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県産種雄牛 「美津栄」における経済形質に連鎖す
佐賀県研究成果情報 (作成 平成 25 年 3 月) 県産種雄牛 「美津栄」における経済形質に連鎖する遺伝子領域(QTL)を推定できる [要約]県産種雄牛「美津栄」の家系において、経済形質に連鎖する遺伝子領域(QTL) を推定するため連鎖解析を実施した結果、枝肉重量で 1 ヶ所、ロース芯面積で 1 ヶ所、 皮下脂肪厚で 2 ヶ所、脂肪交雑で 3 か所、Chromozome-wize5%以上の水準で有意な領域を 推定した。 畜産試験場・大家畜部・家畜育種研究担当 連絡先 0954-45-2030 [email protected] 部会名 畜 産 専門 改良・増殖 対象 肉 用 牛 [背景・ねらい] 肉用牛の生産振興のためには、枝肉重量や脂肪交雑などの経済形質の改良が不可欠であ り、特に能力の優れた種雄牛を造成することが急務となっている。そこで、当場では能力 の高い候補種雄牛の選抜精度を高めるため、DNA 解析により経済形質に連鎖する遺伝子領 域(QTL)を特定し、その QTL の保有状況を選抜に利用する新しい育種手法を検討してきた。 今回は、県産種雄牛「美津栄」の家系について経済形質に関与する QTL の探索を行った。 [成果の内容] 1.県産種雄牛「美津栄」とその去勢産子 285 頭の家系において、標準化した経済形質を 対象に二次解析のための連鎖解析を実施した。その結果、枝肉重量で 1 ヶ所、ロース芯 面積で 1 ヶ所、皮下脂肪厚で 2 ヶ所、脂肪交雑で 3 か所、Chromozome-wize5%以上の水準 で有意な領域が推定できる(表 1)。 2.ロース芯面積と皮下脂肪厚については、Chromozome-wize1%水準で有意となり QTL が存 在する可能性がある(表 1)。 3.脂肪交雑の向上に効果のある候補 QTL は、9,13,29 番染色体の 3 か所に検出できる。 効果のあるハプロタイプを Q、効果のないタイプを q で比較した結果、3 つの Q を保有し た産子の脂肪交雑は 7.45 で 3 つとも保有しなかった産子(4.57)と比較すると 2.88 の QTL 効果がある(表 2、表 3)。 [成果の活用面・留意点] 1.本県においては、今後候補種雄牛(直接検定牛)の選抜への利用が見込まれる。 2.この成果情報については、「美津栄」産子についてのみ利用が可能となる。 [具体的なデータ] 表1.二次解析の結果 形 質 染色体 位 置 F IC 置換効果 寄与率 8.68 * 0.95 16.04 0.027 枝肉重量 8 82 ロース芯面積 23 8 11.71** 0.96 2.87 0.038 10.26** 0.92 0.29 0.033 皮下脂肪厚 7 58 皮下脂肪厚 8 50 11.15** 0.93 0.46 0.036 脂肪交雑 9 12 9.17 * 0.89 0.67 0.029 9.14 * 0.95 0.66 0.029 脂肪交雑 13 88 脂肪交雑 29 2 7.94 * 0.97 0.61 0.025 Chromosome-wise significance * p<0.05 ** p<0.01 表2.脂肪交雑候補QTLの効果 脂肪交雑(Ave.±STD) タイプ 頭数 Q9 105 5.91±1.80 a q9 131 5.19±1.79 b 異符号間に有意差(p<0.01) 脂肪交雑(Ave.±STD) タイプ 頭数 Q13 86 5.60±1.84 a q13 119 5.21±1.79 a 異符号間に有意差(p<0.05) 脂肪交雑(Ave.±STD) タイプ 頭数 Q29 116 5.86±1.92 a q29 113 5.15±1.58 b 異符号間に有意差(p<0.01) 表3. 9,13,29番染色体の候補QTLの相加的効果 頭数 脂肪交雑(Ave.±STD) タイプ 9Q-13Q-29Q 11 7.45 ± 1.96 a 9Q-13q-29Q 17 6.00 ± 2.06 ab 9Q-13Q-29q 13 5.77 ± 1.58 ab 9q-13q-29Q 24 5.75 ± 1.65 ab 9Q-13q-29q 14 5.64 ± 1.64 b 9q-13Q-29Q 19 5.21 ± 1.68 b 9q-13Q-29q 15 4.73 ± 1.48 b 9q-13q-29q 21 4.57 ± 1.39 b 異符号間に有意差(p<0.01) [その他] 研究課題名:肉用牛優良遺伝情報利用による効率的種牛造成法の開発 予算区分:県単 研究期間:1997∼2011 年度 研究担当者:山下大司、江副大輔、加茂辰生 FDR 0.10 0.07 0.52 0.31 0.80 0.73 0.93