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上富良野町
上富良野町における泥流災害防災訓練 北海道上富良野町 建設水道課 主幹 佐々木玄典 上富良野町 概要 2 上富良野町 概要 上富良野町 (空知郡、上川地方) 人口 11,316人(人口密度 約47.7人/km²) ※2015/08 現在 面積 237.10km² 3 1 十勝岳の噴火災害について ~過去の噴火による被害 2 ひとりの命も失わない。 ~十勝岳噴火総合防災訓練 3 火山の恵みによる大地の形成 4 20世紀の十勝岳噴火 1988-89年 噴火 1926年 噴火 1962年 噴火 5 噴火による被害 ○1926年5月24日 十勝岳が噴火を起こし、高温の岩屑なだれ が発生し、残雪を溶かし25分あまりで山麓の 富良野原野まで泥流が到達した。死者及び行 方不明144名 上富良野の被害 死者・行方不明137名、負傷者は209名。損壊建物は330棟 ○1962年6月29日 中央火口丘南側湯沼付近で噴火噴煙12km上 昇、東方に降灰。死者及び行方不明5名。 6 噴火による被害 ○1988年12月16日~1989年3月 5日 合計23回の噴火 十勝地方に降灰。26年ぶりの噴火活動。火 砕流を伴った噴火が約二千年ぶりに発生した。 ※人的被害なし 7 1926年の噴火による融雪型泥流の発生 1988/12/19~1989/3/5に21回の噴火 ②ハード面の対策 ■市街地に防災無線設置 屋外拡声器(パンザマスト)8基増設 → 25基・ 個別受信機増設3200台→ 全戸に設置 ■臨時ヘリポートの設置(屋外避難所) ■地区防災センター 2箇所建設 ■避難所の整備、避難用道路の整備・ 砂 防ダム等の設置 【内閣府資料より】 8 三浦綾子著「泥流地帯」 9 『泥流地帯』より1 「ドドーン」 「ドドーン」 大音響を山にこだましながら、見る間に山津 波は眼下に押し迫り、三人の姿を呑みこんだ。 拓一と耕作は呆然と突っ立った。丈余の泥流 が、釜の中の湯のように沸り、踊り、狂い、 山裾の木を根こそぎ抉る。 三浦綾子 泥流地帯より 10 『泥流地帯』より2 バリバリと音を立てて、木々が次々に濁流の 中に落ち込んでいく。樹皮も枝も剥がし取ら れた何百何千の木が、とんぼ帰りを打って上 から流されてくる。 と、瞬時に泥流は二丈三丈とせり上って山 間を埋め尽くす。家が流れる。馬が流れる。 鶏が流れる。人が浮き沈む。 三浦綾子 り 泥流地帯よ 11 1926年十勝岳噴火の融雪泥流による被災地と避難する住民 (多田文男東京帝国大学教授撮影(北大所蔵資料) ) 1926年十勝岳噴火の融雪泥流の被災にあった家屋 (上富良野町提供) 13 1926年十勝岳噴火の融雪泥流により折れ曲がった線路 (上富良野町提供) 14 1926年十勝岳噴火の融雪泥流の中から自転車を引き上げる住民 (上富良野町提供) 15 1 十勝岳の噴火災害について ~過去の噴火による被害 2 ひとりの命も失わない。 ~十勝岳噴火総合防災訓練 3 火山の恵みによる大地の形成 16 1988~89年十勝岳噴火 ■1983年頃~ 徐々に活動が活性化 ■1986年 防災計画の見直し ⇒ 緊急避難図(ハザードマップ) の作成 ※イラスト的なもの ■1987年 火山性微動 17 岡田弘氏北海道大学名誉教授(現環境防災研究機構理事)講演資料から ネバド・デル・ルイス山の災害における教訓が十勝岳で取り入れられた (勝井他、1989より) 勝井教授の的確な指導の下、世界初のイラスト版の全戸配布で活用を 勝井義雄 北大名誉教授 1986年 上富良野町 1987年 美瑛町 18 住民向けに作成したハザードマップ(初版) 19 現在のハザードマップ 2006(H18)3月作成 20 新たな噴火に備えて(88年噴火前) 作成した、ハザードマップを配布し、噴火時の避難の避難場所や 避難に必要な準備を住民が自ら行えるよう取り組みを行った。 その後、このハザードマップをもとに、地域別のマップを作成 88年の噴火の際に12月30日の避難解除(帰宅)の一因とな 避難解除のもう一つの要因に、緊急避難訓練を12月29日 危険地区の住民を対象に実施。 その訓練が、現在も続く、「十勝岳噴火総合防災訓練」の 基礎となっている。 21 新たな噴火に備えて(防災訓練) 十勝岳噴火総合防災訓練の沿革(抜粋) 1989~1994年 噴火時を想定した避難訓練を主と した防災訓練を実施 1995~ 美瑛町と合同開催 (十勝岳火山防災協議会 2001~ 上川総合振興局(当時上川支庁 現地合同本部会議の訓練 2015 20年ぶりに住民を対象とし 訓練を夜間に実施 22 十勝岳噴火総合防災訓練の目的 北海道(上川総合振興局)及び十勝岳火山防災 会議協議会(上富良野町・美瑛町)がそれぞれに 定める地域防災計画等に基づく災害対策を円滑に 進めるため、十勝岳噴火における火山泥流災害を 想定し、関係機関との情報伝達訓練、初動体制構 築訓練及び地域住民等の参加による避難訓練や救 助救出訓練、道路閉鎖・JR富良野線遮断訓練の 実地訓練からなる総合的な防災訓練を実施し、実 態に即した防災対策の構築を促し、関係機関の円 滑かつ迅速な応急対策の技術向上を期するととも に、地域住民の防災意識の普及と高揚を図ること。 23 2015年2月20日実施 防災訓練想定図 24 2015年2月20日実施 防災訓練想定図 25 2015年2月20日実施 防災訓練想定図 26 訓練の様子 2001年 災害対策本部訓練 2005年 避難所(運営)訓練 27 訓練の様子 2007年 救助救出訓練 (消防・警察・自衛隊合同) 2015年 夜間避難訓練 28 1 十勝岳の噴火災害について ~過去の噴火による被害 2 ひとりの命も失わない。 ~十勝岳噴火総合防災訓練 3 火山の恵みによる大地の形成 29 上空からの上富良野町 北海道大学名誉教授 岡田 弘氏撮影 大雪・十勝火山地域における火砕流堆積物 新しい 火砕流 十勝岳火山 (50万年前~現在) 1988-89年噴火・十勝岳火砕流 十勝岳グラウンド火口火砕流 (3000年前) 大雪火山 (100万年前~現在) 噴 出 年 代 旭岳火砕流 (6500年前) 御鉢平火砕流 (3万年前) 御鉢平カルデラ 大雪・十勝大規模火砕流堆積物 (250万年前~50万年前) 90万年 前) 十勝三股火砕流 (50万年前) 90万年前 十勝火砕流 (110万,130万年前) 古い 十勝三股カルデラ 十勝カルデラ 美瑛火砕流 (170万,210万年前) 美瑛カルデラ 雨月沢火砕流 (240万,270万年前) 雨月沢カルデラ 池田・向山(1983),Katsui et.al.(1990),石井ほか(2002)などを 埋もれた カルデラ 北海道教育大学旭川校 和 田 恵 治教授資料 十勝岳の火砕流堆積物による土壌層模型 北海道上川総合振興局資料 32 「北海道遺産」土の館 土の館 世界の各国のトラクターの博物館 33 「北海道遺産」土の館 100万年前の土壌層 が 展示されている。 上富良野町内の農地の地層 34 「北海道遺産」土の館 北海道安平町【旧早来町】 (樽前山の堆積物による地層) その他に北海道の8億年以上前の巨大な土壌層も展 35 ご清聴ありがとうございました。