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2回まで減らせる 秋まき小麦の赤かび病防除
秋播小麦の 病害防除について 赤かび病と赤さび病 道立十勝農業試験場 生産研究部 病虫科 1 赤かび病 小麦の穂に感染する重要病害 多発すると 1.減収被害 2.品質低下 3.かび毒汚染 一部のカビが産生する人畜に有 害な化学物質 2 ニバーレ ↑低温年に発生、 減収するがDONを産 生しない グラミニアラム アベナシウム ↑DON汚染の原 因菌 小麦赤かび病菌の分生胞子 3 ニバーレ アベナシウム クルモーラム DON産生菌 グラミニアラム 病穂率(%) 80 60 40 20 20 19 18 17 16 15 14 13 12 11 H1 0 0 十勝農試病害虫発生予察圃場における 赤かび病の発生状況(「ホクシン」薬剤無散布) 4 DON汚染の原因は? 赤かび粒 高濃度のDONが蓄積 DON汚染の主要因 見かけ健全な粒 (外観健全粒) 外観健全粒からもDONが検出されることも 5 DON濃度(ppm) 4 健全穂由来 発病穂由来 3 2 1 0 19日後 26日後 42日後 外観健全粒の DON汚染は 採種時期(開花後日数) 発病穂の中でおきている! 外観健全粒のDON濃度 6 外観健全粒のDON濃度(ppm) 3 病穂率を低く抑えることが重要! r=0.90** n=22 2 1 0 0 10 20 30 40 50 病穂率(%) 病穂率と外観健全粒のDON濃度の関係 7 赤かび病防除の考え方 赤かび病菌は開花時期に最も 感染しやすい。 薬剤散布によって 開花時期の感染を 阻止することが大切! 8 DON濃度(ppm) 10 8 6 4 2 0 0 1 2 3 4 散布回数 薬剤散布回数とDON濃度の関係 9 DON濃度(ppm) 散布の時期は? 10 散布が早すぎても 十分な効果が得ら れない 散布が遅いと 効果が劣る 5 0 出穂期 +開花始 開花始 +1週間後 乳熟期 +1週間後 無散布 散布時期 図 薬剤散布時期の違いによるDON濃度の比較 10 散布開始の目安は 出穂途中 開花始 開花盛期 × ○ × 感染前の穂に薬剤を十分に付着させ 保護することが重要 11 赤かび病に対する薬剤の評価 供試薬剤 倍率 シルバキュアフロアブル 2000 1500 1000 1000 1000 2000 トップジンM ベフラン液剤25 ベフトップジンフロアブル チルト乳剤25 ストロビーフロアブル DON低 減効果 ○ ○ ○ ○ △ △ ニバーレ抑 制効果 △ × ○ ○ △ ◎ 12 開花時期がばらつく場合は? A:干ばつぎみで、しばらく雨が降りそうにない場合 厳密な開花始めより少し遅れて 散布開始しても、充分な防除効果がられる B:雨が多く、開花時期にも雨が降りそう 1回目:開花の早いものに合わせて散布 2回目:開花の遅いものに合わせて散布 3回目:1週間後あたりに散布を行う 13 赤さび病 小麦の葉に発生する重要病害 葉に赤い斑点(病斑)がでる。 成熟した病斑に触れると、赤い粉(胞子)が指先につく。 14 赤さび病 ホクシンでは、病斑周辺の 枯れが拡がる。 15 赤さび病 多発すると 減収被害 H11、12年は十勝地方でも多発したが、 例年十勝での発生は少ない。 しかし、H18、H19には多発した圃場が若干認められた。 16 赤さび病発生の特徴 高温少雨な気象で多発しやすい。 発生し始めると一気に蔓延する場合がある。 特に「ホクシン」は赤さび病で枯凋することがあ るので、注意が必要。 小麦は、上位2葉が収量に直結する。 上位2葉を維持することが防除の基本となる。 17 赤さび病に効果のある薬剤 100 チルト乳剤25 止葉病葉率(%) 80 アミスター20フロア ブル シルバキュアフロア ブル ストロビーフロアブ ル 無防除 60 40 20 0 6/9 6/18 調査月日 6/30 薬剤を一回散布したときの止葉の病葉率の推移(H11、ホクシン) 各薬剤は全て2000倍、100リットル/10a散布した。散布日は6/8であった。 18 「ホクシン」での防除効果試験(H12) 生育期 止葉抽出 出穂 止葉期 出穂始 開花始 散布 5/25 5/29 完全防除 ○ ○ 止葉前 ○ 止葉期 出穂直前 6/1 ○:赤さび病に防除効果の高い薬剤を散布 6/12 ○1 ○3 ○ ○ ○4 開花始 ○6 乳熟期 開花始 ○8 無防除 10 0 25 50 1回目の防除を止葉期か出穂前までに行うと、 止葉病葉率 乳熟期の止葉病葉率は完全防除区と同程度 に抑えることができた。 75 100 19 「ホクシン」での防除効果試験(H12) 収量調査結果(千粒重) 生育期 止葉抽出 出穂 止葉期 出穂始 開花始 散布 5/25 5/29 完全防除 ○ ○ 止葉前 ○ 止葉期 出穂直前 6/1 *:危険率5%で完全防除区と有意差あり **:危険率1%で完全防除区と有意差あり 6/12 ○ 1 ○ 3 ○ * ○ 4 ○ ○ 6 開花始 ○ 8 無防除 10 ** ** 0 10 1回目の防除を止葉期か出穂前までに行うと、 収量も完全防除区と同程度となった。 20 30 40 千粒重(g) 20 多発地帯の「ホクシン」での 効果的な防除体系 止葉抽出期∼穂孕期 (1回目散布) チルト乳剤25 アミスター20フロアブル シルバキュアフロアブル 1回目の10∼14日後 チルト乳剤25 アミスター20フロアブル ストロビーフロアブル − 21 「チホクコムギ」での防除効果試験(H10) ○:赤さび病に防除効果の高い薬剤を散布 生育期 止葉抽出 出穂 出穂始 開花始 散布 5/19 5/29 6/12 6/19 完全防除 ○ ○ ○ ○ 1 ○ ○ ○ 2 ○ ○ 4 止葉期 開花始 無防除 開花始 乳熟期 6 0 20 40 60 80 100 止葉病葉率(%) チホクコムギでも、赤さび病の防除を行わなければ病葉率は高くなっ た。 22 「チホクコムギ」での防除効果試験(H10) 収量調査結果(千粒重) *:危険率5%で完全防除区と有意差あり **:危険率1%で完全防除区と有意差あり 生育期 止葉抽出 出穂 出穂始 開花始 散布 5/19 5/29 6/12 6/19 完全防除 ○ ○ ○ ○ 1 ○ ○ ○ 2 ○ ○ 4 止葉期 開花始 無防除 6 34 ** 35 36 37 38 39 整粒千粒重(g) チホクコムギでは、開花始め(赤かび病防除1回目)になってから防除を しても、赤さび病による収量被害はない。 23 40 防除試験および被害解析の結果 被害許容水準は、乳熟期の止葉の被害面積 率5%、開花始の止葉病葉率25%であった。 多発地帯の「ホクシン」では、1回目として止 葉抽出∼穂孕期に効果のある薬剤を散布す る。 2回目は10∼14日後に散布する。 24 赤さび病の発生推移(芽室予察ほ) 止葉病斑面積率(%) 14 12 H12 H17 H19 10 8 6 4 2 0 5/20 5/30 6/10 6/20 調査月日 6/30 7/10 止葉病斑面積率の推移(ホクシン) 止葉抽出期は年によって異なるが、概ね5/22∼27である。 25 止葉期の赤さび病の発生量(芽室予察ほ) 3枚目の病葉率(%) 30 25 20 15 10 5 0 H17 H19 5/30の3枚目の病葉率(%) 十勝地方での止葉期の上から3枚目の病葉率は、例年ほぼ0%であっ た。一方、多発年には止葉期に3枚目の葉位に病斑が認められた。 止葉抽出期は年によって異なるが、概ね5/22∼27である。 26 赤かび病と赤さび病の防除対策 赤かび病は開花始に、赤さび病は止葉期に効 果の高い薬剤を散布する。 病害の重要度は赤かび病のほうが高いので、 開花始に何を散布するか決める。 薬剤の連用を避けて、赤かび病の2回目の薬 剤と、止葉期の赤さび病防除薬剤を決定する。 十勝地方では、止葉期の赤さび病防除を省略 できる年のほうが多い。 27