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4.サウナにて
随筆 8 1 るのを見ていると、この若者たちの、いや、 今の時代を生きる若者たちの「青春」とは一 サウナにて 体なんなのだろうか、と考えさせられたりす るのである。 外界からの刺激に対する反応が生きている ことの証しであるとするならば、若者たちに とって今の日本はあまりに「気圧」が低過ぎ るのではないだろうか。生命を燃やしてぶつ かり、抵抗し、はねのけるべきその「圧力」 が小さ過ぎるのではないだろうか、と。 労働部長をやっていた頃、目を血走らせて わめき迫ってくる若者たちをなん度も見た。 世の中のルールについての無知と論理の幼な さは覆うべくもなかったが、その集団として のエネルギー、先の世代を倒し乗り越えよう とするその迫力は、時に手にあまるほどのも のであった。 東京都水道局総務部長 伊藤正夫 私は逃げてはいけないと思った。ごまかし ては、なおいけないと考えた。結果はどうあ ろうと、こちらも全力をあげてぶつかり、立 サウナが好きて¥よくいく。平均すれば週 ちはだかつてやるのが、先に生きる世代の誠 に 2回 近 く に な る だ ろ う か 。 汗 を み っ ち り 流 実さなのだと思った。彼らに勝利感が残ろう して水風目につかる、サッパリしてまことに と、挫折感が残ろうと、それはあぎなえる縄 爽快である。「生命現象とは、外界からの刺激 のごとし、人生の途上道を教える人なく無人 に対する反応である」とされることの意味が、 の荒野をいくような虚しさ哀しさには比ぷべ 身体で実感される D くもないだろう、と。 下町育ちなので、もともと銭湯は好きな方 子供に対する親、生徒に対する先生、社会 であるが、内風呂を持ってからは、サウナで 人としての後輩に対する先輩、どれをとって わずかに銭湯へのノスタルジアを満足させて も腫れものにさわるような接し方だ。若者た いるのかも知れなし」特に近頃は、年輩者だ ちは、それがなぜなのかもわからないまま、 けでなくいい若いもんも沢山きている。で、 燃えたぎる青春の血の騒ぎを静めかねている あの雰閤気がなんとなくあるのである。 のではないだろうか。 若いもんといえば、サウナが今ほど多くな サウナで所在なげに寝そべったり、水風呂 かった頃は、あまり見かけなかったように思 に飛込んだりしている若いもんを眺めながら、 う。少し太り気味の中年どもが、のんびりと こんなことを考えていた。こちらも長々と寝 あぐらをかき、青争かにマッサージにかかった そべりながら・・・・…..。 りしていたものだった D 近頃は、若者たちが 群をなしてきている。活気があるといえばい えるカヘいささか馬重々しくもある口そして、 サウナ室でアザラシのごとく長々と寝そべり、 休憩室で所在なげにマンガ本を読み、あるい はソファで何時間もうたた寝をしたりしてい