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おうとう栽培マニュアル
おうとう栽培マニュアル 1 作物特性 甘果おうとうは、イラン北部~コーカサス地方一帯が原産で、 バラ科サクラ属に分類される。食用となる部分は子房壁の中果皮 が肥大したものである。北海道の栽培面積は、山形県に続く全国 第2位の産地である。 植えてから4~5年で初結実し、盛果期に達するまで15年くらい かかる。成熟期に降雨が多いと裂果が発生し商品価値が低下する。 そのため、安定生産には雨よけ施設が必要である。 (1) 気象条件 ア 栽培に適する気象条件は、①気温は年平均気温7~14℃(余市平年8.1℃)、②4~10月平均気温 14~21℃(余市14.6℃)、③冬季最低気温-15℃以上、④4~10月降水量1300mm以下(余市692.8 mm)である。 イ 結実を安定させる開花期間中の気象条件として、強い霜が降りないことと強い風が当たらない ことが重要である。風の当たりやすい園地では、防風対策が必要である。 (2) 土壌条件 ア おうとうは台木をかえても根の耐水性は弱く、①大雨などで水が停滞しやすい場所、②地下水 位が高い場所、③土壌が硬いほ場、④粘土質の強い土壌などでは生育不良になりやすい。 イ 生育に適した土壌は、①根が伸びる有効土層が深いこと(60cm以上)、②排水と通気性が良い こと、③土壌養分の保持力が高く、石灰・カリ・苦土などのバランスが良いこと、④土壌PHが適 正(管理園はpH5.5~6.0)などである。 ウ 排水不良の園地は透排水性対策を実施し、また、改植時には土壌診断に基づき下層土までの土 壌改良をすると良い。 2 求められる品質 (1) 品質基準 ア 市場出荷に求められる秀品の基準は、①玉揃いは区分の異なるものが混入しない、②品種固有 の色沢が秀でたものであること。 イ 品質基準として重欠点果が混入しないこと、軽欠点果はほとんど混入しないことである。重欠 点果とは、①異品種果、②腐敗変質果、③未熟果または過熟果、④病害虫果、⑤傷害果等である。 軽欠点果とは、形状不良や軽い日やけなど外観不良果、その他欠点が軽微なものである。 (2) 大小基準 大小区分の呼称区分は、3L、2L、L、M、Sの表示とする。 表1 おうとうの大小基準果径 項目 3L 2L L M S 1果の基準 果径(横径) 28mm以上 25mm以上 28mm未満 22mm以上 25mm未満 19mm以上 22mm未満 16mm以上 19mm未満 ※ 北海道青果物出荷規格 (3) 生産目標 ア 雨よけ栽培:「佐藤錦」主体園:600kg/10a イ 露地栽培:「北光」主体園:400kg/10a ※ 果皮面積の 65%以上が着色 傷害がない 北海道農業生産技術体系参考 病害虫の 被害がない 図1 - 1 - 品質目標 3 栽培技術体系と品種・台木特性 (1) 栽培技術体系 月 旬 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上中下上中下 上 中 下 上 成熟 生育経過 休眠 発芽 果実肥大 開花 養分蓄積 雨よけ 被覆 主な管理作業 整枝せん定 落葉・休眠 雨よけ 除去 収 穫 施肥 受光改善 お礼肥 有機物施用 草刈り 主 要 病 害 虫 発 生 時 期 草刈り 草刈り 草刈り 病害虫防除 幼果菌核病 灰星病 コスカシバ オウトウハマダラミバエ ショウジョウバエ ハダニ類 図2 おうとうの生育経過と管理作業および病害虫発生時期 (2) 品種特性 「佐藤錦」を主体に経済性のある交配樹を選択する。「南陽」は交配親和性がないので注意する。 表2 おうとうの主要品種特性 品種 来歴・交配 開花時期 収穫時期 果実の特性 栽培上の注意 佐藤錦 山形の佐藤栄助氏育成 「ナポレオン」×「黄玉」 満開期は 5/15頃 6月末~ 7月中旬 北光 (水門) 北海道小樽市の 藤野園で発見 南陽 山形園芸試験場育成 ナポレオンの交雑実生 「佐藤錦」 より遅い 7月中旬~ 1果9~10g、短心臓形、肉質は ・降雨で裂果しやすい。 7月下旬 やや硬く、甘く、果汁が多い。 ・結実不良になりやすい。 紅秀峰 山形園芸試験場育成 「佐藤錦」×「天香錦」 「佐藤錦」 より早い ・過着果になりやすい。 7月中旬~ 1果8~9g、偏円形、肉質は ・降雨で裂果しやすい。 7月下旬 硬く軟果しにくい、甘み強い。 ・耐寒性は弱い。 1果7~8g、短心臓形、果肉は ・降雨で裂果しやすい。 やや硬く、甘い、主力品種。 ・耐寒性はやや弱い。 「佐藤錦」 7月上旬~ 1果6~7g、心臓形、肉質は ・うるみ果が出やすい。 よりやや早 7月中旬 軟らかく、裂果はやや少ない。 ・耐寒性は強い。 (3) 台木特性 土壌条件が悪かったり、風の当たりやすい園地では根張りのよいコルト台木を選択する。 表3 おうとうの主要台木特性 台 木 の種 類 台 木 の特 徴 アオ バ ザクラ (青 葉 桜 ) 長 所 :挿 し 木 が可 能 で繁 殖 が容 易 。着 果 し や す い。 短 所 :接 き 部 から折 れ や す い。耐 寒 性 が弱 い、ヤ ソ害 を受 け や す い。 コ ルト 長 所 :接 ぎ木 部 が丈 夫 で折 れ な い。細 根 が多 く、樹 勢 が強 い。 短 所 :アオ バ ザクラよ り 樹 が大 きい。「根 頭 がんし ゅ 病 」 がつ きや す い。 - 2 - 4 経営指標 (1) 収支総括 区 (3) 経営費 分 金額(円) 粗収入 810,000 経営費 299,370 償却前所得 510,630 所得率 63% 種苗費 1,475 苗木(30年償却) 農薬費 24,467 殺菌剤、殺虫剤他 生産資材費 46,795 被覆資材、縄、支柱他 農具費 931 剪定ハサミ、ノコ他 6,713 軽油 水道光熱費 区分 生産量(kg) 単価(円) 生産額(円) 90% 540 1,500 販売費用 810,000 540 1,500 1,149 賦課金、負担金 299,370 合計 合計 198,477 販売手数料、パック他 公課諸負担 規格外 ※ 19,363 堆肥、肥料他 肥料費 (2) 生産額 規格内 金額(円) 資材名 区分 ※雨よけハウス栽培、 「佐藤錦」主体、 市場出荷主体の場合 810,000 営農ナビ(北後志版)参考 (4) 時期別労働時間 6月下旬~7月に労働時間の約80%が集中する。30a以上では雇用労力が必要となる。 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 11月 労働時 作 業 項 目 下旬 上旬 中旬 下旬 上旬 中旬 下旬 上旬 中旬 下旬 中旬 下旬 上旬 中旬 下旬 上旬 中旬 下旬 上旬 中旬 上旬 中旬 間計 整枝せん定 4.0 5.0 6.0 5.0 20.0 1.0 1.0 せん定枝搬出 施肥・秋施肥 0.3 施肥・春施肥 0.3 0.1 0.1 施肥・追肥 1.0 土壌管理・中耕 0.4 0.4 土壌管理・草刈 0.3 マメコバチ管理 0.5 1.0 0.8 0.5 0.5 0.5 0.5 2.3 0.5 1.0 人工受粉 3.0 3.0 病害虫防除 0.2 0.2 0.2 0.2 0.2 0.2 0.2 0.2 発生予察調査 0.1 0.1 葉摘み・摘心 3.0 3.0 収穫・運搬 12.0 28.0 28.0 12.0 80.0 選別・調整 6.0 14.0 14.0 6.0 40.0 出荷 5.0 8.0 8.0 5.0 雨よけ資材被覆 22.0 0.1 0.1 0.1 0.6 6.0 26.0 22.0 雨よけ資材除去 8.0 灌水 8.0 2.0 2.0 夏季枝梢管理 2.0 越冬管理 合 計 2.0 2.0 6.0 1.8 雪害防止対策 2.0 ※ 0.1 1.6 1.8 2.0 2.0 4.5 5.0 6.0 6.0 0.5 0.2 0.7 3.9 0.2 0.7 50.3 北海道農業生産技術体系参考 - 3 - 53.3 50.6 23.1 11.3 0.5 2.1 0.5 2.0 0.3 1.8 225.5 5 植え付けまでの管理 表4 苗木の植え付けまでの行程 前年(秋) 当年(春 5月上旬~中旬) ①苗木の準備(種苗会社へ注文) ①苗木の予措 ②排水対策 ②植え穴堀り及び有機物の補給と土壌改良 ③植え付け予定園地の土壌診断 ③植え付け (1) 苗木の準備 苗木はJAや種苗会社(天香園:0237-48-1231、原田種苗:0172-62-3349など)からの購入が 一般的である。注文は前年の秋頃までに行う。 (2) ほ場の準備 ア 排水対策 排水性の悪いほ場、地下水位が高いほ場、降雨後に雨水が停滞しやすいほ場では、明渠(排水 溝など)や暗渠の対策が必要である。 イ 土壌診断 土壌診断はホクレン(農協経由)で行っている。また、肥料メーカーで行っている場合もある。 ウ 有機物の補給、酸性土壌の改良 秋や春先に堆きゅう肥や石灰質肥料を施用し耕うんする。 (3) 裁植本数 品種や使用台木、地力によって栽植距離は樹列間(通路)6m×樹間6~8mで10a当り20~27本程 度に調整する。また、樹間4mで植栽して間伐する方法もある。 雨よけ栽培を前提にし、連棟では支柱の位置とSSの作業通路などを考慮して苗木を配置する。 (4) 受粉樹の混植 主力品種を結実させるため、親和性のある品種(受粉樹)を混植する。受粉樹の混植割合は、結 実を安定させるために30%程度は必要である。主要品種の親和性(表5)と品種のS遺伝子型(表 6)、受粉樹の配置方法(図3)は下記を参考にすること。 表5 主要品種の交配親和性 表6 ♂ 北光 佐藤錦 南陽 紅秀峰 ♀ (水門) 佐藤錦 ○ × ○ 北光(水門) ○ ○ ○ 南陽 × ○ ○ 紅秀峰 ○ ○ ○ ● ○ ○ ○ ○ ● ○ ○ ○ ○ ● ○ ○ ● ○ ○ ● ○ ○ ○ ○ ● ○ ○ 各品種のS遺伝子型 品 種 佐藤錦、南陽、月山錦、山形美人、ジャンボ錦、 S3S6 ダイアナブライト、Jのしずく S1S6 紅さやか、紅てまり、高砂、北光(水門)、紅ゆたか S S4S6 紅秀峰、香夏錦、正光錦、天香錦 遺 S1S4 大将錦、レーニア、紅きらり※ 伝 子 S1S2 サミット S3S4 ナポレオン S3S5 ジューンブライド S5S6 ジャボレ※ 「紅きらり」は自家結実性(1本でも成る) ※ 同じ遺伝子型の品種は結実しにくいので混植は避ける。 ※ 山形園試データを参考 ○ ○ ● ○ ○ ● ○ ○ 4列を繰り返す 左3列を繰り返す ● ○ ○ ○ ○ ● ○ ○ 混植割合25% 混植割合33% ※○:主力品種 ●:受粉樹 図3 受粉樹の混植の例 - 4 - 6 植え付け (1) 苗木の予措 春植えが基本となるので、春先に種苗会社から苗木を受け取るようにする。 植え付けまで根が乾かないようにし、植え付け前日から1日間水につけて吸水させる。 (2) 時期 融雪後、気温が上がり、土壌水分のある5月上旬~中旬に行う。 (3) 方法 ア 植え付け方法 ① 植え穴の大きさは直径60~80㎝、深さは40~50㎝くらいに掘る。 ② 植え穴に有機物(完熟堆肥10㎏)と土壌改良剤(ヨウリン500g、苦土炭カル1㎏)を投入し、 土壌とよく混合する。 ③ 苗木の根が下に向くように植え穴の中央部を高くする。また、土を戻したときに苗の接ぎ 木部が地上に出る高さにするが、接ぎ木部が出過ぎないように注意する。 ④ からんだ根をほぐし、傷んだ根は正常な部分まで切る。 ⑤ 苗木を植え穴に配置して、根の間に細かい土を入れ空間ができないように足で鎮圧する。 ⑥ 植え穴に土をある程度戻したら足で鎮圧する作業を1~2回行う。また、地面よりやや高く 盛土する。 ⑦ 支柱を立てて結束し、苗木を固定する。 図4 7 植え穴と植え付け方法 植え付け後の肥培管理 (1) 土壌管理 敷わらやマルチを行って土壌の乾燥を防いで根の活着や生育を促進する。 (2) 施肥管理 ア 植え付け時に施肥は行わない。活着後に生育が悪いときは追肥を行う場合もある。 イ 若木・幼木は基肥(春肥)のみで融雪直後に施肥する。 ウ 成木への基肥(春肥)は融雪直後、追肥(お礼肥)は収穫直後に行う。 表7 施肥標準(北海道施肥ガイド2010) 作型 成木(15年生以上) 若木(10年生以上) 幼木(5年生前後) 基準収量 (㎏/10a) 750 - - 基肥(㎏/10a) N P 2 O 5 K 2O 8 6 8 8 6 8 5 4 5 - 5 - N 4 - - 追肥(㎏/10a) P 2O 5 K 2O 時期、回数 2 4 収穫直後、1回 - - 0 - - 0 8 結実確保 (1) ア 訪花昆虫の利用 ミツバチ ミツバチは農協を通じて、養蜂業者から地域で導入するのが一般的である。導入中に使用でき る農薬は地域によって決められている。 イ マメコバチ ① 種バチ(繭)は業者から購入するか、飼育している園地に依頼して入手する。 ② 巣筒(ヨシ)は農協等から購入するか、河川敷等から刈ってきて自分で作る。巣筒の良否によ って、マメコバチの営巣率に違いが出るので良い巣筒を準備する。良い巣筒の条件は、内径が 5~7mm、長さは節から15㎝程度、切断面のつぶれやささくれがなく綺麗であることである。 ③ 巣箱はリンゴ箱などを利用する。巣箱にはヨシ筒をそのまま詰める(約1800本)か、50~100本 づつ束ねて入れる。繭のみの場合は、繭を小型の紙箱に入れて蓋をし、箱の側面にマメコバチ が脱出できる程度の穴をあける。 ④ 結実率は巣に近い樹で高く、離れるに従って低下するので、均一に結実させるためには、な るべく多くの巣群を設置する。最低でも半径50mごとに1群を設置する。 ⑤ 巣群の設置時期は、開花の7~10日前にする。 ⑥ 農薬散布はマメコバチの活動していない時間帯を選び、薬剤選択には細心の注意を払う。 ⑦ 活動終了後は、ドロバチ等の営巣を防ぐため、目が蚊帳程度のナイロン網で被覆する。 ⑧ 巣箱は来春まで園内にそのまま置いてもさしつかえないが、栽培管理の都合上、あるいは天 敵の寄生を防止するために移動する時は成虫になる9月中旬以降にする。やむを得ず、それ以前 に移動する場合は、繭を作り終わる7月中旬以降とし、振動を与えないよう静かに取り扱う。 ⑨ 古い巣筒は天敵(コナダニやカツオブシムシ類)が寄生・増殖しやすいため3年以内に更新する。 表8 ミツバチとマメコバチの習性 種類 習性 活動条件 16℃以下で活 ミツバチ 女王バチを中心に集団社会の生活を営む。 動が衰える。 ミツバチのような社会生活を営まないハチ であるが、1カ所に集まる習性がある。ヨ 活動最低気温 マメコバチ シなどの筒に集営し4月中旬から年1回の は14℃以上。 発生である。 図5 活動範囲 放す時期 約2km 開花始め 30~40aに1群 50aに1群 開花7日程度 ハチの入っているヨ 40m前後 前に園地に設 シ200本以上あれば理 置する。 想的である。 巣箱設置の例(春期) - 6 - ハチ群の必要量 (2) ア 人工受粉 ポイント ① 5分咲きと満開期の2回以上は実施する。 ② 雨よけハウス内や生産性の高い樹、収穫しやすい位置の花など優先順位を決めて実施する。 ③ 特に訪花昆虫を利用した園地では、樹の上部の方が結実率が良いので、そのような園地では 目通りを優先して受粉する。 ④ 「南陽」など結実率の低い品種や、受粉樹の少ない園地では積極的に行う。 ⑤ 開花期間中の低温が予想される場合や霜害の発生が心配される場合は、回数を多く実施する。 イ 毛ばたきによる受粉 ダチョウや水鳥の毛で作られた毛ばたきを使用する。花粉が出ていることを確認し、受粉樹と 主要品種を交互に軽くなでる。 ウ 採取花粉による授粉 ① 風船状か当日咲いた花を採取し開葯する(図7)。 ② 毛ばたき受粉機(商品名:ラブタッチ)や綿棒・ボンテン 等で直接めしべにつける。この時柱頭の上でなく側面を 軽くなでるように行う(図6)。 ③ 花粉の希釈倍率は、使用する花粉の発芽率や開花期の 気象条件によって変える必要があるが、花粉発芽率が35 ~45%程度であれば葯がら付き花粉1に対し石松子4以下 (体積比)として使用する(表9)。 図6 受粉の位置 表9 毛ばたき受粉機を使用した場合の結実率(山形園試,1995) 人工受粉方法 花粉の希釈倍率 (葯がら付き花粉:石松子) 訪花昆虫 の有無 1:2 1:4 - 無 無 有 毛ばたき受粉機 自然放置 注 品種:佐藤錦。受粉は五分咲きと満開期の2回実施 使用した花粉(ナポレオン)の発芽率は34.5~46.4% 図7 花摘みの時期と開葯方法の手順 - 7 - 結実率 (%) 34.0 30.8 19.2 (3) ア 切り枝挿し 10a当たり5~6カ所以上を設置する。切り枝はバケツにできるだけ 多く詰める(太めの枝を10~20本くらい)。 イ 開花直前(風船状)で採取し、バケツ内で開花させる。太く充実し た枝の花芽部分(枝の基部)を残して、葉芽の部分は切除する。 (4) 防風ネット ア 強風による花器損傷の軽減や訪花昆虫の活動拡大が期待できる。 強風が当たりやすい園地では、特に効果が期待できる。 イ 四方を囲むようにすることが望ましいが、できない場合は強風が 吹きやすい面を優先して設置する。 ウ 網目が細かいもの(2mm目)の方が、防風効果が高い。 エ 訪花昆虫が出入りしやすいように、下を1mくらいあける。 9 写真 切り枝挿し 着果管理 摘らいや摘果による着果管理は、大玉で質の良いさくらんぼを生産 するために効果的であるとともに、収穫時の労働分散や樹勢回復効果 写真 防風ネット も期待できる。ただし、果実が大きくなり裂果しやすくなるので、雨 よけ栽培が前提の技術となる。労力は、収量30kgの成木を摘らいや摘果 するのに、1人で2時間程度かかる。 (1) 摘らい ア 時期 ① 凍害が少なくなる3月下旬~発芽前に実施する。 ② 時期が遅くなると花芽は大きくなり、芽を傷つけやすく作業がしにくくなる。 イ 方法 ① 樹勢や品種、受粉樹の割合によって摘らい程度を調節する(表10)。 ② 人工受粉を行う場合は、1芽多く摘らいする。 ③ 「紅秀峰」等の耐寒性が低い品種や冷気が溜まりやすい園地では、凍害の状況を確認してから 摘らいする。被害が大きい場合は実施しない。 ④ 葉芽は必ず残し、小さい花芽を優先して摘む。 ⑤ 下向きの芽、分岐部の短果枝の芽は多めに摘む。 表10 樹勢による摘らい(残す芽の数)の目 樹勢 品種 強 適正 弱 佐藤錦 実施しない 3~4芽 2芽 紅秀峰 3芽程度 2芽 1芽 (2) 写真 花束状短果枝の摘らい前(左) と摘らい後(右) 摘花 摘花は摘らいが間に合わなかった場合に実施する。「紅秀峰」の花は、「佐藤錦」の交配用花粉と して利用できる(図7)。 (3) 摘果 ア 時期 ① 結実過多の場合は、必ず実施する。満開3週間から4週間後までに実施することが望ましいが、 6週間後まで効果は期待できる。 ② 早い程肥大効果は高いが生理落果があるので注意する。 イ 方法 ① 1花束状短果枝当たり2~3果残して摘果する。 ② 日当たりの良い樹冠上部は3果、下枝は2果程度残す。 ③ 過着果時は、枝の下部(腹)に成っている部分や着果の 多い部分をハサミで切る。 図8 摘果の方法 - 8 - 10 着色管理 (1) ア 新梢管理 着色を良くするため、満開の4週間後~着色始頃までに、摘果 や葉摘みと併せて行う。 イ 樹勢の弱い樹は行わない。新梢の基部5cm前後残して(葉芽を確 保)、摘心する。 写真 摘心後 ウ 摘心で樹冠内の明るさを保てない場合、樹の上部や樹冠内部、 主枝の背面に発生した徒長枝を除去する。また、混み合っている部分の徒長枝も切除する。 (2) 葉摘み ア 果実の着色がある程度進んでから行い、収穫予定の7~10日前頃に実施する。 イ 果実の間に挟まっている小さい葉や果実に覆 い被さっている葉を主体に摘む。 ウ 過度の葉摘みは品質低下や翌年の花芽の充実 不良、樹勢の低下につながるので注意する。 (3) 反射資材の利用 図9 葉摘みの方法 ア 反射資材を敷く時期は、着色始めから実施する。 イ 効果は地上2.5m程度であるが、光の透過しないような枝の多い樹では効果は出ない。下草刈り などを行って、地表面を均一にしてから実施する。敷設面積の目安は、樹冠下の50~70%とする。 ウ シートの上に雨や葉などが停滞すると反射効果が落ちるので、 取り除く。 11 雨よけ被覆 (1) 目的 裂果は果面からの吸水が主要因であることから、雨よけ被覆は 裂果防止が目的である。 写真 パイプハウス連棟タイプ (2) 方法 ア 現在、最も多く導入されているのが「パイプハウス連棟タイプ」である。樹体とハウスの最上部 の間が、1m程度空くような樹高とする。 イ ポリエチレンフィルムを使用し、厚さは0.06mmのものを利用するのが一般的である。なお、前 年使用のポリフィルムは光の透過率が劣るので、できるだけ使わない。 ウ 連棟タイプでは雨どいを設置して、ハウス内での雨の流入を防ぐようにする。 (3) 注意点 被覆はできるだけ短期間とし、週間天気予報などを利用して降雨直前に行う。収穫後は花芽形 成を促進するため速やかに除去する。高温になりやすく、ハダニ類が発生しやすいので注意する。 ①ハシゴの上にビニール を乗せて引っ張る。 ⑤パッカーで止める。 ②ビニールが40m以上の場合「イ ③ワイヤーとハウスバンドの下 ④中心を決め徐々に広げる。 にビニールを入れ、広げる。 カ釣りローラー」等の利用が便利。 ⑥ワイヤーを締め直す。 写真 ⑦フックにワイヤーを架ける。 雨よけ被覆の手順 - 9 - ⑧ハウスバンドを締め直 し、終了。 12 樹齢に応じた整枝せん定 (1)せん定の主な目的 ア 日当たりや風通しをよくし、光合成効率を上 げ病害虫の発生を抑制するため イ どの枝にも手が届くよう作業性を改善するため ウ 毎年新梢が適度に伸びるよう、樹勢を維持す るため 樹勢 強 弱 生長バランス 枝の伸長 栄養生長>生殖生長 長大 栄養生長<生殖生長 短小 花芽の着生 つきづらい、少ない つきやすい、小さい (2)おうとうせん定の基本的な考え方 ア 雨よけ栽培が前提となるため、施設内に収まる 図10 おうとうの結果習性 樹高・樹形とし、結果部位は4m以下が目標 イ 主幹形→変則主幹→遅延開心形→開心形へと樹齢によって樹形が変化する (3)せん定の方法 ア 定植時 ① 最下段の主枝の高さを想定して切りつめる。 ② 苗の強さや切りつめの強さにもよるが、一般的に販売されている苗であれば、切除部位の下 3~5芽から枝を発出する。 ③ 極端に弱い苗の場合は、強い枝を発出させるよう短く切りつめる。 イ 2年目の春 ① 最上段の強い枝をさらに樹高を求めるための主幹用(心枝)とし、伸長部の1/4程度を切りつ め、上から2番目の枝は心枝と競合するので基から切除する。 ② 発出角度の極端に狭い枝も、競合枝となり、主枝候補枝としては使えないので、基から切除 あるいは誘引して45°をめどに角度を広くする。 ウ 3、4年目の春 ① 最上段の枝は、2年目と同様に1/4程度で切りつめ、上から2番目の枝は基から切除する。 ② 定植2年目から発出していた主枝はさらに側枝を発出しているが、これらも先端から発出す る主枝延長枝と競合する枝は切除する。 ③ 上部に向かって強く伸びている側枝も競合するため切除する。 図11 幼木の仕立て方 - 10 - エ オ 5~6年目の春(変則主幹へ) ① 樹高が施設に届くほどになっ たら心枝を切り下げる(図12)。 ② 主枝候補枝を選定し、徐々に 間引くが、一度に切除するので はなく、残したい枝に陰をつく る枝や強くなりそうな枝を優先 的に年に1~2本ずつ実施する。 図12 心の抜き方 7年目以降(開心形へ) ① 主枝数を最終的に4本程度にすることを念頭に置き、残したい主枝に陰をつくる枝を間引く。 ② 大きくなった主枝を間引く際は結果枝を切除 して太くなるのを防ぎ、主幹が育ち主幹の直径 に対し、間引く主枝の直径が半分程度になって から切除するのが望ましい。 ② おうとうは寒さに弱く切り口から枯れやすい ので、冬季せん定では高い位置で切っておき、 6月頃切り直す(図13) 図 13 切 り 戻 し の 仕 方 <主枝候補を選ぶ基準> ・主枝は4本程度 ・方向は下から南→西・東→北の順に配置 ・通路(作業道)に対して、垂直に発生している枝は使わない ・同じ高さから発出している主枝は使わない(車枝) ・発出角度は上方45°が基本、立ち上がった鋭角な枝は強くなり、 裂けやすいので使用しない カ せん定で気をつけること ① 日陰になると花芽・葉芽が弱くなり、最終的になくなってしまう。日当たりを重視したせん 定を行う。 ② 主枝が雨よけハウスまで届き切りつめが必要なとき、切り下げせん定を行うと強せん定とな り強く立ち上がる枝となり、主枝は硬く下がらない(図15)ので、切り上げせん定を基本とする。 ③ 結果枝の先が伸びなくなったら、少しでも伸びた上枝まで切り戻す。 ④ 3~4本の主枝のうち、どれか1本だけ大きくなったり、弱くなることがないよう亜主枝・結 果枝の数や位置に注意しバランスをとる。 図15 切り下げを 繰り返した樹形 図14 開心形仕立て - 11 - 13樹体管理(凍霜害) (1) 凍害発生温度 凍害の発生は、低温に遭遇する時期と温度と遭遇期間によって大きく異なる。一般に休眠期は低温 に強く、春になり芽が動き始めると弱くなる。 表11 凍害発生温度 症 状 気温 -18℃ 凍害発生 休眠期 -20℃ 急激な温度低下で96~98%に、徐々に低下で3~5%に被害発生 -26℃~-29℃ 完全な凍死が発生 発芽期 -3℃ 花雷露出期 -1.6℃ 1時間でわずかでも障害を受ける恐れがある 花弁露出期 -1.5℃ -1.7℃ 開花直前~満開期 落花直後 -1.1℃ ※休眠期凍害は青森県畑園試、発芽期以降は農総セ果樹研(2012) 生育ステージ (2) 発生要因 貯蔵養分が多い状態で冬を迎えると細胞の浸透圧が高まり凍結点が上がり、凍害を受けにくい。 貯蔵養分が少なくなる要因としては、つぎのことがあげられる。 ・葉の障害や摘葉 品種・芽の種類による耐凍性の違い ・着果過多 紅秀峰<佐藤錦<南陽<水門 ・窒素の遅効き 弱 強 花芽<葉芽 ・徒長 下芽<上芽 14収穫・調整 (1) 収穫 おうとうは、成熟すると同時に果実肥大し、糖度が上昇し、着色 が増す。熟度が進むと果肉が軟化し、腐敗しやすくなり、商品価値が 落ちるため、適期収穫が重要となる。果肉、着色等を考慮しながら、 食べておいしいものを収穫する。 <収穫時の注意> ・収穫時は果柄を持ち、果実にはなるべくさわらないようにする。 ・降雨時の収穫は日持ち悪く、腐敗の原因となるため、収穫は晴れた 日に行う。 ・朝露等で濡れている場合は、収穫後に扇風機等で乾かす。 ・果実温度が高い時間の収穫は日持ち性が劣るため、なるべく午前中 の涼しいうちに収穫する。 (2) 写真 写真 調整 腐敗や裂果を除きながら、大きさや着色で選別する。選果場の明る さや作業台の色、高さによって着色の見え方や疲労度が異なるので、 環境を整える。 出荷形態には、フードパック(ふた付きバラ詰め)や500gパック 詰、化粧詰めなどがある。一般に化粧詰めのほうがギフト仕向けで単 価が高いが手間がかかるため、販売先や労力に応じて判断する。 写真 写真 - 12 - 花芽の凍害 フードパック パック詰 化粧詰(桐箱入) 15 主要病害虫 (1) 病害 ア 幼果菌核病 ① 特徴 発病は葉・幼果でみられ、熟果では発生しない。落花直後の幼果 は中心部から褐変し始め果全体および花梗まで変色する。その後、 シワを生じて小さくなり、被害果内に菌核を生じる。 ② 伝染経路 写真 幼果の発病症状 地上に落ちた被害果で越冬した菌核は、翌春に子のう盤を形成して子のう胞子を飛散する。 その後、葉に感染すると葉ぐされを生じる。花には柱頭から侵入し、幼果内部から腐敗させる。 ③ 防除法 ・柱頭からの侵入を防ぐ必要があり、開花直前から満開までの防除が重要である。 ・被害果は、翌年の発生源となるため集めて土中深くに埋めるか、園外で処分する。 イ ウ 灰星病 ① 特徴 主に花・果実でみられる。落花期頃から花器全体が淡褐色になっ て枯れ(花腐れ)、灰褐色粉状の分生子塊をつくり、樹上に長く残る こともある。幼果には黒褐色の微細な斑点を生じる。その後、好天 が続くとカサブタ状になり、逆に湿潤な天候が続くと腐敗して灰褐 写真 花腐れ症状 色粉状の胞子塊を生じる。熟果では小さな褐色斑点が生じると、果 実全体が腐敗して灰褐色粉状の胞子魂を密生する。熟果腐れは特に 収穫期に降雨が続くほど発病が増える。裂果によって助長される。 ② 伝染経路 病原菌は地上に落ちた被害果と樹上にあるミイラ果で越冬する。 翌春、子のう盤を形成し子のう胞子を飛散する。融雪が遅かった り、開花前の降雨は花腐れの発生が多くなる要因になる。 ③ 防除法 写真 熟果に生じた胞子魂 ・被害果は翌年の感染源になるので除去する。 ・花腐れの防除は開花直前と満開3日後に薬剤散布する。天候不良時は開花直前と満開3日後 の防除間隔を7日以上空けないように注意する。 ・熟果腐れ防除は収穫20日前頃から薬剤散布を徹底する。 ・地上に落ちた被害果を中耕ですき込んで地表面を乾燥させる。 炭疽病 特徴 果実、葉、芽を侵すが果実での発病が多い。果実では茶褐色で円形 の凹状の病斑ができ、病斑上に橙黄色~鮭肉色の粘質物(分生子)を生 じ、発病は収穫後半に多くなる。葉では茶褐色~黒褐色の円形又は不 整形病斑となり、発病は収穫後に多くなる。 ② 伝染経路 写真 果実に発病した病斑 樹体上の枯死芽、落葉痕、短果枝で越冬する。開花期~7月に、これらから分生子が生じて降 雨で伝染する。そのため、葉柄が侵されると基部の芽も侵され枯死する。多雨条件で多発する。 ③ 防除法 ・伝染源となる枯死した花束状短果枝や不発芽は除去する。 ・生育期に灰星病防除と兼ねて効果のある薬剤を選択する。 ・樹上越冬するため、休眠期防除も効果がある。 ① - 13 - (2) 虫害 ア オウトウハマダラミバエ ① 特徴 主に幼果での被害となる。成虫は果実 に産卵傷をつけるので、傷跡は暗褐色と なり果実表面は凹む。幼虫は果実内を食 害する。 ② 経過習性 年1回発生する。産卵は果実が小指頭大 (5月下旬~6月上旬)の頃に通常は1果実に 写真 産卵痕(左)と幼虫よる食害(右) 1粒を果肉内に行う。老熟した幼虫は果実から脱出して地上に落下し、土中3~6㎝の深さで蛹 化し土中で越冬する。 ③ 防除法 ・産卵開始時期に殺虫剤の樹冠撒布を10日間隔で2~3回行う。 ・幼虫脱出前の被害果を6月中旬頃から摘採して浸水処理を行う。 イ オウトウショウジョウバエ 特徴 主に熟果での被害となる。特に完熟果への産卵が多く、早生種より晩生種に被害が多い。1 果実内に4~5個産卵し、産卵痕は黒ずむ。卵は1~2日で孵化する。幼虫は不規則に果肉を食害 し、果面は黒褐色に変色する。食害が進むと果面がくぼんで落果する。また、被害果を指に挟 んで押すと産卵痕から果汁がしみ出る。 ② 経過習性 年に10回以上発生するが、おうとうでは6~7月頃に2~3回発生する。成虫は落葉の下などで 越冬する。 ③ 防除法 ・薬剤散布は初発を見逃さず、発生し始めたらただちに防除する。熟果での被害となるため適 期収穫に努め、1回目の散布から10日過ぎても収穫が終了しない場合は再度散布する。 ・樹上に取り残された果実は増殖源になるので、出来るだけ取って土中に埋める。 ① ウ ハマキムシ類 ① 特徴 幼虫は早春に花芽を食害し、葉を巻くようにつづり合わせて巣を作り、葉や新梢の先端など を食害する。 ② 経過習性 ミダレカクモンハマキは卵塊、コカクモンハマキは幼虫で小枝の分岐部や粗皮下、枯葉を枝 に付着させた接触部で越冬する。5月上旬から発生し始め発生回数は、ミダレカクモンハマキ は年1回、コカクモンハマキは年2回程度発生する。 ③ 防除法 ・ハマキムシ類の防除適期は訪花昆虫の訪飼時期に重なってくる。そのため、訪飼の前後は訪 花昆虫に影響の少ない薬剤を散布する。 ・葉を巻いた後に薬剤散布しても虫にかかりにくいので効果が期待できない。そのため、初発 に注意し、早めに薬剤散布を行う。また、葉を巻いてしまった場合は、葉全体を指で押して 中の虫を潰す又は葉を摘み取ることも有効である。 - 14 - エ コスカシバ ① 特徴 幼虫が幹に侵入して形成層を食害する。食害が進むと樹勢が衰 え、日焼けや樹脂病を併発して枯死する場合もある。加害部位は 樹脂が飴状に出てくる。また、樹脂の中に木くず状の虫糞が混じ っている。食入初期は細かい虫糞だが、老熟幼虫が食入している 場合は樹脂とともに大きな虫糞が排出される。 ② 経過習性 写真 被害部と幼虫 年1回発生する。成虫の発生は6月末頃から始まり、最盛期は8月上旬頃で9月下旬頃までつづ く。成虫は昼間活動し樹幹下方の樹皮の裂け目や荒れた部分などに産卵する。ふ化した幼虫は 皮目や荒れた部分から食入する。食入した幼虫で越冬する。翌春、幼虫は樹皮下の浅い部分に まゆをつくって蛹になる。羽化時には蛹を半分外に出して蛹殻を残して羽化する。 ③ 防除法 ・虫糞や樹脂を目当てに幼虫の侵入部位を小刀などで削って捕殺する。 ・性フェロモン剤「スカシバコン」を6月上旬から設置する。 ・薬剤散布は樹幹の下方を中心に行い、樹皮の荒れた部分等もていねいに散布する。 ・幼虫が食入初期の場合は、潜入部位を木槌で強く打って圧殺する。 オ ハダニ類 ① 特徴 葉裏から吸汁して葉の養分を奪うため、被害は特に葉裏に現れる。発生が多くなると葉裏 が褐色になり水分を失ったような症状になって落葉することもある。 ② 経過習性 リンゴハダニは小枝の分岐部や芽の基部で卵越冬する。ナミハダニは枝や幹の隙間や園内外 の下草等で成虫越冬する。発生回数は年次によって違い、6月下旬から発生が増えてくる。ま た、7月以降は密度が短期間に高まりやすい。夏期の高温少雨が続くと多発する。 ② 防除法 ・ハダニ類の発生始めと収穫始めが重なり防除が後回しになりやすい。また、収穫後は放任に なることがあり、多発しやすい。そのため、発生状況に注意して収穫前後を基本に早期防除 を心がける。 ・薬剤抵抗性がつきやすいので同一系統の薬剤の連用を避ける。 ・樹高が高い場合では上部に散布ムラが出来ないように注意する。 ・雨よけ栽培では多発しやすいので注意する。 実際の防除については、地区で作成している「農作物病害虫防除」および「除草剤使用」の手 引きを参照する。 - 15 -