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1/2 - JICA報告書PDF版
(2) 業務調整員報告 (1)移動・輸送 【往路 (成田 -(バンコク経由)- ラホ-ル)】 地震発生当日(10月8日)に派遣が決定されたが、救助チーム隊員49名全員の空席を確保 することが出来た。 出発・到着地 成田 フライト TG 671 バンコク バンコク 10/9 備 10:00 発 考 49 名全員及び資機材一式 10/9 14:30 着 TG 505 ラホ-ル 10/9 20:00 発 同上 10/9 23:20 着 ・パキスタンでの移動(ラホ-ル-チャクララ間)に係る車両手配、陸路での資機材搬送等につ いて、在パキスタン日本国大使館及び JICA パキスタン事務所の支援を受けた。 ・乗り継ぎの際の荷物の積み下ろし、個数確認について、隊員の方々の協力を頂き、紛失する荷 物もなく、全てラホ-ルまで全量を同時携行することができた。 ・空港よりパキスタン軍チャクララ空軍基地までの移動については、JICA パキスタン事務所の手 配したトラックによって行った。 【復路 (イスラマバード - カラチ -(バンコク経由)- 成田) 出発・到着地 イスラマバ-ド フライト PK309 カラチ カラチ 10/16 TG508 バンコク バンコク 成田 10/16 10/17 10/17 JL704 備 19:00 発 49 名全員及び資機材一式 20:55 着 02:55 発 同上 09:45 着 10/17 22:45 10/18 考 同上 06:45 着 ・フライトの手配やチェックインについて在パキスタン日本大使館及び JICA パキスタン事務所 の支援を得た。 (2)機材管理 ・救助資機材については活動サイトにて保管した。 ・携行した機材のうち、十字テント、消耗品を中心とした活用が可能と思われるものについては、 バタグラムで活動中の医療チ-ムに引き渡した。 (3) 活動環境整備 ・活動地の選定 パキスタン軍の振り分けにより首都イスラマバ-ドより北方 200km のバタグラム郡バタグ ラムを中心に倒壊した病院並びに周辺村落での捜索・救助活動を行うことを決定した。 29 ・活動本部の設置 倒壊を免れたゲストハウスに活動本部を設置した。本部では活動中、団長、副団長、業務 調整員が集合し、活動進捗・今後の活動についてのミ-ティングを行った。 同本部では発電機により自家発電を行い、活動記録作成用のパソコンを設置したほか、プリ ンタ-、通信用のインマルサット、無線機等も設置した。日中は、警察庁の通信技官、業務調 整員を中心に適宜 JICA 国際緊急援助隊事務局、その他関係機関と連絡をとった。 (4)生活環境整備 ・宿舎 活動サイト到着後すぐに倒壊した病院の捜索活動を実施し、現場からすぐの位置にある本部 にて交代で休憩した。 ゲストハウスは、隊員 49 名全員を収容しうるスペ-スがなかった上、地震により壁、柱等 に亀裂が入っていたことから付近の敷地内に大型テントを設置し野営することとなった。エア -マット、シュラフ、毛布にて休息をとり、テント周辺は軍による警備措置がとられ治安上の 不安はなかったものの、断水により入浴の機会は皆無であり、洗顔・トイレもままならず、さ らに停電のため発電機を昼夜使用したが、その騒音、排気ガス等の影響もあり宿泊環境は劣悪 であった。 ・食事 活動地域付近のレストラン、売店は閉鎖されており食糧の調達は困難であったため、連日、 日本から携行したアルファ米等のインスタント食品、カロリ-メイト、缶詰などの食糧で隊員 の食事を賄った。 また極めて乾燥した気候と粉塵のため、水分補給は欠かせなかったが、断水状態であり、付 近にあった川も飲料に不適であったため、持参したミネラルウォ-タ-を節制しつつ飲んで凌 いだ。 (5)報告・記録・広報活動 警察庁所属の通信隊員及び業務調整員により、現地ではインマルサットを十分に活用するこ とができ、本邦外務本省、JICA国際緊急援助隊事務局、広報課及び現地日本大使館に電話 及びメ-ル送信を通じた活動の報告を行った。特に、メ-ル通信により正確な情報が伝えられ、 大きな効果が見られた。 活動期間中の日本及び海外のメディアからの取材に関しては、団長が代表してインタビュ- に応じた。 30 パキスタンにおける地震災害に対する 国際緊急援助隊救助チーム 災害概要 派遣概要 JICA国際緊急援助隊事務局 1 1.災害の発生状況1/2 z 発生:2005年10月8日8:50AM(現地時間) (日本時間:同日12:50PM) z 規模:マグニチュード7.6 z 震源:首都イスラマバードの北北西105km 2 31 1.災害の発生状況2/2 震源地 3 2.被害状況(パキスタン) z z z z z z z 10月9日時点(OCHA Sit.Rep.4より) 死者(推定) 18,000~30,000人 被災者 450万人 10月26日時点(OCHA Flash Appealより) 死者 50,000人以上 負傷者 74,000人 被災者 400万~500万人 4 32 3.チーム構成 z 本部 z団長1 団長1(外務省) z副団長4 副団長4 (消防・警察・海保・JICA ) (消防・警察・海保・JICA) z通信2 通信2(警察) z医療班4 医療班4 (医師2 (医師2・看護師2 ・看護師2) z業務調整員2 業務調整員2(JICA) JICA) z 中隊長1 中隊長1(消防) z 伝令1 伝令1(消防) z 1小隊 総員49名 z小隊長1 小隊長1(消防) z隊員11 (消防3 3・警察4 隊員11(消防 ・警察4・海保4 ・海保4) z 2小隊 z小隊長1 小隊長1(警察) z隊員10 (消防3 3・警察3 隊員10(消防 ・警察3・海保4 ・海保4) z 3小隊 z小隊長1 小隊長1(海保) 5 z隊員10 (消防3 3・警察4 隊員10(消防 ・警察4・海保3 ・海保3) 4.発災から被災国到着まで1/2 発災 10月8日 12:50 (以下日本時間) 派遣 10月8日 要請 16:45 成田 10月9日 成田 出発 10:00 ~現地到着 被災国 10月10日 16時間40分 到着 2:40 z 要請 ~現地到着 33時間55分 発災 ~現地到着 37時間50分 成田~パキスタン:民間定期便を利用(以下現地時間) z成田10/9 10:00 → バンコク10/9 14:30 zバンコク10/9 20:00 → ラホール10/9 22:40 33 6 4.発災から被災国到着まで2/2 (過去の派遣との比較) トルコ地震 (1999年) アルジェリア地震 (2003年) モロッコ地震 (2004年) パキスタン地震 (2005年) 成田出発~ 派遣要請~ 被災国到着 被災国到着 22時間30分 不明 発災~ 被災国到着 35時間24分 20時間05分 27時間50分 38時間37分 19時間45分 32時間10分 54時間13分 16時間40分 33時間55分 37時間50分 7 z 「被災国到着」とは、チームが被災国の国際空港に到着した時点。 5.被災国内での移動 人員の動き 資機材の動き 10月 ラホール到着 10月9日 23: 23:20 10日 ラホール出発(車輌) ↓ 10日10日 10日 00: 00:30 01: ↓ ラホール出発(車輌) 01:00 06: チャクララ基地到着 ↓ 06:22 10: ↓ 10:15 チャクララ出発(ヘリ・第1 チャクララ出発(ヘリ・第1便) 10: ↓ チャクララ基地到着 10:40 11: ↓ 11:05 チャクララ出発(ヘリ・第2 チャクララ出発(ヘリ・第2便) 11: バタグラム到着 ↓ 11:50 16: バタグラム到着(ヘリ2 16:30 バタグラム到着(ヘリ2機) 18: バタグラム到着(ヘリ2 18:00 バタグラム到着(ヘリ2機) 人員は発災から51時間後に被災地到着 (資機材は個人ザックのみ) 資機材(個人携行品除く)は 人員より6時間以上遅れ到着 34 8 6.携行資機材 z 成田からの携行(約5トン・梱包数約200ケ) z救助機材(小隊用機材3セット) z救助機材(中隊用機材1セット) z本部・生活用資機材(テント・シュラフ他) z食糧 z医療班用資機材 z個人用ザック zコンピューター・衛星電話等 z 現地調達 z食糧・ミネラルウォーター・ガソリン・毛布他 9 7.活動サイト1/2 活動サイト: バタグラム ムザファラバード マンセヘラ アボタバード イスラマバード 10 35 7.活動サイト2/2 z z z 救助チーム活動地点③ 救助チーム活動地点③ ゴルゲラ 10/13 少女2 少女2名の救出活 動を行う(同日死亡確認) z z z z z z z z z 救助チーム(49 名) 救助チーム(49名) 10/10ベースキャンプ設置 10/10ベースキャンプ設置 バタグラム県 救助チーム活動地点② 救助チーム活動地点② バターモーリー 10/12 少女1 少女1名の救出活動 を行う(同日死亡確認) 救助チーム活動地点① 救助チーム活動地点① 10/10,11 ベースキャンプ付近の郡中 央病院の建物倒壊地点を 捜索 11 8.活動日程 z 派遣期間:2005年10月9日~18日(10日間) 10/9 10/10 10/11 10/12 10/13 10/14 10/15 10/16 10/17 10/18 成田出発。ラホール到着。首都へ陸路移 動。 チャクララ空軍基地からヘリにてバタグラ ム移動。活動開始。 捜索救助活動。 捜索救助活動。 捜索救助活動。 撤収。首都へ陸路移動。 関係機関への報告。 首都からカラチへ移動(空路) 。 カラチ出発。バンコクにてトランジット。 成田到着。 12 36 9.他国救助チームの動き z z z z z z z z 英国(SARAID) 英国(Rapid他) 中国 ロシア 日本 ドイツ(THW) ドイツ(ISAR) シンガポール z 9日5:50 9日午後 9日16:00 9日23:00 9日23:20 10日06:22 10日07:30 10日13:00 11日16:00 イスラマバード到着 イスラマバード到着 イスラマバード到着 イスラマバード到着 ラホール到着、 イスラマバード到着 イスラマバード到着 イスラマバード到着 イスラマバード到着 到着時間がVirtual OSOCCで判明している チームのみ記した。 37 (3) 医療班報告(意見) (1)医療班隊員 ・福島 憲治(埼玉医科大学総合医療センター:医師) ・杉田 学 ・妹尾 正子(国立病院機構災害医療センター:看護師) ・軽部 裕子(国立病院機構災害医療センター:看護師) (順天堂大学附属練馬病院:医師) (2)全般的な意見 早い招集であったが現地活動開始にはやはり時間がかかった。 今後、現地への早期到着に向けてチャータ-機等の現実化の検討が必要。 (3)招集について 人選/招集/集合はスムーズに行えたが、パキスタン側のシステムによりビザ発行が必要で あった点、今回は時間制約があった。 (4)機材について 現地活動時医療物品の不足を感じたことはなかった。 破傷風トキソイドの cold chain の維持が困難であった。 (5)現地活動について 救助チームとの連携はスムーズに行えた。 サイトの衛生面(トイレ、手洗い場等)も問題点はあったものの、確保出来た。 診察疾患は感冒、急性胃腸炎、手指の挫創等があった。 帰国時の移動の際に隊員内で急性胃腸炎の訴えが増えた。 (6)ストレス対策について 前回の津波災害の様なまとまった惨事ストレス対策は行っていない。 改善点:惨事ストレス対策プロトコール作成 (7)医療チームとの関係について 現地にて医療チームサイトが近く、活動の協力が可能か? (8)救助犬について 今回、救助犬帯同は無かった。 38 8.救助チーム活動総括 (1) All Japan による集中的な僻地支援 多くの海外からの救援チームが震源に極めて近い大都市のムザファラバードに集中する中、 救助チーム、医療チーム、更に自衛隊部隊が辺境地の中都市バタグラムで活動を展開した。 このような活動に対してパキスタン側及び UNOCHA などから高い評価を得た。 (2) 医療チームの機能拡充の成果の発現 2003 年 12 月に発生したイラン地震を契機に検討を進めてきた医療チームの機能の拡充の 具体化の成果として超音波診断装置、生化学分析器とレントゲンが導入され、提供できる医 療レベルが格段に向上した。 (3) 自衛隊との現場レベルでの臨機応変な連携 自衛隊部隊の現場での判断で、医療チームと NPO の HuMA の人員と機材の輸送が実施される など、自衛隊との連携の新しい方向性が見出せた。 (4) 今後の迅速性のより一層の確保 今回の救助チームの派遣は民間定期便での派遣であったが、より一層の迅速な派遣を念頭 に航空会社との協議を行い今後のチャーター便の利用の可能性について検討を進めた結果、 一部の航空会社から将来において協力が得られる可能性を明らかにすることができた。 39 9.帰国時のパキスタン政府への報告概要 日 時 2005 年 10 月 15 日(土)15 時 30 分から 場 所 パキスタン政府内閣府緊急援助局 局長室 対応者 緊急援助局 Syed Yasin Ahmed 次官補(Additional Secretary) 当 方 救助チーム 難波充典団長、小林正憲、下仲宏卓、花井宏泰、大野龍男各副団長 日本大使館 小林書記官 難波団長から、活動概要について、以下のように報告を行った。 まず、10日にイスラマバードに到着し、軍の協力により、円滑にバトグラムに到着することが 出来たことについて感謝申し上げたい。今回は、バトグラムの街中を含むバトグラム郡の中でもっ とも被害の大きかった3箇所の村で捜索活動を行った。最終的には、数名の救助者を発見したが、 残念ながらいずれも死亡を確認することとなった。 今回の教訓として3つあげたい。 1点目は、イスラマバードでの情報収集、農村での情報収集などを含む、正確な情報の必要であ る。人により異なる情報をいかに精査するかということが大変だった。 2点目は、われわれの技術や機材が都市部の捜索活動を想定したものであったことから、今回の 活動場所である農村部は、想定と異なったことから捜索活動を行う上での困難性を感じた。 3点目は、建物の構造によって、生存者の有無に大きな影響があったということである。都市部 では大規模なコンクリート構造物のため、生存するための空間が生じることがあるが、農村部の建 物は泥と土ででできていることから、全体的に崩れてしまい、生存可能な空間がなかった。 最後に、今回の活動をつうじ、現地において軍からも、現地の人々からも大変な感謝の言葉を受 けた。残念ながら死亡が確認された救助者の家族からも感謝の意を表明しに家族がサイトまで来て くれた。 また、当国の医療チームが引き続きバトグラムで活動を展開中である。 これに対し、Syed Yashin Ahmed 特別秘書官から以下のような発言があった。 日本に対しては大変感謝している。生存者の救出こそなし得なかったが、日本のプレゼンスが重 要であり、パキスタン国民は日本の協力に大いに勇気づけられた。これまでも日本からは母子病院 協力のような数々の協力を得ているが、このような災害時での協力は右協力にも増して大いに感謝 したい。 また、今回の滞在中、災害時でもあり、田舎でもあり、開発途上でもあり、パキスタンでの滞在 にいろいろと不便なことがあったと思われるが、その点についてはご理解いただきたい。 40 国際緊急援助隊 医療チーム 報告 1 次隊 2005 年 10 月 10 日~10 月 23 日 2 次隊 2005 年 10 月 19 日~11 月 2 日 41 1. 国際緊急援助隊 医療チーム 隊員名簿 氏名 所属先 指導科目 医療チーム1次隊 (派遣期間:2005.10.10~2005.10.23) 全21名 1 甲斐 達朗 大阪府立千里救命救急センター 所長 団長(救急医療) 2 花澤 光樹 外務省アジア大洋州局南西アジア課 副団長(業務調整) 3 原田 勝成 JICA国際緊急援助隊事務局オペレーションチーム 副団長(業務調整) 4 堀内 義仁 独立行政法人国立病院機構災害医療センター皮膚科 救急医療 5 李 権二 東京大学医科学研究先端医療研究センター感染分野(院生) 救急医療 6 梶本 心太郎 関西医科大学付属病院救命センター 救急医療 7 谷 暢子 大阪府立千里救命救急センター チーフナース(救急看護) 8 大草 由美子 独立行政法人国立病院機構災害医療センター 救急看護 9 杉山 清美 大野医院 救急看護 10 土井 正彦 国立国際医療センター国際医療協力局派遣協力第二課 救急看護 11 中井 隆陽 - 救急看護 12 工藤 ちひろ - 救急看護 13 高岡 誠子 川口市立医療センター 救急看護 14 渡邉 暁洋 日本医科大学付属病院薬剤部 薬剤管理 15 黒羽 秀明 野村病院 リハビリ室 医療調整 16 三宅 正浩 松阪地区広域消防組合消防本部松阪消防署救急係 医療調整 17 榮 眞利子 大阪救霊会館 医療調整 18 横川 太 JICA国際緊急援助隊事務局オペレーションチーム 業務調整 19 大友 仁 ※ JICA国際緊急援助隊事務局オペレーションチーム 業務調整 20 櫨川 岳男 社団法人青年海外協力協会 業務調整 21 原 浩治 社団法人青年海外協力協会 業務調整 ※ 引き続き2次隊に合流 医療チーム2次隊 (第1陣)(派遣期間:2005.10.19~2005.11.2) 全21名(うち1名は1次隊より継続) 1 長谷川 泰三 大阪府立千里救命救急センター 2 林 栄治 国立大学法人東京医科歯科大学国際環境寄生虫病学教室 3 山本 真弓 救急医療 - 救急医療 救急看護 4 村上 勉 大阪府立千里救命救急センター 検査室 医療調整 5 沖田 陽介 JICA国際緊急援助隊事務局オペレーションチーム 業務調整 (第2陣)(派遣期間:2005.10.20~2005.11.2) 6 井上 潤一 独立行政法人国立病院機構災害医療センター救命救急センター第二外科 団長(救急医療) 7 坂本 篤 外務省経済協力局政策課 副団長(業務調整) 8 大岐 真生子 自治医科大学付属大宮医療センター 救急医療 9 畑 倫明 奈良県立医科大学高度救命救急センター 救急医療 特定医療法人生長会府中病院 チーフナース(救急看護) 10 山田 英子 11 井上 貴子 - 救急看護 12 中西 眞紀 財団法人筑波メディカルセンター病院看護部 救急看護 13 松尾 福美 福岡県済生会八幡総合病院看護部 救急看護 14 山本 裕梨子 兵庫県災害医療センターICU 救急看護 15 後藤 えり子 国立大学法人東北大学医学部付属病院看護部 救急看護 16 瀬戸 弘和 市立伊東市民病院薬剤室 薬剤管理 17 渡部 歩 松阪地区広域消防組合消防本部松阪消防署 医療調整 18 三村 清美 自営業 医療調整 19 石山 竜也 社団法人青年海外協力協会 業務調整 (派遣期間:2005.10.21~2005.11.2) 20 藤本 幸宏 国立国際医療センター放射線診療部 医療調整 (派遣期間:2005.10.10~2005.11.2) * 1次隊からの延長 21 大友 仁 JICA国際緊急援助隊事務局オペレーションチーム 42 副団長(業務調整) 2. 医療チーム1次隊 活動日程 月日 活 動 泊 10月10日 結団式 11:00 成田発(TG641) 15:30 バンコク着 月 20:00 バンコク発(TG505) 22:40 ラホール着 23:30 ラホール発(陸路) 10月11日 05:30 イスラマバード着 08:50 第1陣イスラマバード発(パキスタン軍ヘリ) →09:40 第1陣バタグラム着 火 14:00 第2陣バタグラム着 17:15 第3陣バタグラム着 (いずれもパキスタン軍ヘリによる) バタグラム 10月12日 水 医療活動 バタグラム 10月13日 木 医療活動 バタグラム 10月14日 金 医療活動 バタグラム 10月15日 土 医療活動 バタグラム 10月16日 日 医療活動 バタグラム 10月17日 月 医療活動 バタグラム 10月18日 火 医療活動 バタグラム 10月19日 水 医療活動 バタグラム 10月20日 木 10月21日 10月22日 10月23日 医療活動 PM 医療チーム2次隊への引継ぎ 07:00 バタグラム発(陸路) 13:30 イスラマバード着 金 19:00 イスラマバード発(PK309) 21:00 カラチ着 23:30 カラチ発(CX270) 06:30 バンコク着 土 23:00 バンコク発(JL704) →06:30 成田着 日 解団式 43 (車中) バタグラム 機内 機内 医療チーム2次隊 活動日程 活 動 月 日 2次隊第1陣 2次隊第2陣 2次隊第3陣 (6名 うち1名は1次隊より継続滞在) 10月19日 10月20日 水 11:00 成田発(JL717) 15:30 バンコク着 20:00 バンコク発(CX703) 23:00 カラチ着 05:00 カラチ発(PK362) 06:55 イスラマバード着 木 09:30 イスラマバード発(自衛隊ヘリ) 10:30 バタグラム着 PM 1次隊との引継ぎ 10月21日 金 医療活動 (活動地:バタグラム) 10月22日 土 医療活動 10月23日 日 医療活動 10月24日 月 医療活動 10月25日 火 医療活動 10月26日 水 医療活動 10月27日 木 医療活動 10月28日 金 医療活動 10月29日 土 医療活動 10月30日 日 医療活動、機材等引渡し式 10月31日 08:00 バタグラム発(陸路) 月 16:00 イスラマバード着 現地日本大使館への報告会 11月1日 火 11月2日 06:15 バンコク着 08:20 バンコク発(JL708) 水 16:05 成田着(JL708) 解団式 (14名) 11:00 成田発(JL717) 15:30 バンコク着 17:30 バンコク発(TG507) 20:30 カラチ着 (1名) 07:00 カラチ発(PK381) 08:55 イスラマバード着 10:00 イスラマバード発(陸路) 16:00 バタグラム着 14:00 成田発(PK853) 21:05 イスラマバード着 09:30 イスラマバード発(自衛隊ヘリ) 10:30 バタグラム着 災害援助庁・首相府への活動報告 20:00イスラマバード発(PK381) 20:50ラホール着 23:50ラホール発 44 3.医療チーム 団 構成 長: 甲斐達朗 (医師・千里救命救急センター) メディカル・コーディネーター 1次隊 全21名 副団長:原田勝成(JICA) 副団長:花澤光樹(外務省) 医療班 ロジ班 医 師:3名 堀内義仁(災害医療センター) 李 権二(先端医療研究センター) 梶本心太郎(関西医大) ロジ要員:4名 横川 太(JICA) 大友 仁(JICA) 櫨川岳男(JOCA) 原 浩治(JOCA) 看護師:7名 谷暢子(千里救命救急センター) * チーフ・ナース 大草由美子(災害医療センター) 杉山清美(大野病院) 土井正彦(国際医療センター) 中井隆陽 工藤ちひろ 高岡誠子(川口市医療センター) 薬剤師:1名 渡辺暁洋(日医大附属病院) 医療調整員:3名 黒羽秀明(野村病院) 三宅正浩(松阪地区広域消防) 榮眞利子(大阪救霊会館) 団 長: 井上潤一 (医師・災害医療センター) メディカル・コーディネーター 2次隊 全21名 副団長:大友 仁(JICA) 副団長:坂本 篤(外務省) 医療班 ロジ班 医 師:4名 長谷川泰三(千里救命救急センター) 林 栄治 (東京医科歯科大学) 大岐真生子(大宮医療センター) 畑 倫明 (奈良県立医科大学) ロジ要員:2名 沖田陽介(JICA) 石山竜也(JOCA) 看護師:7名 山田英子(生長会府中病院) * チーフ・ナース 山本真弓 井上貴子 中西眞紀(筑波メディカルセンター) 松尾福美(八幡総合病院) 山本裕梨子(兵庫県災害医療センター) 後藤えり子(東北大学医学部附属病院) 薬剤師:1名 瀬戸弘和(市立伊東市民病院) 医療調整員:4名 村上 勉(千里救命救急センター) 渡部 歩(松阪地区広域消防) 三村清美(大阪救霊会館) 藤本幸宏(国立国際医療センター) 45 46 感染症用 回復室 ← 居住テントサイト 医療廃棄 物・ごみ 焼却場 回復室 点滴室 S N 倉庫 内科・ 小児科 薬剤等倉庫 皮 膚 科 ↑ 診 療 エ リ ア ↑ ↑ → 窓口 外 科 薬局 (エアーテント) 発電機 患者の流れ ← 十字テント2 基接合 → 待合室 (男) (再トリアージ) ← カーテン仕切り 待合室 (女子) → 倉庫 予備 受 付 受付待機(イス) カーテン仕切り ← トリアージ 受付待機(イス) ※ 夜間には地域コー ディネーション会議開催場 として使用 トリアージ前 患者待機用 患者待機用 バタグラム小学校校庭 4.医療チーム診療サイトマップ(テント配置マップ/最終形) (国際緊急援助隊医療チーム Base of Operation ) 病院テントサイト Save the Children 診察待機 トリアージ・ポスト 車輌 駐車 病院テントサイト UNICEF 他 Save the Children 5. 医療チーム 活動概要・特記事項 震源に近く被害の甚大なムザファラバードに海外からの救援・救助機関が集中する中、わが国 国際緊急援助隊は、救助、医療両チームともに、被災国以外の緊急援助が未だ到達し得ていない 僻地である北部辺境州バタグラム地区に、最初の海外援助チームとして入地するとともに、次の 効果的な活動結果と全員の無事帰国をもって本ミッションの成功が得られたものと評価できる。 1.厳しい環境下での活動 活動地バタグラムは海抜約 1500 メートルの山岳高地で、昼間が気温 30 度を越え夜間は 5 度程 度に冷え込み、1 日の外気寒暖差が 25 度にも達する中、活動当初は水・電気といった基本ライフ ラインの供給が全て停止しており、活動の基盤となる生活環境が極限に劣悪な状態であった。水 の欠乏状況は医療チームの全活動を通じて改善されず、飲料水はもとより衛生が保たれた日常の 生活用水が欠乏する困窮下で、国際緊急援助隊始まって以来、初めての全行程野営(テント生活) という厳しい条件下でのオペレーションとなった。 2.地域医療体制整備に貢献 医療チームは、パキスタン国側の災害援助対応責任者となるパキスタン軍、政府医療関係機関 とともに、日本チームに引き続いて援助活動を始めた他国チームや国際機関、内外 NGO とも連携し、 地域の支援機関・団体を集めた地域コーディネーション会議を開催して情報交換・活動調整の場と するなど地域体制の整備に大きく貢献した。地域が被災急性期の初期医療対応の段階を脱し、日を 追うごとに整備が進む地域医療体制に対して牽引的な貢献が出来たものと考える。 3.新たなチャレンジ 災害医療の亜急性期に至る医療チーム2次隊の活動においては、これも医療チームとして初め ての携行となった簡易レントゲン撮影機、超音波診断装置、生化学検査分析器といった高度医療機 器を有効に活用し、被災者に対するより充実した診療活動を行うとともに、地域の他の医療機関と 連携した活用により、当チーム活動のみならず広く地域医療の充実に貢献することが出来た。 また、1 次隊、2次隊を通じ、パキスタン軍、政府や本邦自衛隊部隊との連携の下に、医薬品輸 送・調達や患者移送、近郊にまだ残る医療未踏の困窮地への巡回診療・医療環境調査も試みること が出来た。 4.ニーズに応えた活動成果 活動結果として総計2,242名の診療実績を得て、この未曾有の自然災害に対し、災害応急期 に必要とされる緊急医療援助を効果的に行えたものと考える。 5.切れ目のない支援の実現 さらには当医療チームの活動終了に際し、今後、被災地の復旧・復興期に向けた新たな医療ニー ズに対応し得るよう、パキスタン軍、政府機関とも協議のうえ携行した医薬品・機器、活動資機 材の一部を現地に提供するとともに、日本の NPO 団体「HuMA(災害人道医療支援会)」に医療テン ト等の資機材及び活動サイトを含めた医療支援活動を引き継ぎ、切れ目のない支援が継続される 47 点に留意した。 6.高いプレゼンスを獲得 こうした当医療チームの活動は、現地の広域紙にも大きく報道掲載されており、本邦報道機関 も含めた地元や他のジャーナリストからの取材を幾度か受けている。また、廃棄物清掃、焼却処 理等の活動地における当チームの自律的な衛生活動も地域の諸機関から大きく評価されており、 僻地で活動する日本チームの地道で確実な援助活動が高く評価されたものと理解する。 加えて、活動終了におけるパキスタン政府に対する活動報告に際しては、パ政府機関・軍関係 者からも深い感謝の言葉を受けており、国内及び被災国、他国に対するプレゼンスも高められた ものと思料される。 7.チーム・オペレーションの成果 最後に、劣悪な生活環境化での活動にもかかわらず、隊員の健康面において大きな問題が生じる ことなく、1 次、2 次両チームともに円滑な人間関係下で効果的な活動が出来たことを振り返り、 逆境がチームの結束を強め、強固なチームビルディングが実現したものと思料する。 48 6. 医療チーム 団長総括(概要骨子) 一次隊団長:大阪府立千里救命救急センター 甲斐 達朗 二次隊団長:国立病院機構災害医療センター 井上 潤一 1.オペレーションの特徴 (1)バタグラム地区に外国支援部隊としては一番乗りとなった。 (2)完全野営型の任務となった。 (3)パキスタン政府(軍)との密な協力関係により 2.活動成果 (1)バタグラムで中心的な医療施設として活動を行った。 (2)急性期の重症外傷患者から慢性期の疾患まで現地19日間の診療で総計 2,242 名の治療を行った。 (4)バタグラム地区の医療活動調整会議(コーディネーション・ミーティング)に立上げ時より参加した。 (5)検査室機能の有用性を再確認した。 (6)X 線撮影・エコー検査の有用性を確認できた。 3.2次隊派遣要請に際しての判断ポイント (1)外傷処置の継続の必要性があった。 (2)小児下痢患者、ARI の増加傾向が見られた。 (3)バタグラム地区としての検査施設の必要性が認められた。 (4)日本チームの代替になる医療チームがいなかった。 4.国際緊急援助隊医療チームとしての今後の課題 (1)野戦病院構想(手術室・病棟)の検討 (2)検査室の常設 (3)X 線検査・エコー検査の常備 49 活動報告書(第1次隊第1報) 7. パキスタン国地震災害国際緊急援助隊医療チーム(第 1 次隊) クロノロジー 10月10日(月) 09:30 成田空港にて結団式 11:00 成田発(TG641) 15:20 バンコク着 チーム内打ち合わせ 20:00 バンコク発(TG505) 22:40 ラホール着 入国審査、携行機材(225 個口・約4t)受領、税関を通過し、荷車に積載 24:25 ラホール空港発、マイクロバスでチャクララ空軍基地に向かう。 10月11日(火) 05:30 チャクララ空軍基地着 救助チームが前日入りしたバタグラム郡での活動を軍の責任者より要望を受ける。 08:50 空軍基地発(第 1 陣~最終 16:30 第 3 陣) ヘリ 3 機に順次分乗して活動地域に向かう。 09:40 バタグラム着 ヘリポートより救助チームの活動ベースに移動。 10:30 活動予定地の小学校視察 11:30 仮設野戦病院視察 12:45 チームミーティング 13:30 野営用テント設営 14:40 携行機材を掲載したヘリの第二陣が到着 機材の搬入 17:20 携行機材を掲載したヘリの第三陣が到着 機材の搬入、横川調整員、救助チームの市原調整員も同乗・到着 19:15 チームミーティング 19:30 各グルーグで作業および打ち合わせ 報告書作成、連絡業務 50 本日の活動内容 成田出発からバンコクでトランジットし、ラホールに到着後、225 個約4tの携行機材をピックアップした後、 首都近郊の空軍基地へ向けて直ちに移動した。 空軍基地到着後、簡単な朝食を取りこの空軍基地で現地情勢、活動地協議等で6時間程度の待機後、 前日より救助チームが活動しているバトグラムに向けて軍ヘリコプターで3陣に分けて基地を離陸した。 当地(バトグラム)到着後、救助チームより地域事情の簡単なブリーフィングを受け、救助チームベースの 近辺を視察およびアセスメントを行い、宿泊地をバトグラム小学校に確保(余震被災を避け、中庭に隊員用 テントを設営)し、診療サイトも同学校校舎に隣接する校庭兼グランドに確保した。 なお、カシミール危険地域に隣接し、山岳地域でもある当地でのセキュリティー確保のため、軍当局が日 本チーム宿営及び活動地区を重点的に警備する。 ヘリで輸送した携行機材(十字テントを除く)も、隊員全員で力をあわせて宿舎に搬入完了した。 診療サイト決定の経緯 当地バトグラムでの医療活動については、当地での医療ニーズがあるかどうかを救助チームにも確認した が明確ではなかった。 チャクララ空軍基地で活動サイト選定の際、最大の被災地であるムザファラバードに調査チームの派遣、 保健省への情報収集を検討したが、災害対応を仕切っている軍司令官より、日本の医療チームに対して医 療の手が届いていない地域が多い当地での活動を強く要請された。 当地では、医療ニーズについても、市内のみならず被害が比較的甚大であった近郊の村落にもまったく 医療の手が差し伸べられていない箇所が点在している。 軍が患者の搬入、搬送に協力するということで、ヘリの出発時刻も差し迫ったこともあり、最終的にチーム の当地への移動を決定した。 当地の診療状況 当地区の中心的な病院も地震の被害を受けており、入院患者や地震による負傷者はこの病院の直下にテン ト設置されている臨時診療所で手当を受けている。この診療所は約40人程の患者で混雑していた。 当 JDR の医療チームの活動サイトは、被害を受けた当地中央病院の背後にあり、臨時の診療所へも徒歩 3分程度の近距離にあることから相互に連携・協力していくことが確認された。また、この診療所で手に負え ない患者も当チームへ搬送したい意向ももっていることがうかがえた。当地近郊の比較的大都市の Mansera, 及び Abbottabad の病院が機能しているので、当チームの後方病院としての活用を考えているところである。 51 隊員の健康状況 ○ 成田からラホールへの移動、空港着直後のマイクロバスによる約 6 時間の移動と長旅の疲れが残る中、 断水と衛生面で生活用水が利用できず、シャワーもとれない劣悪な環境下での活動になったが、全員 健康である。 ○ テント生活で、日没後の冷え込みが大変厳しく、配布した寝袋では寝むれない隊員が多かった。特に、 地面からの冷え込みがきついため、各自寝袋を2枚ずつ配布して対策を取ることとした。 ○ チャクララからの最終3陣ヘリ輸送を担当する当チーム業務調整員の横川と救助チーム業務調整員の 市原がイスラマバード市内で食糧及び生活用品買出しを行い、飲料用水ミネラルウォーター500 リットル を確保し、ヘリ輸送を行ったため、携行機材の飲料水と共に当面の水は確保している。 翌日以降の活動予定 明日は 6 時起床。 業務調整員は食事準備。 朝食後、診療所の設営を行い、午後から診療開始予定である。 病院サイドおよび対応責任者である当地軍司令官より、周辺村落への巡回診療(モバイル・クリニック)の 要請も受けていることから、当診療所は 2 診療体制とし、1~2 名の医師による巡回診療(アセスメントを含む) も並行して実施する予定である。 エピソード 当地における軍の協力がチームにとって非常に心強く、感謝している。特に、ヘリの当地到着後、臨時ヘ リポートとなった畑の中から、総重量約4tの携行荷物を 200m 離れたトラックに運んでくれ、また、積み込み、 積み降ろし、宿舎への搬入とこころよくサポートしてくれ、隊員の体力温存に大きく貢献し、深く感謝している ところである。(これに加え本チームのために、軍は、警備、輸送協力も実施している。) 当地中心部では、道沿いに商店が一部機能しており、一部ではあるが、たまねぎ、若干の肉類、ジャガイ モ、バナナ、りんごなどの食料は入手可能である。 52 活動報告書(第1次隊第2報) パキスタン国地震災害国際緊急援助隊医療チーム(第 1 次隊) クロノロジー 10月12日(水) 06:00 起床、朝食用意 07:15 チームミーティング:本日の活動についての確認 07:25 診療所セッティング開始 (メインの十字テントが未着のため、リビングシェルターで2診セットアップ) 10:20 ヘリによるモバイル診療のため、団長、堀内両医師、大草看護師がヘリポートへ移動 10:30 午後からの診療開始予定であったが、患者が搬送されて着たので急遽対応。 診療開始(午前中で約30名の患者へ対応。) ~適宜昼食~ 13:30 アルファー米他 一旦診療を打ち切り、午後 2 時半より再開 モバイル班に同行した甲斐団長が診療サイトへ戻る 14:00 午後の診療開始 14:30 通訳 5 名がイスラマバードより診療サイトに到着。 15:00 受付終了 16:30 診療終了(午後の患者数 18 名) 17:00 モバイル班、診療サイトに帰着 18:00 チームミーティング 18:15 各グルーグで作業および打ち合わせ 18:30 診療データ入力 20:30 十字テントがイスラマバードより到着、全員で搬入。セッティングは明日 21:30 軍手配の夕食が届く 22:00 報告書作成、連絡業務 53 本日の活動内容 <診療サイト> 午前中セットアップ、午後診療予定でスタートしたが、患者が増え始めたため、予定を大幅に繰り上げ、10 時半より診療を開始した。当初は、重症患者が押し寄せ一時的に混乱状態になり、午前中までは混雑した。 一旦、受付を打ち切り、昼食を摂った後は落ち着いた状況下での診療活動を展開した。当初、通訳がいな いため、警備している軍の人々へ受付等の通訳を依頼し活動を行ったが、午後の後半に通訳が加わり、より スムースに診療活動を展開できた。 <モバイル班> 軍用ヘリで近郊の Arai 地区に派遣されたが、診療サイトは川原であった。着陸前から群集が群がり、既に 負傷者も約 60 人ほどが診療サイトに運びこまれている状況であった。一人ひとり診療できる状況にはなく、重 症患者と軽症患者を選別するトリアージを実施し、約 40 人をへりで Manshera その他の都市へ搬送した。 群集が殺到し、セキュリティに問題が感じられたため、今後の参加は慎重に行うこととする。 隊員の健康状況 比較的スムースに診療を開始することができ、待機状態の長時間化によるストレスの発生もなく、全員健康。 ただ、手足をやっと洗える程度の水しかないため、シャワーのとれる市内ゲストハウスを調査中であるが、む ずかそうである。 翌日以降の活動予定 6 時起床、業務開始。各自朝食後、終日診療開始である。 周辺村落への巡回診療も要請も受けていることから、医療チームの診療所は 2 診療体制とし、1~2 名の 医師による巡回診療(アセスメントを含む)も並行して実施する予定。 なお、谷川外務副大臣が明朝7時ごろに当診療サイトを訪問予定のため、団長、副団長を中心に対応する。 54 特記事項 <通訳・車輌の手配> 通訳: 花園副団長(外務省)の在パ経験のつながりから、イスラマバードより 5 名の通訳を確保し、本日午 後3時ころ診療サイトに到着した。なお、地元でも2~3名の通訳を雇い上げる予定であるが、質に よっては断念する可能性もあり得る。調達等の手伝いにも使用可能かなどをも考慮する予定。 車両: JICA 事務所の手配した車両 3 台が本日午前中に到着した。(ランクル 2 台、ハイエース 1 台) <生活環境整備> ※ 生活用水が十分でないため、節水を始めとした工夫や生活上の不便さを認容する必要がある ○ 飲料水用として、追加で500ℓ、現地 JICA 事務所に送付依頼した。 ○ 本日夕食より、現地料理人(パ軍)の食事手配が可能になり、スタッフへの負担軽減になる予定。 → 大幅に時間が送れ、20:30 頃配給があったため、一部の隊員のみ利用した。 ○ 洗濯をしてくれるクリーナー(パ軍)も手配できた。 ○ シャワーの取れる場所の調査を引続き実施する予定である。 ○ 今朝の最低気温は、14度 C であり(体感温度はもっと低く感じる)、シュラフの2枚重ねでも夜中寒い という隊員が多かったため、携行品の毛布を女性隊員中心に限定配布した。不足分の入手は別途検 討する。 エピソード ○ 医療チーム始まって以来、初めて、エコー(超音波診断装置)による診断を実施した。 ○ 当地中心部では、道沿いに商店が一部機能しており、一部ではあるが、たまねぎ、若干の肉類、ジャガ イモ、バナナ、りんごなどの食料は入手可能である。 ○ 花沢副団長の交渉で、本日夕刻より軍からの食事手配(昼食・夕食、適宜個人精算)が可能になった。 残念ながら、本日分は各自夕食終了後に搬送されたため、一部の隊員のみ摂取した。 (その他) ○地震発生後 4 日経過したが余震は続いている。1~2 秒の短時間のものがほとんどである。 55 活動報告書(第1次隊第3報) パキスタン国地震災害国際緊急援助隊医療チーム(第 1 次隊) クロノロジー 10月13日(木) 06:00 起床 06:45 診療サイトで再セッティング リビングシェルター用テントで2診立てていたが、昨夜搬入された医療チームのシン ボル的な十字テントを全員で立ち上げる。 07:10 谷川外務副大臣が診療所を視察 (甲斐団長、花澤副団長がアテンド) 08:00 受付・診療開始 10:15 パキスタン NGO から、JDR 医療チーム診療所と同じ校庭で24床規模の診療所を開 設したい旨の要望あり。相互に協力、調整しながら活動することを確認し、了解する。 13:10 14:00頃 午前の受付終了 (受付を打ち切り、交代で食事、診療は継続) 被害を受け、現在テントでの医療活動中の病院で収容できなくなった余剰患者用の 病床を医療チームが活動中の小学校の中庭の残りの場所にセッティング始めた。 14:00 午後の受付開始 16:00 受付終了 17:00 診療終了 18:15 チームミーティング 18:30 各グルーグで作業および打ち合わせ 診療データ入力 報告書作成、連絡業務 56 本日の活動内容 診療患者数: 114名(内7,8割が外傷) 患者の傾向: 外傷患者が多い、妊婦も数人受診、ストレス障害も少しおり、今後増えてくるものと思われる。 リファー患者数:4名(昨日は 7 名) 診療サイト: 診療 2 日目ながら活動は順調に展開した。8 時診療受付を開始したが、当初、来所する患 者が少なく、スロー気味で、10 時ころにピークとなった。(通常は開始前に列をなして待ってい るケースが多いが、今回のように朝の受診待ち患者が少ない原因はわからないが、ラマダン によるものなのか不明で今後様子をみることとした)3診体制で実施したが、甲斐団長も加わ り、時折 4 診で実施した。 モバイル診療: 本日は実施せず。 午前、ラホールからの NGO が、校庭の半分を使って24クリニックを展開するとのことで、機材を降ろしてい たが、当医療チームの場所より車で5分くらいのところに Government Hospital を立ち上げる予定という情報 を得て、そこで活動するとのことで、1時間後くらいで撤収移動した。 午後になって、被害を受け、現在テントでの医療活動中の病院で収容できなくなった余剰患者用の病床 を医療チームが活動中の小学校庭の残りの場所にセッティング始めた。 当地域の医療事情 現在当地で活動中の医療施設は、マイナーサージェリーはできるが手術設備を有するところはなく、JDR 医療チームのレベルを超えるものは存在していないが、本日エストニアの医療チームが当地での活動場所 を調査のため来所した。 エストニア医療チームはフィールドホスピタルを設定する予定であり、手術機能を持つ可能性もあるとのこと。 隊員の健康状況 日中は陽射しもきつく乾燥しているため、脱水症状にならないように、努めて水分補給するよう全員に周知 している。朝夕の冷え込みによるかぜへの罹患が心配であるが、今のところ、かぜをひいている隊員はいない。 起床時間が早いせいもあるが、業務の無い隊員は早めに就寝しており、睡眠は充分とれているようである。 生活環境は厳しいが隊員は全員健康である。 翌日以降の活動予定 6 時起床。朝食後、終日診療開始である。 周辺村落へのモバイル(巡回)診療も軍が要請していることから、医療チームの診療所は2診療体制とし、 具体の要請があれば、1~2 名の医師によるモバイル診療(アセスメントを含む)も実施する予定である。 <車両の手配> JICA 事務所の手配した車両4台が医療チーム用に確保されている。 (ランクルタイプ2台、ピックアップ 1 台、ハイエース 1 台) 57 特記事項 <生活環境整備> ※ 生活用の水も依然十分でないため、節水を始めとした工夫や生活上の不便さを認容する必要がある ○ 飲料水用として、追加で JICA 事務所が 500ℓ 手配送付し、本日受領した。車両で約1時間強の MANSEHRA での調達が可能となった。 ○ 作日夕食より、軍からの食事手配(昼食・夕食)が可能になり、本日昼・夕食は適当な時間(13:00、 19:00)に配送された。 ○ 軍による洗濯のサービス受けられるとのアナウンスがあり、希望者分(シャツ、ズボンのみ)をまとめた が、結局ピックアップされなかった。 ○ 依然電気は通じておらず、携行の発電機を起動して対応している。 日中日向では、30℃以上に気温は上昇するが、朝夕は気温の低下が著しく、夜中も寒いという隊員 が多いので、毛布を近郊の都市部で調達する予定である。 <その他> マスコミ取材: 昨日に取材を受けた報道機関名は以下のとおり。 12日:BBC World Urdu & Daily Mashriq 両社兼任特派員 エピソード 隊員が日本から持参した風船を診察にきた子供にプレゼントしたが好評であった。 58 活動報告書(第1次隊第4報) パキスタン国地震災害国際緊急援助隊医療チーム(第 1 次隊) クロノロジー 10月14日(金) 06:00 起床 07:30 診療サイトで再セッティング ・ 救助チームが使用していたもう一つの十字テントを譲り受け、医療チームの十字 テントと結合した十字テント 2 基による診療所ができあがった。 ・ セットアップに救助隊員の協力を得て、短時間での作業で終了した。十字テント 2基連結による診療所の開設は医療チーム初めてである。 08:30 受付・診療開始 診療サイト横に Save the Children, UNICEF, WHO のテントが 2 基セッティングされ た。(午後にもテント設営が続けられ、合計4個の大きなテント群が立ち上がった。 11:45 午前の受付終了 (受付を打ち切り、交代で食事、診療は継続) 14:00 午後の受付開始 15:15 受付終了 17:00 診療終了 18:10 急患の幼児が来所。重篤な状態のためリファーした。 (大友隊員、通訳同行) 19:00 コーディネーション・ミーティング(Save the Children 病院テント内) ~地域内医療関係者、災害対応の責任機関である軍とのミーティング(団長参加) (夕食) 診療データ入力 20:50 チームミーティング 21:00 各グルーグで作業および打ち合わせ 報告書作成、連絡業務 本日の活動内容 診療患者数: 104名(内科61名、40 名が外科)、婦人・小児は 40 名前後で下痢症、肺炎が増えている。 患者の傾向: 外傷患者が多い、妊婦も数人受診、ストレス障害も少しおり、今後増えてくるものと思われる。 リファー患者数:1名 診療サイト: 診療3日目となり、活動は順調に展開した。10 時頃にピークとなった。(通常は開始前に列 をなして待っているケースが多いが、今回のように朝の受診待ち患者が少ない原因はわから ず、ラマダンの影響によるものなのか不明で今後様子をみることとした。なお、イスラムでは、 金曜は午後が休みとなっている。) 本日3診体制で実施したが、甲斐団長も加わり、時折 4 診で実施した。 モバイル班: 本日は実施せず。 59 当地の医療事情 ・ 当地では、いくつかのチームが、似たようなレベルの活動を展開しており、調整役が不在であったが、 やっと Medical Service(郡保健局)が管理・調整をすることが決定した。各団体は、この保健局に(JDR 救助 チームのベース跡に HO を立ち上げる予定)登録し、各チームを把握していくとのこと。 ・ これは、本日初めて実施されたコーディネーション・ミーティーングで明らかになった。本会合には、軍、郡 保健局、WHO、Save the Children USA、エストニア、日本(甲斐団長)が参加して行われ、WHO は伝染病 の報告フォームを早急に作成するので各団体より提出するように要請があった。 ・ 被災した中央病院の代替のテントによる診療所への受診患者は 760 名とのこと、リファー患者は 20 名。 隊員の健康状況 全隊員は食欲旺盛で、生活環境は厳しいが隊員は全員健康である。 翌日以降の活動予定 6 時起床。朝食後、終日診療予定である。 医療チームの診療所は基本的には3診療体制+1診とし、要請があれば、1~2 名の医師によるモバイル 診療(アセスメントを含む)も実施する予定である。 <資材や食料の調達> 当地で調達したもの: ガソリン、エンジンオイル、バナナ、りんご、塩、粉ミルク、点火用マッチ等。 MANSEHRA(車で約 100 分)と ABBODAD(車で約 140 分)から: ORS、かき、ぶどう、パン、ジャム、ろうそく、 飲料水など 60 特記事項 <生活環境整備> ※ 生活用の水も十分でないため、節水を始めとした工夫や生活上の不便さを認容する必要がある ○ 飲料水用としては、チーム活動期間中の量として確保できた。 ○ 軍の協力による食事手配(昼食・夕食)を受けている。内容は、各種カレー。 ○ 軍による洗濯サービスで、ようやくピックアップしてくれた。但し、戻ってくるかは非常に疑問とのこと。 ○ 本日、近所で空き地の貯水塔から水道水が溢れているところがあり、携行した貯水タンクをピックアッ プの荷台に据付、取水した、夕刻、診療終了後、一部隊員が、屋外でこのタンク貯蔵水で頭髪、顔 面、手足を洗うことができた、この貯水タンクを医療チームが実際に使用したのは初めてである。 ○ 日中の日向では、30℃前後に気温は上昇し、陽光は刺すように厳しいが、朝夕は気温の低下が著し く、夜中も寒いという隊員が多いので、毛布を各自に配布した。シュラフ 2 枚重ね+毛布という耐寒で 寒い夜を今後しのいでいくことになる。 ○ 依然、本チームの生活・活動エリアに電気供給はなし。 <その他> ○ 診療時間中に宿営テントの一番角の位置にある通訳用のテントが盗難にあった。全体を見渡せる位 置に常時最低一人は配置していたが、ちょうど死角になる位置のテントの後部から侵入し、リュックを 盗まれたが、現場を発見され、回収された。犯人と思われる少年は軍が警察に引き渡した。午後 4 時 前後の犯行と思われるが、ちょうどこの時間帯に警備の軍がさらに北部へ移動予定で交代となる前 で、軍兵が一人もいない時間帯でもあった。幸い、貴重品は盗まれていなかった。改めて、軍に警備 の強化を依頼し、夜間の照明灯も救助チームから2基譲り受け、今夜から倍の4基とし、昼夜を問わず 警戒を強化する予定である。 ○マスコミ取材: 取材を受けた報道機関名は以下のとおり。 ・ 東京新聞バンコク支局員 ○ その他の訪問者 ・ 昨日日赤和歌山医療センターの薮本医師が調査のため来所。 ICRC の病院は被害が甚大であったムシャファリバドに立ち上げる予定との情報を同医師より入手した。 ○ 余震;昨晩はかなり余震が多かったが、中にはかなり大きなものもあった。 エピソード 多くの地元 NGO が様々な差し入れに来た(薬品、飲料水など) 61 活動報告書(第1次隊第5報) パキスタン国地震災害国際緊急援助隊医療チーム(第 1 次隊) クロノロジー 10月15日(土) 06:00 起床 08:30 受付開始(雨のためあまり患者が訪れず)。 09:15 最初の患者受付 11:45 午前の受付終了 (受付を打ち切り、交代で食事、診療は継続) 14:00 午後の受付開始 16:00 受付終了 17:00 診療終了 19:00 コーディネーション・ミーティング(当チーム十字テントで開催) (団長、両副団長参加、3医師、横川調整員もオブザーバー参加) 診療データ入力 20:50 コーディネーション ミーティング終了 21:10 チームミーティング ミーティング後、各グルーグで作業および打ち合わせ 報告書作成、連絡業務 本日の活動内容 診療患者数: 50名(新患 34 名(内科 22 名+外科 11 名)+再診 16 名、) 患者の傾向: 新患の外傷患者が3割程度となったがこれ以上外傷患者が、減ることはなく、3 割くらいで推 移するものと推定される。 これからは、霜のおりる季節となり、外で寝泊りしている被災民が肺炎にかかる患者の増加が 容易に予想され、放置すると死亡する可能性も高い。 リファー患者数: 7名 診療サイト: 早朝からの雷雨、その後の大雨で来診者の訪問が大幅減を心配したが、そのとおりに受診患 者数は少なかった。診療活動は順調に展開した。 モバイル班: 本日は実施せず。 62 当地域の医療事情 本日実施された第2回目のコーディネーション・ミーティーングが JDR 医療チームの十字テント内で実施さ れ、今後も当チームのテント内で毎日夜7時に実施することが確認された。コーディネーション・ミーティング が JDR 医療チームテントで実施されるようになったのは、JDR とエストニアチームの呼びかけにより実現したも のであり、さらに、当地で活動する医療チームの中で一番しっかりしていると評価された結果と思われる。本 日の会合には、軍、郡保健局、WHO、Save the Children USA、エストニア、日本(甲斐団長 他)の他、パキ スタンの NGO 団体も参加して行われた。 本来の調整役である Medical Service(郡保健局)は、現時点では調整能力をほとんど発揮していない。 わが国の目下の関心は、(1)2台しかない救急車をどのように使って患者を搬送するか、(2)患者のトリ アージを一箇所で行い、各団体の間で患者がたらいまわしにされるのをいかに避けるかの2点であるが、過 去2回のコーディネーション・ミーティングでは、この点議題にはなるものの、各自が自己の勝手な都合を述 べるのみで、事態に進展がない。保健局に限らず、WHO も調整機能を果たしておらず、かろうじて軍が個々 の要求に可能な範囲で応じている状態である。 議事進行の調整役が不在で、結論的なものは出ずに継続審議になったもの(医薬品の管理体制、救急車 の不足、トイレの問題など)がほとんどであるが、以下の報告があった。 -仮設診療病院で活動中の団体は9グループ(ほとんどが 2~3 名体制のリビングシェルター規模)で本 日の患者数は 863 名(昨日より約 100 増)、エストニアは 6 人の手術を実施 -被災した中央病院の代替のテントによる診療所への受診患者は 760 名とのこと。リファー患者は 20 名。 隊員の健康状況 全隊員は食欲旺盛で、生活環境は厳しいが隊員は全員健康。 翌日以降の活動予定 6 時起床。各自朝食後、終日診療。 医療チームの診療所は基本的には3診療体制とし、要請があれば、1~2 名の医師によるモバイル診療 (アセスメントを含む)も実施する予定。シフトによる隊員・通訳の休養も取り入れていく。 63 特記事項 <生活環境整備> 本日、昼過ぎに電気が当小学校に復旧(しかし断続的に停電するため、併せて発電機も稼動)、明日 水道も復旧予定で生活環境は一部改善されてきているが、朝夜の冷え込みがかなり厳しいものがある。 シュラフ 2 枚重ね+毛布という耐寒でなんとか寒い夜をしのいでいる。 軍に出した洗濯物は、やはり戻らず。 <その他> ○マスコミ取材: 当地は災害地の北部偏狭地にあり、マスコミのアプローチも難しいものと思われる。 ○ 余震: 毎日余震が続いている。 <2 次隊の派遣要請> 2 次隊の派遣については、次の主な事由により1次隊のチームとして要請したい。 ○ 今後、降雪の時期になり、路上生活者とくに幼児の肺炎の罹患は死に至る可能性が高いことと下痢患者 の患者数の増加もみこまれるためケアーが必要なこと。 ○ 多くのグループが当地域で活動しているが、JDR 医療リームの活動は中心的なものであること。 ○ 引続き経過措置を必要とする重症外科患者が多数存在、医療チーム引き上げで悪化、元のように化膿 する ○ 医療検査室、X 線による撮影など、地域医療に対する大きな更なる貢献が可能なこと エピソード 特に目立ったものなし 64 活動報告書(第1次隊第6報) パキスタン国地震災害国際緊急援助隊医療チーム(第 1 次隊) クロノロジー 10月16日(日) 06:00 起床 08:30 受付開始 09:15 最初の患者受付 10:15 イスラマバードから通訳3名到着、早速業務開始 11:30 午前の受付終了 (受付を打ち切り、交代で食事、診療は継続) 14:00 午後の受付開始 15:15 受付終了 17:00 診療終了 19:00 コーディネーション・ミーティング(甲斐団長参加) 診療データ入力 20:50 チームミーティング 21:40 各グルーグで作業および打ち合わせ 報告書作成、連絡業務 本日の活動内容 診療患者数: 119名(新患 96; 34 外科+62 内科、 再診 23; 13 外科+10 内科) 患者の傾向: 昨日大雨により来院できなかった患者が多かったためか、午前中に既に90名前後の患者 が来院した。下痢症、肺炎が増えている。 リファー患者数: 1名 診療サイト: モバイル班: 診療5日目となり、活動は順調に展開した。当初より3診体制で実施した。 本日は実施せず。 65 当地の医療事情 <2 次隊の派遣要請> 本日の医療関係者によるコーディネーション・ミーティングで当チームの活動期間の終了予定を告知した ところ、対策本部として機能している軍より活動の継続を強く要請され、全参加者の総意として当医療チーム の継続を要請された。当チームは任期があることをのべたところ、次のチーム派遣を強く要請された。同ミー ティングで感染症の下痢症状の患者が急増しており、急遽、感染病棟を明日より新設することとなったが感 染症を診断する検査室が存在しておらため、医療チームがこの機能を果たすことは大きな貢献につながると 思われた。 ○ その他の本日の報告事項および議題は以下のとおり。 - 本日の仮設病院での患者数: 1400 名(昨日より約 7 割増) - 下痢症患者が急増していること。(昨日の天候の影響大) - 疥癬の患者が増えていること。 - 明日は僻村へのモバイル診療を実施する(3チームの予定、日本チームがやるかどうか未定)。 - 本日の会合参加者;約 40 名(仏赤十字が新たに参加) 参加総数が増えたため、今後は分科会として会合開催していく予定。 隊員の健康状況 全隊員は食欲旺盛で、生活環境は厳しいなか、隊員は全員健康 翌日以降の活動予定 6 時起床。朝食後、終日診療予定である。 医療チームの診療所は基本的には3診療体制とし、要請があれば、1名の医師によるモバイル診療(アセ スメントを含む)も実施する予定である。 甲斐団長は、当地からの搬送先となっているマンセラ、アボッタバードの病院を視察予定。アボッタバード では、日本チームが独自の手段で患者を搬送した場合に受け入れ可能かどうかも詰める予定。 特記事項 (生活環境整備) ○ 裏山に貯水タンクがあることが判明し、軍が昨日より日本チーム宿営地の側を通って下方にある病院 に送水を開始した。我々も軍の協力を得て、30mのホースを宿営地内にある貯水槽に接続した。水質 は濁っているが、水浴、トイレ等の目的ならば十分使用可能。但し、蛇口からの水勢は極端に弱い。 ○ 飲料水用としては、別途十分な量が確保(ミネラルウォーター)されている。 ○ 引き続き、軍の協力による食事手配(昼食・夕食)。 ○ 軍の洗濯サービスはアナウンスされているが、第1回目に出した洗濯物がまったく戻らず、利用なし。 ○ 昼夜の寒暖の差が激しい。特に昨日のように日中ずっと雨が降ると、夜の冷え込みが厳しく(付近の 山は既に降雪)、体調管理に十分気をつける必要がある。 (その他) 66 ○ 盗難事件以降、軍の24時間警備のほかに国境警備隊(FC)の配置も行われており、セキュリティーに 問題はない。 ○ マスコミ取材: 取材を受けた報道機関名は以下のとおり。 15日:AFP 通信東京支局(写真取材、時事通信に提供する由) 16日:読売新聞東京本社 ○ その他の訪問者:パキスタン政府関係者(単なる視察) ○ 余震: 小規模な余震が続いている。 エピソード 赤十字フランスチームがトイレをかりたいと申し出あったので、携行トイレの使用方法を説明し、提供した。 67 活動報告書(第1次隊第7報) パキスタン国地震災害国際緊急援助隊医療チーム(第 1 次隊) クロノロジー 10月17日(月) 06:00 起床 07:45 マンシェラ、アボッサバードへの調査班出発 (甲斐団長、花園副団長他3名+国境警備隊員 1 名) 08:30 受付開始、診療開始 11:30 午前の受付終了 13:00 午前の診療終了 13:10 交通事故の救急患者来所(梶谷医師対応) 14:00 午後の受付開始 16:00 受付終了 17:30 診療終了 19:00 コーディネーション・ミーティング(原田副団長、堀内医師他参加) 診療データ入力 21:00 チームミーティング 21:40 各グルーグで作業および打ち合わせ 報告書作成、連絡業務 本日の活動内容 診療患者数: 153名(新患 123; 77 外科+46 内科、再診 30; 23 外科+7 内科) 患者の傾向: 僻村からの新規の患者が依然多かった。交通事故者が 4 人運び込まれたが、内3人はリ ファーした。軽い下痢や5歳以下の小児が多かった。 リファー患者数: 3名 診療サイト: モバイル班: 診療7日目となり、活動は順調に展開した。当初より3診体制で実施した。 本日は実施せず。 68 当地の医療事情 本日のコーディネーションミーティングについて主な報告事項は以下のとおり。本ミーティングはまだ、調 整段階になく、それぞれの報告に収支している感がある。 ○ 本日の当地区の患者数は 1,627 名(JDR を除く)昨日より15%増。 明日から全体を取りまとめるので、夕刻5時までの報告を要請された。 ○ 11グループが活動中。 ○ 僻村へのモバイルチームは4チームで5ヶ村を訪問。1,560 人の患者を診断した。 ○ 本日、トイレを5ヶ所設置した。明日、さらに5ヶ所設置予定。 ○ Combined Military Hospital をヘリポートの近くに設置した。(医師 5 名) ○ WHO は麻疹ワクチン接種キャンペーンを開始する予定。対象は6ヶ月~15 才まで (当地保健局は9ヶ月~との方針) ○ 夜間当直医体制をドナーを含めて実施したいとの意向が示されたが、チームより医者の数に相当の格 差があることから見送られた。 ○ エストニアは今週の金曜日に引き上げ、本日当地入りした MSF の引き継ぐ予定とのこと。 ○ 本日会合に新たに参加したのは MSF, ACTION France。ACTION France は、昨日当地入りし、 Water & Sanitation および食料配布を行う予定とのこと。現在、4 名で Assessment 中である。 ○ 当地内に輸血可能な血液センターを立ち上げたいとの意向。 ○ 僻村の患者に疥癬、ARI 患者が特に多いとの報告があった。 明日も夜 7 時から実施する。 隊員の健康状況 全隊員は食欲旺盛で、生活環境は厳しいが隊員は全員健康 翌日以降の活動予定 6 時起床。朝食後、終日診療予定である。 医療チームの診療所は基本的には3診療体制とし、要請があれば、1名の医師によるモバイル診療(アセ スメントを含む)も実施する予定である。 69 特記事項 <生活環境整備> ○ 特設のホースによって水槽と連結されたため、生活用水が確保された。 ○ 飲料水用としては、別途十分な量が確保されている。 ○ 引き続き、軍の協力による食事手配(昼食・夕食)、洗濯サービスが可能。 ○ 昼夜の寒暖の差が激しい。体調管理に十分気をつける必要がある。 <その他> ○ 軍の24時間警備のほかに国境警備隊(FC)の配置も行われており、セキュリティーに問題はない。 ○ マスコミ取材: 取材を受けた報道機関名は以下のとおり。 現地新聞;European Press Photos Agency(イスラマバード) ○ 余震: 小規模な余震が続いている。 エピソード 交通事故の患者が4人も運び込まれてきた。 70 活動報告書(第1次隊第8報) パキスタン国地震災害国際緊急援助隊医療チーム(第 1 次隊) クロノロジー 10月18日(火) 06:00 起床 08:30 受付開始、診療開始 11:30 午前の受付終了 12:50 午前の診療終了 14:00 午後の受付開始 16:00 受付終了 17:30 診療終了 19:00 コーディネーション・ミーティング(甲斐団長、花澤副団長他参加) 診療データ入力 20:40 チームミーティング 21:10 各グルーグで作業および打ち合わせ 報告書作成、連絡業務 本日の活動内容 診療患者数: 患者の傾向: 178名(新患 146; 62外科+84内科、再診 32) 子供の患者が増えている。これは、テント生活などの屋外の生活が起因していると思われ る。ストレス性の患者が潜在的に相当数にのぼると思われるが統計として少ないが、これは精 神的な訴えの患者は入口で対象外としためと考えられる。 リファー患者数: 0名 診療サイト: モバイル班: 診療8日目となり、活動は順調に展開した。当初より3診体制で実施した。 本日は実施せず。 71 当地域の医療事情 本日のコーディネーションミーティングについて主な報告事項は以下のとおり。本ミーティングはまだ、調 整段階になく、それぞれの報告に収支している感がある。 ○ 本日の当地区の患者数は約 1,500 名(結果報告のない団体を除く)。リファー4 名、死亡 1 名。 明日から全体を取りまとめるので、夕刻5時までの診療結果報告を要請された。 ○ 現在11グループが活動中。 ○ 僻村へのモバイルチームはが Shanbrai 村に入ったが壊滅状態であった。まだ、医療の手がとどいていな いところがあり、明日も継続するとのこと。 ○ Navy Hospital も診療所を市内から6km のところに設置した。 ○ 麻疹ワクチンを摂取した児童は本日89名。 ○ 新たにマレイシア、International Relief(USA)のチームが参加した。 ○ 日本側より、2 次隊の派遣および X 線、簡単な Lab 機能を持たせる旨の発言を行い、賞賛された。 ○ エストニアサイトに滅菌器があるので明日使い方の講習を実施する。また、あわせて、トイレ設置の図面 をフランスの NGO が提示するので、意見を集約したいとのこと。 明日も夜 7 時から当チーム十字テント内でミーティングを実施する。 隊員の健康状況 全隊員は食欲旺盛で、生活環境は厳しいが隊員は全員健康 翌日以降の活動予定 6 時起床。朝食後、終日診療予定である。 医療チームの診療所は基本的には3診療体制とし、要請があれば、1名の医師による巡回診療(アセスメ ントを含む)も実施する予定である。 72 特記事項 <生活環境整備> ○ 特設のホースによって水槽と連結されたため、生活用水が確保された。 ○ 飲料水用としては、別途十分な量が確保されている。 ○ 引き続き、軍の協力による食事手配(昼食・夕食) ○ 軍洗濯サービスに出した洗濯物が返却された。きれいに処理されているが紛失されたものも多い。 引き続き利用する者はなし。 ○ 昼夜の寒暖の差が激しい。体調管理に十分気をつける必要がある。 <その他> ○ 軍の24時間警備のほかに国境警備隊(FC)の配置も行われており、セキュリティーに問題はない。 <マスコミ取材>: 取材を受けた報道機関は特になし <来訪者> ○ 元首相のチョードリー・シュジャート・フセインと与党 PML 幹事長ムシャーヒド・フセイン両氏が診療所 を訪問。 ○ 久留米の NGO(聖マリア病院)医師・看護士3名が当地を訪れ、宿舎(空きテント)を提供した。 (その他) ○余震: 小規模な余震が続いている。 エピソード MSF(フランス)がテントを貸して欲しいとの要望があったので 2 基を提供した。 73 活動報告書(第1次隊第9報) パキスタン国地震災害国際緊急援助隊医療チーム(第 1 次隊) クロノロジー 10月19日(水) 06:00 起床 08:30 受付開始、診療開始 11:30 午前の受付終了 12:50 午前の診療終了 (一部、急患対応) 14:00 午後の受付開始 16:00 受付終了 16:30 診療終了 19:00 コーディネーションミーティング(甲斐団長、花澤副団長他参加) 診療データ入力 21:20 チームミーティング 21:40 各グルーグで作業および打ち合わせ 22:00 外務省緊急事態機材到着、荷卸 報告書作成、連絡業務 本日の活動内容 診療患者数: 140名(新患 107; 21外科+86内科、 再診 33) 患者の傾向: 外傷に徐々に改善がみられる。内科的に脱すいい症状の患者が 2 名いたが、軽度の患者 が増加している。 リファー患者数: 2名 診療サイト: モバイル班: 診療8日目となり、当初より3診体制で実施し、活動は順調に展開した。 本日実施せず。 当地域の医療事情 本日のコーディネーションミーティングについて主な報告事項は以下のとおり。 ○ 本日の当地区の患者数は約 1,700 名(結果報告のない団体を除く)。リファー1 名、小外傷措置150名。 ○ 震災初日は患者を直接地面に置くしかなかったが、本日までかなり改善してきた、 ○ Navy Hospital、Army Hospital,が設置され、手術、ラボ機能がある。 ○ 供与される機材のメンテのための現地のテクシャンに教育をしていく必要があることが確認された。 ○ 甲斐団長が本日最後の会合参加とのことで「well done!!」と賞賛、拍手された。 明日も夜 7 時から実施する。 74 隊員の健康状況 全隊員は食欲旺盛で、生活環境は厳しいが隊員は全員健康 翌日以降の活動予定 6 時起床。朝食後、終日診療。 2次隊の先発グループが10時ころに当地到着予定で診療しながら引継ぎを行っていく予定である。 外務省緊急事態機材の開包、一部組み立て。 特記事項 <生活環境整備> ○ 特設のホースによって水槽と連結されたため、生活用水が確保された。 ○ 飲料水用としては、別途十分な量が確保されている。 ○ 引き続き、軍の協力による食事手配(昼食・夕食) ○ 昼夜の寒暖の差が激しい。体調管理に十分気をつける必要がある。 <その他> 軍の24時間警備のほかに国境警備隊(FC)の配置も行われており、セキュリティーに問題はない。 <マスコミ取材>: 取材を受けた報道機関は特になし <来訪者> 大統領が当地を訪問された。当サイトまでの来所はなかったが、ヘリポートでブリーフィングを受けれたと のことで上空通過や車両運行の規制があった。 <その他> 余震: 本日は比較的大きな規模の余震が数回あった。(小・中規模な余震はきわめて多く、数十回あっ た)。 エピソード 外務省保管の緊急事態対応機材(含むシャワーセット他)が本日夜、診療サイトに搬入された。 膨大な量と重量で、搬入に多大な時間がかかった。 75 活動報告書(第1次隊第10報) パキスタン国地震災害国際緊急援助隊医療チーム(第 1 次隊) クロノロジー 10月20日(木) 06:00 起床 08:30 受付開始、診療開始 10:30 2次隊第1陣 5 名が宿舎サイトに到着 12:00 午前の受付終了 12:50 午前の診療終了 14:00 午後の受付開始 14:30 甲斐団長・花澤副団長 イスラマバードでの活動報告のため当地発 16:10 受付終了 17:00 診療終了 適宜、診療テント、宿舎用テントの清掃、個人荷物の片付け 19:00 コーディネーションミーティング(原田・大友両副団長他参加) 診療データ入力 21:00 チームミーティング 21:40 各グルーグで作業、打ち合わせおよび2次隊への引継ぎ 報告書の作成、連絡業務 本日の活動内容 診療患者数: 200名(新患150: 54外科+96内科、 再診50: 外科40+内科10) 患者の傾向: 毎日の消毒・洗浄の効果があり、外傷に徐々に改善がみられ、やっと縫合できる患者もでて きている、昨日 2 例、本日 2 例。内科的に脱水症状の患者が 2 名いたが、軽度の患者が増 加している。 リファー患者数: 2名 診療サイト: 診療最終日となった。当初より3診体制で実施し、午前の途中から 2 次隊の隊員も加わり、 活動は順調に展開した。 モバイル班: 本日は実施せず。 76 当地域の医療事情 本日のコーディネーションミーティングについて主な報告事項は以下のとおり。 ○ 本日の当地区の患者数は約 2,000 名(結果報告のない団体を除く)。 リファー1 名、大手術措置 12 例、小外傷措置116名。 ○ 震災初日は患者を直接地面に置くしかなかったが、本日までかなり改善してきた、 ○ 薬剤の管理ができていないので薬剤管理のてきるスタッフやボランティアの提供が欲しい。 ○ Paramedic の数が圧倒的に足りないとのことで保健局も努力しているが、宿舎の確保も難しいが、引き続 き努力するとのこと。USA の NGO は看護婦の派遣の用意あるとのこと。 ○ エストニアが本日最後の会合参加とのことでその功績を賞賛、拍手された。 ○ ユニットでの活動が必要で、もっと全体としてオーガナイズされたものであるべき。 ○ この一帯をきれいにすべき、清掃人やごみ収集人をやとうべきという意見があり、「日本チームはどうして いるか」という質問に、自分たちで処理していると回答した。自分たちで清掃する発想が欧米にはないよ うだ。 ○ 麻疹ワクチンの接種対象として 71,600 人の児童いる。UNICEF が金を出し、WHO が技術的サポートを する、15-20 人のテクニシャンが必要となるのでボランティアを募集する。これに対し、NAVY の軍医よ り、麻疹だけでなく、破傷風や肝炎対策も重要であるとの提言があった。 明日も夜 7 時から実施する。 隊員の健康状況 全隊員は食欲旺盛で、生活環境は厳しいが隊員は全員健康 翌日以降の活動予定 6時起床。朝食後、7時に当地発の予定である。陸路イスラマバードに移動、午後、久しぶりのシャワーをと り、夕刻、空港に移動、帰路ににつく予定である。 診療サイトは2次隊の先発グループが1診で診療する予定である。1次隊チームが再診の必要な患者に対 しては、混乱を避けるために、22日にくるよう指示を出しているが、本日、患者が急増したため、明日の来診 者の増加も否定できないことから、多少の混乱も予想される。また、コーディネーションミーティングでも手薄 であることを紹介し、協力を呼びかけ承諾されている。 77 特記事項 <生活環境整備> ○ 特設のホースによって水槽と連結されたため、水量は少ないものの生活用水が確保された。 ○ 飲料水用としては、別途ミネラルウォーターによる十分な量が確保されている。 ○ 引き続き、軍の協力による食事手配(昼食・夕食) ○ 昼夜の寒暖の差が激しい。体調管理に十分気をつける必要がある。 ○ 軍の24時間警備のほかに国境警備隊(FC)の配置も行われており、セキュリティーに問題はない。 <マスコミ取材>: 取材を受けた報道機関名は以下のとおり。 現地新聞社:DAWN 記者 <来訪者> ○ 当地区に将官クラス 5 名が視察。パ軍の幹部達も忙しそうであった。 <その他> ○余震:本日は余震がほとんどなかった。 エピソード 外務省保管の緊急事態機材(シャワーセット)が本日診療サイトに搬入され、内容を確認中であるが、セッ トアップには時間がかかりそうである(接合が物理的に不可能な部分もあり、実際の利用は難しそうである)。 78 活動報告書(第2次隊第1報) パキスタン国地震災害 国際緊急援助隊医療チーム(第2次隊) クロノロジー 診療 10 日目: 晴れ 10月21日(金) 06:00 起床 07:00 1 次隊イスラマバードに向けて出発(帰国) 護衛のためにガードマンの車両が同行 08:30 2次隊第 1 陣(先発隊)による診療開始 11:00 午前の受付終了 12:00 午前の診療終了 14:00 午後の受付開始 17;00 診療終了 17:30 2次隊第2陣(本隊)バトグラム到着 先遣隊と共同でサイトの片付けと明日からの活動に向けた準備 19:00 部屋割りの確定と食事の準備 ~ この後団長及び副団長はドナー会議参加 ■本日の活動内容 診療患者数: 57名(新患32、再診25) 診療体制: 1診体制での活動となったが、事前の体制変更に関するアナウンスにより混乱はなかった。 リファー患者数: 1名(小児) モバイル班: 本日は実施せず。 モバイルに関してチームで話し合った結果、活動開始当初の2日間はサイトでの活 動に集中し、モバイルについては後日考えることとする。ただし、パキスタン側からはモ バイルを強く希望されているが、4泊くらいの日程で山間部に入ることを求められており、 JDR としては対応困難と判断している。モバイルについてはできる範囲での協力を今 後検討する予定。 <コーディネーション・ミーティング> ミーティングでは本日からフルスケールの活動となったことを報告するとともに、新しい団長の紹介を行 い関係者からの歓迎を受けた。 ■生活環境整備 ○ 食事は、カレーを軍に作ってもらっている。 ○ 日中は 30 度 C を超えていると思われるが、明け方は 6 度 C 程度に冷え込む ○ 昼夜の寒暖の差が激しい。体調管理に十分気をつける必要がある。 79 ■隊員の健康状況 全員健康。 ■翌日以降の活動予定 7時に朝食後、8時半から終日診療予定。 ■その他 <セキュリティ> 軍の 24 時間警備のほかに国境警備隊(FC)の配置も行われており、セキュリティーに問題はない。生活 縦貫に 4 名の軍人が配備されるとともに、活動サイトには 3~4 名の警官が配備されている。 <マスコミ取材> 取材を受けた報道機関は特になし <来訪者> パキスタンの政治家や軍人の訪問を受けた。セイブザチルドレンジャパンのスタッフの訪問もあった。 ■エピソード ○ 余震: 本日は比較的大きな規模の余震の回数が増加した印象があり、震度4程度の余震もあった。 ○ サイト近隣のコンパウンドの子どもや住人が何かとテントを訪ねてくる。この地域ではかなり有名な存在 となっている。 80 活動報告書(第2次隊第2報) パキスタン国地震災害 国際緊急援助隊医療チーム(第2次隊) クロノロジー 診療 11 日目: 晴れ 10月22日(土) 08:30 受付開始 10:45 受付終了 12:30 診療終了 13:00 午後診療開始 13:30 追加の通訳3名到着 これにより8名となり各持ち場に通訳を配置 14:15 マレイシアテレビ局の取材(団長対応) 14:30 マレイシア NGO 来訪(団長・阪本副団長対応) 140名から成るチームをバトグラムに派遣予定とのこと 15:15 北西辺境州保健局長来訪(団長対応) 16:20 パキスタンテレビ局来訪(団長対応) 17:30 診療終了 19:00 コーディネーションミーティング ■本日の活動内容 診療患者数: 178名(新患145;再診33) (内訳:外科52、内科60、皮膚科14、眼科・耳鼻科2、その他 残数) 特筆所見: 下痢患者が増加傾向にある。その他全身の痛みを訴える患者がいる。 林医師報告: エコー4回実施、血液検査3回実施(血糖値、白血球数、重度の脱水症状などチェック) ARI: ウィルス簡易検査キットで検査実施 診療体制: フル3診体制。リファー数は地域内支援団体間でも多く行われるためあえて表示しない。 移動診療: 実施なし <コーディネーションミーティング> 本日の地区総患者数は1,149名 1. 退去団体、新規に来る団体など動きがある。 新規、継続団体: WHO はあと1ケ月滞在、マレイシアから来る140名の NGO は1ケ月滞在予定 退去団体: カラチの私立病院、マレイシア医療チームは25日に帰国とのこと。 2. アラーイ地区(バトグラムの北)での活動状況 フランス赤十字社がヘリによる訪問活動で150人/日診療している。北方の小村での医療活動が遅れ ているとのこと。水、電気なく治療しても公衆衛生が劣悪で回復していかない状況。 パキスタン軍に医者派遣の要請があった。アバンナーという村に来て欲しいとのこと。またその奥地にも 患者が多いので4~5日間来て欲しいとのこと。井上団長は日帰りで対応できないか検討中。日本の自衛 81 隊のヘリにお願いすることはできないか。 3. 報告 レントゲン(明日から使用)、エコー、血液検査などができることを報告。 これに対し、マレイシアチームから妊娠5ケ月の妊婦がおり、胎児の活動がおもわしくない模様とのこと。 エコーで診て欲しいとの要望あり(ただしチーム内には産婦人科医はいない)。 ■その他 ○ UNDAC メンバーがマンセラーから来た。JDR 医療チームの活動状況を見ていった。 沖田団員が UNDAC 研修受けたときの知り合い。 ○ セイブ ザ チルドレン 日本支部が訪問(鈴木さん)。バトグラムでのさらなる活動につき調査中とのこと。 82 活動報告書(第2次隊第3報) パキスタン国地震災害国際緊急援助隊医療チーム(第2次隊) クロノロジー 診療 12 日目: 快晴(かなり埃っぽい) 10月24日(月) 08:30 受付・診療開始。 09:15 (バナ視察組)サイト出発 10:00 (バナ視察組)自衛隊へりにてフライト 10:10 午前の受付終了 10:10 (バナ視察組)バナ到着 12:30 午前の診療終了 14:00 午後の受付・診療開始 14:10 (バナ視察組)サイトに帰還 15:30 午後の受付終了 16:30 午後の診察終了 19:00~20:30 コーディネーションミーティング ■患者内訳 ・ 総診察数 127(午前 64, 午後 63)(新患 106, 再診 21)(外科 51.6%, 内科その他 48.4%) ・ リファー6 名(総診察数 127 に含む) ■活動 ・ 2 次隊の活動終了時(1 週間後)に抜糸できるよう、きれいな傷については今日あたりから縫合を始めた。 一人一人への対応に時間を要しているため、診察患者数は少なめである。 ・ ユニセフが運営するワード(入院施設)から、血液検査・尿検査の依頼が 1 件ずつあった。 ・ フランス赤十字職員の奥さんが妊娠中で、お腹の中の様子を JDR のエコーで見て欲しいとの依頼があり、 実施した。 ・ 昨日不調であったレントゲン機器については、今日日本のメーカーと連絡をとり、使用可能な状態に復 旧した。 ・ 水質検査を実施した。JDR が手洗用に用いているタップウォーター(住民も飲料に使用)からは大腸菌が 検出された。ただし付近の住民はほとんど煮沸してから飲んでいるため、大きな問題は無いと思料。JDR 隊員は、手洗いと共に消毒を行なうよう努めている。一方、住民が汲みに行く山の岩清水からは、大腸菌 等は検出されなかった。 ・ 診療サイトへの来訪者は次のとおり ¾ 内務省国家データ登録庁が援助実施状況の調査に訪れた。 ¾ ジャング(世界的写真誌とのこと)のパレスチナ支局員が、診療風景の写真を撮影に来た。 ■モバイル実施にあたっての現地調査 北部バナでのモバイル(巡回)診療実施の依頼を受け、現地のニーズ等の調査を行なった。 83 ・ 調査メンバー: 井上団長、坂本副団長 ・ アクセス: 自衛隊ヘリコプターによる往復(時間等の詳細は前述) ・ バナについて: バトグラム市街地からアクセスできる山間部のヘリポートが 3 つほどあり、バナはそのうち の一つ。ここしばらくは、ニーズがあるということで、バナにモバイルが出ていた。バタグラムからバナへは ヘリコプターで 10 分ほど。 ・ 調査結果: ¾ バナで活動を行なっている団体: セーブザチルドレン、赤十字、IOM、パキスタン軍 (IOM とパキ スタン軍は現地支援の事務所を展開) ¾ 同地区で活動していた赤十字が、本日引上げる。 ¾ バナのさらに奥の山村にはニーズがあると思われるが、そこまで展開するのはロジスティックスの面 で厳しい。 ¾ 寒さが厳しくなると、さらに奥の山村から人が降りてくることも考えられるが、JDR としてはそこまで長 期は考えていない。 ・ 結論: JDR 診療所での活動人数を割いてまでモバイルを行なうとする十分なニーズがあるとはいえない。 JDR チームとしては、モバイルは行なわないこととする。 ■ドナーコーディネーションミーティングについて ・ 内容は以下のとおり ¾ 本日 JDR が視察を行なったバナについて、「医療ニーズが落ちてきている、しかしさらに奥地に ニーズがある」との統一見解。 ¾ 本日バナから引き上げた赤十字は、体制を立て直して再度バナから奥地に入る予定との宣言。 JDR は、現時点でバナにニーズがみられず、一方診療所にニーズが多いことや、安全の確保など を勘案し、モバイルを行なわないこととすると説明、受入れられた。 ¾ バトグラム地区での不足品が、当初のテントなど 1 次的なものから、呼吸疾患用ネグライザー等の 2 次的なものへと変化してきている。 ■隊員の健康状態 ・ 疲れが見え始めているが、明日からの休息日(後述)が上手く機能してくれると思う。 ■今後の活動予定 ・ 25 日~29 日の間、隊員が交代で休息日をとり、マンセーラに行きシャワーを浴びる。08:00 前に出発、 17:00 前に帰着予定。確保できているのはホテル 2 部屋のみ。 ■その他 ・ 英国から輸送された外務省資機材について ¾ シャワーセットの他に、車椅子やレスキューセットなど様々な資機材が入っていた。使えるものと使 えないものとがあるが、かなりの量なので宿舎横の軒下に山積みにしてある。 ¾ シャワーセットは、使えるよう努力したが、結局圧力不足によってお湯は得られず。 以 84 上 活動報告書(第2次隊第4報) パキスタン国地震災害国際緊急援助隊医療チーム(第2次隊) クロノロジー 診療 13 日目: 曇りのち小雨 10月25日(火) 7:50 休憩隊員6名(通訳含む)マンセーラへ向け出発 8:30 受付開始 9:10 HALUAN MALAYSIA(NGO団体)の訪問を受ける(大友副団長対応) 9:30 NHKの取材対応(井上団長/坂本副団長対応) 10:10 休憩隊員マンセーラ到着 10:50 受付終了 13:00 午前中の診療 終了 14:00 午後の受付・診療開始 16:00 午後の受付終了 17:00 午後の診察終了 19:30~20:30 20:40 コーディネーションミーティング チームミーティング ■患者内訳 ・ 総診察数 91(午前 63, 午後 28)(新患 59, 再診 32)(外科 42%, 内科その他 58%) ・ リファー4 名(総診察数に含む) ・ 血液検査 2 件実施(うち 1 件は MSF からの依頼) ・ 便検査 2 件実施 ・ 超音波検査 6 件実施 ・ レントゲン 3 件実施(1 件目:胸、2 件目:足、3 件目:腰及び手)。3 件目は UNICEF からの依頼。結果は プリントアウトし、依頼先に手交。 ■活動 ¾ 曇りから小雨模様の天候が影響し、住民が雨天を警戒したため、本日の患者数は少な目と推察。 ■火山噴火について ・ チームからの情報 ¾ アライ地区にて、火山が噴火したとの情報が大使館からチームへ入った。天候が曇りであることもあ り、サイトからは噴煙などは観察できないし、北方の山々に変化は見られない。また、今のところ周 囲の人々の様子に変化は見られない(後での補足:バタグラム郡アライ地区、サイトから北方 10km)。 ¾ 昨日バナに視察に行った際、現地軍隊長と話したが冬に向けて現地住民を地域から移動させる必 要があるとの話はあったが、火山活動については話はなし。 85 ¾ 本日、当該地域を管轄する国軍によれば、火山噴火による支援団体の避難は現在のところなし。 また、住民の避難も計画されていないとのこと。 ¾ 本日隊員 4 名と通訳 2 名の計 6 名がマンセーラに行っている。携帯電話を通じて、情報共有と安 全確認は済み。またモバイル診療に隊員が参加はしていない。 ¾ チームとしては、明日朝到着する車両 3 台による緊急避難の体制を確保した上で、当面、様子を見 ることとしたい。 ・ 当事務局の対応 ¾ この連絡と同時に外務省国緊室から当事務局に対し本件にかかる外務公電が転電された。18:30 頃、国緊室に電話連絡したところ公電の内容以外の情報は無し。 ¾ 同時に、当事務局から JICA 総務部安全対策チームに連絡。特に情報無し。JICA パキスタン事務 所には、同チームから連絡。 ・ JICAパキスタン事務所の対応 ¾ コースター2 台、トラック 1 台をバトグラムに送った。26 日朝バトグラム到着予定。これらを利用し、 チームがいつでも脱出できる体制を確保。また、これらの車輌はチームの現地からの撤収にも使 用。 ■ドナーコーディネーションミーティングについて ・ 内容は以下のとおり ¾ 当該地域での診察者数の総計は約 800 名。 ¾ 保健省の職員から、当該地域での医療分野の中期的(mid term)な復旧・支援及び長期的(long term)な復旧・支援を検討して欲しい旨発言があり、当ミーティングにおいても、今後緊急支援から そのような内容に移ってゆく印象。長期的な活動を予定していると思われる MSF などがそのための プランニング等の中心的な団体となると思料される。 ■隊員の健康状態 ・ 曇り空のため、昨晩よりは暖かく、過ごしやすい印象。 ・ 隊員、通訳ともに疲労が徐々に蓄積している。本日始めて実施したマンセーラでの休養は非常に効果 的で、隊員及び通訳はリフレッシュして帰還。予定どおり今後も同様に交代で休養する予定。 ■今後の活動予定 ・ 明日も診療を継続。 ・ 現地のラジオ局による取材対応予定。 ・ 医療チーム撤収について現在 2 案検討中。①10 月 30 日午後に引渡し、翌 31 日に全員イスラマバード へ移動、宿泊、11 月 1 日に報告などを行い同日夜ラホールに向け出発。②10 月 31 日若干名が引渡し のため残り、他の隊員はイスラマバードへ移動、宿泊。11 月 1 日に報告などを行い、残留隊員も合流の 後同日夜ラホールに向け出発。引渡し先の決定状況などにより今後決める。 以 86 上 活動報告書(第2次隊第5報) パキスタン国地震災害国際緊急援助隊医療チーム(第2次隊) クロノロジー 診療 14 日目: 雨のち快晴 10月26日(水) 07:30 休憩隊員6名(通訳2名含む)マンセーラへ向け出発 08:30 受付開始 11:45 受付終了 13:00 午前中の診療 終了 14:00 午後の受付・診療開始 14:05 パキスタン海軍が来所・当方活動状況を視察 15:00 軍衛生担当大佐の訪問を受ける(周辺の水質調査の一環)。 16:00 午後の受付終了 16:30 午後の診察終了 19:30~20:45 20:30 コーディネーションミーティング チームミーティング ■患者内訳 ・ 総診察数 100(午前 67, 午後 33)(新患 77, 再診 23)(外科 48%, 内科その他 52%) ・ リファー2 名(総診察数に含む) ・ 血液検査 2 件実施(うち 1 件は MSF からの依頼) ・ 上気道炎のウイルス検査(インフルエンザ等のウイルス疾患検査)5 件 ・ 喀痰TB検査 1 件 ・ 便検査 2 件実施 ・ 超音波検査 2 件実施 ・ レントゲン 5 件実施 ■活動 ¾ 一昨日から縫合治療も始めており、その分診療に時間がかかるため、総診察数は少なめである。 ¾ 1 次隊活動時に当所患者のレントゲン撮影を地区クリニックに依頼していたように、反対に当2次隊への レントゲン撮影と診療意見を求める依頼も受けており、地域医療の連携に貢献している。 ■火山噴火情報について ¾ ほぼガセネタであることが判明しており、煙の話も部分的な地崩れに伴う土煙だろうとの推測も聞かれ る。新たな情報も一切無い。 ■ドナーコーディネーションミーティングについて ・ 内容は以下のとおり 87 ¾ 当該地域での診察者数の総計は約 900 名。 ¾ 日を追うごとに寒くなる中、これからの厳しい冬に向けての被災住民の生活に対する懸念が聞かれた。 軍は山岳域の住居者を麓の地に下ろしたい意向を持っているが、ミーティング参加者間で様々な意見、 考え方があり、まとめる方向が見えない状況である。 ¾ 昨日提議された、当該地域での医療分野の中期的(mid term)及び長期的(long term)な復旧・支援策 についても本会合で具体的な提案、意見は聞かれず、今後時間をかけて協議していく必要がある。 ¾ 軍が先導的に地域の水質調査を進めており、地域の生活用水から検出された大腸菌が地中に流れて 今後の地域の衛生環境に悪影響を及ぼすことに対する懸念が述べられた。この点についても、本会合 に関与する地域の医療関係者の連携が要される。 ■隊員の健康状態 ・ 生活用水の欠如、不衛生な生活環境と寒さ、制限された空間での就寝条件が日々重なり、隊員、通訳と もに疲労が日々蓄積している。交代制で実施しているマンセーラでの休養は、疲労回復に実施者から高 い評価を得ており、今後も引き続き実施する。 ■今後の活動予定 ・ 明日も診療を継続。 ・ 本日予定されていた現地ラジオ局による取材は、結局来なかった。 ・ 医療チーム撤収について、次の案で調整を進めることとした。 10 月 30 日 午前まで診療を継続し、午後に片付け、引渡し。 10 月 31 日 朝、全員イスラマバードへ陸路移動。 大使館主催の夕食会に出席し、同地に宿泊。 11 月 1 日 正副団長は保健省、関係機関に報告などを行う。 夜、ラホールに向け空路出発。 11 月 2 日 バンコク経由で帰国 以 88 上 活動報告書(第2次隊第6報) パキスタン国地震災害国際緊急援助隊医療チーム(第2次隊) クロノロジー 診療 15 日目: 快晴 10月27日(木) 07:50 休憩隊員6名(通訳1名含む)マンセーラへ向け出発 08:30 受付開始 09:00 JICA調査団・ADB・WBの日本人4名が訪問 10:00 自衛隊隊員訪問(連携の調査?) 10:45 日本大使館付武官来所(周辺地域調査の途中立寄り) 竹本副団長が市長を表敬 11:40 マレイシア軍視察のため来所 11:45 午前の受付終了 13:00 午前の診療終了 14:00 午後の受付・診療開始 16:00 午後の受付終了 16:30 午後の診察終了 (一旦終了したが、急患に対応した) 16:45 交通事故の患者搬入 エコーで内臓を検査後、終了 17:00 19:30~20:30 20:30 マンセーラから6名帰着 コーディネーションミーティング チームミーティング ■患者内訳 ・ 総診察数 89(午前 60, 午後 29)(新患 57, 再診 32)(外科 45%, 内科その他 55%) ・ リファー2 名(総診察数に含む) ・ 血液検査 5 件実施(うち 3 件は MSF からの依頼) ・ 上気道炎のウイルス検査(インフルエンザ等のウイルス疾患検査)5 件 ・ 喀痰 TB 検査 1 件 ・ 便検査 2 件実施(うちロタウィルスが一件) ・ 検尿1件実施 ・ 超音波検査 2 件実施(うち 1 件は MSF からの依頼) ・ レントゲン 9 人 13 ヶ所実施 ■活動 ¾ 患者の生活環境調査を一部実施した。 ¾ 再診患者の外傷以外の患者に 45 名に便検査のための提出を依頼したが、本日は便の提出が 5 件あり、 89 そのうち 3 件分析し、2 件から回虫を確認した。 ¾ 数日前から縫合治療も始めており、その分診療に時間がかかるため、総診察数は少なめである。 ¾ 1 次隊活動時に当所患者のレントゲン撮影を地区クリニックに依頼していたように、反対に当2次隊への レントゲン撮影と診療意見を求める依頼も受けており、地域医療の連携に貢献している。 ■ドナーコーディネーションミーティングについて ・ 内容は以下のとおり ¾ 当該地域での診察者数の総計は約 1,400 名。 ¾ 安全な水の継続的供給やゴミの処理をどうしていくのかについて意見がかわされた。 ¾ 麻疹ワクチンの接種も順調に進んでいる。 ¾ 復興に向けての話題が多くなってきている。 ■隊員の健康状態 ・ 生活環境は依然厳しいが隊員は全員元気である。 ■今後の活動予定 ・ 明日も診療を継続。 ・ ローティションによるマンセーラ行きは明日、5 名(通訳を含む)の予定。 ・ 明日、別のJICA調査団が到着予定。 ・ 医療チーム撤収について、次の案で調整を進めることとした。 10 月 30 日 午前まで診療を継続し、午後に片付け、引渡し。 10 月 31 日 朝、全員イスラマバードへ陸路移動。 大使館主催の夕食会に出席し、同地に宿泊。 11 月 1 日 正副団長は保健省、関係機関に報告などを行う。 夜、ラホールに向け空路出発。 11 月 2 日 バンコク経由で帰国 ■エピソード ・ 患者の生活環境調査に出かけた看護師は、患者が実際生活している状況をみてショックを受けていたよ うだ。家は崩壊し、食料や水の支援も一切なく、ビニールでひさしを作っただけのテントに住んでおり、今 後の生活の困難さを痛切に感じたとのこと。あらためて自分たちの非力さも感じたが、自分たちができる 医療診療活動を通して、少しでも貢献したいという意欲もわいたとのこと。 以 90 上 活動報告書(第2次隊第7報) パキスタン国地震災害国際緊急援助隊医療チーム(第2次隊) クロノロジー 診療 16 日目: 快晴 10月28日(金) 07:50 休憩隊員5名(通訳1名含む)マンセーラへ向け出発 08:30 受付開始 10:10 無償資金協力部員訪問4名、現地へは、当方の車両を利用 (外務省1名・JICA本部2名・JICAパキスタン事務所1名) 10:35 午前の受付終了 10:45 ドイツ、パキスタン友好協会視察のため来所 (大友副団長対応) 11:50 ・ 自衛隊島末2佐の訪問 ・ 現地GIOTBテレビ局取材 (井上団長対応) ・ 現地ラジオ局ボイスオブジャ-マン取材 (坂本副団長対応) 12:50 午前の診療終了 13:40 交通事故の患者搬入5名 ・ 1名 気胸並びに骨折 (MSFに搬送、ドクタ-1名同行) ・ 1名 頭蓋骨骨折 ・ 1名 多発骨折 サイトで治療中 サイトで治療中 ・ 2名 応急処置実施後、陸軍病院に搬送 14:00 HUMAの2名到着 (現地の状況等を団長と打合せ) 14:15 午後の受付・診療開始 16:00 午後の受付終了 17:00 午後の診察終了 マンセ-ラから5名帰着 19:30~20:30 20:30 コーディネーション・ミーティング チームミーティング ■患者内訳 ・ 総診察数 111(午前 63, 午後 48)(新患 83, 再診 28)(外科 45%, 内科その他 55%) ※ 本日、5 歳以下の子供の診察数を調査したところ 25 人であった。 ・ リファー4 名(総診察数に含む) ・ 血液検査 4 件実施(うち 3 件は MSF からの依頼) ・ 便検査 5 件実施(うちロタウィルスが 1 件) ・ 便培養 1 件 ・ 検尿1件実施 ・ 超音波検査 5 件実施 ・ レントゲン 12 人 18 ヶ所実施 91 ■活動 ¾ 診察に訪れた 5 歳以下の子供の患者数並びに割合を算出したところ 25 人であり、総診察者数の 23%で あった。 ¾ 数日前から縫合治療も始めており、その分診療に時間がかかるため、総診察数は少なめである。 ¾ 当2次隊へのレントゲン撮影と診療意見を求める依頼も受けており、地域医療の連携に貢献している。 ¾ 日本の医療チ-ムの知名度が上がっていることから、災害以外(交通事故等)の負傷者や急患なども増 加している。 ■コーディネーション・ミーティングについて ・ 内容は以下のとおり ¾ 当該地域での診察者数の総計は約 1,000 名。 ¾ WHO がはしかに対する予防接種を合計約 5 万人実施した。 ¾ UNOCHAが本日現地に入った。明日 18 時に関係者とコ-ディネ-ションミ-ティングをしたいとの要 望があった。 ¾ 復興に向けての話題が多くなってきている。 ■隊員の健康状態 ・ 生活環境は依然厳しく、乾燥地帯のためほこりっぽいことから、隊員の 6~7名位が喉の不調を訴えてい る。 ・ 長谷川医師が軽い風邪をひいている。 ■今後の活動予定 ・ 明日も診療を継続。 ・ ローテションによるマンセーラ行きは明日計 5 名(通訳を含む)の予定。 ・ UNOCHAが現地入りし、明日 18 時に関係者とコ-ディネ-ションミ-ティングを実施予定。 ・ 医療チーム撤収について、次の案で調整予定。 10 月 30 日 午前まで診療を継続し、午後に片付け、引渡し。 大使・JICAパキスタン所長・調査団員・メディア3社位が訪問予定。 10 月 31 日 朝、全員イスラマバードへ陸路移動。 大使館主催の夕食会に出席し、同地に宿泊。 11 月 1 日 正副団長は保健省・関係機関に報告などを行う。 夜、ラホールに向け空路出発。 11 月 2 日 バンコク経由で帰国 以 92 上 活動報告書(第2次隊第8報) パキスタン国地震災害国際緊急援助隊医療チーム(第2次隊) クロノロジー 診療 17 日目: 晴れ 10月29日(土) 07:30 4名の隊員(隊員2名及び通訳2名)休養のため、マンセーラに向け出発。 08:30 受付開始。 10:50 自衛隊部隊広報班が医療チームを訪問。 12:05 受付終了 12:30 エクアドルを中心とした International Medical Team が医療チームを訪問。 13:05 診療終了。 14:00 受付・診療再開。 16:00 受付終了 17:00 診察終了 17:30 MSF から依頼の血液検査終了 18:30~19:30 OCHA 主催コーディネーション・ミーティング(坂本副団長出席) 19:30~20:30 コーディネーション・ミーティング ■患者内訳 ・ 総診察数 115(午前 81、午後 34)(新患 73、再診 42)(外科 43%、内科その他 57%) ・ リファー2 名(総診察数に含む) ・ 血液検査 6 件実施(うち MSF 依頼分 3 件) ・ 便ウィルス検査 5 件実施 ・ 上気道ウィルス検査 1 件実施 ・ 尿検査 1 件実施 ・ 超音波検査 3 件実施 ・ レントゲン 9 件実施(うち外部依頼分 2 件) ・ 血液型検査 3 件(3 件とも MSF 依頼分) ■活動 ・ 特記事項なし ■OCHA 主催コーディネーション・ミーティングについて ・ バットグラムに展開した UNOCHA スタッフが OCHA のテントにて分野を問わないコーディネーション・ミー ティングを開催。坂本副団長出席。内容は以下のとおり ¾ 国軍から、バットグラム近郊のメラに 4 万人規模の Evacuation Center(避難所)を2~3週間以内に 設立するとの発表がなされた。これからの冬に向けて、山間部の被災民の避難所として。 93 ■コーディネーションミーティングについて ・ 上記避難所運営のためのボランティアが募集された。 ・ 多量の医薬品が被災者のために届いているが、整理されておらず活用されていない。 ・ チームから、明日が診療最終日であるので、外部からの依頼による各種検査は実施できない旨、参加者 に連絡。 ・ 当該地域担当の国軍少佐から、JDR チームは約 1 ヶ月にわたり、優れた人材と優れた機材により、当地 において非常に効果的な活動を展開し、当地被災者からも高い評価をえており、感謝している旨、発言 があった。他の出席者からもチームの活動を評価する拍手が与えられた。 ■隊員の健康状態 ・ 生活環境は依然厳しく、乾燥地帯のためほこりっぽいことから、隊員数名が喉の不調を訴えている。 ・ 長谷川医師の風邪は全快。 ■今後の活動予定 ・ 明日 30 日は12:30まで診療を行い、15:00 からハンドオーバーにかかる式典を実施。その後、撤収に 係る作業を実施。 ・ ローテションによるマンセーラでの休養は本日で終了。 ■その他 ・ 隊員帰国時の国内線予約の依頼あり。長谷川隊員、村上隊員、畑隊員、山田隊員、山本隊員の 5 名が 11 月 2 日解団式終了後の成田発伊丹行きのフライトを希望。また松尾隊員が成田発福岡行きのフライト を希望。事務局でアレンジ要。 以 94 上 活動報告書(第2次隊第9報) パキスタン国地震災害国際緊急援助隊医療チーム(第2次隊) クロノロジー 診療 17 日目: 晴れ 10月31日(月) 【帰路】 08:00 バットグラムを出発 16:00 イスラマバード着 全員、ホテルにチェックイン 16:30 大使館にて活動報告(団長と副団長の 3 名) 17:30 大使公邸での慰労会 18:30~19:30 19:30~20:30 ■活動概要・留意事項 ・ 8:00 にバットグラムを出発し、16:00 に全員無事にイスラマバードのホリデーイン・ホテルにチェックインを 完了した。 ・ 16:30 より団長と副団長の 3 名が大使館にて活動報告を行った。また、17:30 より大使公邸での慰労会に 出席している。 ・ 隊員の健康状態について。ひどい症状の人はいないが、全く健康な人もいないという状態。喉の痛みや 風邪気味の人が多い。 ・ イスラマバード滞在中(11 月 1 日)は沖田隊員が携行するドコモ携帯電話で連絡が可能 (090-3222-5119)。 ・ 帰国時の携行荷物(個人の荷物を除く)は、30 個口程度になる予定。内 5 個程度が事務局に運ぶもので ある。 ■当方からの連絡 ・ 解団式の時間、出席者などを伝えた。 ・ 帰路チケット手続きの状況(特に第 1 陣 5 名分)について伝えた。 ・ 帰路は途中休憩の無いフライトのため、今のうちに十分な休息をとっておいて隊長を整えておいて欲し い旨伝えた。 ■確認事項 2次隊の現地活動を取材した NHK 記者は次のとおり NHK バンコク支局 記者 樺沢一朗(カバサワ・イチロウ) 以 95 上