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Title 若年者(18歳女性)の膀胱腫瘍 - Kyoto University Research

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Title 若年者(18歳女性)の膀胱腫瘍 - Kyoto University Research
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若年者(18歳女性)の膀胱腫瘍 : 再発を繰り返した1例
池田, 伊知郎; 寺尾, 俊哉; 中込, 一彰; 増田, 光伸; 広川, 信
泌尿器科紀要 (1992), 38(11): 1261-1263
1992-11
http://hdl.handle.net/2433/117702
Right
Type
Textversion
Departmental Bulletin Paper
publisher
Kyoto University
1261
泌 尿 紀 要38:1261-・1263,1992
若年者(18歳
女性)の 膀胱腫瘍:再 発 を繰 り返 した1例
藤 沢市民病院泌尿器科(部 長=広 川 信)
池 田 伊 知 郎,寺
増 田
RECURRENT
尾
俊 哉,中
光 伸,広
TRANSITIONAL
BLADDER
IN A YOUNG
Ichiro
Ikeda,
Mitsunobu
川
WOMAN
and
CARCINOMA
: REPORT
Terao,
Masuda
一彰
信
CELL
Toshiya
込
Kazuaki
Makoto
OF
THE
OF A CASE
Nakagomi,
Hirokawa
From the Department of Urology, Fujisawa City Hospital
A rare case of transitional cell carcinoma of the bladder in an 18-year-old female is presented.
The chief complaint was gross hematuria and pain on urination.
Transurethral
resection was
performed and pathological findings were low grade transitional
cell carcinoma without invasion.
During a 5-year follow up, she had relapse of the bladder tumor twice. Transitional
cell carcinoma of the bladder in children and adolescents may be low grade, low stage and rarely recurrent,
but the possibility of recurrence does exist. We emphasize the necessity of periodic cystoscopy for
following up young adolescents with transitional
cell carcinoma of the bladder.
(Acta Urol. Jpn 38: 1261-1263, 1992)
Key words: Bladder cancer, Young woman, Recurrence
の 有 茎 性 乳頭 状 腫 瘍 を 認 め,1987年4月,TUR-Bt
緒
言
を 施 行 し た.移 行 上 皮 癌(TCC),Gl,pTaで
若 年者 に発 生 す る膀 胱 移 行 上 皮 癌 は稀 で,再 発 率 も
低 い といわ れ て い る.18歳 の女 性 例 で,5年
間 に2度
そ の 後 の定 期 検 査 で 尿細 胞診 は陰 性 で あ った が,2
の再 発 を繰 り返 した 自験 例 と若 年 者 の膀 胱 腫 瘍 に つ い
度 の再 発 を 生 じた,1989年12月,後
て文 献 的考 察 を 報 告 す る.
状 腫 瘍 を2つ,三
患 者318歳,女
例
を4つ 認 め,TUR一
壁 に 米粒 大 の乳 頭状 腫 瘍
趾 を 施 行 した.病 理 組 織 学 所見
は いず れ もTCC,Gl>G2,pTaで
性
既 往 歴 ・家 族 歴:特 記事 項 な し
考
嗜 好:喫 煙 は16歳 よ り始 め1日20本
コー ヒー は1日2∼3杯,
察
前 後 を2年 間,
若 年 者:に発 生 す る 膀 胱 移 行 上 皮 腫 瘍 の 頻 度 は,
JavadpourらDに
よ り事 務 職
現 病 歴:1986年9月
あ っ た.1992年
3月 現 在,再 発 を認 め て い ない.
主 訴:肉 的 血 尿,排 尿 時 痛
職 業歴:18歳
壁 に 小 豆 大 の乳 頭
角 部 に 海 草 の 藻様 の腫 瘍 を4つ 認 め
た.つ い で,1991年2月,後
症
あっ
た.
よ り肉眼 的 血 尿 と排 尿時 痛 が 出
0.4%(20歳
よれ ば全 膀 胱 移 行 上 皮 腫 瘍 の うち
以下),赤 座 ら2)によれ ば0.51%(ig歳
以 下)
現 して,急 性 膀 胱 炎 と して 治療 され た が 改 善 しな か っ
と 報 告 し て い る.日 本 泌尿 器 科 学 会 の膀 胱 癌 登 録調
た.1987年3月,近
査3・4)によれ ば1982年 よ り88年 の 総 登 録 患者 数 は16,
医 の 泌 尿器 科 よ り膀 胱 腫瘍 と して
紹 介 され た.
初 発 時術 前 所 見:血 算,生 化 学異 常 な し,検 尿 所 見:
糖(一),蛋
白(一),沈
O∼4/hpf,尿
細 胞 診 陰 性,IVPで
渣:RBc20∼29!hpf,wBc
膀胱左 底部に 陰影
欠 損 を 認 め た が,上 部 尿 路 は 正 常 で あ った.
手 術 所 見 ・病 理 組 織 所 見:左 尿 管 口後 方 に 母 指頭 大
164例 で,20歳 未 満 は20例(0.12%)で
あ った.集
で きた本 邦 の報 告 例 は31例5)で,そ
の特 微 を 表 に ま と
め た(Fig.1,Tablel).年
計
齢 では10代 後半 に な るほ
ど多 い.症 状 で は 血 尿 が 大 部分 の症 例 に み られ,若 年
者 に お い て も重 要 な 所 見 で あ る.腫 瘍 は 単 発 でlow
gradeが
多 く,再 発 や 転 移 は 少 なか った.
1262
泌 尿紀 要38巻H号1992年
年 老 の膀 胱 腫 瘍 で あ って も転 移 再 発 の可 能 性 は あ り経
過 観 察 が必 要 で あ る.
21
20一
疫 学 的 に は,膀 胱 腫 瘍 の リス クフ7ク タ ー と して 染
15一
料 や 有 機 溶 媒 との接 触,喫 煙,フ
ェナ セ チ ンの 内服 が
有 名 で あ る.Bentonら13)は17歳
か ら25歳 の膀 胱 腫 瘍
患 者9例 巾6例 に染 料,有 機 溶 媒,化 学 薬 品 の接 触 が
人
あ った と報告 して い る.Piperら14)は20歳
か ら49歳 の
10一
女 性 の 膀 胱 腫 瘍患 者173例 の 検 討 で,明
数
らか な リス ク
フ ァ ク ク ー と して喫 煙 が あ り,開 始 年 齢 が 早 く,喫 煙
本 数 が 多 い ほ ど リス クが 高 く,過 度 の コ ー ヒ ー摂 取 と
5一
5
相 乗 作用 が あ った.ま た,フ
3
ェ ナ セチ ソの 過 度 の服 用
や 甲状 腺 シ ンチ の ヨー ドも リス クフ ァ クタ ーに 成 りう
2
る と して い る.自 験 例 で は 喫 煙 と コ ー ヒ ー摂取 が リス
O∼45-910--1415-19
年
ク フ ァ クタ ー と考 え られ た.
齢
結
Fig.LAgeatdiagnosis
語
18歳 女 性 に 発 生 した膀 胱 移 行上 皮 腫 瘍 で,5年
TableLCIinicalfindingsof31casesoftransi・
tionalcellcarcinomaofthebladder
る術 後 定 期 検 査 の必 要 性 を強 調 し,若 干 の文 献 的 考 察
inchildrenandadolescentsreported
inJapan
を加 えた.
性
別
男:22例
主
訴
血 尿:23例
女:7例
腫瘍数
不 詳:2例
文
膀 胱 炎 様 症 状:6例
三 角 部,尿
頸 部:4例
発生部位
管 口周 辺:15例
前 壁:監 例
単 発:18例
転 移:3例
1)JavadpourNandMostofiFK:Primary
側壁:4例
不 詳;9例
多 発:5例
epithelialtumorsofthebladderinthefirst
twodecadesoflife.IUrol101:706-710,1969
不 詳:8例
2)赤
不 詳:8例
再 発:2例(記
献
不 詳:6例
分 化 度GO:5例GllO例G28例
転移再発
間で
2度 再 発 した 症 例 を 報 告 した.膀 胱 鏡検 査 を中 心 とす
座 英 之,鈴
み
-188
載 例25例 中)
3)日
木
徹,上
野
精,ほ
か:10歳
ら れ た 膀 胱 移 行 上 皮 腫 瘍 の2例.臨
台 に
泌33:185
,1979
本 泌 尿 器 科 学 会:全
昭 和57年
国 膀 胱 患 者 登 録 調 査 報 告,
∼ 昭 和62年
症 例 の ま と め.平
成3年4月
発 行
一 般 に 若 年 者 の 膀 胱 腫 瘍 は ,低
た め 予 後 が 良 い,し
か し,少
悪 性 度 で非 浸潤 性 の
4)日
本 泌 尿 器 科 学 会:全
告,第7号,昭
な い頻 度 で 転移 や再 発 が
5)金
み られ る.若
年 者 の 再 発 率 は2.6∼8.3%と
哲 将,竹
察(1∼18年
よ る 若 年 者 の膀 胱腫 瘍 患 者 の長 期 観
間,平
均6年
1例 で あ っ た.自
の 再 発 例 は 他 に1例8)の
例25例
中2例
間)で
験 例 は5年
で8.0%と
は,再
発 例 は12例 中
間 に2度
再 発 し た.本
み で あ り,再
な る.ま
た,欧
米 で は10歳
目の 再 発 で 膀 胱 全 摘 を 施 行 した 症 例 を 報 告 して い
倉 ら12)は20歳 代 の 膀 胱 移 行 上 皮 腫 瘍 の フ ロ ー一サ
液 で6例
中3例
瘍 組 織 で6例
中2例
にaneuploldpatternが
に,膀
胱洗浄
観 察 さ れ,
た 膀 胱 腫 瘍
・ 若 年 者
若 年 老 の 膀 胱 腫 瘍 の 細 胞 生 物 学 者 特 性 が 必 ず し も10w
な い と 報 告 し て い る.し
た が っ て,若
尿 紀 要
Transitionalcellcarcinomaofthebladder
inchildrenandadolescents.JUro1130:
54-55,1983
見 好 宏,井
門 慎 介,平
林 直 樹,ほ
の 多 発 性 膀 胱 腫 瘍 の1例.日
1986
9)PaduanoLandChiellaE:Prlmaryepithelialtumorsofthebladderinchildren.J
Urol139:794-795,1988
10)LiR,KinKandBrendlerH:Multipleand
malignancyで
か
の1例.泌
twentyyearsoflife,Urology1:57-59,1973
再
発 を 繰 り返 す う ち に 肺 転 移 を 生 じ肺 中 葉 切 除 を 施 行,
ら れ
7)BensonRD,TomeraKMandKelalisPP:
未
間 に5回
み
Neoplasmsoftransitionalcellorigininfirst
8)北
イ トメ ト リー で,腫
吉 唯 夫,ほ
報
発 行
6)McGuireEJ,WeissRMandBaskinAM:
邦
発 率 は 本邦 報 告
歳 の 男 子 の 移 行 上 皮 癌(Gl》G2)で3年
6度
内 秀 雄,友
登 録 調 査
成3年7月
35=337-341,1989
満 の 再 発 例 の 報 告 も 散 見 さ れ る9・10).石 塚 ら8・tl)は18
るi朝
症 例,平
され る1・6・7).
(17歳)に
Bensonら7)に
国 膀 胱 癌 患 者
和63年
recurrentepithelialtumorsofthebladder
inachild.Jurol108:644--646,1972
か:17歳
泌 尿 会 誌77:697,
男 子
1263
池 田,ほ か:膀 胱 腫瘍 ・若 年 女 性
ll)石
塚
修,小
川 秋 實,岡
摘 後 も 自 尿,勃
根 谷 利 一・,ほ か=膀
胱全
起 が 可 能 で あ っ た 若 年 膀 胱 癌.臨
倉 博 孝,橘
CancerInst51:269-2701973
14)JoyceMP,GenevieveMMandJamesT:
泌45=235-237,1991
12)朝
bladdercancerinyQungmales・JNatl
政 昭,馬
場 志 郎,ほ
か1若
年発症
型 膀 胱 腫 瘍 の 細 胞 生 物 学 的 特 性 に 関 す る 検 討.日
泌 尿 会 誌80:i218-1223,198g
l3)BentonB,HendersonRNandBE:Brief
communication:Enviromentalexposureand
Bladdercancerinyoungwoman.AmJ
Epidemiol123=1033-1042,1986
(ReceivedonMay8,1992
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