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Ma vie
FILE-3 M a vie FILE-3 マ ヴィ 店舗コンセプトの見直し Ma vie Ma vie コンセプトに基づいた 店舗改善 文具雑貨&陶磁器 から 陶磁器メイン へ 東 京に住んでいたころから、定年 後に文 具 好 きな 商 品 を 扱うセレ クトショップ に「Ma 雑貨と陶 磁器のセレクトショップを開くつもり vie(私の人 生)」と名付け、第 二の人 生へ の で文具雑 貨 店を巡ったり、窯元を訪ね歩いた 想いを込めていました。プロジェクトメンバー りしていた 飯田さん。自身の出 身 地である仙 は、その 想いのヒアリングに時 間をかけまし 東京の電機メーカーに勤務していた仙台市出身の飯田順之さん。定年後は故郷に戻って文 台で震 災が 起きたのを機に、 「仙 台 の 皆さん た。当初、店内に並んでいたのは文 具 雑 貨と 具雑貨と陶 磁器の店を開きたいと考えていたところ、震 災が起こりました。その後、出身 が心にゆとりを持てるようになれたら」と退職 陶 磁 器が 半々でしたが、ヒアリングを繰り返 地の役に立つことをしたいと早期退職し、2012 年 11 月、仙台市内に文具雑貨と陶磁器の を4年早めて起業しました。 すうちに、飯田さんの話題は陶磁器が中心に。 セレクトショップを開店。しかし、実際始めてみると商品ディスプレイに多くの課 題が感じ 長年勤めた電 機メーカーでは、人事総 務を そして、 「やりたかったのは陶 磁器を扱う仕事 られ、それらを改善したいと相談が寄せられました。 担 当。毎 年 事 業 計 画 に携 わった 経 験を 生 か だった」という飯田さんの内なる想いが引き出 し、開店前の事業計画を自力で作成。 され、店舗コンセプトを“ 陶磁器中心のセレク しかし、 「自分だけでなんとかなるだろうと トショップ ”に見直すことにしました。 陶磁器&文具雑貨のセレクトショップ 支援ポイント いう自信はありましたが、実際に始めてみると 店舗コンセプトの見直し 商談スペース の居 抜き店 舗 は 間 口が 狭 い 割 に奥 行きがあ り、照明が少ないため、外から中の様 子が見 づらいという難点が。また、歩道からエントラ スな書 体であったため、文具雑貨と陶 磁器の セレクトショップというコンセプトも十分 発 信 陳列棚 ︵小︶導線を確保するため移動 作り付けカウンター 店の“個性”をディスプレイで表現 プロジェクト マネージャー くもりガラス サインや看板でコンセプトを発信 支援チーム 陳列棚 ︵小︶ トメンバー。飯田さんは 開 業 の 時に、自分 の 陳列棚 ︵小︶ と、飯田さんにヒアリングを始めたプロジェク 作り付け陳列棚 まず、ディスプレイの改善という方向性のも くもりガラスの内側に格子を設置 い空間になっていました。 くもりガラス める無機質な窓のために、ディスプレイしづら 店内にも木製格子をあしらい、飾り棚などを設けて立体的なディスプレイを可能に。組み合わ せられる立体キューブを使うことで、平置きから卒業。角度調節できるスポットライトで、より 商品が見やすくなりました。 支援の着地点 文具陳列ケース できていませんでした。さらに、店の側面を占 商品が魅力的に見えるディスプレイ提案 商品陳列 さらに、看板が白地にベージュでオーソドック 照明を追加設置 陶磁器メインのコンセプトを固め、 「和のテイストを取り入れたい」と要望した飯田さん。取り 扱い商品のテイストに合わせた“ 和モダン ”をテーマにロゴマークを一新し、店頭サインに木 製格子をあしらい、木の風合いを生かした看板を設置しました。 テーブル ンスまで距離があるため、店舗の印象が 薄く、 商品陳列 コンセプトに基づく看板・壁面サイン設置 備え付けソファー を感じたのは、店舗ディスプレイでした。路面 テーブル 当初、ディスプレイを改善する方向で、プロジェクトメンバーが飯田さんからヒアリング。打ち 合わせを重ねるたび、話題は文具雑貨より陶磁器が中心に。 「 本当に扱いたかったのは陶磁器」 だったことに飯田さん自身が気づき、店舗コンセプトを“ 陶 磁器中心のセレクトショップ ”に 転換しました。 勝 手が 違いました」と飯田さんが 改善の 余 地 アートディレクター 陳列棚(小) Ma vie 入口 ガラス 窓ガラスに格子設置 ディスプレイ デザイナー デザイナー 看板 店 舗 図 面と 、支 援による改 装 箇 所 13 14 FILE-3 M a vie 相談開始から一ヶ月後の店内 リニューアル後の店内 コンセプトに基づく看板・壁面サイン設置 和モダンを意識し、格子で印象的に は さ み 15 扱っていた陶 磁器は、波佐見焼や有田焼、 ることを知らせることが大事」という説明に、 あたたかみのあるものに変 更。ロゴの器マー 埼 玉で 作 陶 する若 手 作 家 の 作 品です。和 に 最終 的には納 得しました。 クには、実は飯田さんが 開 店当初のチラシに 現 代の 感覚がミックスされたスタイル の 器た 格 子 には当 初、ディスプレイデザイナーが 手 描きしていたイラストを活用。 「私が 描いた ち。そして、文 具 雑 貨の中でも、実は 和文 具 提 案した、お知らせを書き込める黒 板がはめ イラストな の に、本 当にそ れで い い の?」と が 特に好きだったという飯田さん。店 舗デザ 込まれる予定でしたが、飯田さんは「下手な 不安げな 飯田さんに、 「手 描きされた器 のモ インに「和 の テイストを取り入 れ たい」とプ 字を書くより、店のコンセプトを代弁してくれ チーフに、飯田さんの やさしい人柄が 出てい ロジェクトメンバーに要 望を 伝えたことで、 る3枚の 焼き物をあしらいたい」と、長 崎 凧 る」と、デ ザイナーがロゴマークに活 用 する 商品のテイストと合わせた“ 和モダン ”をテーマ の縁 起のいい絵 柄の波佐見焼を取り出してき ことを勧めました。 にすることにしました。 ました。このアイデアをプロジェクトメンバー さらにアートディレクターは、商 品に白 磁 アートディレクターは、店 頭 サインに 木 製 全 員が 絶 賛。器をはめ 込むことで、デザイン が多いことと、内 装 の木目の 色合いとのバラ の 格 子 を あ し らうこ とを 提 案。 「セ レ クト のポイントになり、器を扱っている店 舗 であ ンスを考えて、格 子 や看板を明るい茶色に指 ショップ は中を見せることに意 義 がある」と ることがひと目でわかります。こうして、歩道 定。統一感を図るため、ドア枠も明るい 茶色 考えていた 飯 田さんにとって、店内 が見 えづ のお客さまの視 線を引きつける店 頭サインが に塗り直すことを提 案しました。 らくなる格 子 を前 面に置くのは 迷 いがありま 完成しました。 した。しかし、アートディレクターの「まず、 店頭 入口の上に掲げられた木 製の看板は、 道行く人にセンスの良さを感じさせる店があ 器のマークと店名が立体的に浮かび上がる、 ロゴマーク候補 16 FILE-3 M a vie 看 板や店 頭 サイン 、内 装 、ショップカードにいたるまで 上 質 な「 和 」のイメージで 統 一 感 を持 たせ 、コンセプトを 発 信 商品が魅力的に見えるディスプレイ提 案 窓辺も活用し、立体的にディスプレイ 17 当 初 、店 内 の ディスプレイは 、カフェの居 また、窓側の一角には 、万年筆など文 具 雑 抜きのままだったカウンターに 、文 具が並べ 貨を配 置。その奥のテーブルには 、新 商品の ら れて いました 。窓 側 に 並 ん だ テ ーブ ル に ポップな器 や、欧 風 系の 雑 貨をまとめて並べ は 、平 置きされた陶 磁 器 、陳 列スペースの 少 ることで、お客さまの目に訴えることに注 力し なさを解消するために置かれたカウンター前 ました 。ディスプレイアイテムとして、15 ㎝角 の 小さな台は 、お 客さまの動 線を遮ることも と20 ㎝角の木 製 立体 棚を取り入れたことで、 ありました。 積み重ねたり、並べたり、商品ディスプレイに そこで、「焼き物のフォルムは 、目の高さで リズムを生みだせるようにもなりました。 ご 覧 いただきたい」と考えていた 飯田さんの ディスプレイ方 法 を 変 えるだけ でなく、薄 意 向を反 映し、アートディレクターは 立 体 的 暗 か った 店 内に 、スポットライトを 追 加 。角 創業 2012年 にディスプレイできるよう、格 子を店内にもあ 度 調 節 で きる 木 製 の 和 モ ダ ン テイストのス スタッフ 1人 しらうことを提 案。これで、格 子の間から注ぐ ポットライトにより、空間にセンスの良さを生 住所 仙台市青葉区国分町3-5-7 MKビル1F 自然 光を生 かしたディスプレイも可 能 になり み、商品の魅力も伝わりやすくなりました。 電話 022-266-6310 ます。ディスプレイデザイナーは 、格 子に“違 当 初 半 々だった 陶 磁 器と文 具 雑 貨 は 、リ FA X 022-266-6310 い 棚 ”のように 飾り棚 やボックスも設けまし ニューアル 後は9:1に変 化 。「この空 間にい Facebook https://www.facebook.com/sendaimavie た。目の高さに近い飾り棚は 、売 れ 筋を並べ るだけで、すごく気 分 が良くなる」と飯田さん 営業時間 11:00∼19:00 るゴールデンゾーンとして、作 家の 作品をメイ が 満 足 するほど、理 想 の 店 舗 に 近 づ きまし 定休日 水曜日 ンに並べることができます。 た。 “いつか改善”が“今”に ディスプレイ、動 線、照明の見直しなど、い つか やろうと思っていたことをチームの皆さ んと形にすることができました。売上が 落ち 込む2月に整 備できたことが何よりでした。 ディスプレイや店舗周りの見せ方など素人の 域を脱していなかったのだと気付かされるこ M a v ie DATA ともありました。陶 磁器中心にコンセプトを 立て直し、今こうして本当に好きなものだけ に囲まれていると、私自身 が 幸 せ な 気 持ち になってきます。今後は日々、自分自身も成 長し、店 舗 改善 を心がけ な がら、この 商 品 を好きだと思ってくださるお客さまに、じっ くり対応していきたいと思っています。 Ma vie 飯 田 順 之さん 18