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Webビジネスに必要なクリエイティ ブ・テクノロジ・マーケティング

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Webビジネスに必要なクリエイティ ブ・テクノロジ・マーケティング
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株式会社ウェブプロデュース
http://www.webproduce.co.jp/
Webビジネスに必要なクリエイティ
ブ・テクノロジ・マーケティング・ビ
ジネスプロセスをワンストップで提供
Webを中心とするインタラクティブメディアを利用し,企業の
マーケティングやプロモーションの企画・制作・運用・R&Dなどを
行うウェブプロデュース.新たにECフルフィルメントサービスに着
手し,マーケティング領域・Webインテグレーション領域・フルフィ
ルメント領域のECトータルソリューションの整備を実現した上野山
英樹社長にお話を伺った.
対消費者フロントエンドからバックエンドまで
企業のECビジネスをフルサポート
◆まず御社の生い立ちからお聞かせください.
弊社は,2005年3月に設立されました.当時,NTTデータ
ウェブプロデュース 上野山英樹社長
と思われる領域に,リッチインターネットアプリケーションがあ
りますが,大きくは3つの事業から成り立っています.
◆御社の強みはどういったところにあるとお考えですか.
システム開発に関しましては,NTTデータという親会社がやっ
ている領域でもありますので,ここは我々WPCの得意分野です.
とNTT東日本の子会社であったNTT-MEは,両社共に映像配信
さらに,2007年9月に株式会社イーボス・ジャパンと経営
事業を行っていました.そのころは,ちょうどこれからインター
統合し,同社のECを支援するフルフィルメント業務をWPCの
ネットで映像系が伸びていくという状況.であれば,NTTデー
事業として営業を開始しました.イーボス・ジャパンは2000
タとNTT東日本が共同出資をして新会社を設立し,映像配信を
年に設立された会社で,フルフィルメント業界においてはかな
中心にインターネット系のサービスに積極的に取り組もうとい
りの実績がありました.
うことになりウェブプロデュース(WPC)が設立されました.
以上のようなことから,弊社の強みは,システム開発∼フル
さらに弊社設立は,インターネットを活用したマーケティン
フィルメントまで,経験と実績を生かし企業が取り組むインター
グ領域を立ち上げるというNTTデータの大きな戦略の中の位置
ネットビジネスをワンストップでフルサポートできるというと
付けでもありました.
ころです.
◆事業内容については.
現在,3つの事業部があります.
1番目は,WEBインテグレーション部.インターネットの
Webサイトの調査から始まり,企画設計や開発といったいわゆ
るWebのシステム構築を行っている部署です.
イーボス・ジャパンとの経営統合により
ECフルフィルメントサービスに着手
◆経営統合および,新しい領域フルフィルメントサービスに着
手された背景については.
2番目は,ネット配信プラットフォーム部.映像配信系です
私はイーボス・ジャパンの社長も兼ねておりました.以前か
ね.オンデマンドストリーミングやライブストリーミングといっ
ら子会社どうしでグループシナジーをつくっていこうという絵
たリッチコンテンツをネットで配信するプラットフォーム事業
を描いていましたので,NTTデータグループ会社の中で候補を
を行っています.
挙げ検討しました.
そして3番目は,ECソリューション部.BPO(ビジネスプ
グループシナジーについてイーボスサイドから見た場合,イー
ロセスアウトソーシング)でEC・通販フルフィルメントサー
ボスのフルフィルメントサービスとシステム開発とのシナジー
ビスを提供しています.
はだいたいどこの会社もあることが分かりました.その中で
ほかにも,Webインテグレーションの一環としてe-マーケティ
ング.今後ネット配信プラットフォーム部での事業のコアになる
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NTT技術ジャーナル 2008.6
WPCを選んだのは,プロモーションといいますか,映像配信
を含めた領域を持っていることでした.
そして,WPCサイドからお話ししますと,統合前の弊社は,
で生まれています.
ネットキャンペーン・映像配信・Webサイト構築に特化した事
「ECとフルフィルメント
業を行っており,マーケティングやキャンペーン事務局といっ
サービス」「キャンペーンと
た広告領域においてイーボスとの間で他の会社にはない関係を
ポイントサービス」
.このよう
築き上げており,すでにシナジーは生まれていました.
なサービスの連携がニーズと
インターネットビジネスを行う企業にとっては,単にWebサ
して高まっています.そうい
イトをつくって終わりというだけでなく,そこにいかにしてお
う意味でも,経営統合におけ
客さまに来てもらえて,売った後のフォローもいかにしっかり
る事業シナジーを最大限に生
やれるかが重要な問題です.そのことを踏まえたときに,
かしたサービスというところ
WPCのシステム開発および集客ノウハウとイーボスのフルフィ
に重点を置いて会社を特徴付
ルメント業務との融合は,ECビジネスサポートのワンストッ
けていきたいと思います.
プ化を実現し,最大のシナジーを発揮できるものと判断し経営
◆5年後に売上50億を目指
統合に至りました.
しておられるそうですが.
◆EC市場の動向は.
今,業界的に映像の領域で
ECにつきましては,2000年くらいに1回目のピークがあ
上野山英樹社長
いうと,市場規模は順調に伸びています.設立以来,WPCの
りました.そのときが実はイーボス・ジャパンをつくった時期
売上のCAGR(年平均成長率) は,50%を維持しており,
で,2006年あたりからまた第2のブームが来ています.
この調子で上手く市場と同じような伸びができれば,50億も
2000年当時のECは,プレイヤがベンチャーぽかった.こ
こ1∼2年のECは,ポータル系というよりメーカが多くなっ
たような気がします.メーカですから,従来は流通に遠慮して
自らはECをやるのを控えているところがありました.
夢ではないと思っています.
◆売上50億を掲げ順調に発展を続ける御社ですが,あえて現
在の課題を挙げるとすれば.
今悩んでいるのは人材ですね.WPCスタート時点のコアメ
しかし,最近はブランドを変えたり商品を絞り込んだりしな
ンバは出向社員です.NTTデータから期間限定で社員に出向し
がら独自でECをやられている.若干プレイヤが替わってかつ
ていただいているのですが,NTTデータの出向者政策の見直し
大規模なものが増えてきている印象があります.インターネッ
もあり,今後は出向者の比率を減らしていくようなオペレー
トが販売チャネルの1つとして,あらゆる商材において,特別
ションになるかと思います.そうなると,我々のような子会社
なことではなく普通に検討されるようなった,というのがここ
における人材は外部から採用し,自ら育成していくということ
1∼2年の動きですね.
が求められます.WPCも3年目を迎えそれなりに規模が大きく
◆フォーカスするクライアントの業種はありますか.
なってくると,優秀で元気で会社を盛り上げていくような人材
弊社がサポートさせていただくお客さまは,ECを専業とさ
を上手に育てるというところがとても重要になってきています.
れている会社ではなく,これからECの導入を検討される会社
そのためにも,これまでのNTTグループにはない雰囲気や仕
が中心となります.ですので,自ら倉庫を持ったり,流通を押
組みや制度を考えなければと思っております.それにより魅力
さえたり,コールセンターの仕組みをつくったりするのではな
を感じ優秀な人材が集まって来るような….若い方からベテラ
くアウトソーシングされるのが基本です.我々としましては,
ンの方まで幅広い年齢の方が集まって来るようにしたい.これ
EC自体が専業ではない企業が,1つのチャネルとしてやられ
までのシステム開発は,体力勝負みたいなところがありました
る領域を上手くワンストップでサポートさせていただくことに
が,これから我々がサービスということを思考したときに,経
重点を置いています.
験やネットワークが重視されることが出てくると思いますの
ECサポートのワンストップ化実現により,
クライアントニーズに合わせ必要な機能を最適化して提供
◆今後の事業展開についてお話しください.
で,さまざまな経歴や経験を持つ人材が必要不可欠になると思
います.そういうことも含めてどう仕組みをつくるかというこ
とが課題ですね.
そして,もう1つの軸は,メディアとネットワークインフラ
経営統合により,マーケティング領域,Webインテグレーショ
との連携強化です.既存のメディアとの連携をどのようにつくっ
ン領域,フルフィルメント領域のECトータルソリューション
ていくか,また,最近NTT本体がやっている次世代ネットワー
を整備し,今後企業が取り組むネットビジネスをワンストップ
ク(NGN)インフラにどう乗っかっていくかも我々にとって
でサポートする環境が整いました.今後はさらに,クライアン
重要な課題だと考えています.
トのニーズに合わせ,必要な機能を最適化したサービスを目指
◆将来的にどのような会社にしたいですか.
します.
そのような中で,最近出てきているのが,ポイントを集め商
いろいろな企業がインターネット上でビジネスをされるとき
の B P O パ ー ト ナ で あ り た い .「 シ ス テ ム 開 発 だ け で な く ,
品との交換やキャンペーンへの応募といったポイントマーケティ
WPCならすべてを任せられる」と言っていただけるような会
ング.ECではないのですが,課金・決済業務を除けば,まっ
社に成長していきたいですね.
たく同じようなアウトソーシング業務がマーケティングの領域
NTT技術ジャーナル 2008.6
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サービス紹介
既存社内サービスとのシナジーによ
り,顧客満足度の高いBPOソリュー
ションを提供
ので,着実に社内でのシナジーは生
まれてきていると思います.
また,最近の流れとして,SaaS
(Software as a Service)のよう
な,ソフトウェアをパッケージごと
購入しなくても,必要な機能だけを
必要なときに利用し,利用した機能
ECソリューション部 部長 大坪靖司さん
に応じたコストだけを支払うサービ
スが注目を集めてきており,一部で
大坪靖司部長
はそういった形態のサービス基盤をつくり,利用者が共通的に
◆ECソリューション部についてお聞かせください.
ECソリューション部は,WPCとイーボス・ジャパンの経営
統合を機に,イーボス・ジャパンに在籍しておりましたメンバ
いろいろなアプリケーションを使えるようにする話も出てきて
います.
元々我々は,使いたい機能を従量制で提供するトランザク
を中心に新たな部署として設置されました.
我々が提供する主なサービスとしては,ECサイトを構築さ
ションモデルを採用していましたので,最近ではNTTデータが
れた企業様が行わなければならない売買契約後の決済・物流
構築するサービスシステムの業務運用面のサポートの部分でお
(倉庫・配送)・コンタクトセンタ・入金管理といったビジネ
声がかかることが増えてきています.NTTデータグループを見
スプロセスのアウトソーシングや,さまざまな事務局運営業務
渡してもそういったことを行っているところはほとんどないと
を受託しています.
いうこともあり,お話をいただくことが多いですね.
◆経営統合されてから半年以上経ちました.現在の状況をお話
◆WPCにおけるECソリューション部の位置付けについてのお
考えは.
しください.
統合前も両社は,お互いNTTデータの子会社ということもあ
売上的には,システム開発部門はインパクトが大きいですが
り業務連携をしていましたが,イーボスのフルフィルメント
どうしても期末に集中するなど波があります.それに対しEC
サービスをWPCの事業部門の1つとして営業を開始して以来,
ソリューション部はクライアントの売上に比例しますが,基本
さらに連携が密になりました.
的に振れ幅は少なく,ある程度年間を通じたベースラインとし
例えば,Webインテグレーション部のシステム開発部門が受
託したクライアントの仕事の運用を考えた場合に「どこか倉庫
て想定できます.そういう意味では,我々の部署は当面当社事
業の下支えだと思っています.
知らない?」とか「コールセンタもやってほしい」といったご
しばらくは3つの事業部がそれぞれの特色を活かして会社の
要望が出てきます.そのときはECなどのサポート業務に実績
前進力になることが重要で,その中から新しいシナジーが起こ
のある我々ECソリューショ
ン部のノウハウを生かすこと
により,システム開発と一体
となった顧客満足度の高い
ウェブプロデュースBPOサービススキーム
クライアント企業様
BPOソリューションのご提案
が可能です.
E−mail
TEL/FAX
はがき
また逆にいえば,我々は
クライアントにフルフィル
・担当者様は
本業に集中
Customer Contact
Layer
Fulfillment
Management Layer
コンタクトセンタ
運用管理センタ
・マーケティング支援
・顧客サポート支援
・営業支援
メントサービスを提供する
バックオフィス側でしたの
エンドユーザ様
で,フロント側のシステム開
商品配送
引取交換
発は積極的には行っていませ
んでした.しかし今後は,
我々のクライアントからシス
テム開発やその他プロモー
・マ ル チ モ ー ダ ル な イ ン タ
フェースに対応
・注文受付から配送確認まで
きめ細かなサポートが可能
ション等のご要望があれば,
WPCのノウハウを生かし
「弊社にはこんな技術があり
・問合わせ受付・回答
・注文・申込み受付
・アウトバウンド対応
Web サイト(PC,携帯)
PC/Mobile
・クライアント企業様の
運用支援業務
・データ統合管理業務
・物流統括管理
・コンタクトセンタ統括
管理
・決済・入金管理・代金
回収管理
・各種レポーティング
・「物の流れ」と「お金
の流れ」の消し込み
・トラブル分析∼対応∼
再発防止
・各種イレギュラー対応
・Web サイト構築
・サイト運営サポート
できます.実際にこの数カ月
組むことが増えてきています
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NTT技術ジャーナル 2008.6
決済事業者
・クレジットカード会社
・CVS,郵便局,銀行
・配送業者 等
ます」というかたちでご提案
で他部署の案件に一緒に取り
Business Partner
Layer
BPOサービススキーム概要図
倉庫事業者
・商品入出庫・保管
・商品ピッキング・梱包
・配送伝票作成・貼付
配送事業者
・商品配送
・代金引換
・不良品等の引き取り交換
パートナ企業
・データ入力会社
・システム開発会社
・外部コールセンタ 等
ウェブプロデュース
■落ち着いた雰囲気のエントランス
会社の顔ともいえるエントランスは,上品なホテルのロビーのよう.快適でゆったり
としたくつろぎ感ある雰囲気で来訪者を迎えます.
■社全体のコミュニケーションを深める
WPCの設立記念日には全社員が半休を取り,お台場の“潮風公
園”でBBQ・ゲーム大会を開催.役職や事業部の枠を超えてコ
ミュニケーションを深める楽しい企画が催されました.
■開放的なワークスペース
ワークスペースや会議室など,スタッフが使用する場所は壁をなくし「働
きやすさ」や「心地よさ」を追求.集中力を妨げない配慮もされています.
打合せやキックオフミーティングなどは「イノベース」の考え方を反映した
使用目的によりさまざまに形を変えられる多目的スペースで行います.
このようなワーク環境の中,新時代に対応したサービスとソリューション
ビジネスの展開を目指すWPC.Webを利用したクライアントとの積極的なコ
ミュニケーションで,さらに大きくパイオニアの存在になれるようスタッフ
全員が一丸となっています.
■大規模なイベントに積極的に参加
CEATEC JAPAN2007「見える,感じる,デジタルコンバージェンス最前線」をテー
マに幕張で行われた展示会でのWPCのブース.同社は,来場者が20万人という大規模な
イベントにも積極的に参加しています.
り第4,第5の事業が生まれ出て,それらが大きな利益をあげ
すね.
るものになる可能性も高いと考えています.
◆現在の目標は.
◆統合や合併後には,人数の多寡や社風の違いからさまざまな
統合前のWPCは,システム開発やセールスプロモーション,
問題が浮上するとよく聞きますが.
Webサイトの構築といったフロントエンドの部分を主に提供し
WPCでは,3つある部署におけるスタッフの割合はだいた
ていました.イーボスはそれから後の部分,ECであれば出
い均等ですので,人数的なバランスはとれていると思います.
荷・配送・決済・コンタクトセンタといったバックエンドの部
反面,業務の中身や勤務作業時間帯などは,制作系・システ
分を提供していました.この2つが統合することにより,クラ
ム開発系,そして我々のような業務運用系ではサイクルがかな
イアントへのサービスの企画立案からシステム構築・実際の運
り異なりますので最初は戸惑いました.我々は他部署と違い,
用までをサポートし,それらを基にしてさらにサービスをより
クライアントに合わせて原則的に9時半から18時くらいまで
良いものにしていくための提案へとつなげていく,トータルソ
コールセンタや倉庫等とのやり取りといった割と定型的な業務
リューションの提供が可能となりました.
が主ですし,他社からWPCへ入って来たこともあり,統合当
初は若干孤立していた感はありました.
我々ECソリューション部は,WPCの一員として他部署との
連携を図り,これまでECのお客さまの中に不満や不安として
しかし,半年ほどの間に少しずつ他部署との連携も増え,業
あった「いいサイトはつくったがお客が来ない,配送や課金決
務上のシナジーが生まれることで徐々にではありますが馴染ん
済管理が面倒,クレーム処理が大変,セキュリティが不安」と
できたように思います.
いったさまざまな問題に対するBPOソリューションをワン
WPCはいろいろなタイプの人材が混在していて結構おもし
ストップでご提供させていただくことで,NTTデータグループ,
ろいですよ.今後,このライフサイクルやワークスタイルの違
ひいてはNTTグループの中での弊社の存在価値を高めていきた
いから弊社独自の新しい文化や社風が生まれてくるか楽しみで
いと思っています.
(インタビュー:池内祥子)
NTT技術ジャーナル 2008.6
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