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雨が山に降ると、雨水は土の中へしみこんでいきます。しみこんだ水は土の中の低いほうへ流れていき、湧き水となって
地上で小川を作ります。小川がいくつか集まって、少し大きな川ができます。その川たちが集まって、大きな川が誕生する
のです。
最上川の最も古い姿が誕生したのは、今から約 300 万年前のことです。昔の川は今よりもまがりくねっていて、堤防がな
かったため、大雨がふるとすぐに洪水になり、はんらんしていました。最上川は、このような川の水のいきおいによる流れ
の変化や、洪水を防ぐための工事によって、今の形になったのです。
最上川の昔の流れが残されてできた、東根市にある海老鶴沼(えびつるぬま)
河川・海岸 1-1
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大雨がふるとすぐに洪水になって、川の流れを変えてきた最上川は、「暴れ川」とよばれ、人々の生活をおびやかすこと
もありました。そこで人々は暮らしを守るために、さまざまな工夫や努力をしてきました。人々は町や田畑を水害から守る
ため、石を一つ一つ人の力で積み上げて堤防(ていぼう)をつくりました。
米沢市に残っている直江石堤(なおえせきてい)の一部
【直江石堤について】直江兼続は城下の拡張を行う一方、用水・治水に心を配り、堰(せき)の開削(かいさく)や堤(つつみ)の構築も行いました。
この直江石堤(谷地河原堤防)もその一環として大規模に築堤(ちくてい)されたもので、氾濫を防いだばかりでなく川の流れを東に向け、城下を拡
張するのに重要な役目を担いました。この堤防は先人の大きな偉業として、米沢市の文化財に指定されています。
昔の人々は、川の洪水から生活を守るだけでなく、生活のために川を利用することを考えました。とくに、鉄道や自動車
がなく、交通が便利でなかった時代は、舟が人々の大切な交通手段でした。また、米や野菜を作るために、川から水を引
いて利用する「利水」のためにたいへんな努力をしてきました。
河川・海岸 1-2
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河川とは地表面に落下した雨や雪などの水が集まり、海や湖などにそそぐ流れの筋と、そこを流れる水を含めた総称で
す。水がふだん流れている通路となっている部分を流路(りゅうろ)または河道(かどう)といいます。
わたしたちにたくさんの恵みをあたえてくれる川も、大雨によっておそろしい水害を起こすことがあります。とくに 1967 年
[昭和 42 年]の羽越水害(うえつすいがい)では、川がはんらんし、家や道路、橋などが大きな被害を受けました。そのた
め、最近では堤防(ていぼう)やダムが建設されたほか、川の流れから岸や堤防を守る護岸(ごがん)工事が進められてい
ます。そのおかげで被害は少なくなっていますが、これからも十分な注意と対策が必要です。
1967 年(昭和 42 年)8 月 29 日
長井市を流れる最上川
堤防を越える濁流(だくりゅう)/白鷹町鮎貝
河川・海岸 1-3
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河川のおもな施設として、氾らんや洪水を防ぐための堤防やダムや遊水地(ゆうすいち)による洪水調整施設などがあり
ます。
河川の下流から上流まで、一貫した計画を立てて、河道の拡幅や放水路の
開削などによって安全な河川へと変えていきます。
洪水時に河川流量をダムで調整したり、飲料水や
かんがい用水の安定供給を図ります。
洪水を一時的に貯めることで下流を洪水から守り
ます。
堤防は洪水を防ぎ、川の水を安全に流すために、両岸に高く土をもってつくられま
す。流れが早いところや土がけずり取られやすい場所にはブロックによる護岸を作り
ます。
河川・海岸 1-4
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「ダムのかたち」を決めるためには、ダムをつくる場所の地面の強さ、山のかたち、ダムをつくるためにお金がいくらかか
るかなど、いろいろなことを考えて決めていきます。また、ダムはたくさんの土や石などの材料を使うので、これらの材料が
近くで手に入るかどうかも考えておかなければなりません。「ダムのかたち」にはいろいろなものがありますが、ここでは山
形県内にある 3 つのかたちをしょうかいします。
ダムに水をためると大きな水の力がダムにかかります。この水の力をダムの
重さで受けとめるのが重力式コンクリートダムです。コンクリートは重くて水を通
さないことからとても良い材料ですが、コンクリートの重さにたえられる地面の強
さがないとこのダムはつくれません。
山形県内には、荒沢ダム(鶴岡市)・
高坂ダム(真室川町)・温海川ダム(鶴
岡市)・白水川ダム(東根市)・神室ダム
(金山町)・田沢川ダム(酒田市)・留山
川ダム(天童市)などがあります。
重力式コンクリートダムの内部を空洞にしたダムです。コンクリートの量は節
約できますが、構造が複雑なので、現在では採用されていません。
このかたちのダムは、日本全体で13
基つくられていますが、山形県内に
は、このうち、木地山ダム(長井市)・蔵
王ダム(山形市)の2つがあります。
ダムのまん中に水を通しにくい粘土のような材料を、そのまわりに粘土がダム
の外に流れ出さないようにおさえる砂と石でできた材料をつかって水をせきとめ
ます。そしてこれらの材料をまもるためにいちばん外側を大きな岩でとりかこん
だものがロックフィルダムです。ダムをつくる場所の地面の強さが弱いときによく
このかたちがつかわれます。
山形県内には、寒河江ダム(西川
町)・白川ダム(飯豊町)・綱木川ダム
(米沢市)などがあります。
河川・海岸 1-5
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大雨のときに上流からの河川流量をダムで調節し、ダム下流の水位を低下させて洪水被害を減らすことが、ダムの大事
な目的の一つです。ダムによる洪水調節は、下流の河川の改修効果とともに、洪水からわたしたちのまちを守るための有
効な対策となっています。
ダムがないと・・・
ダムがあると・・・
上流に降った大雨が、そのまま全部下流に
流れるので、川があふれて洪水の被害を受け
ます。
上流に降った大雨は、いったんダムの貯水
地に貯められ、下流の川があふれないように、
ダムで調節して水を流します。
河川・海岸 1-6
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稲は水をはった田で栽培され、収穫までにはたくさんの水が必要です。また、野
菜や果物の栽培にも水はかかせません。このような農地にダムは安定したかんが
い用水を供給します。
また、ダムにためられた水が流下するときに発生するエネルギーを利用した水力
発電を行っています。水力発電は、地球温暖化の一因と考えられている二酸化炭
素が発生しないクリーンエネルギーなのです。わたしたちの生活に必要な水道や工
業用水もダムにためた水を利用しています。
■かんがい用水利用の例
■発電用水利用の例
馬見ヶ崎川合口頭首工
田沢川ダム管理用発電所
■
水道用水ができるまで(庄内広域水道)
河川・海岸 1-7
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