引き抜く高密度リポタ た。 ンパク質(HDL)(Fig.1)の血中での増加は動脈硬化リ EPA はその特性上酸化されやすいため、EPA の酸化生 スクの軽減に有効である。わが国は欧米と比較して虚血性 成物がアポ A-Ⅰ分泌に対して何らかの作用をもつ可能性 心疾患の罹患率が低いことから、伝統的な日本食に動脈硬 がある。そこで、EPA の酸化による影響を調べるため、 化のリスクを軽減する物質が含まれていることが期待で 生体の主要な抗酸化物質であるα-トコフェロールを EPA きる。そこで、我々は日本人が多く摂取している海産物に に添加してその影響も調べた。 注目して、HDL の発現を促進し抗動脈硬化作用をもつ物 【結果】 質の探索を目的として研究を進めている。本報告ではその ELISA の結果により、25μM 以上の EPA は濃度依存 中でも魚油などに多く含まれるエイコサペンタエン酸 的に培地中へのアポ A-Ⅰ分泌を促進することが示され、 (EPA)に着目し、HDL 分泌に対する効果を調べた。 α-トコフェロールを添加するとその効果は抑制された (Fig.2)。また、ウエスタンブロットにおいても同様の コレステロールエステル 結果が示された。 中性脂質 3.5 遊離コレステロール アポリポタンパク質 A-Ⅰ アポA-Ⅰ(相対値) 3.0 2.5 2.0 1.5 1.0 0.5 0.0 0 40 60 EPA(μM) α-トコフェロールあり Fig.1 HDL の構造 80 100 α-トコフェロールなし Fig.2 EPA のアポ A1 発現促進効果 【方法】 HDL を構成するタンパク質であるアポリポタンパク質 20 【考察】 A-Ⅰ(アポ A-Ⅰ)を HDL の指標として用いた。また、 実験結果より、HepG2 において EPA はアポ A-Ⅰの分 アポ A-Ⅰは主に肝臓で合成されるため、実験にはヒト肝 泌促進効果をもつことが示された。α-トコフェロールを 臓由来細胞である HepG2 を用いた。 添加することでこの効果は抑制されたことから、EPA の 24well プレートに一定濃度で撒いた HepG2 を over night で培養後に EPA を添加した。さらに 24 時間培養し 酸化生成物がアポ A-Ⅰの分泌に関与している可能性があ る。