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DEPARTMENT OF CIVIL ENGINEERING PAPER

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DEPARTMENT OF CIVIL ENGINEERING PAPER
東 京 大 学 工 学 部
社
会
基
盤
学
科
Department of Civil Engineering The University of Tokyo
東 京 大 学 大 学 院
工
学
系
研
究
科
社 会 基 盤 学 専 攻
DEPARTMENT OF
CIVIL ENGINEERING
P A P E R
THE UNIVERSITY OF TOKYO
INTERVIEW 01 / Yu Nakai
えしながら、詳細な空間計画と主要な公共空間のデザイ
人の暮らしの場をデザインする
2014 年度より学科長/専攻長になられた中井先生に、
ン方針をまとめてきました。ここでは、デザインやまちづ
くりの専門家としての専門力が試されたと言えます。
ぼくは、社会基盤の本質というのは、人間と自然の関
係を、その土地のなかでどう定義し、具体の環境として
実現していくか、という点にあると思っています。たとえ
ば三陸は、一説によると、有史以来 90 回以上の津波を経
験しているそうです。どれだけの人間がその犠牲になっ
東日本大震災の復興事業など、最近のプロジェクトを通して
てきたのか、想像もつきませんが、それでもひとびとは、
考えていることについてお話頂きました。
この地に住みつづけてきた。今回の復興でも、町民ひと
りひとりが、あれだけの悲劇を経てなおこの町に住みつ
づけるかどうか、この土地とつきあって生きていくかどう
教授
T h e U n iv e rs it y o f T o kyo
中井 祐
De p ar tme n t of Civ il Eng ine e ring
Department of Civil Engineering The University of Tokyo
事務所でチームをつくり、集落ごとに住民と議論をくりか
かを、試されているわけです。まさしく、大槌という土地
における人間と自然の関係の根本が問われている。単純
に、防潮堤をつくるかつくらないかという議論に還元でき
ない、地域や国土を生きる思想の問題です。
中井先生の仕事についてお聞かせください。
最近取り組んでいる仕事の特徴について教えて下さい。
のだが、どうすればいいのか、と。いま、とくに地方の
東北の復興は本来、海の恵みと津波の脅威、自然の両面
都市はどんどん活気をうしなって、それが景観の劣化に
とつきあいながらどのように共同体として土地を生きてい
20年ほど前は、道路や橋や川など、個別の空間づくり
あらわれていますからね。つまり、中長期的なまちづく
くか、その思想を環境として具現化する作業なのだと思い
ところがあって、学術的な研究だけでなく、専門的な知
がメインテーマでした。子供たちが遊びさまざまな生物が
りの戦略をたてて、そこに個々の空間や施設のデザイン
ます。大槌で住民たちと復興基本計画を議論したときも、
見や経験を生かした実践活動を重視しています。研究と
育つ、みなに愛される河川空間をつくるにはどうすればよ
を戦術的にきちんと位置づけて、かつ市民と直接コミュ
そのことをつねに意識していました。三陸において、海の
実践の二本立てですね。
いか。日々ひとびとが集い、町のシンボルになるような広
ニケーションをとりながら、じっくりと腰を据えて風景
恵みを享受することと、津波という災害リスクを受けいれ
りかたですね。
専門家としてあれ以上の幸福はありませんね。社会の問
まず研究についてですが、風景は人間にとってどうい
場をどうデザインするか。川にしても広場にしても、それ
の再生にとりくむやりかたを開発する必要がでてきたの
ることは表裏一体です。恵みだけを享受して災害リスクを
もちろん無限に規制緩和できるわけがない。いずれ建
題のすべてを解決できるとはかぎらないけれど、プロジェ
う価値をもつのか、景観や風景に価値を生みだすメカニ
自体は景観を構成する要素のひとつにすぎないのですが、
です。町全体の将来をにらみつつ、街路や広場や川など
完全に消去することはできない。これは三陸にかぎらず、
築容積も頭打ちになる。東京でも人口は減るし高齢化は
クトがうまくいけば、市民の笑顔を確実にとりもどせる。
ズムはなんなのか、といったことに関心があります。駒
その個々の要素を、人間が暮らしていく場所として、すこ
の個々のデザインはどうあるべきか、そのデザインがど
日本のどこであっても、程度の差はあれおなじです。
確実に進行します。単身高齢世帯が増えて、密度のうす
ありがとう、と言ってもらえる。社会基盤の醍醐味です。
場の学生のころは、設計やデザインに興味があったので
しでもいい空間にしていく、そういう仕事でした。
のように土地のコミュニティに刺激をあたえて、町の景
自然災害とその復興は、人間と自然の関係をどう考え
い街になっていくでしょう。それに、超高層分譲マン
建築学科に行きたかったのだけれど、成績があまりに悪
だけどつくづく感じるのは、ただ格好のいい橋をつくっ
観形成にどのように寄与していけるか、そういうことが
るか、その思想が問われますし、シビルエンジニアとし
ションのように所有権を何百人にも細分化してしまえば、
くて留年して、結果として社会基盤学科(当時:土木工
ても、気持ちのよい川をデザインしても、道がきれいに
実践活動における主題になってきました。
ての信念や矜持も試されます。そういう意味で、もっとも
その建物は大規模な修繕や将来の建て替えは困難です。
学科)に流れついて、そこで景観や風景という専門領域
なっても、それだけで町は元気にならない、ということ
そんななか、東日本大震災が起きました。
社会基盤学らしいテーマのひとつといえるでしょうね。
五十年後か百年後か、超高層街区の空洞化と老朽化が社
たとえていえば、都市、地域、国土を診断して治療や
に出会って、人生が変わった。きっと、もともと風景が
です。施設や構造物が個別に美しくなるだけでは、町の
会問題になるかもしれない。そこに M9 の地震がドカン
カウンセリングをおこなう、臨床の知と技術の体系だと
好きだったんですね。留年して、
ほんとうによかった
(笑)
。
風景はイキイキしてこない。だから、研究の方向性もす
ときたら・・・。
思います。調査や分析など、都市や地域の状態を多角的
ただ、デザインもやっぱり好きだし、それに工学として
こし変わりました。最初のころは、土木構造物の景観や
われわれの社会はさまざまな矛盾をかかえていて、そ
に診断する理論的な方法論。あるいは、インフラを整備
の社会基盤学は、ただ研究室で本を読んで考えていれば
デザイン史をテーマにすることが多かったのですが、最
たしかに、東日本大震災からの復興は、自分の専門の
そういうわけではありません(笑)
。東京でもいくつか
れが都市や地域の環境に顕在化しています。こういった
してフィジカルな環境を改変していく外科的な方法論と、
よいというわけではなく、研究で得た経験を社会に還元
近は、景観や風景をつくる主体としてのコミュニティに
どまんなかの仕事だ、という感覚があります。今回の復
仕事をしています。
問題の解決を考えるのがシビルエンジニアの役割であり、
施策や制度によって長期的に地域の状態を整えていく内
し、問題解決に貢献することが求められます。ぼくの専
焦点をあてた研究が増えています。
興事業のように、町のすべてをつくりなおすといった仕
ただ、たとえば大槌町にたいするスタンスと、東京に
モチベーションです。社会背景が複雑化していることも
科的な方法論。
門分野の場合は、じっさいに、よりよい風景や景観をつ
あわせて実践活動の内容も変わりました。以前は国や
事は、普通は経験することはできません。いわば、ハー
たいするスタンスはあまり変えません。掘りさげて考え
てつだって、自然科学的アプローチはもちろん、空間計
社会基盤学は、概念的には、都市・地域・国土の計画
くっていく活動がそれにあたります。街路、広場、河川
県のインフラ整備事業に関わる仕事がほとんどでしたが、
ドボイルドな社会基盤、土木技術の極致の世界です。し
れば、問題の根はおなじとみなすこともできるからです。
画や設計、コミュニティ論、財政、情報シミュレーショ
や運営を現場に即しておこなう際に必要な対象と方法論
構造物などのインフラや都市基盤施設をデザインし、あ
あるころから、基礎自治体(市町村)の首長さんが、悩
かし、インフラや建造物を復興すればこと足りるわけで
たとえば、東日本大震災と 90 年前の関東大震災には、共
ン技術など、多様で幅広い理論や方法論が求められてい
をすべて含んでいます。そういう意味でとても多彩な分
るいはまちづくりを通じて市民と議論しながら、魅力的
みを直接ぶつけてくることが多くなりました。インフラ
はありません。人口が増えて、それを活力の源としてあ
通点があります。自然の破壊力が、都市に内在している
ることが、いまの社会基盤学の大きな特徴だと思います。
野ですが、だからといってなんでもあり、ということで
な風景をつくっていく。それが実践です。
の整備や景観の形成を通じて町に元気をとりもどしたい
てにできる時代は終わりましたし、とくに三陸はどんど
矛盾を的確に突いてきた、ということです。
ん人が減っています。数が減るぶんは、コミュニティと
関東大震災のときは、インフラがほとんど近代化され
しての結びつきや自治力の強化でおぎなう以外にないで
ていない状態のまま、殖産興業の国策のもと農村部の若
しょう。ですから、ハードボイルド系の仕事はもちろん
年労働層がどっと都市部に流れこんできていて、おもに
コロンビアのメデジンという都市で図書館を設計する
大事だけれども、それだけで町は復興できない。人口が
下町一帯が、ろくなインフラもない劣悪な密集居住地域
経験をしました。研究室の先代の教授だった内藤廣先生
減って高齢化が進むことを前提に、ていねいに地元のコ
と化していた。そこに直下型がドンときて家屋がのきな
をヘッドに、研究室の総力をあげて取り組みました。社
ミュニティにかかわりながら、生きられる町をどう再構
みつぶれて、一気に火が燃えひろがって、十万人以上が
会の矛盾の解決に、都市空間のデザインで貢献した、思
学生にいっしょうけんめいメッセージ送っても、聞い
築していくか。これはまちづくりの話ですね。インフラ
亡くなった。それが関東大震災です。
い出の深い仕事です。
てもらえないからなあ(笑)
。
整備を担う土木技術と、自分の専門であるまちづくりと
都市の矛盾を突かれたという意味では、東日本大震災
メデジンは治安の悪いコロンビアでももっとも危険な
自分の道は自分で見つけろ、ということに尽きますね。
デザイン、どちらも総動員しなければ解けない問題で、
もおなじでしょう。人口が増えた高度成長期、津波の通
街のひとつで、そのなかでもとくに問題を抱えた地区に
そして、迷ったときのために仲間がいて、教員がいる。
ライフワークに値する仕事です。
り道を埋め立てて市街地が拡大したけれども、その後空
図書館をつくって、再生の拠点にしていく、というプロ
ぜひ社会基盤にきて、前向きに悩みながらも自分の道を
洞化して、実質的にはスカスカになりつつあった町を津
ジェクトです。図書館というと、普通本を読んだり借り
みつけてほしいと思います。
波が襲い、そのぶん被害が広範かつ深刻になっている。
たりする閲覧室をイメージしますが、ぼくたちは、広場
片山津温泉砂走公園あいあい広場(石川県加賀市/写真提供:二井昭佳)
復興といえば社会基盤という印象がありますが?
ベレン公園図書館(コロンビアメディジン市)
東日本大震災の復興事業への取組みについて聞かせて下
地方の問題ばかりとりくんでいるのでしょうか?
岩手県の大槌町の復興を支援するようになって、4 年
東日本大震災復興支援(岩手県上閉伊郡大槌町)
人の暮らしの場をデザインする社会基盤学
社会基盤学とは何でしょうか?
もありません。先に言ったように、軸足はつねに人間と
国際的な取組みについてお聞かせください。
自然の関係をどう考えて環境化するかに置いている。そ
れが社会基盤学といっていいでしょう。
最後に学生にメッセージをお願いします。
と、それまでながらく、メデジンのひとたちは屋外で自
由に時間をすごすことができなかったからです。外に出
目です。
心配なのは、都市を更新しつづける以外に、活力を生
ると誘拐されたり、殺されかねないからです。好きなと
被災した年、2011 年の秋から冬にかけて、都市工の窪
む方法をもっていないことかな・・・。都市再生のかけ
きに好きなひとと、好きなように時間がすごせるパブリッ
田先生や建築の川添先生とチームを組んで、住民と議論
声のもと、規制緩和でうまれた土地の余剰価値でビルを
クスペース、それこそが、メデジン市民がこころから欲
しながら、全集落の復興基本計画策定を手伝いました。
建て替え、高層化して床を増やしたりパブリックスペー
しながら手にすることができなかった価値なのですね。
これは、シビルエンジニアとしての責任や総合力が問わ
スをひねくりだして、都市をリバイタライズしていく。
ぼくたちのデザインは大成功でした。オープニング式
れる局面でしたね。その後、
2012 年度から昨年度にかけて、
そうやって生まれる活力が途切れることのないよう、規
典には二千人もの市民があつまり、ぼくらはハグされた
われわれのような専門家と行政、コンサルタント、設計
制緩和をくりかえす。右肩上がりの、拡大成長時代のや
りキスされたり、ようするにもみくちゃにされました。
中井 祐(なかい ゆう)教授
1968 年生まれ。博士(工学)。専門は景観論、土木構
造物・公共空間のデザイン、近代土木デザイン史。土
木学会デザイン賞最優秀賞、土木学会論文賞など受賞。
著書に『近代日本の橋梁デザイン思想』など。主なプロ
ジェクトに片山津温泉砂走公園あいあい広場(石川県加
賀市)ベレン公園図書館(コロンビアメデジン市)、大
槌町復興計画策定支援(岩手県大槌町)など。
INTERVIEW 01 / Yu Nakai
INTERVIEW 01 / Yu Nakai
いま、大都市の抱えている矛盾とは何でしょうか?
日向市駅と駅前広場(宮崎県日向市/写真提供:小野寺康都市設計事務所)
市民の笑顔をとり戻す社会基盤学
を主役にした図書館をデザインしました。なぜかという
さい。
01
ベレン公園図書館のオープニング式典
ぼくは、一般にイメージされる研究者とすこしちがう
02
社会基盤学とは何か?
社会基盤学科には、社会基盤学A(設計・技術戦略)
、
社会基盤学は、人の生活と環境に関わる多様な専門分野を総合化し、私達の身近にあって、その暮らしを支えて
きた実践的学問体系です。基盤技術を中心に、水環境や生態系、都市問題、防災、地域や国土の計画、社会資
本政策やプロジェクトマネジメント、国際協力など、ひとつの学科にまとまるとは思えないほどのフィールドの広
さを社会基盤学はカバーしています。それらの共通点は私たちの生活基盤づくり、自然環境づくりに関わってい
政策決定・マネジメントなどに関する研究・開発・実践を行うことが社会基盤学の目的です。
クト)の三つの進学振り分け部門があり、各部門の進学生
多様な人材と職能
社会基盤学(シビル・エンジニアリング)は、私たちの日常生活を支える技術体系です。
社会基盤学の分野には多様な人材が求められています。
たとえば道路や公園、橋、駅や鉄道、物流や情報通信施設、電気や水道などのライフライン
たとえば国土や都市のあり方を大局的に構想し実現する戦略家、歴史や景観・自然環境を活
は、現代の都市生活に欠かすことはできません。一方都市をはなれて、川や海、美しい山々
かしながら都市や地域のあり方を先導するプランナー、科学的方法論に基づいて公共施設を
を訪ねれば、そこにも快適な水辺を創り、豊かな川や森を保全して自然環境を維持していく
計画・設計・施工するエンジニア、地域の人々のために快適で美しい橋や都市空間を実現す
ための社会基盤技術が存在しています。
るデザイナー。歴史・哲学・社会学など諸分野とわたりあって人間社会とは何かを洞察でき
る人材も必要です。しかも、社会基盤学が対象として見据えている環境は、身近な生活空間
人間・自然環境の再生と創造
から地球環境に至る壮大なスケールのひろがりをもっています。
現代の生活は、人間が社会基盤技術を利用して周囲の環境を改善したり保全することに
次代のシビル・エンジニアが活躍する舞台は、わずか数十人の村のための環境整備から、
よって、成り立っています。社会基盤学とは、私たちが文明的・文化的な生活を営むために
地球規模での技術開発・環境保全戦略まで、実に多彩なものとなるでしょう。
社会基盤学 A
(設計・技術戦略)
「最先端の自然科学を駆使して
人と地球の明日を創る工学」
国際プロジェクトコースに配属されます。履修コースの違
いは、限定選択科目の違いによって特徴付けられます。設
「技術力を武器に世界に羽ばたくシビルエンジニア」
計・技術戦略コースでは力学、設計論、技術論を扱う科目を、
また政策・計画コースでは政策論や計画論、マネジメント
論などを扱う科目を中心に履修することになります。国際
プロジェクトコースでは、社会基盤学科の基礎科目に加え
て、国際プロジェクトの実施や国際社会でのコミュニケー
ション技術などの国際系科目が限定選択科目の骨格を形成
してます。
社会基盤学の領域
A
は、それぞれ設計・技術戦略コース、政策・計画コース、
B
社会基盤学B
(政策・計画)
C
「国土・地域・都市のトータルデザイン」
「自然と社会をつなぐ構想力で政策・
計画・マネジメントを実現するシビルエンジニア」
社会基盤学C
(国際プロジェクト)
「持続的で活力ある国際社会を創る
実践的知識の体系化」
「国際社会をリードするシビルエンジニア」
図:社会基盤学科の各コースの理念
社会基盤学 A(設計・技術戦略コース)
社会基盤学 B(政策・計画コース)
社会基盤学 C(国際プロジェクトコース)
人々の居住や移動や通信を可能にし、快適な都市空間
わが国を含む多くの国々において、国土・都市の整備
現在、わが国の国内経済は曲がり角を迎え、グローバ
を創出するとともに、都市を災害から守り、危機に瀕し
に関わる合意形成を含めた高度なプランニング、都市や
ルスタンダードが押し寄せてくるとともに、環境問題の
た自然環境を蘇らせる。自然と人間の望ましい関係を保
地域のサステイナブルなマネジメント、自然・産業・文
ように地球全体で取り組むべき課題も山積しています。
ちつつ人間の生活を支える基盤技術の重要性は、社会が
化が渾然一体となった国土のデザインなど、さまざまな
これからは、地域社会で貢献できる人材とともに、国際
変革期を向かえている今、世界規模でますます高まって
価値観や手法を総合的にコーディネートしながら的確に
社会で活躍できる人材が求められています。世界銀行や
います。人や自然が何を求め、どんな問題を抱えている
問題を解決すると同時に、将来のビジョンを提示するこ
アジア開発銀行、ユネスコなどの国連機関、国際的な
のかを敏感に感じ取り、技術を通して次代の文明の創出
とが求められています。政策・計画コースは、個々の施
NPO や企業グループなど、日本人が活躍すべきフィール
に貢献する。設計・技術戦略部門は、そのようなシビル・
設や空間の計画・デザインはもちろん、専門分化した各
ドは世界に大きく広がっています。そんな国際社会で活
エンジニアの養成することを目指しています。
技術を総合して国土や地域・都市のビジョンを描くこと
躍できる日本人を輩出することが、国際プロジェクトコー
のできる人材の育成を目指しています。
スの目的です。
T h e U n iv e rs it y o f T o kyo
T h e U n iv e rs it y o f T o kyo
るということに尽きると思います。人間・自然環境の再生と創造を実現するために必要な、基盤技術・デザイン・
私たちの生活と社会基盤学
各コースの理念と目指す将来像
社会基盤学B(政策・計画)
、社会基盤学C(国際プロジェ
De p ar tme n t of Civ il Eng ine e ring
De p ar tme n t of Civ il Eng ine e ring
A・B・Cコースの理念と目指す将来像
WHAT IS CIVIL ENGINEERING?
必要なあらゆる技術を含み、いわば人間が人間らしく生きるための環境を創造する大切な役
割を担っています。加えて、今や地球規模の自然環境再生が重要なテーマです。
次代の環境創造を担うために
現代のシビル・エンジニアは、大都市機能の再構築と都市防災、地方都市の再生、自然環
東京大学社会基盤学科/社会基盤学専攻は、人間の生活や環境に関わる多様な専門領域
境や田園風景の保全、河川環境の再生と水害対策、地球規模での環境・エネルギー問題、国
が総合化したグループであり、次代の環境創造を担う個性豊かな人材の育成を目指してい
際社会における技術協力など、実に多くの課題と向き合っているのです。
ます。人それぞれの個性や資質を生かせる場所が、必ず見つかるはずです。
卒業研究および大学院の研究グループ配属
4年生に進学すると全員がいずれかの研究グループに配
属され、卒業論文を作成することになります。グループ配
属は各自の希望に基づいて行われますが、設計・技術戦略
コースからは基盤技術と設計グループ・水圏環境グループ
に、政策・計画コースからは都市と交通・マネジメント・
水圏環境
デザインと景観グループに、国際プロジェクトコースから
専攻長からのメッセージ
水圏環境
は国際プロジェクトグループに、それぞれ優先的に配属さ
れることになっています。
各研究グループでは、本人の興味や研究の社会的意義を
チェンジを必要としています。
考慮の上、卒業研究のテーマが決められ、各学生は卒業ま
さらに文明のありかたを規定する、すなわち人間社会の根幹に作用して変化をもたらす力を
世界はさまざまな価値観が入り乱れて混沌とし、日本も人口減少と超高齢化という人類
での一年間、そのテーマのもとで論文の作成に取り組むこ
もっています。
未知の領域に踏み込みました。社会基盤学の役割はいっそう重大です。当学科の 142 年の
とになります。
たとえば、わずか一本の道が町と町、地域と地域をつなげば、それまでにない出会いやコ
歴史(注:前身のひとつである工学寮土木学科からの通算)を通じてみても、有数の重要
ミュニケーションを促し、経済活動を刺激して産業や土地利用や町の姿に影響を与え、市民
な局面に向き合っているといえるでしょう。ぜひ、社会基盤学に関心を抱いていただけれ
大学院に進学する場合、本人の希望と一定のルールのも
の生活をすこしずつ変えていきます。
ば幸いです。
とに、改めて生産技術研究所・地震研究所の社会基盤学
あるいは、道ゆく旅人から、あらたな芸術が生まれるかもしれません。そしてその道は、
そして願わくば、当専攻/学科の扉をたたき、この局面を突破してともに未来を切り拓く
関連部門を含めた各研究グループに配属されることになり
時代を超えて残り続け、次の文明の基礎になります。このような力をもつ社会基盤を、構想・
仲間に加わってくれることを、期待しています。
ます。4年生時と同じグループに所属して研究を継続する
計画し、設計して具現化し、適切に運営していく。そのための理論・方法論を追究するのが
ことも可能ですが、卒業研究を通じて培った素養や問題意
社会基盤学です。対象は幅広くとりくむほどに奥深く、とても挑みがいのある分野です。い
識のもと、異なるグループで修士論文に取り組むことも奨
ま、わたしたちになじみの深い近代という文明の枠組みも、すでに老朽化を隠せず、モデル
2015 年 4 月 社会基盤学専攻長・学科長 中井 祐
励しています。
各履修コースと優先的に配属される研究グループ
注:図は各履修コースから優先的に配属される研究グループを示しています。
状況によって、希望の研究グループに配属されることが可能です。
What is Civil Engineering?
What is Civil Engineering?
03
社会基盤(Infrastructure)は、わたしたちの日常生活の質を形成して文化の土壌を耕し、
04
De p ar tme n t of Civ il Eng ine e ring
シビルエンジニアという仕事
社会基盤学科の教育カリキュラムを中心となって
議論されている石田先生に、100年後の社会を想像した研究と、
シビルエンジニアの育成についてお話頂きました。
石田 哲也
教授
写真4:海外インフラ見学会(3年生 2015 ベトナム)
写真5:アジア開発銀行(ADB)インターン(大学院)
こういった技術は既に、実際の構造物の健全性評価に
まうこともある。世界でトップの研究成果を出す、また
いような局面で軋轢が生じ、様々な紛争・係争が起こる
群を用意しています。プロジェクト演習系の講義では、
の最前線を知ることは大変大事だと考えていますので、
も使われています。例えば,皆さんが良く使っている東
は先端的な技術開発を行う、というのは非常に大事であ
ことがあります。そのような場面では、技術力のみなら
複数の専門知識を駆使しながら、自分で問題を発見し解
学生さんが海外に行ける機会を多く用意しています。海
突然ですが、人の寿命ってせいぜい80年くらいですよ
京メトロ。銀座線は80年以上経過しているものの、割合
りますが、同時に技術を適用した結果、我々あるいは次
ず、法律や政治経済の素養を兼ね備えた人材が求められ
決策を見つけるトレーニングを行っています。例えば,
外で行われているインフラ整備プロジェクトの見学会
ね。僕はちょっと不摂生しているから、もう少し短いか
健全性を保っている。一方で、湾岸エリアや海に近い河
世代の生活がどのような影響を受けるのか与えるのか、
るでしょう。良い社会、素晴らしい未来を創り出すため
東海・東南海・南海連動型地震で被害が想定される特定
や、数週間の海外インターンシップ、さらに大学院の学
も(笑)。それはともかく自分がこの世から消えてもな
川の下を通るトンネルは、海水が混じる地下水がトンネ
長い時間軸で考えないといけません。そのためには、歴
には、それこそ使えるものは何でも使う、というのが社
の自治体を例に取り上げ、防災対策の現状や課題を学
生を対象とした1年弱にわたる長期インターンシップ、
お、多くの人の役に立ち続けるインフラ、しかも美しく
ル内部に入ってくることがあり、厳しい環境のところが
史や地理、哲学、文学など人文社会系の素養も非常に大
会基盤学なんですよね。実際、帝国大学工科大学初代学
び、命や財産を守るための手法を提案する演習や、仮想
フランスのグランゼコールに留学して学位を取るプログ
丈夫でカッコいい構造物を作りたいですね。ついこの
ある。こういった環境で、内部の鉄筋がどのくらいのス
事になります。幅広く色々なことに関心を持つ学生さん
長を務め,我が国の土木工学の父である古市公威は、次
の建設会社を経営して、積算・契約の仕組みや組織マネ
ラムなどがあります。学部生から大学院生まで、それぞ
前、フランスに行って色々とインフラを見てきました。
ピードで腐食して、いつのタイミングで補修すべきか計
は、社会基盤学科は非常におススメだと思います。
のような言葉を残しています。「土木学会員は技師な
ジメント、更に与えられたルールのもとでの参加プレイ
れの段階に応じたプログラムが充実していて、今の学生
こういう職業柄、海外出張に行くことが結構多いのです
算を行いました。数十年先まで予測を行って、最小の投
り。技手にあらず。将校なり。兵卒にあらず。即、指揮
ヤーの行動原理を学ぶ演習等を行っています。またケー
さんが心底羨ましいと思います(笑)。【写真4】は、
が、出張先で古(いにしえ)のエンジニアやアーキテク
資で最大の効果をもたらす維持管理戦略を立てるという
者なり。(中略)指導者を指揮する人、即、所謂、将に
スと呼ばれる事例を記した資料を用いて、実践的能力を
学部3年生らと行ったベトナムでの見学会の様子です。
トが精魂こめて作った構造物を見るのが好きなんです。
ものです。ただ計算も大事なのですが、やはり現場での
将たる人を要する場合は土木に於て最多しとす。」すな
磨くケースメソッドを活用した講義もあります。グルー
我が国の企業が関連する地下鉄や橋梁建設のプロジェク
【写真1】は、今から90年以上も昔、鉄筋コンクリート
調査も重要。最終電車が発車するのを待って、地下トン
公共という立場から、人、自然、そして社会を扱う学
わち、全体を見渡した指揮者、コンダクターとして、
プで行う作業や議論を多く行うので、自分の考え方をア
トを見て回りました。世界の第一線で活躍するエンジニ
という当時の最先端材料を使って作られたランシーの教
ネルの中に潜入するということもしました。夜中の1時
問、それが社会基盤学です。従って、カバーする範囲も
様々なものをコーディネートして、未来の社会を作って
ピールする力も鍛えられますし、なによりもそういった
アやマネージャーなどの姿に直接触れてもらうことで、
会堂です。コンクリートの父とも呼ばれたオーギュスト
や2時に地下に居るという、非日常的でワクワクする体
非常に広い。求められる人材像も、良いインフラを世に
いく人材を育成することが、昔から現在までに脈々と続
講義を通じて皆が切磋琢磨しながら仲良くなっていくん
勉強や研究に対するモチベーションを上げてもらいたい
ペレによるもので、コンクリートという素材を見事に使
験だったのですが、驚いたのは働いている人の数。何百
実現するためのハードウェアに関わる技術者だけではな
く社会基盤学科のミッションなのです。
ですよね。社会基盤ではチームワークが大事になる場面
と考えています。海外の現場でバリバリと活躍している
いこなした空間は感動モノです。また【写真2】は、パ
人と言う人が、様々な作業をしているんですよね。社会
く、新しいプロジェクトを創り出すというプロジェクト
が多いのですが、学生さん同士が非常に仲が良いという
姿はカッコよくって、非常に刺激的です。旅先でみんな
リの東部にあるルザンシー橋というもの。1946年に出来
を支えるインフラは、こういう目に見えない作業によっ
のかなり上流側で優れた構想力を発揮する人材、高いマ
では勉強することがたくさんですね?カリキュラムはど
のが特徴であるかもしれません。【写真3】
でワイワイと飲む酒や食事も美味いですし、楽しい企画
た橋ですが、プレストレストコンクリートと呼ばれる、
て支えられているんだと、改めて感動しました。
ネジメント力を発揮してプロジェクトを成功裏に導く
うなっているのでしょうか?
部材に圧縮力をかけて外からの荷重を支えるという構造
最近では更にこういった研究を発展させて、最先端の
人材などが求められます。これらは、大雑把に言えばB
技術を確立した、フレシネーというエンジニアによるも
情報通信技術とシミュレーション技術を駆使して、社会
コースが目指す人材ですね。またCコースの看板でもあ
構造力学や流体力学、材料、設計といった基礎的な理
のです。時代時代で先進的な技術をうまく使いこなしな
を支えるインフラを安全に使い続ける技術を開発してい
る国際プロジェクトを進める際には、異なる自然条件、
論を体系的に教えるカリキュラムの他に、理論をうまく
がら、それでいて美しく、また長期間の風雪にも耐え、
きたいと思っています。またその他にも、二酸化炭素を
法体系、契約、商慣習など、日本国内では問題にならな
つかいこなすための応用力、実践力の強化を狙った講義
多くの人に愛されている。モノによっては100年以上の
活用した極めて強度の高い新材料の開発だとか、大理石
ジア開発銀行の職員として活躍している人も出てきてい
オーダーで使われるインフラをつくるというのが社会基
のように美しく耐久性の高いコンクリートの開発、と
ますよ。
盤学の特徴でもあるわけですが、そういった構造物を
いったこれまでにない新しい材料の開発も行っていま
作った偉大な先人に心底憧れますね。Aコースが目指す
す。いずれにせよ、少なくとも100年、環境によっては
「技術力を武器に世界に羽ばたくシビルエンジニア」と
1000年以上もピンピンしている構造物を作りたいと思っ
いうものの一つは、そういった人材像をイメージしてい
ています。
石田先生にとって憧れのエンジニアは?
社会基盤学科はどういう人材を輩出するのですか?
です(笑)。また大学院での長期のものとして、アジア
海外に出かけたり留学したりする機会は用意されていま
開発銀行の本部でインターンを行う制度を独自に作って
すか?
います。【写真5】これは始めてから、既に15年弱経過
しているのですが、国際機関の実務で問題となっている
まさに「百聞は一見に如かず」で、実際の現場や実務
写真1:ランシーの教会堂(フランス)
課題を研究として取り組むもので、これをきっかけにア
最後に学生にメッセージをお願いします
とにかく楽しくやることが大事だと思うので、学生さ
んがのびのびと成長する機会を提供したいと思います。
ます。
石田先生のやっている研究について教えてください
T h e U n iv e rs it y o f T o kyo
Department of Civil Engineering The University of Tokyo
INTERVIEW 02 / Tetsuya Ishida
100年先ってかなり先ですよね。どんな社会を想像して
うちの学生さんを見ても、みんな良い顔をしているし、
いますか?
教員同士も仲が良い(笑)。ポジティブでとても明るい
雰囲気の学科だと思いますので、ぜひ社会基盤学科に進
た研究を行っています。具体的には、コンクリートの性
勃発したあたりですよね。ちなみに土木学会が創立され
質や状態を左右するナノスケール空間で起こる現象をモ
て今年で100年ですが。100年前から今まで、どれだけ技
デル化し、それを実構造物の大きさであるメートルレベ
術が進歩して社会が変わってきたか、すごい変化ですよ
ルにまでスケールアップして、様々な環境で使われる構
ね。ライフスタイルも価値観も大きく変わります。です
造物の性能をシミュレーションで予測しようとするもの
ので、インフラそのものが100年の風雪に耐えるという
です。基礎的な熱力学、材料力学・化学、地球化学、な
ことは大事ですし、そういった技術は必要不可欠なので
どの理論に基づいてモデルを構築して、20くらいの支配
すが、インフラをつくったことによって、どのように社
石田 哲也(いしだ てつや)教授
方程式を連成して解いて…と細かい話をすると長くなる
会が変わるか思いを馳せなければならない。ある建設会
1971 年生まれ。博士(工学)。専門はコンクリート工
ので止めておきますが、要は完成した構造物が、どのよ
社のキャッチコピーに「地図に残る仕事」というものが
学、地圏環境工学、多孔体熱力学。セメント系材料と
うな環境で使われると、100年先や1000年先にどのよう
ありますが、「地図を変える仕事」に関わるというのが
になるのか、コンピューター上でシミュレーションする
社会基盤学なのです。地図を変えることによって、人々
技術開発を行っています。
の生活を変えてしまうし、歴史や人々の文化を変えてし
構造のライフスパンシミュレーションなどをテーマに、幅
広く研究。土木学会論文賞・吉田賞・出版文化賞、fib
写真2:ルザンシー橋(フランス)
写真3:様々なプロジェクト演習系講義を通して、
実践力とチームワークが鍛えられる
(2年生A1A2の導入プロジェクト)
Award、IABSE PRIZE など受賞多数。著書に『マンガ
でわかるコンクリート』等。
T E TS U YA IS HI DA
T E TS U YA IS HI DA
よ。今から100年前って1914年だから第一次世界大戦が
/
/
に実現するために、コンクリートというものを対象にし
02
02
いやー、正直なところ想像するのはかなり難しいです
I NT ER V IE W
I NT ER V IE W
05
学してください。
長年の風雪に耐える、長持ちして美しいインフラを世
06
教育とカリキュラム
社会基盤学は実践のための学問です。教室で得た知識を能動的に現実の問題に応用するためのトレーニングとして、2 年次冬学期から 3 年次冬学期に至る一貫したプロジェクト型演習を用意し
ています。工学の本質を自然に習得できる基礎的な演習から、プランナーやデザイナー・マネージャーなど各職能を想定した専門的な演習まで、段階的に履修が可能です。
東大社会基盤学の教育の特徴は、社会基盤学のフィールドの広さに対応できるさまざまな人材を育成すべく、
自由度の高い枠組みを提供している所にあります。3部門に分割された進学振分けと履修コース、科目選択の自
由度が高い講義体系、留学・インターンシップ制度の充実などにより、学生個人の興味と将来像に応じた義履
導入プロジェクト
(2年次A1A2)
基礎プロジェクト
(Ⅰ-Ⅳ)
(3年次S1S2)
フィールド演習
空間情報学実習
(必修)
(3年次夏期)
(3年次)
応用プロジェクト
(Ⅰ-Ⅴ)
(3年次A1A2)
社会基盤
プロジェクト
卒業研究(必修)
(4年次)
修、研究活動が可能になっています。
カリキュラムの全体像と特徴
す(図 2)
。すなわち、構造力学、流体力学、材料、設計、
や組織マネジメント、更に与えられたルールのもとでの参
計画学、空間情報学といった基礎的な理論を体系的に教え
加プレイヤーの行動原理を学ぶ演習等を行っています。ま
学生の自主性を重視して、各自の関心に合わせた分野を
るカリキュラムの他に、理論をうまく使いこなすための応
たケースと呼ばれる事例を記した資料を用いて、実践的能
主体的に学んで欲しいという意図から、
必修科目は「フィー
用力や実践力の強化を狙った講義群を用意しています。プ
力を磨くケースメソッドを活用した講義もあります。この
ルド演習」と「社会基盤プロジェクト(卒業研究)
」のみ
ロジェクト演習系の講義では、複数の専門知識を駆使しな
ようにグループで行う作業や議論を行う講義が多いので、
とし、履修の自由度を高くしてあります(図 1)
。ただし社
がら、自分で問題を発見し解決策を見つけるトレーニング
自分の考え方を的確に伝える力が養われると同時に、切磋
会基盤学の専門分野を効率よく俯瞰的に学んでもらうため
を行っており、例えば東海・東南海・南海連動型地震で被
琢磨しながらクラスメートとのチームワークが高まってい
に、2 年 A1A2 に受ける入門講義群、3 年 S1S2 の基礎講義
害が想定される特定の自治体を例に取り上げ、防災対策の
きます。将来、様々な場面で課題を発見し自ら問題解決を
当学科・専攻は、昨今のインフラ市場の国際化・グローバル化や日本企業の積極的な海外展開に対応するため、国際的に活躍するリーダーとなる人材の育成に力を入れています。
群、それに続く A1A2 の応用講義群という流れで、講義・
現状や課題を学び、命や財産を守るための手法を提案する
行っていくための必要な能力が、講義を通じて鍛えられる
ここでは、外国の異なる環境での生活経験や、社会や技術に関わる諸問題の発生している現場での体験、さらには世界各国の最先端の研究者や学生との交流を通じて、国際的な視野と行動力とを持っ
演習・実習が体系化されたカリキュラムが用意されていま
演習や、仮想の建設会社を経営して、積算・契約の仕組み
と言えるでしょう。
た人材の教育を目指しています。そのため、比較的短期的に海外に出かける交流プログラムから、1ヶ月~半年間にわたる海外研修、国際機関でのインターンシッププログラム、
基礎プロジェクトⅡ(3 年次 S1S2)
基礎プロジェクトⅣ
(3 年次 S1S2)
フィールド演習
(必修科目)
(3 年次)
応用プロジェクトⅡ
(3 年次 A1A2)
T h e U n iv e rs it y o f T o kyo
社会基盤学科(学部)
・専攻(大学院)の講義
De p ar tme n t of Civ il Eng ine e ring
Department of Civil Engineering The University of Tokyo
プロジェクト型演習について
EDUCATION AND CURRICULUM
留学・国際インターンシッププログラム
さらにはダブルディグリーのための留学プログラムまで多様な機会が用意され、多数の学生が海外でいろいろな経験をしています。
図 1:社会基盤学科の履修コースとカリキュラム
数学1E
基礎流体力学
性能照査と設計
景観学
社会基盤学専攻と ADB との間で作られた独自の
長期インターンシッププログラム
開発とインフラ
応用プロジェクトI-Ⅴ
水理学
海岸工学
法学基礎
公共経営学
沿岸環境計画
流砂系保全計画
自然災害と都市防災
環境エネルギー政策論
国土学
土地学
財務学
地盤の構造学
物理数学の基礎
橋の計画と設計
地球水循環と社会
社会技術論
プロジェクトマネジメント
材料の力学
大学院
国際コミュニケーションの基礎I
国際コミュニケーションの基礎II
技術移転と開発
構造設計特論
コンクリート工学
社会技術論特論
振動・制御・計測
国際プロジェクトのケーススタディ
河川流域の環境とその再生
社会基盤学倫理
シビルエンジニアの活躍する世界
途上国プロジェクト特論
社会基盤学実習
フィールド演習
(必修)
国際プロジェクト実習
空間情報学実習
総合プロジェクト演習
社会基盤プロジェクト
(卒業研究(必修)
)
コンクリートの連関機構モデリングE 地盤工学のフロンティアE
風と構造物E
環境流体力学特論E
構造設計特論E
土質工学原論E
地盤工学特論E
環境復元学E
河川工学特論E
海岸水理学E
水文学特論E
水害シミュレーション学E
防災危機管理学
道路交通工学特論E
社会基盤マネジメント特論E
景観学特論
都市災害軽減工学E
社会基盤のフロンティアI
鉄筋コンクリートの非線形力学E
計算地震工学E
社会基盤学の非線形解析法E
基礎工学E
海岸漂砂論E
空間統計解析E
社会基盤のフロンティアⅡE
社会技術特論E
社会基盤技術者のための国際英語Ⅰ-ⅡE
社会基盤技術者のための日本語E
振動・制御・計測E
地理情報システムE
交通・地域学特論ⅠE
交通・地域学特論ⅡE
マイクロ波リモートセンシングE
写真測量とリモートセンシングE
自然災害と都市防災
国際プロジェクトの事例分析特論E
自然災害のリスク管理学E
国際インフラ建設プロジェクト
における技術とマネジメントE
自然災害のモニタリングおよび制御学E
シビルエンジニアの活躍する世界
学部講義備考
1:履修年次の制限:*原則として3年次で履修する/**原則として4年次で履修する
2:卒業に必要な履修単位数:必修科目11.5単位/限定選択科目54単位以上/標準選択科目・限定選択科目と合わせて60単位以上/必修科目、限定選択科目、標準選択科目及び選択科目の単位数と合わせて84単位に達するまでの単位
大学院講義備考
E :Lecture in English
1:修士課程においては専攻で定めている社会基盤学実験及び演習は必ず履修しなければならない。
2:博士後期課程においては輪講、特別研究は全て履修しなければならない。
東京大学大学院工学系研究科とフランスのグラン
ゼコールの 1 つである ENPC との協力による修士
課程のダブルディグリープログラム
※試験の詳細は年度によって変更されることがあるので、必ず専攻ホームページ等により本専攻入学試験案内を確認し、常に最新の情報を入手すること。
■募集要項
地震と地圏災害軽減工学E
都市開発政策:
持続可能な都市開発のための理論E
復興デザインスタジオ
復興デザイン研究コロキウム
水循環データ統融合の展開学E
社会基盤学実験及び演習
社会基盤学特別講義
社会基盤学特論Ⅰ-Ⅵ
社会基盤学インターン
社会基盤学論文輪講Ⅰ-Ⅱ
社会基盤学特別研究Ⅰ-Ⅲ
フランス ENPC との
大学院修士課程共同プログラム
1.募集人員 52名程度
2.試験科目
○英語
英語の評価はTOEFLの点数により行う。
詳細は、
東京大学大学院工学系研究科学生募集要項、
および本専攻入学試験案内を参照のこと。
○社会基盤学
出願時に、
(表1)
に掲げる7分野から、
入学後に希望する専攻分野にかかわらず2分野を選択して解答する。
○口述試験
口述試験では、
思考力・理解力・表現力などを、
一人あたり10分程度の面接により判定する。
3.試験日程
○調査票受付 7月中頃
○試験日程 8月下旬~9月初旬
○合格発表 9月中頃
日程は年によって変更があるので、
必ず専攻ホームページ等で確認すること。
専攻への調査書とは別に、
工学系研究科へ願書の提出が必要です。
詳細は、
工学系研究科の学生募集要項をご覧下さい。
■指導教員グループの志望と決定
受験者は、
入学後に希望する専門分野に応じて、
配属を希望する指導教員グループ
(
(表2)
参照)
を選択する。
各グループとも所属する教員数に応じて
配属学生数に基本定員が設けられている。
いずれの合格者についても、
指導教員の決定は各人の配属が決定したグループ内で適宜行われる。
なお、
詳細は入学試験案内を参照すること。
■10月入学について
社会基盤学専攻においては、
入学願書提出時に学部を卒業、
または入学年度9月30日までに学部を卒業見込みであり、
かつ希望する者については、
合格直後の10月の入学を認めている。
■問い合わせ先
社会基盤学・社会基盤学専攻事務室
TEL.03-5841-6084
FAX.03-5841-6085
[email protected]
homepage http//www.civil.t.u-tokyo.ac.jp
なお、
専攻ホームページでは詳細な入学試験案内のほか、
過去の入試問題も一部公開しているので、
参照されたい。
表1
分野
1. 構造・設計
2. 材料・地盤 3. 水圏工学
4. 土地・経済・空間情報
5. 国土・都市・交通・景観
6. 国際プロジェクト・マネジメント
7. 数学
表2
指導教員グループ
基盤技術と設計 A
基盤技術と設計 B
水圏環境
マネジメント
デザインと景観
都市と交通
空間情報
国際プロジェクト
都市・防災
EDUCATION AND CURRICULUM
EDUCATION AND CURRICULUM
07
Sustainable Urban Management
(持続可能な都市マネジメント)
基礎情報学
アジアの経済開発
社会基盤学序論
地盤の工学
構造の力学
地盤工学のフロンティア
基盤技術設計論
情報システム設計
河川-海岸計画概論
基礎プロジェクトI-Ⅳ
社会基盤史
空間情報学I
国際プロジェクト序論 空間情報学II
導入プロジェクト
風と構造物
数理分析の基礎
社会基盤学特別講義I-Ⅳ
基礎経済学
統計解析手法
地球環境学
マネジメント原論
都市学
企業と技術経営
交通学
信頼性設計とリスク分析
ADB インターンシッププログラム
海外の大学、研究所、公的機関や企業における
1 ~ 2 ヶ月間の海外実習プログラム
社会基盤学専攻の入学試験(修士課程)
3/4 年生
生態学・生態工学
海外実習プログラム
ソウル国立大学、台湾国立大学、東京大学の
3 つの大学の社会基盤学分野の学生の交流プ
ログラム
大学院入試案内
図 2:学部カリキュラムの全体構造
社会基盤学科/専攻講義一覧
2 年生
TSAプログラム
08
INTERVIEW 03 / Muneo Hori
野です。統合地震シミュレーションの研究を始めた15年前
は被害の経験式が重宝されていた時代でした。被害デー
最先端の研究にあるロマン
タに相関関係を見つけることは面白いのですが、地盤の揺
れが建物の揺れを引き起こすという因果関係は経験式にな
く、このような経験式は設計基準に反映されませんでした。
また、東京でも約140万もの建物があって、その建物全部の
統合地震シミュレーションを開発し世界最先端の研究に
データを集めて耐震解析をすることも絶対できなかった。で
も、その時、計算機の性能が高くなってきていて、建物モデ
取組まれている堀先生に、研究活動が持つロマンと、
ルを全部自動構築して全部計算することができたら良いだ
地震工学における実践についてお話しいただきました。
ろう、と考えたのがこの研究の始まりですね。
研究の目標は何でしょうか?
教授
統合地震シミュレーションを自然災害全般に広げること
図 3:イスタンブールの統合地震シミュレーション(ゼイティンブルヌ地区のモデル)
が目標です。災害には、風水害や、地盤災害もあります。こ
のような様々な自然災害に対するシミュレーションの統合
普段はどのような仕事をなさっているのですか?
わたしの仕事はプログラムの設計ですが、最近は自分自
ブラックボックスにしないと、進歩が無いと思っています。
今特に取り組んでおられる研究は何でしょうか?
身でコードはあまり書かなくなりました。そもそも今は、ひ
すから、過去の被害事例に学ぶことはもちろん重要です
は、
「正しい全体像を得る一策は、膨大な数の片々たる情
くと、沢山のことが演繹される。これはロマンですよ。
学では分野の異なる産業や国際機関など。様々なプレー
が、それを超えて未来を予測していくことが重要だと考え
報を適切に組み合わせる」という考え方に通じていて、その
さらに言うと、
「無から有はできない」ので一般的な意味
ヤーと協働するようになった。そこは土木工学から社会基
ています。
ような仕組みをインフラで実現することが大きな目標です。
の保存則を考えると、都市を支配する原則はこれだけだと
盤学になった違いのひとつであるように思っています。
実は、地震工学は経験工学といいながらも、先人はすご
別の言い方をすれば、マイクロソフトのOfficeを例にする
も言えます。ものやお金が流れて、たまると増える、出て行
とりの天才プログラマーが全部のプログラムを作るという
地震の予測、災害・被害と対応のシミュレーションが今
いチャレンジをしてきている。つまり、この地震大国である
と、WordもあるしExcelもある、PowerPointで作ったデー
くと減る、何かを作る時はそれらが集中する。そういったこ
時代ではなく、さまざまな研究者が互いにプログラムのデ
の大きな課題です。「統合地震シミュレーション」といっ
日本で、これだけ超高層ビルを作り、新幹線もネットワーク
タはOutlookにも貼り付けられる、そのようにデータが自
とを共通の保存則を使って再現・予測ができたらといった
ザインやアルゴリズムのアイディアを提案し、議論を通じて
て、東京全体を対象にして、地盤がどのように揺れるか、
化した。非常にイノベーティブなことですよね。この精神を
由かつ多様に運用できることによって、災害対策から維持
ことを考えています。
中島敦の「悟浄歎異」には「所与を必然」、
「所与を完
アイディアを洗練させて皆で作るという時代になってきて
建物がどう揺れて被害を受けるか、どのように復旧を図る
大事にしたいと思っているんです。
管理、都市設計までできる、というところまで行くと素晴ら
さて、今の研究対象は都市ですが、頭の中では数理シ
全」、
「所与を自由」という言葉が出てきます。これは私の
いるといえます。
べきか、という一連の過程を全 部計算するという研究を
もちろん全てうまくいったわけではありませんので、失
しいですね。そのための今までになかった道具、Officeの
ステムとして考えています。様々な問題を、点でこのように
座右の銘です。現在の状況は何らかの理由があって今の
仕事場は2つあります。ひとつは東京大学地震研究所.
行っています【図2】。計算科学、数値解析の分野では、ど
敗は謙虚に受け止めて改善するしかありません。しかし、
ような役割を果たす道具として、統合地震シミュレータを
記述できたから、後は解くだけ、というように普遍化するこ
形になっている。欠けているものがあるように見えるかもし
もうひとつは神戸にある理化学 研所計算 科 学 研究機 構
の規模の問題を解いているかが研究レベルの指標になっ
火星にロケットでいくとか、再生医療を実現するとか、そう
作っています。
とは私にはすごく重要です。普遍化、もしくは,誰が解いて
れないが、実は欠けたものは何もない。そして,何かをする
で、日本のスーパーコンピューター、京計算機を使うプログ
ていますが、我々の研究グループのシミュレーション技術
いう経験したことのないものに向かう挑戦は魅力的ですよ
も同じ答がでることによって、その誰かは次の問題に取り
ためにそのような状況にとらわれることはない、とこの言葉
ラムの設計をしています。地震研究所では、地震工学全般
は圧倒的に高いレベルにあって、国際的に非常に高い評
ね。この日本に超高層ビルや新幹線を作ったことも同じよ
掛かれる、ということに繋がるからです。私が30年かけて
を解釈しています。予定調和的に空気を読んでうまく生き
に関わる研究をしていますが、私は耐震工学に近い領域
価を受けています。
うな意味を持っていると思っていて、そういう先人の挑戦
勉強したことは、できれば次の人には3日、がんばって30分
るよりも、自分勝手と思われても自由であるべき、と思って
で、構造物の地震に対する応答、つまり、どのように構造
3.11東日本大震災に絡めると、
「想定外」となった原因
の精神は大事にしたいですね。
「点」の性質を記述すると、
「全て」を解くことができる
くらいで伝えられたら良いと思っています。そうすると次の
います。
物が揺れ、どのように壊れるかについて研究しています。
の一つは、現在の被害想定の方法にあると考えています。
というのが、応用力学の面白いところで、私の根本にある
人は自分の30年間を活用できますよね。
極論すれば、もしかしたら学問はなくてもよくて、研究や
計算機そのものは汎用性があり、建築専用などということ
つまり最悪に近い被害をもたらした単一の地震シナリオに
はありません。耐震解析では土木と建築の分野の境界も
基づいた経験式を使う方法ですね。当然、想定された通り
なくなってきていて、最近は扱う対象が広くなってきていま
には地震は起こらないし、経験式には精度等の限界があ
我々の統合地震シミュレーションは先端的で、海外では
かってしまうというところは共通しています。私の原理は、
す。例えば建築分野の原子力発電所や超高層ビルの耐震
ります。だからといって、可能性のある複数の地震シナリ
トルコや中国でも同様のシミュレーションに取組んでいま
点の完全な情報、メカニズム、つまり支配方程式が分かれ
これだけの都市をいかに設計、維持、発展させるかとい
層ビルも建たない。なんだったら人間は最初必然的に四本
解析【図1】なども行っています。
オを考え、耐震解析を使った被害想定をすることは、技術
す。統合地震シミュレーションのトルコ版や中国版を作っ
ば,後は全体を解くだけである、ということです。
うことは極めて挑戦的な課題で。もちろん過去に蓄積され
足だったわけだから、みんなで「四本足でいいじゃないか」
的にも費用の点でも難しい。
ていて、今は、イスタンブールの統合地震シミュレーション
つまり、都市の全体を知る必要はなくて、むしろほとん
た知を使わずにこの課題を解くことはできませんが、経験
と流れを読んで、四本足で楽しく生きていたかもしれな
一方で「統合地震シミュレーション」では、都市モデル
の共同研究をトルコと進めています【図3】。また我々の研
どのことは知らなくていい。ただし、点の性質の情 報を
だけでも解けないことも明らかです。その方法論を探る学
い。でもそんなサルの世界で誰かが「オレは自由だ、二本
を作る初期コストはかかりますが,それを使って何通りもの
究グループでは、知的好奇心の強い留学生や研究者が、
使って演繹的に解くことで、いろいろなことが正しくわか
問が社会基盤学だと思っています。どこかで最先端の知を
足でいくんだ」っていって二本足になったのかもしれない。
今は、物質の理解は電子・原子のレベルを超えて、ヒッ
シミュレーションを行っていくランニングコストは極めて安
超高層を含む最先端の研究に興味を持って取組んでいま
る。これは面白いと思います。ニュートン力学が地震工学
集中しないと、これからの都市の設計、維持、発展はでき
そういう自由にロマンを感じて欲しいなと思います。
グス粒子のレベルに達しています。そのような時代に、断面
い。ここに研究開発の意義があると思っています。計算機
す。国際的にも最先端の構造解析をできる人はそんなにい
の根っこだとすると、運動方程式を使って人類は都市まで
ない時代になってきたと考えています。
チャレンジとか、
「生意気であれ」とか、
「心臓に毛を生
のモーメントやせん断力を使う耐震の研究を大学で行うの
の力を使って1000通りもの地震シナリオで地震の災害や
ませんので、我々の研究グループを卒業した留学生がドバ
つくったとも考えることができて、そういったことに壮大な
たとえば自動車産業が発展した裏側には、自動車保険
やせ」とかね(笑) そういう言葉が大好きなんです。失敗
は、逆に相当の覚悟が必要だと思っています。私が専門と
被害のシミュレーションを行うことによって想定外を無く
イの超高層ビルの構造解析を行ったりもしています。
ロマンを感じています。
があります。保険を抜きにして今の車社会はなかったかも
を恐れてまとまっているよりは、むちゃくちゃ失敗した方が
している地震工学の分野で言えば、電子・原子のレベルに
すことができるのではないかと考えています。このような計
私のプロジェクトにはたくさんの方々が加わって下さいま
しれません。もしかしたら、都市も、保険や投資・信託の
絶対いいと思います。私も相当いろんなところで失敗して、
はいかなくても、材料レベルで超高層ビルの挙動を計算す
算ができるようになると、一律に都市の耐震性を上げるの
今最先端といわれる研究に取組み始めたきっかけを教え
したが、メンバーには、どこかでこのロマンが共有されたと
ような新しいプレーヤーと結びつくことで維持、発展でき
無駄なことばっかりしていますから。頭抱えて泣きたくな
る、ということでもないと研究分野として魅力的では無いと
ではなく、重要なものから大きい地震シナリオの被害に備
て下さい
思っています。知恵は必要だけど、広範な知識は必ずしも
るところがあるかもしれません。旧来の土木工学は行政と
るようなことばっかりしています。だから若者には、ただた
思います。魅力を先端性に置き換えても良いですが、学生、
える、といった地震への新しい対応ができるようになるかも
必要ではなくて。データを処理し、原理に基づいて式を解
建設業界の顧客しかありませんでしたが、今の社会基盤
だ、失敗を恐れずにやりたいと思ったらやっちゃえよ、と言
つまり次世代を担う研究者・技術者を引き付けるには魅力
しれません。地震工学は経験工学といわれる学問分野で
もう少し詳しく研究の内容を教えて下さいますか?
海外との関係、国際的な活動について教えてください
先生のご研究における根本のセオリーとは?
開発をしなくても、今の社会は維持されるかもしれない。
ものです。ニュートン力学でも、運動方程式があるから、
最初の状 態を記 述できれば、解けばその後の状 態が分
最後に学生へメッセージをお願いします
T h e U n iv e rs it y o f T o kyo
堀 宗朗
De p ar tme n t of Civ il Eng ine e ring
Department of Civil Engineering The University of Tokyo
を蹴散らしてオレたちが生き残る」つもりで取組んできた分
先生にとって社会基盤学とは何でしょうか?
しかし、どこかで誰かがチャレンジしないと先に進まない、
つまり、人は宇宙には行かなかったかもしれないし、超高
「最先端」で取組んでいる研究内容は、
「他の研究者
いたいですね。
が必要だと考えています。
かけて設計したものを、今では構造計算だけだったら1人
のエンジニアが1年くらいでできる。計算とかモデルが非常
に精緻になったからできるようになったのです。また、計算
機の計算では要素は全部変数として抽象化されています
1961 年生まれ。Ph.D.(Applied Mechanics)。専門は
応用力学、地震工学、計算工学。主な研究テーマは
統合地震シミュレーションの開発や超高層ビル等の構
対ミスがないプログラムを作るべきで、その計算は徹底的
造物モデリングなど。JACM Award for Computational
にブラックボックスであるべきだと、私は主張しています。
Mechanics、土木学会出版文化賞などを受賞。著書
多くの先生がブラックボックスにしてはいけないという指摘
をされていることはよく知っていますが、私は逆に徹底的に
に「東日本大震災の科学」(共著)、「Introduction to
図 1:超高層ビルの構造モデリング
図 2:統合地震シミュレーションによる避難行動のモデリング(高知市)
Computational Earthquake Engineering」等。
MUNEO HORI
MUNEO HORI
さらに言えば、我々が電卓を疑わないのと同じように、絶
/
/
る。そこにも魅力があると思っています。
堀 宗朗(ほり むねお)教授
03
03
から、建築の専門家じゃなくても超高層ビルの計算ができ
09
INTERVIEW
INTERVIEW
例えば、昔の超高層ビルで100人単位のエンジニアが5年
10
学生からみた
社会基盤学科
神谷 啓太
前田 翠
庄司 惟
三木 真理子
博士課程 1 年
学部 4 年
学部 4 年
学部 4 年
ALUMNI INTERVIEWS
社会基盤学科の
卒業生
社会の第一線で活躍する卒業生に、社会基盤学科と現在のお仕事についてお話頂きました。
Q1 そもそもなぜ社会基盤学科(専攻)に入ろうと思ったのですか?
Q2 お仕事を選んだきっかけは何でしょうか?
Q3 今のお仕事とインフラとはどのような関わりがありますか?
(どんな仕事をしていますか?社会基盤との関わりは進路選択に影響がありましたか?)
学部3年生まではA/B/Cコースを超えて幅広い授業を受けます。
その中でも印象的だった授業について聞いてみました。
01 Tomoki Kuboshima
神谷(D1):社会基盤には海外インターンシップがカリキュ
三木:都市の4要素である住む、働く、憩う、移動する、をい
ラムとして用意されていますが、実際にどんな経験をしまし
かに両立させるかが大切だと感じました。
03 Takafumi Kadono
東日本旅客鉄道株式会社
財務省(現在総理大臣官邸に出向中)
アジア開発銀行 エネルギー専門官
窪島 智樹
阿部 敦壽
葛野 高文
橋梁研究室〈2005 年卒業〉
景観研究室〈2007 年修了〉
応用力学 / 岩盤力学研究室
〈2002 卒業・2004 年修了〉
景観研究室
〈1997 年卒業・1999 年修了〉
(笑)。社会基盤は地味なものも多いけれど、街を歩いてい
Q1 元々まちづくりや都市景観に興味があり、当時社会基
Q1 私の地元には横浜みなとみらい地区があり、港湾とい
Q1 都市やそれを構成するインフラの計画・設計を生業
てインフラのかっこよさに気づけるようになった気がします。
盤にいたサークルの先輩の話や、駒場のガイダンスで、景
う貿易の拠点、商業施設、公園が一体となった空間に魅
にしたいと考えたから。当時の社会基盤学科・専攻は「海
それと、演習を通して,社基にいる人たちはみんな自分で考
観というのは建築・土木・都市計画の系統を超えて全体を
力を感じました。こうした空間の創出など、社会基盤学は
外」を前面に出していませんでしたが、
「途上国開発論」
前田:あと、自分に欠けている視点をグループワークや講評
える力に優れていると思いました。自分が頑張ったと思った
マネジメントすることが重要だという話を聞き、こうした系統
人々の生活やアメニティ―向上に資する分野だと考えたから
という講義で途上国をフィールドにすることを意識し始
庄司(B4):僕は社会基盤学科の紹介で、ハノイに1ヶ月
で指摘され修正していく、そういうプロセスが必要だと感じ
ことを、超えてくる人たちがたくさんいて。行動力があって、
を横断的に学びたいと思ったことがきっかけでした。
です。
めました。
間、JICAの開発コンサルタントの専門職プログラムに参加
ました。最後に出来たプランのクオリティは大きく向上して
打ち込むエネルギーをものすごく感じました。研究もそうで
しました。そこでは実際に都市高速鉄道プロジェクトについ
いて、自分ひとりだけだと難しかったように思います。
すが、答えがない問題に対して自分が納得できるまで取り
Q2 社会基盤で学ぶ中で、構造物を作りあげる上での発
Q2 日本のインフラ技術が、ODA等を通じて世界に貢
Q2 新卒で選んだ仕事はエンジニアリング・コンサルタ
注者側の技術者の役割の重要性を感じ、またインフラを
献していることを学び、国として更なる貢献を目指すため、
ントの仕事で、インフラの建設による人々の生活向上に
たか?
て学べたと共に、世界銀行や商社、ゼネコンなどさまざまな
組んでいるなと感じました。
関係機関と協力して開発コンサルタントが業務を進めてい
支える仕事そのものにも魅力を感じていました。
最終的に、
国家公務員を志望しました。また、社会技術という新たな
直接的に関与したく、途上国開発の道を選びました。そ
発注者側の技術者としての業務の幅の広さ(計画から設
研究に携わる中で、多様な価値観を俯瞰することの重要
の後、フィールドでの経験を途上国開発の上流の計画や
計、施工まで関われること)と、首都圏の人々の生活を支
性を学び、インフラ整備も含め、多様なプロジェクトにつ
案件形成に活かしたく、アジア開発銀行に転職しました。
く様を体験できました。たくさんのステークホルダーのヒア
神谷:いわゆる「知的体力」というのは研究を行う上では
リングを行って、指導を受けながら渋滞緩和策を考えると
非常に重要だね。特に大学院では、研究に打ち込むために
いったことに取り組んだわけですが、座学と違い、自分で
も大切なこと。総長の言葉を引用すれば、
「知のプロフェッ
課題発見から出来るのが面白かったです。1カ月は短かった
ショナルになる」ということかな。教授が知らないことを知る
Q3 文字通り社会基盤である鉄道の安全を支えることを
ですね。
ようになれとよく言われています。自分の行っていることが
経営の根幹としており、社会基盤学科の先輩方も数多く
Q3 現在は、財務省から総理大臣官邸に出向し、総理秘
いました。さらにハードに対する理解を元に、社会環境
正しいのか不安になることもあるけど、それでもそういう場
活躍しています。また現在当社は海外への鉄道インフラ
書官を補佐する仕事をしています。経済財政・社会保障・
影響評価、経済財務分析、インフラ事業に付随する社会
の輸出に関する業務に挑戦しようとしており、海外での
教育・農林水産業・インフラ整備など様々な政策に携わっ
開発などのソフト分野の案件に携わりました。現職のア
仕事に興味のある人の活躍の場が広がりつつあります。
ており、学科で学んだとおり、多様な政策(=これが社会
ジア開発銀行では、ほぼ一貫してエネルギーセクターを
なにより、人々の日常を支える仕事そのものに誇りを感
に必要だという価値観)を俯瞰することの重要性を実感し
担当しており、発電、送電、配電設備に対する融資を主
じられるのは、社会基盤で学んだものにとって非常にあ
ています。
に手がけています。
神谷:実際の都市計画に関われる機会はそうないから、
その
面を乗り越えられた時は研究を大学院で続けていてよかっ
えるという使命感の大きさで、今の会社を選びました。
神谷:たしかに、仲間と議論を交し合って良いものを作り上
たなと思います。また、大学院の講義は基 本的に英語で
習を行っているけれど、
どんなことが印象に残っている?
げていく過程も演習の特徴だね。プロジェクト型演習で他
やっていて半分以上は留学生だという点も刺激があるよ。
には何が印象に残っている?
最後に、社会基盤の特徴をそれぞれ聞かせてください。
庄司:僕は応用プロジェクトⅣですね。一見するとすぐに折
三木:社会基盤は、先生の専門が多岐にわたっているのが
れてしまいそうなパスタで、構造解析や材料特性の分析を
特徴ではないでしょうか。水、土、河川、学科に入ってもい
通じて丈夫な橋を作るという演習です。計算するだけでは
ろんなものの見方がある。自分の中で見方を固めてツール
なく、実際にそれを現場で作って試すのは社会基盤ならで
が与えられる学科が多い中で、国土、都市、地域についてい
その他
はだと思いましたね。ただ、分析した通りに結果が帰ってく
ろんなものの見方を身に付けられるような気がします。
協会,
グーグル,
東芝,
朝日新聞社
るわけではなく、たとえば糊の量で誤差がでてきてしまうな
ど、難しいながらもすごく面白かったです。
いて、予算等を通じて俯瞰的に考えることができる財務省
を選びました。
経験はとても貴重だよね。基礎プロジェクトⅠでは都市計画演
ジェクトに従事しており、計画・設計・施工管理をして
りがたいことだと感じています。
最近の進路状況
社会基盤学科/社会基盤学専攻の卒業生は
多彩な分野で活躍しています。
NHK,東レ,
トヨタ自動車,
日産自動車,
日本アイ・ビー・エム,
日本気象
9%
金融・商社・不動産
金融・商社・不動産
3%
2%
情報・通信
0%
2%
コンサルタント・シンクタンク
2%
鉄鋼・重工・機械系
0%
1%
設計・デザイン事務所
0%
7%
エンジニアリング
0%
8%
建設
2%
19%
運輸
1%
建設
6%
エネルギー
0%
運輸
3%
独立行政法人
0%
5%
地方公務員
1%
8%
国家公務員
1%
9%
大学院(修士 / 博士)
86%
実際に作ったコンクリートを商品として模擬入札を行う基礎
んだん分かってきたような気がします。
間計画を考えて、冬学期には個々のチームの敷地計画を重
プロジェクトⅡですね。同じ配合でも作成過程によって出来
ね合わせていく作業をみんなで取り組みました。私自身はア
上がりは違ってしまったり、論文を読んでいても骨材の微妙
クセスの悪い農村を都市部とどうやって結びつけるかを考
な調整が必要だったりと、コンクリの繊細さが感じられてお
えました。演習を通じて一番勉強になったことは、現地の人
もしろかったです。
NTT データ (2)、楽天
三菱総合研究所、PWCストラテジー、
ボストンコンサルティンググループ、
日本測地設計、野村総合
研究所、経営共創基盤、
八千代エンジニアリング、
オリエンタルコンサルタンツ、
デロイトトーマツコ
ンサルティング、パシフィックコンサルタンツ、
パデコ、
ブーズアンドカンパニー、
シグマクシス
鉄鋼・重工・機械系
日立造船、本田技研、三菱重工業
設計・デザイン事務所
に話を聞けたことな気がします。例えば子どもの頃からそこ
乾久美子建築設計事務所、日建設計シビル
で生まれ育った現地の方は数キロ歩くことを不便とは感じて
エンジニアリング
JFEエンジニアリング、新日鐵住金エンジニアリング、東洋エンジニアリング、
日揮、
千代田化工建設
いなくて、そこには私たちとの認識の差があったんです。私
たちにとって良い事は必ずしも地元の人たちにとっても良い
前田建設工業、清水建設、大成建設、大林組、鹿島、( 株 )NIPPO
事という単純な話ではないことが分かりました。
前田:社会に役立てるツールを提示する際に、本当に役立
STUDENT TALK
前田(B4):私は市街地を担当して、年配の方が使っている
つのか、誰のためになるのか、人々にとっていいことなの
空間と若い人が使う空間につながりを生み出すような計画を
か、それらの根拠付けが必要になってくるのが社会基盤の
考えました。
でも実際の街での行動は完結しているから便利
特徴に思います。
JR東日本、JR東海、JR西日本、JR北海道、東日本高速道路、中日本高速道路、東京急行電鉄、
成田国際空港、
鉄道総合技術研究所
エネルギー
関西電力、中部電力、電源開発、東京ガス、国際石油開発帝石
独立行政法人
国際協力機構、鉄道運輸機構、港湾空港技術研究所
地方公務員
東京都 , 神奈川県 , 愛媛県 , 横浜市 , 東京都住宅供給公社
国家公務員
外務省、
国土地理院、
経済産業省、
国土交通省、
特許庁、
東京都、
愛媛県、
神奈川県、横浜市
大学院
大学院修士課程修了生の進路
平成25-27年度卒業生155名中
学部卒業生の進路
平成25-27年度修了生162名中
A LU M N I I N TER VIE WS
コンサルタント・シンクタンク
取り組めたことが良かったですね。夏学期は対象敷地の空
演習後にはコンクリのひび割れをついつい見てしまったり
14%
7%
づかれないけど、役に立つこと、そういうことがあるんだとだ
が現地の人たちの間にもあることを本当に実感しました。
3%
情報・通信
三木:私は、チームを組んでコンクリート会社を立ち上げ、
前田:演習前はコンクリートなんて…、
と思っていたけど、
その他
社会基盤の一番の特徴だと思います。インフラには普段気
三木(B4):通年という長いスパンで清水市の都市計画に
という地元の人の意見もあって、空間に対する捉え方の違い
Q3 コンサルタント時代は水力発電や農村電化のプロ
日本政策投資銀行、住友不動産、三菱東京UFJ銀行、三菱地所、東急不動産、東京海上日動火災、
三井住友海上火災保険、
バークレイズ証券、
りそなホールディングス、伊藤忠商事、三菱商事、三井
物産、住友商事、丸紅、
マッキンゼーアンドカンパニー、
モルガンスタンレー、
メリルリンチ日本証券、
日本生命
庄司:僕は、社会に役立つことをやっているのが、まさしく
T h e U n iv e rs it y o f T o kyo
社会基盤に入ってからの生活を、学生の皆さんに振り返ってもらいました。
02 Nobuhisa Abe
De p ar tme n t of Civ il Eng ine e ring
Department of Civil Engineering The University of Tokyo
STUDENT TALK
東京大学、
フランス国立土木学校、
UC Berkley、University of Cambridge
11
12
凡例
専攻教員一覧
(兼担)
:兼担教員 (生研):生産技術研究所所属教員
(震研):地震研究所所属教員 (空間):空間情報科学研究センター所属教員
(新領域):新領域創成科学研究科所属教員
(情報):情報学環所属教員 (総合)
:総合研究機構所属教員
(大気):大気海洋研究所所属教員
☆:国際プロジェクトグループ併任教員
佐々木 淳 教授
(新領域/学部兼担)
知花 武佳 准教授
平林 由希子 准教授(総合)
芳村 圭 准教授(大気)
専門分野 : 河川生態環境工学、
専門分野:水循環の情報科学、
専門分野:水同位体気象学、地
専門分野 : 閉鎖性水域の流動・
河川地形学、河道計画、流域
水底質・生態系と環境再生、
津波・高潮防災、途上国沿岸
域の持続可能な利用
環境の保全と再生
講義 : 基礎プロジェクトⅠ、応
水資源の持続可能性、雪氷水
文学、地球温暖化時の水災害
軽減
球規模物質循環、
地表面過程、
力学的ダウンスケーリング
講義:地球水循環と社会、水文
講義:地球環境学、環境復元学
学特論E、
環境復元学E
講義 : 流砂系保全計画、環境
復元学 E
用プロジェクトⅠ、河川流域の
環境とその再生、河川工学特
E
論 E、環境復元学 E、基礎プ
ロジェクトⅣ
基礎技術と設計 A
地盤工学は、自然と人間社会の境界としての「地圏」を対象として、人間が自然の脅威から身を守
り、また自然を利用して快適に効率よく暮らすための技術体系です。自然地盤だけでなく盛土等の土
構造物や構造物基礎・地中埋設管路も対象として設計・施工・維持管理、地震や豪雨による災害の
える機械、通信、センシングなどの工学の知見を取り入れて、解決策を探します。自然の営みと地圏
の諸現象を理解し、これらを巧みに利用して問題を解決できる人材を育成します。
桑野 玲子 教授(生研)
沖 一雄 准教授(生研)
川崎 昭如 准教授(寄付講座)
専門分野:構造物基礎・地中
専門分野:地盤機能保全工学、
構造物の設計、液状化対策、
土構造物の長期挙動、
インフラ
専門分野:広域の水・生態・環
専門分野:流域環境管理、災害
専門分野:波浪シミュレーショ
地盤改良、
リサイクル地盤材
の更新と維持管理
料
講義:基盤技術設計論、地盤
の工学、地盤工学特論E、基
礎工学E
講義:土質工学原論E、地盤工
学 特 論 E 、地 盤 工 学のフロン
ティアE
境計測、流域の生態・環境モデ
リング、環境保全型流域圏の構
築
情報伝達、空間情報分析・モデ
リング、
データ統融合
講義: 地球環境学、環境・災害
ン、底面境界層力学、土砂輸送
と地形変化、海岸構造物、海岸
防災
専門分野:沿岸域の水環境,水
質・生態系・流動・物質循環・シ
ミュレーション、沿岸域の環境
講義:地球水循環と社会、水文
学特論E、
マイクロ波リモートセ
データ・情報統融合学E
講義:基礎流体力学、海岸水理
学E、環境復元学E、基礎プロ
計画
講義:応用プロジェクトⅢ、沿岸
環境計画
ンシングE
下園 武範 講師
ジェクトⅣ
内村 太郎 准教授
清田 隆 准教授(生研)
松丸 貴樹 助教
辻本 久美子 助教
渡部 哲史 助教(総合)
金 炯俊 助教
専門分野:自然災害と環境のモ
ニタリングデバイスの開発、新
しい機能を持つ地盤材料の開
専門分野:地圏災害軽減工学、
地盤耐震工学、南アジアの地
圏災害機構解明と防災への反
専門分野:地盤と土構造物の
地震時・豪雨時挙動シミュレー
ション、地盤材料の数値モデリ
専門分野:水資源・灌漑計画,
専門分野:全球水資源量・食料
専門分野 : 水文気候学、陸域
発、地盤と構造物の相互作用
講義:技術移転と開発、基礎プ
ロジェクトⅢ、企業と技術経営、
映、地質調査
講義:自然災害と都市防災、地
震と地圏災害軽減工学E
ング、鉄道土構造物の設計・施
工
講義:フィールド演習、基礎プロ
現地調査・衛星観測・数値モデ
ルによる途上国の水資源問題・
食糧問題への統合的アプロー
需給の将来予測、水文予測情
報学
講義:フィールド演習
水・エネルギー・生態系相互
作用、モデル・データ結合及び
不確実性評価
応用プロジェクトⅣ、地盤の構
チ、
局地気候の形成メカニズム
講義: フィールド演習、環境流
体力学E
ジェクトⅢ、応用プロジェクトⅣ
鯉渕 幸生 准教授
(新領域/兼担)
講義 : 水文学特論 E
T h e U n iv e rs it y o f T o kyo
軽減、廃棄物のリサイクルや地盤環境の保全など、実践的な課題に取り組んでいます。そのため、研
究は、現地を訪れて現場のニーズを理解することから始まります。そして、基礎となる土質力学のほ
かに、地盤の成り立ちを説明する地質学や地形学、外力を取り扱う地震学や気象学、技術開発を支
古関 潤一 教授
De p ar tme n t of Civ il Eng ine e ring
Department of Civil Engineering The University of Tokyo
RESEARCHERS
造学、地盤工学特論E、材料の
力学、数理分析の基礎
基礎技術と設計 B
社会基盤に関わる理論の構築・現象の解明と、実社会への応用を両軸に活動しています。構造・材
料工学、耐震工学、流体力学、化学、制御工学などの広く深い知見に基づき、シミュレーション、実
験、モニタリングを駆使して、さらには人文・社会科学の素養・知識をも総動員して、問題解決にあた
ります。対象は橋梁、トンネル、風車といった個別構造物に限らず、マイクロスケールの現象からイン
フラネットワークまで多様です。俯瞰的視野と専門的視野の両者を備えた、国際競争力と想像力の
ある高級技術者の育成を目指しています。
前川 宏一 教授
石原 孟 教授
専門分野:コンクリート工学、構
造工学、
耐久性力学
講義:基盤技術設計論、企業と
技術経営、構造設計特論E、国
専門分野:風工学、
構造物の信頼
性設計、
風力発電工学
講義:信頼性設計とリスク分析、
環境エネルギー政策論、情報シ
際インフラ建設プロジェクトに
おける技術とマネジメントE
ステム設計、
風と構造物E
マネジメント
マネジメントグループは社会基盤の施設や組織をいかに管理・運営していくかという課題に取り組ん
でいます。インフラの整備に関わる規制や事業執行の仕組みをあるべき姿にし、分野間の古い垣根
を取り払って未来のインフラビジネスの担い手を育てることが私たちの使命です。組織設計、人的資
源管理、知識活用、意思決定などマネジメントの諸活動を自ら実践して考える練習場を提供します。
マイケルハンドフォード 教授
専門分野:建設マネジメント、
プ
専門分野:ビジネス英語、会話
ロジェクトマネジメント、インフ
ラマネジメント、
公共調達制度
講義:マネジメント原論、公共経
営学、
プロジェクトマネジメント、
社会基盤学マネジメント特論E、
分析、多文化コミュニケーショ
ン
講義: プロフェショナルコミュニ
ケーション E
基礎プロジェクトⅡ
岸 利治 教授(生研)
石田 哲也 教授☆
長井 宏平 准教授(生研)
長山 智則 准教授
マエムラ ユウ オリバー 助教
専門分野:コンクリート機能循
環工学、
コンクリート材料科学
講義:コンクリートの連関機構
専門分野:コンクリート工学、地
専門分野:コンクリート工学
講義:性能照査と設計、鉄筋コ
ンクリートの非線形力学E
専門分野:橋梁振動、構造モニ
専門分野:国際協力学、
コンフリ
モデリングE、
コンクリート工学
盤学序論、基礎プロジェクトⅡ、
応用プロジェクトⅣ、技術移転
と開発、
コンクリート工学、
コン
クリートの連関機構モデリング
E、社会基盤のフロンティアⅠ、
Ⅱ
圏環境工学、
多孔体熱力学
講義: フィールド演習、社会基
小澤 一雅 教授
タリング、無線センサネットワー
ク,
移動体センシング
クトと交渉
講義:フィールド演習、社会基盤
講義:基盤技術設計論、橋の計
画と設計、材料の力学、基礎プ
ロジェクトⅢ、応用プロジェクト
Ⅳ、
振動・制御・計測
学マネジメント特論E
堀田 昌英 教授
(新領域/兼担)
専門分野:社会基盤マネジメン
ト、
社会的意思決定論
講義:社会基盤学序論、
マネジ
メント原論
デザインと景観
デザインと景観グループは、人間が豊かに生きるための環境の創出に向けて、景観・デザインを切
り口に、景観論、計画・設計論に関する学術研究と、都市空間・社会基盤施設のデザイン・プランニ
ング、地域のまちづくり活動などの実践活動に取り組んでいます。風景にはその土地の自然風土や
歴史文化、社会基盤、人々の日常生活などがトータルに映り込んできます。少子高齢化と人口減少
に悩む過疎の農山村から、伝統的街並みの継承を志す町、脱皮と新陳代謝を図って過酷な国際競
争の波をのりきろうとする過密都市、災害からの再起を図る復興事業まで、様々な現場に身を投じ、
日常を生きる豊かさや貴さを実感できる空間や風景を生み出すべく思考し、行動する、そんなプラン
ナー・デザイナーの育成を目指しています。
E、国際インフラ建設プロジェク
トにおける技術とマネジメントE
ス ディ 講師(特任)
山口 敦 講師(特任)
水谷 司 助教
高橋 佑弥 助教
中井 祐 教授
北河 大次郎 教授(客員)
尾崎 信 助教
福島 秀哉 助教
専門分野:構造物の応答シュミ
レーション、橋梁振動の計測と
応答予測講義:振動・制御・計
専門分野: 風力発電工学、風
専門分野: 橋梁および橋梁付属
物の動的解析、風車・橋梁のモ
ニタリング、
ディジタル信号処理
専門分野:コンクリート工学、地
専門分野:公共空間・公共施設
の設計、地域の景観計画とまち
づくり、
近代土木デザイン史
専門分野 : 土木史、文化財
講義 : 社会基盤史
専門分野:都市・地域計画、景
観計画、
まちづくり
講義:フィールド演習、導入プロ
専門分野:公共空間・公共施設
のデザインとまちづくり、土木
史、
景観行政
ジェクト、景観学、応用プロジェ
クトII、
景観学特論
講義:フィールド演習、導入プロ
ジェクト、景観学、応用プロジェ
クトII、
景観学特論
家田 仁 教授
羽藤 英二 教授
専門分野:インフラ計画、交通
計画、
都市と国土の地域計画
専 門 分 野 : 都 市 計 画 、交 通 計
画、
交通行動モデル
講義:国土学、
都市学、
交通学
講義:都市学、交通学、国土学、
社会基盤学序論、基礎プロジェ
クトⅠ、応用プロジェクトⅠ、交
工学
講義: -
測,基礎プロジェクトⅢ、応用プ
ロジェクトⅣ
講義: 基礎プロジェクトⅢ、
応用
プロジェクトⅣ、
フィールド演習
圏環境工学
講義:フィールド演習、基礎プ
ロジェクトⅡ、応用プロジェクト
Ⅳ、
コンクリートの連関機構モ
デリングE、国際インフラ建設プ
講 義 : 社 会 基 盤 史 、導 入プロ
ジェクト、景観学、都市学、応用
プロジェクトII、
景観学特論
ロジェクトにおける技術とマネ
ジメントE
酒井 雄也 助教(生研)
菊地 由佳 助教
専門分野 : コンクリート工学
専門分野: 風力発電工学、
発電
コストの評価、
リスクマネジメン
講義 : コンクリートの連関機構
モデリング E
ト
講義: フィールド演習
水圏環境
都市と交通
「水と人間社会との望ましい関係を構築するため、河川流域、沿岸域から海洋、さらには地球規模
までの広い水環境を対象とした研究を進めています。国内外での現地調査や数値解析、水理実験を
通して、水やそれに伴う土砂、栄養塩等の物質の動態を把握し、そこに暮らす人々の生活や文化と自
都市と交通グループは、
「交通・都市・地域・国土・空間・国際関係などに関わる諸問題」に関する
研究、教育、及び研究成果等の社会への反映を通じ、社会厚生を改善することを目的とした諸活動
を行っています。特に、各教員は、それぞれの学問領域を開拓、発展させ、これを国土や都市の政
然環境との調和を考えることにより、それぞれの国や地域に即した安全で魅力的な水環境の構築に
貢献しています。
策・計画・評価プロセスに利活用していくための研究に日々取り組んでいます。それらには、災害に
も強い、魅力ある国土・都市の空間を再生したいという願いが込められています。
通・地域学特論ⅠE、
ⅡE
佐藤 愼司 教授
専門分野:河川・水資源計画,
専門分野:沿岸水害の軽減、海
岸侵食、沿岸の波と流れの力
大気境界層の力学、地球水循
環変動の観測とモデリング、河
川災害の軽減
講義:河川・海岸計画概論、水
理学、地球環境学、環境復元学
E、環境流体力学E、環境・災害
データ・情報統融合学E
学、水辺の利用と防災、流砂系
の土砂移動マネジメント、海岸
保全計画
講義:河川・海岸計画概論、海
岸工学、海岸漂砂論E、環境復
元学E
田島 芳満 教授☆
沖 大幹 教授(生研)☆
島村 誠 教授(寄付講座)
大口 敬 教授(生研)
吉田 秀範 准教授(生研)
鳩山 紀一郎 講師
専 門 分 野 : 氾 濫のシミュレー
専門分野:閉鎖性水域の流動・
専門分野:防災マネジメント、構
専門分野:地域交通計画、交通
水底質・生態系と環境再生、津
波・高潮防災、途上国沿岸域の
造物メンテナンス
専門分野:交通工学、交通制御
工学
専門分野 : 交通工学、交通政
ションと減災防災、波と流れ、
海浜変形のモニタリングと予測
策論
工学、
都市計画、
環境心理学
講義:自然災害のリスク管理学
講義:道路交通工学特論E
講義 : 道路交通工学特論 E
講義:数理分析の基礎、基礎経
講義:巨大水災害軽減学演習、
水害シミュレーション学E、海岸
持続可能な利用
講義:流砂系保全計画、環境復
E、
自然災害のモニタリングおよ
び制御学E
漂砂論E、基礎プロジェクトⅣ、
応用プロジェクトⅢ、環境復元
学E
元学E
済学、
交通学、
基礎プロジェクト
Ⅰ、応用プロジェクトⅠ、交通・地
域学特論IE、
IIE
RESEARCHERS
RESEARCHERS
13
小池 俊雄 教授☆
14
Department of Civil Engineering The University of Tokyo
井料 美帆 講師(生研)
専門分野 : 交通工学、交通空
間機能学
講義 : 道路交通工学特論 E
和田 健太郎 助教(生研)
柳沼 秀樹 助教
(寄付講座)
専門分野:交通工学、交通ネッ
専門分野:交通行動分析、
交通
ネットワーク分析、
計算機シミュ
トワーク均衡分析
講義:先進モビリティ基礎I
レーション
講義: 基礎プロジェクトⅠ、
自然
災害のリスク管理学E、
自然災
害のモニタリングおよび制御学
E
空間情報
私たちは、多様なセンシング技術やデータマネジメント技術の開発、解析理論とアルゴリズムも含む
大規模高精度シミュレーション技術の開発、およびそれらの融合により、情報にまつわる次世代社会
基盤を創造するための研究を行っています。情報を収集・構築、統合・管理、解析・可視化すること
により、国土や都市の実態をコンピュータ上に再現し、これを種々の課題解決に向けて有効利用して
いくことが可能になります。地球規模から国土・地域・都市、さらには構造物などの様々なスケールを
対象として、人間・社会・歴史・環境・地震・物理・情報・統計など、広範な領域をカバーします。その
清水 英範 教授
堀 宗朗 教授(震研)
専門分野:歴史地理学、数理地
専門分野:応用力学、計算地震
理学、
土地政策、
都市計画
工学、
社会シュミレーション
講義:土地学、空間情報学Ⅰ、空
間統計解析E
講義:物理数学の基礎、計算地
震工学E、社会基盤学の非線形
解析法E
ため、社会基盤学はもちろん、多岐にわたる分野の研究者とも学際的に連携しながら課題解決に取
り組んでいます。さらに、社会実装などの取り組みにより、研究成果の社会還元も進めています。
布施 孝志 准教授
関本 義秀 准教授(生研)
竹内 渉 准教授(生研)
専門分野:空間情報学、画像処
専門分野:人間都市情報学
専門分野:環境・災害リモートセ
専門分野:都市/社会のシミュ
理、地域の動態解析
講義:空間情報学Ⅰ、統計解析
手法、空間情報学実習、応用プ
講義:地理情報システムE、空間
情報学Ⅱ
ンシング
講義:空間情報学Ⅱ、写真測量
とリモートセンシングE、マイク
レーション、c o m p u t a t i o n a l
science、計算地震学/地震工
学
ロ波リモートセンシング
講義:物理数学の基礎、社会基
盤学の非線形解析法E、計算地
ロジェクトⅢ、写真測量とリモー
トセンシングE
市村 強 准教授(震研)
震工学E
柴崎 亮介 教授
(空間/兼担)
ラリス ウィジャラトネ
准教授(震研)
中西 航 助教
専門分野:時系列解析、
データ
専門分野:計算地震工学、
シス
専門分野:空間情報工学、情報
テム統合、マルチエージェント
シュミレーション
マネジメント
講義:空間情報学Ⅱ、地理情報
とシミュレーションの統合、歩
行者行動分析
講義:フィールド演習、空間情報
講義:計算地震工学E、社会基
盤学の非線形解析法E
システムE
学実習、
応用プロジェクトIII
国際プロジェクト
国際社会の重要性が増し、問題の国際化(たとえば気候変動や越境交通)・企業の国際展開が進
んだ近年、それに対応した研究・教育領域は新たな核心となりつつある。特に、国際社会において
我が国が競争力を発揮するためには、新規性と有効性を兼ね備えた技術・事業・問題解決策を創出
すること、すなわちイノベーションが肝要である。また、我が国で培われてきた革新的技術・サービ
スを活用して、途上国開発などの国際貢献を行うことも有益である。国際プロジェクトコースは持続
的で活力ある国際社会を創る実践的知識の体系化を通じて、国際社会をリードする人材の育成・支
援を目標としている。そのために、定量的・定性的手法、様々な分野の知を活用して、国際的問題の
解決、我が国の国際貢献、本邦企業の国際展開等に資する教育・研究を推進している。
アレクサンダー・
ギルモア准教授
小松崎 俊作 講師
専門分野 : 技術英語、応用言
語学教育
講義 : 社会基盤技術者のため
の国際英語
専門分野 : 社会技術論、公共
政策学,国際プロジェクト学
講 義 : フィールド演習、 国 際
プロジェクトのケーススタディ、
応用プロジェクト V、社会技術
特論 E、国際プロジェクトの事
例分析特論 E
都市・防災
世界の人口は 2050 年に約 90 億人となります。約 20 億人の新メンバーを世界は迎え、90 億人体制の
都市システムの実現と継続が求められています。しかし、20 億人が自然の加害力に対して脆弱な環
境に置かれる可能性は高いです。防災研究は、日常の豊かで幸せな生活を送るために、事前に脆弱
な環境を解消し、事後の効率的な対応により、Phase Freeな社会を実現することです。私たちは、
国内外の研究プロジェクトを通して、多種多様な研究者、住民、行政職員など多くステークホルダー
とともに将来の災害被害軽減に貢献する先端的な研究や実証を行っています。
RESEARCHERS
15
堀井 秀之 教授
加藤 浩徳 教授
専門分野:社会技術論,国際プ
ロジェクト学、
イノベーション教
育研究
専 門 分 野 : 国 際プロジェクト
学、国際交通学、交通計画、
交通政策
講義:国際プロジェクトのケース
スタディ、社会技術論,応用プ
ロジェクトV、社会技術特論E、
講義 : 基礎経済学、財務学、
開発とインフラ、応用プロジェ
クト V、国際プロジェクトの事
国際プロジェクトの事例分析特
論E
例分析特論 E
本田 利器 教授
(新領域/兼担)
専 門 分 野 : 地 震 工 学 、応用力
学、数理社会学、ネットワーク
森川 想 助教
専門分野 : 行政学、政策学
講義 : フィールド演習
分析
講義:構造の力学、
応用プロジェ
クトV、技術移転と開発、数理
分析の基礎
目黒 公郎 教授
(情報 / 生研)☆
専門分野:都市震災軽減工学、
防災戦略論
講義:自然災害と都市防災、都
市災害軽減工学E、防災危機
管理学
沼田 宗純 講師(情報 /生研)
専門分野:防災プロセス工学、
ハザード解析・被害推定から災
害対応まで一気通貫する防災
システムのデザイン
講義:自然災害と都市防災、都
市災害軽減工学E
郷右近 英臣 助教(生研)
専門分野:津波災害の総合管
理,広域被害評価
講義:都市災害軽減工学E
2015 年 5 月現在 最新情報は専攻 HP(http://www.civil.t.u-tokyo.ac.jp)をご覧下さい。
DEPARTMENT OF CIVIL ENGINEERING PAPER
The University of Tokyo 2015.5
社会基盤学科・社会基盤学専攻事務室 TEL.03-5841-6084 / FAX.03-5841-6085 [email protected] / homepage.http://www.civil.t.u-tokyo.ac.jp
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