...

丁 洛榮 研究室 - JAIST 北陸先端科学技術大学院大学

by user

on
Category: Documents
19

views

Report

Comments

Transcript

丁 洛榮 研究室 - JAIST 北陸先端科学技術大学院大学
北陸先端科学技術大学院大学 研究室レポート
Information
Science
情報科学研究科
丁 研究室
高度情報化空間に基づく
知 能 ロ ボ ット シ ス テ ム の 実 現
科学技術のフロンティアを拓く
北陸先端科学技術大学院大学
Japan Advanced Institute of Science and Technology,
Announcement of Researchers
北陸先端科学技術大学院大学
情報科学研究科
丁 研究室 ●
● ●
高度情報化空間に基づく
知能ロボットシステムの実現
人間や環境と協調するロボットとは―。
機械工学・情報工学・電気電子工学の学際を超えて
ロボット研究に取り組む研究者。
科学技術の夢、
ロボット
ロボットはいつの時代も人間の夢である。
日本では80年代に産業用ロボットが全盛
期を迎え、90年代には人間型ロボットの研
究が盛んになった。最近ではダンスを披露
する二足歩行ロボットや、ペット型ロボット
School of
などエンターテイメント性の高いロボットが
Information Science
話題をさらっている。情報科学研究科にも
Chong
Laboratory
者がいる。丁洛榮助教授である。
環境の中で
賢くなるロボット
丁研究室では現在、
「位置検出機能を有
これまでのロボット開発は、知能を入力し
するRFIDシステムによる環境認識」
「人
ておくことで初めから賢いロボットを作るこ
間型ロボットの行動生成のための模倣学
とに主眼を置いてきた。しかしこうした開
習フレームワークの開発」
「インフレータブ
発には問題点もある。たとえばロボットは、
ルアクチュエータを有するレスキューロボッ
内蔵カメラなどが捉えた映像とプログラミ
トの開発」
「自律移動ロボット群の環境変
ングされているモデルとをマッチングしてそ
化に適応した編隊制御」
「高齢者・障害
のモノが何かを認識している。そのため環
ロボット研究に明け暮れる毎日を送る研究
者用インテリジェント歩行支援機の開発」
「知
境が変わった場合には認識ができないの
識ベースネットワークを用いた3次元環境
である。
地図の構築」という6つのプロジェクトが走
丁助教授が提案するのは、
ロボットだけで
っている。すべてのテーマに共通するのは、
はなくロボットの周りの環境を知能化する
人間や環境と協調していくロボットを目指
ことである。具体的にはテレビやパソコン、
すこと。そしてロボットを、自動車や飛行機
家具や食器などの製品にICタグを埋め込む。
のような機械モデルとして捉えるのではなく、
ロボットはリーダーによって製品の情報を
生物として捉えることである。
読み出す。製品が“私はこういうもので、
こうして扱ってください”とロボットに話し
かけるようなものである。さらに研究室で
は指向性を持つアンテナを開発し、360℃
のスキャニングによりどの製品がどの位置
にあるのかをロボットが認識することを可
能にしている。
この場合ロボットは初めから賢いわけでなく、
環境に入ることでいろんな知識を増やして
成長するのである。これは人間の子どもが、
には構造的な相違点があるため、模倣した
研究者が中心となり、主にネットワークを介
親とのインタラクションによって成長してい
人間の動作をロボットの構造に合わせて
した遠隔操作ロボットやセンサネットワーク
くプロセスをロボットで実現するものである。
容易に変更できるシステムの開発を行い、
などに関する研究を推進している。
通常ロボットに現場で仕事をさせるために
さまざまな動作パターンで、
シミュレーション
ネットワークとロボットに関する学際、
そして
はこうした知識をすべて与えておく必要が
や実機での検証を行っている。
国境を超えた研究が、期待を集めている。
あるが、
このシステムでは、
ロボットは環境
と接触することでさまざまな仕事をこなすこ
2005年4月、丁助教授が共同委員長を務
とができるようになる。一人暮らしの老人
める『IEEE Robotics and Automation
や家庭の主婦でもロボットを手軽に使うこ
Society’s Technical Committee on
とが可能になるだろう。
Networked Robots(Networked Robots
人間の真似をするロボット
Conference on Robotics and Automation
平地を歩いている人間が坂道に差し掛か
においてThe Most Active Technical
ると、
もちろん斜面に合わせた歩き方ができる。
Committee Awardを受賞した。01年に結
技 術 委 員 会 )』が I n t e r n a t i o n a l
しかしロボットはプログラミングされていなけ
成されたNetworked Robots技術委員会
れば斜面に対応できない。人間は優れたセ
には、全世界の大学・研究所から約200人
ンサーを持って多様な周辺環境に適応し、
の研究者が参加。丁助教授を含む3人の
リズミカルな運動を生成しているのである。
丁助教授は、
こうしたシステムをロボットに
おいて実現するメカニズムの開発にも取り
組み、人間→ロボット(あるいはロボット→
ロボット)の模倣による運動獲得の研究を
行っている。子が親の動きの真似をするよ
うに、ロボットも人間の動きをカメラで捉え
て同じ行動をするのである。人間とロボット
開発中のミミズ型災害レスキューロボット
Research Interests
北陸先端科学技術大学院大学 情報科学研究科
助教授
丁 洛榮(チョン・ナクヨン)
Associate Professor Chong, Nak-Young
丁研究室
情報科学棟III TEL:0761-51-1248 FAX:0761-51-1149
http://www.jaist.ac.jp/robot/
E-mail [email protected]
主 な 研 究 テ ー マ
3)自律移動ロボット群の環境変化に適応した編隊制御
単体のロボットでは一般に実現困難な作業を、比較的低機能の複数台
のロボットの協調によって達成する場合、作業条件や環境の変化に伴い、
システムのソフトウェアは変えずにシステムのフォーメーションのみを様々
なパターンに再構成する機能を有することが求められる。本研究では、隊
列を形成して走行する自律移動ロボット群に障害物や狭隘領域などの
環境の変化を与え、
この変化に対応して隊列を最適なものに変形し、
こ
れら隊列の維持や切り替えを安定して行なう分散制御手法を開発する。
そのために、容易にロボット群の行動モデルを設計および検討できるシミ
ュレータによるフォーメーションの形成アルゴリズムを開発するとともに実
機ロボットによる評価実験を行っている。
4)
インフレータブルアクチュエータを有するレスキュー
ロボットの開発
インフレータブル構造物とは、膜面内にガスなどを充填することによって
膜面の張力を発生させ、形状を維持する構造物である。本研究では、収
納効率の向上と現状の機械システムをインフレータブル構造物に置換
することで、
システムの省スペース化によるロボットの多機能化を実現す
ることを目的とする。そこで、空気圧で動作を行う軽量で高出力の伸縮可
能なインフレータブルアクチュエータ兼フレームを製作し、高い剛性と柔
軟性を兼ね備えた災害レスキューロボットへの活用を目指した研究開発
の一環として、障害物乗り越え機構を有する移動ロボットとミミズ型ロボッ
トの開発を行っている。
5)知識ベースネットワークを用いた3次元環境地図の構築
通信ネットワークを介して遠隔地の移動ロボットを安全かつ効率的に操
作するためには、映像や音声を伴った遠隔地の情報を操作者に提示す
る必要がある。
しかし、
2次元カメラ映像から実世界の物体の位置を推定し、
3次元環境を正確に理解・認識することは困難である。そこで、
ステレオカ
メラとパンチルドポジショーナによる物体の認識と距離の推定を行うと同
時に、
ネットワークによる物体情報の収集を行い、操作者のディスプレイ
に物体の3次元モデルおよび物体の情報を表示させ、
カメラからの実画
像に加えて仮想3次元環境地図を作成する。その地図上でロボットの動
きをシミュレーションする機能を持たせることで、未知の環境においてロボ
ットを遠隔地からスムーズに操作する事を可能にしている。
6)高齢者・障害者用インテリジェント歩行支援機の開発
現在我が国では、高齢化の進行に伴って高齢者の人口が増加している。
同時に、少子化も一段と進んでいるため、高齢者の日常生活を補助する
ことが若い世代だけでは足りなくなるのが明らかとなりつつある。そこで、
高齢者自身の生活を補助するシステムや、高齢者を介護する人を補助す
るシステムなど福祉機器の開発が必要とされている。
より多くの高齢者と介護者を支援するためには、便利さだけではなく、安心・
安価な機器の開発が重要な問題となり、利用者の意思を理解しそれに応
じて利用者の動作を補助するパッシブなロボットが考えられる。本研究では、
高齢者および障害者の歩行を支援する、人間とロボットの相互作用に基
づく歩行支援機を開発する。利用者の歩行中の安全を確保するために、
常に上半身を支持しながら斜面に対して無理なく一定な姿勢を維持する機能、
椅子や便座からの立ち上がりを補助する機能、
ジョイスティックによる手軽
な操作と全方向への車輪の回転機能などを持たせたステムを開発している。
開発したシミュレータによる検証:
(左)多様なパターン形成(中)Leader-Follower
方式による自律移動(右)狭隘領域におけるパターンの再編成
Faculty Profile
北陸先端科学技術大学院大学 情報科学研究科
助教授
丁 洛榮(チョン・ナクヨン)
Associate Professor Chong, Nak-Young
<学位>
漢陽大学工学士(1987)、漢陽大学修士(1989)、漢陽大学博士(1994)
<職歴>
大宇重工業主任研究員(1994-1998)、通商産業省機械技術研究所客員研究員(1995-1996)、韓国科学技術研
究院ポスドクフェロー(1998)、漢陽大学主任研究員(1998-現在)、新エネルギー・産業技術総合開発機構研究員
(1998-2000)、製造科学技術センター研究員(2000)、科学技術庁フェロー(2001-2003)、産業技術総合研究所知
能システム研究部門主任研究員(併)(2003-)、北陸先端科学技術大学院大学情報科学研究科助教授 (2003-)
丁研究室
情報科学棟III TEL:0761-51-1248 FAX:0761-51-1149 http://www.jaist.ac.jp/robot/ E-mail [email protected]
専門
人間協調・共存型ロボット、遠隔操作ロボット、機械システムの知能化、知識ネット
ワークキングロボット制御
主な研究課題
人間型ロボット
人間の日常生活環境において、人間と協調して複雑な作業を行なうことが可能な、
高い安全性と信頼性を有する人間型ロボットの実現を目指す。
ヒューマンロボットインタラクション
人とロボットの間に、お互いを理解するために必要なインタラクションチャンネルを
開き、双方が情報を共有して協力し合うシステムを構築する。
遠隔操作ロボット
近年の情報通信技術の発達と一般への普及を背景として、誰でも時間・空間的
制約を超えて容易に操作が可能な、遠隔システムの実現を目指す。インターネット
を始めとする通信ネットワークに各種のロボットを接続し、遠隔操作することによって、
情報を伝達するのみならず、人手による作業、保守、医療、介護などの様々なサー
ビスを効率的に伝送することが可能なシステムを開発する。
知識ネットワーキングロボット制御
近年、
ロボットの活躍の場が家庭やオフィスなど一般環境に広がることへの関心
が高まっている。しかしロボット向けに環境整備のできる工場と違い、家庭のよう
な非整備環境での作業には様々な難しさがある。環境側にセンサ・アクチュエー
タや情報処理機能を分担させる情報インフラを構築することが考えられる。個々
の物体ごとに操作知識を分散蓄積しておき、作業実行時にそれを統合利用する
ことで物体に対する高度なハンドリングを可能とする知識分散型制御手法を用い
た自律移動ロボットを開発する。
主な著書・論文・講演発表
・A Distributed Knowledge Network for Real World Robot Applications,
N.Y. Chong, H. Hongu, K. Ohba, S. Hirai, K. Tanie, IEEE/RSJ Int. Conf.
on Intelligent Robots and Systems, 187-192, 2004/09/28
・Multioperator Teleoperation of Multirobot Systems with Time Delay:Part
I, II, N.Y.Chong et al., Presence:Teleoperators and Virtual Environments,
11(3), 277-303, MIT Press, 2002/06
国際貢献・国内貢献等
・大韓機械学会, 会員, 1989 - ・大韓電気学会, 会員, 1991 ・制御自動化システム工学会,会員,1994- ・アメリカ電気電子工学会,会員,1999 ・日本ロボット学会, 正会員, 2004 ・フランスパリ電気電子高等工学院,国際プログラム教授,1997/01/01- 1997/06/30
・アメリカノースウェスターン大学, 訪問研究員, 2001/11/26 - 2002/01/25
・韓国ロボティクス研究組合, 専門委員, 2002/01/01 ・富士通サイエンティフィック・システム研究会,ロボティクスWG まとめ役,2004/04/01・Marquis Who's Who, U.S.A., Who's Who in Science and Engineering
7th Edition , 2003 - 2004, 8th Edition, 2005 - 2006
・韓国人間機能生活支援知能ロボット技術開発事業団, 共同研究員, 2003/10/01・International Biographical Centre, Cambridge, England, International
Scientist of the Year for 2004, 2004/01/01 - , Leading Scientist of the
World 2005, 2005/01/01 ・IEEE ロボティクス・オートメーション学会ネットワークロボット技術委員会, 共同
委員長, 2004/06/10 共同研究等希望テーマ
・ロボット学習支援のための知識ベースの構築
主 な 研 究 テ ー マ
1)人間型ロボットの行動生成のための模倣学習
フレームワークの開発
セントラルパターンジェネレータによる生体のリズミカルな運動生成に関
する研究はロボットをより人間に近い形で制御するために盛んになってい
るが、神経系が有する非線形性や運動生成の難しさ、生体力学との不
確実性など多くの問題を抱えている。そこで、模倣による運動獲得を行い、
ロボットと人間若しくはロボット同士の構造的相違点を克服するために、
模倣した動作パターンをロボットの構造に合わせて容易に変更できる自
動調節アダプタの開発を行う。特に、
センサからのフィードバック入力に
連動する神経振動子の引き込み特性を非周期入力に対しても極めて高
めた新しいモデルを開発し、様々な動作パターンにおいて、
シミュレータお
よび実機のロボットによる検証を行っている。
模倣動作を行う為の自動調節アダプタの枠組み
2)位置検出機能を有するRFIDシステムによる環境認識
現在、
ロボット技術の発展と、
日進月歩で発展する情報通信技術との融
合により、人の生活環境において活動するロボットが実用化されつつある。
しかし、未知環境や状態変化の激しい実環境において、
ロボットが人間の
ように自律的に周辺環境を認識し、
それに適応することは、いまだに難問
として残っている。本研究では、RFID技術を用いた環境認識システムの
研究開発の一環として、強い指向性を持つループアンテナと信号強度デ
ィテクタ、信号処理ユニットを製作し、RFトランスポンダのIDと位置を特定
する実験を行っている。さらに、2個以上のアンテナを直角に配置した多
軸アンテナを開発し、移動するトランスポンダの方向についてアンテナを
回転することなく環境の変化を持続的に認識できるシステムの開発を行う。
多軸アンテナシステム
金沢駅
香林坊
金沢西I.C.
野町駅
日本海
富山湾
北
陸
自
動
車
西金沢駅
道
新西金沢駅
横川
有松
円光寺
・富山市
松任駅
・金沢市
野々市
白山市
●JAIST
・小松市
美川I.C.
北
JR
陸
本
線
倉光
上林
8号
道
国
川北町
辰口橋
三ツ口
手取川
四十万
北
陸
鉄
国
道
道
石
1
川
5
7
総
号
線 線
線
美川駅
新庄
寺井駅
川北大橋
鶴来駅
宮竹
倉重
天狗橋
●辰口丘陵公園
小松市
沖町
浮柳
小松駅
JR小松駅
小松空港
小
松
バ
イ
パ
ス
北陸先端科学技術大学院大学
軽海西
本学 鶴来駅間を
無料シャトルバスが運行
八幡
小松空港
JR金沢駅
上八里町
加
長田南
小松I.C.
賀
産
業
道
路
能美市
長崎
普通列車
(5分)
西金沢駅
新西金沢駅
北陸鉄道
鶴来駅
(20分)
(隣接)
連絡バス(無料)
(11分)
タクシー(25分)
連絡特急バス「のりば」はエアーターミナルビル前0番「加賀産業道路経由金沢工業大学ゆき」
(40分)¥750 ※本学で降車の際はあらかじめ乗務員にお知らせください。
〒923-1292 石川県能美市旭台1-1 TEL:0761-51-1111(代表)
http://www.jaist.ac.jp/index-jp.html
産学連携に関するお問い合せ
先端科学技術研究調査センター
TEL 0761-51-1070 FAX 0761-51-1944
E-mail [email protected] HPアドレス http://www.jaist.ac.jp/ricenter/index.html
学術協力課 連携推進室 産学連携係
TEL 0761-51-1906 FAX 0761-51-1919 E-mail [email protected]
丁研究室
TEL:0761-51-1248 FAX:0761-51-1149
http://www.jaist.ac.jp/robot/ E-mail [email protected]
Fly UP